5企業体系: 初期構成
この章の内容は次のとおりです。
概要
Oracle Fusion Applicationsは、企業を法律上および管理上の目的にあわせてモデル化できるように設計されています。Oracle Fusion Applicationsの実装に関する判断は、次の要素の影響を受けます。
-
産業
-
ビジネス・ユニットの自律要件
-
ビジネスおよび会計のポリシー
-
ビジネス・ユニットによって実行されるビジネス機能、およびオプションとして、シェアード・サービス・センターで集中管理されるビジネス機能
-
施設の所在地
すべての企業には3つの基本体系があり、これらの体系は企業の運営を説明し、レポートの基準を提供します。
-
法的
-
管理
-
機能
Oracle Fusionでは、これらの体系は勘定体系および組織階層を使用して実装されます。多数の代替階層を実装してレポートに使用できます。多くの場合、ビジネスを次の要素に編成する主要体系を1つ保持します。
-
ディビジョン
-
ビジネス・ユニット
-
部門
これらの体系を戦略目標に沿って配置します。
この図は、企業ディビジョンを表すBusiness Axis、会社を表すLegal Axis、およびビジネス機能を表すFunctional Axisを含むグリッドを示しています。

法的体系
この図は、様々なビジネス上および機能上の組織を運営している、一般的な法的エンティティのグループを示しています。購入、販売、所有および雇用する資格は、法制度で許可されることによって与えられます。企業の特徴は次のとおりです。
-
その所有者や経営者とは異なる、別個の法的エンティティです。
-
株主(個人または別の企業)によって所有されます。
個人事業、パートナシップ、政府機関など、法的エンティティには多くの種類があります。
法的に認められたエンティティは、登録している管轄区域内での資産の所有と取引、および個人の雇用を実施できます。これらの権限が付与されている場合、法的エンティティには、次のことを実施する責任も割り当てられます。
-
法定レポートおよび外部レポートを介した、公に対する自らに関する説明。
-
国別仕様および規制への準拠。
-
所得税およびトランザクション税金の支払。
-
税務当局の代理としての付加価値税(VAT)徴収の処理。
多くの大企業では、子会社を法人化することによって、リスクを切り離して、税金を最適化します。法令遵守の推進、運営の分離、税金の最適化、契約関係の履行およびリスクの切離しのために、法的エンティティを作成します。企業は、法的エンティティを使用して、その企業が運営している各国の法律の範囲内で自社のアイデンティティを確立します。
この図は、次のことを示しています。
-
個々のカードは、登録された一連の会社を表します。
-
公開持株会社InFusion Americaを含め、各会社はビジネスを行う国で登録されている必要があります。
-
各会社は、管理レポートのために作成された様々なディビジョンで構成されています。これらは、各カードの垂直方向の列で示されています。
たとえば、1つのグループで、米国(US)ではビジネスごとに別々の会社を保持し、英国(UK)ではすべてのビジネスを英国の法的エンティティで表すことができます。
ディビジョンは、1つのビジネスを一部または全部のカードに表示できるように、カードをまたがってリンクされます。たとえば、大気質モニタリング・システムのビジネスを米国、英国およびフランスの会社が運営できます。ビジネス・ディビジョンのリストはBusiness Axisにあります。
各会社のカードはまた、営業チーム、財務チームなどの機能グループごとに、水平方向に区分けされています。この機能リストは、Functional Axisと呼ばれます。図全体からわかるように、1つのグループ環境において、少なくとも会社、ビジネス、ディビジョンおよび機能ごとに情報を追跡できます。Oracle Fusion Applicationsでは、法的エンティティを使用して法的体系を実装します。
管理体系
複数のビジネスを正常に管理するには、それらを戦略目標ごとに区分けして、その結果を測定する必要があります。ビジネスの組織階層は、法的体系に関連していますが、企業の法的体系に直接反映させる必要はありません。管理体系には、ディビジョン、サブディビジョン、事業分野、戦略的ビジネス・ユニット、収益およびコスト・センターを含めることができます。図では、管理体系はBusiness Axisに表されています。Oracle Fusion Applicationsでの管理体系は、ディビジョンとビジネス・ユニットを使用して実装され、勘定体系に反映されています。
機能体系
個人およびそのコンピテンシを中心に構造化された機能組織は、法的組織およびビジネス組織にまたがっています。たとえば、営業、製造およびサービスの各チームは機能組織です。この機能体系は、この図ではFunctional Axisで表されています。機能組織の業績および費用は、損益計算書に直接反映します。組織は、収益、販売原価、さらに研究開発費、販売および一般管理費などの機能上の費用を管理およびレポートする必要があります。Oracle Fusion Applicationsでの機能体系は、部門および組織(販売組織、マーケティング組織、プロジェクト組織、原価組織、在庫組織など)を使用して実装されています。
グローバルな企業の構成に関するガイドライン
グローバルな企業体系の構成を開始するには、まず、組織のレポート要件、およびそれらの要件をOracle Fusion Applicationsで表す方法を検討します。次に、Oracle Fusionでグローバルな企業体系を設計する際に考慮する必要があるいくつかの問題およびポイントを示します。
-
企業構成
-
ビジネス・ユニットの管理
-
セキュリティ体系
-
コンプライアンス要件
企業構成
-
レポートおよび会計の要件を満たすには、どのレベルの構成が必要ですか。
-
個別にレポートする必要がある企業内のコンポーネントはどれですか。
-
詳細と要約の両方のレベルでレポートを提供するために、値の階層を作成することによって表すことができるコンポーネントはどれですか。
-
どの程度集中管理しますか、または分散させますか。
ビジネス・ユニットの管理
-
ビジネス・ユニット別にどのようなレポートが必要ですか。
-
事業分野に関して正確にレポートする部門階層を実現するために、部門またはビジネス・ユニット・アカウントをどのように設定できますか。
-
ビジネス・ユニットのマネージャ、およびマネージャを評価する役員をサポートするために、どのようなレポートが必要ですか。
-
どれくらいの頻度でビジネス・ユニットの結果を集計しますか。
-
ビジネス・ユニット全体で必要とされるレポート詳細のレベルはどれくらいですか。
セキュリティ体系
-
セキュリティおよびアクセスをどのレベルで許可しますか。
-
ビジネス・ユニット・マネージャおよびその部下によるトランザクションをそのビジネス・ユニット内に限定しますか。
-
そのビジネス・ユニットのトランザクションを企業の部門またはシェアード・サービス・センターで広く実行されるようにしますか。
コンプライアンス要件
-
企業の外部レポート要件および現地の法定レポート要件にどのように準拠しますか。
-
企業を最優先する傾向にありますか、または自律的な地域アプローチを優先する傾向にありますか。
-
どの程度集中管理しますか。集中管理を徹底しますか、または分散させますか。
企業管理体系のモデル化
この例は、架空のグローバルな会社を使用して、企業体系の構成の計画プロセス中に実施される可能性がある分析を示しています。
シナリオ
InFusion Corporationは、米国(US)および英国(UK)で運営している多国籍複合企業です。InFusionでは、Oracle Fusion General LedgerおよびOracle Fusionのすべての補助元帳を含むOracle Fusion Enterprise Resource Planning (ERP)ソリューションを購入済です。米国および英国での運営を含むグローバルな企業体系のモデルの作成を議論する委員会で議長を務めています。
InFusion Corporation
InFusion Corporationの従業員は400人強であり、その収益は1億2千万ドルです。製品ラインには、家庭および事業向けの大気質モニタリング・アプリケーションを構築および保守するためのすべてのコンポーネントが含まれます。米国と英国で共通の品目マスターを共有する2つの物流センターと3つの倉庫があります。自社の金融サービス組織では、顧客に対して導入の初期費用を融資します。
分析
次に、グローバルな企業体系のモデルを作成する際に考慮する必要がある要素を示します。
-
会社では、米国の一般会計原則(GAAP)の基準および英国の標準会計実務基準書および財務報告基準を使用してレポートする必要があります。法定レポートを適切に作成するためにいくつの元帳が必要ですか。
-
マネージャは、自社の事業分野に関する損益(収益と費用)を示すレポートを必要とします。自社のディビジョンおよびビジネスを表すために、ビジネス・ユニットおよび貸借一致セグメントを使用しますか。勘定体系の2つのセグメントで各部門および法的エンティティを表してデータを保護しますか。または、両方を表す1つのセグメントを使用して、有用かつ機密の管理レポートを作成しますか。
-
企業経営では、組織全体の業績を示し、その裏付けとなる詳細へのドリルダウン機能を備えたレポートが必要です。レポート要件に対して残高の適切な積上げを実現するために、複数の貸借一致セグメント階層が必要ですか。
-
経営、買掛金、調達および人事のすべての機能が本社で実行されています。これらの機能をすべて実行するためのビジネス・ユニットが1つ以上必要ですか。シェアード・サービス・センターをどのように構成しますか。
グローバルな企業体系モデル
次の図および表は、委員会で設計されたモデルの要約を示し、数値を使用してその体系を例示しています。このモデルには、次の推奨事項が含まれます。
-
別々の法的エンティティを表す3つの別個の元帳を作成します。
-
InFusion America Inc.
-
InFusion Financial Services Inc.
-
InFusion UK Services Ltd.
-
-
アプリケーション・コンポーネント、インストールおよび保守製品ラインに関する企業全体の結果を連結します
-
英国におけるすべての一般管理費をUK本部で処理します
-
US Systemの一般管理費をUS法人本部で処理します
-
US Financial Servicesがその買掛管理および売掛管理の部門を維持します


このチャートでは、緑の丸は必須の設定を表し、金色の丸はオプションの設定を表しています。次の文で、チャートのデータについて詳しく説明します。
-
企業の傘下に実装全体が含まれるため、企業は必須です。すべての組織は、企業内に作成されます。
-
法的エンティティも必須です。これらをオプションで貸借一致セグメント値にマッピングするか、元帳で表すことができます。会社間機能を使用する予定の場合は、貸借一致セグメント値を法的エンティティにマッピングする必要があります。InFusion Corporationは法的エンティティですが、この例では説明しません。
-
会計トランザクションを記録する実装では、少なくとも1つの元帳が必須です。
-
財務トランザクションがビジネス・ユニット内で処理されるため、ビジネス・ユニットも必須です。
-
シェアード・サービス・センターはオプションですが、使用する場合は、ビジネス・ユニットにする必要があります。
-
ディビジョンはオプションで、コスト・センターの階層で表すか、第2貸借一致セグメント値によって表すことができます。
-
部門を使用して従業員を追跡するため、部門は必須です。
-
オプションとして、Oracle Fusion Applicationsで在庫トランザクションを追跡している場合は、品目マスター組織および在庫組織を追加します。
企業構成の設計
この例は、1つのプライマリ産業について主に米国と英国で運営しているグローバルな会社に基づいて、企業を設定する方法を示しています。
シナリオ
InFusion Corporationは、ハイテク産業の多国籍企業であり、その製品ラインには、家庭およびビジネス向けの大気質モニタリング・システムを構築および保守するためのすべてのコンポーネントが含まれています。その主要な事業所は米国と英国ですが、それより小規模な直販店がフランス、サウジアラビアおよびアラブ首長国連邦(UAE)にあります。
企業の詳細
米国では、InFusionは400人の従業員を雇用し、会社の収益は1億2千万ドルです。米国以外では、InFusionは200人の従業員を雇用し、その収益は6千万ドルです。
分析
InFusionには3つのディビジョンが必要です。
-
米国ディビジョンは、米国の事業所をカバーします。
-
欧州ディビジョンは、英国およびフランスをカバーします。
-
サウジアラビアおよびUAEは、中東ディビジョンによってカバーされます。
InFusionは、米国、英国、フランス、サウジアラビアおよびUAEに関して、その国で就業者を雇用して給与を支払うために、法人事業主、給与法定ユニット、税金レポート・ユニットおよび国別仕様データ・グループを含む法的エンティティを必要とします。
InFusionは、販売、マーケティングなどのビジネス・エリアごとに、企業全体で複数の部門を必要とし、それらの部門のコストを追跡してレポートするために、複数のコスト・センターを必要とします。
InFusionには、各国内のビジネス・ユニットを担当する統括マネージャがいます。これらのビジネス・ユニットは、参照データを共有できます。一部の参照データは、複数のビジネス・ユニットがサブスクライブできる参照データ・セット内で定義できます。ビジネス・ユニットは、財務目的でも必要です。財務トランザクションは常に、ビジネス・ユニット内で処理されます。
結果の企業構成
この分析によると、InFusionは、複数のディビジョン、元帳、法人事業主、給与法定ユニット、税金レポート・ユニット、国別仕様データ・グループ、部門、コスト・センターおよびビジネス・ユニットを備えた企業を必要とします。
次の図は、InFusion Corporationの分析から得られた企業構成を示しています。

非HCMユーザーの企業情報
企業HCM情報の管理タスクには、雇用モデル、就業者番号の生成など、企業のデフォルトの設定が含まれます。Oracle Fusion Human Capital Management (HCM)を実装していない場合、このタスクを使用して実行する必要がある処理は、企業名の変更のみです(必要な場合)。他の設定はHCM固有であり、Oracle Fusion HCM外では関係ありません。
会社の買収に伴う新規ディビジョンの追加の例
この例では、新規ディビジョンの取得後に企業を再構築する方法について説明します。
シナリオ
InFusion Corporationのシニア管理チームの一員であるものとします。InFusionは、次の国に拠点組織を置くグローバル企業です。
-
米国(US)
-
英国(UK)
-
フランス
-
中国
-
サウジアラビア
-
アラブ首長国連邦(UAE)
会社の主要ビジネス・エリアはハイテク産業であり、最近新たに別の会社を買収したところです。そこで、会社の現在の企業体系を分析し、新しい会社に作成する新規組織を決定する必要があります。
買収した会社の詳細
買収した会社は、ドイツを拠点として金融サービス事業を展開しています。金融サービス事業は、ハイテク事業とは大きく異なります。したがって、この金融サービス会社を独立した事業として残し、すべてのコストとレポートを金融サービス・ディビジョンに管理させようと考えています。
分析
次の表に、どのような組織を新規に設定し、企業体系をどのようにするかを決定する際に検討する必要がある主な事項を示します。
検討事項 | この例の場合 |
---|---|
事業所を作成するか。 |
金融サービス会社とその部門はフランクフルトを拠点とします。したがって、事業所は1つ作成すれば済みます。 |
個別のディビジョンを作成するか。 |
はい。新規ディビジョンは現在の企業体系に存在しますが、金融サービス会社を個別の事業分野として残す必要があります。個別のディビジョンを作成すれば、コストとレポートをInFusion Corporationから切り離して管理できるようになります。また、企業設定に含まれている組織の変更は一切不要です。 |
ビジネス・ユニットを作成するか。 |
はい。金融サービス事業を行うには、ハイテク事業には存在しないいくつかのジョブを作成する必要があります。金融サービスに固有のジョブを新規ビジネス・ユニットに分離できます。 |
部門数はいくつか。 |
金融サービス会社には、現在、営業部門、会計部門およびマーケティング部門があります。会社を縮小または変更する予定はないため、3つの部門を作成すれば体系を維持できます。 |
コスト・センター数はいくつか。 |
複数のコスト・センターを使用して部門のコストを追跡できますが、部門ごとに1つのコスト・センターを作成することにします。 |
法的エンティティ数はいくつか。 |
登録済の会社、または法的に認められたその他のエンティティそれぞれに対して、法的エンティティを定義します。法的エンティティを使用すると、次のことが可能になります。
この例では、必要な法的エンティティは1つのみです。 法的エンティティは、雇用主および給与法定ユニットとして定義する必要があります。新規ディビジョンはドイツでのみ運営されるため、ドイツの法的要件および法定要件にあわせて法的エンティティを構成できます。 注意: 法的エンティティは給与法定ユニットとして識別できます。その場合、法的エンティティに関連付けられている法的レポート・ユニットが税レポート・ユニットとしてOracle Fusion HCMに転送されます。
|
国別仕様データ・グループを作成するか。 |
はい。現在、ドイツ内では個人の雇用や給与支払を行っていないため、ドイツの就業者を対象に給与計算を実行するための国別仕様データ・グループを1つ作成する必要があります。 |
結果のInFusion企業体系
分析に基づいて、次のものを作成する必要があります。
-
1つの新規ディビジョン
-
1つの新規事業所
-
3つの新規部門
-
3つの新規コスト・センター
-
1つの新規法的エンティティ
-
1つの新規国別仕様データ・グループ
次の図は、新規ディビジョンと他の組織を追加した後のInFusion Corporationの体系を示しています。

企業体系: 説明
ディビジョン
複数のビジネスを管理するには、戦略目標ごとに区分けして、結果を測定する必要があります。
目標達成に対する職責は、管理体系に沿って委任できます。ビジネスの組織階層は、法的体系に関連していますが、企業の法的体系を直接反映していません。管理エンティティおよび管理体系には次のものを含めることができます:
これらの組織は、勘定体系に表されているかぎり、多くの代替階層に含めることができ、レポート作成にも使用できます。
ディビジョン
ディビジョンとは、企業内のビジネス志向のサブディビジョンのことで、製品およびサービスを提供するために、または異なる市場に対応するために、各ディビジョンが別々に編成されます。ディビジョンは、1つ以上の国で運営することが可能で、多数の会社、またはビジネス・ユニットにより表された様々な会社の一部になります。
ディビジョンは、利益センターまたは利益センターとコスト・センターをグループにしたもので、利益を含むビジネス目標の達成について、ディビジョン・マネージャが責任を負います。ディビジョンは、会社の既存製品ラインの分担について、または独立したビジネスについて責任を負うことがあります。ディビジョンのマネージャは、ディビジョンの資産および負債の追跡を必要とする投資収益率目標を持つこともあります。ディビジョン・マネージャは通常、企業役員にレポートします。
定義により、ディビジョンを勘定体系に表すことができます。会社は、製品ライン、ブランドまたは地理をディビジョンとして使用できます。これらの選択は、企業の最も重要な編成原則を表します。
歴史的に、ディビジョンは、セグメント値の階層においてノードとして実装されました。たとえば、Oracle E-Business Suiteには貸借一致セグメントが1つのみあり、多くの場合、ディビジョンと法的エンティティを組み合せて1つのセグメントにします。このセグメントでは、それぞれの値がディビジョンと法的エンティティの両方を表します。
Oracle Fusion Human Capital Management (HCM)でのディビジョンの使用
HCMでは、一般組織階層を使用して管理組織階層を定義するためにディビジョンが使用されます。この階層は、組織ベースのセキュリティ・プロファイルを作成するために使用できます。
概要
法的エンティティは、法律によって指定された権利および責任を持つ認識済パーティです。
法的エンティティには、次の権利および責任があります。
-
資産を所有する
-
取引を行う
-
債務を返済する
-
規制当局、税務当局および所有者に対して、関連法に定めのある規則に従って自らについて説明する
これらの権利および責任は、司法システムによって強制される場合があります。資産、負債、費用および収益を記録し、トランザクション税金を支払ったり、会社間取引を実行する対象となる登録済の会社、または法的に認められたその他のエンティティそれぞれに対して、法的エンティティを定義します。
法的エンティティは、次に示す理由から、企業の要素について責任を負います。
-
地域におけるコンプライアンスの推進
-
企業の税債務の最小化
-
買収または企業の部分的な処分に対する備え
-
ビジネスのある領域を別の領域のリスクから切り分け。たとえば、企業が資産を創出し、その資産をリースするとします。この場合、財産を創出するビジネスを別個の法的エンティティとして運営し、リース・ビジネスへのリスクを制限できます。
法的エンティティのロール
Oracle Fusion Applicationsで企業体系を構成する際、いかなるトランザクションの契約当事者も必ず法的エンティティとなります。個々の法的エンティティは次のことを実行します。
-
企業の資産の所有
-
売上の記録、その売上に対する税金の支払
-
仕入の実行、および費用の負担
-
その他のトランザクションの実行
法的エンティティは、登録先の管轄区域の規制に準拠する必要があります。欧州では現在、会社が1つの加盟国に登録すると、すべての加盟国でビジネスを行うことが許可されており、米国では、会社が1つの州に登録すると、すべての州でビジネスを行うことが許可されています。地域のレポート要件をサポートするために、法的レポート・ユニットが作成および登録されます。
法的エンティティの運営の開示については、様々な管轄区域の要件に基づいて、明示的かつ定期的に発行する必要があります。年次またはそれより間隔の短い特定の会計レポートは、法定レポートまたは外部レポートとして参照されます。これらのレポートは、指定された国内当局および規制当局に届け出る必要があります。たとえば米国(US)では、公営のエンティティ(企業)は、公共団体に対して法定レポート要件を強制する証券取引委員会(SEC)に対して、四半期および年次のレポート、およびその他の定期的なレポートを届け出る必要があります。
個々のエンティティのうち株式非公開のもの、または公営企業が所有するものは、単独で届け出る必要はありません。諸外国では、個々のエンティティは、それ自体の名前で、また、公営のグループ・レベルにおいて届け出る必要があります。開示要件は多岐にわたります。たとえば、地域のエンティティがその地域の規制に準拠するために現地通貨建てで届け出る必要がある一方で、その企業のレポート要件では異なる通貨建てとなっている場合もあります。
法的エンティティは、企業の管理フレームワークの全部または一部を表すことができます。たとえば、英国やドイツなどの大きな国で運営している場合、その国の各ディビジョンを別個の法的エンティティとして組み入れることができます。それより小さい国(オーストリアなど)では、1つの法的エンティティを使用して、ディビジョン間のビジネス操作のすべてをホストできます。
法的エンティティのモデル化
Oracle Fusion Applicationsでは、法的エンティティのモデル化がサポートされます。他の法的エンティティとの間で売買を行う場合、自社の顧客およびサプライヤ登録で、これらの他の法的エンティティを定義します。これらの登録は、Oracle Fusion Trading Community Architectureの一部です。
法的エンティティが互いに取引を行う場合は、それらを法的エンティティとして、また、自社の顧客およびサプライヤ登録内の顧客とサプライヤとして表します。法的エンティティの関係を使用して、どの取引が会社間で行われ、会社間会計が必要であるかを判断します。法的エンティティは、法人事業主として識別できるため、人材管理(HCM)アプリケーションで使用できます。
法的エンティティを作成する際に考慮する必要がある決定事項がいくつかあります。
-
トランザクションにおける法的エンティティの使用の重要性
-
法的エンティティおよび法的エンティティのビジネス・ユニットに対する関係
-
法的エンティティおよび法的エンティティのディビジョンに対する関係
-
法的エンティティおよび法的エンティティの元帳に対する関係
-
法的エンティティおよび法的エンティティの貸借一致セグメントに対する関係
-
法的エンティティおよび法的エンティティの連結ルールに対する関係
-
法的エンティティおよび法的エンティティの会社間トランザクションに対する関係
-
法的エンティティおよび法的エンティティの就業者割当ておよび法人事業主に対する関係
-
法的エンティティおよび給与レポート
-
法的レポート・ユニット
トランザクションにおける法的エンティティの使用の重要性
企業の全資産は、個々の法的エンティティにより所有されます。Oracle Fusion Financialsでは、ユーザーが価値または義務の移動を表すトランザクションに対して法的エンティティを入力できます。
たとえば、販売オーダーにより、同意した日に商品を届けるためのオーダーを手配する義務が法的エンティティに生じます。また、これにより、その商品の受取りと支払を行う義務が購入者に生じます。ほとんどの国の契約法には、次の両方に関して損害を請求できる法規があります。
-
実際の損失(被害者が契約の締結がなかった場合と同様の状態に置かれること)。
-
いわゆる交渉機会の損失(つまり、トランザクションで得られた可能性のある利益)。
別の例として、原材料費の上昇を計上するために倉庫の在庫を再評価した場合、再評価および再評価累計額は、法的エンティティの勘定科目に反映させる必要があります。Oracle Fusion Applicationsでは、在庫組織の在庫は、1つのビジネス・ユニットで管理され、1つの法的エンティティに属します。
法的エンティティおよび法的エンティティのビジネス・ユニットに対する関係
ビジネス・ユニットは、多くの法的エンティティにかわってトランザクションを処理できます。多くの場合、ビジネス・ユニットは1つの法的エンティティの一部です。ほとんどの場合、法的エンティティはトランザクションで明示されます。たとえば、買掛/未払金請求書には、明示的な法的エンティティ・フィールドがあります。買掛/未払金部門は、1つ以上のビジネス・ユニットにかわって、サプライヤの請求書を処理できます。
場合によっては、法的エンティティは、トランザクションを処理しているビジネス・ユニットから推測されます。たとえば、ビジネス・ユニットACM UKには、デフォルトの法的エンティティInFusion UK Ltd.があります。購買オーダーがACM UKに入ると、法的エンティティInFusion UK Ltd.は、サプライヤに対する法的義務を負います。Oracle Fusion Procurement、Oracle Fusion Project Portfolio ManagementおよびOracle Fusion Supply Chainアプリケーションは、ビジネス・ユニットからの法的エンティティ情報の導出に依存します。
法的エンティティおよび法的エンティティのディビジョンに対する関係
ディビジョンは、管理職責の領域であり、法的エンティティの集合に対応しています。必要な場合、法的エンティティごとに、または他の法的エンティティの組合せ部分ごとに、ディビジョンに関する結果を集計できます。ディビジョンごとの集計およびレポートを容易にするために、勘定体系内のコスト・センターまたは法的エンティティのセグメントに対する有効日の階層を定義します。ディビジョンと法的エンティティは、独立した概念です。
法的エンティティおよび法的エンティティの元帳に対する関係
主要な職責の1つに、法的エンティティの財務諸表を届け出ることがあります。Oracle Fusion General Ledger Accounting Configuration Managerを使用して、法的エンティティを特定の元帳にマッピングします。元帳内では、オプションで法的エンティティを1つ以上の貸借一致セグメント値にマッピングできます。
法的エンティティおよび法的エンティティの貸借一致セグメントに対する関係
Oracle Fusion General Ledgerでは、貸借一致セグメントが3つまでサポートされます。ベスト・プラクティスとして、1つのセグメントで法的エンティティを表して、規制機関、税務当局および投資者に対して自社の運営を説明するための要件を軽くすることをお薦めします。自社の運営について説明するということは、法的エンティティごとに、貸借一致している貸借対照試算表を作成する必要があることを意味します。1つの元帳で多くの法的エンティティを計上する場合は、次のことを行う必要があります。
-
元帳内の法的エンティティを識別します。
-
会社間トランザクションを介して法的エンティティの境界をまたぐトランザクションを貸借一致させます。
-
どの貸借一致セグメントが各法的エンティティに対応するか判断し、それらの貸借一致セグメントをOracle Fusion General Ledger Accounting Configuration Managerで割り当てます。元帳で貸借一致セグメント値を1つでも割り当てると、すべての貸借一致セグメント値を割り当てる必要があります。この推奨ベスト・プラクティスにより、法的エンティティ別の資産、負債および収益のレポートが容易になります。
法的エンティティは、少なくとも1つの貸借一致セグメント値で表します。さらに詳細なレポートが必要な場合は、2つまたは3つの貸借一致セグメント値で表すことができます。たとえば、欧州の複数の管轄区域で法的エンティティが運営している場合は、貸借一致セグメント値を定義し、それらを法定レポート・ユニットにマッピングできます。1つの法的エンティティは、複数の貸借一致セグメント値で表すことができます。複数の法的エンティティを表すために、1つの貸借一致セグメント値を使用することはありません。
Oracle Fusion General Ledgerには、3つの貸借一致セグメントがあります。各ディビジョンまたはビジネス・ユニットに対する貸借対照表レベルでの管理レポートを使用可能にするために、別々の貸借一致セグメントを使用して、ディビジョンまたは戦略的ビジネス・ユニットを表すことができます。このソリューションを使用して、ビジネス・ユニットおよびディビジョンのマネージャに対して、資産活用または投資収益率を追跡し、その責任を負えるだけの権限を付与します。複数の貸借一致セグメントを使用すると、実装時に法的エンティティの一部の処分が進行中で、そのエンティティの資産および負債を切り分ける必要があることがわかっている場合にも役立ちます。
複数の貸借一致セグメントの実装では、ディビジョンまたはビジネス・ユニットごとに貸借一致していないすべての仕訳について、貸借一致明細を生成する必要があります。元帳の使用を開始した後で、複数の貸借一致セグメントに変更することはできません。これは、新しい複数の貸借一致セグメントにより履歴データが貸借一致しないためです。履歴データの書き換えはこの時点で行う必要があります。
企業が定期的に別会社のビジネスを設立するか、マネージャが資産活用の責任を負う場合、そのビジネスを貸借一致セグメント値で識別します。別々の元帳で各法的エンティティを計上するよう決定した場合は、法的エンティティを貸借一致セグメント値で識別する必要はありません。
貸借一致セグメントにまたがるトランザクションは必ずしも法的エンティティの境界をまたぐものではありませんが、法的エンティティの境界をまたぐトランザクションはすべて、貸借一致セグメントをまたぎます。買収を行う場合、または企業の一部を処分する準備を進めている場合、企業のその部分について、それが単独の法的エンティティではなくても、それ自体の貸借一致セグメント内で計上できます。同一の元帳を共有する法的エンティティを貸借一致セグメントにマッピングしない場合、会社間機能を使用してそれらを区別することはできず、それらの個々の資本を追跡することもできません。
法的エンティティおよび法的エンティティの連結ルールに対する関係
Oracle Fusion Applicationsでは、法的エンティティを貸借一致セグメントにマッピングしてから、貸借一致セグメントを使用して連結ルールを定義できます。法的エンティティの定義と、連結におけるそれらのロールとの間の関係を作成します。
法的エンティティおよび法的エンティティの会社間トランザクションに対する関係
Oracle Fusionの会社間機能を使用して、貸借一致セグメント間の会社間仕訳を自動作成します。会社間処理では、企業の法的エンティティのグループ内で法的所有権が更新されます。請求書または仕訳は、必要に応じて作成されます。企業での取引ペアの数を制限するには、会社間組織を設定し、それらを認可された法的エンティティに割り当てます。処理オプションおよび会社間勘定を定義して、会社間トランザクションを作成する際に使用し、連結消去仕訳を支援します。これらの勘定科目は、会社間組織に割り当てられた法的エンティティに基づいて、会社間トランザクションで導出され、自動的に入力されます。
会社内取引(この取引では、法的所有権は変更されませんが、その他の組織職責は変更されます)もサポートされます。たとえば、部門レベルの会社間組織を作成することにより、法的エンティティ内の部門間で移動する資産および負債を追跡できます。
法的エンティティおよび法的エンティティの就業者割当ておよび法人事業主に対する関係
Oracle Fusion Legal Entity Configuratorでは、個人を雇用する法的エンティティは法人事業主と呼ばれます。Oracle Fusion HCMの就業者の割当てでは、法人事業主を入力する必要があります。
法的エンティティおよび給与レポート
法的エンティティは、給与税および社会保険(給与に対する社会保障など)の支払を行うために必要です。Oracle Fusion Applicationsでは、給与法定ユニットを登録して、法的エンティティの給与税および社会保険の支払およびレポートを行うことができます。法人事業主は、国レベルのみでなく、地域レベルでも、給与税の支払が必要になる場合があります。この義務を果たすには、地域当局の管轄区域内にある就業地として、法的エンティティを設定します。特定の法的レポートの義務がある企業の一部を表す法的レポート・ユニットを設定します。ビジネスを行う場所を管轄区域内に設定した結果として法的エンティティが税金を支払う必要がある場合、これらの法的レポート・ユニットを税金レポート・ユニットとしてマークすることもできます。
ビジネス・ユニット
ビジネス・ユニットは、管理階層内に積み上げることができる1つ以上のビジネス機能を実行する企業のユニットです。ビジネス・ユニットは、多くの法的エンティティにかわってトランザクションを処理できます。通常は、マネージャ、戦略目標、自律レベルおよび損益に対する責任が含まれます。このようなタイプの階層を前提とした勘定体系を設計する場合、複数のビジネス・ユニットは部署にまとめられます。
Oracle Fusion Applicationsで次の手順を実行します。
-
ビジネス・ユニットを1つのプライマリ元帳に割り当てます。たとえば、ビジネス・ユニットが買掛金請求書を処理する場合、そのビジネス・ユニットを特定の元帳に転記する必要があります。この割当は、財務トランザクションを生成するビジネス機能を持つビジネス・ユニットで必要です。
-
ビジネス・ユニットをトランザクション保護メカニズムとして使用します。たとえば、国内営業ビジネスとは別に輸出ビジネスを運営している場合、輸出ビジネスのデータを保護して、国内営業担当がアクセスできないようにします。このセキュリティを実現するには、輸出ビジネスと国内営業ビジネスを2つの別個のビジネス・ユニットとして設定します。
Oracle Fusion Applicationsのビジネス・ユニット・モデルには次の利点があります。
-
柔軟な実装が可能
-
トランザクションを管理およびレポートする一貫したエンティティを提供
-
アプリケーション間で参照データ・セットを共有
ビジネス・ユニットは、ビジネス・ルールとポリシーを反映した、国ごとに異なる参照データ・セットを使用して、トランザクションを処理します。Oracle Fusion Applicationの機能を使用して、ビジネス・ユニット間で支払条件やトランザクション・タイプなどの参照データを共有できます。または、共通ポリシーを施行するレベルに応じて、各ビジネス・ユニットに各自のセットを管理させることもできます。
要約すると、ビジネス・ユニットは次の目的で使用します。
-
管理レポート
-
トランザクション処理
-
トランザクション・データのセキュリティ
-
参照データの共有および定義
ビジネス・ユニットのセキュリティの概要
複数のOracle Fusion Applicationsで、ビジネス・ユニットを使用して、データのセキュリティを実装します。買掛管理マネージャなどのロールをユーザーに割り当てて、特定の機能の実行を許可し、各ロールのビジネス・ユニットをユーザーに割り当てて、ユーザーがそれらのビジネス・ユニットのデータにアクセスできるようにします。たとえば、特定のビジネス・ユニットに対する買掛管理ロールが割り当てられているユーザーは、そのビジネス・ユニットのデータに対して買掛/未払金請求の機能を実行できます。ロールは、セキュリティ・コンソールを使用して手動で、またはプロビジョニング・ルールを使用して自動的にユーザーに割り当てることができます。ユーザーにビジネス・ユニットを割り当てるには、「設定および保守」の「ユーザーのデータ・アクセスの管理」タスクを使用します。
ビジネス・ユニットと参照データ・セットの連携の仕組み
参照データ共有を使用すると、セット対応参照データ(ジョブや等級など)をグループ化して、組織の様々な部分でデータを共有できます。また、セットによって参照データをトランザクション・レベルでフィルタ処理できるため、特定のセットに割り当てられたデータのみを選択可能にできます。Oracle Fusion Human Capital Management (HCM)アプリケーションは参照データをフィルタ処理するために、トランザクションでビジネス・ユニットを使用します。Oracle Fusion HCMで参照データ共有を設定するには、ビジネス・ユニットおよびセットを作成し、そのセットをビジネス・ユニットに割り当てます。
共通セットと特定セット
組織内の一部の参照データがグローバルと見なされる場合、そのデータを企業全体で使用できるようにする必要があります。このタイプのデータは、事前定義済セットである共通セットに割り当てることができます。トランザクションでどのようなビジネス・ユニットが使用されるかに関係なく、トランザクションで使用されるビジネス・ユニットに対応するセットに割り当てられた参照データに加えて、共通セットに割り当てられた参照データも常に使用可能です。
それ以外のタイプの参照データは特定のビジネス・ユニットに固有のものである場合が多いため、データの使用をそれらのビジネス・ユニットに限定できます。この場合は、そのタイプのデータ専用のセットを作成し、そのセットをビジネス・ユニットに割り当てます。
ビジネス・ユニットへのセットの割当
参照データ・セットをビジネス・ユニットに割り当てる際には、すべての参照データ・タイプで使用されるデフォルト参照データ・セットをビジネス・ユニットに割り当てます。1つ以上のデータ・タイプについてセットの割当を上書きできます。
例: ビジネス・ユニットへのセットの割当
InFusion Corporationには、LightingとSecurityという2つのディビジョンがあり、各ディビジョンにはそれぞれ2つの事業所があります。各事業所には1つ以上のビジネス機能があります。
次の図は、InFusion Corporationの体系を示しています。

InFusion社はビジネス・ユニットの作成方法を選択する際に、「国およびビジネス機能」レベルで作成することに決定しました。したがって、次のビジネス・ユニットを作成しました。
-
Sales_Japan
-
Marketing_Japan
-
Sales_US
-
Sales_UK
-
Marketing_India
-
Sales_India
事業所、部門および等級は各ビジネス・ユニットに固有なので、InFusion社はこれらのタイプの参照データをビジネス・ユニット間で共有することは望みません。したがって、これらのタイプのデータを個別に設定できるように、各ビジネス・ユニットに対応する参照データ・セットを作成します。営業ビジネス機能内のジョブは複数の事業所で同じであるため、InFusionは「Jobs」という1つの追加セットを作成することにします。そして、Jobs参照データ・グループのセット割当を上書きし、それをJobsセットに割り当てます。これらの要件に基づいて、次のセットが作成されます。
-
Sales_Japan_Set
-
Mktg_Japan_Set
-
Sales_US_Set
-
Sales_UK_Set
-
Mktg_India_Set
-
Sales_India_Set
-
Grades_Set
次の表に、InFusionの各ビジネス・ユニットに対するデフォルトのセット割当およびセット割当の上書きを示します。
ビジネス・ユニット | デフォルトのセット割当 | セット割当の上書き |
---|---|---|
Sales_Japan |
Sales_Japan_Set(等級、部門および事業所用) |
Jobsセット(ジョブ用) |
Marketing_Japan |
Mktg_Japan_Set(等級、部門および事業所用) |
なし |
Sales_US |
Sales_US_Set(等級、部門および事業所用) |
Jobsセット(ジョブ用) |
Sales_UK |
Sales_UK_Set(等級、部門および事業所用) |
Jobsセット(ジョブ用) |
Marketing_India |
Mktg_India_Set(等級、部門および事業所用) |
なし |
Sales_India |
Sales_India_Set(等級、部門および事業所用) |
Jobsセット(ジョブ用) |
InFusionは、ビジネス・ユニットの等級、部門および事業所を設定する際に、データを各ビジネス・ユニットのデフォルト・セットに割り当てます。ジョブを設定する際には、Jobsセットを割り当てて、組織全体で使用される可能性があるジョブには共通セットを割り当てます。
等級、部門および事業所をトランザクション・レベルで使用する場合、ユーザーは、トランザクションに入力したビジネス・ユニットに対応するセットからのデータに加え、共通セットに割り当てられたデータを選択できます。たとえば、Marketing_Japanビジネス・ユニットに関するトランザクションの場合は、Mktg_Japan_Setと共通セットから等級、事業所および部門を選択できます。
ジョブをトランザクション・レベルで使用する場合、ユーザーは、Salesビジネス・ユニットをトランザクションに入力するときにJobsセットと共通セットからジョブを選択できます。たとえば、マネージャがSales_Indiaビジネス・ユニットの従業員を雇用する場合は、Jobsセットと共通セットからのジョブが表示されるようにジョブ・リストがフィルタ処理されます。
次の図は、マネージャが従業員の割当を作成するときにどのジョブ・セットにアクセスできるかを示しています。

企業体系コンフィギュレータ(ESC)
企業体系コンフィギュレータを使用した企業体系の設定: 説明
企業体系コンフィギュレータは、基本的な企業体系の設定プロセスを順を追って説明するインタビューベースのツールです。企業に関する質問に回答すると、このツールによって、企業体系を反映するディビジョン、法的エンティティ、ビジネス・ユニットおよび参照データ・セットの体系が作成されます。企業体系を作成した後、ガイド付きプロセスに従って、ポジションを使用するかどうか、およびジョブとポジションに追加属性を設定するかどうかも決定します。企業体系およびジョブとポジションの体系を定義した後、それらをレビューし、必要な変更を加えた後、最終構成をロードできます。
次の図は、企業体系コンフィギュレータを使用して企業を構成するプロセスを示しています。

企業体系コンフィギュレータを使用するためには、「設定と保守」作業領域のオファリングの構成ページで、オファリングに対して企業体系ガイド付きフロー機能を選択する必要があります。この機能を選択しない場合は、オファリングの他の場所で提供される個々のタスクを使用して企業体系を設定する必要があり、複数の構成を作成して異なるシナリオを比較することはできません。
企業体系の設定
企業体系を定義するには、企業体系の設定タスク内のガイド付きフローを使用して、プライマリ産業など、企業に関する基本情報を入力します。次に、ディビジョン、法的エンティティ、ビジネス・ユニットおよび参照データ・セットを作成します。「企業体系の指定」タスクを使用すると、複数の企業構成を作成できるため、異なるシナリオを比較できます。構成をロードするまでは、企業に最適な構成になるまで、複数の構成の作成および編集を続行できます。
ジョブおよびポジション体系の設定
ガイド付きプロセスを使用して、ジョブのみを使用するか、ジョブとポジションを使用するかについても決定します。企業体系の設定タスクで選択したプライマリ産業によって、初期推奨を行うために十分な情報がアプリケーションに提供されます。推奨を受け入れるか、または企業の人員の管理方法に関する追加の質問に回答して、選択を行うこともできます。ジョブまたはポジションを使用するかどうかを選択した後、ジョブに対する、および該当する場合はポジションに対する付加フレックスフィールド構造を設定するように求められます。付加フレックスフィールドを使用すると、ジョブおよびポジションの作成時に追加情報を取得できます。
構成のレビュー
構成をロードする前に、インタビュー・プロセスの結果を表示できます。レビュー結果では、構成のロード時にアプリケーションが作成するディビジョン、法的エンティティ、ビジネス・ユニット、参照データ・セットおよび管理レポート体系を示します。
構成のロード
構成は1つのみロードできます。構成をロードすると、アプリケーションによりディビジョン、法的エンティティ、ビジネス・ユニットなどが作成されます。構成をロードした後は、個別のタスクを使用して、企業体系を編集、追加および削除します。
企業体系構成のロールバック: 説明
企業体系コンフィギュレータ(ESC)は、次のような状況で企業構成をロールバックできる機能を備えています。
手動での構成のロールバック
たとえば企業構成をロード後に使用しないことに決めた場合などに、手動で企業構成をロールバックできます。「企業構成の管理」ページの「構成のロールバック」ボタンをクリックすると、構成のロードの一環として作成された企業体系がすべてロールバックされます。
自動での構成のロールバック
構成のロード中にエラーが発生した場合は、そのエラー発生以前に作成された企業体系がすべて自動的にロールバックされます。
構成ワークベンチ
Oracle Fusion Enterprise Structures Configuratorは、Oracle Fusion Applicationsでビジネスを表す方法を分析するのに役立つ、インタビュー・ベースのツールです。インタビューのプロセスでは、企業の名前、法的体系、管理レポート体系、およびビジネスにおける主な組織原則に関する質問が提起されます。回答に基づいて、企業でビジネス・ユニットを実装するために使用するベスト・プラクティスがアプリケーションにより提案されます。Oracle Fusionの配置においてレポート目標および管理目標を達成できるように、これらの回答を使用または変更できます。
企業体系コンフィギュレータでの法的エンティティの作成方法
企業体系コンフィギュレータを使用して、ビジネスのディビジョンが運営している国に基づいて企業の法的エンティティを自動的に作成するか、またはスプレッドシートから法的エンティティのリストをアップロードできます。
法的エンティティの自動作成
必要な法的エンティティの数が明確でない場合は、法的エンティティを自動的に作成できます。このオプションを使用するには、最初に、企業が運営しているすべての国を識別します。「国別のディビジョンのマップ」ページが開き、識別した国、企業および作成したディビジョンのマトリックスが表示されます。アプリケーションで作成する法的エンティティを識別するために、企業およびディビジョンが国と交差する場所のチェック・ボックスを選択します。企業は、ある国でその企業が運営しており、企業内のいくつかのディビジョンの代表として活動し、国内の法人事業主である場合に組み込まれます。ある国に対する企業を選択すると、国の持株会社が作成されます。
選択した法的エンティティがアプリケーションによって自動的に作成され、給与法定ユニットおよび法人事業主として識別されます。企業が運営されている国として指定した国ごとに、および事業所を作成した国ごとに、国別仕様データ・グループも自動的に作成されます。
自動的に作成した法的エンティティは、企業体系コンフィギュレータ内の「法的エンティティの作成」ページから削除することはできません。国ごとのディビジョンのマッピング・ページに戻り、必要なくなった法的エンティティの選択を解除する必要があります。
例: 法的エンティティの自動作成
InFusion Corporationは、ESCを使用して企業体系を設定しています。この企業では、2つのディビジョンを識別済で、LightingのディビジョンおよびSecurityのディビジョンがあります。Lightingディビジョンは日本と米国、Securityディビジョンは英国とインドで運営しています。
この図は、InFusion Corporationの企業体系を示しています。

次の表は、国ごとのディビジョンのマッピング・ページで作成する法的エンティティを指定する際に、InFusion Corporationで行われる選択を表しています。
国 | 企業 | InFusion Lighting | InFusion Security |
---|---|---|---|
日本 |
いいえ |
はい |
いいえ |
米国 |
いいえ |
はい |
いいえ |
英国 |
いいえ |
いいえ |
はい |
インド |
いいえ |
いいえ |
はい |
前述の表の選択に基づいて、ESCによって次の4つの法的エンティティが作成されます。
-
InFusion Lighting Japan法的エンティティ
-
InFusion Lighting US法的エンティティ
-
InFusion Security UK法的エンティティ
-
InFusion Security India法的エンティティ
スプレッドシートを使用した法的エンティティの作成
企業の法的エンティティのリストをすでに定義している場合は、スプレッドシートからそれらの法的エンティティをアップロードできます。このオプションを使用するには、最初にスプレッドシート・テンプレートをダウンロードし、次に法的エンティティの情報をスプレッドシートに追加した後、企業構成に直接アップロードします。改訂に対応するために、スプレッドシートは複数回エクスポートおよびインポートできます。
企業体系コンフィギュレータでのビジネス・ユニットの作成に関する考慮事項
ビジネス・ユニットは、Oracle Fusion Applicationsにおいて管理レポート生成、トランザクションの処理およびトランザクション・データのセキュリティのために使用されます。企業体系コンフィギュレータを使用して、企業のビジネス・ユニットを自動または手動で作成します。
ビジネス・ユニットの自動作成
ビジネス・ユニットを自動で作成するには、ビジネス・ユニットを作成するレベルを指定する必要があります。企業内のビジネス・ユニットは、次の2つのレベルのいずれかで表すことができます。
-
営業、コンサルティング、製品開発などのビジネス機能レベル。
-
より詳細なレベル。運営国とそれらの国における機能の組合せごとにビジネス・ユニットが存在します。
次のレベルではビジネス・ユニットを自動作成できます。
-
国
-
国およびディビジョン
-
国およびビジネス機能
-
ディビジョン
-
ディビジョンおよび法的エンティティ
-
国およびビジネス機能
-
ビジネス機能
-
法的エンティティ
-
ビジネス機能および法的エンティティ
基本的にはビジネス要件に最も合うオプションを選択しますが、次の点に留意する必要があります。
-
Oracle Fusion Financialsを使用する場合は、財務トランザクションが処理される方法に適した法的エンティティ・オプションをお薦めします。
-
選択したビジネス・ユニット・レベルによって、アプリケーションが参照データ・セットをどのように自動作成するかが決まります。
ビジネス・ユニット・レベルを選択すると、ビジネス・ユニットのリストが生成され、アプリケーションで作成するビジネス・ユニットをそのリストから選択できます。国およびディビジョンのように2つのコンポーネントを持つレベルを選択した場合は、両方のコンポーネントがリストされた表が表示されます。2つのコンポーネントが交差する場所にあるチェック・ボックスを選択します。
リストされたビジネス・ユニットは単なる推奨であり、ビジネス・ユニット作成プロセスの簡素化を目的としたものです。推奨されたビジネス・ユニットをすべて選択する必要はありません。ESCガイド付きフローの次のページ(「ビジネス・ユニットの管理」ページ)に進むと、自動作成されたビジネス・ユニットを削除できなくなります。「ビジネス・ユニットの作成」ページに戻って、不要になったビジネス・ユニットの選択を解除する必要があります。
例: ビジネス・ユニット・レベルの選択
InFusion Corporationは、企業体系コンフィギュレータを使用して企業体系を設定しています。InFusionでは、2つのディビジョンを識別済で、LightingのディビジョンおよびSecurityのディビジョンがあります。これらのディビジョンは4つの国(米国、英国、日本、インド)で運営されており、対応する法的エンティティが各国に作成されています。インドと日本には営業機能とマーケティング機能の両方があり、米国と英国にあるのは営業機能のみです。
この図は、InFusion Corporationの企業体系を示しています。

次の表は、ビジネス・ユニット・レベルのオプションと、各オプションを選択した結果InFusion Corporationに対して推奨されるビジネス・ユニットを示しています。
ビジネス・ユニット・レベル | 推奨されるビジネス・ユニット |
---|---|
国 |
|
国およびディビジョン |
|
国およびビジネス機能 |
|
ディビジョン |
|
ディビジョンおよび法的エンティティ |
|
国およびビジネス機能 |
|
ビジネス機能 |
|
法的エンティティ |
|
法的エンティティおよびビジネス機能 |
|
ビジネス・ユニットの手動作成
ビジネス・ユニット作成のために用意されたレベルがどれもビジネス・ニーズに合わない場合は、ビジネス・ユニットの管理」ページでビジネス・ユニットを手動で作成できます。ビジネス・ユニットを手動で作成した場合、参照データ・セットが自動的に作成されることはありません。参照データ・セットも手動で作成する必要があります。
企業体系コンフィギュレータでの参照データ・セットの作成: 説明
ビジネス・ユニットを自動で作成した場合は、企業体系コンフィギュレータによって参照データ・セットが自動的に作成されます。企業体系コンフィギュレータは、各ビジネス・ユニットに対して参照データ・セットを1つずつ作成します。さらにセットを追加することは可能ですが、自動作成されたセットを削除することはできません。
企業セットと呼ばれる標準セットが事前定義されています。
共通セット
共通セットは、ビジネス・ユニット間で参照データの共有を可能にする事前定義済セットです。セット対応データをトランザクション・レベルで選択した場合、値リストには次のものに含まれるデータが表示されます。
-
共通セット
-
トランザクションのビジネス・ユニットのデータ型に関連付けられたセット
たとえば、アサイメントを作成した場合、等級の値リストには次のものに含まれる等級が表示されます。
-
共通セット
-
アサイメントを作成するビジネス・ユニットの等級に割り当てられたセット
ジョブとポジション
ジョブおよびポジションの使用に関する考慮事項
ジョブとポジションは、タスクとそれらのタスクを実行する個人の区別を可能にするロールを表します。
次の点に注意してください。
-
ジョブまたはポジションを使用する手段は、それぞれをどのように使用するかに応じて異なります。
-
ポジションは、ジョブを実行する個人とは無関係に、明確に定義されたスペースを提供します。
-
ジョブは、個人によって定義されたスペースです。
-
ジョブは共通セットでグローバルに定義できますが、ポジションは1つのビジネス・ユニット内で定義します。
-
ポジションのジョブおよび部門は、いつでも更新できます。たとえば、誰かを新しいロールに採用し、そのポジションを別の部門に転送する場合などです。
実装中の最も早い段階で行う決定の1つは、ジョブを使用するか、それともジョブとポジションの組合せを使用するかということです。この決定の決定要因は次のとおりです。
-
企業のプライマリ産業
-
個人の管理方法
企業のプライマリ産業
次の表に、プライマリ産業およびワークフォースの設定方法に関する情報を示します。
プライマリ産業 | ワークフォース設定 |
---|---|
鉱業 |
ポジション |
公益事業 |
ポジション |
製造 |
ポジション |
小売 |
ポジション |
運送および倉庫 |
ポジション |
教育サービス |
ポジション |
公共交通 |
ポジション |
農業、林業、漁業および狩猟 |
ジョブ |
建設 |
ジョブ |
卸売 |
ジョブ |
情報 |
ジョブ |
金融および保険 |
ジョブ |
専門、科学および技術サービス |
ジョブ |
会社および企業の経営 |
ジョブ |
管理およびサポート・サービス、廃棄物管理および浄化サービス |
ジョブ |
芸術、娯楽およびレジャー |
ジョブ |
宿泊および外食 |
ジョブ |
その他のサービス(行政を除く) |
ジョブ |
個人の管理
産業の従業員離職の管理方法について、次のシナリオを考慮します。
-
シナリオ1: 同じロールに再雇用することにより、従業員を入れ替える。
-
シナリオ2: ヘッドカウントを入れ替えるが、マネージャは別のジョブでヘッドカウントを使用する。
-
シナリオ3: 従業員を同じポジションに再雇用するが、マネージャは別のポストへの予算の再割当を要求する。
次の表に、これらの3つのシナリオで産業がジョブ、ポジションのどちらを使用すべきかについての提案を示します。
産業 | シナリオ1 | シナリオ2 | シナリオ3 |
---|---|---|---|
プロジェクト(会社の内外の専門家のチームがプロジェクト・マネージャに直属するプロジェクトベース形式の組織をサポートする産業。) |
ポジション |
ジョブ |
ジョブ |
管理対象(作業および報酬全般が適正に編成および整理されている高度に構造化された産業。) |
ポジション |
ポジション |
ポジション |
製造 |
ポジション |
ジョブ |
ポジション |
小売 |
ポジション |
ジョブ |
ポジション |
教育 |
ポジション |
ジョブ |
ポジション |
その他 |
ポジション |
ジョブ |
ジョブ |
ジョブ体系とポジション体系
ジョブ体系とポジション体系は、ジョブおよびポジションを定義するときに把握する必要のある追加属性の指定を可能にする付加フレックスフィールド体系です。ジョブおよびポジションの属性は、ジョブおよびポジションをより具体的にするための詳細を提供します。また、属性を使用してジョブおよびポジションの体系を定義することもできます。企業レベルではジョブおよびポジションの属性を指定でき、ビジネス・ユニット・レベルではポジションの属性、参照データ・セット・レベルではジョブの属性を指定できます。ジョブ体系とポジション体系はオプションです。
企業レベルのジョブ属性
ジョブを定義するときには、ジョブの名前の値を入力します。ジョブ名をより具体的にするには、実行される作業の性質や必要な相対的スキル・レベルなど、ジョブに関する追加の詳細を識別するための属性を設定します。これらの属性が企業内のすべてのジョブに適用される場合は、企業レベルのジョブ属性を設定します。標準機能では、分析や報酬のために、またはレポート内のレコードをグループ化するために(たとえばすべてのジョブまたは特定のジョブ・タイプを見つけるために)、名前の様々なセグメントを使用して共通ジョブやジョブ保持者を識別できます。定期的に変化する値を含む属性(毎年変わる給与範囲や経費承認レベルなど)を使用してはなりません。
次の図は、ジョブ・タイプとジョブ・レベルがHR Application Specialistジョブの詳細をどのように提供するかを示しています。

企業レベルのポジション属性
企業レベルのポジション属性はジョブのそれに似ています。定義する各ポジションにより、企業内の特定のロールを識別します(ロールはそのポジションにある個人とは別に管理できます)。ポジションは、1つの特定の部門または組織に属します。各ポジションの名前は一意である必要があります。ポジションの一意の名前を管理するプロセスを簡素化するには、企業レベルの属性を設定してポジション名の個別のコンポーネントを識別します。たとえば、ポジション・タイトルの属性とポジション番号の属性を設定できます。ポジション名の体系を構成する属性を定義するときには、属性が共通ジョブ・タイプの定義の一部であるかどうかを考慮してください。ポジションに対してジョブ・タイプを使用すると、多くの異なるポジションに適用される共通の情報を管理しやすくなります。たとえば、Manager.Level 1というジョブ・タイプを定義して、部門間またはライン間またはビジネス間でのポジション比較に使用したり、共通するジョブ要件の設定に使用することができます。その後、人事部門内に複数のマネージャ・タイプのポジションを定義し、それぞれのポジションが異なる管理機能またはグループを担当するように設定できます。
次の図は、タイトルおよびポジション番号がマネージャ・ポジションにどのように詳細を付与しているかを示しています。

ビジネス・ユニット・レベルのポジション属性
ポジションについて各ビジネス・ユニットに固有の情報を取得する必要がある場合は、ビジネス・ユニット・レベルでポジションの属性を定義できます。これらの属性は、ポジション作成時に企業レベルの属性に加えて表示されます。たとえば、営業ビジネス・ユニット内のすべてのポジションの営業地域を識別する必要があるとします。Sales Regionという名前のテキスト属性を設定し、営業ビジネス・ユニットのポジションを作成するときにその属性を使用して必要な情報を入力できるようにすることができます。
参照データ・セット・レベルのジョブ属性
特定の参照データ・セットに適用されるジョブの情報がある場合、そのジョブの属性を参照データ・セット・レベルで設定できます。これらの属性は、ジョブ作成時に企業レベルの属性に加えて表示されます。たとえば、特定のセットに含まれるすべての情報技術(IT)ジョブを識別する必要があるとします。Functionという名前のテキスト属性を設定し、ジョブの作成時にその属性を使用して、IT機能を実行するジョブにITと入力できるようにすることができます。
企業体系の初期構成に関するFAQ
企業体系の設定に企業体系コンフィギュレータを使用しないとどうなりますか。
企業体系コンフィギュレータは、ディビジョン、法的エンティティ、ビジネス・ユニットおよび参照データ・セットの設定を順を追って説明するインタビューベースのツールです。企業体系コンフィギュレータを使用しない場合は、各企業コンポーネントに対応する個々のタスクを使用して企業体系を設定する必要があります。さらに、複数の構成を設定して異なるシナリオを比較できません。企業体系を設定する場合は、企業体系コンフィギュレータを使用することをお薦めします。
セット割当を上書きするとどうなりますか。
選択したビジネス・ユニットについて、1つ以上の参照データ・グループのデフォルト参照データ・セットを上書きできます。たとえば、Vision 1 SET、Vision 2 SET、Vision 3 SETという3つの参照データ・グループがあり、Vision SET 1がビジネス・ユニットUnited Kingdom Vision 1 BUのデフォルト・セットであるとします。デフォルトを上書きして、次のようにできます。
-
等級をVision 2 SETに割り当てる。
-
部門をVision 3 SETに割り当てる。
-
ジョブをデフォルト・セットであるVision 3 SETに割り当てる。