A ACSLS のバックアップおよび回復ツール

この付録では:

  • 各ユーティリティー、その使用目的、およびそれらが重要である理由について説明します。

  • 障害回復シナリオについて概要レベルで説明します。

ACSLS バックアップツール

ACSLS は、そのデータベースと ACSLS 制御ファイルの両方をバックアップするための、3 つの堅牢な、明らかに異なる方法を提供します。各ユーティリティーは異なる機能を実行し、すべての方法が完全な障害回復計画における重要な役割を果たします。

自動バックアップ

ACSLS は自動データベース保護サービスを提供します。これらの自動保護サービスは、ACSLS データベースの日常の操作を、意図しない結果をもたらす可能性のある変更、またはデータベースの破損から保護します。

これらの自動バックアップ保護サービスの結果として、現在から保持期間の終わりまでのバックアップ時間までデータベースを復元できます。復元ツールについては、この付録のあとのほうで説明します。

このセクションでは、自動バックアップの方法とそれらを使用する理由について説明します。

  • ACSLS のデフォルトのバックアップディレクトリ

    ACSLS の初期インストール中に、バックアップに使用するディレクトリの名前を指定するよう求められています (デフォルトでは /export/backup)。このディレクトリ内でバックアップアクティビティーが行われます。

  • 完全なデータベースバックアップが実行され、日付の命名規則を使用してこのディレクトリ内に格納されます。

    /export/backup/yyyy-mm-dd-hh:mm:ss.tar.

    日次バックアップを実行する時間は、acsss_config 内で「Automatic Backup Variables」を変更することによって変更できます。

    デフォルトのバックアップ動作の変更の詳細については、ACSLS の動作を制御する変数の設定を参照してください。

  • データベースの保持期間

    自動バックアップに影響を与える ACSLS 内のもう 1 つの構成可能なパラメータは、データベースの保持期間です。これは、ACSLS がバックアップを保持する時間の量として定義されます。

    保持期間のデフォルトは 8 日です。

    デフォルトのバックアップ動作の変更の詳細については、ACSLS の動作を制御する変数の設定を参照してください。

    保持期間は acsss_config を使用して変更することもできます。

手動バックアップ

ACSLS は、コマンド行を使用してクリティカルな ACSLS データをバックアップする、bdb.acsss と呼ばれるユーティリティーを備えています。これは、環境が同じまたは同一のハードウェア、OS レベル、および ACSLS バージョンで構成される ACSLS データベースを復元するために使用する方法でもあります。bdb.acsssを参照してください。

コマンド行オプションなしで使用される bdb.acsss には、データベースのバックアップを作成し、それをデフォルトのバックアップディレクトリに格納する機能があります。すべてのクリティカルな ACSLS データベースと ACSLS 制御ファイルは、単一のファイルにバックアップされます。そのあとでこのファイルを使用して、内蔵ディスクまたはマザーボードの障害などのシナリオで、ACSLS を同じまたは同一のハードウェアでの前の状態に復元できます。

rdb_acsss ユーティリティーでは、ファイルと場所 (rdb.acsss -f /path/my_file) またはテープデバイス
(-f /dev/rmt/0mn) のいずれかを指定するために使用できる「-f」オプションを使用できます。テープデバイスの使用中は、テープデバイス上のファイル名を指定しません。

手動でのデータベースのエクスポート

ACSLS は、ACSLS データベース、ACSLS 制御ファイル、およびカスタマイズされた動的変数をエクスポートする、 db_export.sh と呼ばれるユーティリティーを備えています。db_export.sh ユーティリティーは、カンマで区切られた ACSII ファイルへの ACSLS データベースのダンプ、ACSLS 制御ファイルのコピー、動的変数のコピーを行います。これは、新しいバージョンの ACSLS への移行に使用する方法であり、エクスポートを実行する前に ACSLS とデータベースを両方とも停止する必要があるため、日次バックアップ操作には推奨されません。

db_export.sh コマンド行ユーティリティーは、異なるレベルのサーバーハードウェア、OS バージョン、および異なるリリースの ACSLS の間でのデータベースの移行に望ましい方法です。オプションを指定しない場合は、/dev/0mn などのローカルのデフォルトのテープデバイスで使用できます。そのあとでこのテープを任意の場所に移動でき、ACSLS およびその関連付けられた ACSLS 制御ファイルを任意の OS バージョンまたはレベルの ACSLS に復元できます。

注:

どのテープデバイスでも選択できますが、巻き戻しなしのデバイスを使用する必要があります。db_export ユーティリティーは 2 つのファイルを作成します。巻き戻しデバイスを選択した場合は、最初のファイル (データファイル) が 2 番目のファイルの作成時に上書きされることがあります。

bdb.acsss ユーティリティーと同様に、「-f」オプションを使用してシステムデフォルト以外のテープデバイスを指定できます。このオプションを使用するには、接続されている任意のテープデバイスに対して
db_export.sh /dev/0mn を実行するだけです。

-f では、名前を付けたファイルにデータベースをエクスポートすることもできます。この方法を使用すると、2 つのファイル (名前を付けた 1 つのファイルと、misc 拡張子を持つもう 1 つのファイル) が作成されることがわかります。インポートを確実に成功させるためには、インポートが行われるサーバーにファイルを両方とも転送する必要があります。

-f オプションを指定しても指定しなくても、db_export.sh ユーティリティーを実行すると、エクスポート先の ACSLS のバージョンを選択するよう求められます。

db_export.sh のメニュー選択項目は次のとおりです。

1: ACSLS 7.3
2: ACSLS 8.0, 8.0.1, 8.0.2, 8.1
3. ACSLS 8.2 or 8.3
4. ACSLS 8.4
E: Exit
Please select by number (or E to exit):

ACSLS 回復ツール

ACSLS は、すべてのバックアップとエクスポートの復元に、2 つの異なる回復ツールを使用します。これらのツールは両方とも、メニュー方式のユーザーインタフェースと簡単に選択できるオプションを備えています。2 つのユーティリティーは次のとおりです。

  • rdb.acsss - 自動と手動の両方のバックアップの回復ツール

  • db_import.sh - 同じバージョンの ACSLS、別のバージョンの ACSLS、または別のハードウェアプラットフォームからエクスポートされた、データベースと ACSLS 制御ファイル、またはそのいずれかを復元します。このオプションは、カスタマイズした動的変数の回復にも使用できます。

rdb.acsss の使用

rdb.acsss ユーティリティーは、自動バックアップ機能または bdb.acsss ユーティリティーのいずれかによって作成されたバックアップを使用して、ACSLS データベースと ACSLS 制御ファイルを復元します。ACSLS 制御ファイルは $ACS_HOME/data 内にあり、ACSLS 用のいくつかの異なる環境変数を定義します。これらは、アクセス制御設定、スクラッチ優先順位、拡張ストア LSM、カスタム volrpt 設定、およびボリューム属性 (watch_vols ユーティリティー用) などを指定します。

オプションと手順については、rdb.acsssを参照してください。

db_import.sh の使用

ACSLS は、同じバージョンの ACSLS や別のバージョンの ACSLS からエクスポートされたデータベース (別のハードウェアプラットフォームからでも可能です) を復元するための db_import.sh ユーティリティーを備えています。rdb.acsss と同様に、実行するタスクを選択するための、メニュー方式の読みやすいユーザーインタフェースが備わっています。

db_import.sh ユーティリティーをオプションを指定せずに使用することも、「
-f」オプションに引数としてパスとファイル名を付けて指定することもできます。コマンド行からオプションを指定せずに db_import.sh を実行すると、ユーティリティーはローカルテープデバイス上のエクスポートされたデータベースを探します。最初にエクスポートされたデータベースの有無をチェックし、有効なデータベースエクスポートファイルであることを確認してから、4 つのオプションのあるメニューを表示します。

注:

-f オプションにデフォルト以外のデバイスのテープデバイスを含めて指定する (-f /dev/rmt/0mn) こともできます。任意の有効なテープデバイスを指定できますが、巻き戻しなしのデバイスを指定する必要があります。db_import.sh ユーティリティーは 2 つのファイル (データ用に 1 つと制御ファイル用に 1 つ) を使用します。巻き戻しデバイスを使用すると、データファイルの回復後に、テープが巻き戻されて制御ファイルが失敗する場合があります。

パスとファイル名を付けて -f オプションを指定した場合、db_import.sh は、指定されたファイル名をエクスポートされたデータベースファイルとして使用します。ローカルのテープデバイスと同様に、最初にそのファイルが存在しているかどうかを確認するためのチェックを行い、指定されたファイル名がエクスポートされたデータベースファイルであることを検証します。指定されたファイルが有効なエクスポートの場合は、メニューが表示されます。メニューのオプションは次のとおりです。

  • オプション 1 - エクスポートされたファイルのデータベーステーブル、制御ファイル、および動的変数をインポートします。

    このオプションでは、ライブラリデータベースと、エクスポートされたバージョンから保存されたカスタマイズ済みの更新すべてがインポートされます。

  • オプション 2 - エクスポートされたファイルからデータベーステーブルのみをインポートします。

    このオプションでは、完全なライブラリ構成とボリュームデータセットがインポートされますが、エクスポートされたバージョンで行われたシステムのカスタマイズは適用されません。

  • オプション 3 - エクスポートされたファイルの制御ファイルのみをインポートします。

    このオプションでは現在のライブラリデータベースは変更されず、以前のバージョンからエクスポートされたカスタマイズのみがインポートされます。

  • オプション 4 - エクスポートされたファイルからカスタマイズされた動的変数をマージします。

    このオプションでは、エクスポートされたバージョンのカスタマイズされた設定を、現在のバージョンとマージします。ACSLS の動作を制御する変数の設定を参照してください。

障害のシナリオ

このセクションでは、障害のシナリオについて説明します。

データベースが破損した

  1. ユーザー acsss として、回復を実行する前に ACSLS を停止します

    $ acsss db 
    $ rdb.acsss  
    
  2. オプション 2 を選択します。rdb.acsssを参照してください。

  3. 回復が完了したら、ACSLS を起動します: acsss enable

間違ったライブラリに対して acsss_config を実行した

  1. オプション 2 を選択します。rdb.acsssを参照してください。

  2. ACSLS を起動し、データベースのバックアップおよび復元手順に従ってテストします。

サーバー障害 – 新しいハードウェアでの同じサーバーの再構築

  1. オペレーティングシステムをインストールします。

  2. 前のサーバーの設定で新しいサーバーと OS を構成します。

  3. ACSLS をインストールします。

  4. バックアップテープまたは FTP バックアップファイルをサーバーに挿入します。

  5. rdb.acsss ユーティリティーを起動します。

  6. オプション 2 を選択します。rdb.acsssを参照してください。

  7. rdb.acsss を終了します。

  8. ACSLS を起動し、データベースのバックアップおよび復元手順に従ってテストします。

サーバー障害 –新しいハードウェアでの別の ACSLS サーバーの再構築

  1. オペレーティングシステムをインストールします。

  2. ACSLS をインストールします。

  3. ACSLS サーバー間のバックアップファイルを適切な場所に置きます。

  4. rdb.acsss と入力します。rdb.acsssを参照してください

  5. オプション 3 を選択します。

  6. 回復ユーティリティーが完了したら、ACSLS を起動し、データベースのバックアップおよび復元手順に従ってテストします。