データ取得エレメントについて

PeopleSoft から提供されているデータ取得エレメントもありますが、その他にユーザー自身がデータ取得エレメントを定義することもできます。このトピックでは、次について説明します。

  • システム エレメント

  • アレイ

  • 書込可能アレイ

  • ブラケット

  • 給与レート コード

  • 仮再計算

  • 再計算/履歴抽出ルール

システム エレメントは PeopleSoft によって提供および管理され、給与計算ルールの定義に使用できる情報を含んでいます。システム エレメントを変更したり、それらを定義するために特別な処理を行う必要はありません。ユーザーによるシステム エレメントの追加はできませんが、名称を変更することは可能です。

システム エレメントには、以下の 2 つのタイプがあります。

  • データベース システム エレメント

    データベース システム エレメントは、受給者に関するデータを取得するエレメントと考えることができます。これらには、部門 ID、所在地、および個人データなどの、計算に頻繁に使用されるデータが格納されます。データベース システム エレメントは、計算に使用されるときにだけ変換されます。

  • システム計算エレメント

    システム計算エレメントは、給与計算処理によって値がロードされますが、実際のデータベース フィールドではありません。システム計算エレメントが変換されるかどうか、またいつ、どんな方法で変換されるかは、エレメントの使用目的およびタイプによって決まります。

    たとえば、支給期間終了日や期間タイプなどは総額/純額計算の始めに毎回変換されますが、休暇欠勤計算で使用される日次データは毎日計算されます。また、給与レート コードと共に使用されるシステム計算エレメントなどは、給与レート コード エレメントが計算に使用される場合にのみ変換されます。

アレイによって、フィールドとエレメントがリンクされます。アレイには、グローバル ペイロールによってシステム エレメントに値がロードされないデータベース テーブルのデータが格納されます。また、グローバル ペイロール以外のテーブルに保存されている複雑なデータを取得する場合にも、アレイを使用できます。たとえば、アレイを作成して、PeopleSoft HR の DEPENDENT_BENEF テーブルから、受給者の扶養家族の誕生日データを取得することができます。

アレイは、COBOL プログラムで処理中にデータが保存される一時テーブルです。処理が終了すると、そのプログラムによって一時アレイから出力テーブルにデータが書き込まれます。

アレイの使用方法は、次の 2 つの処理ステップから成ります。

  1. データベースからデータを取得する。

  2. 取得したデータをそれ以降の処理で使用する。

アレイを定義する際には、必要な情報をシステムに入力して、これらのステップを両方とも実行できるようにしておく必要があります。

書込可能アレイを使うと、ユーザー定義のエレメントの値をテーブルの行に書き込むことができます。書込可能アレイは、多くの点で標準のアレイとは反対の性質を持っています。

書込可能アレイを使って、独自の結果テーブルにデータをロードすることができます。まず PeopleSoft アプリケーション デザイナを使って結果テーブルを作成します。その後、グローバル ペイロールの書込可能アレイ コンポーネントで、バッチ処理時にそのテーブルに値をロードするエレメントを定義します。

ブラケットを使って、他の値に基づいて検索テーブルの値を検索、取得することができます。

たとえば、年功ベースの賞与が支給されているとします。受給者の勤続年数に基づいた正確な賞与の金額を検索するために、ブラケットを作成します。

注: ブラケットを定義する前に、検索ルールに関連のある構成要素を全て定義しておく必要があります。

給与レート コード エレメントを使って、固定的賃金や固定的賃金外の給与などを含む、複数の給与データを変換します。給与レート コード エレメントを使用して、HR から複数の給与データを取得し、グローバル ペイロールに取り込みます。HR からデータそのものが直接転送されるのではなく、グローバル ペイロール内で値の計算が行われるため、給与計算を実行するたびに通貨換算を行うことができます。

HR の給与レート コードは、グローバル ペイロールでは自動的に変換されません。給与レート コードを使用して支給を行うには、グローバル ペイロールで支給エレメントを設定し、その支給エレメントの定義内で給与レート コード エレメントを指定します。支給対象とする給与レート コード エレメント全てに対し、支給エレメントを定義する必要があります。

注: グローバル ペイロールで給与レート コード エレメントを定義したら、そのエレメントを HR であらかじめ定義されている給与レート コードと関連付けます。グローバル ペイロールの導入後に HR で給与レート コードを作成した場合に限り、対応する給与レート コード エレメントがグローバル ペイロールに自動的に作成されます。

注: グローバル ペイロールでは、レート マトリックスをマッピングすることはできません。グローバル ペイロールでマッピングできるのは、単純な給与レート コードのみです。

一時的な再計算を実行し、その結果を保存せずに返したいときは、仮再計算ルールを定義します。仮再計算とは通常の計算処理で実行される補助的な計算のことで、特定のパラメータを仮に使用した場合の純額を算出できます。この計算結果は、その後の通常の計算処理で使用されます。仮再計算は必ず通常の計算の中で開始され、1 人の受給者、特定の期間のセットに対して実行されます。仮再計算の中間結果は、通常の計算で使用される結果の一部以外は、必要とされないので無視されます。

仮再計算を使用する例の 1 つとして、産前産後休業があります。仮に、受給者が休業前の 3 か月間の平均純支給額に基づいて、3 か月分の産休手当を与えられているとします。一定の条件 (この場合は、出産) を満たした場合に限り、平均純支給額が計算されます。受給者が産前産後休業の間は、この平均額が必要となります。ある値が変更されると、その変更データの有効日が後の日付であっても、元の 3 か月分の平均額を再計算する必要があります。

再計算/履歴抽出ルール エレメントは、過去の期間のデータを取得するルールの設定に使用します。再計算/履歴抽出ルールは、フォーミュラおよび仮再計算で使用されます。

再計算/履歴抽出ルールを使った例として、3 か月分の給与の移動平均を計算する場合があります。たとえば、今が 4 月の支給期間の終わりだとします。3 か月前、すなわち 1 月の始めまでさかのぼって、受給者の給与の平均額を計算する再計算/履歴抽出ルールを定義します。5 月の支給期間に移った場合は、今度は 2 月までさかのぼって 3 か月分の平均額が計算されます。常に直前の 3 か月間の平均額が計算されます。

再計算/履歴抽出ルールは、以下のように利用できます。

  • エレメント定義ページで支給エレメント、または控除エレメントに割り当てます。

  • グローバル ペイロールの支給/控除、累計、またはエレメントの各結果テーブルに保存されるエレメントに割り当てます。

  • 仮再計算エレメントによる再計算の期間検出に使用します。