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Sun Storage Archive Manager 5.3 構成および管理ガイド     Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Information Library (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

1.  SAM-QFS について

2.  アーカイブ用のストレージデバイスの構成

3.  追加の SAM-QFS 構成の実行

4.  ネットワーク接続自動ライブラリのパラメータファイルの作成

5.  ライブラリ内のドライブ順序の検査

6.  カタログの生成

7.  自動ライブラリと手動でロードしたドライブの管理

8.  ベンダー固有のライブラリの管理

9.  アーカイブ処理について

10.  アーカイバの構成

11.  アーカイブ指示 (archiver.cmd)

12.  アーカイブセット指示 (archiver.cmd)

13.  SAM-QFS でのデータ整合性の検証

14.  解放処理について

15.  ステージャーの構成

書き込み処理について

stager.cmd ファイルについて

stager.cmd ファイルを作成する方法

drives 指示: 書き込みに使用するドライブ数の制御

bufsize 指示: 書き込みバッファーサイズの設定

logfile 指示: ログファイルの指定

maxactive 指示: 書き込みリクエスト数の指定

アーカイブセット割り当て指示: アーカイブセット内のすべてのファイルに対する書き込み属性の指定

copysel 指示: 書き込みのコピー順序の指定

プレビューリクエストの優先順位の決定

preview.cmd ファイルについて

グローバルな VSN および経過時間の優先指示を設定する方法

グローバルまたはファイルシステム固有の境界値指示を設定する方法

プレビュー要求優先順位方式の設定

16.  リサイクラの構成

17.  SAM-QFS の高度なトピック

18.  Sun SAM-Remote ソフトウェアの使用

プレビューリクエストの優先順位の決定

アーカイバプロセスとステージャープロセスは、どちらもメディアのロードとアンロードをリクエストできます。メディアのロードに利用できるドライブ数より要求数の方が多い場合、超過分の要求はプレビュー待ち行列に送られます。

プレビュー待ち行列に含めることのできるエントリの数は、defaults.conf ファイルの previews= 指示によって決まります。この指示の値の変更については、『Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Reference Manual』の「defaults.conf(4)」 を参照してください。

デフォルトでは、プレビュー要求は先入れ先出し (FIFO) 順で処理されます。

プレビューリクエストの総合優先順位は、静的な係数と動的な係数を組み合わせることによって決定されます。数字が大きい場合には、優先順位が高いことを意味します。静的優先係数は、要求が生成されたときに設定されます。要求が生成されて処理待ち状態にあるとき、静的優先係数の効果によって総合優先順位が変更されることはありません。動的優先係数により、要求が処理待ち状態にあるときに、要求の総合優先順位を変更できます。

/etc/opt/SUNWsamfs/preview.cmd コマンドファイルに指示を入力することにより、デフォルト値である FIFO をオーバーライドできます。

preview.cmd ファイルについて

sam-amld デーモンは、起動時に preview.cmd ファイルを読み取ります。このファイルは、リクエストが書き込み対象とアーカイブ対象のどちらであるのかに従って、プレビュー待ち行列内のリクエストの順序を決定します。特定の VSN の優先順位を上げたり、特定のファイルシステムのプレビューリクエストの優先順位を制御したりできます。

preview.cmd ファイルには次の規則が適用されます。

preview.cmd では、次の種類の指示が使用されます。

グローバル指示はファイルの先頭に置かれ、それらの設定値はすべてのファイルシステムに適用されます。

ファイルシステム指示は、それ以降のすべての指示の適用先となるファイルシステムを指定する fs = 指示で始まります。複数のファイル指示を 1 つのファイルに定義できる。ファイルシステム指示は、次の fs = 行またはファイルの終わりに到達するまで有効です。

特定のファイルシステムを対象とした指示が複数存在する場合、そのファイルシステムに固有の指示がグローバル指示より優先されます。

次のセクションでは、preview.cmd ファイルを編集してプレビュー待ち行列を制御する方法について説明します。

グローバルな VSN および経過時間の優先指示を設定する方法


注意

注意 - VSN および経過時間の優先指示は、グローバル指示であるため、preview.cmd ファイルではファイルシステム固有指示の前に置きます。


  1. vsn_priority 指示を更新します。
    vsn_priority = value

    この指示は、高い優先順位のボリュームがあるときに、その総合優先順位を上げる値を示す静的優先係数です。デフォルト値は 1000.0 です。この優先係数を使用するには、ボリュームをプレビューリクエストとしてスケジュールする前に、そのボリュームに優先フラグが設定されている必要があります。優先フラグを設定するには、p オプションを指定して -chmed(1M) コマンドを実行します (たとえば chmed +p lt.AAA123)。

  2. age_priority 指示を更新します。
    age_priority = factor

    この指示は、効果は動的ですが、静的優先係数です。この係数には、リクエストがプレビューリクエストである秒数が乗算されます。この乗算結果が、要求の総合優先順位に追加されます。リクエストの待ち時間が長いほど、優先順位は高くなります。この係数を設定すると、より高いほかの優先係数を持つ新しいリクエストによって古いリクエストが無期限に先を越されることがなくなります。

    この係数を 1.0 より大きい値に設定すると、総合優先順位を計算するときの時間係数の重要度が増大し、1.0 未満に設定すると、時間係数の重要度が低下します。この係数を 0.0 に設定すると、総合優先順位計算から時間係数が除外されます。

    優先フラグが設定されていないボリュームは、待ち行列の中にとどまる時間に基づいて優先順位が上昇します。その優先順位は、そのあと待ち行列に入ってくる、優先フラグがすでに設定されている VSN より高くなる可能性があります。

グローバルまたはファイルシステム固有の境界値指示を設定する方法

プレビュー要求優先順位方式の設定

プレビューリクエストの総合優先順位は、すべての優先係数の和です。

総合優先順位 = vsn_priority + wm_priority + (age_priority * time_in_sec_as_preview_request)

デフォルトの FIFO スキームは、次のような理由がある場合にのみ変更します。

例 15-6 preview.cmd ファイルの例

# condition 1
lwm_priority = -200.0
lhwm_priority = -200.0
hlwm_priority = -200.0
# condition 2
hwm_priority = 500.0
# condition 3
age_priority = 1.0

ユーザーによるデータアクセスがもっとも重要である環境や、VSN ドライブの数に制限がある環境や、ファイルのアーカイブがバックグラウンドの機能として実行される環境では、ストレージシステムリソースによる書き込みリクエストの処理方法を preview.cmd ファイルを使って制御します。preview.cmd ファイルの設定をカスタマイズすれば、これまでのシナリオに対応し、構成済みの SAM-QFS 環境を制御できます。

このファイルの設定値はデータに影響しないので、各プレビュー要求の優先順位と照合したときに、アーカイブ要求と書き込み要求が適切なバランスになるように、さまざまな指示の設定を試して調整してみることをお勧めします。

例 15-7 書き込みリクエストを適用するためのスキーム

次の例の計算は、wm_priority に負の値を使用して、必ず書き込みリクエストがアーカイブリクエストに優先するようにする方法を示しています。この例では、次のように仮定しています。

次の表は、リクエストの総合優先順位がどのように計算されるかを示しています。

優先順位
計算
優先性を有するアーカイブ VSN、LWM
1000 + (-200) + (1 x 100) = 900
優先性を有する書き込み VSN、LWM
1000 + 0 + (1 x 100) = 1100
優先性を有さない書き込み VSN、LWM
0 + 0 + (1 x 100) = 100

例 15-8 アーカイブリクエストを適用するためのスキーム

ユーザーのためにファイルを書き込むことの重要度とメディアにアーカイブされた新しいファイルを取得することの重要度の間で環境内のバランスが取られている場合、最大の懸念は HWM レベルを超えることです。この状況で、アーカイブ要件を満たしているファイルが十分にないために、いっぱいになっているファイルシステムの利用率を下げることができない場合、ファイルシステムが限界に達しないようにする最良の方法は、保留中のアーカイブリクエストに応じることです。

この状況では、preview.cmd ファイルは次の例のように単純なものとなります。

hwm_priority = 500.0

例 15-9 メディアタイプでリクエストをランク付けするためのスキーム

あるサイトに、ユーザーが特定のボリュームを使用するファイルのグループを操作しており、それらのユーザーがほかのユーザーから分離されている環境があると仮定します。この環境では、特定のプロジェクトが特定の時間帯にもっとも高い優先順位となる可能性があり、そのために、より高い優先順位がなければシステムストレージリソースを利用できなくなります。次の例は、ユーザーとそのメディアに適切な優先順位を与えています。

vsn_priority = 5000.0

次に、優先ユーザーのグループ内のすべてのボリュームについて、次の情報を入力します。

# chmed +p lt. VSN

これで、指定された VSN を必要とするすべてのリクエストは、プレビュー待ち行列内のほかの保留中のマウントリクエストより先に配置されます。

例 15-10 複雑な優先順位のスキーム

次の要件を持つ 2 つのファイルシステムがあると仮定します。

どちらのファイルシステムも HWM レベルを超えているが、2 つ目のファイルシステム (samfs2) が制限に達しないようにする必要があると仮定します。次の例は、これらの要件に従ってリクエストに優先順位を付ける preview.cmd ファイルを示しています。

age_priority = 100.0
vsn_priority = 20000.0
lhwm_priority = -200.0
hlwm_priority = -200.0
fs = samfs1
hwm_priority = 1000.0
fs = samfs2
hwm_priority = 5000.0