Oracle WebCenter Sitesを使用したパブリッシュによりコンテンツを管理システムから配信システムにコピーすることによって、オンライン・サイトの訪問者がコンテンツにアクセスできるようになります。コンテンツをあるシステムから別のシステムにコピーすることを、パブリッシュと呼びます。
WebCenter Sitesパブリッシュ・システムでは、ディスクへのエクスポート、サーバーへのミラーリング、およびXMLへのエクスポートの3つのパブリッシュ方法をサポートしています。また、パブリッシュするコンテンツを決定する承認システム、パブリケーション時刻を設定できるスケジュール機能、およびサイト固有のパブリッシュの宛先の構成ユーティリティを提供します。
この章では、パブリッシュ・システムおよび承認システムについて説明します。この章は、次の項で構成されています。
注意: WebCenter Sites 11gリリース1 (11.1.1.8.0)では、ミラー・パブリッシュ機能は非推奨になっています。この機能は、リアルタイム・パブリッシュに置き換えられました。 |
アセットをパブリッシュするためには、管理者またはWebCenter Sitesのどちらかが、次の情報を決定する必要があります。
WebCenter Sitesが使用する必要があるパブリッシュ方法(ディスクへのエクスポート、サーバーへのミラーリング、またはXMLへのエクスポートのいずれか)。
管理者は、パブリッシュの宛先を構成する際に、宛先に対するパブリッシュ方法を指定します。詳細は、第12.2項「パブリッシュ方法」を参照してください。
特定のセッション中にWebCenter Sitesがパブリッシュする必要があるパブリッシュの宛先。
管理者は、システムに対してパブリッシュの宛先を構成します。詳細は、第12.3項「パブリッシュの宛先」を参照してください。
現在の宛先にパブリッシュすることが承認済でその準備ができているアセット。この情報は、承認システムが決定します。
コンテンツ・プロバイダは、パブリケーションの準備ができていると見なしたアセットに、特定のパブリッシュの宛先に対して承認済というマークを付けます。承認システムは、承認済ラベルを検証して、アセットのパブリッシュによってライブ・サイトに機能しないリンクが作成される可能性があるかどうかを判断します。その可能性がある場合、そのアセットの他のアセットに対する依存性が、ユーザーがそれらのアセットを承認することによって解決されるまで、そのアセットのパブリッシュ・セッションも保留されます。承認済アセットがどのアセットに対しても依存性を持たないか、またはその依存性が十分な場合、承認システムはそのアセットをパブリッシュ・システムにリリースします。
承認システムのプロセスは複雑で、パブリッシュ方法ごとに異なります。承認システムの機能の詳細は、第13章「承認システム」および第14章「ディスクへのエクスポートのパブリッシュの様々なトピックおよび承認プロセス」を参照してください。
アセットをパブリッシュする必要がある日時。
管理者は、パブリッシュ・スケジュールを設定します。パブリッシュ・プロセスは、一定間隔で実行されるようにスケジュールされたバッチ・プロセスとして実行されます。必要に応じて、スケジュールを無視して、オンデマンドでパブリッシュすることもできます。パブリッシュ・スケジュールの詳細は、第12.5項「パブリッシュ・スケジュール」を参照してください。
パブリッシュ・セッション中は、セッション情報がログ・ファイルに記録されます。「パブリッシュ・コンソール」を使用してセッションを監視することによって、現在実行中のパブリッシュ・セッションのパブリッシュ履歴およびステータスの両方を特定できます。また、パブリッシュ・プロセスはバックグラウンドで実行されるので、ブラウザではその他の管理タスクを済ませることができます。パブリッシュ・セッション中に発生するイベントの詳細は、第12.6項「パブリッシュ・セッションで行われる処理」を参照してください。パブリッシュ情報の取得方法の詳細は、第12.7項「パブリッシュ・セッションに関する情報の取得」を参照してください。
この項では、WebCenter Sitesがサポートするパブリッシュ方法について説明します。図12-1、図12-2および図12-3にパブリッシュ方法をまとめます。
ディスクへのエクスポートのパブリッシュの場合、Webサーバーが配信システムになります。このタイプのシステムへのパブリッシュは、次のように行われます。
CMシステム・データベース内の承認済アセットは、テンプレートを使用して、HTMLファイルとしてレンダリングされます。レンダリングされたファイルはファイル・システムに保存された後、FTPなどの転送プロトコルを使用して管理者によりWebサーバーにパブリッシュされます。
このHTMLファイルは、サイト訪問者がパブリッシュされたコンテンツをリクエストすると、ページとしてブラウザに表示されます。
サーバーへのミラーリングのパブリッシュの場合、WebCenter Sitesシステムが配信システムになります。このタイプのシステムへのパブリッシュは、次のように行われます。
承認済アセットとそれらのデータベース表が、CMシステム・データベースから配信システム・データベースにミラーリングされます。パブリッシュ・セッションの間中、パブリッシュ・システムは配信システム上のCacheManagerと通信し、連携して動作します。CacheManagerは、システムのページ・キャッシュを管理するWebCenter Sitesサーブレットです。CacheManagerによって、ミラーリングされるアセットを参照するページレットまたはページがキャッシュされることが保証されます。パブリッシュ・セッションが終了すると、CacheManagerはそれらのページを再生成して更新されたコンテンツを表示し、新しいページおよびページレットをキャッシュします。
パブリッシュされたコンテンツがサイト訪問者からリクエストされると、すぐにこれが提供されます。コンテンツは、テンプレートにより配信システムのデータベースから取得され、ブラウザに提供されて、最終的にページとしてレンダリングされます。
XMLへのアセットのエクスポートの場合、データベース、またはWebCenter Sites以外のアプリケーションを実行する外部システムが、配信システムになります。パブリッシュ方法は、XMLファイルを出力するデータ変換方法です。このパブリッシュ方法では、Webサーバーで表示可能なページを作成するのではなく、エクスポートAPIを使用して、承認済アセットごとにXMLファイルを1つ作成します。
パブリッシュされたコンテンツがサイト訪問者からリクエストされると、すぐにこれが提供されます。コンテンツは、テンプレートにより配信システムのデータベースから取得され、ブラウザに提供されて、最終的にページとしてレンダリングされます。
各パブリッシュ方法の詳細は、次の各章を参照してください。
パブリッシュの宛先は、コンテンツのミラーリング先のWebCenter Sitesデータベースか、またはエクスポート先ディレクトリのどちらかです。パブリッシュの宛先は、次のパラメータを定義する名前付きオブジェクトとして表されます。
パブリッシュ方法(ディスクへのエクスポート、サーバーへのミラーリング、またはXMLへのアセットのエクスポート)
場所
ディスクへのエクスポートのパブリッシュおよびXMLへのアセットのエクスポートの場合、パブリッシュ・システムは承認済アセットをHTMLファイルまたはXMLファイルに変換します。場所は、ファイルが保存されるルート・ディレクトリです。このディレクトリは、futuretense.ini
ファイルのcs.pgexportfolder
プロパティで設定します。
サーバーへのミラーリングのパブリッシュの場合、宛先は、コンテンツの配信元として想定されるサーバーのURL形式によるサーバー名(ポート番号を含む)です。(このサーバー名は「宛先」フォームの「宛先アドレス」フィールドに設定します。)
宛先に対してパブリッシュ可能なアセットが存在するCMサイトの名前。
どのパブリッシュ方法でも、複数のパブリッシュの宛先をSitesシステムに構成できます。開発者によるオンライン・サイトの設計方法によっては、静的コンテンツ(HTMLファイル、ディスクへのエクスポートを使用)および動的コンテンツ(サーバーへのミラーリングまたはXMLへのエクスポートのパブリッシュ方法を使用してすぐに生成されるページ)を両方ともパブリッシュする必要がある場合があります。このような二重の実装を行う場合は、開発者に相談して、パブリッシュの宛先を構成する方法を決定してください。
このドキュメントでは、パブリッシュの宛先および構成について説明する際、次の用語を使用します。
ソース。パブリッシュ・セッションでソースとして機能するWebCenter Sitesデータベース。任意のSitesシステム間でアセットをミラーリングできるので、ソースは必ずしもコンテンツ管理システムではありません。
宛先。ミラーリング先のWebCenter Sitesデータベースか、またはエクスポート先ディレクトリのどちらかです。
パブリッシュの宛先の作成の詳細は、第15.4.3項「エクスポート先の構成」および第16.3.5項「ミラーリング先の作成」を参照してください。
特定の宛先へのパブリケーションに対してアセットが承認されると、WebCenter Sitesは承認システムを起動して、各アセットのパブリッシュの準備ができていることを確認します。承認システムは、機能しないリンクや古いコンテンツが発生しないようにオンライン・サイトを保護するパブリケーション前プロセスを実行します。このプロセスでは、次の質問に対する回答を決定します。
パブリッシュの準備ができているのはどのアセットか。すなわち、ユーザーが承認済とマークを付けたアセットはどれか。
承認済アセットに依存性があるか。すなわち、承認済アセットに他のアセットが付属する必要があるか。または、サイトのリンクがすべて正常に機能することを保証するために、宛先に他のアセットが存在する必要があるか。
たとえば、イメージ・ファイルを参照する記事アセットが存在するサイトが設定されているとします。非承認のイメージ・ファイルが関連付けられている承認済の記事は、イメージ・ファイルも承認されるまで、パブリッシュできません。
承認システムは、これらの質問に対する回答に応じて、パブリッシュ・システムに次回のパブリッシュ・セッションで承認済アセットをパブリッシュすることを許可するか、または依存性テストに不合格のアセットのパブリケーションを保留します。
注意: ディスクへのエクスポートのパブリッシュでは、テンプレートを選択することによって、アセットに承認システムをバイパスさせることができます。ディスクへのエクスポートのパブリッシュにおける承認システムの詳細は、第14章「ディスクへのエクスポートのパブリッシュの様々なトピックおよび承認プロセス」を参照してください。 通常は、ワークフロー・プロセスに承認手順を組み込みます。ワークフローの詳細は、第10章「ワークフロー・プロセスの作成と管理」を参照してください。 アセットの承認方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware WebCenter Sites開発者ガイド』を参照してください。 |
承認システムの機能の詳細は、第13章「承認システム」および第14章「ディスクへのエクスポートのパブリッシュの様々なトピックおよび承認プロセス」を参照してください。
パブリッシュ・セッションは(パブリッシュ方法に関係なく)、パブリッシュ・イベントと呼ばれるバックグラウンドのバッチ・プロセスとして実行されます。管理者は、パブリッシュ・イベントのスケジュールを構成します。
パブリッシュ・イベントは、毎日、毎週、毎時、15分間隔、またはこれらの間隔を様々に組み合せてスケジュールできます。複数のパブリッシュ・セッションをスケジュールする場合は、次のような様々なルールを考慮してください。
特定の宛先に対するパブリッシュは、逐次実行する必要があります。
各パブリッシュ・セッションはバックグラウンド・イベントなので、特定の宛先では同時に1つのパブリッシュ・セッションのみサポートできます。特定の宛先で次のイベントがスケジュールされている時間に、その宛先に対してまだパブリッシュが実行中の場合は、スケジュールされているイベントは実行しようとして失敗し、その宛先に対して実行中のパブリッシュ・セッションが存在することを報告します。
同様に、複数のソースを同一の宛先に同時にパブリッシュするように構成しないでください。そのような構成は、パブリッシュ・エラーおよびデータ整合性に関する問題の原因になります。
宛先システムが別の宛先へのパブリッシュを実行する可能性がある時間に、その宛先へのパブリッシュ・セッションをスケジュールしないでください。
たとえば、開発システムから管理システムにパブリッシュし、管理システムから配信システムにパブリッシュするとします。この場合、管理システムから配信システムにパブリッシュしている間に、開発システムから管理システムへのパブリッシュ・セッションをスケジュールしないでください。
複数の宛先に対するパブリッシュは、同時に実行できます。複数の宛先に対してイベントを設定してすべて同じ時刻を選択することによって、複数の宛先に同時にパブリッシュできます。
パブリッシュ・イベントではデータベース・トランザクションを完了するので、パブリッシュ機能にユーザー・アカウントを指定する必要があります。このユーザーはバッチ・ユーザーと呼ばれ、futuretense_xcel.ini
ファイルのxcelerate.batchuser
プロパティおよびxcelerate.batchpass
プロパティを使用して、Sitesシステムのバッチ・ユーザー・アカウントを指定します。
パブリッシュ・システムが承認済アセットのパブリッシュを開始すると、WebCenter Sitesは次の処理を実行します。
PubSession
表に行を追加してパブリッシュ・セッションを作成し、PubSession IDという一意なIDをセッションに割り当てます。
問合せを実行して、パブリッシュ・セッションの宛先にパブリッシュされることが承認済で準備ができているすべてのアセットを収集します。
問合せによって返されたアセットをロックし、それらのアセットについてCacheManagerに通知して、パブリッシュ・セッションの実行中は編集できないようにします。
パブリッシュ方法に適したエレメントを起動し、パブリッシュする必要があるアセットのリストを渡します。
リストのアセットは、使用するパブリッシュ方法に応じて、ファイルにレンダリングされるか、または宛先データベースにミラーリングされます。ディスクへのエクスポート、サーバーへのミラーリングおよびXMLへのアセットのエクスポートの各パブリッシュ方法で承認済アセットのリストに対して行われる処理の詳細は、次の章を参照してください。
パブリッシュ・セッションが終了すると、パブリッシュ・システムはどのアセットがパブリッシュされたかを承認システムに通知し、次にそれがページ・キャッシュを更新します。
WebCenter Sitesは、各パブリッシュ・セッションに関する情報をログ・ファイルおよびWebCenter Sitesデータベースの様々な表に書き込みます。この情報の大半は、セッションのパブリッシュ履歴として「パブリッシュ・コンソール」に表示されます。「パブリッシュ・コンソール」を表示するには、メイン・ウィンドウの一番上のボタン・バーにある「パブリッシュ」ボタンをクリックします。第18.16項「トラブルシューティング」も参照してください。
注意: 「パブリッシュ・コンソール」を表示するには、 |