dladm コマンド - Oracle Solaris 管理: ネットワークインタフェースとネットワーク仮想化

`dladm` コマンド

dladm コマンドは、GLDv3 ドライバ構成フレームワークを完全に実装したあと、時間の経過とともに拡張機能を獲得してきました。このフレームワークは次のように、NIC ドライバの構成を拡張します。

ネットワークドライバのプロパティーの構成に必要となるのは、単一のコマンドインタフェースである dladm コマンドだけです。
プロパティーにかかわらず、dladm subcommand properties datalink という一貫した構文が使用されます。
dladm コマンドの使用は、ドライバの公開プロパティーと非公開プロパティーの両方に適用されます。
特定のドライバに対して dladm コマンドを使用しても、似たタイプのほかの NIC のネットワーク接続に支障が生じることはありません。したがって、データリンクのプロパティーを動的に構成できます。
データリンク構成の設定は dladm リポジトリ内に格納され、システムのリブート後も永続します。

データリンクの構成時に前述のメリットの恩恵を受けるには、ndd コマンドのような以前のリリースの従来型ツールではなく、dladm を構成ツールとして使用するようにしてください。

データリンクを管理するには、次の dladm サブコマンドを使用します。

dladm rename-link は、データリンクの名前を変更します。
dladm show-link は、システム内の既存のデータリンクを表示します。
dladm show-phys は、データリンクの物理属性を表示します。
dladm delete-phys は、データリンクを削除します。
dladm show-linkprop は、データリンクに関連付けられたプロパティーを表示します。
dladm set-linkprop は、指定されたデータリンクプロパティーを設定します。
dladm reset-linkprop は、プロパティーをデフォルト設定に戻します。
dladm show-ether は、データリンクの Ethernet パラメータ設定を表示します。

dladm コマンドは、次のようなほかの種類のリンク管理を実行する場合にも使用されます。

ブリッジの構成。第 11 章ブリッジを管理するを参照
リンク集約の構成。第 12 章リンク集約の管理を参照
VLAN の構成。第 13 章VLAN の管理を参照
トンネルの構成。『Oracle Solaris の管理: IP サービス』の第 6 章「IP トンネルの構成」を参照。

コマンドの詳細については、dladm(1M) のマニュアルページを参照してください。

次の各手順は、dladm コマンドを使用してデータリンクを構成する方法を示します。ほとんどの場合、データリンクの構成は、そのリンク上での IP インタフェースの構成の一部となります。したがって、該当する場合は、これらの手順に、ipadm コマンドを使用した IP インタフェースの構成手順を含めています。ただし、IP インタフェースの構成と ipadm コマンドについては、第 9 章IP インタフェースの構成で詳しく説明します。

データリンクの名前を変更する方法

この手順は、データリンクの名前をカスタマイズされた名前に変更する場合に使用します。たとえば、アップグレードされたシステムのいくつかのデータリンクでハードウェアベースのレガシー名が維持されていて、それらの名前を汎用名に変更するような場合です。

始める前に

リンク名の変更の影響を受ける可能性のある関連構成について実行する必要があるその他の手順の調査と準備が完了していることを確認します。詳細は、「アップグレードされたシステムでのリンク名」を参照してください。

管理者になります。
詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。
データリンク上に IP インタフェースが構成されている場合は、その IP インタフェースを削除します。
```
# ipadm delete-ip interface
```
リンクの現在のリンク名を変更します。
```
# dladm rename-link old-linkname new-linkname
```
old-linkname

データリンクの現在の名前を表します。リンク名はデフォルトで、bge0 のようなハードウェアベースのものになります。

new-linkname

データリンクに割り当てる任意の名前を表します。リンク名を割り当てる場合の規則については、「有効なリンク名の規則」を参照してください。「アップグレードされたシステムでのリンク名」も参照し、データリンク名の変更に関する詳細情報を確認してください。

システムのリブート後に新しいリンク名が永続しないようにするには、サブコマンドの直後に -t オプションを使用します。このオプションは、リンク名を一時的に変更します。システムをリブートすると、元のリンク名に戻ります。

注 - dladm rename-link を使用すると、リンクの構成をあるデータリンクから別のデータリンクに転送できます。例については、「動的再構成を使用してネットワークインタフェースカードを交換する方法」を参照してください。リンク名をこの目的で変更する場合には、構成を継承するリンクに既存の構成が一切含まれていないことを確認してください。それ以外の場合、転送が失敗します。

例 8-1 システムの主ネットワークインタフェースの変更

次の例は、データリンクの名前を変更することでシステムの主ネットワークインタフェースを 2 番目の NIC に切り替える方法を示します。システムの主ネットワークインタフェースは net0 ですが、これは、e1000g0 上のデータリンクの汎用名です。この主ネットワークインタフェースのベースとなるインタフェースを、e1000g0 から nge0 に切り替えます。この例は、新しいブート環境を作成する手順の一部として使用できます。

# dladm show-phys
LINK   MEDIA      STATE   SPEED   DUPLEX   DEVICE
net0   Ethernet   up      1000    full     e1000g0
net1   Ethernet   up      1000    full     nge0

# dladm rename-link net0 oldnet0
# dladm rename-link net1 net0

# dladm show-phys
LINK      MEDIA      STATE   SPEED   DUPLEX   DEVICE
oldnet0   Ethernet   up      1000    full     e1000g0
net0      Ethernet   up      1000    full     nge0

データリンクの物理属性に関する情報を表示する方法

この手順は、システムのデータリンクの物理属性に関する情報を表示する手順を示します。

管理者になります。
詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。
システム上に現在存在しているデータリンクの物理属性に関する情報を表示します。
```
# dladm show-phys
```
このコマンドで -P を使用すると、各リンクのフラグステータスも表示できます。関連ハードウェアが取り外された場合、データリンクは使用不可能になります。-P オプションを指定しないと、このコマンドは使用可能なデータリンクのみを表示します。
データリンクの /devices パスを表示するには、-v オプションを使用します。

例 8-2 使用可能なデータリンクの表示

次の例では、-P オプションによって FLAGS 列が含められていますが、ここには、使用可能なリンクが示されます。データリンク net0 の r フラグは、このリンクに関連付けられたハードウェア (nge) が取り外されたことを示しています。

# dladm show-phys
LINK        MEDIA          STATE     SPEED     DUPLEX     DEVICE
net0        Ethernet       up        100Mb     full       e1000g0
net1        Infiniband     down      0Mb       --         ibd0
net3        Ethernet       up        100Mb     full       bge0
net4        Ethernet       --        0Mb       --         nge0

次の例は、-L オプション使用時に表示されるリンクとその物理的な場所を示しています。

# dladm show-phys -L
LINK     DEVICE     LOCATION
net0     bge0       MB
net2     ibp0       MB/RISER0/PCIE0/PORT1
net3     ibp1       MB/RISER0/PCIE0/PORT2
net4     eoib2      MB/RISER0/PCIE0/PORT1/cloud-nm2gw-2/1A-ETH-2

データリンクの情報を表示する方法

この手順は、使用可能なリンクのステータスを表示します。

管理者になります。
詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。
リンクの情報を表示します。
```
# dladm show-link
```

例 8-3 使用可能なリンクの表示

次の例は、システム上の永続的で使用可能なリンクを表示します。

# dladm show-link -P
LINK        CLASS     BRIDGE     OVER
net0        phys      --         --
net1        phys      --         --
net2        phys      --         --

-P オプションは、永続的ではあるが使用不可能になっている既存リンクもすべて表示します。永続的なリンクを一時的に削除すると、そのリンクは使用不可能になります。リンクの関連ハードウェアを取り外した場合も、リンクが使用不可能になります。

データリンクを削除する方法

この手順は、NIC に関連付けられたリンク構成を削除します。交換する予定のない NIC を切り離した場合、その NIC に関連付けられたリンク構成を削除できます。この手順を完了したら、リンク名を再利用できます。

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詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。
ハードウェアが取り外されたリンクも含め、システム上のデータリンクを表示します。
取り外されたハードウェアに関する情報を含めるには、-P オプションを使用します。
```
# dladm show-phys
```
交換する予定のない取り外されたハードウェアのリンク構成を削除します。
```
# dladm delete-phys link
```

例 8-4 データリンクの削除

次の例で、net2 の r フラグは、このリンクの関連ハードウェア (e1000g0) が取り外されたことを示しています。したがって、リンク net2 も削除し、その名前を新しいデータリンクに割り当て直すことができます。

# dladm show-phys -P
LINK        DEVICE     MEDIA        FLAGS
net0        nge0       Ethernet     -----
net1        bge0       Ethernet     -----
net2        e1000g0    Ethernet     r----

# dladm delete-phys net2

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