プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Real Application Clustersインストレーション・ガイド
12c リリース1 (12.1) for Linux and UNIX Systems
B71325-07
  目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
 
次
 

1 インストール前のチェックリスト

この章は、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)のインストールを実行するための準備として、システム管理者およびストレージ管理者と協力してOracle Clusterwareのインストールを調整し、タスクを計画するデータベース管理者を対象にしています。この章の内容は次のとおりです。

1.1 インストール計画の概要

この項では、Oracle ClusterwareおよびOracle RACのインストールを開始する前に実行することを推奨する作業のリストを示します。システム管理者、ストレージ管理者、ネットワーク管理者、データベース管理者、およびハードウェアとソフトウェアのサード・パーティ・ベンダーからなる大規模なプロジェクト・チームが存在するデータ・センターに属する場合も、1人のプロジェクト・チームの場合も、インストールを円滑に進めるには計画は重要です。

ここでは、ハードウェアのサイジングまたは容量計画を決定する方法については説明しません。Oracle ClusterwareおよびOracle RACでは、テスト目的、またはワークロードの増加に対応するために、必要に応じてノードおよびインスタンスを追加できます。

インストールの計画時に、次の手順を確認して実行します。

1.1.1 My Oracle Supportの確認

Oracle Database 12cリリース1 (12.1)をインストールするかどうかを決定する前に、My Oracle Supportにログオンします。

https://support.oracle.com

My Oracle Supportを使用するには、オンライン登録する必要があります。


注意:

My Oracle Supportアカウントを持っていない場合は、Oracleサポート・サービスに連絡してください。

インストールの動作保証にアクセスするには、次の手順を実行します。

  1. My Oracle Supportにログオンします。

  2. 「動作保証」タブをクリックします。「動作保証」タブが表示されていない場合は、「その他」をクリックし、リストから「動作保証」を選択します。

  3. 「動作保証検索」フレームで、Oracle Real Application Clustersを選択し、リリース番号を選択し、インストールするオペレーティング・システム・プラットフォームを選択します。選択が完了したら、「検索」をクリックして、インストールする製品の動作保証リストを生成します。

1.1.2 Oracle Technology Networkの確認

Oracle Technology Network(OTN)では、容量計画、様々なNFSプラットフォームでのベスト・プラクティス、拡張クラスタ・デプロイメントなど、このマニュアルには記載されていないデプロイメント・オプションについてのホワイト・ペーパーを参照できます。次のWebサイトで、参照可能なホワイト・ペーパーを確認できます。

http://www.oracle.com/goto/rac

具体的には、ご使用のプラットフォーム用のOracle RAC Technologies Certification Matrixを確認してください。

Linuxの場合:

http://www.oracle.com/technetwork/database/clustering/tech-generic-linux-new-086754.html

UNIXの場合:

http://www.oracle.com/technetwork/database/clustering/tech-generic-unix-new-166583.html

1.1.3 Oracle RACsOracle RAC One Nodeのデプロイ方法の決定

次のデプロイ方法を選択してOracle Real Applications (Oracle RAC)およびOracle RAC One Nodeソフトウェアをインストールし、データベースをプロビジョニングすることができます。

1.1.4 Oracle RACのインストール手順の確認

Oracle RACをインストールする手順は、次のとおりです。

  1. ご使用のプラットフォーム用の『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』の説明に従って、サーバー(システム、ユーザーとグループ、ネットワークおよびストレージ管理)を準備します。これらのタスクは次のとおりです。

    • オペレーティング・システムをインストールして、オペレーティング・システム・パッケージおよびパッチを必須バージョンにインストールします。

    • グループ、ユーザーおよびソフトウェア・ホームを作成します。

    • グリッド・ネーミング・サービス(GNS)またはマルチクラスタGNSのデプロイを計画している場合は、GNSへのドメイン名転送を設定し、各ノードに対して構成を計画しているクラスタ・ノード・タイプ(標準、ハブ、リーフ)に基づいて、必要に応じてDNSおよびサーバーにネットワーク・アドレスを設定します。

    • 必要な記憶域を設定します。

    • (オプション)すべてのソフトウェアをインストール用の1つのノード(ローカル・ノード)でステージングします。


      注意:

      Oracle Grid Infrastructureのインストール中に、プライベート・ネットワークに使用する複数のインターコネクトを選択できます。この機能は、冗長インターコネクトの使用と呼ばれます。

      冗長インターコネクトを使用すると、Oracle Clusterwareでは、ボンディングなどのテクノロジを使用しなくても、複数のインタフェースを定義してクラスタ・インターコネクト・ネットワークに使用することができます。

      インストールのインタビュー中またはその後にOracle Interface Configuration(OIFCFG)コマンドライン・ユーティリティを使用して、複数のインターコネクトを定義すると、Oracle Clusterwareは1から4つの高可用性IP(HAIP)アドレスを作成します。Oracle RACおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)インスタンスはこれらのインターコネクト・アドレスを使用して、ノード間でのロード・バランシングされた高可用性インターコネクト通信を保証します。



      関連項目:

      OIFCFGを使用してインターコネクトを変更する方法の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照し、ネットワーク構成の要件の詳細は、ご使用のプラットフォームの『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

  2. クラスタに、Oracle ClusterwareおよびOracle ASM (システムと記憶域管理)を含むOracle Grid Infrastructureをインストールします。

    インストール中、修正スクリプトはオペレーティング・システム・パラメータ、インストール用のセキュア・シェル(SSH)およびユーザーの環境変数の追加構成を実行します。

    • Oracle Flex ClusterにOracle RACを構成するには、クラスタにOracle Grid InfrastructureがOracle Flex Clusterモードでインストールおよび構成されている必要があります。


    注意:

    • Oracle Grid Infrastructureのインストールが正常に完了してから、Oracle RACをインストールする必要があります。

    • Oracle Flex Clusterのデプロイメントには、Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)にOracle RACバイナリをインストールできません。


  3. Oracle RAC(データベース管理)をインストールします。

    • Oracle RACまたはOracle RAC One Nodeをインストールします。

    • Oracle RACデータベースのインストール後の構成を実行します。

1.1.5 ドキュメントの確認

Oracle RACのインストール前に、ご使用のオペレーティング・システム・プラットフォーム用の『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照して、すべてのクラスタ・メンバー・ノードに必要なユーザーとグループが構成されていること、およびシステム、ストレージおよびネットワークの管理者がOracle RACのインストールに必要なその他のタスクすべてを完了していることを確認します。

また、リリース・ノートおよびMy Oracle Support(https://support.oracle.com)を参照して、システム要件に関する最新情報や、インストールに影響する可能性がある他の情報を入手します。この確認にはあまり時間はかからず、後でインストール・エラーの原因を追跡するために必要な多くの時間を節約できます。このマニュアルの最新バージョンを参照していることも確認してください。Oracleのドキュメントは初回リリース後に更新され、次のWebサイトに公開されます。

http://www.oracle.com/technetwork/indexes/documentation/index.html

Oracle Enterprise ManagerとOracle Application Expressを有効にするため、および必要に応じてオンライン・ドキュメントにアクセスするために、Webブラウザをクラスタ・ノードにインストールすることをお薦めします。オンライン・ドキュメントは、PDF形式およびHTML形式で使用できます。


関連項目:

  • Oracle Databaseの概要は『Oracle Database概要』を参照

  • Oracle ClusterwareまたはOracle RACの構成およびデプロイメントの詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • 次の場所にあるOracle ACFSスナップショットを使用して、既存のプラガブル・データベース(PDB)をクローニングする手順

    https://www.youtube.com/watch?v=rhTTR9Jn43o


1.1.6 セキュリティ通知の連絡先の選択

次のクリティカル・パッチ更新での配布を待つには重大すぎると判断された脆弱性の修正に対しては、必要に応じてセキュリティ・アラートが発行されます。

インストール中に、「セキュリティ・アップデートの構成」画面で、セキュリティ通知の連絡先を指定するように求められます。次のいずれかのオプションを選択します。

  • インストールのセキュリティ情報を受信する電子メール・アドレスを指定します。

  • インストールのセキュリティ情報を受信し、セキュリティ更新に関してシステムを登録するMy Oracle Supportの電子メール・アドレスまたはアカウント名を指定します。My Oracle Supportを介して、アラートに関する情報を受信できます。

この情報は指定しないこともできますが、セキュリティ通知の連絡先を構成することをお薦めします。

セキュリティ更新で収集される情報は、構成情報にかぎられます。収集されるデータに個人情報は含まれません(送信上の問題に備えたローカルの連絡先名は除きます)。セキュリティ・アップデートの有効化を却下した場合でも、ライセンスされたすべてのOracle機能を使用できます。セキュリティ通知を受信しないようにするには、「セキュリティ・アップデートの構成」画面のすべてのフィールドを空白のままにし、「次へ」をクリックして続行します。

My Oracle Supportの資格証明を指定すると、インストールされたOracle製品に関する構成情報が、セキュリティ更新によって自動的に収集され、Oracleのサポート・システムにアップロードされます。収集された情報にはMy Oracle Supportアカウントを使用してアクセスし、セキュリティ・アラートに加え、ヘルス・チェック、パッチおよびその他の推奨事項を確認できます。


関連項目:

次のURLから参照可能な「Oracleセキュリティ・ポリシー」ページを参照してください。

http://www.oracle.com/us/support/assurance/fixing-policies/index.html


1.1.7 システム管理者によるルート・タスク委任オプションの確認

インストール中に、Oracle Universal Installer (OUI)により、スーパーユーザー(またはroot)権限でスクリプトを実行し、多数のシステム構成タスクを完了するように求められます。

1.1.8 システム管理者によるインストール修正スクリプトの確認

インストールの最小要件を満たしていない場合、インストール時にOUIによって検知され、システム構成手順を完了するために、修正スクリプトと呼ばれるシェル・スクリプトが作成されます。OUIによって不完全な作業が検知されると、修正スクリプト(runfixup.sh)が生成されます。これらのスクリプトはrootとして実行する必要があります。

「修正および再チェック」をクリックした後で、修正スクリプトを実行できます。修正スクリプトによって、永続的なパラメータ設定およびメモリー内のパラメータの両方が変更されるため、システムを再起動する必要がなく、インストールを続行できます。

1.1.9 クラスタ検証ユーティリティ(CVU)の使用方法の確認

OUIの実行前にCVUを使用して、Oracle RACインストールに対してクラスタを確実に準備することができます。CVUはインストーラに組み込まれているので、Oracle RACインストールを起動するとCVUが実行されます。ただし、Oracle RACインストールを開始する前にCVUを使用して、Oracle RACに必要なパッケージまたは構成情報が正しく配置されていることを確認することもできます。

CVUは、インストール、パッチ更新または他のシステム変更の準備として、システム検証を実行するために提供されています。また、CVUは修正スクリプトを生成できます。これは、rootユーザーによって実行されるスクリプトで、多くのカーネル・パラメータの設定を、インストールを正常に実行するために最低限必要な設定に変更します。

CVUを使用することで、インストール、更新またはパッチの適用を正常に実行できるように、システム管理者、ストレージ管理者およびデータベース管理者は、すべてのユーザーがシステム構成およびインストール前の手順を完了したことを確認できます。最新バージョンのCVUは、次のURLで入手できます。

http://www.oracle.com/technetwork/database/options/clustering/downloads/cvu-download-homepage-099973.html

ベンダーがハードウェアまたはオペレーティング・システムの構成手順をかわりに実行している場合、作業後にCVUでクラスタに対して該当する確認を行うように、ベンダーに依頼します。これによって、システムが正しく構成されていることを確認できます。データベース管理者は、「CVUを使用したOracle RACインストールのクラスタ準備状況の確認」を参照して、Oracle RACのインストールを開始する前に、システムでインストールの準備ができたことを確認します。

1.1.10 既存のOracleインストールおよびアップグレード計画の確認

既存のOracleインストールが存在する場合、バージョン番号、パッチおよび他の構成情報を書き留めて、既存のインストールのためのアップグレード手順を確認します。インストールを進める前にOracleのアップグレードに関するドキュメントを参照して、進め方を決定します。

Oracle RAC 12c リリース1 (12.1)をインストールするには、クラスタにOracle Grid Infrastructure (Oracle ClusterwareおよびOracle ASM) 12c リリース1 (12.1)をインストールする必要があります。Oracle Clusterwareのバージョンは、インストールするOracle RACのバージョン以上である必要があります。


関連項目:

『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』

アップグレード前、アップグレード後、互換性および相互運用性に関する最新の更新およびベスト・プラクティスについては、このリリース用の「Oracle Upgrade Companion」を参照してください。「Oracle Upgrade Companion」は、My Oracle SupportのNote 1462240.1で入手できます。

https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=1462240.1

アップグレードを行う場合は、次の点に注意してください。

  • 1つのクラスタで一度に実行できるOracle Clusterwareのバージョンは、1つのみです。Oracle Clusterwareのバージョンは、クラスタで実行されているソフトウェア(Oracle Clusterware、Oracle Database、Oracle RACおよびOracle Automatic Storage Management)の最新リリースと同じである必要があります。データベースをOracle Database 12cリリース1 (12.1)にアップグレードする前に、クラスタ内のすべてのノードをOracle ClusterwareおよびOracle ASM 12cリリース1 (12.1)にアップグレードする必要があります。

  • クラスタでは、Oracle Databaseの複数のOracleホームを使用できます。ただし、これらのホームのOracle RACデータベース・ソフトウェアのバージョンは、インストールされているOracle Clusterwareのバージョン以下である必要があります(実行しているOracle Clusterwareのバージョンより後にリリースされたOracle DatabaseのバージョンをOracle Clusterwareで使用することはできません)。

    次に例を示します。

    • サーバーでOracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1)を実行している場合、あるノードではOracle Database 12c リリース1 (12.1)のシングル・インスタンスのデータベースを実行し、同時に別のOracle RAC 11g リリース1または2あるいはOracle RAC 12c リリース1 (12.1)のデータベースをクラスタで実行できます。

    • Oracle Grid Infrastructure 11g リリース2をクラスタにインストールし、Oracle RAC 12c リリース1 (12.1)をインストールすることはできません。

  • Oracle RACでのパッチ・セットのアップグレードには、Database Upgrade Assistant (DBUA)を使用できます。また、Oracle RACのメジャー・ポイント・リリース間のアップグレードにもDBUAを使用できます。たとえば、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)からOracle Database 12cリリース1 (12.1)にアップグレードできます。

  • アップグレード中に、Oracle Databaseホームの所有者を変更することはできません。既存のOracle Databaseホームを所有しているOracleソフトウェア所有者を使用する必要があります。

  • 既存のOracle RACインストールをアップグレードしている場合、既存のインストールと同じタイプのOracleホームを使用する必要があります。たとえば、既存のインストールで共有Oracleホームを使用している場合は、Oracle RAC 12c リリース1 (12.1)の共有Oracleホームにアップグレードする必要があります。

    同様に、クラスタ・ノードでローカルOracleホームを使用している場合、クラスタ・ノードでローカルOracleホームにアップグレードする必要があります。

  • Oracle RACデータベースをアップグレードする場合、そのデータベースのインスタンスをホストする各クラスタ・メンバー・ノードが、アップグレード対象のインストールのメンバーである必要があります。たとえば、既存のOracle RACデータベースを3ノードのクラスタで実行している場合は、3つすべてのノードのOracle RACをアップグレードする必要があります。アップグレード時に、クラスタの2つのノードのみをアップグレードし、3つ目のノードおよびインスタンスを除外することはできません。

  • データベース・データをRAWデバイスに格納している場合、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACインストールを起動する前に、RMANを使用して、そのデータをOracle ASMまたは別のサポートされているファイル・システムにコピーする必要があります。

  • システムを変更した場合は、常に一般的な業界標準のデータ・リカバリ計画に従い、ソフトウェアのアップグレード前に既存のデータベースをバックアップします。


関連項目:

『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』

1.1.11 メモリーの割当ておよび自動メモリー管理の検討

標準インストール中は、Database Configuration Assistant (DBCA)を使用してデータベースを作成し、自動メモリー管理が有効化されます。拡張インストールを選択した場合は、メモリーの割当てを手動で指定するか、または自動メモリー管理を有効化することができます。

自動メモリー管理を使用すると、Oracle RACインスタンスによりメモリーが自動的に管理およびチューニングされます。自動メモリー管理により、メモリー・ターゲットを選択すると、メモリーはインスタンスによってシステム・グローバル領域(SGA)とインスタンス・プログラム・グローバル領域(インスタンスPGA)の間で自動的に配分されます。メモリー要件の変化に応じて、メモリーはインスタンスによってSGAとインスタンスPGAの間で動的に再配分されます。

インストール中に自動メモリー管理を有効化しない場合は、インストール後に有効化できます。インストール後に自動メモリー管理を有効化する場合は、データベースを停止して再起動する必要があります。

Oracle Database 12c以降、Oracle Databaseは、動的緊密共有メモリー(DISM)のかわりにOracle Solarisの最適化共有メモリー(OSM)機能を使用して自動メモリー管理を実装します。手動でDISMを有効化または使用して、Oracle Solarisで共有メモリーを実装しないでください。


注意:

Oracle Databaseは共有メモリーを広く使用します。Oracle Solarisの共有メモリー環境のチューニングの詳細は、『Oracle Database管理者リファレンスfor Linux and UNIX-Based Operating Systems』を参照してください。


関連項目:

自動メモリー管理の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

1.1.12 グローバリゼーションの要件の確認

英語以外の言語をサポートするインストールを開始する前に、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。

次の点に注意してください。

  • データベース・キャラクタ・セットとしてUnicode AL32UTF8を使用することをお薦めします。

    Unicodeは、現在使用されているほとんどの言語をサポートする汎用キャラクタ・セットです。また、多くの歴史的な文字(アルファベット)もサポートされています。Unicodeは、Java、XML、XHTML、ECMAScript、LDAPなど、多くのテクノロジのネイティブ文字コードです。Unicodeは、インターネットおよび世界的な経済活動をサポートするデータベースに最適のキャラクタ・セットです。

  • オペレーティング・システム・セッションのロケール設定によって、ユーザー・インタフェースの言語、およびOracle Universal Installer、Oracle Net Configuration Assistant、Database Configuration Assistantなどのコンポーネントのグローバリゼーションに関する動作が決定されます。また、ロケール設定によって、Oracle JDBCドライバを介してユーザー・アプリケーションによって作成されたOracle Databaseセッションで、グローバリゼーションに関する動作が決定されます(アプリケーションによって動作が変更された場合を除く)。

  • NLS_LANG環境変数で指定したキャラクタ・セットによって、ユーザー・インタフェースの言語およびSQL*Plus、expimpなどのコンポーネントのグローバリゼーションに関する動作が決定されます。また、クライアント・アプリケーションおよびデータベースによって使用される言語および地域が設定されます。さらに、クライアント・アプリケーションがデータを入力して表示するためのキャラクタ・セットも宣言されます。

    NLS_LANG環境変数は、クライアントのオペレーティング・システムのキャラクタ・セットの設定を反映している必要があります。たとえば、データベース・キャラクタ・セットがAL32UTF8であり、クライアントがWindowsオペレーティング・システムで実行されている場合は、UTF-8 Win32クライアントがないため、NLS_LANG環境変数にAL32UTF8を設定しないでください。かわりに、NLS_LANG設定にクライアントのコード・ページを反映する必要があります。たとえば、英語版のWindowsクライアントのコード・ページは1252であるため、NLS_LANGの適切な設定はAMERICAN_AMERICA.WE8MSWIN1252となります。


注意:

ご使用のプラットフォーム用の『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』には、様々な言語で使用されるデータベース・キャラクタ・セットの詳細と、Oracle Databaseのグローバリゼーション・サポートをインストールして構成する方法の詳細が記載されています。

1.2 サーバー・ハードウェア、ネットワークおよびオペレーティング・システムの概要

Oracle RACのインストールを試行する前に、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストールの一部としてOracle Clusterwareを正常にインストールする必要があります。Oracle Flex ClusterにOracle RACをインストールする場合は、Oracle Flex Clusterオプションを使用してOracle Clusterwareをインストールする必要があります。

インストールを正常に完了するには、必要なハードウェア、ネットワークおよびオペレーティング・システムで、Oracleソフトウェアのインストール前の手順が、必要に応じて実行されていることを確認します。インストール前の必要な手順を完了していないことが、インストールが失敗する最も多い理由です。

Oracle Clusterwareをクラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストールの一部としてインストールする前に、CPU、メモリー、共有記憶域、ローカル・ディスク、ネットワーク・カード、ホスト・バス・アダプタ、インターコネクトおよび他のネットワークまたはサーバー・ハードウェアの取付けと構成が完了している必要があります。また、オペレーティング・システムと必要なパッケージまたはサードパーティ・ソフトウェアもインストールされている必要があります。これらの作業はベンダーのマニュアルを参照して実行します。また、必要に応じて、ベンダーと協力してこのマニュアルに示されているOracleのインストール前の手順を完了し、ベンダーのハードウェアおよびソフトウェアが正しく構成されていることを確認します。

サーバーおよびネットワークでは、インストールのために次のような準備を行います。

1.2.1 サーバーのハードウェア要件およびソフトウェア要件の確認

次に示すサーバー・ハードウェアおよびソフトウェアの構成要件と推奨事項の概要を確認して、Oracle RACが正常にインストールされるように準備してください。

1.2.1.1 Oracle RACのクラスタ・ノードのメンバー要件

クラスタ内の各ノードには、次のものが必要です。

  • プロセッサおよびシステム構成を含む、サポートされているサーバー・ハードウェア。

    現在のハードウェアでインストールを開始する前、および新しいハードウェアを購入する前に、My Oracle Supportを参照し、Oracle RAC 12c リリース1 (12.1)のOracle Clusterwareでハードウェアがサポートされていることを確認してください。

    サポートされている構成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』のインストール前の手順に関する章も参照してください。


    注意:

    クラスタ内の各ノードでは、同じオペレーティング・システムを使用する必要があります。クラスタ内の各ノードで同じソフトウェア構成を使用することをお薦めします。Oracle ClusterwareとOracle RACでは、同じクラスタ内の異種プラットフォームをサポートしていません(各サーバーは同じOracleソフトウェア・バイナリを実行している必要があります)。

  • システム要件に示されたオペレーティング・システムの更新。

    一部のオペレーティング・システムについては、更新(サービス・パック、個々のパッチなど)が必要な場合があります。このような要件がある場合は、特定のリリースのリリース・ノートに記載されています。必要なオペレーティング・システムの更新については、オペレーティング・システム・ベンダーに問い合せてください。

  • 構成中のノード・タイプ(ハブ・ノードまたはリーフ・ノード)に必要なネットワーク接続。

1.2.1.2 Oracle RACでの推奨事項: システム管理者タスク

次の作業を実行して、サーバーのインストールおよびメンテナンスを簡略化し、サービスの問題を回避することをお薦めします。

  • クラスタ内のすべてのノードで同じ基準時刻が使用されるように、ネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)などのタイム・プロトコルを使用します。Oracle Clusterware 12c リリース1 (12.1)では、Oracle Grid Infrastructureのインストール時にNTPサーバーが提供されていない場合、クラスタ時刻の同期サービス(CTSS)が有効になります。

  • すべてのクラスタ・サイズで冗長スイッチを構成します。

  • サーバーのメンテナンスを簡略化するために、各ノードで同一のサーバー・ハードウェアを使用します。

  • プライマリ・ドメイン・コントローラまたはバックアップ・ドメイン・コントローラにOracle RACをインストールしないことで、リソース競合の問題を回避します。

1.2.1.3 追加オプション: システム管理者およびベンダー

サーバー・ハードウェアの設定後、ご使用のプラットフォーム用の『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』でハードウェア要件の確認に関する説明を参照して、十分なRAMがシステムに搭載されていること、インストールに十分な空き領域がある場所がTEMP環境変数に指定されていること、およびシステムが他のハードウェア要件を満たしていることを確認します。

1.2.2 サーバー環境の構成の概要

『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』のインストール前の手順に関する章の説明に従って、ユーザーとユーザー環境を構成します。次のタスクが含まれます。

  • Oracleソフトウェアをインストールするためのオペレーティング・システム・ユーザーの作成

  • Oracleソフトウェア所有者ユーザーの環境の構成

1.2.3 OracleベースおよびOracleホームのディレクトリの概要

Oracleベース・ディレクトリは、特定のOracleインストール所有者によってインストールされたOracle構成ファイルが格納される場所です。Oracleベース・ディレクトリは、指定されたインストール所有者によって、ソフトウェアの複数のインストールに対して使用できます。

OracleベースおよびOracleホームのディレクトリ構造は、Oracle Databaseおよびクラスタ用Oracle Grid Infrastructureによって異なります。デフォルトでは、Oracle Databaseソフトウェア・バイナリ・ファイルは、Oracleベース・ディレクトリのサブディレクトリ内に、バージョンとOracleホーム名でインストールされます。すべてのOracleホームで、それ専用のOracleベースを持つことができます。クラスタ用Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのバイナリは、Grid Infrastructureインストール所有者のOracleベースの外部にあるOracleホーム(Gridホーム)に格納されます。各クラスタ・メンバー上には、アクティブなGridホームが1つのみ、またはアクティブな共有ホームが1つのみ存在可能ですが、これはGrid Infrastructureインストール所有者のOracleベース下には配置できません。

通常、Oracleベースのパスは、インストール所有者の名前に基づいています。Oracle Grid InfrastructureインストールとOracle RACインストールのインストール所有者が別の場合、Optimal Flexible Architecture(OFA)ガイドラインに従っている2つのOracleベースのパスがあります。たとえば、ユーザーgridがOracle Grid Infrastructureインストールのインストール所有者で、ユーザーoracleがOracle Databaseインストールのインストール所有者の場合、2つのOracleベース・ディレクトリが存在します。

  • u01/app/grid: Gridインストール所有者(grid)のOracleベースで、Oracle Grid Infrastructureバイナリを所有します。

  • u01/app/oracle: Oracle Databaseインストール所有者(oracle)のOracleベースで、Oracle Databaseバイナリを所有します。

さらに、Gridインストール所有者のOracleベース・パスやOracle Database所有者のOracleベース・パスとは別のパスに配置されたGridホームがあります。

/u01/app/12.1.0/grid

このGridホーム・パスは、Oracle Databaseインストール所有者(oracle)およびOracle Grid Infrastructure所有者(grid)両方のOracleベース・ディレクトリの外部に配置されます。インストール後、Gridホームへのパス(/u01および/u01/app)はrootが所有するため、システム管理者はインストール所有者のOracleベースを作成し、さらにそのOracleベースへの書込みが許可されているOracleインストール所有者に読取り、書込みおよび実行権限を付与する必要があります。

ユーザーがOracleホーム環境変数を設定するのではなく、OUIを有効にして変数を作成することをお薦めします。Oracleベースのパスが/u01/app/oracleであるとすると、デフォルトでは、次のOracleホームのパスがOUIによって作成されます。

/u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_n

変数nは、Oracleホームの番号です。初めてoracleユーザーとしてOracleホームを作成する場合、デフォルトのOracleホームの場所は次のとおりです。

u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1

Oracleソフトウェア用に選択するパス(OracleホームのパスおよびOracleベースのパスなど)には、ASCII文字のみを使用します。パスにはデフォルトでインストール・ユーザー名が使用されるものがあるため、このASCII文字制限は、ユーザー名、ファイル名およびディレクトリ名にも該当します。

1.2.4 ネットワークおよびインターネットの構成の概要

各サーバーを構成して、クラスタの他のノードと通信できるようにする必要があります。また、1つ以上のノードで、インターネットへのアクセスとWebブラウザのサポートを構成する必要があります。

1.2.4.1 ネットワーク・インタフェースの構成の概要

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール中に、各ノードのグローバル・インタフェースの予定の使用方法を指定し、構成中のノード・タイプ(ハブ・ノードまたはリーフ・ノード)に必要なインタフェース情報を提供します。

各インタフェースに次のいずれかを指定します。

  • 「パブリック」インタフェース・タイプ(パブリックIPアドレスおよび仮想IPアドレスとともに使用)

  • 「プライベート」インタフェース・タイプ(クラスタ・メンバー・ノード間のインターコネクトのネットワークとともに使用)

  • 「ASM」インタフェース・タイプ(他のノード上のOracle ASMインスタンスとの通信に使用)

  • ASMおよびプライベートインタフェース・タイプ(クラスタ・メンバー・ノード間のインターコネクトおよび他のノード上のOracle Flex ASMインスタンスとの通信の両方に使用)

  • 「使用しない」インタフェース・タイプ(Oracle ClusterwareおよびOracle RACが無視する)

たとえば、NFSなどのネットワーク・ファイル・システムの専用インタフェースとして使用されるインタフェースは、「使用しない」インタフェース・タイプとしてマークされている必要があります。

Oracle Grid Infrastructureのインストール中にネットワークを構成します(Oracle RACのインストール中に追加のネットワーク構成を実行することはできません)。


関連項目:

ネットワーク要件の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

1.2.4.2 ブラウザ要件の概要

Oracle Enterprise Manager Database ExpressおよびOracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用するには、Webブラウザが必要です。WebブラウザがJavaScriptおよびHTML 4.0標準とCSS 1.0標準をサポートしている必要があります。これらの要件を満たすブラウザの一覧については、My Oracle SupportでOracle Enterprise Managerの動作保証マトリックスを参照してください。

https://support.oracle.com


関連項目:

Oracle Enterprise Managerの動作保証マトリックスにアクセスする手順の詳細については、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド』を参照してください。

1.2.5 プラットフォーム固有のサーバー構成の概要

Oracle ClusterwareおよびOracle RACは、特定のオペレーティング・システム・バージョンおよび特定のオペレーティング・システム・コンポーネントでテスト済です。今回のリリースで動作保証されているオペレーティング・システム・バージョンおよびコンポーネントを使用する必要があります。

インストールを開始する前に、『Oracle Grid Infrastructure インストレーション・ガイド』でシステム要件を十分に確認し、システムが要件を満たしているかを確認することをお薦めします。システムがハードウェア、オペレーティング・システム・バージョンおよびコンポーネントの最小要件を満たしていない場合、インストールを完了できないか、Oracle ClusterwareまたはOracle Databaseの実行時に他のエラーが発生する場合があります。

標準のシステム要件の構成に加えて、特定のサーバー・ハードウェアにデプロイする場合に、オペレーティング・システムの追加構成手順が必要な場合があります。『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』のインストール前の手順に関する章を参照し、My Oracle Supportの「動作保証」ページを参照して、ご使用のハードウェアおよびプラットフォーム構成で追加要件または推奨事項がないかを確認します。

1.3 Oracle RACの記憶域の概要

Oracle Databaseコンポーネントのハードディスク要件には、オペレーティング・システムがインストールされているディスク・パーティションにJava実行環境(JRE)とOUIをインストールするのに必要な32MBを含みます。十分な空き領域が検出されない場合、インストールは失敗し、エラー・メッセージが表示されます。

Oracle RACをインストールするには、データベース・ファイル用およびオプションでリカバリ・ファイル用に共有記憶域を構成する必要があります。データベースの高速リカバリ領域は、共有記憶域に存在する必要があります。

インストール計画の記憶域オプションを確認するには、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。ストレージ管理者およびシステム管理者は、この章を参照して、Oracle RACデータベースのデータベース・ファイル用の記憶域を構成できます。


関連項目:

リカバリ領域の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

1.3.1 Oracle RACの記憶域およびOracle ACFSについて

Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)は、マルチプラットフォームのスケーラブル・ファイルシステムであり、Oracle ASM機能を拡張して、Oracle Databaseの外部で保持されているカスタマ・ファイルをサポートするストレージ管理テクノロジです。Oracle ACFSでサポートされるファイルには、データベースとアプリケーションの実行可能ファイル、トレース・ファイル、アラート・ログ、アプリケーション・レポート、PFILEおよび構成ファイルが含まれます。

1.3.1.1 Oracle ASM動的ボリューム・マネージャについて

Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)は、ディスクのボリューム管理サービスと標準的なディスク・デバイス・ドライバ・インタフェースをクライアント(ユーザーおよびアプリケーション)に提供します。ファイル・システムと他のディスク・ベースのアプリケーションは、ベンダー・オペレーティング・システムにある、他のストレージ・デバイスに対してと同様に、Oracle ADVMボリューム・デバイスに対してI/Oリクエストを発行します。Oracle ADVMは、Oracle ASMボリューム・ファイルとして割り当てられているOracle ASM記憶域にディスク・ドライバ・インタフェースを提供することで、Oracle ASMを拡張します。Oracle ADVMを使用すると、ファイルシステムを含む仮想ディスクを作成できます。Oracle ASMボリュームに含まれるこのようなファイル・システムは、Oracle Databaseファイル(実行可能ファイル、レポート・ファイル、トレース・ファイル、アラート・ログおよびその他のアプリケーション・データ・ファイル)以外のファイルをサポートできます。

1.3.2 Oracle RACの記憶域についての一般的な考慮事項

すべてのインストールに対して、Oracle RACデータベース・ファイルで使用する記憶域オプションを選択する必要があります。各ファイル・タイプに同一の記憶域を使用する必要はありません。

次のガイドラインに従って、各ファイル・タイプで使用する記憶域オプションを選択します。選択した記憶域オプションの要件がすべて満たされている場合、各ファイル・タイプでサポートされている共有記憶域オプションのいずれの組合せでも使用できます。

  • データベース・ファイルおよびリカバリ・ファイルの共有記憶域オプションとして、Oracle ASMを選択することをお薦めします。Oracle ASMインスタンスは、ビッグ・クラスタ構成のすべてのハブ・ノードで実行する必要はありませんが、すべてのハブ・ノードは共有記憶域に直接アクセスできる必要があります。

  • Standard EditionおよびStandard Edition 2 (SE2)のOracle RACインストールでは、データベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルの共有記憶域オプションとして、Oracle ASMのみがサポートされています。

  • 外部ファイルの冗長性が適用される記憶域オプションがない場合は、3つ以上の投票ディスク領域を構成して、投票ディスクの冗長性を確保する必要があります。

  • Oracle RACでOracle ASMを使用するものの、Oracle Clusterwareファイル(Oracle Cluster Registry (OCR)および投票ディスク)にOracle ASMを使用していなかった場合、OUIを開始する前に1つ以上のOracle ASMインスタンスをOracle ASM Configuration Assistant (ASMCA)で構成する必要があります。Oracle ASMは、クラスタ内の1つ以上のハブ・ノードで実行されます。

  • 既存のOracle RACデータベースをアップグレードする場合は、システムが次の条件を満たしていることを確認する必要があります。

    • Oracle RACデータベース・インスタンスが位置するノードで、OUIとDBCAが実行されます。

    • Oracle RACデータベース・インスタンスが、新しいクラスタ・インストールのメンバーにするノードと同じノードで実行されている。たとえば、既存のOracle RACデータベースを3ノードのクラスタで実行している場合は、3つすべてのノードにアップグレードをインストールする必要があります。アップグレード時に3つ目のインスタンスを削除して、クラスタ内の2つのノードのみをアップグレードすることはできません。


    関連項目:

    既存のデータベースをアップグレードするための準備方法については、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

1.3.3 Oracle Databaseおよびリカバリ・ファイル・オプションの概要

Oracle Databaseおよびリカバリ・ファイルの格納には、次の2つの方法があります。


注意:

OUIを使用して新しいOracle RACデータベースを作成する場合、RAWデバイス(フォーマットされていないパーティション)でのデータ・ファイルとリカバリ・ファイルの格納はサポートされません。共有ファイル・システムまたはOracle ASMで、データ・ファイルとリカバリ・ファイルを配置します。RAWデバイスを使用するデータベースをアップグレードする場合、そのデバイスはOracle Database 11g リリース2でもサポートされます。

  • Oracle Automatic Storage Management: Oracle ASMは、Oracle Databaseファイル用の統合された高性能のデータベース・ファイル・システムであり、ディスク・マネージャです。データベース・ファイルのストライプ化およびミラー化を自動的に実行します。


    注意:

    Oracle RACを使用するOracle Database Standard EditionおよびStandard Edition 2 (SE2)では、記憶域オプションとしてOracle ASMのみがサポートされています。

  • サポートされている共有ファイル・システム: サポートされているファイル・システムには、次のものがあります。

    • ダイレクト・ネットワーク・ファイル・システム・クライアント(Direct NFSクライアント): Direct NFSクライアントを使用してNFSサーバーに直接アクセスするように、Oracle Databaseを構成できます。Direct NFSクライアントでは、NFSサーバーへのアクセスにNFSv3、NFSv4およびNFSv4.1 (Parallel NFSを除く)がサポートされています。Direct NFSクライアントは、NASストレージ・デバイス(TCP/IPでアクセス可能)に配置されるNFS記憶域に、より高速でスケーラブルなアクセスを提供する最適化されたNFSクライアントです。Direct NFSクライアントはデータベース・カーネルに直接構築され、オペレーティング・システムのNFSドライバで実現可能な速度よりも高速になります。NFSサーバーにアクセスする場合、Oracle Databaseはオペレーティング・システムをバイパスして、必要な要求を正確に生成します(ユーザー構成またはチューニングは必要ありません)。

表1-1に、Oracle DatabaseファイルおよびOracle Databaseのリカバリ・ファイルを格納するために使用できる記憶域オプションを示します。Oracle Databaseファイルには、データ・ファイル、制御ファイル、REDOログ・ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)およびパスワード・ファイルが含まれています。

表1-1 Oracle Databaseファイルおよびリカバリ・ファイルのサポートされている記憶域オプション

記憶域オプション サポート対象ファイルのタイプ
データベース リカバリ

Oracle ASM

Oracle ASMクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)

Direct NFSクライアント

ローカル記憶域

不可

不可

共有の未フォーマット・パーティション

不可

不可


1.4 インストールの準備に関する追加情報

この項では、Oracle Clusterware、Oracle Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)およびOracle RACに関する追加情報を示します(この情報は、インストールを計画するチームがインストールの構成方法を決定する際に役立ちます)。内容は次のとおりです。

1.4.1 Oracle Grid InfrastructureとともにインストールされるOracle ASM

以前のリリースでは、Oracle ASMはOracle Databaseインストールの一部としてインストールされていました。Oracle Database 11g リリース2 (11.2)以上のリリースでは、Oracle ASMはOracle Grid Infrastructureインストールの一部です。既存のOracle ASMインストールをアップグレードするには、Oracle Grid Infrastructureのアップグレードを実行して、Oracle ASMをアップグレードする必要があります。

Oracle Clusterwareファイルの記憶域オプションとしてOracle ASMを選択しなかった場合は、最初にハブ・ノードの1つでOracle ASM Configuration Assistant (ASMCA)を使用して、Oracle ASMを構成し、Oracle ASMインスタンスを作成して、Oracle Database記憶域に使用するディスク・グループを作成する必要があります。

1.4.2 Oracle RACインストールのハブ・ノードおよび共有コンポーネント

データベース管理者とシステム管理者は、Oracle RACを使用する場合、Oracle RAC環境のすべてのハブ・ノード・インスタンスが制御ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル、REDOログ・ファイルおよびすべてのデータ・ファイルを共有することに注意する必要があります。これらのファイルは、Oracle ASMに配置し、すべてのハブ・ノードのクラスタ・データベース・インスタンスからアクセスできるようにする必要があります。また、各インスタンスには、それぞれ専用のREDOログ・ファイルのセットがあります。障害が発生した場合、REDOログ・ファイルへの共有アクセスによって、障害が発生していないインスタンスがリカバリを実行できます。


関連項目:

ハブ・ノードの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

1.4.3 TIMESTAMP WITH TIME ZONEデータの簡略化されたアップグレード

Oracle Database 12c リリース1 (12.1)のインストールの一部として、タイムゾーン・バージョン・ファイルの1から12までが、パス$ORACLE_HOME/oracore/zoneinfo/にインストールされます。現在のタイムゾーン・バージョンを引き続き使用するか、または最新バージョンにアップグレードすることができます。最新バージョンのタイムゾーンにサーバーをアップグレードすることをお薦めします。新しいタイムゾーン・バージョンへのアップグレードによって、既存のTIMESTAMP WITH TIME ZONE(TSTZ)データが古くなる可能性があります。新しく提供されたDBMS_DST PL/SQLを使用して、最小限の手動手順でTSTZデータが透過的に更新されます。

Oracle RACデータベースのすべてのインスタンスが、同じタイムゾーンを使用する必要があります。インスタンスがSQL*Plusで起動されるとき以外は、Oracle RACデータベースのタイムゾーンは、デフォルトで、Oracle Grid Infrastructureのgridユーザーのタイムゾーンに設定されます。SQL*Plusを使用する場合、Oracle Clusterwareに使用されるデータベース・インスタンスに対して確実に同じタイムゾーン設定が使用されるようにする必要があります。次のコマンドを使用してOracle Clusterwareがデータベースに使用するタイムゾーンを変更できます(ここで、time_zoneは変更するタイムゾーンです)。

srvctl setenv database -env 'TZ=time_zone'

タイムゾーン・バージョン・ファイルは、クライアントにもインストールされます。Oracle Database 11g リリース2からは、クライアントのタイムゾーン・ファイルをすぐにアップグレードする必要がなくなりました。アップグレードは、システム管理者の最も都合のよい時間に行うことができます。ただし、クライアントとサーバーで異なるタイムゾーン・バージョンを使用している場合、パフォーマンスがわずかに低下します。


関連項目:

  • TSTZデータのアップグレードの準備については、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

  • タイムゾーン・ファイルとTSTZデータをアップグレードする方法については、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。

  • 異なるバージョンのタイムゾーン・ファイルで動作するクライアントおよびサーバーのパフォーマンスの影響については、『Oracle Call Interfaceプログラマーズ・ガイド』を参照してください。


1.4.4 HP-UXに対して外部ジョブ・ユーザーが作成されているかどうの確認

HP-UXにOracle RACをインストールする場合、外部ジョブを所有するために作成された権限の低いユーザーが存在することを確認します。このユーザーは外部ジョブ・ユーザーとして設定する必要があり、それには、インストール後にrootユーザーとしてログインし、$ORACLE_HOME/rdbms/admin/externaljob.oraを変更します。rootユーザーのみがこのファイルを変更できます。

1.4.5 Oracle Database 12c Real Application Clustersのリリース間の互換性

異なるリリースのOracle Databaseソフトウェアを、同一のコンピュータにインストールして使用できますが、次の点に注意してください。

  • Oracle Clusterwareがインストールされ、異なるリリースの他のOracleソフトウェアがインストールされている場合、Oracle Clusterwareのリリースは、Oracle Databaseソフトウェアのリリース以上である必要があります。Oracle ClusterwareおよびOracle ASMの両方が、Oracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1)インストールを実行すると、12c リリース1 (12.1)にアップグレードされます。

  • 既存のOracleホームが存在する場合、新しいOracleホームを作成し、その新しいOracleホームにOracle Database 12c リリース1 (12.1)をインストールすることができます。Oracle Clusterwareは、別のOracle Grid Infrastructureホームに置く必要があります。クラスタ用Oracle Grid InfrastructureインストールをOracle DatabaseのOracleベース・ディレクトリにインストールすることはできません。

  • Oracle Database 9i リリース2のOracle RACを実行している場合、そのリリースを引き続き使用するには、Oracle Cluster Managerやサード・パーティのクラスタ・ソフトウェアなど、そのリリースと互換性があるクラスタ・ソフトウェアを実行する必要があります。


    注意:

    データベースをアップグレードした後でサード・パーティのクラスタ・ソフトウェアを削除する場合は、まずサード・パーティのクラスタ・ソフトウェアを削除してから、Oracle Clusterwareを再インストールする必要があります。

  • 以前のリリースのデータベースが検出された場合、OUIによって、プリファレンスのアップグレードについて尋ねられます。以前のリリースのデータベースをDBUAを使用してアップグレードするか、またはDBCAを使用してデータベースを作成するかを選択できます。このダイアログ・ボックスで収集された情報は、ソフトウェアのインストール後にDBUAまたはDBCAに渡されます。

    以前のリリースのOracle Clusterwareが検出された場合、OUIによって、インストールされている既存のOracle Clusterwareをアップグレードするかどうかを尋ねられます。1つのサーバーでは1つのバージョンのOracle Clusterwareのみをアクティブにでき、サーバーは1つのクラスタのみのメンバーである必要があります。


    注意:

    Oracle実行可能ファイルは、インストールされたディレクトリから別の場所に移動しないでください。これを行うと、動的リンクに問題が発生します。実行可能ファイルを新しい場所に移動するには、ソフトウェアを再インストールする必要があります。

  • スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure(Oracle Restart)をインストールした後に、クラスタ用のOracle Grid Infrastructureをインストールすることはできません。Oracle Restartをインストールしている場合は、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureをインストールする前にそのインストールを削除する必要があります。

  • 異なるリリースのOracle DatabaseとOracle ASMを実行できます。たとえば、Oracle ASM 12c リリース1 (12.1)をOracle Database 11g リリース2 (11.2)データベースとともに使用できます。ただし、ハブ・ノードではOracle Grid Infrastructure 12cより前のリリースのOracle Databaseバージョンのみを実行できます。リーフ・ノードでは以前のリリースを実行できません。


    注意:

    異なるリリースのOracle ASMおよびOracle Databaseを使用する場合、各製品の機能は、以前のリリースのソフトウェア機能に依存します。たとえば、Oracle ASM 12cリリース1 (12.1)インスタンスを使用するOracle Database 11gリリース11.2データベースでは、Oracle ASM 12cリリース1 (12.1)で提供される新機能は使用できず、Oracle ASM 11.2の機能のみを使用できます。

1.5 CVUを使用したOracle RACインストールのクラスタ準備状況の確認

インストールを開始する前に、クラスタ検証ユーティリティ(CVU)を使用して、システムでOracle RACをインストールする準備ができていることを確認します。検証に失敗した場合、手動または生成された修正スクリプトを使用して、レポートされたエラーを修正するか、エラーの原因を修正するようにシステム管理者またはストレージ管理者に連絡します。

CVUは、Gridホームのbinディレクトリにあります。たとえば、クラスタ用のOracle Grid Infrastructureホームが/u01/app/12.1.0/gridである場合、パスは/u01/app/12.1.0/grid/binです。CVUを起動するには、Gridホームのbinディレクトリに移動して、次のコマンドを使用します。

cluvfy stage -pre dbinst -fixup -n nodelist -r release -osdba OSDBA -verbose

前述のコマンド構文では、nodelistがノード名のカンマ区切りリストであり、releaseがインストールされるOracle Databaseソフトウェアのバージョンです。-fixup-osdbaおよび-verboseフラグはオプションです。

たとえば、ノードAとノードBの2つのノードがあるクラスタで、Oracle Database 12cとOracle RACのインストールの準備のためにクラスタをテストしている場合、OSDBAグループがdbaであるときは、次のコマンドを実行してシステムの準備状況を検証します。

$ ./cluvfy stage -pre dbinst -fixup -n nodea,nodeb -osdba dba -verbose

CVUコマンドの詳細は、./cluvfy -helpを入力してください。


関連項目:

CVUの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

1.6 既存のデータベースが存在するシステムでのOracle Database 12cのインストール

既存のOracle RACまたはOracle Databaseインストールが存在するシステムでインストールを計画している場合は、追加の作業を実行し、システムでインストールの準備を行う必要があります。

表1-2に、既存のOracle Databaseインストールが存在する場合に実行する必要がある作業の概要を示します。この表を確認して、必要に応じて作業を実行します。


関連項目:

アップグレードを実行するための準備の詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

表1-2 アップグレードまたはデータベースの共存のためのシステムの準備の概要

インストール例 必要な作業

Oracle Database 10g リリース1 (10.1)から12c リリース1 (12.1)へのアップグレード

追加の作業はありません。「Oracle Database 10gリスナーの移行について」を参照してください。

Oracle Database 10g リリース1 (10.1)と共存させるためのシステムへのOracle Database 12c リリース1 (12.1)のインストール

追加の作業はありません。「Oracle Database 10gリスナーの移行について」を参照してください。


1.7 Oracle Database 10gリスナーの移行について

システムにOracle Database 10gがインストールされている場合に、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)をOracle Database 10gインストールとの共存またはアップグレードとしてインストールする場合、ほとんどのインストール・タイプで、TCP/IPポート1521およびIPCキー値EXTPROCを使用してデフォルトのOracle Net Listenerが構成され、起動されます。次のいずれかが発生します。

  • 共存インストールの場合、Database Configuration Assistant (DBCA)によって、自動的にリスナーと関連ファイルがOracle Database 10gのOracleホームからOracle Database 11gのOracleホームに移行されます。

  • アップグレードの場合、Oracle Database Upgrade Assistant (DBUA)によって、自動的に既存のOracle Database 10gのリスナーの場所が特定され、そのリスナーはOracle Database 12gリリース1 (12.1)に移行されます。


    注意:

    Oracle ASMを使用してOracle Database 12cリリース1 (12.1)をOracle Database 10gリリース1 (10.1)のデータベースと共存させるには、データベースはOracle Database 10gリリース10.1.0.3以上である必要があります。