この章では、Recovery Manager (RMAN)とOracle Secure Backupを組み合せて使用する方法について説明します。RMANの概念と操作に関する知識があるものとします。
この章の内容は次のとおりです。
関連項目:
RMANの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Secure Backupは、SBTインタフェースを介してRMANのメディア管理レイヤーとしての役割を果します。Oracle Secure Backupおよびサード・パーティのバックアップ・ユーティリティは、SBTインタフェースを介してRMANと統合します。
OSBを使用できるDBリリースの情報については、メタリンクにリンクを追加します。
注意:
Oracle Secure Backupとともに使用するOracle DatabaseとOracle Enterprise Managerのリリースに関する情報は、次のURLにあります。
http://www.oracle.com/technetwork/database/database-technologies/secure-backup/learnmore/index.html
Oracle Secure Backupでデータベースの以前のバージョンがサポートされますが、Oracle Database 10gリリース2 (10.2)以降、主要な機能が追加されています。次の統合機能の強化はOracle Secure Backupのみに限定されており、他のメディア管理製品では使用できません。
Oracle Database 10gリリース2(10.2)
Oracle Enterprise Managerによって、RMANおよびOracle Secure Backupの統一インタフェースが提供されます。また、Oracle Enterprise Managerを使用したテープ・デバイス、ディスク・プールおよびメディア・サーバーの管理もOracle Secure Backup限定です。
Oracle Secure Backup SBTライブラリは、RMANの暗号化されたバックアップを直接テープに作成できる唯一のインタフェースです。別のSBTライブラリを使用して暗号化RMANバックアップを試行すると、次のエラー・メッセージが生成されます。
ORA-19916: encrypted backups to tertiary storage require Oracle Secure Backup
テープで直接行う未使用ブロックの圧縮は、Oracle Secure Backupのみで可能です。
Oracle Secure Backupを使用してディスクまたはテープに直接バックアップする場合、未使用ブロックの最適化が可能になります。未使用ブロックのテープへの直接の最適化はOracle Secure Backupを使用した場合にのみ使用可能なため、サード・パーティ製メディア管理製品を使用してテープに直接バックアップする場合は有効になりません。
Oracle Database 11g
最適化されたSBTバッファ割当てでは、SBTおよびテープに対して共有バッファが使用されます。これにより、SBTからテープ・バッファへのコピー・プロセスが省かれ、CPUオーバーヘッドが減少します。
UNDO表領域の拡張バックアップによりコミット済UNDOのバックアップが省かれ、テープの消費量が減り、パフォーマンスが向上します。
この項の内容は次のとおりです。
RMANは、Oracleデータベース・ファイルのバックアップを可能にするユーティリティです。RMANの環境は、次の基本コンポーネントで構成されます。
RMANクライアント
RMANクライアント・プログラムは、Oracle Databaseソフトウェアとともに自動的にインストールされ、データベース・バックアップとリカバリを始動します。RMANクライアントは、互換性要件を満たすかぎり、ローカルまたはOracle Netを介してアクセス可能な任意のOracle Databaseファイルをバックアップおよびリカバリできます。
RMANターゲット・データベース
RMANターゲット・データベースとは、RMANがバックアップまたはリストアするデータベースです。バックアップとリカバリの管理に使用されるRMANメタデータは、ターゲット・データベースの制御ファイルとRMANリカバリ・カタログ(オプション)に格納されます。
RMANリカバリ・カタログ
RMANリカバリ・カタログは、オプションのデータベース・スキーマで、RMANメタデータの2次リポジトリとして機能します。集中管理されたリカバリ・カタログをデータベースに作成して、複数のターゲット・データベースのメタデータを格納できます。
関連項目:
RMANの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Secure Backupには、RMANによるデータベース・ファイルのテープへのバックアップに使用できるSBTインタフェースが用意されています。Oracle Secure Backup管理ドメインでは、SBTバックアップはRMANコマンドラインまたはOracle Enterprise Managerから開始されますが、ファイルシステム・バックアップはOracle Secure Backup Webツールまたはobtoolコマンドから開始されます。
RMANは、次のタイプのバックアップを実行します。
デフォルトでは、RMANは全体バックアップを実行します。データの全体バックアップには、バックアップするファイルのすべての割当て済ブロックが含まれます。
増分バックアップでは、前回の増分バックアップ後に行われたデータベースへのブロックレベルの変更が取得されます。通常、増分バックアップは、データベースの全体バックアップより小さく、高速です。レベル0の増分バックアップは、内容上、フル・バックアップと同一です。
これらのバックアップには、直近のレベル0バックアップ以降に変更された、すべてのブロックが含まれます。
これらのバックアップには、直近の増分バックアップ以降に変更されたブロックのみが含まれます。増分バックアップは、デフォルトで差分バックアップです。
関連項目:
バックアップの概念の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください
Oracleデータベース・ファイルのバックアップをRMANで実行すると、バックアップ・セットが生成されます。バックアップ・セットは、バックアップ・ピースとも呼ばれる物理的なファイルの論理グループです。RMANのバックアップ・セットとバックアップ・ピースの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Secure Backupを使用してデータベース・バックアップをテープに保存するとき、各バックアップ・ピースは1つのOracle Secure Backupバックアップ・イメージ・インスタンスとして扱われます。図4-1は、ピースとインスタンスの間の関係を示しています。1つのバックアップ・イメージ・インスタンスは複数のテープにまたがることができます。Oracle Secure Backupでは、データベース・バックアップ・イメージ(RMANバックアップ・ピース)とファイルシステム・バックアップ・イメージのインスタンスを同一のボリュームに書き込むことができます。
関連項目:
Oracle Secure BackupでのRMANバックアップの記憶域パラメータの定義は、次の方法で行います。
Oracle Secure Backup専用のRMANスクリプトでのパラメータの定義
Oracle Secure Backupデータベース・バックアップ記憶域セレクタの定義
テープまたはディスク・プールの記憶域の選択を自動化するための1つ以上のデータベース・バックアップ記憶域セレクタを定義することをお薦めします。臨時バックアップで、バックアップ記憶域セレクタに含まれるものとは別のメディア選択が必要になるときは、データベース・バックアップ記憶域セレクタを上書きするためにRMAN記憶域パラメータ設定を使用します。
関連項目:
バックアップ記憶域セレクタの詳細は、「データベース・バックアップ記憶域セレクタ」を参照してください
Oracle Secure Backupは、データベース・バックアップ記憶域セレクタにカプセル化された情報を使用して、バックアップ操作を実行する際にRMANと通信できます。Oracle Secure Backupでは、記憶域セレクタを使用してOracleデータベース・ファイルを識別するバックアップ属性を表します。
データベース・バックアップ記憶域セレクタには、次の項目を指定する必要があります。
データベースを一意に識別するデータベース名またはDBID
データベース・ホストの名前
RMANバックアップに使用するメディア・ファミリの名前
二重化バックアップのコピー番号(オプション)
バックアップに使用できるテープ・デバイスの制限(オプション)
RMANはOracleデータベース・ファイルをバックアップするときに、データベース名、内容の種類およびコピー番号をOracle Secure Backupに渡します。この情報を使用して、Oracle Secure Backupは対応するデータベース・バックアップ記憶域セレクタを判断します。この記憶域セレクタは、このバックアップでのテープ・デバイスまたはディスク・プールの制限(該当する場合)と使用するメディア・ファミリ(該当する場合)について、Oracle Secure Backupに対して指定します。
複数のデータベース・バックアップ記憶域セレクタを作成できます。たとえば、管理ドメイン内のすべてのデータベースのデータファイル・バックアップ用にデータベース記憶域セレクタを1つ作成し、管理ドメイン内のすべてのデータベースのアーカイブ・ログ・バックアップ用にもう1つのセレクタを作成することができます。また、データファイル・バックアップ用に1つの対象テープ・ライブラリを指定し、アーカイブ・ログ・バックアップ用に別の対象テープ・ライブラリを指定できます。
RMANバックアップ・ジョブがSBTインタフェースから開始されると、Oracle Secure Backupは、データベース・バックアップ記憶域セレクタを検証し、バックアップ記憶域セレクタがバックアップ・ジョブの属性と合致するかどうかを判断します。バックアップ記憶域セレクタのすべての属性がバックアップ・ジョブの対応する属性と合致すると、適合となります。複数の記憶域セレクタがジョブと適合する場合は、最も特定的な属性のセレクタが選択されます。たとえば、データベース名にdb_1
と設定されたバックアップ記憶域セレクタは、データベース名にすべて(*
)と設定されたバックアップ記憶域セレクタよりも先に適合します。
Oracle Secure Backupは、管理サーバー上のOracle Secure Backupホームのadmin/ssel
サブディレクトリで記憶域セレクタを保持します。
注意:
データベース記憶域セレクタは一意であることが必要です。ワイルドカード(*
)は例外ですが、より全般的な設定はより特定的な設定と合致します。たとえば、--dbname
にdb_1
およびdb_2
を設定した記憶域セレクタを作成した場合、--dbname
にdb_1
のみを設定し、その他すべての属性は最初のセレクタと同一の別のセレクタは作成できません。しかし、--dbname
にすべて(*
)と設定した記憶域セレクタを作成した場合、--dbname
にdb_1
と設定し、その他すべての属性は最初のセレクタに使用されるものと同一の別のセレクタを作成できます。
関連項目:
RMANチャネルに指定されたメディア管理パラメータによってバックアップ記憶域セレクタの設定を上書きする方法は、「RMANでのメディア管理パラメータの設定」で説明します。
データベース・バックアップ記憶域セレクタのコマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
バックアップ操作を二重化して、各々を別のボリューム・セットに格納し、1つのセットをアクセスに便利なようにオンサイトに保持し、もう1つのセットを障害時リカバリに備えてオフサイトに格納できます。管理が容易なように、二重化された各バックアップ操作は、各データベース記憶域セレクタによって定義され、別のOracle Secure Backupメディア・ファミリに書き込まれます。
関連項目:
データベース・バックアップ記憶域セレクタは、Oracle Databaseに対するユーザー定義のOracle Secure Backupメディア・ポリシーです。バックアップのコンテンツおよびコピー番号によって、どのメディア・ファミリ、テープ・デバイス、リソース待機時間が適用されるかを定義します。1つのデータベース記憶域セレクタを管理ドメイン内のすべてのデータベース・バックアップに適用することも、各データベースに複数の記憶域セレクタを定義することもできます。
次の例では、ssel_1
とssel_2
という名前の2つのデータベース記憶域セレクタが作成されます。2つとも、host_name
上のすべてのデータベースのすべての内容をバックアップします。ただし、ssel_1
はメディア・ファミリmf_1
を使用し、ssel_2
はメディア・ファミリmf_2
を使用します。
ob> mkssel --dbid * --host host_name --content * --family mf_1 -- copynum 1 ssel_1 ob> mkssel --dbid * --host host_name --content * --family mf_2 -- copynum 2 ssel_2
関連項目:
mkssel
の詳しい構文とセマンティックは、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
RMAN二重化バックアップおよびPARALLELISM
を使用する場合、両方のコピーを同時に処理できるだけ数の使用可能なテープ・ドライブが必要です。前の例で二重化バックアップのチャネル構成としてPARALLELISM
を2に設定した場合、バックアップ操作で4つのテープ・ドライブ(2つのバックアップ・コピーにPARALLELISM
の2を掛けた数)が必要になります。
注意:
一方のコピーで使用できるテープ・ドライブが1つ足りない場合、もう一方のコピーも実行されません。また、一方のコピーでバックアップ・ストリームが失敗すると、もう一方のコピーでも失敗します。
この場合、リストア操作は二重化されていないため、必要なテープ・ドライブは2つだけです。
Oracleデータベースのバックアップの暗号化は、Oracle Secure Backupを使用して次の2つの方法のいずれかで実行できます。
RMANバックアップ暗号化の使用(データベース内でデータを暗号化する)
このオプションは、Oracle Database 10gリリース2(10.2)以上で使用できます。制約があるかどうかは、Oracle Databaseのライセンスに関するドキュメントを参照してください。
Oracle Secure Backup暗号化の使用(RMANがSBTを介してOracle Secure Backupにデータを渡した後で暗号化する)
このオプションは、Oracle9i以上で使用できます。暗号化はデータベースの外部で行われ、データがサーバーで暗号化されてから、ネットワーク上に送信されるか、ローカルに接続されたテープ・デバイスに書き込まれます。
注意:
Oracle Secure Backup暗号化は、RMANおよびファイルシステム・バックアップの両方の操作で使用できます。
関連項目:
Oracle Secure Backupの暗号化の詳細とデータベース・バックアップの暗号化の例は、「バックアップ暗号化の管理」を参照してください
バックアップ・ジョブ開始前のキューの時間を制御するには、次のポリシー設定を変更します。
操作ポリシーrmanresourcewaittime
このポリシーはデフォルトではforever
に設定されています。バックアップ記憶域セレクタまたはRMANパラメータを構成すると、このポリシーよりも優先されます。
obtool
のmkssel
またはchssel
コマンドでの--waittime
オプションの指定
RMANパラメータOB_RESOURCE_WAIT_TIME
RMANのリストア操作の場合、開始時間は、操作ポリシー・クラスのrmanrestorestartdelay
ポリシーの設定によって決まります。
関連項目:
mkssel
およびchssel
コマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
デフォルトおよびポリシーの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
RMANによって開始したリストアは、Oracleデータベース・リストア操作と呼ばれます。RMANは、先にフルバックアップを実行してデータ・ファイルをリストアし、それ以降のみ、増分バックアップの実行に移行します。RMANリストア操作は、データ・ファイルが失われたか破損している場合に、リカバリ操作のために、バックアップからそのファイルを取得します。
Oracle Secure BackupのSBTインタフェースを用いてRMANのバックアップおよびリストア操作を実行する際に、次のインタフェースを使用できます。
rman
実行可能ファイルは、データベース・インストールのORACLE_HOME
/bin
ディレクトリにあります。RMANクライアントはOracleホームから、そのホームがあるコンピュータがOracle Secure Backupの管理ドメインのメンバーかどうかに関係なく、実行できます。ターゲット・データベース・ホストは、Oracle Secure Backupの管理ドメインのメンバーである必要があります。ターゲット・データベースは、ターゲット・ホスト上でOracle Secure BackupのSBTを使用し、Oracle Secure Backupの管理ドメインと通信します。
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlで複数のデータベースを管理できます。これはデータベース管理のためのグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。Cloud Controlコンソールは、管理ドメイン内のどのデータベース・ホスト上でも稼働できます。
Oracle Secure Backupの管理ドメイン内のすべてのデータベースのSBTバックアップは、Cloud Controlから管理できます。集中管理されたRMANリカバリ・カタログは、Cloud Controlリポジトリが含まれるのと同じデータベース内に作成できます。
Cloud Controlを使用する場合、Enterprise Manager用のリポジトリがOracle Database 10gリリース2(10.2)データベースにあれば、Oracle Database 10gリリース1 (10.1)以前のデータベースを実行するホスト上でOracle Secure Backupを使用できます。
この項では、次の環境でのRMANの操作について説明します。
単一ホスト管理ドメイン
単一ホスト管理ドメインでは、1つのホストが、管理サーバー、メディア・サーバーおよびクライアントのロールを担います。Oracleデータベースは、このホストにインストールされます。図4-2に、典型的な単一ホストの例を示します。
注意:
この章は、図4-2のものと同様に構成されている単一ホスト管理ドメインの管理者の立場から書かれています。
データベース・バックアップを行う複数ホスト管理ドメイン
複数ホスト管理ドメインでは、管理サーバー、メディア・サーバーおよびクライアント・ホストがすべて別個なことも、各データベース・サーバーがメディア・サーバーを兼ねることもあります。後者の構成では、ネットワークベースのバックアップ操作を最小限にできる利点があります。単一管理ドメインに含めることができる管理サーバーは1つのみですが、メディア・サーバーとクライアントは複数含めることができます。
図4-3に、各クライアント・ホストでOracleデータベースを運用している、典型的な複数ホスト・ドメインを示します。この例では、管理サーバーおよびメディア・サーバーでデータベースを運用していません。Windowsのデータベースには、管理ドメイン内のすべてのデータベースのバックアップに対するメタデータを格納するための集中管理されたリカバリ・カタログが含まれています。
クライアントでCloud Controlを使用して、管理ドメイン内のすべてのデータベースを必要とするSBT操作を起動することはできます。
管理ドメイン構成およびバックアップおよびリカバリの管理に使用するフロント・エンド・インタフェースに関係なく、RMANがOracle Secure BackupのSBTライブラリと通信するプロセスは同じです。図4-4に、Oracle Secure BackupのSBTを使用するRMANのバックアップおよびリストア操作の基本コンポーネントを示します。
Oracle Secure Backupを使用したRMANのバックアップおよびリストア操作の基本プロセスは次のとおりです。
Oracle Secure Backupユーザーが、コマンドラインまたはOracle Enterprise Managerコンソールを使用してRMANクライアントを起動します。
Oracle Secure BackupユーザーがSBTチャネルを割り当て、RMANBACKUP
またはRESTORE
コマンドを実行します。
チャネルが割り当てられると、サーバー・セッションがOracleデータベースで開始されます。
データベース・ホスト上のサーバー・セッションは、Oracle Secure BackupのSBTライブラリを介してバックアップまたはリストアのジョブ・リクエストを生成します。
Oracle Secure Backupは、バックアップまたはリストアのジョブを生成し、sbt/15
などの一意のIDを割り当てます。
関連項目:
ジョブIDの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
RMANバックアップ操作では、Oracle Secure Backupは適切なリソースをすぐに予約して開始しようとします。リソースが使用できない場合、Oracle Secure Backupはリソースが使用可能になるのを待つ間、ジョブをキューに入れます。
関連項目:
RMANバックアップおよびリストア操作に関連する設定の詳細は、「RMANのバックアップおよびリストア・ポリシー」を参照してください
RMANが、バックアップ・ピースを作成またはリストアします。
バックアップの場合、Oracle Secure BackupはRMANのバックアップ・ピースに関するメタデータをOracle Secure Backupのカタログに格納します。
Oracle Secure Backupのカタログは、RMANのリカバリ・カタログとはまったく別に格納および管理されます。Oracle Secure Backupは、各バックアップ・ピースと、そのピースに対応するメタデータを格納します。
Oracle Secure Backup 10.4.0.1より、Oracle Secure BackupでNUMAアーキテクチャがサポートされます。NUMAシステムでは、プロセッサはノードまたはリージョンと呼ばれる小規模なシステムにグループ化されます。各ノードは、独自のプロセッサと共通メモリーを持ちます。ノード内のすべてのプロセッサで共通メモリーを共有します。このローカル・メモリー領域へのアクセスは高速なため、スケーラビリティとパフォーマンスが向上します。
データベース・バックアップまたはリストア操作時、Oracleシャドー・プロセスでOracle Secure BackupとOracle Databaseとの対話を管理します。シャドー・プロセスは、SBTライブラリをロードし、Oracle Secure Backupデータ・サービス(obndmpd
プロセス)を起動します。これによって、操作に必要なネットワークI/Oがクライアントで行われます。Oracleシャドー・プロセスとOracle Secure Backupデータ・サービスは、共通メモリー領域を使用してデータを交換します。
NUMAマシンでは、Oracle Secure Backupは、Oracleシャドー・プロセスとOracle Secure Backupデータ・サービスが同じノードで実行され、その結果、同じ共通メモリーにアクセスするようにします。これによって、Oracleシャドー・プロセスとOracle Secure Backupデータ・サービスが同じノードにない場合にパフォーマンスが向上します。
Enterprise Manager Cloud Controlを使用して、Oracle Secure BackupへのRMANアクセスを構成できます。必要なのは、Oracle Secure Backupホーム・ディレクトリを指定することだけです。RMANにより、SBTライブラリは自動的に検索されます。
関連項目:
Enterprise Managerでの管理サーバーの登録の詳細は、『Oracle Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。
デフォルトでは、RMANはSBTライブラリのプラットフォーム固有のデフォルトの場所を検索します。UNIXおよびLinuxでは、デフォルト・ライブラリ・ファイル名は/lib/libobk.so
ですが、拡張子名はプラットフォームによって異なります(.so
、.sl
、.a
など)。Windowsでは、デフォルトのライブラリの場所は%WINDIR%\System32\orasbt.dll
です。
Oracle Secure BackupをLinuxやUNIXにインストールするときは、インストーラによってSBTライブラリがOracle Secure Backupホームのlib
サブディレクトリに自動的にコピーされ、/lib
または/usr/lib
ディレクトリのライブラリへのシンボリック・リンクが作成されます。
デフォルトでは、RMANは標準パスを検索し、SBTチャネルが割り当てられるとOracle Secure BackupのSBTライブラリをロードします。
Oracle Secure Backupは、リクエストしているOracle Secure BackupユーザーがそのホストでのRMANバックアップを事前認可されている場合のみ、SBTリクエストを受け付けます。このような事前認可済Oracle Secure Backupユーザーは、2つの要件を満たす必要があります。
事前認可済Oracle Secure Backupユーザーに、バックアップまたはリストア対象のファイルにアクセスするためのオペレーティング・システム権限がマップされていることが必要です。事前認可済Oracle Secure Backupユーザーは、ファイルへのアクセス権を持っているホスト上でのみRMAN操作を実行できます。
事前認可済Oracle Secure Backupユーザーには、次の権限を含むOracle Secure Backupクラスが割り当てられていることが必要です。
(owner
、class
またはall
に設定した)Oracleバックアップへのアクセス(access Oracle backups
)
Oracleのバックアップおよびリストアの実行(perform Oracle backups and restores)
関連項目:
Oracle Secure Backupの権限の詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
1つのホストでRMANのバックアップおよびリストア操作を事前認可できるOracle Secure Backupユーザーは1名だけです。バックアップまたはリストア操作を開始できる複数のRMANユーザーが1つのデータベースに存在できますが、そのデータベース・サーバーに対してOracle Secure Backupの事前認可済Oracle Secure Backupユーザーは1名しか存在できません。
また、Oracle Secure Backupユーザーにコマンドライン(obtool
)操作を事前認可することもできます。バックアップおよびリストアのスクリプトを使用する場合に役立ちます。
関連項目:
図4-5に、特定のホストでのRMAN操作を事前認可されたOracle Secure Backupユーザーが、バックアップまたはリストア・リクエストを送信する場合の基本的なプロセスを示します。
このプロセスは次のように機能します。
ユーザーがRMANを起動してSBTチャネルを割り当てると、Oracleデータベースはサーバー・セッションを開始します。
サーバー・セッションは、SBTライブラリを使用して、ホストでローカルに稼働しているobproxyd
デーモンと通信します。
ローカルのobproxyd
デーモンは、どのオペレーティング・システム・ユーザーのもとでサーバー・セッションが実行されているかを判断します。この例では、オペレーティング・システム・ユーザーの名前はoracle
で、Linuxホストbrhost2上で稼働すると仮定します。
ローカルのobproxyd
デーモンは、オペレーティング・システム・ユーザー情報を管理サーバーのobserviced
デーモンに確認します。このホストおよびオペレーティング・システム上のオペレーティング・システム・ユーザーがOracle Secure Backupユーザーとして事前に認可されている場合は、Oracle Secure Backupへのログインが成功します。
たとえば、ホストbrhost2上のオペレーティング・システム・ユーザーoracle
がOracle Secure Backupユーザーobuser
として稼働することを事前に認可されていると仮定します。また、obuser
がoracle
クラスのメンバーで、このクラスには、デフォルトでOracleのバックアップおよびリストアの実行(perform
Oracle
backups
and
restores
)権限が割り当てられていると仮定します。
関連項目:
Oracle Secure Backupの権限の詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
サーバー・セッションは、Oracle Secure Backupユーザーを使用してファイルをバックアップまたはリストアします。
SBTを介して送信されるOracle Secure Backupの操作は、Oracle Secure Backupユーザーによって定義されたオペレーティング・システム・ユーザーを使用して、ホストにアクセスします。図4-5に示す例では、バックアップおよびリストア操作は、brhost2上のoracle
オペレーティング・システム・アカウントのもとで実行されます。
Oracle Secure Backupソフトウェアのインストール中に、またはインストール後にOracle Secure Backup Webツールかobtool
のmkuser
コマンドを使用し、Oracle Secure BackupでOracleデータベース・ファイルのテープへのバックアップを実行するために必要な権限を持つ事前認可済Oracle Secure Backupユーザーを構成できます。
LinuxまたはUNIXでのOracle Secure Backupのインストール時に事前認可済Oracle Secure Backupユーザーを作成するには、obparameters
パラメータをcreate
preauthorized
oracle
user
に設定する必要があります。
関連項目:
事前認可済oracle
ユーザーを作成するためのobparameters
の構成の詳細は、『Oracle Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。
WindowsでのOracle Secure Backupのインストール時に事前認可済Oracle Secure Backupユーザーを作成するには、管理サーバーの機能を選択するときにoracleユーザーの作成のアクションを有効にする必要があります。
関連項目:
管理サーバーの機能の詳細は、『Oracle Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。
インストール後に事前認可のOracle Secure Backupユーザーを構成するには、Webツールまたはobtool
のmkuser
コマンドを使用します。例4-1では、mkuser
を使用して、preauth_user
という名前のOracle Secure Backupユーザーを作成し、このユーザーにoracle
クラスを割り当てます。例では、--preauth
を使用してpreauth_user
をホストbrhost2上のLinuxまたはUNIXのユーザーoracle
にマップします。バックアップまたはリストアするファイルにアクセスできるオペレーティング・システム・ユーザーへのマッピングが必要です。
関連項目:
mkuser
コマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
例4-1 RMANのバックアップを作成するためのオペレーティング・システム・ユーザーの事前認可
mkuser preauth_user --class oracle --preauth brhost2:oracle+rman
RMAN操作で使用するために専用のメディア・ファミリを作成することをお薦めします。RMAN専用のメディア・ファミリを作成しない場合、Oracle Secure Backupはデフォルトのメディア・ファミリを使用します。
RMANで使用されるデフォルト・メディア・ファミリの名前はRMAN-DEFAULT
です。RMAN-DEFAULT
メディア・ファミリの削除や名前変更はできませんが、Oracle Secure Backup Webツールまたはobtool
によって一部の属性を変更することはできます。
関連項目:
アーカイブREDOログやデータファイル・バックアップ・セット用に別のメディア・ファミリを作成すると役立ちます。メディア・ファミリは、Enterprise Manager、Oracle Secure Backup Webツールまたはobtool
のmkmf
コマンドを使用して作成できます。
関連項目:
メディア・ファミリの追加の詳細は、「メディア・ファミリの追加」を参照してください
obtool
のmkmf
コマンドの詳しい構文とセマンティックは、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
メディア・ファミリを作成する際、そのメディア・ファミリのボリュームがいつ上書きまたは再利用が可能になるかを決定する、ボリューム有効期限ポリシーを指定します。メディア・ファミリ内のボリュームでは、コンテンツ管理の有効期限ポリシーまたは時間管理の有効期限ポリシーのいずれかを使用します。
コンテンツ管理のボリュームは、RMAN操作にのみ使用できます。時間管理のボリュームは、RMANとファイルシステムの両方のバックアップおよびリストア操作に使用できます。したがって、時間管理のボリュームには、ファイルシステム・バックアップとRMANバックアップ・ピースが混在することがあります。
注意:
RMANバックアップを時間管理ボリュームに対して実行した場合、RMANリポジトリではそのボリュームのバックアップ・ピースが使用可能であるとレポートされていても、ボリュームが期限切れになり再利用される可能性があります。この場合、RMANでCROSSCHECK
コマンドを使用して、矛盾を解決する必要があります。
Oracle Secure Backupのデータベース記憶域セレクタを使用する場合は、メディア管理パラメータをRMANで設定する必要がありません。ただし、場合によっては、RMANパラメータを設定してデータベース記憶域セレクタを上書きする必要があります。
関連項目:
RMANのメディア管理パラメータおよびデータベース・バックアップ記憶域セレクタとの関係の詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
RMANのデータベース・バックアップでメディア管理パラメータを設定するには、次のようにします。
「RMANおよびOracle Secure Backupによるバックアップの実行」の手順1から9に従います。
「RMANスクリプトの編集」をクリックします。
「カスタマイズ・バックアップのスケジュール: 確認: Recovery Managerスクリプトの編集」ページが表示されます。
メイン・ウィンドウで、メディア管理パラメータを使用するようにスクリプトを変更します。たとえば、バックアップ・スクリプトが次のとおりであるとします。
backup device type sbt database include current controlfile; backup device type sbt archivelog all not backed up;
my_mf
メディア・ファミリを使用するようにバックアップを構成するには、スクリプトを次のように変更します。
run { allocate channel c1 device type sbt parms 'ENV=(OB_MEDIA_FAMILY=my_mf)'; backup database include current controlfile; backup archivelog all not backed up; }
「ジョブの発行」をクリックします。
「ステータス」ページが表示されます。
Oracle Secure Backupは、すべてのRMANおよびファイルシステム・バックアップ操作についてバックアップ・メタデータを保持します。この項では、Oracle Secure Backupカタログ内のRMANメタデータにアクセスする方法を説明します。
この項の内容は次のとおりです。
Oracle Secure Backupは、管理サーバーにOracle Secure Backupジョブのメタデータのカタログを保持します。Webツールを使用して、各バックアップ・ピース(Oracle Secure Backup Webツールではバックアップ・イメージと呼ばれる)のカタログ・メタデータを表示できます。また、obtool
でlsjob
、catxcr
およびlspiece
の各コマンドも使用できます。
関連項目:
RMANメタデータへのアクセスの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
RMANバックアップは、コンテンツ管理または時間管理の有効期限ポリシーを使用するボリュームに作成できます。RMANバックアップがコンテンツ管理ボリュームにある場合は、RMANのDELETE
OBSOLETE
コマンドを使用して、RMANリポジトリでバックアップ・ピースに削除済のマークを付けます。それを受けて、Oracle Secure Backupは、バックアップ・ピースが削除済であると示すようにカタログを更新するため、RMANリポジトリとOracle Secure Backupのカタログのどちらにもピースは削除済と示されます。
注意:
RMANバックアップのためにコンテンツ管理ボリュームを使用する場合は、RMAN保存構成によってテープの有効期限が決まります。RMANリポジトリの制御ファイルを使用する場合は、レコード保存期間をバックアップの保存期間以上に設定する必要があります。
Oracle Secure Backupでrmpiece
コマンドを使用してテープからバックアップ・ピースを削除することは推奨されません。このようにすると、RMANメタデータにテープの内容が反映されないからです。この不整合は、RMANバックアップ・ピースが時間管理の有効期限ポリシーで期限切れになったボリュームにある場合や、RMANバックアップ・ピースを含むボリュームを強制的に上書きした場合にも起こります。RMANのCROSSCHECK
コマンドを使用して、Oracle Secure BackupカタログとRMANリポジトリとの間の不整合を解決します。
関連項目:
バックアップのクロスチェックおよびRMANバックアップの削除の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Secure BackupのSBTを使用して作成されたRMANのバックアップは、Oracle Secure Backupのすべてのジョブ管理コマンドの対象になります。
関連項目:
RMANを使用してデータベースをバックアップまたはリストアする場合、ジョブにはデータベースの名前が含まれます。例4-2に、orcl
というデータベースに関するバックアップおよびリストア・ジョブのサンプル出力を示します。この例のジョブIDにoracle
が含まれるのは、ジョブがoracle
ユーザーによって実行されたためです。
例4-2 データベースのバックアップおよびリストア・ジョブ
ob> lsjob --all Job ID Sched time Contents State ---------------- ----------- ------------------------------ --------------------------------------- oracle/1 none database orcl (dbid=1091504057) completed successfully at 2013/11/21.15:24 oracle/1.1 none datafile backup completed successfully at 2013/11/21.15:28 oracle/2 none database orcl (dbid=1091504057) completed successfully at 2013/11/21.15:53 oracle/2.1 none datafile backup completed successfully at 2013/11/21.15:54 oracle/3 none database orcl (dbid=1091504057) completed successfully at 2013/11/21.15:57 oracle/3.1 none restore piece '06grqejs_1_1' completed successfully at 2013/11/21.15:59
ジョブのトランスクリプトには、Oracle Secure Backupジョブの詳細情報が含まれます。例4-3に、アーカイブ・ログのバックアップのトランスクリプトの一部を示します。このバックアップでは、RMAN-DEFAULT
メディア・ファミリを使用しています。
関連項目:
obtool
のcatxcr
コマンドの詳しい構文とセマンティックは、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
Oracle Secure Backup Webツールを使用してジョブのトランスクリプトを表示する方法は、「ジョブのトランスクリプトの表示」を参照してください
例4-3 アーカイブ・ログのバックアップ・ジョブのトランスクリプト
ob> catxcr --head 22 sbt/6.1 2008/06/28.13:01:04 ______________________________________________________________________ 2008/06/28.13:01:04 2008/06/28.13:01:04 Transcript for job sbt/6.1 running on brhost1 2008/06/28.13:01:04 Volume label: Volume tag: ADE202 Volume ID: RMAN-DEFAULT-000002 Volume sequence: 1 Volume set owner: root Volume set created: Tue Jun 28 13:01:30 2008 Media family: RMAN-DEFAULT Volume set expires: never; content manages reuse Archive label: File number: 1 File section: 1 Owner: root Client host: brhost1 Backup level: 0 S/w compression: no Archive created: Tue Jun 28 13:01:30 2008
Oracle Secure Backupは、RMANバックアップの情報をバックアップ・ピース・レベルで保持します。この情報は、バックアップ・イメージ内でOracle Secure Backup Webツールを使用するか、obtoolコマンドを使用して表示できます。バックアップ・ピースに関する情報はOracle Secure Backupにありますが、バックアップ・セットはRMANのみが認識する論理グループです。
RMANバックアップ・ピースは、Oracle Secure Backupではバックアップ・イメージとして表されます。obtool
のlspiece
コマンドを使用して、Oracle Secure Backupのカタログに記録されているバックアップ・ピースの情報を表示できます。例4-4に、lspiece
のサンプル出力を示します。
注意:
各ピース名は、Oracle Secure Backup管理ドメインのすべてのデータベースの中で一意にする必要があります。ピース名を一意にするには、RMANカタログ・オプションを使用してドメイン内のすべてのデータベースのバックアップ・カタログを集中管理させるか、RMAN書式文字列を使用します。
関連項目:
Oracle Secure Backup Webツールを使用してバックアップ・ピースの情報を表示する方法は、「バックアップ・セクションの表示」を参照してください
バックアップ・ピース名の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
lspiece
コマンドの詳しい構文とセマンティックは、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
例4-4 バックアップ・ピースの表示
ob> lspiece --long Backup piece OID: 104 Database: ob Database ID: 1566254457 Content: archivelog Copy number: 0 Created: 2008/06/28.13:01 Host: brhost1 Piece name: 05go3tgd_1_1 Backup piece OID: 105 Database: ob Database ID: 1566254457 Content: archivelog Copy number: 0 Created: 2008/06/28.13:02 Host: brhost1 Piece name: 06go3ti5_1_1
Oracle Secure Backupをクラスタの各ノードにインストールし、ノードをクライアントまたはメディア・サーバー(あるいは両方)として構成することをお薦めします。管理ドメインにすべてのノードを含めることにより、ノードのローカル・ファイルを保護することができます。Oracle Secure Backupは、Oracle RACクライアントのファイルシステム・バックアップ操作を他のクライアント・ホストと同様に処理します。
図4-6に、各ノードがOracle Secure Backupクライアントとして構成された3ノードのOracle RACシステムを含む管理ドメインの例を示します。Oracle RAC環境で、RMANは、バックアップ・ピースが作成されたノードに関係なく、Oracle Secure Backupソフトウェアがインストールされたクラスタ内の任意のノードにバックアップ・ピースをリストアできます。
図4-6 Real Application Clusters環境でのRMANおよびOracle Secure Backupの使用方法
パフォーマンス上の理由から、ネットワーク・バックアップとローカル・バックアップでOracle RAC環境を異なる構成にすることが重要です。RMANバックアップは、作業負荷分散に基づいてOracle RAC環境で動的に割り当てることができます。Oracle Secure Backupでは、どのノードがクライアント・バックアップを実行するかは重要ではないため、この方法は、Oracle RACデータベースがOracle Secure Backupを使用してネットワーク越しにバックアップされる場合に効果的です。
Oracle RAC環境のいずれかのノードがメディア・サーバーである場合は、そのノードがローカルにアクセスするテープ・デバイスにバックアップを作成するとさらに効率が上がります。この方法では、クライアントとして構成されたOracle RACノードがバックアップを実行する方法とは異なり、ネットワーク帯域幅をバックアップのために割り当てなくて済みます。
RMANバックアップが特定のノードから実行されるよう構成できます。RMANの構成が一度のみ行われ、そのデータベースのすべてのバックアップおよびリストア操作に作用するよう、RMANを永続構成することをお薦めします。
次の例では、3つのテープ・ドライブがhostAに接続しており、さらに3つのテープ・ドライブがhostBに接続しています。構成の手順は次のとおりです。
Oracle RAC環境のすべてのノードに接続し、RMANパラメータを構成します。
並列性を設定します。
hostAのチャネル(3チャネル)、接続、sidを構成します。
hostBのチャネル(3チャネル)、接続、sidを構成します。
この例では、各ホストに3つのチャネル、合計で6個のチャネルが必要であるように設定しています。この構成は、この設定を上書きしないかぎり、すべてのバックアップおよびリストア操作に適用されます。Oracle RAC環境の任意のノードに接続することでRMAN操作を開始できます。操作は構成されている2つのホストのみで実行されます。
注意:
永続的な設定を構成しない場合、RMANスクリプトでホストごとにチャネルを割り当てることで同じ結果が得られます。