Oracle ACFSタグ付けは共通の名前付け属性をファイルのグループに割り当てます。Oracle ACFSレプリケーションはこのタグを使用して、別のリモート・クラスタ・サイトへのレプリケーション用にユニークなタグ名のファイルを選択することができます。タグ付けオプションにより、Oracle ACFSファイルシステム全体をレプリケートする必要がなくなります。
Oracle ACFSは拡張属性を使用してタグ付けを実装します。編集ツールやバックアップ・ユーティリティの中には、デフォルトで元のファイルの拡張属性を保持しないものがあり、特定のスイッチを設定する必要があります。次のリストに、Oracle ACFSタグ名が元のファイルで保存されるようにするための、共通のユーティリティに対する必要な要件とスイッチ設定を示します。
cpコマンドでは、タグ名を保存するためのフラグが必要です。
Linuxにcoreutilsライブラリ(バージョンcoreutils-5.97-23.el5_4.1.src.rpmまたはcoreutils-5.97-23.el5_4.2.x86_64.rpm以降)をインストールして、--preserve=xattrスイッチを使用して拡張属性の保存をサポートするcpコマンドと、スイッチを使用せずに拡張属性の保存をサポートするmvコマンドのバージョンをインストールします。
cpは、シンボリック・リンク・ファイルに割り当てられたタグ名を保存しません。
ファイルおよびディレクトリ上にタグ名を保存するために必要なcpスイッチは、次のとおりです。
Linux: --preserve=xattr
Solaris: -@
AIX: -U
Windows: スイッチは不要です。
cpioファイル転送ユーティリティでは、タグ名を保存するためのフラグが必要です。
ファイルおよびディレクトリ上にタグ名を保存するために必要なcpioスイッチは、次のとおりです。
Linux: cpioはタグ名を保存しません。
Solaris: -@は、ファイルおよびディレクトリのタグ名の保存またはリストアのために必要ですが、シンボリック・リンク・ファイルのタグ名を保存しません。
AIX: -Uは、ファイルおよびディレクトリのタグ名の保存またはリストアのために必要ですが、シンボリック・リンク・ファイルのタグ名を保存しません。
Windows: 使用できません。
emacsでは、backup-by-copyingオプションが非nil値に設定され、バックアップ・コピーではなく元のファイル名のタグ名が保存されます。このオプションは.emacsファイルに追加される必要があります。
paxファイル転送ユーティリティでは、タグ名を保存するためのフラグが必要です。
ファイルおよびディレクトリ上にタグ名を保存するために必要なpaxスイッチは、次のとおりです。
Linux: paxはタグ名を保存しません。
Solaris: -@は、ファイルおよびディレクトリのタグ名の保存またはリストアのために必要ですが、シンボリック・リンク・ファイルのタグ名を保存しません。
AIX: -Uは、ファイルおよびディレクトリのタグ名の保存またはリストアのために必要ですが、シンボリック・リンク・ファイルのタグ名を保存しません。
Windows: 使用できません。
rsyncファイル転送ユーティリティでは、タグ名を保存するためのフラグが必要です。
ファイルおよびディレクトリ上にタグ名を保存するために必要なrsyncスイッチは、次のとおりです。
Linux: -X -lは、ファイルおよびディレクトリのタグ名の保存のために必要ですが、これらのスイッチは、シンボリック・リンク・ファイルのタグ名を保存しません。
Solaris: rsyncはタグ名を保存しません。
AIX: 使用できません。
Windows: 使用できません。
tarバックアップ・ユーティリティでは、ファイル上でタグ名を保存するために、コマンドラインでフラグを設定できます。ただし、tarは、シンボリック・リンク・ファイルに割り当てられたタグ名を保持しません。
Windowsでのtarバックアップ・ユーティリティでは、拡張属性を保存するためのスイッチが存在しないので、現在、タグ名の保持はサポートされません。
ファイルおよびディレクトリ上にタグ名を保存するために必要なtarスイッチは、次のとおりです。
Linux: --xattrs
Solaris: -@
AIX: -U
Windows: tarはタグ名を保存しません。
vimまたはviエディタでは、ファイルのバックアップ・コピーを作成し、元のファイルを上書きするために、.vimrc (Linux)または_vimrc (Windows)ファイルに、set bkc=yesオプションが必要です。これは元のファイルのタグ名を保存します。
LinuxでOracle ACFSタグ付け機能を使用するには、ASMおよびADVMのディスク・グループの互換性属性が11.2.0.2以上に設定されていることが必要です。WindowsでOracle ACFSタグ付け機能を使用するには、ASMおよびADVMのディスク・グループの互換性属性が11.2.0.3以上に設定されていることが必要です。SolarisまたはAIXでOracle ACFSタグ付け機能を使用するには、ASMおよびADVMのディスク・グループの互換性属性が12.1以上に設定されていることが必要です。ディスク・グループの互換性の詳細は、「ディスク・グループの互換性」を参照してください。
Oracle ACFSファイルシステムのタグ付けを構成し管理するには、「Oracle ACFSファイルシステムのタグ付け」および「タグ付け用のOracle ACFSコマンドライン・ツール」で説明している、acfsutil tagコマンドライン機能を使用します。Oracle ACFSタグ付けのアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)の詳細は、「Oracle ACFSタグ付けの汎用アプリケーション・プログラミング・インタフェース」を参照してください。