遡及処理に関する定義

このトピックでは、次について説明します。

  • ユーザー フィールド レベルによるデルタのグループ化。

  • 遡及プロセス上書きの繰り越しオプション。

  • ユーザー フィールドおよびユーザー フィールド レベルによるデルタの繰り越し。

  • 未処理遡及デルタの管理。

  • 遡及再計算オプションの定義。

  • スライスの不一致。

グローバル ペイロールでは、一致するユーザー フィールド セットに基づいて、支給または控除のデルタをグループ化したり区分したりすることができます。一致と見なすための条件を定義して、エレメントのデルタをグループ化するために必要な一致レベルを制御できます。この条件には、1 つ目のユーザー フィールドのみが一致した場合にデルタをグループ化できる、1 つ目と 2 つ目の両方が一致した場合にデルタをグループ化できる、または 1 つ目、2 つ目、および 3 つ目が一致した場合にデルタをグループ化できるなどを定義できます。

現在の期間に繰り越される遡及デルタのグループ化方法を制御するには、支給エレメントまたは控除エレメントの定義の際に、次のユーザー フィールド レベルの中から 1 つを選択します。

ユーザー フィールド レベル

説明

なし

エレメント レベルのグループ化 (ユーザー フィールド セットの違いに関係なく、全てのデルタを結合)

ユーザー フィールド 1

部分設定 (ユーザー フィールド 1 だけを基準に、一致している場合にデルタを結合)

ユーザー フィールド 2

部分設定 (ユーザー フィールド 1 と 2 だけを基準に、一致している場合にデルタを結合)

ユーザー フィールド 3

部分設定 (ユーザー フィールド 1、2、3 を基準に、一致している場合にデルタを結合)

ユーザー フィールド 4

部分設定 (ユーザー フィールド 1、2、3、4 を基準に、一致している場合にデルタを結合)

ユーザー フィールド 5

部分設定 (ユーザー フィールド 1、2、3、4、5 を基準に、一致している場合にデルタを結合)

定義された全てのユーザー フィールド

全設定 (全てのユーザー フィールドが一致している場合にデルタを結合)

注: ユーザー フィールド設定のページで [遡及デルタ ユーザー フィールド レベル] の値を設定します。

支給 - エレメント <name> のユーザー フィールド ページ」を参照してください。

以下に挙げる例で、ユーザー フィールド レベルに基づいて、どのようにデルタのグループ化または区分が行われるのかを示します。

例 1: ユーザー フィールド レベルが "なし" の場合

期間 2 で期間 1 にさかのぼる遡及処理があり、エレメント E1 のユーザー フィールド レベルが [なし] に設定されているとします。

遡及方法は繰越です。

期間 1 (V1R1) の結果は、以下のとおりです。

支給

インスタンス

金額

ユーザー フィールド 1 (州)

ユーザー フィールド 2 (所在地)

ユーザー フィールド 3 (会社)

E1

1

300

州 1

所在地 1

ABC

E1

2

200

州 1

所在地 2

DEF

E1

3

150

州 3

所在地 3

ABC

期間 1 が再計算された際 (V1R2) の結果は、以下のとおりです。

支給

インスタンス

金額

ユーザー フィールド 1 (州)

ユーザー フィールド 2 (所在地)

ユーザー フィールド 3 (会社)

E1

1

400

州 1

所在地 1

ABC

E1

2

300

州 1

所在地 2

DEF

E1

3

200

州 3

所在地 3

ABC

E1 の以下のデルタが結果テーブルに保存されます。

支給

デルタ番号

デルタ

ユーザー フィールド 1 (州)

ユーザー フィールド 2 (所在地)

ユーザー フィールド 3 (会社)

E1

1

250

     

注: デルタはエレメント レベルで保存されるため、各ユーザー フィールド セットのデルタが合計されます (100 + 100 + 50 = 250)。ユーザー フィールドの値は保存されません。

例 2: ユーザー フィールド レベルが "定義された全てのユーザー フィールド" (全設定) の場合

期間 2 で期間 1 にさかのぼる遡及処理があり、ユーザー フィールド レベルが [定義された全てのユーザー フィールド] に設定されているため、全てのユーザー フィールドが一致している場合に遡及デルタがグループ化されるものとします。

遡及方法は繰越です。

期間 1 (V1R1) の結果は、以下のとおりです。

支給

インスタンス

金額

ユーザー フィールド 1 (州)

ユーザー フィールド 2 (所在地)

ユーザー フィールド 3 (会社)

E1

1

300

州 1

所在地 1

ABC

E1

2

200

州 1

所在地 2

DEF

E1

3

150

州 3

所在地 3

ABC

期間 1 が再計算された際 (V1R2) の結果は、以下のとおりです。

支給

インスタンス

金額

ユーザー フィールド 1 (州)

ユーザー フィールド 2 (所在地)

ユーザー フィールド 3 (会社)

E1

1

400

州 1

所在地 1

ABC

E1

2

300

州 1

所在地 2

DEF

E1

3

200

州 3

所在地 3

ABC

E1 の以下のデルタが結果テーブルに保存されます。

支給

デルタ番号

デルタ

ユーザー フィールド 1 (州)

ユーザー フィールド 2 (所在地)

ユーザー フィールド 3 (会社)

E1

1

100

州 1

所在地 1

ABC

E1

2

100

州 1

所在地 2

DEF

E1

3

50

州 3

所在地 3

ABC

注: ユーザー フィールド レベルの設定によって、遡及デルタの合計にはユーザー フィールドの完全一致が求められるため、デルタはユーザー フィールド セットごとに保存されます。

例 3: ユーザー フィールド レベルが "ユーザー フィールド 1" (部分設定) の場合

期間 2 で期間 1 にさかのぼる遡及処理があり、ユーザー フィールド レベルが [ユーザー フィールド 1] に設定されているため、ユーザー フィールド 1 が一致している場合に遡及デルタがグループ化されるものとします。

ユーザー フィールド 1 は "会社" です。

遡及方法は繰越です。

期間 1 (V1R1) の結果は、以下のとおりです。

支給

インスタンス

金額

ユーザー フィールド 1 (会社)

ユーザー フィールド 2 (州)

ユーザー フィールド 3 (所在地)

E1

1

300

ABC

州 1

所在地 1

E1

2

200

DEF

州 1

所在地 2

E1

3

150

ABC

州 3

所在地 3

期間 1 が再計算された際 (V1R2) の結果は、以下のとおりです。

支給

インスタンス

金額

ユーザー フィールド 1 (会社)

ユーザー フィールド 2 (州)

ユーザー フィールド 3 (所在地)

E1

1

400

ABC

州 1

所在地 1

E1

2

300

DEF

州 1

所在地 2

E1

3

200

ABC

州 3

所在地 3

E1 の以下のデルタが結果テーブルに保存されます。

支給

デルタ番号

デルタ

ユーザー フィールド 1 (会社)

ユーザー フィールド 2 (州)

ユーザー フィールド 3 (所在地)

E1

1

150

ABC

   

E1

2

100

DEF

   

注: この例では、会社 (ユーザー フィールド 1) ごとにデルタが保存されます。

エレメントを他のエレメントへ繰り越す際には (遡及方法は関係なし)、繰り越し元のエレメントのユーザー フィールド セットとユーザー フィールド レベルの両方が、繰り越し先のエレメントのユーザー フィールド セットとユーザー フィールド レベルに一致している必要があります。

デルタが合計され、前の期間から現在の期間へ繰り越される際には、以下のルールが適用されます。

  • エレメントのデルタは、現在のカレンダーの最初のセグメント (最初に変換されたインスタンス) へ繰り越されます。

  • この最初のセグメントがスライスされている場合は、その中の最初のスライスに調整値が繰り越されます。

  • 受給者レベル データがないため、またはジェネレーション コントロールの設定によって、支給または控除が現在の期間で変換されない場合、エレメントの遡及調整は、現在の期間の最初のインスタンスとして繰り越されます。

  • 遡及調整のみのインスタンス (一致する現在期間インスタンスのない繰り越し調整インスタンス) がある場合、調整インスタンスは、スライス日ではなく、セグメント日で変換されます。

  • ポジティブ入力またはルール処理と遡及調整がある場合、この遡及調整は、最初に変換されたインスタンスに追加されます。

  • 現在の期間に控除の延滞回収があり、控除自体は変換されていない場合、延滞回収と調整は合算され、セグメント日を使用して単一のインスタンスが作成されます。

以下の追加ルールは、エレメントのユーザー フィールド レベルが定義されている際に適用されます。

  • ユーザー フィールド レベルが [なし] の場合、デルタは、現在期間の支給または控除の最初のインスタンスへ繰り越されます。これらのデルタは、最初のインスタンスのユーザー フィールド値を引き受けます。

    現在のインスタンスがない場合、この調整値が最初のインスタンスとなり、セグメント日を使用してユーザー フィールド セットに値が取得されます。

  • ユーザー フィールド レベルが [定義された全てのユーザー フィールド] (全設定) の場合、デルタに関連付けられた全てのユーザー フィールドが遡及調整に付随して繰り越されます。

  • ユーザー フィールド レベルが部分設定 ([ユーザー フィールド 1]、[ユーザー フィールド 2]、[ユーザー フィールド 3]、[ユーザー フィールド 4] など) の場合、デルタは、指定した部分設定と一致するエレメントの最初のインスタンスに繰り越されます。

    一致するものがない場合は、セグメント日を使用してユーザー フィールド セットに値が取得されます。

以下の追加ルールは、ユーザー フィールドを持つ支給と控除およびユーザー フィールドを持たない支給と控除、ドライバが指定されているエレメントおよびドライバが指定されていないエレメントに適用されます。

  • 同じユーザー フィールド値を持つエレメントのインスタンスが現在の期間に複数ある場合、調整は最初のインスタンスに適用されます。

  • 各ユーザー フィールド セットに対して可能な遡及調整は 1 つのみです。

    調整値は、ユーザー フィールド セットの最初のインスタンスに追加され、そのインスタンスに関連付けられた日付で保存されます。

  • 同じユーザー フィールド セットを持つエレメントの現在のインスタンスがない場合、セグメント日を使用して調整自体が変換されます。

    新しいユーザー フィールド セットが、エレメントの新しい追加インスタンスになります。

未処理遡及デルタの管理コンポーネントでは、インスタンスとユーザー フィールド セット別に遡及デルタが表示されます。ただし、未処理遡及デルタの管理コンポーネントの以下の属性は、インスタンス レベルやユーザー フィールド セット レベルではなく、エレメント レベルで適用されます。

  • 遡及デルタ マッチング処理 (デフォルトのマッチング処理、処理なし、カレンダーに適用)。

  • 繰越先支給グループおよび繰越先カレンダー。

注: 未処理遡及デルタの管理コンポーネントを使用して、未処理遡及デルタを特定のカレンダーに指定し、デルタの繰越先エレメントを変更できます。繰り越し元のエレメントのユーザー フィールド セットとユーザー フィールド レベルの両方が、繰り越し先のエレメントのユーザー フィールド セットとユーザー フィールド レベルに一致している必要があります。

支給および控除の定義コンポーネントの計算ページにある [遡及再計算オプション] は、インスタンス レベルではなく、エレメント レベルで適用されます。たとえば、ユーザー フィールド "州" の値が "カリフォルニア" の控除インスタンスに対しては [遡及再計算オプション][常時再計算] に設定し、"州" の値が "ニューヨーク" の控除インスタンスに対しては [再計算しない] を設定するといったことはできません。

遡及処理の際に、支給または控除エレメントが [再計算しない] になっている場合は、エレメントの前回の値が、そのコンポーネント エレメントと一緒に返されます。ただし、再計算される期間と前回計算した期間の間でセグメントまたはスライスが一致しない場合は、指定した [再計算しない] オプションは無視され、エレメントは再計算されます。