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Oracle® Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
12c (12.2.1.1)
E77231-01
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15 Business Process Managementを含めるドメインの拡張

次の各項では、Business Process Managementを追加するためのドメイン拡張の手順を説明します。

15.1 この章で使用される変数

この章のタスクを実行する際、この項にリストするディレクトリ変数を使用します。

いくつかのディレクトリ変数の値については、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」に定義されています。

  • ORACLE_HOME

  • ASERVER_HOME

  • MSERVER_HOME

  • OHS_DOMAIN_HOME

  • JAVA_HOME

さらに、「エンタープライズ・トポロジによって必要とされる物理および仮想IPアドレス」で定義されている次の仮想IP (VIP)アドレスを参照することになります。

  • ADMINVHN

この章のアクションは、次のホスト・コンピュータで実行します。

  • SOAHOST1

  • SOAHOST2

  • WEBHOST1

  • WEBHOST2

15.2 Oracle BPMを追加するためのSOAドメイン拡張の前提条件

現在のドメインを拡張する前に、既存のデプロイメントが次の前提条件を満たしていることを確認します。

  • インストールのバックアップ - 既存のFusion Middlewareホームとドメインをバックアップしていない場合は、今すぐバックアップすることをお薦めします。

    既存のFusion Middlewareホームとドメインをバックアップするには、「SOAエンタープライズ・デプロイメントにおけるバックアップとリカバリの実行」を参照してください。

  • 既存のWL_HOMEおよびSOA ORACLE_HOME (バイナリ)は、共有記憶域に関する章でインストールされており、SOAHOST1およびSOAHOST2にあります。

  • ノード・マネージャ、管理サーバー、SOAサーバーおよびWSMサーバーが存在し、前の章の説明のように、SOAシステムを実行するように構成されていること。

  • RCUを実行して、BPM用の追加のスキーマをロードする必要はありません。これらは、SOAリポジトリの一部であり、SOAに関する章でDBにロードされています。

15.3 エンタープライズ・デプロイメント用のOracle Business Process Managementのインストール

次の各項では、エンタープライズ・デプロイメント用のOracle SOA Foundation and Business Process Managementソフトウェアのインストール方法を説明します。

15.3.1 インストール・プログラムの起動

インストール・プログラムを起動するには、次の手順を実行します。

  1. ターゲットのシステムにログインします。
  2. 動作保証されたJDKがシステムに存在していることを確認します。

    詳細は、「サポートされているJDKのインストール」を参照してください。

  3. インストール・プログラムがダウンロードされたディレクトリに移動します。
  4. 次の例に示すとおり、ご使用のシステムのJDKディレクトリからjava実行可能ファイルを実行し、インストール・プログラムを起動します。
    JAVA_HOME/bin/java -d64 -jar fmw_12.2.1.0.0_soa.jar
    

    これらの例にあるJDKの場所は、ご使用のシステムの実際のJDKの場所に読み替えてください。

インストール・プログラムが表示されると、インストールを開始する準備ができています。

15.3.2 Oracle BPMのインストール画面のナビゲート

インストール・プログラムでは、表15-1に記載された順番で一連の画面が表示されます。

インストール画面に関して詳細な情報が必要な場合は、画面名をクリックしてください。

表15-1 Oracle Business Process Managementのインストール画面

画面 説明

インストール・インベントリの設定

この画面は、UNIXオペレーティング・システムで、このホストに初めてOracle製品をインストールする場合に表示されます。中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システム・グループ名には、中央インベントリの場所への書込み権限があることを確認してください。

中央インベントリの詳細は、Oracle Universal InstallerによるソフトウェアのインストールでOracle中央インベントリの理解に関する項を参照してください。

自動更新

この画面では、使用可能なパッチを探してMy Oracle Supportを自動的に検索するか、組織にすでにダウンロードしたパッチを探してローカル・ディレクトリを自動的に検索します。

インストールの場所

この画面を使用してOracleホーム・ディレクトリの位置を指定します。Oracleホームの場合は、/u01/oracle/products/fmwnnnnを指定します。

Oracle Fusion Middlewareディレクトリ構造の詳細は、Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニングでインストールと構成のディレクトリの選択に関する項を参照してください。

インストール・タイプ

この画面を使用してインストールのタイプと、それに従ってインストールされる製品および機能を選択します。

  • 「BPM」を選択します

注意: このドキュメントのトポロジには、例は含まれていません。例を本番環境にインストールしないことを強くお薦めします。

前提条件のチェック

この画面では、ご使用のシステムが最小要件を満たしていることを検証します。

警告メッセージまたはエラー・メッセージが表示された場合は、第1.4項に記載されているドキュメントのいずれかを参照してください。

インストール・サマリー

この画面を使用して、選択したインストール・オプションを確認します。これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を指定します。レスポンス・ファイルは、今後、サイレント・インストールを実行する場合に使用できます。

サイレント・インストールやコマンド行インストールの詳細は、Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールでサイレント・モードにおけるOracle Universal Installerの使用方法に関する項を参照してください。

「インストール」をクリックしてインストールを開始します。

インストールの進行状況

この画面では、インストールの進行状況を参照できます。

進捗バーが100%完了になった後で、「次へ」をクリックします。

インストール完了

この画面の情報を確認してから、「終了」をクリックしてインストーラを終了します。

15.3.3 インストールの確認

インストールの完了後、次のタスクを正常に実行することでインストールを検証できます。

15.3.3.1 インストール・ログ・ファイルの確認

インストール・ログ・ファイルの内容を確認し、何も問題が発生していないことを確認します。ログ・ファイルの説明とその場所の詳細は、Oracle Universal Installerを使用したソフトウェアのインストールのインストール・ログ・ファイルの理解に関する項を参照してください。

15.3.3.2 ディレクトリ構造のチェック

インストールの内容は、インストール中に選択したオプションによって異なります。

BPMを追加すると、ORACLE_HOME/soa/bpmディレクトリに次のディレクトリとサブディレクトリが追加されます。

composites
helpsets
lib
modules

インストール後のディレクトリ構造の詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解の「Oracle Fusion Middlewareの主要ディレクトリとは」を参照してください。ls -lart

15.3.3.3 Oracleホームの内容の表示

Oracleホームの内容を、viewInventoryスクリプトを使用して表示することもできます。詳細は、Oracle Universal Installerを使用したソフトウェアのインストールのOracleホームの内容の表示に関する項を参照してください。

15.4 SOAHOST1での構成ウィザードを使用したBPMを追加するためのSOAドメインの拡張

ORACLE_COMMON_HOMEディレクトリで構成ウィザードを実行して、管理サーバー、Oracle Web Services ManagerおよびSOAを含むドメインを拡張し、BPMのコンポーネントをサポートするようにします。

15.4.1 構成ウィザードの起動

注意:

ドメインで起動スクリプトに直接カスタマイズを追加した場合、それらのカスタマイズは構成ウィザードによって上書きされます。ドメイン内のすべてのサーバーに適用するサーバー起動パラメータをカスタマイズするために、setUserOverrides.shという名前のファイルを作成して、WebLogic Serverのクラスパスへのカスタム・ライブラリの追加、サーバーを実行するための追加のjavaコマンド行オプションの指定、追加の環境変数の指定などを行うように構成できます。このファイルに追加されたカスタマイズはドメインのアップグレード操作中に保存され、packおよびunpackコマンドを使用する際にリモート・サーバーに継承されます。

構成ウィザードを起動する手順は次のとおりです。

  1. WebLogic Serverコンソールで、このドメイン拡張によって変更されるすべての管理対象サーバーを停止します。影響を受けない管理対象サーバーは、オンラインのままにすることができます。

    注意:

    Oracle Business Process Managementコンポーネントのこの特定のドメイン拡張では、WLS_SOAn管理対象サーバーを変更します。これらの管理対象サーバーを確実に停止します。
  2. 管理対象サーバーのステータスを確認してから、管理サーバーを停止します。

    詳細は、「SOAHOST1での構成ウィザードの起動」でノード・マネージャを使用して管理サーバーを停止する手順を参照してください。

  3. 次のディレクトリに移動し、WebLogic Server構成ウィザードを起動します。
    cd ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin
    ./config.sh

15.4.2 ドメインを拡張するために構成ウィザード画面へ移動

この項の手順に従って、BPM用にドメインを拡張します。

注意:

この手順では、既存のドメインを拡張することを想定しています。この手順の説明では要件が満たされない場合は、その要件に応じた選択を行うか、サポート・ドキュメントで追加の詳細を参照してください。

ドメインを作成して構成するためのタスクは次のとおりです。

タスク1   ドメイン・タイプとドメイン・ホームの場所の選択

「構成タイプ」画面で、「既存ドメインの更新」を選択します。

「ドメインの場所」フィールドで、ASERVER_HOME変数の値を選択します。これは、「エンタープライズ・デプロイメント用の初期インフラストラクチャ・ドメインの作成」で作成した管理サーバー・ドメイン・ホームの完全なパスを表します。

ディレクトリの場所の変数の詳細は、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」を参照してください

ヒント:

この画面のその他のオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』の構成タイプに関する項を参照してください。

タスク2   構成テンプレートの選択

「テンプレート」画面で「製品テンプレートを使用してドメインを更新」が選択されていることを確認した後に、次のテンプレートを選択します。

  • Oracle BPM Suite - 12.2.1.1.0 [soa]

また、次の追加のテンプレートも、初期ドメインの作成と初期ドメインのSOAへの拡張に使用されているため、すでに選択されているはずです。

  • Basic Weblogic Server Domain - 12.2.1.1.0 [wlserver]

  • Oracle SOA Suite 12.2.1.1.0 [soa]

  • Oracle Enterprise Manager - 12.2.1.1.0 [em]

  • Oracle WSM Policy Manager - 12.2.1.1.0 [oracle_common]

  • Oracle JRF - 12.2.1.1.0 [oracle_common]

  • WebLogic Coherenceクラスタの拡張 - 12.2.1.1.0 [wlserver]

前にOracle Service Busを含めることでドメインを拡張した場合は、次のテンプレートも選択されています。

  • WebLogic Advanced Web Services for JAX-RPC Extension - 12.2.1.1.0 [oracle_common]

  • ODSI XQuery 2004 Components - 12.1.3.0 [oracle_common]

注意:

ODSI用の12.2.1.1.0テンプレートはありません。12.1.3テンプレートは12.2.1.1.0構成に役立ちます。

ヒント:

この画面のオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』のテンプレートに関する項を参照してください。

タスク3   データ・ソース構成タイプの指定

Infrastructureドメインに必要なFusion Middlewareスキーマを参照するためのドメインをすでに構成済であるため、すべてのフィールドが事前移入されています。BPMは既存のSOAのデータソースを使用するため、新しいデータソースをドメインに追加する必要はありません。

注意:

拡張前に作成されたカスタム・データソース(リース・データソースなど)は、この画面の前に表示されます。「データソース」行を確認し、「次へ」をクリックします。テスト・データソース画面で、その妥当性が確認されます。「次へ」をクリックします。

タスク4   拡張構成の選択

トポロジのドメイン構成を完了するには、「拡張構成」画面で追加のオプションを選択しないで、「次へ(N)」をクリックします。BPMアプリケーションと必要なアーティファクトは、自動的に既存のSOAサーバーをターゲットとします。

タスク5   構成仕様の確認とドメインの構成

「構成サマリー」画面には、これから作成するドメインに関する詳細な構成情報が表示されます。この画面に示された各項目の詳細を調べて、情報に間違いがないことを確認します。

変更が必要な場合は、「戻る」ボタンを使用するか、ナビゲーション・ペインで画面を選択することによって前のいずれかの画面に戻ることができます。

「更新」をクリックするまで、ドメインの作成は開始されません。

ヒント:

この画面のオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』の構成サマリーに関する項を参照してください。

タスク6   ドメイン・ホームと管理サーバーURLのメモ

「構成に成功しました」画面には、構成したばかりのドメインについて、次の項目が表示されます。

  • ドメインの場所

  • 管理サーバーURL

いずれの項目も後で必要になるため、メモしておいてください。ドメインの場所は管理サーバーを開始するために使用するスクリプトへのアクセスに必要で、URLは管理サーバーへのアクセスに必要です。

「終了」をクリックして、構成ウィザードを閉じます。

タスク7   管理サーバーの起動

管理サーバーを起動して、ドメインに行った変更が適用されたことを確認します。

15.5 ドメイン・ディレクトリおよびマシンへの拡張済ドメインの伝播

Oracle BPM Suiteでは、WebLogic Serverの起動スクリプトに多少の更新が必要です。これらの変更は、packコマンドとunpackコマンドを使用して伝播させます。

表15-2は、変更をすべてのドメイン・ディレクトリとマシンに伝播するために必要な手順をまとめたものです。

更新済ドメインをWEBHOST1およびWEBHOST2マシンに伝播する必要はありません。それらのホスト・コンピュータ上のOracle HTTP Serverインスタンスに対する変更はないためです。

表15-2 ドメイン変更をドメイン・ディレクトリおよびマシンに伝播するために必要なタスクのサマリー

タスク 説明 詳細情報

SOAHOST1での拡張済ドメインの圧縮

Packコマンドを使用して、新しいOracle BPM Suite管理対象サーバー構成が含まれる新しいテンプレートJARファイルを作成します。

ドメインを圧縮する場合は、soadomaintemplateExtSOABPM.jarというテンプレートJARファイルを作成します。

SOAHOST1での拡張済ドメインの圧縮

SOAHOST1の管理対象サーバー・ディレクトリでのドメインの解凍

SOAHOST1のローカル記憶域上の管理対象サーバー・ディレクトリにテンプレートJARファイルを解凍します。

SOAHOST1の管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリでのドメインの解凍

SOAHOST2でのドメインの解凍

SOAHOST2のローカル記憶域上の管理対象サーバー・ディレクトリにテンプレートJARファイルを解凍します。

SOAHOST2でのドメインの解凍

15.6 WebフォームのSOA BPMサーバーの更新

Oracle BPM Webフォームは、ユーザーがアプリケーションと対話できるインタフェースを定義します。Oracle BPMで作成されるビジネス・アプリケーションでは、これらのフォームはOracle Business Process Management Workspaceに表示されます。Webフォームを高可用性環境で適切に動作させるには、次の手順を実行します。

MSERVER/bin/startManagedWebLogic.shファイルを編集します。

次のコードをstartManagedWeblogic.shファイルに挿入します。

     if [ "$1" = "WLS_SOA1" ] ; then 
        export cache_port=8001 
        export host_bind=SOAHOST1 
     fi 
     if [ "$1" = "WLS_SOA2" ] ; then 
        export cache_port=8001 
        export host_bind=SOAHOST2
     fi 

注意:

スケール・シナリオでは、サーバー、ホストおよびポートを更新する必要があります。
    JAVA_OPTIONS= -Djgroups.tcpping.bind_port="${cache_port}" -Djgroups.tcpping.initial_hosts=SOAHOST1[8001],SOAHOST2[8001] -Dfrevvo.metadata.cache-config=/WEB-INF/cache-clustered.xml 
       -Dfrevvo.cache.config.file=cache-tcp.xml 
       -Dfrevvo.cluster=SOA_Cluster 
       -Djgroups.tcpping.num_members=2 
       -Djgroups.bind_addr=host_bind 
       -Djava.net.preferIP4Stack=true 

JAVA_OPTIONSセクションの残りの部分は、元の内容のままとする必要があります。

15.7 Business Process ManagementによるWLS_SOA管理対象サーバーの再起動

構成変更および起動スクリプトを有効にするには、BPMが追加されたWLS_SOAnサーバーを再起動する必要があります。

BPMでは既存のSOAシステムが拡張されているので、管理サーバーおよびそれぞれのノード・マネージャはSOAHOST1およびSOAHOST2で稼働しています。

WLS_SOA1管理対象サーバーを再起動する手順は次のとおりです。

  1. ブラウザに次のURLを入力し、Fusion Middleware Controlログイン画面を表示します。
    http://ADMINVHN:7001/em
    
  2. 管理サーバー資格証明を使用してFusion Middleware Controlにログインします。
  3. 「ターゲット・ナビゲーション」ペインで、ドメインを開き、ドメイン内の管理対象サーバーを表示します。
  4. WLS_SOA1管理対象サーバーを選択し、Oracle WebLogic Serverツールバーで「停止」をクリックします。

    注意:

    SOAサーバーは機能しているポリシー・アクセス・サービスに依存するため、SOAサーバーが起動する前に、ドメイン内のWSM-PM管理対象サーバーが稼働していてアクセス可能になっている必要があります。

  5. 停止操作が完了したら、サーバーが引き続き選択されていることを確認し、ツールバーで「起動」をクリックします。
  6. WLS_SOA2管理対象サーバーについて手順4と5を繰り返します。
  7. 起動操作が完了したら、「ドメイン」ホーム・ページに移動し、WLS_SOA1およびWLS_SOA2管理対象サーバーが稼働中であることを確認します。

15.8 Oracle BAM Administrationグループへのエンタープライズ・デプロイメント管理ユーザーの追加

管理対象サーバーのOracle Business Process Management構成を検証する前に、エンタープライズ・デプロイメント管理ユーザー(weblogic_soa)をLDAPディレクトリ内のBusiness Process Management Administratorsグループに追加します。

このタスクを実行するには、「Oracle SOA Suite製品の管理のためのロールの構成」を参照してください。

Business Process Management ComposerまたはBusiness Process Management Worklistアプリケーションに初めてログインするときは、Administratorsグループのメンバーであるユーザーとしてログインする必要があります。初回ログイン後、ユーザーは次のロールが付与されていれば管理ユーザーになることができます。

OracleBPMComposerRolesApp/BPMComposerAdmin

また、初回ログイン後、認証済ユーザーであれば、Business Process Managementアプリケーションにアクセスできるようになります。

15.9 拡張したドメイン用のWeb層の構成

次の項では、Web層のWebサーバー・インスタンスを構成して、拡張したドメイン内の適切なクラスタにパブリックURLと内部URLの両方に対するリクエストをルーティングする方法について説明します。

15.9.1 拡張したドメイン用のOracle Traffic Directorの構成

このドメインでOracle Traffic Directorを構成した場合、状況によっては、Oracle Traffic Director構成に別のオリジン・サーバー・プール、仮想サーバーまたはルートを追加する必要があります。各Oracle Fusion Middleware製品のOracle Traffic Directorの要件を理解するには、「オリジン・サーバーおよび仮想ホストのサマリー」を参照してください。

オリジン・サーバー・プール、仮想サーバーおよびルートを追加する手順は、「エンタープライズ・デプロイメント用のOracle Traffic Director仮想サーバーの定義」を参照してください。

15.9.2 Oracle Business Process Management用のOracle HTTP Serverの構成

Oracle HTTP Serverインスタンス構成ファイルに次の変更を行って、Web層のOracle HTTP ServerインスタンスがOracle Business Process ManagementリクエストをOracle Business Process Managementソフトウェアに正しくルーティングできるようにします。

Oracle HTTP ServerがBPM ComposerまたはBPM Workspaceコンソールにリクエストをルーティングできるようにする手順は次のとおりです。

  1. WEBHOST1にログインし、ディレクトリを最初のOracle HTTP Serverインスタンス(ohs1)の構成ディレクトリに変更します。
    cd OHS_DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OHS/ohs1/moduleconf
    
  2. 次のディレクティブを、soa_vh.confファイルの<VirtualHost>タグ内に追加します。
    # BPM
    <Location /bpm/composer>
      WLSRequest ON
      WebLogicCluster SOAHOST1:8001,SOAHOST2:8001
      WLProxySSL ON
      WLProxySSLPassThrough ON
    </Location>
    
    # BPM
    <Location /bpm/workspace>
      WLSRequest ON
      WebLogicCluster SOAHOST1:8001,SOAHOST2:8001
      WLProxySSL ON
      WLProxySSLPassThrough ON
    </Location>
    
  3. ディレクトリを次の場所に変更して、2番目のOracle HTTP Serverインスタンス(ohs2)の構成ファイルを更新できるようにします。
    cd OHS_DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OHS/ohs2/moduleconf
    
  4. soa_vh.confファイルを開き、<VirualHost>タグにOracle Business Process Managementディレクティブを追加します。
  5. WEBHOST1およびWEBHOST2でOracle HTTP Serverを再起動します。

15.10 Business Process Managementサーバーとハードウェア・ロード・バランサ間のSSL通信の有効化

Business Process Managementを含めてドメインを拡張した後、管理サーバーと管理対象サーバーがハードウェア・ロード・バランサのフロントエンドのSSL URLにアクセスできることを確認する必要もあります。

これにより、Business Process Managementが、Webサービスを使用してフロントエンドのセキュアURLとのコールバックやその他の通信を起動できるようになります。

Oracle SOA Suite (WLS_SOA)管理対象サーバーに対してすでにこの通信を構成している場合は、「ハードウェア・ロード・バランサを使用したBusiness Process Managementへのアクセスの検証」の検証手順を使用し、この構成を検証できます。

ハードウェア・ロード・バランサとのSSL通信をまだ構成していない場合は、検証手順に進む前に「中間層とハードウェア・ロード・バランサ間のSSL通信の有効化」を参照してください。

15.11 ハードウェア・ロード・バランサを使用したBusiness Process Managementへのアクセスの検証

SOA_Clusterのクラスタ・アドレスは前の章ですでに設定されているので、Business Process ManagementコンテキストURLをWebLogic ServerにルーティングするようにOracle HTTP Server構成ファイルを変更した後にのみBusiness Process Managementシステムを検証できます。

次の手順を使用して、Business Process Management URLを検証し、ハードウェア・ロード・バランサからOracle HTTP Serverインスタンスを経由してBusiness Process Management管理対象サーバーに至るルーティングとフェイルオーバーが適切に機能することを確認します。

  1. WLS_SOA2管理対象サーバーが稼働している間に、Oracle WebLogic Server管理コンソールを使用してWLS_SOA1管理対象サーバーを停止します。
  2. Webブラウザを使用して次のURLにアクセスします。
    https://soa.example.com/bpm/composer/
    https://soa.example.com/bpm/workspace/
    
  3. weblogic_soa管理資格証明を使用してログインします。

    BPM ComposerおよびBPM Workspaceアプリケーション(図15-1図15-2)が表示されます

  4. Oracle WebLogic Server管理コンソールからWLS_SOA1を起動します。
  5. Oracle WebLogic Server管理コンソールでWLS_SOA2を停止します。
  6. 同じURLにアクセスして、ロード・バランサとOracle HTTP Serverインスタンスがリクエストを他の管理対象サーバーにルーティングできることを確認します。

15.12 Oracle BPM Cluster用のBPMJMSModuleの構成

BPMJMSModule JMSモジュールを構成するには、モジュール内の一部のデフォルト値をこの項に示すように変更する必要があります。

BPMJMSModule JMSモジュールは、Oracle Business Process ManagementをOracle WebLogic Serverドメインに構成すると自動的にデプロイされます。

ただし、Oracle Business Process ManagementサーバーをOracle WebLogic Serverクラスタの一部としてデプロイした場合は、BPMJMSModule JMSモジュール内の個々のJMSリソースについて割当および再配信の制限のデフォルト値を変更する必要があります。

具体的には、次の表に示されているJMSトピック・リソースを変更する必要があります。

JMSリソース プロパティ 説明 推奨設定

クラスタ構成内の「測定」分散トピック:

dist_MeasurementTopic_auto

割当

大量のメッセージが「測定」jmsトピックにパブリッシュされ、メッセージの消費が比較的遅い場合に、この設定が原因で問題が発生することがあります。

JMSの最大メッセージサイズのデフォルトのしきい値に到達すると、それ以上メッセージをパブリッシュできなくなり、一切のパブリッシュの試みは次の例外を受信して失敗します。

ResourceAllocationException

「割当」をMeasurementQuotaに設定します。

クラスタ構成内の「測定」分散トピック:

dist_MeasurementTopic_auto

再配信の制限

クラスタ構成では、このプロパティはデフォルトで「-1」に設定されます。

この設定が原因で、JMSが確認応答を受信するまでメッセージの送信を再試行することがあります。

トランザクションのロールバックを引き起こすシステム・エラーが発生したために、「測定」トピックのコンシューマがメッセージを処理できない場合、システムでパフォーマンスの問題が発生したり、繰り返される例外でログが一杯になったりすることがあります。

再配信の制限を3に設定します。

クラスタ構成内の「測定」分散トピック:

dist_MeasurementTopic_auto

転送ポリシー

クラスタ・インストール内の分散測定トピックは、デフォルトでは転送ポリシー「レプリケート」に設定されて構成されていますが、これはBPM分析の最善のパフォーマンス・オプションではありません。

詳細は、パフォーマンスのチューニングのOracle Business Process Managementのチューニングに関する項を参照してください。

転送ポリシーを「パーティション化」に変更します。

BPMJMSModuleリソースの設定を変更する手順:

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソールにログインします。
  2. 左のナビゲーション・ページで「サービス」→「メッセージング」→「JMSモジュール」を選択します。
  3. JMSモジュールのリストで「BPMJMSModule」をクリックします。
  4. 「リソースのサマリー」表で「dist_MeasurementTopic_auto」を選択します。
  5. 「しきい値と割当」タブをクリックします。
  6. 「ロックして編集」をクリックします。
  7. 「割当」ドロップダウン・メニューで「MeasurementQuota」を選択し「保存」をクリックします。
  8. 「配信の失敗」タブをクリックします。
  9. 次のフィールドが3に設定されていることを確認します。
    • 再配信遅延のオーバーライド

    • 再配信の制限

  10. 「保存」をクリックします。
  11. 「一般」タブをクリックします。
  12. 「転送ポリシー」メニューで「パーティション化」を選択します。
  13. 「保存」をクリックします。
  14. 「変更のアクティブ化」をクリックします。

15.13 Oracle BPM構成のバックアップ

Oracleのベスト・プラクティスとしては、ドメインの拡張が正常に完了した後や別の論理ポイントでバックアップを作成することをお薦めします。インストールが正常に行われたことを確認したら、バックアップを作成します。これは、後の手順で問題が発生した場合に即座にリストアするための迅速なバックアップになります。

バックアップ先はローカル・ディスクです。エンタープライズ・デプロイメント設定が完了すると、このバックアップは破棄できます。エンタープライズ・デプロイメント設定が完了したら、バックアップとリカバリの通常のデプロイメント固有プロセスを開始できます。

構成をバックアップする方法の詳細は、「SOAエンタープライズ・デプロイメントにおけるバックアップとリカバリの実行」を参照してください。

15.14 Oracle Business Process Managementに対する自動サービス移行およびJDBC永続ストアの有効化

Oracle Business Process Managementが高可用性を実現するように構成するには、フェイルオーバーおよびゼロ・データ損失を実現する自動サービス移行で管理対象サーバーを構成します。

サーバー移行の有効化の詳細は、「エンタープライズ・デプロイメントでの自動サービス移行の構成」を参照してください。

WLS_SOA管理対象サーバーに対してすでに自動サービス移行が構成されている場合、この手順は不要です。

可用性を高めるために、データベース内にトランザクション・ログ・ストアとJMSストアを構成することもできます。詳細は、「エンタープライズ・デプロイメントでのTLOGおよびJMSに対するJDBC永続ストアの使用」を参照してください。