Oracle® Solaris 11.2 でのネットワークファイルシステムの管理

印刷ビューの終了

更新: 2014 年 7 月
 
 

RDMA 経由の NFS

Oracle Solaris 11.1 リリース以降、NFS のデフォルトトランスポートは Remote Direct Memory Access (RDMA) プロトコルです。このプロトコルは、高速ネットワークを介したメモリー間データ転送を提供します。特に、RDMA により、CPU の介入なしでメモリーにリモートデータ転送を直接行えます。RDMA は直接データ配置も提供しており、これによってデータコピーがなくなり、さらに CPU 介入がなくなります。このように、RDMA はホストの CPU を解放するだけでなく、ホストメモリーと入出力バスの競合を少なくします。この機能を提供するために、RDMA は、InfiniBand のインターコネクト入出力テクノロジ (SPARC および x86 プラットフォームの両方で使用可能) と Oracle Solaris オペレーティングシステムを結合します。次の図は、UDP や TCP など、その他のプロトコルとの RDMA の関係を示します。

図 2-1  その他のプロトコルとの RDMA の関係

image:この図は、RDMA とほかのプロトコルとの関係を示しています。

RDMA は NFS のデフォルトのトランスポートプロトコルなので、クライアントまたはサーバーで RDMA を使用するために特別な share オプションや mount オプションは必要ありません。既存のオートマウンタマップ、vfstab とファイルシステム共有は、RDMA トランスポートで機能します。クライアントとサーバーの間に InfiniBand 接続が存在するときは、RDMA トランスポート経由の NFS マウントが透過的に実行されます。InfiniBand 接続機能は SPARC と x86 の両方のプラットフォームで動作します。RDMA トランスポートをクライアントとサーバーで使用できない場合、TCP トランスポートが初期フォールバックになります。TCP が使用できない場合は UDP がフォールバックになります。ただし、–proto=rdma マウントオプションを使用する場合、NFS マウントは RDMA だけを使用するように強制されます。

TCP と UDP のみを使用するように指定するときは、–proto=tcp/udp mount オプションを使用できます。このオプションは、NFS クライアントの RDMA を無効にします。NFS マウントオプションの詳細は、mount_nfs(1M) および mount(1M) のマニュアルページを参照してください。


注 -  InfiniBand の RDMA は、IP アドレス指定形式および IP ルックアップインフラストラクチャーを使用して、ピアを指定します。ただし、RDMA は、独立したプロトコルスタックであるため、すべての IP のセマンティクスを完全には実装しません。たとえば、RDMA はピアと通信するための IP アドレス指定を使用しません。したがって、RDMA は、IP アドレスに基づいたさまざまなセキュリティーポリシーの構成を省略することがあります。ただし、mount 制限や Secure RPC などの NFS と RPC の管理ポリシーは省略されません。