Oracle® VM Server for SPARC 3.2 リリースノート

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更新: 2015 年 5 月
 
 

一般的な問題

このセクションでは、Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアの今回のリリースに関する一般的な既知の問題のうち、特定のバグ番号でカバーされないものについて説明します。回避方法がある場合は、一緒に記載しています。

1 つのネットワークアダプタに複数の仮想スイッチが割り当てられている場合に Oracle VM Server for SPARC 3.2 の ldmd デーモンが起動しない

Oracle VM Server for SPARC 3.0 ソフトウェアでは、1 つのネットワークアダプタに複数の仮想スイッチを割り当てる機能を不注意に公開しました。この機能は、Oracle VM Manager ソフトウェアが特定の方法で使用するためだけのものです。

Oracle VM Server for SPARC 3.1 ソフトウェアでは元の動作に戻しました。これにより、1 つのネットワークアダプタに複数の仮想スイッチを割り当てることはできません。ただし、1 つのネットワークアダプタに複数の仮想スイッチを割り当てるように Oracle VM Server for SPARC 3.0 システムを構成していた場合は、Oracle VM Server for SPARC 3.2 にアップグレードすると、ldmd デーモンは起動しません。

回避方法: 次の手順を実行します。

  1. 使用している Oracle VM Server for SPARC 3.2 システムでこの機能を一時的に再度有効にして、ldmd デーモンが起動できるようにします。

    # svccfg -s ldoms/ldmd setprop ldmd/ovm_manager=true
    # svcadm refresh ldmd
    # svcadm disable ldmd
    # svcadm enable ldmd
  2. 1 つのネットワークデバイスに仮想スイッチを 1 つだけ割り当てるように構成を更新します。

  3. 使用している Oracle VM Server for SPARC 3.2 システムでこの機能を無効にします。

    # svccfg -s ldoms/ldmd setprop ldmd/ovm_manager=false
    # svcadm refresh ldmd
    # svcadm disable ldmd
    # svcadm enable ldmd

    ovm_manager プロパティーは Oracle VM Server for SPARC の将来のリリースでほかの副作用を引き起こす可能性があるため、そのプロパティーを false に設定することが重要です。

特定の条件で、ゲストドメインの Solaris Volume Manager 構成またはメタデバイスが失われることがある

サービスドメインが Oracle Solaris 10 1/13 OS より前のバージョンの Oracle Solaris 10 OS で動作しており、ゲストドメインに仮想ディスクとして物理ディスクスライスをエクスポートしている場合、このゲストドメインではその仮想ディスクが不適切なデバイス ID で表示されます。その後、このサービスドメインを Oracle Solaris 10 1/13 OS にアップグレードすると、このゲストドメインでは、仮想ディスクとしてエクスポートされた物理ディスクスライスはデバイス ID がない状態で表示されます。

仮想ディスクのデバイス ID を削除すると、仮想ディスクのデバイス ID を参照しようとするアプリケーションで問題が発生する可能性があります。特に、Solaris Volume Manager はその構成を検索したり、そのメタデバイスにアクセスしたりできなくなる可能性があります。

回避方法: サービスドメインを Oracle Solaris 10 1/13 OS にアップグレードしたあとで、ゲストドメインがその Solaris Volume Manager 構成またはメタデバイスを検出できない場合は、次の手順を実行します。

ゲストドメインの Solaris Volume Manager 構成またはメタデバイスの検索方法

  1. ゲストドメインをブートします。
  2. 次の行を /kernel/drv/md.conf ファイルに追加することによって、Solaris Volume Manager の devid 機能を無効にします。
    md_devid_destroy=1;
    md_keep_repl_state=1;
  3. ゲストドメインをリブートします。

    ドメインがブートされたあと、Solaris Volume Manager 構成とメタデバイスを検出できるようになります。

  4. Solaris Volume Manager 構成をチェックして、それが正しいことを確認します。
  5. 手順 2 で追加した 2 行を /kernel/drv/md.conf ファイルから削除することによって、Solaris Volume Manager の devid 機能をふたたび有効にします。
  6. ゲストドメインをリブートします。

    リブート時に次のようなメッセージが表示されます。

    NOTICE: mddb: unable to get devid for 'vdc', 0x10

    これらのメッセージは正常で、問題を報告するものではありません。

Oracle Solaris ブートディスクの互換性

歴史的に見て、Oracle Solaris OS は SMI VTOC ディスクラベルで構成されたブートディスクにインストールされてきました。Oracle Solaris 11.1 OS 以降は、デフォルトで拡張ファームウェアインタフェース (EFI) GUID パーティションテーブル (GPT) ディスクラベルを使って構成されるブートディスクに OS がインストールされます。ファームウェアが EFI をサポートしていない場合は、代わりに SMI VTOC ディスクラベルを使ってディスクが構成されます。この状況は、少なくともバージョン 8.4.0 のシステムファームウェアが実行されている SPARC T4 サーバー、少なくともバージョン 9.1.0 のシステムファームウェアが実行されている SPARC T5、SPARC M5、SPARC M6 サーバー、および少なくとも XCP バージョン 2230 が実行されている Fujitsu M10 サーバー にのみ当てはまります。

    次のサーバーは、EFI GPT ディスクラベルの付いたディスクからブートできません。

  • 使用されるシステムファームウェアのバージョンに関係なく、UltraSPARC T2、UltraSPARC T2 Plus、および SPARC T3 サーバー

  • バージョン 8.4.0 より前のシステムファームウェアが実行されている SPARC T4 サーバー

  • バージョン 9.1.0 より前のシステムファームウェアが実行されている SPARC T5、SPARC M5、および SPARC M6 サーバー

  • バージョン 2230 よりも前の XCP が実行されている Fujitsu M10 サーバー

そのため、最新の SPARC T4、SPARC T5、SPARC M5、SPARC M6、Fujitsu M10 サーバー で作成される Oracle Solaris 11.1 ブートディスクは、それよりも古いサーバー、またはそれよりも古いファームウェアが実行されているサーバーでは使用できません。

この制限により、コールド移行またはライブ移行のどちらかを使って新しいサーバーから古いサーバーにドメインを移すことができなくなります。また、この制限により、古いサーバーで EFI GPT ブートディスクイメージを使用することもできなくなります。

Oracle Solaris 11.1 ブートディスクが、使用しているサーバーやそのファームウェアと互換性があるかどうかを判断するには、Oracle Solaris 11.1 OS が SMI VTOC ディスクラベルで構成されたディスクにインストールされていることを確認します。

    古いファームウェアが動作しているシステムとの下位互換性を維持するには、次のいずれかの手順を使用します。そうしないと、ブートディスクはデフォルトで EFI GPT ディスクラベルを使用します。これらの手順は、少なくともバージョン 8.4.0 のシステムファームウェアが実行されている SPARC T4 サーバー、少なくともバージョン 9.1.0 のシステムファームウェアが実行されている SPARC T5、SPARC M5、または SPARC M6 サーバー、および少なくとも XCP バージョン 2230 が実行されている Fujitsu M10 サーバー 上で、SMI VTOC ディスクラベルの付いたブートディスクに Oracle Solaris 11.1 OS がインストールされていることを確認する方法を示しています。

  • 解決方法 1: ファームウェアが EFI をサポートしていることを報告しないように gpt プロパティーを削除します。

    1. OpenBoot PROM プロンプトから、自動ブートを無効にし、インストールされるシステムをリセットします。

      ok setenv auto-boot? false
      ok reset-all

      システムがリセットされると、ok プロンプトに戻ります。

    2. /packages/disk-label ディレクトリに変更し、gptプロパティーを削除します。

      ok cd /packages/disk-label
      ok " gpt" delete-property
    3. Oracle Solaris 11.1 OS のインストールを開始します。

      たとえば、ネットワークインストールを実行します。

      ok boot net - install
  • 解決方法 2: format -e コマンドを使用して、Oracle Solaris 11.1 OS がインストールされるディスクに SMI VTOC ラベルを書き込みます。

    1. ディスクに SMI VTOC ラベルを書き込みます。

      たとえば、label オプションを選択して、SMI ラベルを指定します。

      # format -e c1d0
      format> label
      [0] SMI Label
      [1] EFI Label
      Specify Label type[1]: 0
    2. ディスク全体をカバーするスライス 0 とスライス 2 でディスクを構成します。

      このディスクにはそのほかにパーティションはありません。例:

      format> partition
       
      partition> print
      Current partition table (unnamed):
      Total disk cylinders available: 14087 + 2 (reserved cylinders)
      
      Part      Tag    Flag     Cylinders         Size            Blocks
        0       root    wm       0 - 14086      136.71GB    (14087/0/0) 286698624
        1 unassigned    wu       0                0         (0/0/0)             0
        2     backup    wu       0 - 14086      136.71GB    (14087/0/0) 286698624
        3 unassigned    wm       0                0         (0/0/0)             0
        4 unassigned    wm       0                0         (0/0/0)             0
        5 unassigned    wm       0                0         (0/0/0)             0
        6 unassigned    wm       0                0         (0/0/0)             0
        7 unassigned    wm       0                0         (0/0/0)             0
    3. SMI VTOC ディスクラベルを再度書き込みます。

      partition> label
      [0] SMI Label
      [1] EFI Label
      Specify Label type[0]: 0
      Ready to label disk, continue? y
    4. Oracle Solaris OS をブートディスクのスライス 0 にインストールするように Oracle Solaris Automatic Installer (AI) を構成します。

      AI マニフェストの <disk> の抜粋を次のように変更します。

      <target>
         <disk whole_disk="true">
              <disk_keyword key="boot_disk"/>
              <slice name="0" in_zpool="rpool"/>
         </disk>
      [...]
      </target>
    5. Oracle Solaris 11.1 OS のインストールを実行します。

動的に追加されたメモリーのブロックがブロック全体でしか動的に削除できないことがある

動的に追加されたメモリーを管理する際の Oracle Solaris OS によるメタデータの処理方法が原因で、そのメモリーの適切なサブセットではなく、以前に動的に追加されたメモリーのブロック全体からしか削除できない可能性があります。

この問題が発生するのは、次の例に示すように、ドメインのメモリーサイズが最初は小さく、そのあとで動的に大きく拡張した場合です。

primary# ldm list ldom1
NAME  STATE FLAGS   CONS VCPU MEMORY UTIL UPTIME
ldom1 active -n--   5000 2    2G     0.4% 23h

primary# ldm add-mem 16G ldom1

primary# ldm rm-mem 8G ldom1
Memory removal failed because all of the memory is in use.

primary# ldm rm-mem 16G ldom1

primary# ldm list ldom1
NAME  STATE FLAGS   CONS VCPU MEMORY UTIL UPTIME
ldom1 active -n--   5000 2    2G     0.4% 23h

回避方法: ldm add-mem コマンドを使用して、今後削除する可能性があるものよりも大きいチャンクではなく、より小さいチャンクでメモリーを連続して追加してください。

    回復方法: 次のアクションのいずれかを実行してください。

  • ドメインを停止し、メモリーを削除してから、ドメインを再起動します。

  • ドメインをリブートします。これにより、以前に追加されたメモリーが小さいチャンクで動的に削除できるように、Oracle Solaris OS のメモリー管理メタデータが割り当てられます。