9.6 パフォーマンス・ポリシーの管理

9.6.1 パフォーマンス・ポリシーの作成とパフォーマンス目標の指定

Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用して、パフォーマンス・ポリシーを作成します。

パフォーマンス・ポリシーを作成および構成するには、次のステップを実行します。

  1. ポリシー・セット・エディタ・ウィザードを開始します。
  2. 「ポリシー・セットの編集: パフォーマンス・ポリシー」というタイトルのウィザードの第4画面まで進みます。
  3. 「ポリシーの追加」ボタンをクリックしてパフォーマンス・ポリシーを作成します。ポリシーの追加ページが表示されます。

    各パフォーマンス・ポリシーについて、一意の名前を指定する必要があります。ポリシーの説明とその意図も入力できます。次に、ポリシーのパフォーマンス・クラスを構成する必要があります。

    パフォーマンス・クラスを構成するには、次の手順を実行する必要があります。

    • 各パフォーマンス・クラスのランクを最高から最低まで設定します。より高いランクのパフォーマンス・クラスは、リソースの競合が発生した場合の優先順位が高くなります。

    • パフォーマンス目標の値を指定します。

      パフォーマンス目標値は、作業リクエスト(データベース・リクエスト)がその時間内に完了する必要のある秒数です。たとえば、0.008秒(8ミリ秒)などを指定します。

      ノート:

      サービス・レベル合意(SLA)または目標レスポンス時間をパフォーマンス目標値として使用しないでください。かわりに、合理的で維持可能な、目標レスポンス時間よりも大きい値を選択してください。大きめの値を使用すると、パフォーマンス目標を超える前にリソースの割当てに関するOracle Database QoS Managementからの推奨を実装する時間が確保されます。

      パフォーマンス・クラスが管理されずに測定または監視のみされるかどうかも選択できます。「測定のみ」を選択した場合、Oracle Database QoS Managementはパフォーマンス・クラスを測定または監視しますが、パフォーマンスを向上させるための推奨は提供しません。

  4. オプション: QoS Managementで自動的に実行できるアクションを指定します。
  5. Optional: サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドを構成します。
  6. ポリシー・セットの編集ウィザードの最後まで進みます。「ポリシー・セットの発行」をクリックして変更を永続化します。

9.6.2 既存のパフォーマンス・ポリシーの編集

「ポリシーの編集」ページで、各パフォーマンス・クラスのランク、またはパフォーマンス・クラスの「測定のみ」設定を変更できます。

QoS Managementで自動的に実装できるリソース割当てアクションのタイプを選択し、サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドを設定することもできます。

  1. 「ポリシー・セットの編集」の「パフォーマンス・ポリシー」ページで、変更する「パフォーマンス・ポリシー」を選択し、「編集」をクリックします。
  2. パフォーマンス・クラスの新しいランクまたは目標値を指定するか、パフォーマンス・クラスの「測定のみ」設定を有効または無効にします。
  3. 変更が終了したら、「OK」をクリックしてポリシー・セット・エディタ・ウィザードに戻ります。
  4. ウィザードの最後に達するまで「次」をクリックします。変更を確認し、「ポリシー・セットの発行」をクリックします。

9.6.3 パフォーマンス・ポリシーのコピー

新しいパフォーマンス・ポリシーを作成するかわりに、既存のパフォーマンス・ポリシーをコピーできます。コピーしたパフォーマンス・ポリシーは、元のパフォーマンス・ポリシーと同一です。新しいパフォーマンス・ポリシーにすべての詳細を再作成するかわりに、単純にコピーの名前を変更し、編集できます。

9.6.4 現在のパフォーマンス・ポリシーの設定

パフォーマンス・ポリシーは、同時に施行されるパフォーマンス目標のコレクションです。パフォーマンス目標はパフォーマンス・クラスごとに1つずつあります。Oracle Database QoS Managementのアクティブなパフォーマンス・ポリシーを変更するには、複数の方法があります。

9.6.4.1 ダッシュボードからのアクティブなパフォーマンス・ポリシーの変更

  1. ダッシュボード・ページの「一般」セクションで、「アクティブ・ポリシーの変更」ボタンをクリックします。
  2. 「ポリシーの設定」ページで、使用するパフォーマンス・ポリシーを選択し、「OK」をクリックします。

9.6.4.2 ポリシー・セット・エディタ・ウィザードからのアクティブなパフォーマンス・ポリシーの変更

ポリシー・セットをOracle Database QoS Managementに発行したときにアクティブになるパフォーマンス・ポリシーを変更できます。

  1. ポリシー・セット・エディタ・ウィザードを開始します。
  2. 「ポリシー・セットの編集: ポリシーの設定」というタイトルのウィザードの第5画面まで進みます。
  3. 施行するパフォーマンス・ポリシーを選択し、「ポリシーの設定」をクリックします。

ポリシー・セット・エディタ・ウィザードの最後で、指定した設定を確認し、「ポリシー・セットの発行」をクリックしてOracle Database QoS Managementを構成できます。

9.6.4.3 スクリプトを使用したアクティブなパフォーマンス・ポリシーの変更

Oracle Database QoS Managementの多くのポリシーは、カレンダに基づいています。QOSCTLコマンドを使用してアクティブ・ポリシーを設定することで、Enterprise Manager Cloud Control、Task SchedulerまたはCRONなどのジョブ・スケジューラを介してアクティブなパフォーマンス・ポリシーを自動的に切り替えることができます。

  1. Clusterware管理者として、オペレーティング・システム・ユーザーにログインします。
  2. コマンドラインで、またはスクリプト内で、-activatepolicyオプションを指定してqosctlコマンドを使用します。コマンドは次の構文を使用する必要があります。
    qosctl qos_admin_username -activatepolicy policy_name
    

    パフォーマンス・ポリシー名にスペースが含まれる場合、パフォーマンス・ポリシー名を二重引用符で囲む必要があります。例を示します。

    qosctl qosadmin -activatepolicy "Business Hours"

9.6.5 パフォーマンス・ポリシーの削除

パフォーマンス・ポリシーを削除するには、次のステップを実行します。

  1. ポリシー・セット・エディタ・ウィザードを開始します。
  2. 「ポリシー・セットの編集: パフォーマンス・ポリシー」というタイトルのウィザードの第4画面まで進みます。
  3. 「ポリシーの削除」ボタンをクリックしてパフォーマンス・ポリシーを削除します。
  4. ポリシー・セットの編集ウィザードの最後まで進み、「ポリシー・セットの発行」をクリックして変更を永続化します。

9.6.6 パフォーマンス・ポリシーの推奨の自動実装

該当するチェック・ボックスを使用して、次のうちOracle Database QoS Managementで自動的に実装できるアクションを指定できます。

  • パフォーマンス・クラスのコンシューマ・グループの昇格または降格

  • サーバー・プール内のデータベース間でのCPUの移動

  • PDB間のCPU共有の移動

  • サーバー・プール間でのサーバーの移動

これらのいずれのアクションも認可されていない場合、ユーザーがパフォーマンス・クラスの最新の推奨をレビューして「実装」ボタンをクリックするまで、Oracle Database QoS Managementはアクティブ・システムに変更内容を実装しません。

9.6.7 サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドの設定

サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドでは、サーバー・プールを別のサイズに設定したり、サーバー・プールの重要度を変更したりできます。

たとえば、広告したセール期間中など、要求のサージが予想される場合に、サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドを使用して、会計アプリケーションにより多くのリソースを割り当てることができます。サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドは、必要なときにのみ使用する必要があります。サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドを使用するかわりに、システムを一定期間監視し、必要に応じてサーバー・プール設定を変更する必要があります。サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドを使用すると、リソース割当てが予期せず変更されることがあります。たとえば、webappsHRおよびpayrollという名前のサーバー・プールがあるとします。サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドを作成して、payrollサーバー・プールの最小サーバー・プール・サイズを増やします。サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドがアクティブになると、payrollサーバー・プールの高い最小サーバー要件を満たすために、サーバーがHRまたはwebappsサーバー・プールから除去されることがあります。
  1. ポリシー・セット・エディタ・ウィザードを開始します。
  2. 「ポリシー・セットの編集: パフォーマンス・ポリシー」というタイトルのウィザードの第4画面まで進みます。
  3. 「ポリシーの編集」ボタンをクリックしてパフォーマンス・ポリシーを編集します。
    「ポリシーの編集」ページが表示されます。
  4. 必要に応じて、「サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライド」セクションを展開します。
  5. サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドを設定するには、次の手順を実行します。
    • サーバー・プール内の最小サーバー数の現在の値をオーバーライドするには、そのサーバー・プールの「最小: オーバーライド」フィールドに新しい値を入力します。有効値は、0からそのサーバー・プール内の最小サーバー数までです。

    • サーバー・プール内の最大サーバー数の現在の値をオーバーライドするには、そのサーバー・プールの「最大: オーバーライド」フィールドに新しい値を入力します。有効値は、そのサーバー・プール内の最小サーバー数からクラスタのサイズまでです。

    • サーバー・プールの重要度の現在の値をオーバーライドするには、そのサーバー・プールの「重要度: オーバーライド」フィールドに新しい値を入力します。有効な値は0から1000で、値が大きいほど重要度が高いことを示します。

  6. サーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドの値の入力が完了したら、「OK」をクリックして変更を実装します。
  7. ポリシー・セットの編集ウィザードの最後まで進み、「ポリシー・セットの発行」をクリックして変更を永続化します。