この章では、バックアップおよびリストア・ジョブを管理する方法を説明します。これには、ジョブの表示、ジョブの実行、ジョブ・プロパティとトランスクリプトの表示、ジョブの編集およびジョブの削除が含まれます。
この章の項目は次のとおりです。
バックアップまたはリストアのリクエストはジョブと区別されます。リクエストはまだ実行対象となりません。ファイルシステム・バックアップまたはリストア・リクエストをOracle Secure Backupのスケジューラに送信すると、リクエストはジョブとなり実行対象となります。
この項では、Oracle Secure Backupのジョブとその管理方法について説明します。
「ジョブ」ページを表示するには、次のようにします。
「表示オプション」セクションでは、特定のタイプ、ステータス値およびホストのジョブのみを表示できます。中央のテキスト・ボックスには、バックアップ・ジョブごとに次のような詳細が表示されます。
ジョブID: Oracle Secure Backupによって割り当てられるジョブ識別子を指定します。
タイプ: ジョブのタイプを指定します。
状態: ジョブ・ステータス(保留中、完了、失敗)を指定します。
Oracle Secure Backupのホームページからジョブを監視および管理することもできます。ホームページには、失敗、アクティブ、保留中および完了の各ジョブが表示されるセクションがあります。
関連項目:
obtoolのジョブ・コマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
この項では、Oracle Secure Backupのジョブに関する情報を表示する方法について説明します。他のユーザーのジョブをリスト表示する場合は、所有者に関係なく、任意のジョブをリスト表示する権限が必要です。自分自身のジョブをリスト表示する場合は、ユーザーが所有する任意のジョブをリスト表示する権限が必要です。
ジョブを表示するには、次のようにします。
「「ジョブ」ページの表示」の手順を実行します。
「ジョブ・タイプ」セクションで、次のジョブ表示オプションを1つ以上選択します。
ファイルシステム・バックアップ
このオプションは、ファイルシステムのファイルのバックアップ・ジョブ、すなわちデータベース・バックアップ以外のバックアップを表示する場合に選択します。
ファイルシステム・リストア
このオプションは、ファイルシステムのファイルのリストア・ジョブを表示する場合に選択します。
データセット
このオプションは、データセットが指定されているジョブのステータスを表示する場合に選択します(データセットについては、「ファイルシステム・バックアップのタイプ」を参照)。
Oracleバックアップ
このオプションは、データベース・バックアップ・ジョブのステータスを表示する場合に選択します。
Oracleリストア
このオプションは、データベース・リストア・ジョブのステータスを表示する場合に選択します。
スキャン制御
このオプションは、スキャン制御ジョブを表示する場合に選択します(「ボールティングのスキャンについて」を参照)。
メディアの移動
このオプションは、メディア移動ジョブのステータスを表示する場合に選択します(「メディア移動ジョブについて」を参照)。
重複
このオプションは、ボリューム複製ジョブのステータスを表示する場合に選択します(「ボリュームの複製の概要」を参照)。
カタログのインポート
カタログ・インポート・ジョブのステータスを表示するには、このオプションを選択します。
インスタンスのコピー
インスタンスのコピー・ジョブのステータスを表示するには、このオプションを選択します。
選択したプロパティのいずれかに一致するジョブが表示されます。たとえば、「ファイルシステム・バックアップ」と「Oracle Backup」を選択した場合、ファイルシステム・バックアップかRMANバックアップであるすべてのジョブが表示されます。
「ジョブ・ステータス」セクションで、次のジョブ表示オプションから1つ以上を選択します。
アクティブ
このオプションは、現在進行中の各バックアップ・ジョブのステータスを表示する場合に選択します。
失敗
このオプションは、失敗したバックアップ・ジョブのステータスを表示する場合に選択します。
完了
このオプションは、成功したかどうかに関係なく、完了したジョブのステータスを表示する場合に選択します。
保留中
このオプションは、現在実行中ではなく保留中のジョブのステータスを表示する場合に選択します。
入力保留中
このオプションは、現在実行中で入力をリクエスト中のジョブのステータスを表示する場合に選択します。
選択したプロパティのいずれかに一致するジョブが表示されます。たとえば、「アクティブ」と「失敗」を選択した場合、アクティブであるか、失敗したすべてのジョブが表示されます。
必要に応じて、選択したステータスおよびタイプのジョブの表示をさらに制限します。
「フィルタ」セクションで、次のジョブ表示オプションから1つ以上を選択します。
必要に応じて、「ホスト」でホストを選択し、表示されるジョブを特定のホストに関連するものに限定します。
デフォルトは「なし」で、ジョブ・リストからどのホストも除外しないことを意味します。
必要に応じて、「ユーザー」リストでOracle Secure Backupユーザーを選択し、表示されるジョブを特定のユーザーによってインスタンス化されたものに限定します。
デフォルトは「なし」で、ジョブ・リストからどのユーザーも除外しないことを意味します。
「データセット」リストで、データセット・ファイルを選択し、表示されるジョブを特定のデータセット・ファイルまたはディレクトリに限定します。
デフォルトは「なし」で、ジョブ・リストからどのデータセットも除外しないことを意味します。
時間範囲内にスケジュールされているジョブを表示するには、次のいずれかを実行します。
本日作成されたジョブのみを表示するには、「本日」を選択します。
状態が指定時間以降に更新されたジョブのみを表示するには、「開始日」ボックスを選択して日時を入力します。
状態が指定時間以前に更新されたジョブのみを表示するには、「終了日」ボックスを選択して日時を入力します。
日付の書式は、year/month/day.hour:minute[:second](例: 2009/5/19.12:43)です。
選択したプロパティのすべてに一致するジョブが表示されます。たとえば、「ホスト」と「本日」を選択した場合、指定されたホストのジョブで、本日発生し、指定されたジョブ・ステータスおよびタイプのものがリスト表示されます。
「適用」をクリックして選択内容を確定します。
ページがリフレッシュされ、選択した条件に合うジョブが表示されます。
この項では、ジョブ・プロパティを表示する方法について説明します。ジョブ・プロパティには、タイプ、レベル、ファミリ、スケジュール時間などがあります。
ジョブ・プロパティを表示するには、次のようにします。
「「ジョブ」ページの表示」の手順を実行します。
中央のテキスト・ボックスからジョブを選択します。
「プロパティの表示」ボタンをクリックします。
「ジョブ・プロパティ」ページが、図9-2に示すように表示されます。
「閉じる」をクリックして「ジョブ」ページに戻ります。
この項では、ジョブのトランスクリプトを表示する方法について説明します。Oracle Secure Backupでは各ジョブに対する実行トランスクリプトが保存されます。記録には、ジョブ操作の詳細が記述されます。トランスクリプトを表示するには、ユーザーが所有するジョブのリスト(list any jobs
owned
by
user
)または所有者を問わないジョブのリスト(list
any
job,
regardless
of
its
owner
)権限を持つクラス
のメンバーである必要があります。
関連項目:
Oracle Secure Backupの権限の詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
ジョブのトランスクリプトを表示するには、次のようにします。
「「ジョブ」ページの表示」の手順を実行します。
ジョブを選択し、トランスクリプトの表示をクリックします。
Oracle Secure Backup Webツールによって、ページにトランスクリプトが表示されます。
図9-3は、ジョブadmin/1.1
のトランスクリプトの一部を示しています。
ページを下へスクロールして詳細を表示します。
ページの最後で、トランスクリプトを表示する条件を変更できます。
必要に応じて、「レベル」リストでメッセージ・レベルを選択します。
Oracle Secure Backupは、トランスクリプトに書き込むメッセージごとに重大度レベルのタグを付けます。これらのレベル範囲は0から9です。重大度レベルはメッセージの重要性を表します。
トランスクリプトを表示するとき、特定の重大度レベル以上のメッセージのみを表示するようにOracle Secure Backupに指示できます。デフォルト・レベルは4(リクエスト)で、Oracle Secure Backupによって生成される通常のメッセージです。詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』のcatxcrコマンドの説明を参照してください。
必要に応じて、「入力の抑止」を選択して入力リクエストを抑止します。入力のリクエストが認識されると、Oracle Secure Backupはレスポンスを要求します。このオプションを指定すると、このアクションが抑止されます。
必要に応じて、「行番号の表示」を選択してメッセージ番号を各行の前に付けます。
必要に応じて、次のオプションのいずれかを選択してトランスクリプトの表示を制御します。
開始行
このオプションを選択し、トランスクリプトの表示を開始する数値を入力します。たとえば、10と入力すると、メッセージ10から表示されます。メッセージ1から9は表示されません。
最初の行数
このオプションを選択し、メッセージ重要度レベルが選択した値以上のトランスクリプトの最初の指定された行数を表示するための数値を入力します。
最後の行数
このオプションを選択し、メッセージ重要度レベルが選択した値以上のトランスクリプトの最後の指定された行数を表示するための数値を入力します。
必要に応じて、ページ・リフレッシュ(秒)ボックスに値を入力します。デフォルトは60秒です。
次のいずれかを実行します。
「適用」をクリックして選択内容を適用します。
「閉じる」をクリックしてページを閉じます。
バックアップ・ジョブのトランスクリプトには、表9-1に示す統計が含まれます。
表9-1 ジョブのトランスクリプトのバックアップ統計
統計 | 説明 |
---|---|
バックアップ全体のステータス。ステータス・コードの詳細は、Oracle Secure Backupホーム・ディレクトリの |
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バックアップで使用されたテープ・ドライブまたはディスク・プールの名前。 |
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使用されたテープ・ドライブまたはディスク・プールの数。 |
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バックアップで使用されたボリュームID。 |
|
バックアップで使用されたボリューム・タグ(バーコード)。 |
|
ファイル番号 |
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クライアント・ホストの名前。 |
|
Oracle Secure Backupによって暗号化されたバックアップでは ユーザー指定の1回かぎりのパスフレーズを使用して、Oracle Secure Backupによって暗号化されたバックアップでは ホストで必要な暗号化設定を上書きする、暗号化されなかったオンデマンド・バックアップでは 暗号化されていないバックアップでは 暗号化対応テープ・ドライブによって暗号化されたバックアップでは 暗号化対応テープ・ドライブによって暗号化された一時バックアップでは Recovery Manager(RMAN)によって暗号化されたバックアップでは まだ完了していないRMANバックアップ・ジョブの場合、このフィールドには |
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バックアップが開始した時間。 |
|
バックアップが終了した時間。 |
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バックアップが開始した時間。これは通常start_timeと同じです。アーカイブの読取りの場合は異なることがあります。この場合、backup_timeはアーカイブ・ラベルから取得されます。 |
|
スキャンされたファイルシステム・エントリの数。 |
|
スキャンされたファイルシステムの容量(KB)。 |
|
データセットの対象外の文と一致するため、あるいは除外されるOracleファイルであるために、除外されたファイルシステム・エントリの数。 |
|
増分バックアップにおいてファイルが最近変更されていなかったため、あるいはファイルが不明瞭化ウォレットであるために、スキップされたファイルシステム・エントリの数。 不明瞭化ウォレット( |
|
マウント・ポイント(ローカルまたはリモート)であるため、あるいは |
|
スキャンされたファイルの数。 |
|
スキャンされたディレクトリの数。 |
|
スキャンされたハード・リンクの数。 |
|
スキャンされたシンボリック(ソフト)・リンクの数。 |
|
スパースであることが検出されたファイルの数。スパース・ファイルは、有効なデータに対応しない領域を含むファイルです。 |
|
発生したファイルシステム・エラーの数。 |
|
検出された不明なタイプのファイルの数。 |
|
テープに書き込まれたファイルシステム・データの合計容量(KB)。 |
|
テープに書き込まれたデータの合計容量(KB)。 |
|
テープ・ドライブがオープンしていた合計秒数( |
|
データがテープに書き込まれた速度。 |
|
テープへのデータの書込みにかかった合計秒数。テープの位置付けやラベルの読取りなどのアクティビティにかかった時間は含まれません。 |
|
書込み操作時にデータがテープに書き込まれた速度。 |
|
書き込まれた物理ブロックの数(テープ・ドライブ別)。 |
|
リカバリ不可能な書込みエラーが発生したため、テープに再書込みする必要がある物理ブロックの数。 |
|
読み取られた物理ブロックの数(テープ・ドライブ別)。 |
|
リカバリ不可能な読取りエラーが発生したため、テープから再読取りする必要がある物理ブロックの数。 |
|
読取りエラーと書込みエラーの合計を読取りブロック数と書込みブロック数の合計で割った値。 |
|
パスpath_nameのバックアップの最終的なステータス。データセットに指定されたパスごとにエントリがあります。 |
注意:
dev_iorate
とwrt_iorate
は両方とも同じ書込みデータ容量に基づいて計算されますが、計算で使用される経過時間が異なります。通常、dev_iosecs
はwrt_iosecs
よりも長いため、dev_iorate
はwrt_iorate
よりも小さくなります。
この項では、ジョブを削除する方法について説明します。ジョブを削除すると、ジョブは取り消され、属するすべての記録および下位ジョブ、その存在は削除されます。ジョブを削除できるのは、ジョブが実行中でない場合にかぎります。ジョブを削除すると、そのステータスを表示できなくなります。
注意:
「ジョブの取消し」で説明しているように、ジョブを取り消し、履歴およびトランスクリプトを保持できます。
ジョブを削除するには、次のようにします。
「「ジョブ」ページの表示」の手順を実行します。
中央のテキスト・ボックスからジョブを選択します。
「削除」をクリックします。
Oracle Secure Backup Webツールによって、ジョブの削除を確認するように要求されます。
「はい」をクリックし、ジョブを削除します。
この項では、スケジュール時間または優先度以外で、あるいは特定のバックアップ・コンテナを使用してジョブを実行するようにOracle Secure Backupに指示する方法について説明します。この機能を使用するには、ユーザーが所有するジョブの変更(modify
any
jobs
owned
by
user
)または所有者を問わないジョブの変更(modify
any
job,
regardless
of
its
owner
)権限が有効に設定されているクラスのメンバーである必要があります。
関連項目:
Oracle Secure Backupの権限の詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
Oracle Secure Backupには、次のようにジョブの開始を指示できます。
即時開始
スケジューラによって選択される順序とは異なる順序で開始
特定のテープ・デバイスまたは事前にジョブで制限が指定されているテープ・デバイスで開始
Oracle Secure Backupがジョブを実行するタイミングを変更するには、次のようにします。
「「ジョブ」ページの表示」の手順を実行します。
中央のテキスト・ボックスからジョブを選択します。
「実行」をクリックします。
必要に応じて、「デバイス」でジョブを実行するテープ・デバイスを選択します。
ジョブが別のテープ・デバイスまたはテープ・デバイス・セットに制限されていた場合、ここでの選択がその制限に優先されます。次の手順で「現在」を選択する場合は、テープ・デバイスを選択する必要があります。
必要に応じて、次のオプションのいずれかを選択します。
現在
このオプションは、ジョブを即時実行する場合に選択します。先に選択したテープ・デバイスが現在使用できない場合は、エラーが表示され、この操作は無効となります。
ASAP
このオプションは、優先度1にまで値を低くして、可能なかぎり速やかにジョブを実行する場合に選択します。
ジョブの優先度
このオプションを選択し、「優先度」ボックスにジョブの優先度を入力します。デフォルトの優先度は100です。
ジョブの優先度は正の数値で示されます。値が小さいほど、スケジューラによってジョブに割り当てられる優先度が高くなります。たとえば、優先度20のジョブは優先度100のジョブより優先度が高いです。ジョブの実行に必要なすべてのリソースが使用可能な場合、スケジューラは、優先度の低いジョブより優先度の高いジョブを先にディスパッチします。
以下のいずれか1つを実行します。
「適用」をクリックして変更を確定し、このページに留まります。
「取消」をクリックして操作を無効にし、1つ前のページに戻ります。
この項では、ジョブの取消し方法について説明します。ジョブを取り消すと、実行中の場合は強制終了され、そのジョブ記録には"canceled"と記録されます。Oracle Secure Backupでは、取り消されたジョブは再実行できないものとみなされます。下位ジョブを持つジョブを取り消すと、各下位ジョブも取り消されます。
ジョブを取り消すには、次のようにします。
「「ジョブ」ページの表示」の手順を実行します。
中央のテキスト・ボックスからジョブを選択します。
「取消」をクリックします。