この章では、正しいデータを STA に送信するためのライブラリの構成に関する概念について説明します。章 4の関連する構成タスクを開始する前に、この章をお読みください。
SL500、SL3000、および SL8500 ライブラリには、コマンド行インタフェース (CLI) と、グラフィカルユーザーインタフェースである StorageTek ライブラリコンソール (SL コンソール、スタンドアロンまたは Web ベース) があります。SL150 ライブラリは、ブラウザベースのユーザーインタフェースを排他的に使用します。
ほとんどの CLI コマンドでは、構文は SL500、SL3000、および SL8500 ライブラリモデル間で同じです。構文がライブラリモデルによって異なるいくつかのコマンドについては、例が示されています。大部分の CLI の例は SL500 ライブラリを使用します。SL3000 または SL8500 ライブラリを構成している場合、各コマンドによって返される詳細は、表示されているものとわずかに異なることがあります。
CLI 使用上のヒント
ライブラリ CLI への SSH (セキュアシェル) 接続を確立するには、PuTTY などの端末エミュレータを使用します。
エラーのトラブルシューティングが必要な場合は、アクティビティーを確認できるようにロギングを有効にします。
SL500 ライブラリコマンドでは大文字と小文字が区別されます。
一部のファームウェアバージョンでは、CLI は 6 時間後にタイムアウトになります。
任意の CLI コマンドのヘルプを表示するには、help
とコマンド名を入力します (たとえば、help snmp
)。
STA サーバーとライブラリの間の通信は、SNMP インタフェースを介します。ライブラリは、SNMP トラップを通じてデータを STA に送信し、STA は、SNMP の「get」関数を使用してライブラリ構成データを取得します。
STA サーバーとライブラリの間の通信を確立するには、ライブラリ (章 4の説明を参照) と STA サーバー (章 5の説明を参照) で構成手順を実行します。
ライブラリでの SNMP の実装に関する追加情報については、StorageTek Modular Library SNMP に関するリファレンスガイドを参照してください。
注: データベースが大きくなるのを最小限に抑えるために、定期的に、MySQL のイベントスケジューラは、処理された SNMP レコードをデータベースからパージします。 |
SNMP v3 は、STA とライブラリとの間の SNMP 通信で推奨されるプロトコルであり、STA 内でメディア検証を構成するためにも必要です (SL8500 のみ)。ただし、サイトの要件に応じて、v2c の使用を選択してもかまいません。章 4では、推奨される v3 構成について説明します。v2c プロトコルの構成については、付録 B, "SNMP v2c モードの構成,"を参照してください。
注: STA は、推奨される SNMP v3 プロトコルを使用してライブラリと通信しますが、ライブラリと STA サーバーの間の初期ハンドシェークは v2c プロトコルを介します。 |
SNMP v3 の認証、暗号化、およびメッセージ整合性機能では、ライブラリデータの送信にセキュアなメカニズムを提供します。各ライブラリで SNMP v3 通信を設定するには、ライブラリを v3 ユーザーとして定義し、STA サーバーを v3 トラップ受信者として定義します。さらに、承認メカニズム、プライバシメカニズム、およびパスワードを指定する必要があります。STA では、承認方式は常に SHA (Secure Hash Algorithm) で、プライバシ方式は常に DES (Data Encryption Standard) です。
STA では 1 つの SNMP v3 ユーザーのみがサポートされます。単一の STA サーバーによってモニターされるすべてのライブラリで同じ v3 ユーザーを定義する必要があります。ライブラリには、1 つ以上の v3 ユーザーがすでに存在する場合があり、STA 通信にはこれらのうちの 1 つを使用できます。ただし、このために新しい一意の v3 ユーザーを作成することを強くお勧めします。
SNMP v3 プロトコルでは、各 SNMP デバイスがグローバルで一意のエンジン ID を持っている必要があります。そのため、STA サーバーとライブラリにはそれぞれ、独自の固有のエンジン ID があります。SL8500 ライブラリコンプレックスの場合、コンプレックス内の各ライブラリにも独自の SNMP エージェントがあるため、独自の一意のエンジン ID があります。エンジン ID には、最大 31 文字の 16 進数文字列が含まれています。
トラップは、送信者のエンジン ID を使用するため、STA を SNMP v3 トラップ受信者として定義する際に、ライブラリエンジン ID を指定する必要があります。
アクティブ化された機能に応じて、SL3000 または SL8500 ライブラリは、1 つ、2 つ、または 4 つの IP アドレスを持つことができます。ただし、STA は、同時に最大 2 つのライブラリ IP アドレスとの連続した接続を保持できます。そのため、特定のライブラリでは、デュアル TCP/IP または冗長電子装置のいずれか (両方ではない) をサポートするように STA を構成できます。プライマリライブラリ IP アドレスは常に指定する必要がありますが、セカンダリ IP アドレスはオプションで指定できます。
STA がデュアル TCP/IP をサポートするように構成されている場合、ポートのフェイルオーバーの発生時にライブラリとの接続を保持します。STA が冗長電子装置をサポートするように構成されている場合、コントローラカードの切り替え時にライブラリとの接続を保持します。冗長電子装置の切り替えの完了後に、接続テストとデータ収集を実行してライブラリ接続を検証し、最新のライブラリ構成データを取得する必要があります (『STA 管理ガイド』の「SNMP 管理タスク」を参照してください)。これらの機能の詳細は、ライブラリのユーザーズガイドを参照してください。
注: 両方の機能を備えたライブラリの場合、Oracle では、冗長電子装置をサポートするよう STA を構成することをお勧めします。この機能は、連続したライブラリ操作を保持するためにより不可欠であるためです。 |
表 3-1 に、ライブラリへの STA 接続の構成時に使用する、推奨されるライブラリ IP アドレスの要約を示します。
表 3-1 STA 接続のための推奨されるライブラリ IP アドレス
アクティブ化された機能 | プライマリライブラリ IP | セカンダリライブラリ IP |
---|---|---|
いずれもなし |
2B ポート |
なし |
デュアル TCP/IP のみ |
2B ポート |
2A ポート、アクティブなカード |
冗長電子装置のみ |
アクティブなカードの 2B ポート |
スタンバイカードの 2B ポート |
両方 |
アクティブなカードの 2B ポート |
スタンバイカードの 2B ポート |
構成に関する追加の考慮事項
SL3000 または SL8500 ライブラリでデュアル TCP/IP をサポートするように STA を構成するには、ポリシールーティングを使用する必要がある場合があります。詳細は、SL3000 または SL8500 の『ホスト接続ガイド』を参照してください。デュアル TCP/IP 構成の支援が必要な場合は、Oracle サポートに連絡してください。
ライブラリに冗長電子装置とデュアル TCP/IP の両方がある場合、STA サーバーのサブネットは、STA に対して構成されていないライブラリポートのサブネットとは異なる必要があります (STA GUI、「Define Library Connection Details」画面)。そうしない場合、ライブラリは、これらのポート (STA にとっては不明) から情報を送信しようとし、STA によって拒否されます。
デフォルトゲートウェイは必ず 2B インタフェースにしてください。
Automation/Drive Interface (ADI) をサポートする LTO ドライブでは、構成とファームウェアレベルによっては、STA は高品質データ (たとえば、ドライブのパフォーマンスと使用率) を提供できます。ADI をサポートしないドライブは基本的なデータのみを提供します。ADI は、ライブラリと LTO ドライブの両方で有効にする必要があります。詳細は、STA 要件ガイドを参照してください。