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Oracle® TimesTen In-Memory Databaseインストレーション、移行およびアップグレード・ガイド
リリース18.1
F16947-03
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1 TimesTen Classicでのインストール・プロセスの概要

この章では、TimesTen Classicをインストールする前に理解しておく必要があるトピックの概要について説明します。TimesTen Scaleoutの詳細は、Oracle TimesTen In-Memory Database Scaleoutユーザーズ・ガイドのTimesTen Scaleoutの前提条件およびインストールを参照してください。

内容は次のとおりです。

インストール環境およびインスタンスの概要

この項の内容は次のとおりです。


ノート:

TimesTenリリース番号は、TimesTenユーティリティの出力、ファイル名およびディレクトリ名などの項目に反映されます。各マイナー・リリースまたはパッチ・リリースでのこれらの変更、およびドキュメントは、常に最新であるとはかぎりません。このドキュメントでは、主に、出力、ファイル名、ディレクトリ名およびその他のコードの基本的な形式を示すことを意図し、その中にはリリース番号が含まれている可能性があります。現在のリリース番号を確認するには、リリース・ノートを確認するか、ttVersionユーティリティを実行します。

ディストリビューション・メディアおよびディストリビューション

TimesTen製品は、ダウンロードするディストリビューション・メディアにパッケージされます。サポートされているプラットフォームごとに、TimesTenは1つのディストリビューションにパッケージされています。ディストリビューションは単一のZIPファイルで構成されています。

ディストリビューションは、プラットフォームによって異なります。

  • Linux/UNIX 64ビットのホストでは、ディストリビューション・ファイル名はリリース番号、ディストリビューションのタイプおよびプラットフォームを示しています。たとえば、Linux 64ビットのホスト上のリリース18.1.4.1.0の場合、ディストリビューション・ファイル名はtimesten181410.server.linux8664.zipになります。このファイルは、完全な製品のインストール環境またはクライアントのみのインストールに使用します。

  • Linux 32ビットのホストの場合:

    • ディストリビューション・ファイル名はリリース番号、ディストリビューションのタイプおよびプラットフォームを示しています。たとえば、リリース18.1.4.1.0の場合、ディストリビューション・ファイル名はtimesten.181410.client.linux86.zipです。

    • TimesTenクライアントを含む1つのディストリビューションがあります。Linux 32ビットのホストではTimesTenクライアントのみがサポートされています。

  • macOSホストの場合:

    • ディストリビューション・ファイル名はリリース番号、ディストリビューションのタイプおよびプラットフォームを示しています。たとえば、リリース18.1.4.1.0の場合、ディストリビューション・ファイル名はtimesten.181410.client.macos64.zipです。

    • TimesTenクライアントを含む1つのディストリビューションがあります。macOSのホストではTimesTenクライアントのみがサポートされています。

  • Windowsホストの場合:

    • ディストリビューション・ファイル名はリリース番号とプラットフォームを示しています。たとえば、timesten181410.win64.zipなどです。

    • TimesTenクライアントを含む1つのディストリビューションがあります。WindowsではTimesTenクライアントのみがサポートされています。

インスタンス管理者

Linux、UNIXまたはmacOSホストでは、インスタンス管理者は、ディストリビューションを抽出するオペレーティング・システム・ユーザーです。インスタンス管理者がディストリビューションを解凍すると、TimesTenインストール環境が作成されます。TimesTenのインストールの詳細は、TimesTenのインストールを参照してください。インスタンス管理者にはインスタンスに関連する役割もあります。詳細は、「TimesTenインスタンス」を参照してください。

Windowsホストでは、インスタンス管理者はディストリビューションを解凍し、インストーラを実行するオペレーティング・システム・ユーザーです。

インスタンス管理者に関しては、次の点に注意してください。

  • rootユーザーではない必要があります

  • インストール環境内のすべてのファイルを読み取り、すべての実行可能ファイルを実行するためのオペレーティング・システム権限があること

  • TimesTenユーザー・グループのメンバーである必要があります。(詳細は、「TimesTenユーザー・グループの理解」を参照してください。)

TimesTenのインストール

インストール環境はディストリビューションからホストにインストールされた一連のファイルです。インストール・ディレクトリは、インストール環境が作成されるディレクトリです。

インスタンス管理者は、インストール環境を削除できる唯一のユーザーです。


ノート:

  • インストール環境は読取り専用です。インストール環境内のファイルまたはディレクトリを追加、変更または削除しないでください。

  • TimesTenでは、インストール環境のインベントリは保持されません。

  • マルチバイト文字を含むファイル・パス名はサポートされていません。


次の各項では、追加情報について説明します。

LinuxまたはUNIXへのインストール

Linux/UNIX 64ビットのホストでのインストールの場合:

  • Linuxホストの場合、完全インストールまたはクライアント・インストールはTimesTen ScaleoutおよびTimesTen Classicでサポートされます。

  • UNIXホストの場合、完全インストールまたはクライアント・インストールは、TimesTen Classicでのみサポートされます。

  • 複数のインスタンスが1つのインストール環境を共有できます。

詳細は、Linux/UNIXでのインストール環境の作成を参照してください。

Linux 32ビットのホストにインストールする場合、クライアントのみのインストールがサポートされます。TimesTenクライアントは、TimesTen ScaleoutまたはTimesTen Classicのいずれかのデータベースに接続できます。詳細は、「TimesTenクライアント・インストール環境の作成」を参照してください。

macOSへのインストール

macOSホストでは、クライアントのみのインストールがサポートされています。TimesTenクライアントは、TimesTen ScaleoutまたはTimesTen Classicのいずれかのデータベースに接続できます。

詳細は、「TimesTenクライアント・インストール環境の作成」を参照してください。

Windowsへのインストール

Windowsでは、ZIPファイルの解凍後に、インスタンス管理者がWIN64サブディレクトリからsetup.exeインストーラを実行する必要があります。この処理は、単一のインストール環境と単一インスタンスを作成します。追加のインスタンスは作成できません。

TimesTenクライアントは、別のLinuxまたはUNIXサーバーで実行されているTimesTen ScaleoutまたはTimesTen Classicのデータベースに接続できます。

詳細は、Windowsでのインストール環境の作成を参照してください。

TimesTenインスタンス

インスタンスとは次のいずれかのことです。

  • 実行中のTimesTenデーモン(timestend)、その子プロセスと関連するプロセス、およびその稼働に必要な構成ファイルとその他のサポート・ファイル(完全インスタンス)

  • TimesTenクライアント(クライアントのみのインスタンス)を使用するために必要な一連の構成ファイルおよびその他のサポート・ファイル

各インスタンスにはインスタンス・ホームがあります。これは、インスタンスに関連付けられているディレクトリ構造の最上位レベルで、このドキュメントではtimesten_homeとして表されます。詳細は、インスタンス・ホームを参照してください。完全インスタンスは、1つ以上のデータベースを管理できます。クライアント・インスタンスは、データベース自体を持つことができません。1つのインストール環境から複数のインスタンスを実行できます。TimesTenは、ホストのインスタンスのインベントリを保持せず、特定のインストール環境に関連付けられているすべてのインスタンスのインベントリを保持しません。

Windowsホストでは、インストール中に自動的に作成されるインストール環境に1つのインスタンスがあります。インスタンス名はinstanceです。

インスタンスのインスタンス管理者の役割は次のとおりです。

  • 完全インスタンスのインスタンス管理者は、データベースの作成と管理、データベースのメモリーからのロードまたはメモリーへのロード、インスタンスの変更と破棄、すべての管理アクティビティの実行、およびバックアップとリストアの操作の実行を行います。

  • クライアント・インスタンスのインスタンス管理者は、インスタンスを作成、変更および破棄します。

  • Linux、UNIXまたはmacOSホストの場合:

    • このインスタンス管理者は、(ttInstanceCreateユーティリティを実行して)インスタンスを作成できる唯一のユーザーでもあり、このインストール環境から作成されるすべてのインスタンスのインスタンス管理者です。

    • インスタンス管理者がインストール環境またはインスタンスを作成した後は、この管理者を変更できません。

    • ttInstanceCreateユーティリティは、インスタンス管理者がTimesTenのインストール・ツリー内にインスタンスを作成することを許可しません。ttInstanceCreateユーティリティの詳細は、ttInstanceCreateユーティリティを参照してください。

  • Windowsホストの場合:

    • インスタンス管理者はディストリビューションを解凍し、インストーラを実行するオペレーティング・システム・ユーザーです。WindowsにはttInstanceCreateユーティリティはありません。このインスタンス管理者は、インスタンスのインスタンス管理者です。

    • 1つのインストールと単一のインスタンスの所有者(インスタンス管理者)は同じである必要があります。

    • インスタンスには、インスタンスを作成したユーザーである単一のインスタンス管理者がいます。

    • インスタンス管理者がインストーラを実行した後にインスタンス管理者を変更することはできません。

インスタンス・ホーム

Linux、UNIXまたはmacOSホストでは、インスタンスホームは、インスタンス管理者がttInstanceCreateユーティリティを実行したときに作成されるディレクトリです。

Windowsホストでは、インスタンスホームは、インスタンス管理者がインストーラを実行することによって作成されるディレクトリです。

このディレクトリはインスタンス管理者によって所有されます。

インスタンス・ホームには、インスタンス専用に構成されているすべてのファイルが含まれています。TimesTenのドキュメントではtimesten_homeで示されます。

インスタンス・ホーム・ディレクトリには、2つのタイプがあります。

次のいずれかです。

  • 完全インスタンス・ホーム: サーバーおよび直接モードを含むTimesTenのすべての使用形態をサポートします。インスタンスが実行されるホストのローカル・ディレクトリである必要があります。

  • クライアントのみのインスタンス・ホーム: TimesTenクライアントの実行に必要なファイルを提供し、TimesTenがクライアントのみの使用として構成された場合に作成されます。インスタンスが実行されるホストのローカル・ディレクトリである必要があります。

Linux、UNIXまたはmacOSホストの場合: 特定のTimesTenインスタンスのユーザーは、各インスタンスで提供されているttenv.shまたはttenv.csh (どちらを使用するかはシェルによって異なります)を設定して、環境を設定する必要があります。詳細は、環境変数を参照してください。

Windowsホストの場合: インストール手順で環境変数を永続的な設定として登録するか、ttenv.batファイルを実行できます。詳細は、Windowsでのインストール環境の作成および環境変数を参照してください。


ノート:

  • 1つのインスタンス・ホームを複数のインスタンス間で共有することはできません。

  • インスタンス・ホームには、関連付けられたインストール環境へのシンボリック・リンクが含まれます。


インスタンスの構成ファイル(timesten.conf)

インスタンスの構成ファイルは、TimesTenインスタンスの属性を定義します。timesten_home/confディレクトリにあり、timesten.confという名前が付けられています。このファイルはASCIIテキスト・ファイルであり、name=valueのペアで構成され、1行に1ペアが含まれています。

次に、インスタンス全体のサンプル構成ファイルを示します。コメントは「#」で示されています。

# TimesTen Instance Configuration File
# Created by ttInstanceCreate
hostname=host1
timesten_release=18.1
instance_name=instance1
daemon_port=6624
server_port=6625
tns_admin=
admin_user=myadmin
admin_uid=12345
group_name=ttgroup
instance_guid=39734D8C-E59A-4164-A77D-FC4327FF9496
verbose=1

これらの値の一部は、TimesTenがすでに認識しているか、TimesTenによって提供されます。その他の値は、インストール時あるいはインスタンスの作成時または変更時の選択または指定によって異なります。

このファイルの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のTimesTenインスタンスの構成ファイルを参照してください。

TimesTenユーザー・グループの理解

Linux、UNIXまたはmacOSホストの場合:

  • TimesTenは、インストールおよびそのインストールから作成されたインスタンスへのアクセスを、単一のオペレーティング・システム・グループのメンバーに制限します。このグループはTimesTenユーザーグループと呼ばれ、インストールおよびインストールから作成されたインスタンスを所有します。TimesTenユーザー・グループは、インスタンス管理者のプライマリ・グループである必要があります。このグループ(timestenなど)を作成し、インストールを実行する前に、必要なオペレーティング・システム・ユーザーを追加します。TimesTenユーザー・グループを作成すると、そのグループ名またはグループIDは変更できません。

  • TimesTenユーティリティまたはダイレクト・モードのアプリケーションを介してデータベースにアクセスするユーザーは、TimesTenユーザー・グループのメンバーである必要があります。このグループは、ユーザーのプライマリまたはセカンダリ・グループにすることができます。

  • クライアント接続を介してデータベースに接続するユーザーは、TimesTenユーザー・グループのメンバーである必要はありません。

Windowsホストの場合:

  • TimesTenはインスタンス管理者によってインストールされます。このインスタンス管理者は、TimesTenユーザー・グループのメンバーである必要があります。

  • TimesTenのインストールに関する情報は、Windowsオペレーティング・システムのレジストリに含まれています。

Linux、UNIXまたはmacOSでのインストール環境およびインスタンスの管理

次の各トピックでは、Linux、UNIXまたはmacOSホストでのインストール環境およびインスタンスの管理の概要について説明します。

インストール環境の管理

インスタンスの管理

Linux、UNIXまたはmacOSでのインストール環境の作成

インスタンス管理者は、ディストリビューションを解凍してインストール環境を作成します。ディストリビューションの詳細は、ディストリビューション・メディアおよびディストリビューションを参照してください。Linux/UNIX 64ビットのホストの詳細は、「Linux/UNIXでのインストール環境の作成」を参照してください。macOSまたはLinux 32ビットのホストの詳細は、「TimesTenクライアント・インストール環境の作成」を参照してください。

インスタンス管理者は、インストール後にttInstallationCheckユーティリティを実行し、インストール環境に予期されているコンテンツおよび権限があることを検証できます。Linux/UNIX 64ビットのホストの詳細は、「Linux/UNIXでのインストール環境の検証」を参照してください。macOSまたはLinux 32ビットのホストの詳細は、「クライアント・インストール環境の検証」を参照してください。

Linux、UNIXまたはmacOSでのインストール環境の削除

インストール環境を作成したインスタンス管理者は、インストール環境を削除できる唯一のユーザーです。インストール環境を削除するには、インストール・ツリー(インストール環境内のファイルとディレクトリ)を手動で削除します。

Linux/UNIX 64ビットのホストの詳細は、「Linux/UNIXでのインストール環境の削除」を参照してください。

macOSまたはLinux 32ビットのホストの詳細は、「TimesTenクライアント・インストール環境の削除」を参照してください。

LinuxまたはUNIXでのインストール環境のコピー

インストール環境は読取り専用で不変であるため、(ZIPなどのツールを使用して)インストール環境を圧縮し、別のホストにコピーし、解凍できます。ファイル権限が維持され、ファイルがコピーされているかぎり、コピーされたインストール環境は有効です。ttInstallationCheckユーティリティを使用して、インストール環境を検証できます。詳細は、「Linux/UNIXでのインストール環境のコピー」を参照してください。

Linux、UNIXまたはmacOSでのインスタンスの作成

(ディストリビューションを解凍して)インストール環境を作成したインスタンス管理者は、インスタンスを作成できる唯一のユーザーです。インスタンス管理者は、インストール・ディレクトリ・ツリーの/bin領域(installation_dir/tt18.1.4.1.0/bin)にあるttInstanceCreateユーティリティを実行してインスタンスを作成します。

インスタンス管理者は、-clientonlyオプションを指定してttInstanceCreateを実行し、クライアントのみのインスタンスを作成します。(macOSまたはLinux 32ビットのホストでは、-clientonlyオプションは必要ありません。)TimesTenインスタンスの詳細は、TimesTenインスタンスを参照してください。

ttInstanceCreateユーティリティでは、インスタンスの作成、インスタンス・ホーム・ディレクトリの作成、インスタンス・ホーム・ディレクトリに対する権限の設定、およびディレクトリへの適切なファイルの移入が行われます。インスタンス・ホーム・ディレクトリの詳細は、インスタンス・ホームを参照してください。

Linux/UNIX 64ビットのホストの場合、ttInstanceCreateユーティリティおよびインスタンスの作成手順の詳細は、「Linux/UNIXでのインスタンスの作成: 基本」を参照してください。

macOSまたはLinux 32ビットのホストの詳細は、「TimesTenクライアント・インスタンスの作成」を参照してください。

Linux、UNIXまたはmacOSでのインスタンスの変更

インストール環境およびインスタンスを作成したインスタンス管理者は、インスタンスを変更できる唯一のユーザーです。インスタンス管理者は、timesten_homeディレクトリの/bin領域にあるttInstanceModifyユーティリティを実行してインスタンスを変更します。このディレクトリの詳細は、インスタンス・ホームを参照してください。

インスタンス管理者は、ttInstanceModifyユーティリティを対話形式で実行するか、サポートされているオプションを指定して実行できます。Linux/UNIX 64ビットのホストの場合、ttInstanceModifyユーティリティおよびインスタンスの変更手順の詳細は、「Linux/UNIXでのインスタンスの変更」を参照してください。macOSまたはLinux 32ビットのホストの詳細は、「TimesTenクライアント・インスタンスの変更」を参照してください。

インスタンス管理者は、インスタンスの構成ファイルを変更してインスタンスの属性を変更することもできます。このファイルの詳細は、インスタンスの構成ファイル(timesten.conf)を参照してください。『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のTimesTenインスタンスの構成ファイルも参照してください。

Linux、UNIXまたはmacOSでのインスタンスのアップグレードまたはダウングレード

インスタンスは、TimesTenのあるパッチ・リリースからそれ以降のパッチ・リリースにアップグレードできます。インスタンスは、あるパッチ・リリースからそれ以前のパッチ・リリースにダウングレードすることもできます。アップグレードおよびダウングレードは、1つのメジャー・リリース内でのみ可能です(たとえば、18.1.w.x.0から18.1.y.z.0は可能ですが、11.2.2.x.yから18.1.a.b.0はできません)。

インストール環境およびインスタンスを作成したインスタンス管理者は、インスタンスをアップグレードまたはダウングレードできる唯一のユーザーです。インスタンス管理者は、timesten_homeディレクトリの/bin領域にあるttInstanceModifyユーティリティを実行して、インスタンスをアップグレードまたはダウングレードします。このディレクトリの詳細は、インスタンス・ホームを参照してください。

インスタンスをアップグレードまたはダウングレードする手順では、インスタンスを別のインストール環境に関連付けます。インスタンス管理者は、-installオプションを指定してttInstanceModifyユーティリティを実行し、これを行います。

Linux/UNIX 64ビットのホストの場合、ttInstanceModifyユーティリティの詳細は、「Linux/UNIXでのインスタンスの変更」、およびインスタンスを別のインストール環境に関連付ける手順の詳細は、「別のインストール環境へのインスタンスの関連付け(アップグレードまたはダウングレード)」を参照してください。

macOSまたはLinux 32ビットのホストの詳細は、「TimesTenクライアント・インスタンスの変更」を参照してください。

Linux、UNIXまたはmacOSでのインスタンスの削除

インストール環境およびインスタンスを作成したインスタンス管理者は、インスタンスを削除(破棄)できる唯一のユーザーです。インスタンス管理者は、インストール・ディレクトリ・ツリーの/bin領域(installation_dir/tt18.1.4.1.0/bin)にあるttInstanceDestroyユーティリティを実行することで、インスタンスを破棄します。

破棄するインスタンスは、TIMESTEN_HOME環境変数の設定に基づいて判断されます。この環境変数およびその設定方法の詳細は、環境変数を参照してください。

Linux/UNIX 64ビットのホストの場合、ttInstanceDestroyユーティリティおよびインスタンスの変更手順の詳細は、「Linux/UNIXでのインスタンスの破棄」を参照してください。

macOSまたはLinux 32ビットのホストの詳細は、「TimesTenクライアント・インスタンスの破棄」を参照してください。

Windowsでのインストール環境およびインスタンスの管理

次の各トピックでは、Windowsでのインストール環境およびインスタンスの管理の概要について説明します。

インストール環境およびインスタンスの管理

Windowsでのインストール環境およびインスタンスの作成

インスタンス管理者がディストリビューションを解凍し、TimesTenインストーラを実行して、インストール環境とインスタンスを作成します。ディストリビューションの詳細は、ディストリビューション・メディアおよびディストリビューションを参照してください。

TimesTenインストーラは、単一のTimesTenのクライアントのみのインストール環境(およびインスタンス)を作成します。追加のインストール環境(またはインスタンス)を作成するには、最初に既存のインストール環境を削除します。つまり、同時に存在する18.1インストール環境は1つのみです。インストール手順の詳細は、Windowsでのインストール手順の概要を参照してください。

Windowsでの1つのインストール

Windowsホストは、TimesTenの同じメジャー・リリース(18.1など)の複数のインストール環境をサポートしていません。たとえば、ホストは18.1.1.x.0インストール環境と18.1.2.x.0インストール環境の両方を持つことはできません。

Windowsの18.1リリースがインストールされていて、別のパッチ・リリースの18.1をインストールする場合:

  • インスタンス管理者がインストーラを実行して、新しいリリースをインストールします。

  • インストーラによって、以前のインストール環境を新しいインストール環境で上書きするかどうかを尋ねられます。

    インスタンス管理者がyesと答えた場合、提供されているインスタンスでは新しいインストール環境を利用できます。

Windowsでのインストール環境およびインスタンスの削除

インスタンス管理者は、(Windowsのバージョンに応じて)コントロール・パネルまたはシステム設定を使用してインストール環境を削除します。インストール環境を削除すると、インスタンスも削除されます。インストール環境を削除する手順については、Windowsでのインストール環境の削除を参照してください。削除の成功を検証する手順については、Windowsでの削除が成功したことの検証も参照してください。

オペレーティング・システムの前提条件

TimesTen Classicをインストールする前に、次のオペレーティング・システムの前提条件を確認(および実行)してください。

Linuxの前提条件

Linuxで次の前提条件を実行します。

SUSE Linux Enterprise Serverでは、libncurses5をインストールする必要があります。これを行うには、次を実行します。

zypper -n install libncurses

TimesTenユーザー・グループの作成

この項では、TimesTenユーザー・グループを作成するステップの概要を示します。

  • TimesTenユーザー・グループを作成し、目的のユーザーを追加します。

  • インスタンス管理者になるオペレーティング・システム・ユーザーを決定します。このユーザーは、TimesTenユーザー・グループのメンバーである必要があります。このユーザーはインストール環境を作成します。


    ノート:

    TimesTenのインストール環境をTimesTen事前定義済内部ユーザーの名前(GRIDPUBLICSYSSYSTEMまたはTTREP)と一致するオペレーティング・システム・ユーザーとして作成しないでください。

たとえば、instanceadminはオペレーティング・システム・ユーザーの名前で、timestenはTimesTenユーザー・グループの名前です。

  1. TimesTenユーザー・グループの作成グループIDが10000のグループにtimestenという名前を付けます。この情報はHugePagesを構成する場合に必要です。詳細は、HugePagesの構成を参照してください。

    % sudo groupadd -g 10000 timesten
    
  2. UIDが55000instanceadminユーザーを作成し、このユーザーをtimestenプライマリ・グループに割り当てます。次に、instanceadminユーザーのパスワードを作成します。

    % sudo useradd -u 55000 -g timesten instanceadmin
    % sudo passwd instanceadmin
    

shmmaxおよびshmallの構成

共有メモリー・セグメントの最大サイズ(shmmaxメモリー・カーネル・パラメータ)が、データベースの共有メモリー・セグメントの合計サイズを格納するのに十分な大きさになるように、Linux共有メモリーを構成する必要があります。TimesTen Classicでは、データベース全体が単一の共有メモリー・セグメントに保持されます。PL/SQLで使用される2番目のメモリー・セグメントもあります。

Linuxでは、共有メモリー・セグメントは複数のページで構成されており、デフォルトのページ・サイズは通常4 KB (4096バイト)です。デフォルトのページ・サイズを確認するには、getconf PAGESIZEコマンドを実行します。

% getconf PAGESIZE
4096

次の共有メモリーのカーネル・パラメータを構成して、共有メモリー・セグメントのサイズを制御します。

  • shmmax: 1つの共有メモリー・セグメントの最大サイズ(バイト単位)。この値は、データベースの共有メモリー・セグメントの合計サイズに対応できる十分な大きさである必要があります。

  • shmall: システム全体のすべての共有メモリー・セグメントの合計サイズ。この値は、ページ・サイズ(4 KB)の倍数で表され、shmmaxの値以上にする必要があります。shmallの値は、物理RAMの合計量以下に設定することをお薦めします。物理メモリーの合計量を表示するには、Linux cat /proc/meminfoコマンドを実行します。

データベースのサイズは、PermSizeTempSizeLogBufMBおよびConnections接続属性(値1はTimesTenシステムのオーバーヘッド)の値に基づいています。

サイズ設定の式は次のとおりです(18.1.4.1.0の場合。将来のリリースで変更される可能性があります)。

PermSize+TempSize+LogBufMB+1+(0.042 * Connections)

PermSizeTempSizeおよびLogBufMBの値はMB (メガバイト)で表されます。

PermSizeTempSizeLogBufMBおよびConnectionsは、sys.odbc.iniファイルまたはodbc.iniファイルで定義する接続属性です。

これらの属性の値を定義しない場合は、デフォルト値が使用されます。各接続属性の詳細は、Oracle TimesTen In-Memory DatabaseリファレンスのPermSize、TempSizeおよびLogBufMBを参照してください。

たとえば、データベースのPermSize値は32GB (32768 MB)、TempSize値は4 GB (4096 MB)、LogBufMB値は1 GB (1024 MB)およびConnections値は2048であると仮定します。サイズ設定の式を適用すると、データベースのサイズは次のようになります。

37975 MB (=32768 MB + 4096 MB + 1024 MB +1 + (0.042 MB *2048))

この例では、shmmaxおよびshmallのサイズを設定します。

  1. rootユーザーとして、/etc/sysctl.confファイルを編集し、kernel.shmmaxおよびkernel.shmallを変更します。データベースのサイズは37,975 MBで、shmmaxおよびshmallの値はこのサイズより大きくする必要があると仮定すると、この例の場合、shmmaxを48 GB (= 51,539,607,552バイト)、およびshmallを56GB (= 60129542144バイト= 58,720,256 KB/4 KBページ・サイズ= 14,680,064 KBページ)に設定します。

    # sudo vi /etc/sysctl.conf
    ...
    ...
    kernel.shmmax=51539607552
    kernel.shmall=14680064
    
  2. 変更された/etc/sysctl.confファイルから設定を再ロードします。

    # sudo /sbin/sysctl -p
    
  3. Linux ipcs lmコマンドを実行して、現在のshmmaxおよびshmallの設定を表示します。max seg size (kbytes)shmmax値で、max total shared memory (kbytes)shmall値です。KBで表されるshmmax値は50331658 (= 51,539,607,552バイト)で、KBで表されるshmall値は58720256 (= 60129542144バイト)です。

    % ipcs -lm
     
    ------ Shared Memory Limits --------
    max number of segments = 4096
    max seg size (kbytes) = 50331648
    max total shared memory (kbytes) = 58720256
    min seg size (bytes) = 1
    

ノート:

  • より大きいshmmaxおよびshmallが他のアプリケーションで必要となる場合は、これらの例のこれらの設定を増やすことができます。

  • データベースのサイズが不明な場合は、物理メモリーのサイズの割合(80%など)に対応するようにshmmaxおよびshmallを設定できます。


HugePagesの構成

メモリー管理を効率化するためにHugePagesを構成できます。

データベースの共有メモリー・セグメントが256 GBを超える場合は、HugePagesを構成する必要があります。

構成後は、HugePagesに割り当てられたメモリーは、Linuxホスト上のRAM合計から取得され、他の用途には使用できません。また、HugePagesメモリー・セグメントは自動的にロックされ、ディスクにスワップできません。

HugePagesを構成するには、次のことを把握する必要があります。

  • データベースの共有メモリー・セグメントの最大サイズ

  • LinuxホストのHugePagesページ・サイズ

  • インスタンス管理者のグループID

shmmaxおよびshmallの構成の項の例(データベースのサイズは37,975 MBで、shmmax値は48 GB)、およびTimesTenユーザー・グループの作成の項の例(instanceadminユーザーのグループIDは10000)を使用します。

  • 共有メモリー・セグメントの合計サイズは48 GBです。

  • HugePagesページ・サイズは2048 KBです。(この値はプラットフォームごとに固定され、構成できません。)

    HugePagesページ・サイズを決定するには、Linux cat /proc/meminfo|grep Hugepagesizeコマンドを実行します。

    % cat /proc/meminfo | grep Hugepagesize
    Hugepagesize:       2048 kB
    
  • グループIDは10000です。

    インスタンス管理者のグループIDを決定するには、instanceadminユーザーとしてログインし、Linux idコマンドを実行します。

    % id
    uid=55000(instanceadmin) gid=10000(g10000)groups=10000(g10000)
    

HugePagesを構成するには、次の手順を実行します。

  1. 共有メモリー・セグメントの合計サイズ(MBで表される)をHugepagesizeの値(MBで表される)で除算して、HugePages数を決定します。この例では、共有メモリー・セグメント合計は48 GB (=49152 MB)で、Hugepagesize値は2048 KB (= 2 MB)です。

    49152 MB/ 2 MB = 24576 
    
  2. rootユーザーとして、/etc/sysctl.confファイルを編集し、vm.nr_hugepagesHugePages数(この例では24576)に設定し、vm.hugetlb_shm_groupをインスタンス管理者のグループID (この例では10000)に設定します。後者の設定により、HugePagesへのアクセスがグループのメンバーに制限されます。

    # sudo vi /etc/sysctl.conf
    ...
    ...
    vm.nr_hugepages=24576
    vm.hugetlb_shm_group=10000
    
  3. 変更された/etc/sysctl.confファイルから設定を再ロードします。

    # sudo /sbin/sysctl -p
    
  4. HugePagesが正しく構成されていることを確認するには、Linux cat/proc/meminfo|grep HugePagesコマンドを実行し、HugePages_Totalの値が24576で、HugePages_Freeの値が24576であることを確認します。

    % cat /proc/meminfo|grep HugePages
    HugePages_Total:   24576
    HugePages_Free:    24576
    ...
    

ノート:

  • HugePagesは連続した使用可能メモリー領域への割当てが必要なため、ホストを再起動するまでは、要求された割当てが設定されないか、部分的にのみ設定される場合があります。/proc/meminfoからHugePages_TotalおよびHugePages_Freeの値を確認します。再起動するときには、ホストで十分なメモリーを使用できると想定し、すべて割り当てられます。

  • 256 GB以下のデータベースが、使用可能なHugePages領域に収まらない場合は、通常のページが使用されます。256 GBを超えるデータベースがHugePages領域に収まらない場合は、データベースをメモリーにロードできません。

  • TimesTen PL/SQL共有メモリー・セグメントは、構成されているHugePagesの割当ての一部を使用します(PLSQL_MEMORY_SIZE接続属性の値によって決定されます)。詳細は、Oracle TimesTen In-Memory DatabaseリファレンスのPLSQL_MEMORY_SIZEを参照してください。

  • HugePagesセグメントは自動的にロックされ、メモリー・セグメントはディスク・スワップの対象になりません。したがって、HugePagesを構成する場合は、MemoryLock接続属性を設定する必要はありません。


memlock設定の変更

/etc/security/limits.confファイルのmemlockエントリは、ユーザーがロックできるメモリー量を制御します。これらのエントリはシステム・レベルで設定され、MemoryLock接続属性の設定とは異なります。

HugePagesが構成されている場合、memlock値は、共有メモリー・セグメントのサイズに対応できるように大きくする必要があります。そうしないと、データベースがメモリーにロードされません。

たとえば、instanceadminユーザーの場合、共有メモリー・セグメントの合計サイズが48 GB (=49152 MB)と仮定すると、memlockエントリを50331648 KB (49152*1024)に設定します。

  1. rootユーザーとして、/etc/security/limits.confファイルを編集し、instanceadminユーザーのmemlockエントリを50331648 KBに設定します。この値は、instanceadminユーザーがロックできるメモリーの合計量を示します。

    # sudo vi /etc/security/limits.conf
    ...
    ...
    instanceadmin soft   memlock 50331648
    instanceadmin hard   memlock 50331648
    
  2. 変更を反映するには、instanceadminユーザーとして、ログアウトして再度ログインします。

セマフォ値の設定

TimesTenでは、データベースへの最大接続数に上限があります。データベース接続は次のもので構成されます。

  • ユーザー接続: ユーザー・アプリケーションによって確立されます

  • システム接続: TimesTenによって内部的に確立されます(接続数を48に設定)

  • その他の必要な接続(接続数を107に設定)

これらの各接続には1つのセマフォが割り当てられ、データベースの合計セマフォは次のようになります。

Total semaphores = user connections (N) + system connections (48) + 
                   other required connections (107)

Total semaphores = N + 155

セマフォ設定は、/etc/sysctl.confkernel.sem構成ディレクティブにあります。

kernel.sem = SEMMSL SEMMNS SEMOPM SEMMNI

ここで:

  • SEMMSLは、配列ごとのセマフォの最大数です。この値は最大接続数に関連し、この説明で最も重要なパラメータです。この値は、155とユーザー接続数の合計に構成します。

  • SEMMNSは、システム全体のセマフォの最大数です。ガイドラインとして、式SEMMNS = (SEMMNI * SEMMSL)を使用します。ただし、実際にはSEMMNSSEMMNI * SEMMSLより大幅に小さい場合があります。

  • SEMOPMは、semopコールごとの最大処理数です。

  • SEMMNIは、配列の最大数です。

次のステップに従って、SEMMSLおよびSEMMNSの設定を構成します(ユーザーは必ずrootにしてください)。

  1. 既存のカーネル・パラメータ設定を表示します。

    # /sbin/sysctl -a | grep kernel.sem
    kernel.sem = 2500 320000 1000 1280
    
  2. /etc/sysctl.confファイルを編集し、semmsl (kernel.semの最初の値)を155と接続数の合計に変更します。

    この例では、最大接続数3845 (同時に開く)をサポートするために、semmsl値を4000 (=155 + 3845)に設定します。

    この例では、残りのパラメータが増加しています。詳細は、カーネルのドキュメントを参照してください。

    # sudo vi /etc/sysctl.conf
    ...
    ...
    kernel.sem = 4000 400000 2000 2560
    
  3. 変更された/etc/sysctl.confファイルから設定を再ロードします。

    # sudo /sbin/sysctl -p
    

ノート:

レプリケーションを使用している場合、マスター・データベースが存在する各ホストのLinuxプラットフォームでは、共有メモリーおよびセマフォのカーネル設定を同じにする必要があります。特に、複製が実行される前に、アクティブ・スタンバイ・レプリケーション・スキームに参加するすべてのホストでSEMMSLが同じである必要があります。

AIXの前提条件

UNIXでは、ラージ・ページが唯一の考慮事項です。セマフォはカーネルにより動的に構成されます。

必要なパッチ・レベルが適用されたUNIXホストでは、TimesTen Classicでラージ・ページを使用できます。ラージ・ページを使用すると、共有セグメントがメモリーにロックされるため、ページのサイズ設定ができなくなります。ユーザーには、CAP_BYPASS_RAC_VMMおよびCAP_PROPAGATE機能が必要です。この機能は、rootユーザーが/etc/security/userファイルを編集することによって付与されるか、またはローカルに認証されたユーザーに対して次のコマンドを使用して付与されます。

# chuser capabilities=CAP_BYPASS_RAC_VMM,CAP_PROPAGATE user_id

システムのデフォルトでは、ラージ・ページの物理メモリー・プールにメモリーは割り当てられていません。vmoコマンドを使用すると、ラージ・ページの物理メモリー・プールのサイズを構成できます。この例では、ラージ・ページの物理メモリー・プールに4GBが割り当てられます。

# vmo -r -o lgpg_regions=256 -o lgpg_size=16777216

ノート:

vmoを使用して、vmm_mpsize_supportを値3 (使用可能な場合)または2に設定すると、メモリー・ページの使用量が最適化される効果があります。

Solarisの前提条件

インストール前に、次の項の情報を使用して、システム上のTimesTen Classicのパフォーマンスを向上させてください。

ファイル・システム・オプション(Solaris)

Solaris UFSファイル・ホストで、DurableCommits=1を使用するアプリケーションを使用する場合は、-forcedirectioオプションを指定してファイル・システムをマウントします。

プロジェクトの作成(Solaris)

プロジェクトを作成してシステム・リソース(共有メモリー、ファイル記述子、およびセマフォなど)を管理します。

グループ・プロジェクトまたはユーザー・プロジェクトを作成できます。


ノート:

ユーザー・グループを作成する場合、インスタンス管理者は、TimesTenデーモンの再起動が必要となるたびにnewtaskコマンドを実行する必要があります。TimesTenデーモンがシステムの起動時間に起動する場合、システムの起動スクリプトにnewtaskコマンドを追加します。

たとえば、グループtimesten (TimesTenユーザー・グループ)に対して、プロジェクトtimestenprojを500GBの共有メモリー、4096セマフォおよび65,535ファイル記述子を指定して作成するには、次のようにします。

  1. rootユーザーとしてログインします。

  2. グループ・プロジェクトを追加します。

    # projadd -G timesten timestenproj
    
  3. グループの共有メモリを500GBに変更します。

    # projmod -a -K "project.max-shm-memory=(priv,500GB,deny)" timestenproj
    
  4. セマフォの最大数を4096に変更します。

    # projmod -a -K "process.max-sem-nsems=(priv,4096,deny)" timestenproj
    

    ノート:

    TimesTen Classicは、アクティブなデータベースごとに最小で155のSEMMSLを消費し、接続ごとに、さらにSEMMSLを1つ消費します。

  5. ファイル記述子の最大数を65,535に変更します。

    # projmod -a -K "process.max-file-descriptor=(priv,65535,deny)" timestenproj
    
  6. TimesTenデーモンを再起動する前に、newtaskコマンドを実行します。

    # newtask -p timestenproj -c $$
    

たとえば、ユーザーtimestenuserに対するユーザー・プロジェクトを500GBの共有メモリー、4096セマフォおよび65,535ファイル記述子を指定して作成するには、次のようにします。

  1. rootユーザーとしてログインします。

  2. ユーザー・プロジェクトを追加します。

    # projadd -U timestenproj user.timestenuser
    
  3. グループの共有メモリを500GBに変更します。

    # projmod -a -K "project.max-shm-memory=(priv,500GB,deny)" user.timestenuser
    
  4. セマフォの最大数を4096に変更します。

    # projmod -a -K "process.max-sem-nsems=(priv,4096,deny)" user.timestenuser
    

    ノート:

    TimesTen Classicは、アクティブなデータベースごとに155のSEMMSLを消費し、接続ごとに、さらにSEMMSLを1つ消費します。

  5. ファイル記述子の最大数を65,535に変更します。

    # projmod -a -K "process.max-file-descriptor=(priv,65535,deny)" user.timestenuser
    

すべてのユーザーおよびすべてのグループがデフォルト・プロジェクトに関連し、このプロジェクト下でプロセスが実行されています。ユーザーによって使用されるプロジェクトまたはプロセス設定は、/etc/projectファイルにおいて最初に表示されるものです。projectファイルをまだ変更していない場合、システムのデフォルト・プロジェクト設定が最初に表示されます。


ノート:

projectファイルから、デフォルトのプロジェクト設定を削除しないでください。かわりに、デフォルト設定上のprojectファイルの最上部にプロジェクト設定を置きます。

ユーザー・プロジェクト手法またはグループ・プロジェクト手法の場合、指定したユーザーまたはグループをユーザーのプロジェクト設定に関連付けるために次の2つのオプションのいずれかを選択できます。

  • /etc/projectファイルを編集して、デフォルトのエントリを続行するためにtimestenprojプロジェクトのエントリを移動します。

  • デーモンを再起動する前に、次のコマンドを実行します。プロジェクトが-Gのみによって作成されている場合に、これが必要です。

    # newtask -p timestenproj -c $$
    

ノート:

Solarisホストでは、MemoryLockを3または4に設定して使用します。MemoryLockを1または2に設定した場合、rootとしてインストールされたTimesTenが必要になり、これはお薦めしません。

インストールおよびそのデプロイメントの計画

この項は、完全インストールおよび完全インスタンスに適用されます。クライアントのみのインストール環境とインスタンスは無関係です。計画を立てるために、次の項の情報を検討してください。

データベース・ファイルおよびユーザー・ファイルの場所

データベースとその他のユーザー・ファイルの場所に関するTimesTenの要件と推奨事項は、次のとおりです。

  • データベース・ファイル(チェックポイント・ファイルおよびログ・ファイル)またはその他のユーザー・ファイルをTimesTenのインストール・パスの下に置くことはサポートされていません。インストール環境は変更不可であり、何も追加、変更または削除しないでください。

  • データベース・ファイルまたはその他のユーザー・ファイルは、インスタンス・ホームの下に格納しないことをお薦めします。インスタンスが破棄されると、インスタンス・ホームまたはその下にあるすべてが削除されます。

  • パフォーマンス上の理由から、TimesTenのトランザクション・ログ・ファイル(LogDirの場所)とは別のデバイスにTimesTenのチェックポイント・ファイル(データベース定義内のDataStoreの場所)を格納することをお薦めします。

TimesTenのインストール後、データベースのサイズと必要なディスク領域を見積ることができます。Oracle TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイドのTimesTenの記憶域のプロビジョニングを参照してください

データベースおよびアプリケーションの場所

次のことを検討してください。

  • アプリケーションとTimesTen Classicの間にリソースの競合に関する懸念事項がない場合は、TimesTen Classicのデータベースと同じホストにアプリケーションを配置することをお薦めします。これにより、アプリケーションは直接接続を使用できます。これは、主にネットワークのラウンド・トリップが回避されるため、クライアント/サーバー接続よりも応答時間およびスループットがよくなります。

  • TimesTen Cacheを使用する場合は、TimesTen ClassicデータベースとOracle Databaseは別々のホスト上に置き、これらの間でリソースの競合が発生しないようにすることをお薦めします。


ノート:

これらは一般的なガイドラインであり、すべての状況に適しているとはかぎりません。

環境変数

これらの項は、環境変数について説明しており、TimesTen Classicに固有のものです。TimesTen Scaleoutの環境変数の詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database Scaleoutユーザーズ・ガイド』の環境変数に関する項を参照してください。

TimesTenの環境変数の設定

ターミナル・ウィンドウの環境変数を設定することで、このウィンドウで特定のインスタンスに対してコマンドを実行することが可能になります。次の状況において、環境変数を設定することが必要になります。

  • インスタンスの作成後

  • TimesTenユーティリティを使用する前

  • インスタンスを実行しているホスト上で直接モード・アプリケーションを実行する前

  • クライアントを実行しているホスト上でクライアント・サーバー・アプリケーションを実行する前

Linux、UNIXまたはmacOSホストでは、ttenv.shまたはttenv.csh (どれを使用するかはシェルによって異なります)を設定して、環境変数を設定します。Windowsホストでは、ttenv.batバッチ・ファイルを実行して環境変数を設定します。インスタンスを作成した後に、TimesTenによってスクリプトが作成されます。

TimesTen Classicでは、これらのスクリプトはインスタンス・ホームの/binディレクトリにあります。

これらのスクリプトを設定すると、インスタンスを使用するために必要な環境変数が設定されます。

これらの環境変数としては、TIMESTEN_HOMEPATHLD_LIBRARY_PATH (または同等のもの)、TNS_ADMINなどがあります。

例:

shbashzshkshなどのBourne型のシェルの場合

% cd timesten_home/bin
% . ttenv.sh

cshまたはtcshシェルの場合

% cd timesten_home/bin
% source ttenv.csh

インスタンス・ホームが認識されるようにTIMESTEN_HOME変数を設定すると、timesten_home/conf/timesten.confインスタンス構成ファイルに従って、デーモン・ポートなどの追加設定が行われます。インスタンス構成ファイルの詳細は、「インスタンスの構成ファイル(timesten.conf)」を参照してください。


ノート:

設定後の出力には、パスおよびTIMESTEN_HOME設定が示されますが、すべての設定が示されているわけではありません。

または、コマンドライン・モードでttenvを使用して新しいシェルをフォークし、その環境を設定して指定したコマンドを実行できます。たとえば、ttIsqlを実行してdatabase1に接続するには、次のようにします。

% cd timesten_home/bin
% ./ttenv ttIsql database1

環境変数はttIsqlセッション内で設定され、ttIsqlプロンプトが表示されます。ttIsqlを終了すると、シェルの環境変数設定はもとに戻ります。

Windowsの場合は、DOSウィンドウからttenv.batバッチ・ファイルを実行して、DOSセッションの環境を変更します。例:

C:\TimesTen\tt181_64\instance\bin>ttenv

注意:

  • Windowsでは、「Register environment variables」を有効(デフォルトで有効)にしている場合には、インスタンス・ホーム、パス、クラスパス、ライブラリ・パスおよびパスがインストール時に永続的に設定されます。これらの設定は、「System」コントロール パネルに反映され、セッション間で保持されます。ttenv.batを実行する必要はありません。

  • ttenvのコマンドライン・モードはWindowsには適用されません。


環境変数の説明

次の各項では、環境変数について詳しく説明しています。

TIMESTEN_HOME環境変数

TIMESTEN_HOME環境変数は、インスタンスのホーム・ディレクトリを指定します。この変数は、ttenv.shまたはttenv.csh (どちらを使用するかはシェルによって異なる)のどちらかの設定で明示的に設定します。

Windowsでは、TIMESTEN_HOME環境変数は、インストール中に環境変数を登録した場合(デフォルトで実行されます)に永続的に設定されるか、ttenv.batを実行した場合にセッションに対して設定されます。

NLS_LANG環境変数

この環境変数は、OCI、Pro*C/C++およびODP.NETに関連します。ODBCおよびJDBCでは無視されます。NLS_LANGによってオーバーライドされていない場合は、sys.odbc.iniまたはユーザーのodbc.iniに指定された文字セットがデフォルトで接続に使用されます。文字セットを明示的に設定することをお薦めしますが、デフォルトの文字セットは通常はAMERICAN_AMERICA.US7ASCIIです。環境変数を使用して文字セットを設定するには、次の手順を実行します。

NLS_LANG=.WE8ISO8859P1

Windowsでは、NLS_LANG設定が環境にない場合、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ORACLE\NLS_LANGレジストリでNLS_LANG設定が検索されます。プログラムによるデータベースへの接続に問題がある場合、NLS_LANG設定が有効であること、およびTimesTenでサポートされている文字セットを示していることを確認します。

詳細は、次を参照してください。

  • 『Oracle TimesTen In-Memory Database C開発者ガイド』の「文字セット」。

  • 『Oracle TimesTen In-Memory Database リファレンス』の「サポートされている文字セット」。

共有ライブラリ・パス環境変数

共有ライブラリ・パス環境変数は、ttenv.shまたはttenv.csh (どちらを使用するかはシェルによって異なります)を設定するときに設定されます。この環境変数は、共有ライブラリのパスを指定します。

共有ライブラリ・パス環境変数は、次のように設定されます。

  • Linuxでは、ttenv.shまたはttenv.csh (どちらを使用するかはシェルによって異なります)によって$TIMESTEN_HOME/install/libLD_LIBRARY_PATHに追加されます。

  • UNIXでは、ttenv.shまたはttenv.csh (どちらを使用するかはシェルによって異なります)によって$TIMESTEN_HOME/install/libLIBPATHに追加されます。

  • macOSでは、ttenv.shまたはttenv.csh (どちらを使用するかはシェルによって異なります)によって$TIMESTEN_HOME/install/lib:$TIMESTEN_HOME/install/ttoracle_home/instantclient_12_1DYLD_LIBRARY_PATHに追加されます。

  • Windowsでは、ttenv.sh (またはttenv.csh)によってtt181_64\libLIB(他のディレクトリ名を選択した場合は、インストール環境の最上位レベルの下にあるlibディレクトリ)に追加されます。

  • Solarisシステムでは、必要に応じてLD_LIBRARY_PATHまたはLD_LIBRARY_PATH_64内のtimesten_home/install/lib

PATH環境変数

TimesTenには、アプリケーションを管理およびデバッグするための各種ユーティリティが用意されています。これらのユーティリティを使用可能にするには、$TIMESTEN_HOME/bin内と$TIMESTEN_HOME/install/bin内の実行可能ファイルのパスをPATH環境変数で指定する必要があります。ttenv.shまたはttenv.csh (どちらを使用するかはシェルによって異なります)のソーシングで、これらのディレクトリを含むようにパスが更新されます。

また、プログラムをコンパイルするには、使用するプログラミング言語のコンパイラの場所がPATH環境変数で指定されていることを確認してください。

一時ディレクトリの環境変数

一時ディレクトリ環境変数は、一時ディレクトリの場所を指定します。TimesTenは、リカバリやその他の処理時にこのディレクトリを使用します。ttenv.shまたはttenv.cshスクリプトでは、この環境変数は設定されません。オペレーティング・システムのデフォルトを使用しない場合は、明示的に設定する必要があります。

  • Linux、UNIXまたはmacOSホストでは、TMPDIRが環境変数です。

  • Windowsホストでは、TMPが環境変数です。

TNS_ADMIN環境変数

TNS_ADMIN環境変数は、tnsnames.oraファイルが配置されているディレクトリのフル・パスを指定します。

  • TimesTenのOCI、Pro*C/C++またはODP.NETについては、tnsnames.oraファイルが配置されているディレクトリのフル・パスをTNS_ADMIN環境変数で指定します。

  • TimesTen Classic内のTimesTen Cacheの場合は、tnsnames.oraファイルが配置されているディレクトリのフルパスをTNS_ADMIN環境変数で指定します。これはOracle Databaseのデータにアクセスするためのものです。

  • LinuxまたはUNIXホストでは、ttInstanceCreateまたはttInstanceModify-tnsadminオプションも指定して、TimesTenとユーザーの両方のアプリケーションがTNS_ADMIN設定を読み取れるようにします。

Java環境変数

Javaアプリケーションについては、関係がある追加の環境変数が存在します。次の各項では、Javaアプリケーションに影響を与える追加の環境変数や考慮事項について説明します。

CLASSPATH環境変数

Javaのクラスとクラス・ライブラリは、CLASSPATH環境変数で指定されたクラス・パス内で検出されます。いずれかのTimesTen JDBCドライバをロードするJavaプログラムを実行する前に、CLASSPATH環境変数でクラス・ライブラリのファイルとパスが指定されている必要があります。

$TIMESTEN_HOME/install/lib/ttjdbcjdk_ver.jar

ここで、jdk_verはJDKバージョンを示します。JDK8の場合は、jdk_verは8であり、ファイル名はttjdbc8.jarです。


ノート:

  • この変数は、ttenv.shまたはttenv.csh (どちらを使用するかはシェルによって異なります)を設定することによってセッションに対して設定されるか、Windowsの場合は、インストール時に環境変数が登録されるときに永続的に設定されます(デフォルト)。

  • 複数のJARファイルがCLASSPATHにリストされている場合は、TimesTen JARファイルが最初にリストされていることを確認します。


JDKのバージョンを確認するには、次のように実行します。

% java -version

JMS/XLAインタフェースを使用するには、次のエントリをCLASSPATHに含める必要があります。

timesten_home/install/lib/timestenjmsxla.jar
timesten_home/install/3rdparty/jms1.1/lib/jms.jar
timesten_home/install/lib/orai18n.jar

たとえば、CLASSPATHは次の例のようになります(必要に応じてtimesten_home/installを置き換えます)。

.:timesten_home/install/lib/ttjdbc8.jar:timesten_home/install
/lib/timestenjmsxla.jar:timesten_home/install/3rdparty/jms1.1/lib
/jms.jar:timesten_home/install/lib/orai18n.jar

デフォルトでは、JMS/XLAは現行の作業ディレクトリにあるjmsxla.xmlという構成ファイルを検索します。別の名前および場所を使用する場合は、InitialContextクラスの環境変数の一部として指定し、CLASSPATH設定にその場所を追加します。詳細は、Oracle TimesTen In-Memory Database Java開発者ガイドのJMS/XLAの構成ファイルおよびトピックを参照してください。

JavaのPATH環境変数の設定

Javaアプリケーションの場合は、javajavacの各実行可能ファイルの場所がPATH環境変数で指定されていることを確認します。

SYSODBCINI環境変数

LinuxまたはUNIXホストでは、システムDSNおよびその接続属性はsys.odbc.iniファイルに定義されます。通常はデフォルトの場所$TIMESTEN_HOME/confで十分です。

実行時にこのファイルの名前および場所を上書きするには、TimesTenデーモンを起動する前にSYSODBCINI環境変数にsys.odbc.iniファイルのパス名を設定します。システム・データソースは、すべてのユーザーが使用できます。

TimesTenでは、ユーザーodbc.iniファイルのDSNが最初に検索されます。このファイルでDSNが見つからない場合、TimesTenはsys.odbc.iniファイルを検索します。

この環境変数は使用しないでください。詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイド』のユーザーおよびシステムDSNの概要に関する説明を参照してください。

ODBCINI環境変数

LinuxまたはUNIXホストでは、アプリケーションはodbc.iniファイルを使用してDSNおよびその接続属性の設定を定義できます。デフォルトでは、アプリケーションを実行しているユーザーのホーム・ディレクトリのユーザーodbc.iniファイルが最初に検索されます。実行時にこのファイルの名前および場所を上書きするには、アプリケーションを起動する前にODBCINI環境変数で適切なパスとファイル名を指定する必要があります。

LinuxまたはUNIXホストでユーザーのDSNファイルが見つからない場合は、$TIMESTEN_HOME/confにあるsys.odbc.iniファイルが検索されます。

この環境変数は使用しないでください。詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイド』のユーザーおよびシステムDSNの概要に関する説明を参照してください。

SYSTTCONNECTINI環境変数

Linux、UNIXまたはmacOSホストでは、クライアント・アプリケーションはsys.ttconnect.iniファイルを使用して論理サーバー名を定義できます。論理サーバー名については、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイド』のTimesTen ClientおよびServerの使用に関する説明を参照してください。

通常はデフォルトの場所$TIMESTEN_HOME/conf/sys.ttconnect.iniで十分です。実行時にこのファイルの名前および場所を上書きするには、TimesTenデーモンを起動する前に、SYSTTCONNECTINI環境変数を適切に設定します。

Windowsホストの場合、論理サーバー名はODBCデータソース・アドミニストレータを使用して構成します。

この環境変数は使用しないでください。