SQL*Plusを使用したCDBの管理には、CDB内のコンテナへのアクセス、CDBの変更、CDBでのDDL文の実行、CDBでのオラクル社が提供するSQLスクリプトの実行などのタスクが含まれます。
マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)の管理は非CDBの管理と似ていますが、いくつかの違いがあります。管理タスクによって、CDB全体に該当したり、ルートにのみ該当したり、特定のプラガブル・データベース(PDB)にのみ該当することが、ほとんどの違いの原因となります。
CDB内の各コンテナのデータ・ディクショナリは分かれており、現在のコンテナのデータ・ディクショナリは、名前解決と権限の承認に使用されます。現在のコンテナは、ルートまたはPDBにできます。各セッションの現在のコンテナは、どの時点においても常に1つのみですが、セッションのコンテナは別のコンテナに切り替えることが可能です。
各コンテナにはCDB内で一意のIDと名前があります。USERENV
ネームスペースのCON_ID
およびCON_NAME
パラメータを使用すると、SYS_CONTEXT
ファンクションで現在のコンテナのIDと名前を判断できます。たとえば、次の問合せは現在のコンテナ名を返します。
SELECT SYS_CONTEXT ('USERENV', 'CON_NAME') FROM DUAL;
CDB内のコンテナには、様々な方法でアクセスできます。たとえば、SQL*PlusのCONNECT
コマンドを使用し、ALTER
SESSION
SET
CONTAINER
文を使用すると、現在のセッションのコンテナを切り替えることができます。
CDBの現在のコンテナには、次のルールが適用されます。
共通ユーザーのみの場合に、現在のコンテナはCDB$ROOT
(ルート)にできます。共通ユーザーおよびローカル・ユーザーの両方の場合に、現在のコンテナは特定のPDBにできます。
SQL文にCONTAINER = ALL
が含まれる場合、現在のコンテナはルートである必要があります。
CONTAINER
句は、CREATE USER
、ALTER USER
、CREATE ROLE
、GRANT
、REVOKE
およびALTER SYSTEM
文などのいくつかのSQL文に含めることができます。
共通にSET CONTAINER
権限が付与されている共有ユーザーのみ、CONTAINER = ALL
を含むSQL文を実行できます。
関連項目:
『Oracle Database概要』
『Oracle Database SQL言語リファレンス』
『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』
共通ユーザーがCDBの管理タスクを実行します。
共通ユーザーは1つのIDを持ち、ルート、および権限を持つすべてのPDBにログインできます。CDBインスタンスの起動などの一部のタスクは、共通ユーザーのみが実行できます。
その他の管理タスクについては、CDBと非CDBとで違いはありません。表40-1は、これらのタスクの一部についての説明と、関連ドキュメントへのポインタを示しています。
表40-1 CDBと非CDBに共通する管理タスク
タスク | 説明 | 追加情報 |
---|---|---|
CDBインスタンスの起動 |
CDBインスタンスを起動するには、現在のユーザーは、その現在のコンテナがルートである共通ユーザーである必要があります。 CDBをオープンすると、そのPDBがマウントされます。 |
|
プロセスの管理 |
CDBには、ルートとすべてのPDBによって共有された1セットのバックグラウンド・プロセスが存在します。 |
|
メモリーの管理 |
CDBには、単一のシステム・グローバル領域(SGA)および単一の集計プログラム・グローバル領域(PGA)があります。CDBで必要なメモリーは、CDBに含められるすべてのPDBのメモリー要件の合計となります。 |
|
セキュリティの管理 |
CDBでは、共通ユーザーとローカル・ユーザーを作成および削除できます。また、これらのユーザーに対して権限の追加および取消しを行うこともできます。共通ユーザーの さらに、次のロールを適切なユーザーに付与します。
|
『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』 |
エラーおよびアラートの監視 |
CDBには、CDB全体について1つのアラート・ログが存在します。PDBの名前が、トレース・ファイルのレコードに適宜書き込まれます。 |
|
診断データの管理 |
CDBでは、Oracle Databaseの障害診断インフラストラクチャおよび自動診断リポジトリ(ADR)を使用できます。 |
|
制御ファイルの管理 |
CDBには1つの制御ファイルが存在します。 |
|
オンラインREDOログ・ファイルおよびアーカイブREDOログ・ファイルの管理 |
CDBには、1つのオンラインREDOログ・ファイルおよび1セットのアーカイブREDOログ・ファイルが存在します。 |
|
表領域の管理 |
ルートおよび個々のPDBの表領域および一時表領域を作成、変更および削除できます。また、ルートのデフォルトの表領域、デフォルトの表領域タイプおよびデフォルトの一時表領域を指定することもできます。ルートには、オラクル社が提供する表領域( |
|
データファイルおよび一時ファイルの管理 |
ルートには独自のデータファイルがあり、PDBごとに独自のデータファイルがあります。CDBでは、非CDBの場合と基本的に同じ方法でデータファイルと一時ファイルを管理できます。ただし、CDBには次の例外が適用されます。
|
|
UNDOの管理 |
単一インスタンスCDBには、アクティブなUNDO表領域が1つ存在します。Oracle RAC CDBの場合、アクティブなUNDO表領域はインスタンスごとに1つ存在します。CDBでは、 適切な権限を持ち、現在のコンテナがルートである共通ユーザーのみが、UNDO表領域を作成できます。現在のコンテナがルートである場合、UNDO表領域は静的データ・ディクショナリ・ビューおよび動的パフォーマンス(V$)・ビューに表示されます。現在のコンテナがPDBである場合、UNDO表領域は動的パフォーマンス・ビューにのみ表示されます。現在のコンテナがPDBである場合、UNDO表領域を作成しようとすると失敗し、エラーは返されません。 |
|
PDB間のデータの移動 |
非CDB間でデータを移動する場合と同じ方法を使用して、PDB間でデータを移動できます。たとえば、データをトランスポートしたり、データ・ポンプ・エクスポートおよびインポートを使用してデータを移動できます。 |
『Oracle Databaseユーティリティ』 |
Oracle Managed Filesの使用 |
Oracle Managed Filesを使用すると、CDBと非CDB両方の管理を簡素化できます。 |
|
透過的データ暗号化は、個々の表の列をデータファイルに格納する前に暗号化するか、表領域全体を暗号化する機能です。CDBには、PDBごとに透過的データ暗号化の独自のマスター・キーが存在し、適用可能な場合、 |
『Oracle Database Advanced Securityガイド』 |
|
Oracle Data Guardを使用すると、CDBのフィジカル・スタンバイまたはロジカル・スタンバイを構成できます。Data Guardは、個々のPDBではなくCDB全体を操作します。 |
『Oracle Data Guard概要および管理』 |
|
Oracle Database Vaultポリシーの有効範囲は個々のPDBとなります。 |
『Oracle Database Vault管理者ガイド』 |
|
データベースの削除 |
CDBを削除すると、ルート、シードおよびそのPDBすべて(それらのデータを含む)も削除されます。
|
関連項目:
CDBのアーキテクチャの詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。
CDB内のOracle Databaseの各管理機能について、データの場所とデータの可視性を理解することが重要です。
CDBにおいて、Oracle Databaseの管理性機能のためのデータがどこに格納されるかを理解することは重要です。この機能のためデータがルートにのみ格納されている場合、PDBが切断されていると、PDBに関連するデータは含められません。ただし、この機能のためデータがPDBに格納されている場合、PDBに関連するデータはPDBが切断されていても含められ、PDBが同じCDBまたは別のCDBに接続されると、このデータはPDBの一部として存続します。
また、異なるユーザーに対して表示されるデータについて理解することも重要です。通常、CDBでは、共有ユーザーの現在のコンテナがルートである場合、共通ユーザーはルートおよび複数のPDBのデータを表示できます。共通ユーザーは、コンテナ・データ・オブジェクトを問い合せてこのデータを表示できます。表示できる特定のデータは、管理性機能によって異なります。現在のコンテナがPDBであるユーザーは、そのPDBのデータのみを表示できます。
表40-2で、CDBにおける管理性機能の動作について説明します。
表40-2 CDBにおける管理性機能
管理性機能 | データの場所 | データの可視性 | 追加情報 |
---|---|---|---|
アクティブ・セッション履歴(ASH) ASHにより、アクティブ・データベース・セッションに関する情報が収集されます。この情報を使用して、パフォーマンス上の問題を分析および識別できます。 |
ほとんどのASHデータは、メモリーに格納されます。ごく一部のASHデータ・サンプルは、ルートに格納されます。 PDBが切断されていると、PDBに関連するASHデータは含まれません。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、ルートとPDBのASHデータを表示できます。 現在のコンテナがPDBであるユーザーは、そのPDBのASHデータのみを表示できます。 |
『Oracle Database 2日でパフォーマンス・チューニング・ガイド』 『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』 |
アラート アラートとは、考えられる問題の通知です。 |
PDBに関連するしきい値設定は、PDBに格納されます。 しきい値に違反したときに転送されるアラートは、ルートのアラート・キューにエンキューされます。 PDBに関連するしきい値設定は、PDBが切断されていても含まれます。PDBが切断されていると、PDBに関連するアラートは含まれません。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、ルートおよびPDBのアラートを表示できます。 現在のコンテナがPDBであるユーザーは、そのPDBのアラートしきい値およびアラートのみを表示できます。 |
|
自動データベース・メンテナンス・タスク 自動化データベース・メンテナンス・タスクとは、データベースのメンテナンス操作を実行するために、一定の間隔をおいて自動的に開始されるタスクです。自動タスクには、自動オプティマイザ統計収集、自動セグメント・アドバイザ・タスクおよび自動SQLチューニング・アドバイザ・タスクが含まれます。 |
ユーザーは、メンテナンス期間をスケジュールして、現在のコンテナのみのメンテナンス・タスクを有効または無効にできます。現在のコンテナがルートである場合、変更はルートにのみ適用されます。現在のコンテナがPDBの場合、変更はPDBにのみ適用されます。 PDBに関連するデータは、自動オプティマイザ統計収集および自動セグメント・アドバイザのPDBに格納されます。このデータは、PDBが切断されていても含まれます。 自動SQLチューニング・アドバイザは、ルートでのみ実行されます。自動SQLチューニング・アドバイザによって収集されたデータの詳細は、この表のSQLチューニング・アドバイザの行を参照してください。 |
管理性機能(自動オプティマイザ統計収集、自動セグメント・アドバイザおよび自動SQLチューニング・アドバイザ)に関するデータの可視性の詳細は、この表の適切な行を参照してください。 |
|
自動データベース診断モニター(ADDM) ADDMを使用すると、データベースのパフォーマンスを診断して、識別された問題の解決方法を判断できます。 |
ADDMによって実行されるものはすべて、ルートで実行する必要があります。すべてのADDM結果はルートに格納されます。 ADDMにより、現在の分析ターゲットのコンテキスト内でPDBのアクティビティが分析されます。ADDMでは、一度に1つのPDBを分析するわけではありません。以前のリリースと同様に、ADDMは、インスタンス全体またはOracle RACデータベースのいずれかのターゲットを使用して実行されます。 PDBが切断されていると、PDBに関連するADDM結果は含まれません。 |
ADDM結果は、現在のコンテナがルートである共通ユーザーにのみ表示されます。ADDM結果には、複数のPDBに関する情報が含まれる場合があります。現在のコンテナがPDBである場合、ADDM結果を表示することはできません。 |
『Oracle Database 2日でデータベース管理者』 『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』 |
自動オプティマイザ統計収集 自動オプティマイザ統計収集により、データベース内に統計がないか、古い統計のみがあるすべてのスキーマ・オブジェクトに関するオプティマイザ統計を収集します。このタスクで収集された統計は、SQLの実行パフォーマンスを改善するためにSQL問合せオプティマイザによって使用されます。 |
自動オプティマイザ統計収集タスクによりPDBのデータが収集されると、このデータはPDBに格納されます。このデータは、PDBが切断されていても含まれます。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、PDBのオプティマイザ統計データを表示できます。 現在のコンテナがPDBであるユーザーは、そのPDBのオプティマイザ統計データのみを表示できます。 |
SQL*PlusでのPDBに対するOracle Resource Managerの使用 『Oracle Database SQLチューニング・ガイド』 |
自動セグメント・アドバイザ 自動セグメント・アドバイザでは、再生可能な領域が存在しているセグメントを識別し、それらのセグメントの断片化を解消する方法について推奨事項を生成します。 |
自動セグメント・アドバイザによってPDBのデータが収集されると、このデータはPDBに格納されます。このデータは、PDBが切断されていても含まれます。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、PDBの自動セグメント・アドバイザ・データを表示できます。 現在のコンテナがPDBであるユーザーは、そのPDBの自動セグメント・アドバイザ・データのみを表示できます。 |
|
自動ワークロード・リポジトリ(AWR) AWRにより、問題の検出および自己チューニングを目的として、パフォーマンス統計を収集、処理およびメンテナンスします。このデータはデータベースに格納されます。採取したデータは、レポートおよびビューで表示できます。 |
AWRデータはルートに格納されます。 PDBが切断されていると、PDBに関連するAWRデータは含まれません。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、ルートとPDBのAWRデータを表示できます。 現在のコンテナがPDBであるユーザーは、そのPDBのAWRデータのみを表示できます。 |
『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』 |
データベース・リプレイ データベース・リプレイは、Oracle Real Application Testingの機能です。データベース・リプレイは、データベースのワークロードを取得して、テスト・データベースで正確にそれをリプレイします。 |
データベースの取得およびリプレイに関する情報は、ルートに保存されます。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、データベースの取得およびリプレイの情報を表示できます。 |
『Oracle Database Testingガイド』 |
SQL管理ベース(SMB) SMBにより、文のログ、計画履歴、SQL計画ベースラインおよびSQLプロファイルが、データ・ディクショナリに格納されます。 |
PDBに関連するSMBデータは、PDBに格納されます。PDBに関連するSMBデータは、PDBが切断されていても含められます。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、PDBのSMBデータを表示できます。 現在のコンテナがPDBであるユーザーは、そのPDBのSMBデータのみを表示できます。 |
『Oracle Database SQLチューニング・ガイド』 |
SQLパフォーマンス・アナライザ(SPA) SPAでは、SQLチューニングおよびその他のシステム変更がSQLパフォーマンスに及ぼす影響を分析できます。通常、SPAはデータベース・リプレイで使用されます。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、任意のPDBのSPAを実行できます。この場合、PDBが切断されていると、SPA結果データはルートに格納され、含められません。 現在のコンテナがPDBであるユーザーは、そのPDBについてSPAを実行できます。この場合、SPA結果データはPDBに格納され、PDBが切断されていても含められます。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、PDBのSPA結果データを表示できます。 現在のコンテナがPDBであるユーザーは、そのPDBのSPA結果データのみを表示できます。 |
『Oracle Database Testingガイド』 |
SQLチューニング・セット(STS) STSは、1つ以上のSQL文とその実行統計および実行コンテキストを含むデータベース・オブジェクトで、ユーザーの優先順位ランキングを含む場合があります。 STSを使用すると、SQL文のグループをチューニングしたり、SPAを使用してパフォーマンスをテストできます。 |
STSはルートまたは任意のPDBに格納できます。ルートに格納されている場合は、任意のPDBからSQL文をロードできます。 PDBが切断されていると、STSにPDBからのSQL文が含まれている場合でも、ルートに格納されたSTSは含められません。 PDBに格納されたSTSは、PDBが切断されていても含められます。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、ルートに格納されたSTSデータのみを表示できます。 現在のコンテナがPDBであるユーザーは、そのPDBのSTSデータのみを表示できます。 |
『Oracle Database SQLチューニング・ガイド』 |
SQLチューニング・アドバイザ SQLチューニング・アドバイザでは、高負荷SQL文として識別されたSQL文が最適化されます。 |
自動SQLチューニング・アドバイザ・データは、ルートに格納されます。このデータには、PDBで実行され、アドバイザによって分析されたSQL文に関する結果が含まれていることがありますが、PDBが切断されている場合、これらの結果は含まれません。 現在のコンテナがルートである共通ユーザーは、任意のPDBからのSQL文についてSQLチューニング・アドバイザを手動で実行できます。文をチューニングすると、その文を実行する任意のコンテナでチューニングされます。 現在のコンテナがPDBであるユーザーも、PDBからのSQL文についてSQLチューニング・アドバイザを手動で実行できます。SQLチューニング・アドバイザがPDBから手動で実行される場合、その結果は実行元のPDBに格納されます。この場合、文は現在のPDB用にのみチューニングされ、PDBが切断されているとPDBに関連する結果が含まれます。 |
SQLチューニング・アドバイザが自動的に実行される場合、その結果は、現在のコンテナがルートである共通ユーザーにのみ表示されます。現在のコンテナがPDBである場合、これらの結果を表示することはできません。 SQLチューニング・アドバイザが、現在のコンテナがPDBであるユーザーによって手動で実行された場合、結果は現在のコンテナがそのPDBであるユーザーにのみ表示されます。 |
『Oracle Database 2日でパフォーマンス・チューニング・ガイド』 『Oracle Database SQLチューニング・ガイド』 |
SPAまたはSQLチューニング・アドバイザをPDBからのSQL文について実行するには、共通ユーザーに次の権限が必要です。
PDBにおける共通権限SET
CONTAINER
またはローカル権限SET
CONTAINER
PDBでSQL文を実行するために必要な権限
関連項目:
コンテナ・データ・オブジェクトの概要は、「ビューにおけるCDBおよびPDB情報の概要」を参照してください
コンテナ・データ・オブジェクトの詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。
CDBでは、異なるコンテナに異なるデータベース・オブジェクトを含めることができます。
Oracle Databaseには、表、索引、ディレクトリなどのデータベース・オブジェクトが格納されます。スキーマに所有されているデータベース・オブジェクトはスキーマ・オブジェクトと呼ばれ、スキーマによって所有されていないデータベース・オブジェクトは非スキーマ・オブジェクトと呼ばれます。ルートおよびPDBにはスキーマが含まれ、スキーマにはスキーマ・オブジェクトが含まれています。ルートおよびPDBに、ユーザー、ロール、表領域、ディレクトリ、エディションなどの非スキーマ・オブジェクトを含めることもできます。
CDBでは、ルートにはオラクル社が提供するスキーマおよびデータベース・オブジェクトが含まれています。SYS
やSYSTEM
などのオラクル社が提供する共通ユーザーは、これらのスキーマおよび共通データベース・オブジェクトを所有します。また、これらのユーザーは、ルートとPDBの両方にローカル・オブジェクトを所有することもできます。
ルートに共通ユーザーを作成して、CDBのコンテナを管理できます。ユーザーが作成した共通ユーザーは、ルートにデータベース・オブジェクトを作成できます。ルートでは、ユーザーが作成した共通ユーザーによって所有されるスキーマには、データベース・トリガーおよびそれらの定義で使用されるオブジェクトのみを含めることをお薦めします。ユーザーが作成した共通ユーザーは、PDBの任意のタイプのローカル・オブジェクトを所有することもできます。
PDBにローカル・ユーザーを作成できます。PDBのローカル・ユーザーは、PDBにスキーマ・オブジェクトおよび非スキーマ・オブジェクトを作成できます。ルートにローカル・ユーザーを作成することはできません。
CDBでの名前解決は、非CDBでの名前解決と似ていますが、ユーザーの現在のコンテナの、ディクショナリのコンテキストで名前が解決されることが異なります。
関連項目:
スキーマ・オブジェクトおよび非スキーマ・オブジェクトの詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。
共通ユーザーおよびローカル・ユーザーの概要は、『Oracle Database概要』を参照してください。
共通ユーザーおよびローカル・ユーザーの作成の詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。
SQL*Plusを使用してCDB内のコンテナにアクセスできます。
SQL*Plusを使用してCDB内のルートまたはPDBにアクセスできます。SQL*Plus CONNECT
コマンドを使用してコンテナに接続するか、またはALTER
SESSION
SET
CONTAINER
SQL文を使用してコンテナに切り替えることができます。
この項では、SQL*Plusで非CDBに接続する方法を理解していることを想定しています。詳細は、「データベースに対するコマンドとSQLの発行」を参照してください。
クライアントからは、データベース・サービスを使用してルートまたはPDBにアクセスします。データベース・サービスには、オプションのPDB
プロパティがあります。PDBが作成されると、PDBの新しいデフォルト・サービスが自動的に作成されます。サービスの名前はPDBと同じになります。サービス名を使用すると、簡易接続構文またはtnsnames.oraファイル内のネット・サービス名を使用してPDBにアクセスできます。このサービスにアクセスするクライアントには、Oracle Net Serviceが正しく構成されている必要があります。
ユーザーがnull以外のPDB
プロパティを含むサービスを使用して接続する場合、ユーザー名は指定したPDBのコンテキストで解決されます。ユーザーがサービスを指定しないか、またはnullのPDB
プロパティを含むサービス名を使用して接続する場合、ユーザー名はルートのコンテキストで解決されます。サービスのPDB
プロパティを表示するには、CDB_SERVICES
データ・ディクショナリ・ビューを問い合せるか、またはconfig
service
コマンドをSRVCTLユーティリティで実行します。
SESSIONS
初期化パラメータの設定によって、PDBに接続されたセッションなどのCDBで使用できるセッションの合計数が制限されます。CDBの制限に達すると、ユーザーはPDBに接続できなくなります。1つのPDBで過剰なセッションが使用されないようにするには、PDBでSESSIONS
初期化パラメータを設定して、PDBで使用できるセッションの数を制限できます。
注意:
同じコンピュータ・システム上の2つ以上のCDBで同じリスナーが使用され、これらのCDB内で2つ以上のPDBが同じサービス名を持つ場合、このサービス名を指定する接続は、そのサービス名のPDBの1つにランダムに接続します。不正に接続されることを回避するには、コンピュータ・システム上のPDBのすべてのサービス名が一意であることを確認するか、コンピュータ・システム上の各CDBに別のリスナーを構成します。
関連項目:
CDBのデータベース・サービスの詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。
Oracle Net Servicesの構成の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。
SQL*Plus CONNECT
コマンドを使用してルートまたはPDBに接続できます。
非CDBに接続する場合と同じ方法でルートに接続できます。
具体的には、SQL*Plus CONNECT
コマンドでルートに接続するために、次の手法を使用できます。
ローカル接続
オペレーティング・システム認証を使用したローカル接続
簡易接続を使用したデータベース接続
サービス名を使用したデータベース接続
外部認証を使用したリモート・データベース接続
ユーザーがルートに接続するには、次の前提条件を満たしている必要があります。
ユーザーは共通ユーザーである必要があります。
ユーザーは、ルートでのCREATE
SESSION
権限を付与されている必要があります。
SQL*Plus CONNECTコマンドを使用してルートに接続する手順は、次のとおりです。
SQL*Plusを起動できるよう、環境を構成します。
「SQL*Plusを使用したデータベースへの接続」を参照してください。
/NOLOG
引数を使用してSQL*Plusを起動します。
sqlplus /nolog
次の例のように、SQL*PlusのCONNECT
コマンドを発行し、ルートとして接続します。
例40-1 ローカル接続を使用したルートへの接続
この例では、ユーザーSYSTEM
としてローカルCDBのルートに接続します。SQL*Plusによって、ユーザーSYSTEM
のパスワードの入力が求められます。
connect system
例40-2 オペレーティング・システム認証を使用したルートへの接続
この例では、オペレーティング・システム認証を使用してSYSDBA
管理権限でルートにローカルに接続します。
connect / as sysdba
例40-3 ネット・サービス名を使用したルートへの接続
CDBのルートのネット・サービス名が含まれるようにクライアントが構成されていると想定します。たとえば、ネット・サービス名をtnsnames.oraファイルのエントリに含めることができます。
この例では、共通ユーザーc##dba
として、ネット・サービス名mycdb
によって指定されたデータベース・サービスに接続します。SQL*Plusによって、ユーザーc##dba
のパスワードの入力が求められます。
connect c##dba@mycdb
SQL*Plus CONNECT
コマンドを使用してPDBに接続するには、簡易接続またはネット・サービス名を使用できます。
PDBに接続するには、ユーザーは次のいずれかである必要があります。
CREATE
SESSION
権限が共通に付与されているか、PDBでローカルに付与されている共通ユーザー
CREATE
SESSION
権限を持つPDBで定義されたローカル・ユーザー
SYSDBA
、SYSOPER
、SYSBACKUP
またはSYSDG
権限を持つユーザーのみが、マウント・モードのPDBに接続できます。PDBのオープン・モードを変更するには、「PDBのオープン・モードの変更」を参照してください。
SQL*Plus CONNECTコマンドを使用してPDBに接続する手順は、次のとおりです。
SQL*Plusを起動できるよう、環境を構成します。
「SQL*Plusを使用したデータベースへの接続」を参照してください。
/NOLOG
引数を使用してSQL*Plusを起動します。
sqlplus /nolog
簡易接続またはネット・サービス名を使用してSQL*Plus CONNECT
コマンドを発行し、PDBに接続します。
例40-4 PDBへの接続
PDBごとに各PDB名と一致するネット・サービス名を持つように、クライアントが構成されていると想定します。たとえば、ネット・サービス名をtnsnames.oraファイルのエントリに含めることができます。
次のコマンドにより、salespdb
PDB内のsh
ローカル・ユーザーに接続します。
CONNECT sh@salespdb
次のコマンドにより、salespdb
PDB内のSYSTEM
共通ユーザーに接続します。
CONNECT system@salespdb
他の例は、「手順4: SQL*PlusのCONNECTコマンドの発行」を参照してください。
共通ユーザーとしてコンテナに接続している場合、ALTER SESSION
文を使用して、別のコンテナに切り替えることができます。
次の文を使用して、別のコンテナに切り替えることができます。
ALTER SESSION SET CONTAINER = container_name
container_nameについては、次のいずれかを指定します。
ルートに切り替えるにはCDB$ROOT
シードに切り替えるにはPDB$SEED
PDBに切り替えるにはPDB名
現在のコンテナがルートである場合、DBA_PDBS
ビューを問い合せると、CDB内のPDBの名前を表示できます。
ALTER
SESSION
SET
CONTAINER
文を使用する場合は、次のことを考慮する必要があります。
文が正常に完了した後、セッションの現行スキーマは、指定されたコンテナの共通ユーザーが所有するスキーマに設定されます。
文が正常に完了した後、セキュリティ・コンテキストは、指定されたコンテナの共通ユーザーが所有するスキーマのセキュリティ・コンテキストにリセットされます。
文が正常に完了した後、指定されたコンテナのログイン・トリガーは起動されません。
トリガーが必要な場合は、ALTER
SESSION
SET
CONTAINER
文が実行される前または後に起動するように、BEFOREまたはAFTER SET CONTAINER
トリガーをPDBで定義できます。
パッケージの状態は複数のコンテナにわたって共有されません。
PDBをクローズするとき、PDBに切り替えられたセッションおよびPDBに直接接続されたセッションは同様に処理されます。
トランザクションを複数のコンテナにわたって実行することはできません。トランザクションを開始し、ALTER
SESSION
SET
CONTAINER
を使用して別のコンテナに切り替えると、そのトランザクションを開始したコンテナに再び切り替えるまで、DML、DDL、COMMIT
またはROLLBACK
文を発行できなくなります。
カーソルをオープンし、ALTER
SESSION
SET
CONTAINER
を使用して別のコンテナに切り替えると、カーソルをオープンしたコンテナに再び切り替えるまで、このカーソルからデータをフェッチできなくなります。
接続プーリングおよび拡張CDB管理に、ALTER
SESSION
SET
CONTAINER
文を使用できます。
たとえば、マルチテナンシ・アプリケーションのPDBで、接続プーリングにこの文を使用できます。マルチテナンシ・アプリケーションでは、サーバー上のソフトウェアの単一インスタンスを使用して、複数の顧客(テナント)に対処します。非CDBでは、通常、アプリケーションで使用されるすべての表にテナントを識別する余分な列を追加することによってマルチテナンシがサポートされており、テナントは接続プールから接続をチェック・アウトします。PDBが含まれるCDBでは、テナントごとに独自のPDBを設定でき、接続プーリング構成でALTER
SESSION
SET
CONTAINER
文を使用できます。
ALTER
SESSION
SET
CONTAINER
文を使用するには、次の前提条件を満たしている必要があります。
現在のユーザーは共通ユーザーである必要があります。初期接続は、SQL*Plus CONNECT
コマンドを使用して確立する必要があります。
Oracle Databaseで提供されていない共通ユーザーとして、セッションを変更してPDBに切り替える場合、現在のユーザーには、SET
CONTAINER
権限が共通に付与されているか、またはこの権限がPDBでローカルに付与されている必要があります。
注意:
ALTER
SESSION
SET
CONTAINER
文を使用して現在のコンテナを切り替える場合、このような前提条件は強制されず、満たされていない場合、エラー・メッセージは返されません。
ALTER SESSION文を使用してコンテナに切り替える手順は、次のとおりです。
SQL*Plusで、必要な権限を持つ共通ユーザーとしてコンテナに接続します。
「SQL*Plus CONNECTコマンドを使用したコンテナへの接続」を参照してください。
(必要に応じて、)切替え先のコンテナの現在のオープン・モードを確認します。
ルートまたはPDBの現在のオープン・モードを確認するには、現在のコンテナがルートのときに、V$CONTAINERS
ビューでOPEN_MODE
列を問い合せます。
ルートのオープン・モードを変更する必要がある場合は、「データベースの可用性の変更」の手順に従って、オープン・モードを変更します。
PDBのオープン・モードを変更する必要がある場合は、「PDBのオープン・モードの変更」の手順に従って、オープン・モードを変更します。
ルートのオープン・モードにより、PDBのオープン・モードが制限されます。たとえば、PDBをオープンするには、ルートがオープンしている必要があります。したがって、PDBのオープン・モードを変更する前に、ルートのオープン・モードを変更することが必要な場合があります。
ALTER
SESSION
SET
CONTAINER
文を実行して、切替え先のコンテナを指定します。
次の例では、ALTER
SESSION
を使用して様々なコンテナに切り替えます。
例40-5 PDB salespdbへの切替え
ALTER SESSION SET CONTAINER = salespdb;
例40-6 ルートへの切替え
ALTER SESSION SET CONTAINER = CDB$ROOT;
CDBのコンテナ内でPL/SQLコードを実行する場合に別のコンテナで1つ以上のSQL文を実行する場合、DBMS_SQL
パッケージを使用してコンテナを切り替えます。
たとえば、複数のコンテナで同じアクションを実行する必要がある場合は、DBMS_SQL
パッケージを使用してコンテナを切り替えることができます。
コンテナの切替えにDBMS_SQL
を使用する場合、次を考慮します。
トランザクションを複数のコンテナにわたって実行することはできません。
ターゲット・コンテナ内で実行する必要のあるアクションのセットがトランザクションである必要がある場合、最終アクションとしてコミットまたはロールバックを行う、自律型のトランザクションの使用を検討します。
SET
ROLE
文は許可されていません。
例40-8 複数のコンテナでの同一のアクションの実行
次の例のPL/SQLブロックは、2つのPDB (pdb1
およびpdb2
)のhr
スキーマにidentact
表を作成します。この例では、両方のPDBのidentact
表に行も挿入します。
DECLARE c1 INTEGER; rowcount INTEGER; taskList VARCHAR2(32767) := 'DECLARE PRAGMA AUTONOMOUS TRANSACTION; BEGIN -- Create the hr.identact table. EXECUTE IMMEDIATE ''CREATE TABLE hr.identact (actionno NUMBER(4) NOT NULL, action VARCHAR2 (10))''; EXECUTE IMMEDIATE ''INSERT INTO identact VALUES(1, 'ACTION1')''; -- A commit is required if the tasks include DML. COMMIT; EXCEPTION WHEN OTHERS THEN -- If there are errors, then drop the table. BEGIN EXECUTE IMMEDIATE ''DROP TABLE identact''; EXCEPTION WHEN OTHERS THEN NULL; END; END;'; TYPE containerListType IS TABLE OF VARCHAR2(128) INDEX BY PLS_INTEGER; containerList containerListType; BEGIN containerList(1) := 'PDB1'; containerList(2) := 'PDB2'; c1 := DBMS_SQL.OPEN_CURSOR; FOR conIndex IN containerList.first..containerList.last LOOP DBMS_OUTPUT.PUT_LINE('Creating in container: ' || containerList(conIndex)); DBMS_SQL.PARSE(c => c1 , statement => taskList, language_flag => DBMS_SQL.NATIVE, edition= > NULL, apply_crossedition_trigger => NULL, fire_apply_trigger => NULL, schema => 'HR', container => containerList(conIndex)); rowcount := DBMS_SQL.EXECUTE(c=>c1); END LOOP; DBMS_SQL.CLOSE_CURSOR(c=>c1); END; /
関連項目:
DBMS_SQL
パッケージの詳細は、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。
自律型トランザクションの詳細は、『Oracle Database PL/SQL言語リファレンス』を参照してください。
CDB全体、ルートまたは1つ以上のPDBを変更できます。
ALTER
DATABASE
文はCDBを変更します。ALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文では、1つ以上のPDBのオープン・モードを変更できます。
表40-3に、ALTER
DATABASE
およびALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文の句によって変更されるコンテナをリストします。
表40-3 CDBのコンテナを変更する文
CDB全体の変更 | ルートのみの変更 | 1つ以上のPDBの変更 |
---|---|---|
現在のコンテナがルートである共通ユーザーとして接続した場合、次の句を含む
|
現在のコンテナがルートである共通ユーザーとして接続した場合、次の句を含む
次の句を含む
これらの句を使用すると、特定のPDBにデフォルト以外の値を設定できます。 |
現在のコンテナがルートである共通ユーザーとして接続した場合、次の句を含む
現在のコンテナがPDBである場合、この句を含む 現在のコンテナがルートである共通ユーザーとして接続した場合、次の句を含む
|
この項の内容は次のとおりです。
関連項目:
『Oracle Database SQL言語リファレンス』
現在のコンテナがルートである共通ユーザーとして接続した場合、ALTER
DATABASE
文は、CDBと非CDBとで同様に動作します。
ほとんどのALTER
DATABASE
文は、CDB全体に影響します。例外については、表40-3の「ルートのみの変更」列にリストされています。
RENAME
GLOBAL_NAME
句を含むALTER
DATABASE
文を使用すると、CDBのドメインが変更され、CDBのドメインにデフォルト設定された各PDBのドメインに影響を及ぼします。
現在のコンテナがルートである共通ユーザーとして接続した場合、pdb_change_state句を含むALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文を使用すると、複数のPDBのオープン・モードが変更されます。
現在のコンテナがPDBである場合、ALTER
DATABASE
文およびALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文を使用すると、現在のPDBのみが変更されます。
関連項目:
『Oracle Database SQL言語リファレンス』
CDB内表領域を管理できます。
表領域とは、記憶域を使用するデータベース・オブジェクト(表や索引など)の論理記憶域コンテナです。物理レベルでは、表領域のデータは、1つ以上のデータファイルまたは一時ファイルに格納されます。ALTER
DATABASE
文を使用すると、CDB内の表領域を管理できます。
CDBの表領域については、次のことを考慮する必要があります。
永続表領域を関連付けることができるコンテナは1つのみです。
コンテナに表領域を作成する場合、表領域はそのコンテナに関連付けられます。
CDBには、アクティブなUNDO表領域が1つ存在するか、またはOracle RAC CDBのインスタンスごとにアクティブなUNDO表領域が1つ存在します。
ルート、各PDBなど、CDB内のコンテナごとに1つのデフォルト一時表領域があります。
永続表領域を関連付けることができるコンテナは1つのみです。したがって、永続表領域はルートまたは1つのPDBと関連付けることができます。
CDB内のコンテナごとに独自のデフォルト永続表領域が存在する必要があり、デフォルト永続表領域をコンテナ間で共有することはできません。表領域を明示的に割り当てられていないユーザーがコンテナに接続された場合、コンテナのデフォルト永続表領域を使用します。
ALTER
DATABASE
文を使用して、ルートおよびPDBすべてを含むCDB全体を変更できます。ほとんどのALTER
DATABASE
文は、CDB全体を変更します。
これらの文のリストは、表40-3の「CDB全体の変更」列を参照してください。
CDB全体を変更するには、次の前提条件を満たしている必要があります。
現在のユーザーは、ALTER
DATABASE
権限を持つ共通ユーザーである必要があります。
recovery_clauseを含むALTER
DATABASE
文を実行するには、共通に現在のユーザーにSYSDBA
管理権限が付与されている必要があります。この場合、接続時にAS
SYSDBA
を使用して、この権限を行使する必要があります。
CDB全体を変更する手順は、次のとおりです。
SQL*Plusで、現在のコンテナがルートであることを確認します。
「SQL*Plusを使用したCDB内のコンテナへのアクセス」を参照してください。
CDB全体を変更する句を含むALTER
DATABASE
文を実行します。
例40-9 CDBの制御ファイルのバックアップ
このALTER
DATABASE
文では、recovery_clauseを使用して制御ファイルをバックアップします。
ALTER DATABASE BACKUP CONTROLFILE TO '+DATA/dbs/backup/control.bkp';
例40-10 CDBへのREDOログ・ファイルの追加
このALTER
DATABASE
文では、logfile_clauseを使用してREDOログ・ファイルを追加します。
ALTER DATABASE cdb ADD LOGFILE GROUP 4 ('/u01/logs/orcl/redo04a.log','/u02/logs/orcl/redo04b.log') SIZE 100M BLOCKSIZE 512 REUSE;
関連項目:
『Oracle Database SQL言語リファレンス』
ALTER
DATABASE
文を使用して、CDBのルートのみを変更できます。
現在のコンテナがルートである場合、これらのALTER
DATABASE
文を使用すると、PDBのいずれかを直接変更することなくルートが変更されます。これらの文のリストは、表40-3の「ルートのみの変更」列を参照してください。
これらの文には、CDB内のPDBにデフォルトを設定するものがあります。PDBのこれらのデフォルトを上書きするには、ALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文を使用します。
ルートを変更するには、現在のユーザーにルートでのALTER
DATABASE
権限が必要です。
ルートを変更する手順は、次のとおりです。
SQL*Plusで、現在のコンテナがルートであることを確認します。
「SQL*Plusを使用したCDB内のコンテナへのアクセス」を参照してください。
ルートを変更する句を含むALTER
DATABASE
文を実行します。
次の例では、ルートが変更されています。
現在のコンテナがルートであり、表領域を明示的に割り当てられていないユーザーは、ルートのデフォルト永続表領域を使用します。ALTER
DATABASE
文で指定された表領域は、ルートに存在している必要があります。
この文を実行すると、これ以降にルートで作成される表領域のデフォルトタイプはbigfileになります。この設定はPDBのデフォルトでもあります。
ALTER
DATABASE
文で指定された表領域または表領域グループは、ルートに存在している必要があります。
例40-11 ルートのデフォルト永続表領域の変更
このALTER
DATABASE
文では、DEFAULT
TABLESPACE
句を使用して、ルートのデフォルト永続表領域をroot_tbs
に設定します。
ALTER DATABASE DEFAULT TABLESPACE root_tbs;
例40-12 ルートのデータファイルのオンライン化
このALTER
DATABASE
文では、database_file_clauseを使用して、/u02/oracle/cdb_01.dbfデータファイルをオンライン化します。
ALTER DATABASE DATAFILE '/u02/oracle/cdb_01.dbf' ONLINE;
例40-13 ルートのデフォルト表領域タイプの変更
このALTER
DATABASE
文では、SET
DEFAULT
TABLESPACE
句を使用して、ルートのデフォルト表領域タイプをbigfileに変更します。
ALTER DATABASE SET DEFAULT BIGFILE TABLESPACE;
例40-14 ルートのデフォルト一時表領域の変更
このALTER
DATABASE
文では、DEFAULT
TEMPORARY
TABLESPACE
句を使用して、ルートのデフォルト一時表領域をroot_temp
に設定します。
ALTER DATABASE DEFAULT TEMPORARY TABLESPACE root_temp;
関連項目:
『Oracle Database SQL言語リファレンス』
PDBのオープン・モードは、ALTER
PLUGGABLE
DATABASE
のSQL文またはSQL*PlusのSTARTUP
コマンドを使用して変更できます。
PDBは様々なモードにすることができます。
表40-4で、使用可能なPDBモードについて説明します。
表40-4 PDBモード
モード | 説明 |
---|---|
|
読取り/書込みオープン・モードのPDBでは、問合せおよびユーザー・トランザクションを実行でき、ユーザーはREDOログを生成できます。 |
|
読取り専用オープン・モードのPDBでは、問合せは実行できますが、ユーザー変更を実行することはできません。 |
|
PDBが移行オープン・モードの場合は、PDBでデータベース・アップグレード・スクリプトを実行できます。
|
|
PDBは、マウント・モードでは、マウント・モードの非CDBと同じように動作します。どのオブジェクトに対する変更も許可されず、データベース管理者のみがアクセスできます。データベース・ファイルの読取りまたは書込みができません。PDBに関する情報は、メモリー・キャッシュから削除されます。PDBのコールド・バックアップを実行できます。 |
読取り/書込み、読取り専用、移行の各オープン・モードは、PDBでのRESTRICTED
SESSION
権限を持つユーザーに制限できます。
PDBがマウント・モードまたは読取り専用モードの場合、データベース管理者は、CDBの共通ユーザーおよびロールを作成、変更または削除できます。PDBのオープン・モードが、読取り/書込みモードでオープンするように変更されると、CDBによって、これらの変更がPDBに適用されます。変更が適用される前には、PDBにおける共通ユーザーおよびロールの記述が、CDBの残りの部分における説明と異なる場合があります。
PDBをオープンすると、Oracle DatabaseによってPDBとCDBとの互換性がチェックされます。互換性違反が検出されるたびに、警告またはエラーが返されます。互換性違反が警告の場合、警告はアラート・ログに記録されますが、PDBは正常にオープンされ、警告メッセージは表示されません。互換性違反がエラーの場合は、PDBをオープンするときにPDBが不正に変更されたことを示すメッセージが表示され、エラーがアラート・ログに記録されます。エラーの原因となった状況を修正する必要があります。エラーがある場合、PDBはオープンできますが、PDBへのアクセスは互換性違反に対処できるよう、RESTRICTED
SESSION
権限を持つユーザーに制限されます。PDB_PLUG_IN_VIOLATIONS
ビューを問い合せることで、違反の説明を表示できます。
関連項目:
現在のコンテナがルートの場合に1つ以上のPDBのオープン・モードを変更するには、「PDBのオープン・モードの変更」を参照してください
現在のコンテナがPDBの場合にPDBのオープン・モードを変更するには、「ALTER PLUGGABLE DATABASE文を使用したPDBの変更」を参照してください
PDBのその他の属性を変更するには、「PDBの変更」を参照してください
現在のコンテナがルートである場合、pdb_change_state句を含むALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文を使用すると、指定されたPDBのオープン・モードが変更されます。
次の表は、PDBのモードを変更するALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文の句について説明しています。
表40-5 PDBのモードを変更するALTER PLUGGABLE DATABASEの句
句 | 説明 |
---|---|
|
読取り/書込みモードでPDBをオープンします。
|
|
読取り専用モードでPDBをオープンします。
|
|
移行モードでPDBをオープンします。
|
|
PDBをマウント・モードにします。
|
ALTER
PLUGGABLE
DATABASE
OPEN
文を発行するとき、オープンするPDBが、フィジカル・スタンバイ・データベースとして使用されているCDBに属している場合にはREAD
ONLY
がデフォルトとなり、それ以外の場合はREAD
WRITE
がデフォルトとなります。
変更するPDBは、次の方法で指定できます。
1つ以上のPDBをリストします。
すべてのPDBを変更するには、ALL
を指定します。
リストされたPDBを除くすべてのPDBを変更するには、ALL
EXCEPT
を指定します。
Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC) CDBの場合、instances句を使用して、PDBを変更するインスタンスを次の方法で指定できます。
次の形式で、instances句に1つ以上のインスタンスをリストします。
INSTANCES = ('instance_name' [,'instance_name'] … )
すべての実行中のインスタンスのPDBを変更するには、次の例のように、instances句にALL
を指定します。
INSTANCES = ALL
リストされたインスタンスを除くすべてのインスタンスのPDBを変更するには、次の形式で、instancesにALL
EXCEPT
を指定します。
INSTANCES = ALL EXCEPT('instance_name' [,'instance_name'] … )
また、Oracle RAC CDBでPDBをクローズする場合、次のオプションを含むrelocate句を使用できます。
現行インスタンスでPDBをクローズするには、デフォルトであるNORELOCATE
を指定します。
指定したインスタンスでPDBを再オープンするには、RELOCATE
TO
を指定してインスタンス名を指定します。
Oracle Databaseで選択された別のインスタンス上のPDBを再オープンするには、RELOCATE
を指定します。
ALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文を使用して、PDBのオープン・モードを変更するには、次の前提条件を満たしている必要があります。
現行ユーザーには、SYSDBA
、SYSOPER
、SYSBACKUP
またはSYSDG
管理権限があり、その権限は共通に付与されているか、またはPDBでローカルで付与されている必要があります。ユーザーは、接続時にAS
SYSDBA
、AS
SYSOPER
、AS
SYSBACKUP
またはAS
SYSDG
をそれぞれ使用して、権限を行使する必要があります。
RESTRICTED
SESSION
を有効にした場合、RESTRICTED
はPDBがオープンされているときに指定する必要があります。
Oracle RAC CDBでは、PDBが1つ以上のOracle RACインスタンスでオープンしている場合、このPDBを追加インスタンスでオープンできますが、このPDBがすでにオープンしているインスタンスと同じモードでオープンする必要があります。一部のインスタンスでPDBをクローズし、他のインスタンスでオープンできます。
また、ALTER
PLUGGAGLE
DATABASE
文を使用してPDBを特定のターゲット・モードにするには、次の表で説明されている要件を満たす必要があります。
表40-6 ALTER PLUGGABLE DATABASEを使用したPDBのオープン・モードの変更
PDBのターゲット・モード | すべてのキーワードが含まれている | FORCEキーワードが含まれている | ルートに必要なモード | 変更対象のPDBごとに必要なモード |
---|---|---|---|---|
読取り/書込み |
はい |
はい |
読取り/書込み |
マウント、読取り専用または読取り/書込み |
読取り/書込み |
はい |
いいえ |
読取り/書込み |
マウントまたは読取り/書込み |
読取り/書込み |
いいえ |
はい |
読取り/書込み |
マウント、読取り専用または読取り/書込み |
読取り/書込み |
いいえ |
いいえ |
読取り/書込み |
マウント |
読取り専用 |
はい |
はい |
読取り専用または読取り/書込み |
マウント、読取り専用または読取り/書込み |
読取り専用 |
はい |
いいえ |
読取り専用または読取り/書込み |
マウントまたは読取り専用 |
読取り専用 |
いいえ |
はい |
読取り専用または読取り/書込み |
マウント、読取り専用または読取り/書込み |
読取り専用 |
いいえ |
いいえ |
読取り専用または読取り/書込み |
マウント |
移行 |
はい |
適用なし |
読取り専用または読取り/書込み |
マウント |
移行 |
いいえ |
適用なし |
読取り専用または読取り/書込み |
マウント |
マウント |
はい |
適用なし |
読取り専用または読取り/書込み |
マウント、読取り専用、移行または読取り/書込み |
マウント |
いいえ |
適用なし |
読取り専用または読取り/書込み |
読取り専用、移行または読取り/書込み |
注意:
現在のコンテナがPDBである場合に、PDBのオープン・モードを変更することもできます。「ALTER PLUGGABLE DATABASE文を使用したPDBの変更」を参照してください。
現在のコンテナがルートである場合、STARTUP
PLUGGABLE
DATABASE
コマンドを使用すると、単一のPDBをオープンできます。
STARTUP
PLUGGABLE
DATABASE
コマンドの次のオプションを使用して、PDBをオープンします。
FORCE
読取り/書込みモードで再オープンする前に、オープン状態のPDBをクローズします。このオプションが指定されている場合、他のオプションは使用できません。
RESTRICT
PDBでRESTRICTED
SESSION
システム権限を持つユーザーのみがそのPDBにアクセスできるようにします。
OPEN
READ
WRITE
もOPEN
READ
ONLY
も指定されていない場合、PDBは、属しているCDBがフィジカル・スタンバイ・データベースのときは読取り専用モードでオープンされます。そうでないときは、PDBは読取り/書込みモードでオープンされます。
OPEN
open_pdb_options
PDBを読取り/書込みモードまたは読取り専用モードでオープンします。OPEN
READ
WRITE
またはOPEN
READ
ONLY
を指定できます。他のオプションを使用しないでOPEN
を指定した場合は、READ
WRITE
がデフォルトになります。
次の前提条件を満たしている必要があります。
現行ユーザーには、SYSDBA
、SYSOPER
、SYSBACKUP
またはSYSDG
管理権限があり、その権限は共通に付与されているか、またはPDBでローカルで付与されている必要があります。ユーザーは、接続時にAS
SYSDBA
、AS
SYSOPER
、AS
SYSBACKUP
またはAS
SYSDG
をそれぞれ使用して、権限を行使する必要があります。
RESTRICTED
SESSION
を有効にした場合、RESTRICT
はPDBがオープンされているときに指定する必要があります。
また、STARTUP
PLUGGAGLE
DATABASE
コマンドを使用してPDBを特定のターゲット・モードにするには、次の表で説明されている要件を満たす必要があります。
表40-7 STARTUP PLUGGABLE DATABASEを使用したPDBのオープン・モードの変更
PDBのターゲット・モード | FORCEオプションが含まれている | ルートに必要なモード | 変更対象のPDBの必要なモード |
---|---|---|---|
読取り/書込み |
はい |
読取り/書込み |
マウント、読取り専用または読取り/書込み |
読取り/書込み |
いいえ |
読取り/書込み |
マウント |
読取り専用 |
いいえ |
読取り専用または読取り/書込み |
マウント |
注意:
現在のコンテナがPDBである場合にPDBのオープン・モードを変更するには、STARTUP
コマンドを使用することもできます。「PDBでのSTARTUP SQL*Plusコマンドの使用」を参照してください。
pdb_change_state句を指定したALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文を使用して、PDBのオープン・モードを変更できます。
SQL*Plusで、現在のコンテナがルートであることを確認します。
「SQL*Plusを使用したCDB内のコンテナへのアクセス」を参照してください。
pdb_change_state句を含むALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文を実行します。
例40-15 リストされたPDBのオープン・モードの変更
この文は、PDB salespdb
およびhrpdb
のオープン・モードを読取り/書込みモードでオープンするよう変更します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE salespdb, hrpdb OPEN READ WRITE;
この文は、PDB salespdb
のオープン・モードを読取り専用モードでオープンするよう変更します。RESTRICTED
により、PDBでのRESTRICTED
SESSION
権限を持つユーザーのみがPDBにアクセスできることを指定します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE salespdb OPEN READ ONLY RESTRICTED;
この文は、PDB salespdb
のオープン・モードを移行モードでオープンするよう変更します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE salespdb OPEN UPGRADE;
例40-16 すべてのPDBのオープン・モードの変更
次の問合せを実行して、CDBに関連付けられるPDBごとのオープン・モードを表示します。
SELECT NAME, OPEN_MODE FROM V$PDBS WHERE CON_ID > 2; NAME OPEN_MODE ------------------------------ ---------- HRPDB READ WRITE SALESPDB MOUNTED DWPDB MOUNTED
hrpdb
はすでに読取り/書込みモードであることに注意してください。salespdb
およびdwpdb
のオープン・モードを読取り/書込みモードでオープンするよう変更するには、次の文を使用します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE ALL OPEN READ WRITE;
hrpdb
PDBはすでに読取り/書込みオープン・モードであるため、変更されません。2つのPDBはマウント・モードであり、1つのPDB (hrpdb
)は指定されたモード(読取り/書込み)であるため、この文はエラーを返しません。同様に、すべてのPDBがマウント・モードである場合、この文はエラーを返しません。
ただし、いずれかのPDBが読取り専用モードである場合、この文はエラーを返します。エラーを回避してCDB内ですべてのPDBを読取り/書込みモードで開くには、FORCE
キーワードを指定します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE ALL OPEN READ WRITE FORCE;
FORCE
のキーワードが含まれていると、読取り専用モードのPDBを含むすべてのPDBは読取り/書込みモードでオープンされます。
例40-17 リストされたPDBを除くすべてのPDBのオープン・モードの変更
この文は、salespdb
およびhrpdb
を除くすべてのPDBのモードをマウント・モードに変更します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE ALL EXCEPT salespdb, hrpdb CLOSE IMMEDIATE;
注意:
PDBのオープン・モードを変更するALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文は、インスタンス固有です。したがって、Oracle RACインスタンスに接続しているときにこの文を発行する場合、この文はそのインスタンスのPDBのオープン・モードにのみ影響を及ぼします。
関連項目:
PDBのその他の属性を変更するには、「PDBの変更」を参照してください
データベース・モードおよびその使用の詳細は、「データベースの可用性の変更」を参照してください
『Oracle Database SQL言語リファレンス』
停止モードの詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。
STARTUP
PLUGGABLE
DATABASE
コマンドを使用して、単一のPDBをオープンできます。
STARTUP
PLUGGABLE
DATABASE
コマンドを使用してPDBを変更する手順は、次のとおりです。
SQL*Plusで、現在のコンテナがルートであることを確認します。
「SQL*Plusを使用したCDB内のコンテナへのアクセス」を参照してください。
STARTUP
PLUGGABLE
DATABASE
コマンドを実行します。
注意:
現在のコンテナがルートである場合、CDBインスタンスはSQL*PlusのSHUTDOWN
コマンドで常に停止されます。これを使用して個々のPDBをクローズすることはできません。
例40-18 STARTUPコマンドを使用した読取り/書込みモードでのPDBのオープン
STARTUP PLUGGABLE DATABASE hrpdb OPEN
例40-19 STARTUPコマンドを使用した読取り/書込み制限モードでのPDBのオープン
STARTUP PLUGGABLE DATABASE hrpdb RESTRICT
例40-20 STARTUPコマンドを使用した読取り専用制限モードでのPDBのオープン
STARTUP PLUGGABLE DATABASE hrpdb OPEN READ ONLY RESTRICT
例40-21 STARTUPコマンドを使用した読取り専用モードでのPDBのオープン
STARTUP PLUGGABLE DATABASE hrpdb OPEN READ ONLY
例40-22 STARTUPコマンドおよびFORCEオプションを使用した読取り/書込みモードでのPDBのオープン
この例では、hrpdb
PDBが現在オープンしていることを想定しています。FORCE
オプションによって、PDBがクローズされ、その後、読取り/書込みモードでオープンされます。
STARTUP PLUGGABLE DATABASE hrpdb FORCE
関連項目:
現在のコンテナがPDBである場合のSTARTUP
またはSHUTDOWN
コマンドの使用の詳細は、「SQL*PlusのSTARTUPおよびSHUTDOWNコマンドを使用したPDBの変更」を参照してください。
『SQL*Plus ユーザーズ・ガイドおよびリファレンス』
pdb_save_or_discard_state句を指定してALTER
PLUGGABLE
DATABASE
SQL文を使用すると、CDBの再起動時に1つ以上のPDBのオープン・モードを保持できます。
注意:
この機能は、Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)以上で使用できます。
次に示す方法で実行できます。
CDBの再起動時にPDBのモードを保持するには、SAVE STATE
を指定します。
たとえば、CDBの再起動前にPDBがオープンの読取り/書込みモードである場合、CDBの再起動後のPDBはオープンの読取り/書込みモードです。CDBの再起動前にPDBがマウント・モードの場合、CDBの再起動後のPDBはマウント・モードです。
CDBの再起動時にPDBのオープン・モードを無視するには、DISCARD STATE
を指定します。
PDBにDISCARD STATE
を指定すると、CDBの再起動後のPDBは常にマウントされます。
変更するPDBは、次の方法で指定できます。
1つ以上のPDBをリストします。
すべてのPDBを変更するには、ALL
を指定します。
リストされたPDBを除くすべてのPDBを変更するには、ALL
EXCEPT
を指定します。
Oracle RAC CDBの場合、pdb_save_or_discard_state句でinstances句を使用すると、PDBのオープン・モードを保持するインスタンスを次の方法で指定できます。
次の形式で、instances句に1つ以上のインスタンスをリストします。
INSTANCES = ('instance_name' [,'instance_name'] … )
すべての実行中のインスタンスのPDBを変更するには、次の例のように、instances句にALL
を指定します。
INSTANCES = ALL
リストされたインスタンスを除くすべてのインスタンスのPDBを変更するには、次の形式で、instancesにALL
EXCEPT
を指定します。
INSTANCES = ALL EXCEPT('instance_name' [,'instance_name'] … )
Oracle RAC CDBのPDBの場合、SAVE STATE
およびDISCARD STATE
は現行インスタンスのモードにのみ作用します。instances句に複数のインスタンスを指定している場合でも、他のインスタンスのモードには作用しません。
pdb_save_or_discard_state句を指定してALTER
PLUGGABLE
DATABASE
SQL文を発行するには、現行ユーザーにルートでのALTER
DATABASE
権限が必要です。
CDBの再起動時にPDBのオープン・モードを保持または破棄するには、次の手順を実行します。
SQL*Plusで、現在のコンテナがルートであることを確認します。
「SQL*Plusを使用したCDB内のコンテナへのアクセス」を参照してください。
pdb_save_or_discard_state句を指定してALTER
PLUGGABLE
DATABASE
文を実行します。
次の例では、CDBの再起動時に、1つ以上のPDBのオープン・モードを保持または破棄しています。
例40-23 CDB再起動時のPDBのオープン・モードの保持
この文は、CDBの再起動時にsalespdb
のオープン・モードを保持します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE salespdb SAVE STATE;
例40-24 CDB再起動時のPDBのオープン・モードの破棄
この文は、CDBの再起動時にsalespdb
のオープン・モードを破棄します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE salespdb DISCARD STATE;
例40-25 CDB再起動時の全PDBのオープン・モードの保持
この文は、CDBの再起動時にすべてのPDBのオープン・モードを保持します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE ALL SAVE STATE;
例40-26 CDB再起動時のリストされたPDBのオープン・モードの保持
この文は、CDBの再起動時にsalespdb
およびhrpdb
のオープン・モードを保持します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE salespdb, hrpdb SAVE STATE;
例40-27 CDB再起動時のリストされたPDB以外全部のオープン・モードの保持
この文は、salespdb
およびhrpdb
を除くすべてのPDBのオープン・モードを保持します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE ALL EXCEPT salespdb, hrpdb SAVE STATE;
ALTER
SYSTEM
SET
文では、CDB内の1つ以上のコンテナの初期化パラメータを動的に設定できます。
CDBでは、PDBがルートから初期化パラメータを継承する、初期化パラメータの継承モデルが使用されています。この場合の継承とは、ルートの特定のパラメータの値が特定のPDBに該当することを意味します。
PDBでは、各初期化パラメータにtrueまたはfalseの継承プロパティがあり、一部のパラメータのルート設定を上書きできます。PDBがパラメータのルート値を継承する場合、パラメータの継承プロパティはtrueです。PDBがパラメータのルート値を継承しない場合、パラメータの継承プロパティはfalseです。
一部のパラメータの継承プロパティはtrueにする必要があります。現在のコンテナがPDBである場合、その他のパラメータについては、ALTER
SYSTEM
SET
文を実行し継承プロパティを変更して、パラメータを設定できます。V$SYSTEM_PARAMETER
ビューの初期化パラメータのISPDB_MODIFIABLE
がTRUE
である場合、そのパラメータの継承プロパティにはfalseが可能です。
現在のコンテナがルートである場合、ALTER
SYSTEM
SET
文のCONTAINER
句で設定されるパラメータ値を継承するPDBが制御されます。CONTAINER
句の構文は次のとおりです。
CONTAINER = { CURRENT | ALL }
次の設定を使用できます。
デフォルトのCURRENT
は、パラメータ設定は現在のコンテナのみに適用されることを意味します。
現在のコンテナがルートである場合、そのパラメータ設定はルートおよびその継承プロパティがtrueであるすべてのPDBに適用されます。
ALL
は、そのパラメータ設定がルートおよびすべてのPDBを含むCDB内のすべてのコンテナに適用されることを意味します。
ALL
を指定すると、すべてのPDB内のパラメータの継承プロパティはtrueに設定されます。
CONTAINER
句およびそれに適用するルールの詳細は、「現在のコンテナについて」を参照してください。
CDBのルートでALTER
SYSTEM
SET
は、次のように使用します。
SQL*Plusで、現在のコンテナがルートであることを確認します。
現在のユーザーには、ALTER
SYSTEM
権限が共通して付与されている必要があります。
「SQL*Plusを使用したCDB内のコンテナへのアクセス」を参照してください。
ALTER
SYSTEM
SET
文を実行します。
注意:
特定のPDBの特定のパラメータの継承プロパティをfalseからtrueに変更したい場合、現在のコンテナがPDBであるときにALTER
SYSTEM
RESET
文を実行し、パラメータをリセットします。次の例は、OPEN_CURSORS
パラメータをリセットします。
ALTER SYSTEM RESET OPEN_CURSORS SCOPE = SPFILE;
例40-28 すべてのコンテナへの初期化パラメータの設定
このALTER
SYSTEM
SET
文では、すべてのコンテナのOPEN_CURSORS
初期化パラメータを200
に設定し、各PDBの継承プロパティをTRUE
に設定します。
ALTER SYSTEM SET OPEN_CURSORS = 200 CONTAINER = ALL;
例40-29 ルートの初期化パラメータの設定
このALTER
SYSTEM
SET
文では、ルートおよびPDBのOPEN_CURSORS
初期化パラメータを200
に設定します(このとき、パラメータの継承プロパティはtrueです)。
ALTER SYSTEM SET OPEN_CURSORS = 200 CONTAINER = CURRENT;
関連項目:
ALTER
SYSTEM
SET
文の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。
CDBでは、現在のコンテナまたはすべてのコンテナでデータ定義言語(DDL)文を実行できます。
CDBでは、DDL文をすべてのコンテナに適用できる場合も、現在のコンテナにのみ適用できる場合もあります。
影響を受けるコンテナを指定するには、CONTAINER
句を使用します。
CONTAINER = { CURRENT | ALL }
次の設定を使用できます。
CURRENT
は、文は現在のコンテナのみに適用されることを意味します。
ALL
は、文がルートおよびすべてのPDBを含むCDB内のすべてのコンテナに適用されることを意味します。
DDL文のCONTAINER
句には、次の制限があります。
「現在のコンテナについて」で説明している制限があります。
CONTAINER
句は、表40-8にリストされているDDL文でのみ使用できます。
表40-8 CDBでのDDL文およびCONTAINER句
DDL文 | CONTAINER = CURRENT | CONTAINER = ALL |
---|---|---|
|
現在のPDBにローカル・ユーザーを作成します。 |
共通ユーザーを作成します。 |
|
現在のPDBのローカル・ユーザーを変更します。 |
共通ユーザーを変更します。 |
|
現在のPDBにローカル・ロールを作成します。 |
共通ロールを作成します。 |
|
ローカル・コンテナでの権限をローカル・ユーザー、共通ユーザーまたはローカル・ロールに付与します。
|
共通オブジェクトに対するシステム権限またはオブジェクト権限を、共通ユーザーまたは共通ロールに付与します。指定された権限は、CDB全体にわたってユーザーまたはロールに付与されます。 |
|
ローカル・コンテナでの権限をローカル・ユーザー、共通ユーザーまたはローカル・ロールから取り消します。 この文では、ローカル・コンテナの指定されたユーザーまたはロールから、
|
共通オブジェクトに対するシステム権限またはオブジェクト権限を、共通ユーザーまたは共通ロールから取り消します。指定された権限は、CDB全体にわたってユーザーまたはロールから取り消されます。 この文では、指定された共通ユーザーまたは共通ロールから、 |
他のすべてのDDL文は、現在のコンテナにのみ適用されます。
ユーザー名およびロール名の通常のルールに加えて、CDBでユーザーまたはロールを作成する場合には、次のルールおよびベスト・プラクティスが適用されます。
共通ユーザーおよび共通ロールの名前のベスト・プラクティスは、共通ユーザーおよび共通ロールとローカル・ユーザーおよびローカル・ロールとの間に名前の競合が発生しないように接頭辞で開始することです。この接頭辞は、COMMON_USER_PREFIX
初期化パラメータを使用して指定します。デフォルトでは、接頭辞はC##
またはc##
です。
共通ユーザーおよび共通ロールの名前はASCII文字のみで構成する必要があります。
ローカル・ユーザーおよびローカル・ロールの名前は、COMMON_USER_PREFIX
初期化パラメータで共通ユーザーに指定した接頭辞で始めることができません。
ローカル・ユーザー名およびローカル・ロール名は、C##
またはc##
で始めることはできません。
関連項目:
『Oracle Database SQL言語リファレンス』
『Oracle Database概要』
CDBでのユーザー管理の詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。
COMMON_USER_PREFIX
初期化パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。
CDBでのALTER
SYSTEM
システム制御文の使用の詳細は、「CDBにおけるALTER SYSTEM SET文の使用方法」を参照してください。
リストされたDDL文のCONTAINER
句にCURRENT
を指定して、現在のコンテナで文を実行します。
サポートされるDDL文を表40-8に示します。
現在のユーザーは、現在のコンテナでDDL文を実行するために必要な権限を付与されている必要があります。たとえば、ユーザーを作成するには、現在のユーザーに現在のコンテナでのCREATE
USER
システム権限が付与されている必要があります。
現在のコンテナでDDL文を実行する手順は、次のとおりです。
SQL*Plusでコンテナにアクセスします。
「SQL*Plusを使用したCDB内のコンテナへのアクセス」を参照してください。
CONTAINER
がCURRENT
に設定されたDDL文を実行します。
ローカル・ユーザーのユーザー名は、COMMON_USER_PREFIX
初期化パラメータで指定した接頭辞で始めることができません。デフォルトでは、接頭辞はC##
またはc##
です。指定する表領域は、PDBに存在している必要があります。
例40-30 PDBでのローカル・ユーザーの作成
この例では、現在のPDBにローカル・ユーザーtestpdb
を作成します。
CREATE USER testpdb IDENTIFIED BY password
DEFAULT TABLESPACE pdb1_tbs
QUOTA UNLIMITED ON pdb1_tbs
CONTAINER = CURRENT;
DDL文のCONTAINER
句にALL
を指定して、CDB内のすべてのコンテナで文を実行します。
サポートされるDDL文を表40-8に示します。
次の前提条件を満たしている必要があります。
現在のユーザーは共通ユーザーである必要があります。
現在のユーザーは、DDL文を実行するために必要な権限を共通に付与されている必要があります。たとえば、ユーザーを作成するには、現在のユーザーには共通でCREATE
USER
システム権限を付与する必要があります。
CDB内のすべてのコンテナでDDL文を実行する手順は、次のとおりです。
SQL*Plusで、現在のコンテナがルートであることを確認します。
「SQL*Plusを使用したCDB内のコンテナへのアクセス」を参照してください。
CONTAINER
がALL
に設定されたDDL文を実行します。
共通ユーザーのユーザー名は、COMMON_USER_PREFIX
初期化パラメータで指定した接頭辞で始める必要があります。デフォルトでは、接頭辞はC##
またはc##
です。さらに、共通ユーザーの名前はASCII文字のみで構成する必要があります。指定する表領域は、ルートおよびすべてのPDBに存在している必要があります。
例40-31 CDBでの共通ユーザーの作成
この例では、共通ユーザーc##testcdb
を作成します。
CREATE USER c##testcdb IDENTIFIED BY password
DEFAULT TABLESPACE cdb_tbs
QUOTA UNLIMITED ON cdb_tbs
CONTAINER = ALL;
catcon.plスクリプトを使用して、Oracleが提供するSQLスクリプトをCDBで実行できます。
CDBでは、SQLスクリプトおよびSQL文を実行する場合、catcon.plスクリプトが最良の方法となります。
Oracle Databaseインストールには、複数のSQLスクリプトが含まれています。これらのスクリプトにより、データ・ディクショナリ・ビューの作成やオプションのインストールなどの操作が実行されます。
catcon.plスクリプトは、ルートおよび指定したPDBでスクリプトを正しい順序で実行でき、SQLスクリプトまたはSQL文で予期しないエラーが生成されなかったことを確認するために表示できるログ・ファイルを生成できます。また、これにより、複数のプロセスが開始され、それらのプロセスが、事前に割り当てられたスクリプトの実行を完了すると、新しいスクリプトがプロセスに割り当てられます。
注意:
catcon.plを実行するときにシードを除外しないかぎり、SQLスクリプトまたはSQL文はシード上で実行されます。
catcon.plスクリプトを使用して、CDBと非CDBの両方でスクリプトを実行できます。
catcon.plスクリプトはPerlスクリプトであり、オペレーティング・システムのプロンプトで実行される必要があります。
catcon.plスクリプトには、次の構文およびパラメータが含まれています。
$ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl [-u username[/password]] [-U username[/password]] [-d directory] [-l directory] [{-c|-C} container] [-p parallelism] [-e] [-s] [-E { ON | errorlogging-table-other-than-SPERRORLOG } ] [-I] [-g] [-f] -b log_file_name_base -- { SQL_script [arguments] | --x'SQL_statement' }
--x
SQL_statementは、1文字のパラメータが続く場合、前に--
を付けます。--x
SQL_statementの前にスクリプト名または別の--x
SQL_statementを指定する場合、前の--
は付けません。また、SQL文は一重引用符で囲む必要があります。
SQLスクリプトにコマンドライン・パラメータは、--p
を使用して導入します。SQLスクリプトに対話型(シークレット)パラメータは、--P
を使用して導入します。
表40-9で、catcon.plパラメータについて説明します。
表40-9 catcon.plパラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
(オプション)ルートおよび指定されたPDBに接続するユーザー名およびパスワードを指定します。SQLスクリプトまたはSQL文を実行するために必要な権限を持つ共通ユーザーを指定します。デフォルトは |
|
(オプション)ルートおよび指定されたPDBに接続するユーザー名およびパスワードを指定します。CDBメタデータに対し問合せを実行するなどの内部タスクを実行するには、必要な権限を持つ共通ユーザーを指定します。デフォルトは |
|
(オプション)SQLスクリプトを含むディレクトリ。デフォルトは、ユーザーの現行のディレクトリです。 |
|
(オプション) catcon.plによってログ・ファイルが書き込まれるディレクトリ。デフォルトは、ユーザーの現行のディレクトリです。 |
|
(オプション) SQLスクリプトを実行するコンテナまたは実行しないコンテナ。
一重引用符で囲まれたPDB名のスペース区切りリストで、コンテナを指定します。
|
|
(オプション)並列度を指定する整数。 このパラメータは、ホスト上で現在起動されているcatcon.plスクリプトの数を指定します。 |
|
(オプション)スクリプト実行時のエコーを |
|
(オプション)すべてのスクリプトの出力を次の名前でファイルにスプーリングします。 log-file-name-base_script-name-without-extension_[container-name-if-any].default-extension |
|
(オプション)
エラー・ロギング表の詳細は、『SQL*Plusユーザーズ・ガイドおよびリファレンス』を参照してください。 |
|
(オプション) |
|
(オプション)デバッグ情報の生成をオンにします。 |
|
(オプション)クローズされているPDBあるいは このオプションを指定せず、指定されたPDBの一部が存在しなかったり、オープンされていない場合、エラーが返されてコンテナは処理されません。 |
|
(必須)ログ・ファイル名のベース名。 |
catcon.plスクリプトの実行を例で示します。
catcon.plで実行されるSQLスクリプトまたはSQL文によって、データ操作言語(DML)またはデータ定義言語(DDL)の各操作を実行する場合、変更対象のコンテナは、読取り/書込みモードである必要があります。「PDBのオープン・モードの変更」を参照してください。
catcon.plスクリプトを実行する手順は、次のとおりです。
コマンドライン・プロンプトをオープンします。
catcon.plスクリプトを実行し、1つ以上のSQLスクリプトまたはSQL文を指定します。
$ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl parameters SQL_script $ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl parameters -- --xSQL_statement
catcon.plスクリプトの実行例
次の例では、catcon.plスクリプトを実行しています。
例40-32 CDB内のすべてのコンテナにおけるcatblock.sqlスクリプトの実行
この例では、CDBのすべてのコンテナでcatblock.sqlスクリプトを実行します。
$ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -u SYS -d $ORACLE_HOME/rdbms/admin -b catblock_output catblock.sql
次のパラメータが指定されます。
-u
パラメータは、SYS
ユーザーが各コンテナでスクリプトを実行することを指定します。
-d
パラメータは、SQLスクリプトが$ORACLE_HOME/rdbms/adminディレクトリに存在することを指定します。
-b
パラメータでは、ログ・ファイル名のベース名がcatblock_outputであることを指定します。
デフォルトのパラメータ値は、その他すべてのパラメータに使用されます。-c
と-C
のいずれのパラメータも指定されていません。したがって、catcon.plにより、デフォルトですべてのコンテナにおいてスクリプトが実行されます。
例40-33 特定のPDBにおけるcatblock.sqlスクリプトの実行
この例では、CDB内のPDB hrpdb
およびsalespdb
で、catblock.sqlスクリプトが実行されます。
$ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -u SYS -U SYS -d $ORACLE_HOME/rdbms/admin -l '/disk1/script_output' -c 'HRPDB SALESPDB' -b catblock_output catblock.sql
次のパラメータが指定されます。
-u
パラメータは、SYS
ユーザーが各コンテナでスクリプトを実行することを指定します。
-U
パラメータは、SYS
ユーザーが内部タスクを実行することを指定します。
-d
パラメータは、SQLスクリプトが$ORACLE_HOME/rdbms/adminディレクトリに存在することを指定します。
-l
パラメータは、出力ファイルが/disk1/script_outputディレクトリに配置されることを指定します。
-c
パラメータは、SQLスクリプトがPDB hrpdb
およびsalespdb
で実行されることを指定します。スクリプトは、CDB内の他のコンテナでは実行されません。
-b
パラメータでは、ログ・ファイル名のベース名がcatblock_outputであることを指定します。
例40-34 特定のPDBを除くすべてのコンテナにおけるcatblock.sqlスクリプトの実行
この例では、PDB hrpdb
およびsalespdb
を除くCDB内のすべてのコンテナで、catblock.sqlスクリプトを実行します。
$ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -u SYS -d $ORACLE_HOME/rdbms/admin -l '/disk1/script_output' -C 'HRPDB SALESPDB' -b catblock_output catblock.sql
次のパラメータが指定されます。
-u
パラメータは、SYS
ユーザーが各コンテナでスクリプトを実行することを指定します。
-d
パラメータは、SQLスクリプトが$ORACLE_HOME/rdbms/adminディレクトリに存在することを指定します。
-l
パラメータは、出力ファイルが/disk1/script_outputディレクトリに配置されることを指定します。
-C
パラメータは、PDB hrpdb
およびsalespdb
を除くCDB内のすべてのコンテナで、SQLスクリプトを実行することを指定します。
-b
パラメータでは、ログ・ファイル名のベース名がcatblock_outputであることを指定します。
例40-35 コマンドライン・パラメータを使用したSQLスクリプトの実行
この例は、CDB内のすべてのコンテナに対し、custom_script.sqlスクリプトを実行します。
$ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -u SYS -d /u01/scripts -b custom_script_output custom_script.sql '--phr' '--PEnter password for user hr:'
次のパラメータが指定されます。
-u
パラメータは、SYS
ユーザーが各コンテナでスクリプトを実行することを指定します。
-d
パラメータは、SQLスクリプトが/u01/scriptsディレクトリ内にあることを指定します。
-b
パラメータは、ログ・ファイル名のベース名がcustom_script_outputであることを指定します。
--p
パラメータは、コマンドライン・パラメータに対してhr
を指定します。
--P
パラメータは、ユーザーhr
のパスワードを求める対話型パラメータを指定します。
デフォルトのパラメータ値は、その他すべてのパラメータに使用されます。-c
と-C
のいずれのパラメータも指定されていません。したがって、catcon.plにより、デフォルトですべてのコンテナにおいてスクリプトが実行されます。
例40-36 CDB内のすべてのコンテナにおけるSQL文の実行
この例では、CDBのすべてのコンテナでSQL文を実行します。
$ORACLE_HOME/perl/bin/perl $ORACLE_HOME/rdbms/admin/catcon.pl -u SYS -e -b select_output -- --x"SELECT * FROM DUAL"
次のパラメータが指定されます。
-u
パラメータは、SYS
ユーザーが各コンテナでスクリプトを実行することを指定します。
-e
パラメータは、SQL文に対する出力を表示します。
-b
パラメータは、ログ・ファイル名のベース名がselect_outputであることを指定します。
SQL文SELECT * FROM DUAL
は引用符で囲まれ、前に--x
が付きます。--x
の前には1文字のパラメータ(-b
)が指定されているため、--
を前に付ける必要があります。
デフォルトのパラメータ値は、その他すべてのパラメータに使用されます。-c
と-C
のいずれのパラメータも指定されていません。したがって、catcon.plにより、デフォルトですべてのコンテナにおいてSQL文が実行されます。
CDBインスタンスは、非CDBインスタンスを停止する場合と同じ方法で停止できます。
次の前提条件を満たしている必要があります。
CDBインスタンスは、マウントされているか、またはオープンしている必要があります。
現在のユーザーは、SYSDBA
、SYSOPER
、SYSBACKUP
またはSYSDG
の管理権限を持つ共通ユーザーである必要があります。CDBを停止するには、ユーザーは接続時にAS
SYSDBA
、AS
SYSOPER
、AS
SYSBACKUP
またはAS
SYSDG
をそれぞれ使用して、権限を行使する必要があります。
CDBを停止する手順は、次のとおりです。
SQL*Plusで、現在のコンテナがルートであることを確認します。
「SQL*Plus CONNECTコマンドを使用したコンテナへの接続」を参照してください。
CDBインスタンスを停止します。