Oracle® Solaris 10 JumpStart から Oracle Solaris 11.2 自動インストーラへの移行

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更新: 2014 年 7 月
 
 

プロファイルのキーワードと AI マニフェストの指令の比較

次の表では、JumpStart プロファイルのキーワードと AI マニフェストの指令を比較します。AI は、XML マニフェストファイルを使用してクライアントインストールを定義します。AI マニフェストについては、Oracle Solaris 11.2 システムのインストール の第 10 章クライアントシステムのプロビジョニングおよび ai_manifest(4)のマニュアルページを参照してください。

any で指定されるデバイスなど、クライアントのインストールプロセスが開始するまで不明な値を指定する場合、派生したマニフェストスクリプトの使用を検討してください。派生したマニフェストスクリプトを使用して、たとえばディスクサイズに基づいてスワップサイズを指定したり、使用可能なディスクに基づいてミラー化を指定したりすることができます。派生したマニフェストスクリプトについては、Oracle Solaris 11.2 システムのインストール のクライアントインストール時の AI マニフェストの作成を参照してください。

表 2-2  JumpStart プロファイルファイルのキーワードと AI マニフェストの指令の比較
JumpStart プロファイルファイルのキーワード
AI マニフェストの指令
archive_location
サポートされていません。AI はフラッシュアーカイブからインストールしません。
backup_media
サポートされていません。backup_media キーワードは install_typeupgrade オプションと一緒にのみ使用します。 AI はアップグレードインストールタイプをサポートせず、初期インストールのみサポートします。
boot_device device
例:
boot_device c1t0d0
例:
<target>
  <disk whole_disk="true">
    <disk_name name="c1t0d0" name_type="ctd"/>
  </disk>
  <logical nodump="true" noswap="false"/>
</target>
boot_device device eeprom
例:
boot_device c0t0d0s0 update
eeprom キーワードの値 (SPARC システムの場合は update、x86 システムの場合は preserve) は、AI ではサポートされていません。AI では、SPARC システムの EEPROM は、インストールしたシステムが指定したターゲットデバイスから自動的にブートするように、常にそのデバイスに更新されます。x86 システムでは、ファームウェアは更新されません。
bootenv
サポートされていません。AI はブート環境を作成し、Oracle Solaris 11 OS をそのブート環境にインストールします。
client_arch
サポートされていません。インストールされるクライアントアーキテクチャーは AI マニフェストでなく AI インストールサービスによって定義されます。
client_root
サポートされていません。ターゲットディスクの種類、ベンダー、およびサイズを指定できます。ターゲットディスクのルート領域の量は指定できません。ai_manifest(4) のマニュアルページを参照してください。
client_swap
サポートされていません。デフォルトでは、AI はルートプールにスワップボリュームを作成します。スワップスライスを指定できます。ai_manifest(4) のマニュアルページを参照してください。
cluster cluster-name
サポートされていません。cluster および package 指定の扱い方については、ソフトウェアパッケージの変換を参照してください。
Oracle Solaris 11 OS は、pkg(5)のマニュアルページに定義されているグループパッケージを使用します。グループパッケージは、マニフェストでほかのパッケージを指定するようにして指定します。デフォルトの AI マニフェストには、標準の Oracle Solaris 11 インストールに必要なパッケージが含まれています。このパッケージリストはカスタマイズ可能です。
cluster cluster-name delete
サポートされていません。delete スイッチは、install_typeupgrade オプションと一緒にのみ使用します。AI はアップグレードインストールタイプをサポートせず、初期インストールのみサポートします。
dontuse
サポートされていません。
fdisk disk-name type size
例:
fdisk c0t3d0 solaris all
例:
<target>
  <disk>
    <disk_name name="c0t3d0" name_type="ctd"/>
    <partition action="create" name="1" part_type="191"/>
  </disk>
  <logical nodump="true" noswap="false"/>
</target>
AI でサポートされているディスクおよびパーティション属性の完全な一覧については、ai_manifest(4)のマニュアルページを参照してください。
js2ai による変換:
js2ai 変換の場合、disk_name の値はデバイスにする必要があります。all のデバイスはサポートされていません。fdisk タイプsolaris にする必要があります。サイズ 0 または delete はサポートされていません。パーティション分割が default で、rootdisk が設定されていない場合、js2ai は最初に見つかった fdisk solaris パーティションをルートディスクとして設定します。
filesys
UFS ファイルシステムはサポートされません。AI は ZFS ファイルシステムをインストールします。
js2ai による変換:
  • ルートに使用するデバイスを決定するための方法が他にない場合、filesys の行で / のマウントポイントが付いたデバイスがルートプールとして使用されます。

  • 指定されたマウントポイントが / または swap の場合は、ローカルおよびミラー化されたファイルシステムがサポートされます。

  • マウントポイントが / または swap でない場合、行はログに記録されて無視されます。JumpStart fsoptions はサポートされません。

  • サイズの検証は実行されません。このマニフェストを使用して正しくインストールを行うには、生成された AI マニフェスト内で指定されるサイズを調整することが必要な場合があります。

例:
filesys c1t0d0s0 10000 /
次の AI マニフェストの一部は x86 プラットフォーム用のものです。
<target>
  <disk>
    <disk_name name="c1t0d0" name_type="ctd"/>
    <partition action="create" name="1" part_type="191">
      <slice action="create" force="true"
       in_vdev="rpool_vdev" in_zpool="rpool" name="0">
        <size val="10000mb"/>
      </slice>
    </partition>
  </disk>
  <logical nodump="true" noswap="false">
    <zpool is_root="true" name="rpool">
      <vdev name="rpool_vdev" redundancy="none"/>
    </zpool>
  </logical>
</target>
js2ai による変換:
js2ai コマンドでは、ルートファイルシステム (/) および swap の変換のみサポートします。
例:
filesys mirror:rpool c6t0d0s0 c6t1d0s0 60048 /
次の AI マニフェストの一部は x86 プラットフォーム用のものです。SPARC プラットフォームの場合、partition 要素は指定されません。
<target>
  <disk>
    <disk_name name="c6t1d0" name_type="ctd"/>
    <partition action="create" name="1" part_type="191">
      <slice action="create" force="true"
       in_vdev="rpool_vdev" in_zpool="rpool" name="0">
        <size val="60048mb"/>
      </slice>
    </partition>
  </disk>
  <disk>
    <disk_name name="c6t0d0" name_type="ctd"/>
    <partition action="create" name="1" part_type="191">
      <slice action="create" force="true"
       in_vdev="rpool_vdev" in_zpool="rpool" name="0">
        <size val="60048mb"/>
      </slice>
    </partition>
  </disk>
  <logical nodump="true" noswap="false">
    <zpool is_root="true" name="rpool">
      <vdev name="rpool_vdev" redundancy="mirror"/>
    </zpool>
  </logical>
</target>
filesys server:path
サポートされていません。AI はリモートファイルシステムをサポートしません。
forced_deployment
サポートされていません。AI はフラッシュアーカイブからインストールしません。
geo
サポートされていません。AI では、言語サポート用の地理的地域はシステム構成プロファイルで指定されます。Oracle Solaris 11.2 システムのインストール の第 11 章クライアントシステムの構成を参照してください。
install_type
AI は initial_install のみサポートします。
layout_constraint
サポートされていません。AI は initial_install のみサポートします。
local_customization
サポートされていません。AI はフラッシュアーカイブからインストールしません。
locale
サポートされていません。AI では、ロケールサポートはシステム構成プロファイルで指定されます。Oracle Solaris 11.2 システムのインストール の第 11 章クライアントシステムの構成を参照してください。
metadb
サポートされていません。
no_content_check
サポートされていません。AI はフラッシュアーカイブからインストールしません。
no_master_check
サポートされていません。AI はフラッシュアーカイブからインストールしません。
num_clients
サポートされていません。
package package
例:
package SUNWpampkcs11 add
例:
<software type="IPS">
  <software_data action="install">
    <name>pkg:/SUNWpampkcs11</name>
  </software_data>
</software>
パッケージ名が有効であることを確認する方法については、ソフトウェアパッケージの変換を参照してください。
package package add nfs server:path
AI マニフェストでは、すべてのソフトウェアは IPS (Image Packaging System) パッケージリポジトリから取得されます。IPS リポジトリの場所は HTTP またはファイルとすることができます。ソフトウェアソースとして複数の IPS リポジトリを指定できます。パブリッシャーの指定方法については、ai_manifest(4) のマニュアルページを参照してください。
js2ai による変換:
js2ai コマンドは retrieval-type location 引数を無視します。
package package delete
例:
<software type="IPS">
  <software_data action="uninstall">
    <name>pkg:/SUNWpampkcs11</name>
  </software_data>
</software>
AI は初期インストールのみサポートするため、パッケージを削除するために AI マニフェストを使用する必要はありません。
partitioning default
partitioning explicit
ターゲットのインストールデバイスを指定しない場合、AI はデフォルトのインストールデバイスとデフォルトのパーティション分割を決定します。カスタムのパーティション分割を指定するには、ai_manifest(4) のマニュアルページを参照してください。
js2ai による変換:
js2ai では、パーティション分割は default または explicit とする必要があります。explicit の場合、swap および / のみがサポートされます
partitioning existing
サポートされていません。js2ai では、パーティション分割は default または explicit とする必要があります。
patch
サポートされていません。AI は initial_install のみサポートします。
システムまたは特定のパッケージを更新するには、インストールされたシステム上で pkg update コマンドを使用します。
pool newpool auto auto auto device
例:
<target>
  <disk>
    <disk_name name="c1t0d0" name_type="ctd"/>
    <partition action="create" name="1" part_type="191">
      <slice action="create" force="true"
       in_vdev="rpool_vdev" in_zpool="newpool" name="0"/>
    </partition>
  </disk>
  <logical nodump="false" noswap="false">
    <zpool is_root="true" name="newpool">
      <vdev name="rpool_vdev" redundancy="none"/>
    </zpool>
  </logical>
</target>
js2ai による変換:
プロファイル内でプールが指定された場合、js2ai は指定されたデバイスを使用して ZFS ルートプールを作成します。ZFS ルートプールに使用するデバイスを js2ai が決定する際、pool キーワードが他のすべてのキーワードに優先されます。
js2ai コマンドは、プールサイズ、スワップサイズ、またはダンプサイズの検証を一切実行しません。このマニフェストを使用したインストールに成功するには、生成された AI マニフェスト内のサイズを調整することが必要な場合があります。
pool newpool auto auto auto any
js2ai で、物理デバイス名の代わりに any を指定する場合、any パラメータを含む指定よりも前にデバイス情報を提供しておく必要があります。たとえば、この pool 指定の前に root_device または usedisk 指定を行うことができます。例については、Example 2–6を参照してください。
root_device c1t0d0s0
例:
<target>
  <disk>
    <disk_name name="c1t0d0" name_type="ctd"/>
    <partition action="create" name="1" part_type="191">
      <slice action="create" force="true"
       in_vdev="rpool_vdev" in_zpool="rpool" name="0"/>
    </partition>
  </disk>
  <logical nodump="true" noswap="false">
    <zpool is_root="true" name="rpool">
      <vdev name="rpool_vdev" redundancy="none"/>
    </zpool>
  </logical>
</target>
js2ai による変換:
root_device が指定された場合、js2ai は指定されたデバイスに rootdisk を設定します。
system_type
AI マニフェストはシステムタイプを区別しません。
js2ai による変換:
standalone のみがサポートされています。
usedisk
js2ai による変換:
js2ai コマンドは後続の any または rootdisk 指定を解決するために、指定された 1 つ以上のデバイスを使用する場合があります。指定されたがこの目的で使用されないデバイスは、ZFS ルートプールがミラー化されていない場合、js2ai によってこのプールに追加されます。