インテリジェント・データ配置により、最高のパフォーマンスを実現するためにOracle ASMディスク上のディスク・リージョンを指定できます。ディスク・リージョン設定を使用すると、アクセス頻度の高いデータを、より高速でバンド幅も大きい一番外側の(ホット)トラックに確実に配置できます。また、アクセス・パターンが似ているファイルは物理的に近くに配置され、待機時間が短縮されます。異なるホット・リージョンまたはコールド・リージョンに、プライマリ・エクステントおよびミラー・エクステントを配置することもできます。
インテリジェント・データ配置の設定は、ファイルまたはディスク・グループのテンプレートで指定できます。ディスク・リージョン設定は、ディスク・グループの作成後に変更できます。ディスク・リージョン設定により、アクセス頻度の高いデータほどスピンドルから遠いリージョンに配置することでI/Oパフォーマンスを改善できる一方、ディスク上の使用可能領域を増やすことによりコスト削減になります。
インテリジェント・データ配置は、次の場合に最も効果を発揮します。
異なる速度でアクセスされるデータファイルのあるデータベース。同じ方法ですべてのデータファイルにアクセスするデータベースでは、インテリジェント・データ配置の効果を期待できません。
いっぱいの部分が25%を超えるディスク・グループ。いっぱいの部分が25%のみのディスク・グループの場合は、管理オーバーヘッドに対する効果を期待できません。
メディアの最後に比べて最初の方がパフォーマンスが高いディスク。インテリジェント・データ配置では、ディスクの形状を利用するため、JBOD(単純ディスク束)に適しています。対照的に、連結されたボリュームで構成されるLUNを持つストレージ・アレイは、Oracle ASMから形状をマスクします。
インテリジェント・データ配置を使用するには、COMPATIBLE.ASM
およびCOMPATIBLE.RDBMS
ディスク・グループ属性を11.2
以上に設定する必要があります。
インテリジェント・データ配置は、ALTER
DISKGROUP
ADD
またはMODIFY
TEMPLATE
SQL文とALTER
DISKGROUP
MODIFY
FILE
SQL文を使用して管理できます。
テンプレートでhot
/mirrorhot
またはcold
/mirrorcold
リージョンを設定するためのディスク・リージョン句が含まれるALTER
DISKGROUP
TEMPLATE
SQL文:
ALTER DISKGROUP data ADD TEMPLATE datafile_hot ATTRIBUTE ( HOT MIRRORHOT);
hot
/mirrorhot
またはcold
/mirrorcold
リージョンのディスク・リージョン属性を設定するALTER
DISKGROUP
MODIFY
FILE
SQL文:
ALTER DISKGROUP data MODIFY FILE '+data/orcl/datafile/users.259.679156903'
ATTRIBUTE (
HOT
MIRRORHOT);
ファイルのディスク・リージョン設定を変更すると、ファイルの新しいエクステントには適用されますが、リバランス操作を行わないかぎり既存のファイル内容には影響しません。均衡の再調整を手動で開始することで、新しいインテリジェント・データ配置ポリシーを既存のファイルの内容に適用できます。均衡の再調整操作では、最後に指定したポリシーがファイル・エクステントに対して使用されます。リバランス操作の詳細は、「ディスク・グループの手動リバランス」を参照してください。
Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)では、ディスク・グループの変更時のテンプレート作成でインテリジェント・データ配置をサポートしています。「ASMCAによるディスク・グループの管理」を参照してください。
インテリジェント・データ配置情報を参照するには、「ディスク・リージョン情報の表示」および「iostat」を参照してください。