JumpStart プロファイルでは cluster および package キーワードを使用してソフトウェアをシステムにインストールします。cluster キーワードは AI ではサポートされません。IPS では、incorporation パッケージまたはグループパッケージをインストールするための構文は、その他のパッケージをインストールするための構文と同じなので、JumpStart プロファイルの cluster を package に変更するだけで、js2ai コマンドは、AI マニフェスト内に正しいパッケージインストール指定を作成します。
IPS パッケージ名は SVR4 パッケージ名と異なります。たとえば、SVR4 パッケージ SUNWpampkcs11 の名前は IPS では library/security/pam/module/pam-pkcs11 に変更されます。
SVR4 パッケージ名が IPS 内に存在する場合は、SVR4 名を使用して IPS パッケージをインストールできます。たとえば、AI マニフェストで SUNWpampkcs11 パッケージのインストールが指定された場合、library/security/pam/module/pam-pkcs11 パッケージが自動的にインストールされます。この場合、パッケージの名前が変更されます。
SVR4 パッケージ名が IPS 内に存在しない場合は、パッケージ名を変更するか、その指定を AI マニフェストから削除する必要があります。たとえば、SUNWCall および SUNWCuser パッケージは IPS 内で名前変更されません。AI マニフェストでこれらのパッケージが指定された場合、インストールは失敗します。
AI マニフェスト内で特定のパッケージ名が使用できるかどうかを判断するには、Oracle Solaris 11 システムで pkg list コマンドを使用します。AI マニフェスト内で指定された IPS パッケージリポジトリ起点からのパッケージを一覧表示するための –g オプションを必ず使用してください。
js2ai コマンドは、JumpStart プロファイルファイルからの指定を含む新規 AI マニフェストを構築するための基礎として、/usr/share/auto_install/manifest/default.xml AI マニフェストを使用します。このデフォルト AI マニフェストは、基本オペレーティングシステムをインストールする 2 つのパッケージ (entire および solaris-large-server) のインストールを指定します。これら 2 つのパッケージのほかは、おそらく追加のツールおよびアプリケーションのインストールを指定するだけで済みます。
使用例 2-1 パッケージ名が使用できるかどうかの確認この例では、AI マニフェストは http://pkg.oracle.com/solaris/release リポジトリ起点を指定します。
$ pkg list -af -g http://pkg.oracle.com/solaris/release SUNWCall SUNWCuser pkg list: no packages matching 'SUNWCuser, SUNWCall' known
このメッセージは、これら 2 つのパッケージがこの AI マニフェスト内で使用できないことを示しています。
使用例 2-2 名前が変更されたパッケージの操作pkg list コマンドを使用して、名前が変更されたパッケージを特定することもできます。
$ pkg list -af -g http://pkg.oracle.com/solaris/release SUNWpampkcs11 NAME (PUBLISHER) VERSION IFO SUNWpampkcs11 0.6.0-0.133 --r
最後の列の「r」は、このパッケージの名前が変更されていることを示します。この名前を AI マニフェスト内で使用できますが、pkg info コマンドを使用してパッケージの新しい名前を決定した方がよい場合もあります。
次の出力の「Renamed to」行を参照してください。SUNWpampkcs11 パッケージの名前は library/security/pam/module/pam-pkcs11 に変更されています。今後の Oracle Solaris 更新との互換性を高めるために、AI マニフェスト内で library/security/pam/module/pam-pkcs11 を指定した方がよい場合もあります。
$ pkg info -r SUNWpampkcs11 Name: SUNWpampkcs11 Summary: State: Not installed (Renamed) Renamed to: library/security/pam/module/pam-pkcs11@0.6.0-0.133 consolidation/sfw/sfw-incorporation Publisher: solaris Version: 0.6.0 Build Release: 5.11 Branch: 0.133 Packaging Date: Wed Oct 27 18:50:11 2010 Size: 0.00 B FMRI: pkg://solaris/SUNWpampkcs11@0.6.0,5.11-0.133:20101027T185011Z $ pkg info -r pam-pkcs11 Name: library/security/pam/module/pam-pkcs11 Summary: The OpenSC PKCS#11 PAM Login Tools Category: System/Security State: Not installed Publisher: solaris Version: 0.6.0 Build Release: 5.11 Branch: 0.175.2.0.0.27.0 Packaging Date: Mon Nov 11 17:47:35 2013 Size: 1.74 MB FMRI: pkg://solaris/library/security/pam/module/pam-pkcs11@0...使用例 2-3 廃止されたパッケージの操作
AI マニフェスト内で SUNWmysql を database/mysql-51 に置換した方がよい場合もあります。
$ pkg list -af -g http://pkg.oracle.com/solaris/release SUNWmysql NAME (PUBLISHER) VERSION IFO SUNWmysql 4.0.24-0.142 --o
最後の列の「o」は、このパッケージが廃止されていることを示します。このパッケージ名は AI マニフェスト内で使用できません。pkg list コマンドにワイルドカードを指定して使用するか、pkg search コマンドを使用して、使用可能な別の名前でパッケージが使用できるかどうかを判断します。
$ pkg list -af SUNWmysql* NAME (PUBLISHER) VERSION IFO SUNWmysql 4.0.24-0.142 --o SUNWmysql-base 0.5.11-0.133 --r SUNWmysql-python 0.5.11-0.162 --o SUNWmysql-python26 0.5.11-0.133 --r SUNWmysql5 5.0.86-0.171 --o SUNWmysql5 5.0.86-0.133 --r SUNWmysql51 5.1.37-0.133 --r SUNWmysql51lib 5.1.37-0.133 --r SUNWmysql51test 5.1.37-0.133 --r SUNWmysql5jdbc 5.1.5-0.171 --o SUNWmysql5jdbc 5.1.5-0.133 --r SUNWmysql5test 5.0.86-0.171 --o SUNWmysql5test 5.0.86-0.133 --r SUNWmysqlt 4.0.24-0.142 --o $ pkg info -r SUNWmysql51 Name: SUNWmysql51 Summary: State: Not installed (Renamed) Renamed to: database/mysql-51@5.1.37-0.133 consolidation/sfw/sfw-incorporation Publisher: solaris Version: 5.1.37 Build Release: 5.11 Branch: 0.133 Packaging Date: Wed Oct 27 18:49:18 2010 Size: 0.00 B FMRI: pkg://solaris/SUNWmysql51@5.1.37,5.11-0.133:20101027T184918Z
AI マニフェスト内で SUNWmysql を database/mysql-51 に置換した方がよい場合もあります。