このドキュメントで説明するソフトウェアは、Extended SupportまたはSustaining Supportのいずれかにあります。 詳細は、https://www.oracle.com/us/support/library/enterprise-linux-support-policies-069172.pdfを参照してください。
Oracleでは、このドキュメントに記載されているソフトウェアをできるだけ早くアップグレードすることをお薦めします。
UEK R3は、UEK R2と比較して次の主な点が改善されています。
DTrace対応アプリケーションのUEK R3カーネルおよびユーザー領域トレースにDTraceのサポートが統合されました。
シンプロビジョニングされるボリュームの元として外部の読取り専用デバイスのデバイス・マッパーがサポートされます。
loop
ドライバによって、直接I/Oを実行するようにAIOインタフェースが拡張されたことで、dm-nfs
と同じI/O機能が提供されます。 ループバック・デバイスを作成するには、dmsetupではなくlosetupコマンドを使用してください。dm-nfs
モジュールはUEK R3で提供されません。Btrfsのsendサブコマンドとreceiveサブコマンドを使用すると、2つのサブボリューム間の差異を記録できます。これは、同じサブボリュームのスナップショットか、親子サブボリュームになります。
Btrfs割当てグループ(qgroups)を使用すると、ボリュームおよびそのサブボリュームに異なるサイズ制限を設定できます。
Btrfsにより、アンマウントしたりファイル・システムへのアクセスを中断したりすることなくデバイスを交換できます。
ファイル・システムがマウントされるとすぐにExt4割当てが有効になります。
TCPが制御する遅延管理(CoDel)は、ネットワーク接続全体の過度なバッファリング(bufferbloat)を処理するように設計されている新しいアクティブなキュー管理アルゴリズムです。 このアルゴリズムは、キューの長さではなく、キューにバッファされるパケットの長さに基づいています。 最短キューイング時間がしきい値を上回ると、アルゴリズムによってパケットが破棄され、TCPの通信速度が低下します。
TCP接続の修復にプロセスのチェックポイントと再起動が実装されるため、TCP接続をあるホストで停止し、別のホストで再起動できます。 コンテナの仮想化では、この機能を使用してホスト間でネットワーク接続を移動できます。
TCPおよびSTCPの早期の再伝送では、(特定の条件下での)高速な再送信が許可され、重複する受信確認の数を減らします。
TCP fast open (TFO)により、一部のTCPトランザクションから1つのラウンド・トリップ・タイム(RTT)がなくなり、2つのエンドポイント間の連続したTCP接続の開通を高速化できます。
TCPの小規模なキュー・アルゴリズムは、バッファ膨張への対応を目的としたもう1つのメカニズムです。 このアルゴリズムにより、ソケットによる伝送用のキューに入れることができるデータの量が制限されます。
セキュア・コンピューティング・モード機能(seccomp)は簡易サンドボックス・メカニズムです。strictモードで、この機能を使用すると、スレッドは、限定的なセット(
_exit()
、read()
、sigreturn()
およびwrite()
)を除くシステム・コールを行うことができず、すでに開かれているファイル記述子のみを使用できる状態に遷移できます。 フィルタ・モードでは、スレッドは、strictモードで禁止されている許可されたシステム・コールの任意のフィルタを指定できます。 この機能へのアクセスには、prctl()
システム・コールを使用します。 詳細は、prctl(2)
マニュアル・ページを参照してください。OpenFabrics Enterprise Distribution (OFED) 2.0のスタックでは、次のプロトコルがサポートされます。
SCSI RDMA Protocol (SRP)を使用すると、リモート・ダイレクト・メモリー・アクセス(RDMA)経由でリモートSCSIデバイスへのアクセスが可能になります。
iSCSI Extensions for RDMA (iSER)は、iSCSIストレージ・デバイスへのアクセスを提供します。
Reliable Datagram Sockets (RDS)は、高パフォーマンス、低レイテンシ、信頼できるコネクションレスなデータグラム配信用のプロトコルです。
Sockets Direct Protocol (SDP)では、RDMAネットワーク・ファブリック用のストリーム・ソケットがサポートされます。
Ethernet over InfiniBand (EoIB)
IP encapsulation over InfiniBand (IPoIB)
Ethernet tunneling over InfiniBand (eIPoIB)
OFED 2.0のスタックでは、次のRDS機能もサポートされます。
非同期送信(AS)
サービス品質(QoS)
自動パス移行(APM)
アクティブ結合(AB)
共有リクエスト・キュー(SRQ)
Netfilter (NF)
準仮想化のサポートが、Windows Server 2008 Hyper-VおよびWindows Server 2008 R2 Hyper-VのOracle Linuxゲストで有効になりました。
Virtual Extensible LAN (VXLAN)トンネリング・プロトコルは、既存のレイヤー3インフラストラクチャに仮想ネットワークをオーバーレイして、レイヤー2イーサネットのパケットをUDP経由で転送できるようにします。 この機能は、仮想環境の仮想ネットワーク・インフラストラクチャで使用するためのものです。 使用事例には、仮想マシンの移行やソフトウェア定義ネットワーク(SDN)があります。
UEK R3のカーネル・バージョンは、メインラインのLinuxカーネル・バージョン3.8.13に基づいています。 カーネル・バージョンが2.6で始まると想定している下位レベルのシステム・ユーティリティは、(uname26
パッケージで入手可能なuname26ラッパー・ユーティリティを使用するなどして)UNAME26
パーソナリティを使用している場合、変更せずに実行できます。
UEK R3によって提供される新機能の詳細は、「Unbreakable Enterprise Kernel: リリース・ノートfor Unbreakable Enterprise Kernelリリース3」を参照してください。