この章の内容は次のとおりです。
このガイドは、WebCenter Portalを使用してポータルを作成、編集および管理するアプリケーション・スペシャリストと上級ナレッジ・ワーカーを対象としています。ポータルとサブポータルの作成、カスタマイズおよび管理、ポータル・テンプレートの管理と開発、ポータル・ページやそこに公開されるコンテンツの作成と編集、ポータルで使用可能なアセットとツールの定義、メンバーシップ、ロールおよび権限によるポータルとページのセキュリティ設定などのタスクに関して説明します
ポータルの外観およびポータルに含めるコンテンツについてすでになんらかのコンセプトがある場合は、背景となる概念上の情報を完全には把握していなくても、ポータルを開始して作成できます。即座に開始できるように、この章では、最初に必要になる知識である基本的な概念を簡単に説明します。ポータルの開発で使用できる一連のタスクの概要について、「ポータル構築のコンセプト」を読み、次に、「ポータル構築タスク」を確認してください。
基本概念と使用可能なタスクについてひととおり理解した後、「新規ポータルの作成と構築」に進み、手順に従ってポータル作成ウィザードを使用し、新しいポータルを作成します。
初期ポータルを作成する際には、計画しているポータルを構築するために次に行う作業について疑問点が出てくるはずです。このガイドは必要な情報についてすべて説明されており、この場合は「次に行う作業」のサマリーが役立ちます
この項では、ポータルの構築に関する概念を紹介し、WebCenter Portalを使用してポータルの構築を開始する前に全般的な概要を提供します。
注意:
WebCenter Portalの概要、およびポータル構築後のその使用方法は、コンテンツのコントリビュート、データの共有、同僚とのコラボレーション、プロファイルの表示を行うナレッジ・ワーカー向けの情報を提供している『Oracle WebCenter Portalの使用』を参照してください。
ポータルとは、様々な目的に使用できるオンライン・ゲートウェイです。ナビゲーションと使用が容易なWebブラウザで、複数のバックエンド・ソースからのデータ、コンテンツ、ビジネス・アプリケーションおよびサービスへのセキュアなアクセスを提供します。ポータルは、組織内の従業員同士を結び付け、チーム間でプロファイルおよびプロジェクトの情報を活発に共有するツールとして使用できます。また、製品の調査や購入に使用できるように、別のポータルを顧客用に設定することもできます。小規模なチーム向けに焦点を絞ったポータルがある一方、何千人ものユーザーが使用する機能を搭載したポータルもあります。
ポータルが持っている価値の大部分は、データ、コンテンツ、ビジネス・アプリケーションおよびサービスを、統合されたユーザー・エクスペリエンスに集約(ブラウザ、スマートフォン、タブレットなどに表示)する方法にあります。 図1-1 に、ポータル内の単一のページ上のユーザーに公開される複数の情報ソースを示します。
WebCenter Portalには、直観的なユーザー・インタフェースおよびすぐに使用できる一連のポータル・テンプレート(「ポータル・テンプレートとは」を参照)が装備され、堅牢なポータルを迅速に作成するために必要なすべてのツールが用意されているため、作成するポータルに適した組込み機能を使用して作業を開始できます。作成したポータルは、ページやコンポーネントなどを追加することにより、簡単に拡張できます。ポータルのルック・アンド・フィールのカスタマイズ、ポータルのセキュリティおよびメンバーシップの定義ができる以外に、ポータルのニーズや要求の変化に応じて新しい機能を継続的に追加できます。
ポータルを公開すると、他のユーザーがURLを介してポータルにアクセスし、権限に応じてポータルでアクションを実行できるようになります。ユーザーには、自分に割り当てられたロールに与えられた定義済の権限を持っているか、ポータルの特定のページの編集権限など、ポータルの特定のエリアに対するアドホック権限が付与される場合があります。ポータル・ユーザーは、ポータルに表示されるデータ、コンテンツおよびアプリケーションが、多くの場合、まったく異なるバックエンド・ソースから取得されていることに気付かない場合があります。さらに、集約されたこれらのコンポーネントは、ポータル主導のイベントを通じて、ブラウザ内で相互に対話できます。ユーザーには、すべての内容がシームレスな統合インタフェース内で提供されます。
イントラネット・ポータル: コラボレーション、従業員によるセルフサービスおよび社内のコミュニケーションに使用します。
エクストラネット・ポータル: 顧客とパートナがセルフサービスとサポートに使用します。
構築するのポータルの種類は何ですか。このようなポータルの基本的な要件について、その一部を詳しく見ていきましょう。
イントラネット・ポータルを使用すると、組織内のユーザーによるコラボレーション、重要な情報へのアクセスおよびセルフサービスのセキュアな取得が可能になります。
従業員によるタイム・カードの更新、休暇の申請、パフォーマンスの評価および有益な情報の表示が可能なセルフサービス・ポータル
ポータルのすべてのユーザーに提供される企業規模の情報やお知らせ
「チーム・コラボレーション・ポータル」で説明されている共同作業を行うチームのワークスペース。
通常、チーム・コラボレーション・ポータルは、ドキュメントやその他の情報の共有、およびそれらに対するコラボレーションを必要とする、企業内のグループによって使用されます。
特定のプロジェクトに関するコラボレーション。
ドキュメントの投稿、表示および編集。
アクティビティの追跡(ユーザーは、アクティビティのうち、ドキュメントに対する追加や変更が発生したときに、そのことを確認できます)。
チーム・コラボレーション・ポータルの主な機能は、次のとおりです。
チーム・ポータルを作成、プロビジョニングおよび保守するために、IT部門が作業を行う必要はありません。これらは主に、ナレッジ・ワーカーとアプリケーション・スペシャリストによって保守されます。
ポータル・ユーザーは、ドキュメントを共有したり、アクティビティ・ストリーム、Wiki、ブログなどのソーシャル・コンポーネントを使用できます。
システム管理者が管理権限を委任した場合、チーム・リーダーとその他の個人は自らチーム・ポータルを管理できます。これにより、IT部門のコストが削減され、最小限のサポート・オーバーヘッドで多くのユーザーをサポートできるようになります。
エクストラネット・ポータルでは、対象が組織の外部まで拡大され、顧客やベンダー向けのサービスが提供されます。
エクストラネットには、次のようなユースケースがあります。
認可されたユーザーに、ポータルの機能へのログインとアクセスを許可します。たとえば、ベンダーはサイトにアクセスして、入札の機会や状況を確認する場合があります。顧客は製品の購入、支払履歴の表示、サポートの依頼などを行うことができます。
カスタム機能を、ポートレット、ビジネス・マッシュアップまたはタスク・フローとしてポータルに提供します。
一貫性のあるルック・アンド・フィールをユーザーに提供し、企業ブランドを強調します。顧客固有のブランドが必要になる場合があります。
ホーム・ポータルとは、ユーザーが自分のプロファイル、使用可能なポータル、ポータル・テンプレートおよびドキュメントへのアクセス権を持つエリアであり、ホーム・ポータルの独自のビューの特定の要素をカスタマイズできます。ユーザーはホーム・ポータルに自分の個人用ページを作成でき、システム管理者は選択した読者に対してシステム・ページとビジネス・ロール・ページを公開できます。システム管理者は、ユーザー・ロールに関するセキュリティ設定を変更することにより、ホーム・ポータルをビューから非表示にすることもできます。
詳細は、『Oracle WebCenter Portalの使用』のWebCenter Portalの探究に関する項を参照してください。
ポータル・コンポーザは、WebCenter Portalのポータルの作成、編集および管理エリアで構成されます。ポータル・コンポーザでは、ポータルの作成、ポータル・エディタでのポータルの編集、ページ・エディタでのポータルのページの追加と編集、ポータル作成者としての1つのポータルの管理を行うことができます。システム管理者は、ポータル・コンポーザの管理エリア(「WebCenter Portal管理」とも呼ばれる)にアクセスし、すべてのポータルを管理できます。
ポータル・コンポーザを使用したポータルの構築、編集および管理に関する側面はすべて、このガイド『Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築』の各章で説明しています。ポータル・コンポーザですべてのポータルに設定を適用するためにシステム管理者が実行するアプリケーション・レベルの管理タスクについては、『Oracle WebCenter Portalの管理』の「WebCenter Portalでのポータルの管理」の各章を参照してください。
ポータル・テンプレートは、新規ポータルを構築する際の開始点です。新規ポータルを作成するときは、まず新規ポータルのベースとなるポータル・テンプレートを選択します。ポータル・テンプレートは、WebCenter Portalに用意されているすぐに使用できるテンプレートのいずれか、または特定の使用目的のために作成されたカスタム・テンプレートです。その後、ポータルを変更およびカスタマイズして、テンプレートに当初用意されていた機能に別の機能を追加できます。
詳細は、「ポータル・テンプレートの使用」を参照してください。
ポータルの開発において、ポータル・サーバーを使用すると、ポータル作成者は他のユーザーが使用できるようにポータルを公開できます。
詳細は、「ポータルの公開」を参照してください。
WebCenter Portalには、複数のタイプのページが用意されています。WebCenter Portalのページには、すぐに使用できるものとユーザーが作成するものがあります。
WebCenter Portalですぐに使用できるページは次のとおりです。
システム・ページ: 「ログイン」ページや「自己登録」ページなど、カスタマイズ可能で実用的な、すぐに使用できるページのセットです。また、WebCenter Portalで提供される各ツールには、「お知らせ」ページなど、ツールへのユーザー・インタフェース(ツール・コンソールと呼ばれる)を提供する、関連付けられたシステム・ページがあります。システム・ページには、関連する入力フィールドおよびボイラープレート・テキストから事前に移入されています。システム管理者は、システム・ページをカスタマイズすることで、会社のブランドの適用、役立つヒントの提供、またはその他の機能(タスク・フロー、ポートレットなど)の提供などが可能になります。カスタマイズが完了すると、システム・ページに、更新されたWebCenter Portalのルック・アンド・フィールを伴うカスタマイズの内容が表示されます。カスタマイズする前は、WebCenter Portalには以前のリリースのWebCenter Portalで使用されたルック・アンド・フィールで汎用バージョンのシステム・ページが表示されます。詳細は、『Oracle WebCenter Portalの管理』のシステム・ページのカスタマイズに関する項を参照してください。
ビジネス・ロール・ページ: 販売担当者、経理担当者、マーケティング・アソシエイトなど、特定のビジネス・ロールに関連する情報が移入され、そのロールに割り当てられているすべてのユーザーのホーム・ポータル・ビューにプッシュされます。ビジネス・ロール・ページは、『Oracle WebCenter Portalの管理』のビジネス・ロール・ページの管理に関する項で説明されているように、アプリケーション・レベルでシステム管理者によってのみカスタマイズできます。
ポータルの構成方法にかかわらず、デフォルトで使用可能なページに加えて新しいページが常に必要になります。ポータルのニーズを満たすために、次のような新規ページを作成できます。
カスタムのビジネス・ロール・ページ: システム管理者によって作成され、デフォルトで提供されるページに追加されます。新規ビジネス・ロール・ページの作成の詳細は、『Oracle WebCenter Portalの管理』のビジネス・ロール・ページの管理に関する項を参照してください。
個人用ページ: 独自の排他的な使用のためにユーザー自身がホーム・ポータルに作成できます。デフォルトでは、個人用ページは作成したユーザーのみがホーム・ポータルに表示できますが、他のユーザーにも個人用ページが表示されるようにユーザーが設定することもできます。個人用ページの詳細は、『Oracle WebCenter Portalの使用』の個人用ページの作成および管理に関する項を参照してください。個人用ページのコンテンツの管理は主にユーザー個人が責任を持ちますが、『Oracle WebCenter Portalの管理』の個人用ページの管理に関する項に記載されているように、システム管理者にはWebCenter Portal管理ですべての個人用ページを管理する権限があります。
ポータル・ページ: ポータル内でページを作成する権限を持つすべてのユーザーが作成可能で、様々な目的で提供されます。
ポータル・マネージャが作成するページ: ポータルのナレッジ・ベースにコントリビュートすることを意図しており、通常はポータルのすべてのメンバーが使用できるようになっています。
ポータル・メンバーが作成するページ: 自分専用にするのか、他の選択したポータル・メンバーと共有するのか選択してポータルに公開されます。この種のポータル・ページはすべてのポータル・メンバーには公開されないこともありますが、ポータル・マネージャはすべてのポータル・ページを管理する権限を持ちます。
ポータルのすべてのページで外観と動作が一貫するように、これらのすべてにおいて、ポータル・マネージャがデフォルトとして設定した、同じページ・テンプレートが使用されます(「デフォルトのページ・テンプレートの設定」を参照)。ポータルページを作成するときに、初期コンテンツ用のページ・スタイルとページのレイアウトを選択します(「ポータル編集時のページまたはサブページの作成」を参照)。つまり、ポータルのすべてのページは同じページ・テンプレートを使用しますが、各ページはそれぞれのコンテンツ領域用の異なるページ・スタイルを持つことができます。ページを作成し、そのページ・スタイルを選択した後、そのページ・スタイルは変更できません。ポータル・テンプレートに「デフォルト・ページ・スタイル」というページ・スタイルが含まれている場合、それはポータルの作成ウィザードで作成されるホーム・ページおよびすべてのページに使用されます。そうでない場合は、組込みの空白ページ・スタイルが各ページに適用されます。ページ・テンプレートおよびページ・スタイルは、ポータル・アセットです(「ポータル・アセットとは」を参照)。
ポータル・ページには、任意の数のサブページ、およびタブレットや携帯電話など、他のデバイスで表示するように最適化されたページ・バリアントを含めることができます。
詳細は、「ポータル・ページの使用」を参照してください。
ポータルを開発する場合、ポータルのページに要素を追加します。これらの要素は数が多くて変化に富んでおり、ポータル・コンポーネントと総称されます。ポータル・コンポーネントには、タスク・フロー、ポートレット、コンテンツ・コンテナおよびその他のタイプのリソース(イメージ、リンクなど)があります。
詳細は、次を参照してください。
アセットとは、ポータルの構造、ルック・アンド・フィールおよびコンテンツを定義するオブジェクトのことです。ポータル・マネージャまたは適切な権限を持つメンバーが個別のポータルで使用可能なアセットを管理し、アプリケーション・スペシャリストがすべてのポータルで使用可能な共有アセットを管理します。
個別のポータルで使用可能なアセットの詳細は、「ポータル・アセットの作成、編集および管理」を参照してください。共有アセット特有の詳細情報は、「共有アセットの使用」を参照してください。
WebCenter Portalでは、ポータル・メンバーがコラボレーションおよびコミュニケーションに使用できる多くのツールおよびサービスが提供されます。WebCenter Portalが正しくインストールおよび構成され、必要な外部バックエンド・サーバーへの有効な接続がシステム管理者によって設定されると、ツールおよびサービスがポータルで使用できるようになります。
ツールおよびサービスは、個別アドレス可能なURLを使用するポータルの自分のページ(「コンソール」)に、またはページ上の多くのコンポーネントの1つとして、公開できます。ポータルで使用可能なツールおよびサービスには、「お知らせ」、「ディスカッション」、「ドキュメント」、「ポータル・イベント」、「リスト」、「検索」、「タグ」、「インスタント・メッセージおよびプレゼンス」、「リンク」、「メール」、「ノート」、「通知」などがあります。
詳細は、「ポータル・ツールとポータル・サービスの概要」を参照してください。
この項では、ポータルの構築に関するタスクを紹介して、ポータルの構築を開始する前に全般的な概要を示します。これらのタスクについては、このガイドの各章で手順を追って説明しています。
新規ポータルを開発する際に最初に基本となるのは、初期デザインとレイアウト用のポータル・テンプレートを使用したポータルの作成と、使用するその他のユーザーに対するポータルの公開です。
詳細は、「スタート・ガイド」を参照してください。
ポータルを作成したら、そのポータルの構築と維持に関連するタスクとして、コンテンツを追加するためのポータルの編集、ポータルの設定とセキュリティの管理、様々なデバイスでポータルを表示するためのデバイス・グループの管理などがあります。
詳細は、「ポータルの使用」を参照してください。
作成、移入、管理を行うポータル・ページには、ポータル内でユーザーが確認する項目の内容が表示されます。
詳細は、「ポータル・ページの使用」を参照してください。
WebCenter Portalには、ポータルの構造、ルック・アンド・フィールおよびコンテンツを定義するために使用できる様々なアセットが含まれています。
詳細は、「ポータル・アセットの使用」を参照してください。
ポータル・マネージャは、ポータル内のロール、権限およびメンバーの管理を担当し、ポータルのセキュリティを確保します。
詳細は、「ポータルのロール、権限およびメンバーの使用」を参照してください。
最も重要なポータル要件の1つに、コンテンツの統合があります。ポータルの作成者と管理者は、コンテンツを追加および更新したり、コンテンツ作成、ワークフロー、アーカイブなどの管理を行う必要があります。
コンテンツ・リポジトリには、ドキュメントやイメージなどのコンテンツが格納されます。通常、バックエンド・コンテンツ・リポジトリ(コンテンツ・サーバー)への接続は、WebCenter Portalのインストール時に構成されます。接続が使用可能になると、ポータル・マネージャは自分のポータルでドキュメント・ツールを有効化できます。これらは、ドキュメント・コンポーネントをポータル・ページに追加可能で、エンド・ユーザーはポータルでドキュメントを操作できます。
ポータルでのコンテンツの使用には、コンテンツ・プレゼンタを使用してカスタムまたは組込みの表示テンプレートにコンテンツを表示する、コンテンツ・マネージャを追加および構成してドキュメントを操作する、ドキュメントにワークフローを設定する、ポータルでWikiおよびブログの機能を有効にする、などがあります。
詳細は、「ポータルでのコンテンツの使用」を参照してください。
WebCenter Portalでは、ポータル・メンバーがコラボレーションおよびコミュニケーションに使用できる多くのツールおよびサービスが提供されます。WebCenter Portalが正しくインストールおよび構成され、必要な外部バックエンド・サーバーへの有効な接続がシステム管理者によって設定されると、ツールおよびサービスがポータルで使用できるようになります。
詳細は、「WebCenter Portalのツールとサービスの使用」を参照してください。
すべてのポータルで使用可能なリソースは、アプリケーション・スペシャリストによって管理されます。これらのリソースには、ポータル・テンプレートおよび共有アセットが含まれます。
詳細は、「すべてのポータルの共有リソースの管理」を参照してください。
ポータルのメンバーとエンド・ユーザーがデザインと言語を選択できるように、ポータルを拡張できます。
詳細は、「デザインと言語によるポータルの拡張」を参照してください。