次の項では、データベースへのクライアント接続の要素について説明します。
接続記述子
クライアントは、接続記述子を使用して接続先のデータベースを指定します。この接続記述子には、プロトコルとデータベース・サービス名が含まれています。データベースには複数のサービス名を定義できるため、接続するサービスの名前を接続記述子に指定する必要があります。事前構成されたデータベースでは、サービス名は1つしかなく、デフォルトでグローバル・データベース名に設定されています。
次の例は、クライアントがmydb.us.example.com
というサービス名のデータベースに接続できるようにする接続記述子を示しています。
DESCRIPTION= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=my-server)(PORT=1521)) (CONNECT_DATA= (SERVICE_NAME=mydb.us.example.com))
接続要求
ユーザーは接続文字列を指定することで接続要求を開始します。接続文字列には、ユーザー名とパスワード、および接続識別子が含まれています。この接続識別子は、接続記述子そのもの、または1つ以上のリポジトリに格納されたマッピング情報を使用して接続記述子に解決される名前です。リポジトリへのアクセスには、「ネーミング・メソッド」で説明するネーミング・メソッドを使用します。この名前をネット・サービス名と呼びます。
ネーミング・メソッド
ネーミング・メソッドとは、クライアント・アプリケーションがデータベース・サービスへの接続を試みるときに、接続識別子を接続記述子に解決するために使用する解決方法です。
Oracle Netでは、次のネーミング・メソッドがサポートされています。
簡易接続ネーミング
簡易接続ネーミング・メソッドでは、クライアントはホスト名とサービス名で構成されるTCP/IP接続文字列のみを使用してOracle Databaseに接続できます。簡易接続ネーミング・メソッドは構成の必要がありません。簡易接続ネーミングの例は、「クライアント・コンピュータからOracle Databaseへの接続」を参照してください。
ローカル・ネーミング
ローカル・ネーミング・メソッドでは、ネット・サービス名によって識別される接続記述子がtnsnames.ora
というクライアント構成ファイルに格納されます。このファイルは、ORACLE_HOME
/network/admin
ディレクトリにあります。Oracle Database Configuration Assistant(DBCA)を使用してデータベースを作成する場合、ローカル・ネーミングは自動的に構成されます。その後、Net Configuration Assistantを使用して接続記述子およびその接続記述子に対応するネット・サービス名を作成する必要があります。
ディレクトリ・ネーミング
ディレクトリ・ネーミングでは、データベース・サービス、ネット・サービス名またはネット・サービス別名がLDAP準拠のディレクトリ・サーバーに格納された接続記述子に解決されます。
関連項目:
Oracle Database Net Services管理者ガイド
データベース・サービスの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。