E SL500 の ACSLS サポート

SL500 ライブラリは、SCSI 接続の単一 LSM ライブラリです。制御パス操作に、ACSLS サーバーへのファイバチャネルまたは LVD SCSI 接続のどちらかが必要になります。この章では、SL500 ライブラリの ACSLS サポートについて説明します。

ACSLS 接続

ACSLS サーバーは、SL500 ライブラリ内のインタフェースカード (LVD SCSI またはファイバ) と互換性のあるホストバスアダプタ (HBA) が必要です。ACSLS は、インタフェースカードの代わりに、SL500 内のブリッジドライブとも通信できます。

$ACS_HOME/install/install_scsi_sol.sh を実行すると、新しいハードウェアの存在 (JNI カードまたは LSILogic カードのいずれか) についてシステムにプローブが行われます。これらの HBA カードのどちらかがシステム上に存在しているが、対応するドライバが所定の位置にない場合は、このルーチンは適切なドライバパッケージを見つけ、それをインストールするための権限を求めるプロンプトを表示します。

注:

SL500 をパーティション分割できますが、ACSLS はパーティション分割した SL500 をサポートしません。

注:

制御パス用の SAS ブリッジドライブは、サポートされません。ブリッジドライブへのファイバチャネル接続のみがサポートされています。

ACSLS と SL500 ライブラリの相違点

このセクションでは、ACSLS と SL500 ライブラリの相違点について説明します。

ライブラリの構成

  • ACS、LSM - SL500 ライブラリは、単一の LSM を持つ ACS です (1 ACS および 1 LSM)。

  • SL500 は現在、パススルーポートをサポートしていません。

  • SL500 には少なくとも 1 つの基本モジュールがあり、最大 4 個の拡張モジュールを追加できます。

  • ACSLS は各 SL500 モジュールをパネルとみなします。

  • ACSLS で管理される SL500 ライブラリは、ACSLS インタフェースを介して 6 文字の volser ラベルを報告します。

ライブラリの場所の特定

このセクションではライブラリの場所について説明します。

アドレス指定スキーム

ACSLS のアドレス指定は、ACS、LSM、パネル、行、列です。

  • SL500 アドレス指定は、ライブラリ内の LSM、モジュール、行、列です。

  • ACSLS のアドレスはゼロが基準です。パネル 0、行 0、列 0 から始まります。

  • SL500 ライブラリは 1 が基準です。モジュール 1、行 1、列 1 から始まります。

  • SL500 ライブラリと ACSLS の内部アドレス間で整合性を確保するために、ACSLS はパネル 0、行 0、列 0 に対してプレースホルダを定義します。

パネル

  • パネル 0 = 取り付けられていません

  • パネル 1 = 基本モジュール

  • パネル 2 - 5 = 拡張モジュール

行番号

  • 各モジュール (パネル) 内で、行には 1 - 12 の番号が割り当てられます。

  • 行には、上から下に連続して番号が割り当てられます。

  • 番号付けは SL500 と ACSLS で同一です。

列番号

  • 1 から 11 (最大) の番号が付けられます。

  • SL500 の現在の構成は 9 列に制限されています。

  • 列 1 - 4 は左側の前から後ろを示します。

  • 列 5 - 8 は右側の後ろから前を示します。

  • 列 9 は、ドライブが配置されている背面壁です。

  • 番号付けは SL500 と ACSLS で同一です。

ドライブのアドレス

SL500 アドレス指定は LSM, モジュール, 行, 列です

  • 行はドライブ番号またはスロット番号に等しくなります。

  • ドライブ番号は基本モジュールで 1 - 2、拡張モジュールで 1 - 4 です。

  • 列番号はドライブの場合は常に 9 です。

ACSLS アドレス指定 = ACS, LSM, パネル, ドライブ

  • ドライブ番号 = 行またはスロット

表E-1 ドライブのアドレス指定の例

モジュール
ACSLS のドライブ識別子 SL500 のドライブアドレス

基本モジュール

0, 0, 1, 1

0, 1, 1, 9

 

0, 0, 1, 2

0, 1, 2, 9

ドライブ拡張モジュール

0, 0, 2, 1

0, 2, 1, 9

 

0, 0, 2, 2

0, 2, 2, 9

 

0, 0, 2, 3

0, 2, 3, 9

 

0, 0, 2, 4

0, 2, 4, 9

次の拡張モジュール

0, 0, 3, 1

0, 3, 1, 9


ACSLS の制限事項

  • SL500 ライブラリの最大数 = 31。

  • LSM の最大数 = 127。

  • SL500 ライブラリ内のパネルの最大数 = 5。

  • 拡張モジュールには、それぞれ 1 つのパネルを追加します。

  • 基本モジュールだけを含む SL500 にはパネルは 1 つだけです。

  • SL500 ファームウェアは、ラベルのないカートリッジをサポートしません。これは、「venter」コマンドを使用できないことを意味します。

  • パーティション分割された SL150 ライブラリは、サポートされません。

  • 制御パス用の SAS ブリッジドライブは、サポートされません。

SL500 ライブラリ設定の構成

SL500 は、ACSLS に影響を与える新しい構成設定をサポートしています。それらの機能を次に示します。

  • ストレージとしての CAP – CAP セル

    • 拡張モジュールでのみ許可されます。

    • 基本モジュールの CAP には常に CAP として使用されます。

    • モジュールごとに構成されます。

    • ストレージとして使用される CAP はどれも、挿入および取り出し操作で使用できません。

  • 予約済みセルはライブラリでの用途 (診断、クリーニングカートリッジ) にのみ使用します。

    • 基本モジュールだけに影響します。

    • 数 (n) は 0 から 9 (基本モジュールでの最大行数) まで構成できます。

    • 列 1 での最初の (n) 個のセルが予約されます。

      これらのセルは ACSLS にアクセスできないとみなされます。

SL500 CAP の動作

基本モジュールの CAP には 5 スロットマガジンが 1 つあります。ドライブ拡張モジュールを追加した場合、ドライブ拡張モジュール内の CAP には 5 スロットマガジンが 2 つあります。拡張モジュールの場合、CAP は、拡張モジュールあたり 10 の追加ストレージスロットに対して構成できます。さらに:

  • ブリッジドライブを通じて接続されている SL500 の CAP は、別の ACSLS インスタンスがライブラリの管理を引き継ぐときに、ロック状態になることがあります。詳細とこの問題の解決方法は、SL500 の付録で 取り出し中に開かない CAP (メールスロット)を参照してください。

  • CAP セル (基本モジュールのもの以外) は、CAP セルかストレージセルのどちらかとして構成できます。

  • 基本モジュール CAP は常に CAP として使用されます。

  • SL500 では、カートリッジの挿入および取り出しに 1 つのアクティブな CAP が必要です。

  • 複数の CAP がある場合、SL500 ライブラリは常に、1 つの CAP があると ACSLS に報告します。

  • すべての CAP セクションへのドアは、CAP がストレージセルとして構成されていないかぎり、一体としてロックおよびロック解除します。

    CAP セルをストレージセルとして使用するようにモジュールが構成されている場合は、CAP セクションは、CAP にアクセスするライブラリ操作の影響を受けません。

  • ACSLS は CAP を監査するときに、すべてのセルを調べます。

ライブラリの監査

次の場合は、常に監査を実行する必要があります。

  • これが新しいライブラリである場合。

  • 1 つ以上のモジュールが追加、取り外し、またはスワップされた場合。

  • ドアからカートリッジを手動で追加または取り外した場合。

  • ライブラリ構成設定が変更されたあと。

次の場合に、ライブラリの自己監査が行われます。

  • ライブラリの電源を投入するか、再初期化した場合。

  • ドアを開いて閉じた場合。

自己監査が完了したあとで、ACSLS を使用してデータベースを更新する必要があります。

これが新しいライブラリである場合

新しいライブラリは、ライブラリの実際の内容をデータベースと同期するために監査する必要があります。

モジュールの追加、取り外し、またはスワップ後

SL500 モジュールが追加、取り外し、スワップされたあとで、またははじめてライブラリを監査している場合に、次の手順を実行します。

  1. SL500 ライブラリを ACSLS に対してオフラインに変更 (vary) して、ライブラリの電源を切断します。

  2. モジュールの追加などのライブラリの変更を実行します。

  3. SL500 ライブラリの電源を投入するか、再初期化します。

  4. ACSLS が実行されている場合、次のコマンドを使用して ACSLS を終了します。

    acsss disable

  5. 次のコマンドを使用することによって、acsss_config を実行します。

  6. 次のコマンドを使用して ACSLS を起動します。

    acsss enable

  7. 影響を受ける SL500 パネルの監査 (audit) を実行します。

ドアを通じた手動によるカートリッジの追加または取り外し後

ライブラリのドアから手動でカートリッジを LSM に対して追加したり取り外したりした場合、データベースを同期させる必要があります。query poolの説明に従って、audit を実行します。

ACSLS cmd_proc を使用して、CAP を通じてカートリッジを LSM に対して挿入または取り出した場合、データベースは自動的に更新されます。

ライブラリ構成設定の変更後

ライブラリ構成設定を変更した場合は、acsss_config を使用して ACSLS を再構成し、続いてライブラリを監査 (audit) します。次のライブラリ設定を変更したあと、ライブラリを再構成し監査 (audit) します。

  • 予約済みのセルの数

  • ストレージセルとしての CAP

次の手順を実行します。

  1. SL500 ライブラリを ACSLS に対してオフラインに変更 (vary) して、ライブラリの電源を切断します。

  2. ライブラリの変更を実行します。

  3. SL500 ライブラリを再初期化します。

  4. ACSLS が実行されている場合、次のコマンドを使用して ACSLS を終了します。

    acsss disable

  5. acsss_config を実行します。

  6. 次のコマンドを使用して ACSLS を起動します。

    acsss enable

  7. 影響を受ける SL500 パネルの監査 (audit) を実行します。