Oracle Coherenceは、クラスタ化アプリケーションおよびアプリケーション・サーバーに対する耐障害性の高いインメモリー・データ管理ソリューションです。これを使用すると、Java EEアプリケーションでは、使用頻度の高いデータに信頼性と拡張性の高い高速アクセスを行うことにより、予想どおりのスケーリングが可能になります。 Oracle Java Cloud Serviceインスタンスに対してOracle Coherenceを有効にすると、クラウドのOracle WebLogic Server環境にデプロイされるCoherenceアプリケーションにインメモリー・データ・グリッドおよびキャッシュをデフォルトで使用できます。
内容は次のとおりです。
Oracle Java Cloud ServiceのOracle Coherenceおよびサポートされるソフトウェア・リリースについて
Oracle Java Cloud ServiceでのOracle Coherenceおよびコンピューティング環境について
注意:
このドキュメントやその他のドキュメントでは、目的を明確にするために、Oracle Java Cloud ServiceでOracle Coherenceを使用するようにプロビジョニングされたサービス・インスタンスをOracle Java Cloud Service-Coherenceインスタンスと呼びます。Oracle Java Cloud Serviceを使用して、サービス・インスタンスを作成し、そのサービス・インスタンスに対してOracle Coherenceを有効化します。 選択したサービス・インスタンスのソフトウェア・リリースによっては、Oracle Java Cloud Serviceでサービス・インスタンスで実行中のOracle Coherenceキャッシュ容量のプロビジョニングおよび管理も行うことができます。
「Enterprise Edition with Coherence」オプションを選択することにより、任意のサービス・インスタンスでOracle Coherenceを有効化できます。 サービス・インスタンスでOracle WebLogic Server 12c (12.1.3または12.2.1)を実行している場合、Oracle Java Cloud Serviceを使用してOracle Coherenceキャッシュ容量のプロビジョニング、スケーリングおよび管理を自動化することもできます。 サービス・インスタンスでOracle WebLogic Server 11gを実行している場合は、サービス・インスタンスの作成後に、サービス・インスタンスを構成するVMにアクセスしてOracle Coherenceを手動で構成して起動する必要があります。
Oracle Java Cloud Serviceを使用して12cサービス・インスタンスの初期キャッシュ容量を設定すると、次のインフラストラクチャがサービス・インスタンスに追加されます。
Coherenceクラスタ(システムレベルのCoherenceClusterSystemResource
)は、WebLogic Server (WLS)ドメインで構成されます。
管理対象サーバーのデータ層WLSクラスタは、Coherence関連のデータを格納する目的でプロビジョニングされて構成されます。 Coherenceデータ層クラスタは、アプリケーションの実行のために使用されるアプリケーション層WLSクラスタと同じWLSドメインに作成されます。
ストレージ対応Coherenceデータ層クラスタとストレージ非対応アプリケーション層クラスタは、どちらもCoherenceクラスタに関連付けられます。 したがって、Oracle Java Cloud Service-Coherenceインスタンスのすべての管理対象サーバーは、Coherenceクラスタ・メンバーとして構成され、管理対象Coherence Serverと呼ばれます。 Coherenceデータ層は、アプリケーション層に関係なくスケーリングできます。
クラウド環境をプロビジョニングするときにOracle Java Cloud Serviceに対してOracle Coherenceを有効にすることで、インフラストラクチャやプラットフォームの詳細を自身で設定せずに、Oracle WebLogic Serverドメインの作成と構成、Coherenceクラスタの設定、Coherenceデータ層およびアプリケーション層WebLogic Serverクラスタの設定を迅速に行うことができます。 スケーリング、バックアップおよびリストア、パッチ適用などのすべての主要なサービス・ライフサイクル操作のための高度なツールを使用することもできます。
Oracle Java Cloud Serviceのテナント・ユーザーである限り、は、Oracle Java Cloud Service-Coherenceインスタンスに関連するすべての操作を実行できます。 Oracle Java Cloud Service Consoleを使用してすべてのタスクを実行できます。
Oracle Java Cloud Service Consoleにサインインして使用する方法の詳細は、Oracle Java Cloud Serviceへのアクセスを参照してください。
Oracle Java Cloud ServiceでOracle Coherenceの使用を開始するには、「Oracle Java Cloud ServiceでOracle Coherenceを使用するためのワークフロー」のタスクをガイドとして参照してください。
REST APIを使用してOracle Java Cloud Service-Coherenceインスタンスを作成および管理するには、『Oracle Java Cloud Service REST API』を参照してください。
Oracle CoherenceがOracle Java Cloud Serviceのサービス・インスタンスに有効な場合、Oracle Compute VMデプロイメント・トポロジは、Coherenceが有効ではないサービス・インスタンスのトポロジと似ていますが、Coherenceデータ層のVMと管理対象サーバーが追加されます。
Oracle Coherenceは、サービス・インスタンスに対して有効になると、Oracle Java Cloud Serviceに作成されるインフラストラクチャおよび機能性の上に構築されます。
Oracle Coherence Enterprise Editionソフトウェアは、Oracle Java Cloud Service環境内にインストールされて構成されます。
アプリケーションを実行するために、コンピューティングVM、ネットワーク設定および記憶域リソースのセットアップと管理に関連するすべての基本インフラストラクチャ作業がユーザー用に行われます。
Oracle WebLogic Server (WLS)ドメイン、CoherenceクラスタおよびWLSクラスタがユーザー用に設定されます。 サービス・インスタンスのプロビジョニングが完了すると、必要なすべての管理対象サーバーも自動的に作成および構成されて起動します。
次の図は、Oracle Java Cloud Service-Coherenceインスタンスのプロビジョニング時に設定および構成されるOracle Java Cloud Service VMデプロイメント・トポロジを示しています。 この例では、2台の管理対象サーバーによるアプリケーション層のクラスタ(ストレージ非対応)、およびCoherenceデータ層のデフォルトSMALL容量単位(3台のVMと3台の管理対象サーバーによるストレージ対応クラスタ)が使用されています。
注意:
Oracle Cloud内およびOracle Cloud外から使用できるネットワーク・プロトコルおよびデフォルト・ポートの詳細は、「デフォルト・アクセス・ポートの理解」を参照してください。 Oracle Java Cloud Service Consoleから使用可能なサービス・インスタンスの作成ウィザードを使用してOracle Java Cloud Serviceインスタンスを作成した場合、HTTPポートが無効化されることに注意してください。図に示すように、Oracle Java Cloud Service-Coherenceインスタンスは、次のリソースで構成される単一のWLSドメインです。
1台のWebLogic管理サーバー
1つのCoherenceクラスタ(システムレベルのCoherenceClusterSystemResource)。 デフォルト名はDataGridConfig
です。
アプリケーション・キャッシュ・クライアントを実行するためのストレージ非対応管理対象サーバーによる1つのアプリケーション層WLSクラスタ。 アプリケーションWARファイルおよびCoherence GARファイルを含むEARファイルがアプリケーション層にデプロイされます。 図の例は、アプリケーション層クラスタの2台の管理対象サーバーを示しています。
キャッシュ・サーバーを実行するためのストレージ対応管理対象サーバーによる1つのデータ層WLSクラスタ。 これがCoherenceデータ層です。 デフォルトでは、Coherenceデータ層のクラスタの名前は、形式first8charsOfServiceInstanceName_DGCluster
を使用して、サービス・インスタンス名の最初の8文字から生成されます。 Coherence GARファイルは、Coherenceデータ層にデプロイされます。 図の例は、Coherenceデータ層クラスタの3台の管理対象サーバーを示しています。
アプリケーションをホスティングするためのWLSクラスタとCoherenceデータを格納するためのWLSクラスタは、どちらもCoherenceクラスタに関連付けられます。 したがって、すべての管理対象サーバーがCoherenceクラスタのメンバーになります。
VMおよび各VMに含まれる管理対象サーバーの詳細は、「仮想マシンについて」を参照してください。