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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Sitesの管理
12c (12.2.1.1)
E77293-01
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1 Oracle WebCenter Sitesの概要

Oracle WebCenter Sitesの管理者には、一般管理者、サイト管理者およびワークフロー管理者の3種類があります。次の各トピックでは、Oracle WebCenter Sitesの概要を説明します。これは前述のタイプの管理者にも当てはまります。

1.1 Oracle WebCenter Sitesについて

Oracle WebCenter Sitesは、ユーザーがデスクトップでモバイルWebサイトを作成、管理できるようにするWebエクスペリエンス管理(WEM)システムです。管理者は、コンテンツ管理サイトの作成、サイトへのユーザーの割当て、サイトのOracle WebCenter Sites: Contributorインタフェースの有効化、およびインタフェースの範囲内のコンテンツ管理機能へのユーザー・アクセスの管理を行います。また、ワークフロー、リビジョン追跡、パブリッシュおよびマーケティングの管理も行います。

Oracle WebCenter Sitesには、管理者向けに、AdminインタフェースおよびWEM Adminインタフェースが用意されており、連携して、コンテンツ管理サイトのすべての側面を管理するために必要なツールを提供します。また、Oracle WebCenter Sites: A/B Testingや変換といった機能を有効化して、コンテンツ・コントリビュータやマーケティング担当者がWebサイトを強化するために成功度を測定する助けにできるようにできます。

1.2 WebCenter Sites管理者とは

Oracle WebCenter Sitesでは、3種類の管理者を定義しています。

  • 一般管理者WebCenter Sites環境内のすべてのシステムを管理し、各システムのインタフェースに無制限でアクセスできます。各システムの一般管理者のジョブの概要は、コンテンツ管理の概念についてで説明します。

  • サイト管理者。管理システムの特定のサイトのみを管理します。

  • ワークフロー管理者。管理システムでワークフロー・プロセスを作成します。

各管理者には、WebCenter Sites管理者およびWEM Adminインタフェースの、関連する部分の権限が与えられます。

このガイドの概念のいくつかは特定のタイプの管理者に固有ですが、一般管理者はすべての概念を把握している必要があります。

つまり、このガイドはWebCenter Sitesの環境の特定のシステムに制限されるものではありません。ここに含まれる概念および手順は、WebCenter Sites環境内のすべてのシステムで有効です。

1.3 管理者の前提条件

WebCenter Sites管理者として働くには、ある程度の情報を持っている必要があります。次のリストに、把握しておく、また精通しておく必要のある情報をまとめます。

  • Oracle WebCenter Sitesの管理インタフェースおよびシステムのデフォルト

    WebCenter Sites Adminインタフェースにはサイト構成ツールがあり、ACL、ロールおよびアセット・タイプなどのシステム・デフォルトにアクセスできます。Adminインタフェースの詳細は、Adminインタフェースの使用を参照してください。システム・デフォルトの詳細は、システム・デフォルトおよびWebCenter Sitesのデータベース表を参照してください。

  • Oracle WebCenter Sites WEM Adminインタフェース

    WebCenter Sites WEM Adminインタフェースには、サイト、ユーザー、ロールおよびアプリケーションの作成と管理を可能にするサイト構成ツールが用意されています。WEM管理者の詳細は、Webエクスペリエンス管理フレームワークの使用を参照してください。

  • コンテンツ管理の技術面

    プログラミングやシステム・アーキテクチャの特殊な技術的知識は必要ありませんが、基本的な次の知識があることが望まれます。

    • Java

    • JSP

    • パブリッシュ

    • データベースとデータベースの管理

    • ブラウザ

  • コラボレータ

    詳細は、コンテンツ管理チームとのコラボレーションおよび『Oracle WebCenter Sitesでの開発』を参照してください。

  • オンライン・サイトの仕様

    オンライン・サイトの仕様は、一般的にサイト・デザイナまたは企業通信部門により準備され、サイトの対象読者、サイトのサイズ、そのメッセージと目的、コンテンツの性質およびプレゼンテーション・スタイルを定義します。オンライン・サイトについて理解すると、オンライン・サイトのモデル化、サイトの計画および開発者との効果的なコラボレーションに役立ちます。

  • Oracle WebCenter Sites環境

    Oracle WebCenter Sites管理者は、開発、管理、配信およびテストの最大4種類のシステムを使用する可能性があります。システムと、各システムでの管理者の役割をよく理解しておいてください。詳細は、Oracle WebCenter Sites環境WebCenter Sitesの管理のロードマップおよび『Oracle WebCenter Sitesでの開発』を参照してください。

1.4 管理者が実行するWebサイト管理タスク

WebCenter Sites管理者は、パブリッシュ・システムの構成、ユーザーの設定、ユーザーのセキュリティ・ロールの作成と保守を行います。

管理者は、ユーザーと基本エレメント(アセットおよびアセット・タイプ)を定義して、Webサイトの基盤を作成します。Webサイトが維持されているかぎり、管理者は継続してユーザーおよびロールを保守し、また、ワークフロー、ブログおよびWebサイト更新の定期パブリッシュを設定および保守します。

WebCenter Sitesでは、管理者の責務は、インストールによって異なります。一般的に、管理者は次のタスクを実行します。

1.4.1 コンテンツ管理チームとのコラボレーション

開発を開始する前に、管理者は一般に、たとえば次のような様々な多くの専門家で構成されるチームとコラボレートします。

  • サイト・デザイナ

  • XMLおよびJSP開発者

  • Javaアプリケーション開発者

  • データベース管理者

  • システム・ネットワーク管理者

  • マーケティング担当者

  • ビジネス・マネージャ

  • 製品マネージャ(商用サイトを開発している場合)

  • コンテンツ・プロバイダ

チームのジョブは、ページ設計、キャッシュ戦略、セキュリティ戦略、データ・モデル、ページのレイアウトとコンテンツおよびコンテンツ管理モデルといった、管理および配信システムの機能要件と設計仕様の確立です。

1.4.2 ユーザーの管理

WebCenter Sites管理者は、ユーザーの作成と、適切なコンテンツ管理サイトおよびインタフェース機能へのユーザー・アクセスの有効化を行います。管理者は、各ユーザーについてユーザー・アカウント、ユーザー・プロファイル、ユーザー属性、ロールおよびアクセス制御リスト(ACL)を定義する必要があります。

ユーザー・アカウントは、ユーザーにWebCenter Sitesシステムとそのデータベース表へのアクセスを付与します。ユーザー・プロファイルは、WebCenter Sitesアプリケーション、言語パックおよびワークフロー・プロセスを使用するユーザーが必要とします。ユーザー属性は、ワークフローの枠外でアクションおよびイベントが必要とされるケースで使用されます。ロールは、ユーザーをサイトに関連付けるために使用され、それによりそのユーザーはサイトへのログインが可能になります。ユーザーに割り当てられたロールがアプリケーションに割り当てられたロールに一致した場合、ユーザーは、そのロールに関連付けられたインタフェース機能へのアクセスを獲得します。ACLは、WebCenter Sitesデータベース表へのアクセスを管理するために使用されます。

ユーザーを作成する場合、ロールを使用してそのユーザーをコンテンツ管理サイトおよび関連アプリケーション(ユーザー・インタフェース)に関連付ける必要があります。これにより、ユーザーがサイトにログインして、適切なインタフェースおよびそのサイトに関連付けられたインタフェース機能にアクセスできるようになります。

ユーザーの管理に関する詳細は、ユーザー、プロファイルおよび属性の構成を参照してください。

1.4.3 アクセス制御リスト(ACL)とロールの管理

ユーザーの管理で説明したとおり、WebCenter Sites管理者は、ユーザーにアクセス制御リスト(ACL)およびロールを割り当てて、コンテンツ管理サイトへのアクセスや、WebCenter Sitesインタフェース(管理者、コミュニティおよびContributor)内のコンテンツ管理機能を実行できるようにします。WebCenter Sitesは、ACLとロールの両方を使用して、企業のWebサイトを作成するために必要な部分(記事の作成からページ・レイアウトの開発まで)で作業する、業務説明に明確に定義されている様々なユーザーをサポートします。

ACLは、インタフェース機能を表し、ユーザー定義(ユーザーのアカウント)で定義されるデータベース表へのユーザー・アクセスを制御します。ACLは、許可機能を提供することによって、Sitesシステムにおけるセキュリティおよびユーザー管理モデルの基盤として機能します。作成されたサイト数に関係なく、各WebCenter Sitesユーザーには1つのユーザー定義(アカウント)があります。ただし、ユーザーのロールはサイトごとに異なる場合があります。ロールは、データベース表によって表されるインタフェース機能へのユーザー・アクセスを制御します。業務の説明、または類似機能へのアクセスを付与された個々の役職(たとえば、コンテンツ・コントリビュータ、エディタ、デザイナなど)を表します。管理者は、インタフェース機能を試みるユーザーに、それに関連付けられているデータベース表と同じACLが割り当てられていることを確認する必要があります。

ACLトロールの管理の詳細は、ACLおよびロールの使用を参照してください。

1.4.4 アセット・タイプとアセットの管理

ユーザーをサイトに割り当てたら、続いて、それらのユーザーが使用するアセット・タイプ(コンテンツ・タイプ)を有効化する必要があります。開発者は、システムで使用できるアセット・タイプを作成します。適切なサイト上でアセット・タイプを有効化してください。サイト上でアセット・タイプを有効化する場合、アセット・タイプは、ユーザーの割り当てられたロールが付与するインタフェース機能(たとえばContributorインタフェースのメニュー・バー)を介してサイト・ユーザーから使用可能になります。

WebCenter Sitesは、アセット・タイプの有効化とロールの使用によりインタフェース機能にユーザー権限を付与するだけでなく、権限をアセットごとに設定するのを可能にする、アクセス権限と呼ばれる追加のセキュリティ・レベルを提供します。アクセス権限を使用すると、アセットに対してどのロールがどの機能を実行する権限を持つかを定義できます。たとえば、アセットに対してどのロールがコピー機能を実行でき、どのロールに対してアセットをコピーする能力を拒否するかを指定できます。

サイト上でのアセット・タイプの有効化の詳細は、アセット・タイプの有効化と管理を参照してください。アセットへのユーザー権限の設定と、アセットに対するユーザー権限の管理の詳細は、コンテンツ管理サイト・コンポーネントへのアクセスの管理を参照してください。

1.4.5 アプリケーションへのユーザー・アクセスの管理

サイトおよびユーザーを作成し、ユーザーがそれらのサイト上で使用できるようにアセット・タイプを有効化したら、WebCenter Sitesユーザーを割り当てたサイトでアクセスできるインタフェース(Contributorなど)やその他のアプリケーションを有効化する必要があります。このタスクには、WEM Adminインタフェースを使用します。WEM Adminインタフェースは、アプリケーションへのアクセスを制御するためにサイトおよびロールの用途を拡張します。ロールはアプリケーション内で使用されてインタフェース機能を保護し、アプリケーション・コンテンツへのアクセスを制限します。WEM Adminインタフェースから、ロールを使用して、サイトにアプリケーションおよびユーザーを割り当てます。ユーザーおよびアプリケーションが同じロールを割り当てられた場合、そのサイトのアプリケーションへのアクセスがユーザーに付与されます。

WEM Adminインタフェースを使用してサイトおよびアプリケーションへのアクセスを管理する場合の詳細は、Webエクスペリエンス管理フレームワークの使用を参照してください。

1.4.6 ワークフローの管理

ワークフロー・プロセスを作成する場合、コンテンツ管理サイトのその作成ポイントから配信システム上のパブリッシュの宛先にアセットを移動するのに含まれるタスクを決定します。ワークフロー・プロセスに含める各タスクには、ユーザーがそれを完了するために必要なロールまたはロールのグループを割り当てる必要があります。個々のアセットがワークフロー・プロセスを通過していく際に、適切なロールを持つユーザーのみがそのタスクの実行を許可されます。これらのタスクをワークフロー状態と呼びます。状態とはその時点でのアセットのステータスを表すワークフロー・プロセス内のポイントで、たとえば、記事の執筆、イメージのレビュー、法的レビューなどです。状態間のアセットの移動はステップと呼ばれます。

ワークフローの管理の詳細は、ワークフロー・プロセスの作成と管理を参照してください。

1.4.7 パブリッシュ・システムの管理

WebCenter Sites管理者としての主要な目標の1つは、サイト・コンテンツ(管理システム上に作成)を、Webサイトの訪問者から(配信システム上で)アクセスできるようにすることです。これを実現するために、WebCenter Sites Adminインタフェースには、パブリッシュ・システムを構成、監視できる、様々なパブリッシュ機能があります。

注意:

コンテンツ・コントリビュータにパブリッシャ・ロールを割り当てる場合、そのユーザーは、Contributorインタフェースから直接、個々のアセットをパブリッシュできます。詳細は、『Oracle WebCenter Sitesの使用』を参照してください。

管理者は、システムに対してパブリッシュの宛先を構成し、パブリッシュ・イベントをスケジュールします。さらに、WebCenter Sitesには承認システムがあり、Webサイトへのコンテンツのパブリッシュを承認するために使用されます。ユーザーがコンテンツのパブリッシュを承認すると、そのコンテンツは次のパブリッシュ・イベントで使用できるようになります。パブリッシュ・イベントが実行されると、管理システム上のすべての承認されたコンテンツがWebサイト上で使用可能になります。

デフォルトで、WebCenter Sitesは、Webサイトにコンテンツをパブリッシュする動的なメソッドであるリアルタイム・パブリッシュ・メソッドをサポートします。動的パブリッシュは、WebCenter Sitesシステム間で、アセットおよびそれらの基礎となるスキーマをコピーするプロセスです。RealTimeパブリッシュの構成の詳細は、リアルタイム・パブリッシュの使用を参照してください。

1.4.8 WebCenter Sitesとそのコンポーネントのパフォーマンスの管理

WebCenter Sites管理者は、Enterprise ManagerでWebCenter Sitesのログ・ファイルを構成して、構成、デバッグおよびトレース・メッセージのロギングを有効化します。管理者は、Enterprise ManagerでVisitor Servicesを開始および停止し、これらのコンポーネントのステータスを確認し、パフォーマンス・メトリックを監視します。

ログ・ファイルの構成と表示、Visitor Servicesの開始と停止、およびこれらのコンポーネントのパフォーマンスの監視の詳細は、Enterprise ManagerでのWebCenter Sitesとそのコンポーネントのパフォーマンスの管理を参照してください。

1.4.9 WebCenter ContentのWebCenter Sitesとの統合

WebCenter ContentとWebCenter Sitesの間のコンテンツ統合を有効化する場合、SitesIntegrationコンポーネントおよびConnectorAdminツリー・ノードを先に有効化する必要があります。完了すると、続いてWebCenter ContentとWebCenter Sitesとのコンテンツ同期を設定できます。これにより、WebCenter SitesにあるWebCenter Contentのコンテンツ・アイテムを同期できるようになり、その後それらはコンテンツ・コントリビュータによってWebCenter Sitesのネイティブ・アセットとして管理されます。このアセットは、WebCenter Sitesで直接作成された他のアセットと同様に編集、削除、プレビュー、リビジョン追跡、およびパブリッシュできます。

WebCenter Content統合の詳細は、Oracle WebCenter Contentとの統合を参照してください。

1.5 このガイドで使用するサンプル・サイト

このガイドの手順説明では、avisportsとFirstSite IIというサンプル・サイトを使用して、WebCenter SitesContributor、Admin、WEM AdminおよびCommunityインタフェースのコンテンツ管理機能を使用する方法を詳しく示しています。これらのサンプル・サイトにアクセスできるのは、JSKを使用しているか、これらのサンプル・サイトがWebCenter Sitesシステムとともにインストールされている場合のみです。サンプル・サイトがインストールされていない場合は、WebCenter Sites管理者に問い合せてください。

このガイドで使用するサンプル・サイトは、次のとおりです。

  • avisports: スポーツを中心とするサンプル・サイトで、イメージを添えたスポーツ記事が掲載されています。このガイドでは、avisportsは、アセットの作成や編集、アセットのリンク、アセットのパブリッシュの承認、アセットの検索と整理、リビジョン追跡を使用したアセットの追跡およびサイトのナビゲーションの作成など、Contributorインタフェースでの機能を示します。

  • FirstSite II:: 電子機器のオンライン小売サイトで、記事、イメージ、いくつかの製品エントリが記載された製品カタログ、ドキュメント、サンプル・ユーザー・アカウントなどが含まれます。このガイドでは、FirstSite IIは、Contributorインタフェースのワークフロー、多言語およびプレビューの各機能を説明しています。また、FirstSite IIは、Oracle WebCenter Sites: Engageの説明と、Contributorインタフェースにおけるセグメント、推奨およびプロモーションの作成手順と操作手順の説明にも使用されます。