デフォルトでは、ほとんどのパラメータがデフォルト値に設定されていて、すべてのインスタンスで同じ値です。ただし、多くの初期化パラメータに対しては、表3-3に記載されているとおり、各インスタンスで別々の値も設定できます。これ以外のパラメータは、次の項で説明されているように、一意または同一である必要があります。
表3-3に、Oracle RACデータベースで特に使用される初期化パラメータのサマリーを示します。
関連項目:
これらの初期化パラメータとその他の初期化パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。
表3-3 Oracle RACに固有の初期化パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
ACTIVE_INSTANCE_COUNT |
この初期化パラメータは、Oracle RAC 11gリリース2 (11.2)で非推奨になりました。かわりに、1つの優先インスタンスと1つの使用可能なインスタンスを伴うサービスを使用します。 |
ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS |
ミラー・データのコピーの読取り元の優先ディスクにする一連のディスクを指定します。このパラメータに設定する値はインスタンス固有で、すべてのインスタンスで同じにする必要はありません。 |
CLUSTER_DATABASE |
クラスタ・モードで起動するデータベースを使用可能にするパラメータです。このパラメータを |
CLUSTER_DATABASE_INSTANCES |
Oracle RACはこのパラメータを使用して、十分なメモリー・リソースを割り当てます。すべてのインスタンスに同じ値を設定する必要があります。
また、インスタンスを追加する場合、現行のインスタンスの数より大きい値をこのパラメータに設定できます。ポリシー管理データベースで、このパラメータにより大きい値を設定する必要があるのは、16を超えるインスタンスでデータベースを実行する場合のみです。この場合、パラメータには、このデータベースを実行するインスタンスの予想最大数を設定します。 |
CLUSTER_INTERCONNECTS |
複数のインターコネクトが存在する場合、プライベート・ネットワークの代替クラスタ・インターコネクトを指定します。 注意:
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DB_NAME |
インスタンス固有のパラメータ・ファイルで |
DISPATCHERS |
少なくとも、
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GCS_SERVER_PROCESSES |
この静的パラメータでは、Oracle RACインスタンスのグローバル・キャッシュ・サービス(GCS)のサーバー・プロセスの初期数を指定します。GCSプロセスでは、Oracle RACインスタンスのインスタンス間トラフィックのルーティングが管理されます。GCSサーバー・プロセスのデフォルト数は、最小が2で、システム・リソースに基づいて計算されます。CPUが1つのシステムでは、1つのGCSサーバー・プロセスがあります。CPUが2つから8つのシステムでは、2つのGCSサーバー・プロセスがあります。CPUが9つ以上あるシステムでは、GCSサーバー・プロセスの数は、CPUの数を4で割り、端数を切り捨てた数と同じになります。たとえば、CPUが10ある場合は10を4で割るため、システムには2つのGCSプロセスがあることになります。異なるインスタンスで、このパラメータを異なる値に設定できます。 |
INSTANCE_NAME |
一意のインスタンス名を指定します。クライアントは、この名前を使用して、セッションをクラスタ内の特定のインスタンスに強制的に接続します。通常、 注意: グリッドのプラグ・アンド・プレイ環境では、 |
RESULT_CACHE_MAX_SIZE |
クラスタ化されたデータベースでは、すべてのインスタンスで
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SERVICE_NAMES |
サービスを使用する場合は、 注意: クライアント接続ではインスタンス名ではなくサービスを使用することをお薦めします。 |
SPFILE |
SPFILEを使用する場合は、Oracle RACデータベースのすべてのインスタンスがSPFILEを使用し、このファイルが共有記憶域に存在する必要があります。 |
THREAD |
インスタンスで使用されるREDOスレッドの数を指定します。使用可能な未使用のREDOスレッド番号であれば、どれでも指定できます。指定する場合、このパラメータの値はすべてのインスタンスに対して一意である必要があります。 |
データベースの作成に重要な特定の初期化パラメータ、または特定のデータベース操作に影響する特定の初期化パラメータは、Oracle RACデータベースの各インスタンスで同じ値を設定する必要があります。これらのパラメータ値は、SPFILEに指定するか、または各インスタンスの個別のPFILEで指定します。次のリストに、すべてのインスタンスで同一である必要があるパラメータを示します。
COMPATIBLE
CLUSTER_DATABASE
CONTROL_FILES
DB_BLOCK_SIZE
DB_DOMAIN
DB_FILES
DB_NAME
DB_RECOVERY_FILE_DEST
DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
DB_UNIQUE_NAME
INSTANCE_TYPE
(RDBMSまたはASM)PARALLEL_EXECUTION_MESSAGE_SIZE
REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE
UNDO_MANAGEMENT
すべてのインスタンスで、次のパラメータを同じにする必要があるのは、パラメータの値が0(ゼロ)に設定されている場合のみです。
ポリシー管理データベースで一意の設定を持つパラメータを設定する必要がある場合は、データベースのサーバー・プールに割り当てられる各サーバーに対してsrvctl modify instance -n
node_name
-i
instance_name
コマンドを実行することにより、インスタンスが特定のノードで常に同じ名前を使用するようにできます。その後、パラメータの一意の値をinstance_name
に指定できます(この値は、node_name
上でデータベースが実行されるときに使用されます)。
データベース名と、インスタンスに割り当てられたINSTANCE_NAME番号で構成される環境変数
ORACLE_SID
を指定します。
CLUSTER_INTERCONNECTS
初期化パラメータを使用して、Oracle Clusterwareがプライベート・ネットワークに使用している代替インターコネクトを指定します。CLUSTER_INTERCONNECTS
初期化パラメータを設定すると、Oracle RACデータベースの各インスタンスに対して一意の値が使用されます。
関連項目:
CLUSTER_INTERCONNECTS
初期化パラメータの詳細は、「LinuxおよびUNIXプラットフォームでの複数のクラスタ・インターコネクトの管理」を参照してください
Oracle Databaseは、INSTANCE_NUMBER
パラメータを使用して起動時にインスタンスを識別し、INSTANCE_NAME
パラメータを使用して特定のインスタンスにREDOログ・グループを割り当てます。インスタンス名はdb_unique_name_instance_number
の形式にすることが可能で、名前と番号がアンダースコアで区切られたこの形式の場合、アンダースコアの後の番号がINSTANCE_NUMBER
として使用されます。グリッドのプラグ・アンド・プレイを使用するOracle Database 11.2では、ポリシー管理データベースのインスタンス番号を明示的に割り当てる必要がなくなり、インスタンス名はデフォルトのdb_unique_name_instance_number
に設定され、Oracle Databaseによってインスタンス番号が割り当てられます。
自動UNDO管理を使用可能にしてUNDO_TABLESPACE
を指定する場合、各インスタンスでこのパラメータに一意のUNDO表領域名を設定します。
ROLLBACK_SEGMENTS
パラメータを使用する場合は、SPFILEでSID
識別子を使用して、これらのパラメータに一意の値を設定することをお薦めします。ただし、各インスタンスのINSTANCE_NUMBER
に一意の値を設定する必要があり、デフォルト値は使用できません。
ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS
初期化パラメータを使用すると、優先読取り障害グループ名のリストを指定できます。これらの障害グループのディスクは、優先読取りディスクになります。したがって、すべてのノードはそのローカル・ディスクから読み取ることができます。この結果、効率およびパフォーマンスが向上し、ネットワーク・トラフィックが削減されます。このパラメータの設定はインスタンス固有で、すべてのインスタンスで同じにする必要はありません。
表3-4のパラメータには、すべてのインスタンスで同じ値を設定することをお薦めします。これらのパラメータにはインスタンスごとに異なる値を設定できますが、すべてのインスタンスでパラメータに同じ値を設定すると管理が簡単です。
表3-4 すべてのインスタンスで同じ値を設定する必要があるパラメータ