8 契約固有労働カテゴリの設定

この章には次のトピックがあります。

8.1 契約固有労働カテゴリについて

契約固有労働カテゴリは、取引を入力して従業員が契約について作業した時間を記録するときに取引の労働カテゴリが契約に対して有効かどうかが検証されるようにプロジェクト/公共事業契約会計(PGCA)契約を設定する職務タイプです。契約固有労働カテゴリは、次のような状況で使用します。

  • 米国連邦政府との契約の一部である作業を実行しており、契約条件で契約固有労働カテゴリを使用する必要があると規定されている。

  • 契約で対外的な肩書きとして使用する職務タイプの追加セットを管理する必要がある。

契約固有労働カテゴリは、社内労務と外注労務の両方に適用できます。JD Edwards EnterpriseOne勤務管理システムに社内労務の時間を記録し、JD Edwards EnterpriseOne外注管理およびJD Edwards EnterpriseOne調達管理システムに外注労務の時間を記録します。

契約の構造に応じて、労働カテゴリが必要であることを契約、請求書または資金調達レベルで指定できます。たとえば、契約レベルでは労働カテゴリが不要だが契約の資金調達レベルでは必要であることを契約条件で規定できます。

契約固有労働カテゴリ・プログラム(P52G20)を使用して、契約の労働カテゴリを入力します。P52G20プログラムでは、契約、請求書、資金調達レベルごと、またはビジネスユニットごとに労働カテゴリを設定できます。労働カテゴリを設定した後で、P52G20プログラムを使用してそれらの相互参照も設定します。相互参照によって、取引で入力する情報に基づいて割り当てる必要のある労働カテゴリが決定されます。

請求固定情報プログラム(P48091)で、取引に割り当てる適切な労働カテゴリが見つからない場合に使用されるデフォルト労働カテゴリを設定できます。

労働カテゴリは、契約固有労働カテゴリ・テーブル(F52G20)に格納されます。

8.2 契約固有労働カテゴリの設定について

PGCA契約で労働カテゴリを使用するには、まず契約に適切なフィールドを設定する必要があります。米国公共事業契約の作成/編集プログラム(P52G01M)の「Billing/Revenue」タブの次のチェックボックスを使用して、契約で労働カテゴリが必要であること、およびカテゴリが外注労務に適用されるかどうかを指定します。

  • 契約労働カテゴリ

  • 外注労務費を含む

「契約労働カテゴリ」チェックボックスを選択した場合は、契約について入力する取引に有効な労働カテゴリを入力する必要があります。契約の取引の時間も入力する必要があります。「外注労務費を含む」チェックボックスを選択した場合は、外注労務取引が労務取引としてみなされ、時間および有効な労働カテゴリに対するのと同じ要件が外注労務取引に適用されます。

注意:

外注の場合は、「サービス数量」および「サービス単位」フィールドに時間を入力します。

チェックボックスの設定に加えて、システムではAAIを使用して、取引の勘定科目コードが従業員労務勘定科目と外注労務勘定科目のどちらであるかが決定されます。したがって、これらのAAI範囲を設定して、従業員労務および外注労務に使用する主科目を指定する必要があります。

  • LAxx

    勘定科目を従業員労務勘定科目として指定します。

  • SLxx

    勘定科目を外注労務勘定科目として指定します。

次の表では、入力する労働カテゴリが有効であるかどうかを判断する方法について説明します。

契約労働カテゴリ(CLCA) 外注労務費を含む(SUBLAB) 主科目
職務タイプ
時間(タイムカード)またはサービス数量(外注)
結果
選択 選択 従業員労務 必須 必須 職務タイプは、契約に対して有効な契約固有労働カテゴリである必要があります。
選択 選択 外注労務 必須 必須 職務タイプは、契約に対して有効な契約固有労働カテゴリである必要があります。
選択 選択 非労務 任意 任意 職務タイプを入力する場合、職務タイプは、契約に対して有効な契約固有労働カテゴリである必要があります。
選択 選択解除 従業員労務 必須 必須 職務タイプは、契約に対して有効な契約固有労働カテゴリである必要があります。
選択 選択解除 外注労務 任意 任意 職務タイプを入力する場合、職務タイプは、契約に対して有効な契約固有労働カテゴリである必要があります。
選択 選択解除 非労務 任意 任意 職務タイプを入力する場合、職務タイプは、契約に対して有効な契約固有労働カテゴリである必要があります。
選択解除 選択 従業員労務 任意 必須 職務タイプを入力する場合、職務タイプはUDCテーブル06/Gで有効である必要があります。
選択解除 選択 外注労務 任意 必須 職務タイプを入力する場合、職務タイプはUDCテーブル06/Gで有効である必要があります。
選択解除 選択 非労務 任意 任意 職務タイプを入力する場合、職務タイプはUDCテーブル06/Gで有効である必要があります。
選択解除 選択 任意の主科目 任意 任意 職務タイプを入力する場合、職務タイプはUDCテーブル06/Gで有効である必要があります。

労働カテゴリに適用する契約マスターのチェックボックスの選択と労働カテゴリのAAIの設定に加えて、JD Edwards EnterpriseOne勤務管理およびJD Edwards EnterpriseOne外注管理アプリケーションに固有の設定タスクも実行する必要があります。

契約固有労働カテゴリを使用したタイムカードの処理」を参照してください。

外注管理の契約固有労働カテゴリの入力」を参照してください。

8.3 労働カテゴリの相互参照について

労働カテゴリを設定した後で、P52G20プログラムを使用してそれらの相互参照も設定します。労働カテゴリの相互参照により、ユーザーがタイム・カードなどの取引を入力するときに割り当てる労働カテゴリを決定する規則のセットを定義できます。ユーザーが労働カテゴリを入力し、その労働カテゴリが正しいかどうかをシステムで検証することも、ユーザーが「契約労働カテゴリ」フィールドをブランクのままにし、適切な労働カテゴリがフィールドに移入されるようにすることもできます。

たとえば、プロジェクト管理者に対して労働カテゴリ55PMを設定し、住所録番号6002を使用して55PMの相互参照を設定する場合は、従業員6002がタイム・カードを入力するときに、タイム・カードに労働カテゴリ55PMが含まれる必要があるかどうかを決定するために相互参照が使用されます。ユーザーが「契約労働カテゴリ」フィールドをブランクのままにした場合は、55PMが移入されます。ユーザーが55PMを別の労働カテゴリに一時変更した場合は、それが検証されて契約に対して有効な労働カテゴリかどうかが判断されます。

ビジネス・ニーズに応じて、相互参照は汎用または固有に設定できます。住所録番号に加えて、次の情報を任意に組み合せて使用して労働カテゴリ相互参照を設定できます。

  • 職階

  • 所属ビジネスユニット

  • 原価プール

  • 主科目の範囲

  • 補助科目の範囲

次の表では、取引に割り当てる適切な労働カテゴリを決定するために使用される階層検索の最初のレベルについて説明します。

検索レベル
作業
資金調達レベル
請求書レベル
契約レベル
1番目 X      
2番目   X    
3番目     X  
4番目       X

前の表の各検索レベル内で、労働カテゴリを特定する場合に、労働カテゴリのより特定的な相互参照が検索されます。次の表では、より特定的な相互参照が存在するかどうかを判断する方法について説明します。

検索レベル
住所番号(AN8) 職階(JBST) 所属ビジネスユニット(HMCU) 原価プール(RP12)
1番目 X X X  
2番目 X X   X
3番目 X   X  
4番目 X     X
5番目 X X    
6番目 X      
7番目   X X  
8番目   X   X
9番目   X    
10番目     X  
11番目       X
12番目        

前の表の各検索レベル内で、労働カテゴリを特定する場合に、労働カテゴリのより特定的な相互参照が検索されます。次の表では、より特定的な相互参照が存在するかどうかを判断する方法について説明します。

検索レベル
主科目(OBJ) 補助科目(SUB)
1番目 X X
2番目 X  
3番目   X
4番目    

労働カテゴリ相互参照は、契約固有労働カテゴリ相互参照テーブル(F52G21)に格納されます。

8.4 契約固有労働カテゴリの入力

この項では、次の方法について説明します。

  • 契約固有労働カテゴリの設定。

  • 労働カテゴリ相互参照の設定。

8.4.1 事前設定

労働カテゴリを設定する前に、次の操作を行います。

  • 請求固定情報プログラム(P48091)でデフォルトの労働カテゴリを設定します。

    JD Edwards EnterpriseOne PGCAのサービス請求固定情報の設定」を参照してください。

  • LAxxおよびSLxx AAIの範囲を設定します。

  • 「契約労働カテゴリ」チェックボックスを選択し、該当する場合は「外注労務費を含む」チェックボックスを選択して、労働カテゴリを使用するように契約を設定します。

    契約レベル契約の追加」を参照してください。

8.4.2 契約固有労働カテゴリの設定に使用するフォーム

フォーム名
フォームID ナビゲーション
用途
Work With Contract Specific Labor Categories W52G20G 「Daily Processing-Project and Government Contract Accounting」(G5215)、「Contract Specific Labor Categories」 契約固有労働カテゴリを検討します。
Labor Category Revisions W52G20C 「Work With Contract Specific Labor Categories」フォームで「追加」をクリックします。 契約固有労働カテゴリの設定。
Contract Specific Labor Categories - Delete Confirmation W52G20D 「Work With Contract Specific Labor Categories」フォームで「削除」をクリックします。 労働カテゴリの削除を確認します。
Global Labor Category View W52G20H 「Work With Contract Specific Labor Categories」フォームで「Global Labor Category View」リンクを選択します。 すべての契約およびビジネスユニットの労働カテゴリを表示します。
Global Labor Categories X-Ref View W52G20I 「Work With Contract Specific Labor Categories」フォームで「Global Labor Categories X-Ref View」リンクを選択します。 すべての契約およびビジネスユニットの労働カテゴリの相互参照を表示します。
Labor Category X-Ref Revisions W52G20B 「Labor Category Revisions」フォームで労働カテゴリを選択し、「Edit X-Ref」をクリックします。 労働カテゴリ相互参照の設定。

注意: 相互参照を作成する前に労働カテゴリを保存する必要があります。


8.4.3 契約固有労働カテゴリの設定

「Labor Category Revisions」フォームにアクセスします。

図 8-1 「Labor Category Revisions」フォーム(1/2)

図 8-1 の説明は次にあります
次の説明: "図 8-1 「Labor Category Revisions」フォーム(1/2)"

図 8-2 「Labor Category Revisions」フォーム(2/2)

図 8-2 の説明は次にあります
次の説明: "図 8-2 「Labor Category Revisions」フォーム(2/2)"

「Contract No.」または「ビジネスユニット」

労働カテゴリが有効になっているレベルに応じて、契約番号またはビジネスユニットを入力します。たとえば、労働カテゴリが、契約に添付されているすべての請求書および資金調達レベルに適用される場合は、契約レベルの契約番号を入力します。労働カテゴリが資金調達レベル内の特定のビジネスユニットにのみ適用される場合は、ビジネスユニット番号を入力します。

Job Type

契約の労働カテゴリを表すコードを入力します。英数字を6文字まで入力できます。

Elig Ovr(適格性一時変更)

適格性コードを指定して、この労働カテゴリの取引の勘定科目および請求行適格性コードを一時変更します。値は次のとおりです。

ブランク: この労働カテゴリの一時変更は存在しません。

0: 労働カテゴリは請求書および収益認識に対して適格です。

1: 労働カテゴリは請求書に対してのみ適格です。

2: 労働カテゴリは収益認識に対してのみ適格です。

3: 労働カテゴリは請求対象外です。

4: 労働カテゴリは原価に対してのみ適格です。

このフィールドに値を入力した場合は、この労働カテゴリの取引の勘定科目および請求行適格性コードが入力したコードで一時変更されます。

勘定科目マスター(F0901)の請求可能(Y/N)フィールドおよび請求固定情報プログラム(P48091)で設定した「仕訳作成の制御」フィールドに基づいて、適格性コードがワークファイル取引に割り当てられます。

これらの値はハードコード化されており、UDCテーブル52/ELに格納されます。

Labor Type

UDCテーブル(52G/LT)から値を選択します。

Fee Calculated

この労働カテゴリに対して入力した取引の手数料を計算する必要があるかどうかを指定します。

労働カテゴリ方式」を参照してください。

LOE Hours(従事レベル時間)

「Fee Calculated」フィールドに「1」を入力した場合は、手数料が計算される最大時間数を指定します。たとえば、「1000」と入力した場合は、労働カテゴリの合計時間数が1000に達するまで、労働カテゴリに対して入力した取引の手数料の計算が継続されます。手数料を計算する場合は、契約のすべての労働カテゴリのLOE時間が使用されます。

労働カテゴリでのLOE方式」を参照してください。

Fee Rate Type

手数料の計算に使用する方式を指定します。値は次のとおりです。

1: 時間当たり金額

2: パーセント

これらの値はハードコード化されており、UDCテーブル52G/FTに格納されます。

Fee Rate

「Fee Rate Type」フィールドで指定した値に応じて、パーセントまたは単位当たりレートを入力します。

8.4.4 労働カテゴリ相互参照の設定

「Labor Category X-Ref Revisions」フォームにアクセスします。

図 8-3 「Labor Category X-Ref Revisions」フォーム

図 8-3 の説明は次にあります
次の説明: "図 8-3 「Labor Category X-Ref Revisions」フォーム"

このフォームのフィールドに値を入力します。各相互参照について、ビジネス・ニーズで必要な数だけフィールドに入力できます。

Job Type

相互参照を作成する労働カテゴリを入力します。

「開始日付」および「終了日付」

相互参照が有効になる日付の範囲を入力します。

住所番号

労働カテゴリに関連付けるコンサルタントまたは外注労務従業員の住所録番号を入力します。

所属ビジネスユニット

相互参照を作成する所属ビジネスユニット番号を入力します。

職階

相互参照を作成する職階を入力します。

Pool Grp Cde(プール・グループ・コード)

相互参照を作成するプール・グループ・コードを入力します。

「Obj From」(開始主科目)および「Obj Thru」(終了主科目)

相互参照を作成する主科目の範囲を入力します。

「Sub From」(開始補助科目)および「Sub Thru」(終了補助科目)

相互参照を作成する補助科目の範囲を入力します。