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Oracle Application Server Integration InterConnect ユーザーズ・ガイド
10g リリース2 (10.1.2)

B15751-02
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2 iStudioの使用方法

この章では、iStudioとその概念について説明します。項目は次のとおりです。

2.1 iStudioの概要

iStudioインタフェースは設計時の統合指定ツールです。このツールにより、ビジネス・アナリストはテクニカル・コーディング・レベルではなく機能レベルで統合論理を指定できます。iStudioでは、簡単なウィザードを通して統合を公開します。これにより、統合論理をコーディングによって指定する作業が軽減または不要になります。 したがって、統合が完成するまでの時間を短縮できます。

iStudioは、OracleAS Integration InterConnectのすべてのファースト・クラス・オブジェクトに対してファイングレイン・ロック機能を提供するマルチユーザー・ツールです。 複数のユーザーが同時に同じ統合シナリオを使用しても、メタデータの整合性が失われることはありません。

iStudioにより、ビジネス・アナリストは次のタスクを実行できます。

iStudioは、データベースの外部で実行されるスタンドアロンのJavaアプリケーションとして配置されます。iStudioはWindows上でのみ実行され、ハブがインストールされているコンピュータにアクセス可能なあらゆるコンピュータに配置できます。

関連項目:

Oracle Application Server Integration InterConnectインストレーション・ガイド』 

2.1.1 iStudioの概念

次の概念について説明します。

2.1.1.1 アプリケーション

OracleAS Integration InterConnectに統合された各コンポーネントは、アプリケーションと呼ばれます。各アプリケーションは、内部データ型の種類、内部タイプから外部へのメッセージのマッピング方法などの関連する指定メッセージを表します。

関連項目:

第3章「アプリケーション、共通ビューおよびビジネス・オブジェクトの作成」 

2.1.1.2 共通ビューとビジネス・オブジェクト

OracleAS Integration InterConnectでは、ハブ・アンド・スポーク統合方式が使用されます。 共通ビューは統合のハブ・ビューであり、各スポークは統合するアプリケーションです。共通ビューの構成要素は次のとおりです。

2.1.1.2.1 イベント

イベントは、パブリッシュ/サブスクライブ・パラダイムのモデル化に使用される統合点です。 イベントは1つのデータセットにのみ関連付けられています。イベントは、そのイベントを通して交換されるすべてのデータの共通ビューを関連データとして持っています。共通ビュー内のイベント関連データは、統合するアプリケーションのデータのスーパーセットである必要があります。 一方向の非同期通信にはパブリッシュ/サブスクライブ・パラダイムが使用されます。送信側アプリケーションはイベントをパブリッシュし、受信側アプリケーションはイベントをサブスクライブします。

関連項目:

第4章「iStudioでのイベントの使用方法」 

2.1.1.2.2 プロシージャ

プロシージャは、リクエスト/リプライ・パラダイムのモデル化に使用される統合点です。 これはモデル化パラダイムのみです。 実際のプロシージャはコールされません。 双方向のコンテキスト依存通信には、リクエスト/リプライ・パラダイムが使用されます。 この通信は、同期でも非同期でもかまいません。 同期通信の場合、リクエスト側アプリケーションはリプライを受信するまでブロックされます。 非同期通信の場合、リクエスト側アプリケーションはリプライを非同期に取得し、リクエストの送信後もブロックせずにレスポンスを待機します。アプリケーションでは、リクエストの送信とリプライの受信をモデル化するプロシージャを呼び出すか、リクエストの受信とリプライの送信をモデル化するプロシージャを実装できます。 イベントと同様に、プロシージャにも関連データがあります。 プロシージャには2つのデータセットがあり、一方はリクエスト用のINデータ、他方はリプライ用のOUTデータです。

関連項目:

第5章「iStudioでのプロシージャの使用方法」 

2.1.1.3 トランスフォーメーションまたはマッピング

トランスフォーメーションは、データのアプリケーション・ビューを対応する共通ビューにマップし、共通ビューを対応するアプリケーション・ビューにマップするために使用されます。 トランスフォーメーションは、イベントのパブリッシュやサブスクライブまたはプロシージャの起動や実装のコンテキストで使用されます。OracleAS Integration InterConnectには複数の組込みトランスフォーメーション・ルーチンが用意されており、複雑なマッピングの構築にも対応できます。 またiStudio SDKでは、Javaを使用して新規のトランスフォーメーション・ルーチンを作成できます。これらのトランスフォーメーションは、iStudioにインポートして、組込みルーチンと同様に使用できます。

たとえば、App1およびApp2という2つのアプリケーションがあるとします。

App1はイベントをパブリッシュし、そのアプリケーション・ビューには次のフィールドが含まれます。

First Name

Last Name

Middle Initial

App2はイベントをサブスクライブし、そのアプリケーション・ビューには次のフィールドが含まれます。

Name: LastNameFirstNameの形式の1つのフィールド

イベントをパブリッシュまたはサブスクライブする場合は、トランスフォーメーションを使用してApp1およびApp2のアプリケーション・ビューを共通ビューにマップする必要があります。共通ビューのイベントには次のフィールドがあるとします。

Prefix

First Name

Last Name

Middle Initial

Suffix

この場合、2つのトランスフォーメーションが実行されます。最初にApp1のデータが共通ビューに変換され、次に共通ビューのデータがApp2のアプリケーション・ビューに変換されます。

関連項目:

 

2.1.1.4 メタデータ・バージョニング

iStudioは、アプリケーションおよび共通データ型、イベント、プロシージャ、メッセージのバージョニングをサポートします。

所有者はオブジェクトの作成者であり、所有者のみがオブジェクトを修正できます。ただし、他のユーザーは新規バージョンを作成するか、元のオブジェクトを別名でコピーすることができます。所有者は、リポジトリのインストール時に指定されます。

バージョニングについては、次の機能を使用できます。

2.1.1.5 トラッキング・フィールド

トラッキング・フィールドは、特定のメッセージに関する1つ以上のアプリケーション・ビュー・フィールドです。 iStudioでトラッキング・フィールドを指定すると、Oracle InterConnect Managerを使用して実行時にメッセージを追跡できます。トラッキングは、送信アプリケーション側からのみ実行可能です。

たとえば、App1が新規の注文書を発行して、PO_order numberフィールドをトラッキング・フィールドとして指定する場合、ユーザーはランタイム・コンソールにログインして、追跡するメッセージ(この場合はNew Purchase Order)を指定できます。 指示に従って注文書番号を入力すると、対応する追跡情報が表示されます。

2.1.1.6 コンテンツ・ベースのルーティング

コンテンツ・ベースのルーティングにより、メッセージをそのコンテンツに基づいてルーティングするルールを定義できます。たとえば、営業引合生成システムでは、見込客の所在地に基づいて引合を様々な営業自動化システムにルーティングできます。

関連項目:

第6章「インフラストラクチャの有効化」 

2.1.1.7 相互参照表

別々のアプリケーションで作成された対応するエンティティのキーを、iStudioの相互参照により関連付けることができます。

関連項目:

第6章「インフラストラクチャの有効化」 

2.1.1.8 ドメイン値マッピング

iStudioでドメイン値マッピングを使用し、システム間でコード表をマップできます。

関連項目:

第6章「インフラストラクチャの有効化」 

2.1.1.9 ルーティングとメッセージ機能マトリックス

OracleAS Integration InterConnectハブでは、データベース内でアドバンスト・キューを使用して、送信アプリケーション・アダプタから受信アプリケーション・アダプタへのメッセージの格納、ルーティング、送信が行われます。送信アダプタでは、受信者をメタデータに基づいて評価します。メッセージのルーティングには、次の方法が使用されます。

2.2 iStudioの起動

iStudioにログインする前に、データベースとリポジトリが実行されている必要があります。 iStudioにログインする手順は、次のとおりです。

  1. Windowsの「スタート」メニューから「OracleAS Integration InterConnect」を選択します。

  2. 「iStudio」を選択します。

  3. iStudioが起動すると、最後に開いていたプロジェクトがデフォルトのワークスペースに自動的にロードされます。

    関連項目:

    「新規プロジェクトの作成」 

2.3 iStudioウィンドウの各部分

iStudioのメイン・ウィンドウは次の部分で構成されます。

iStudioが起動すると、図2-1のようなメイン・ウィンドウが表示されます。

図 2-1    OracleAS Integration InterConnect iStudio


画像の説明

2.3.1 メニュー・バー

メニュー・バーからすべてのコマンドを使用できます。各メニューをクリックするとコマンドが表示されます。コマンドはクリックすると実行されます。次の5種類のメニューがあります。

2.3.1.1 「ファイル」メニュー

「ファイル」メニューを使用して、新規プロジェクトとワークスペースの作成、既存プロジェクトとワークスペースのオープン、既存プロジェクトのリロードを行います。また、「ファイル」メニューから、イベント、プロシージャ、共通データ型などのオブジェクトも作成できます。このメニューのコマンドは次のとおりです。

2.3.1.2 「編集」メニュー

「編集」メニューを使用して、選択したオブジェクトの編集、コピー、削除を行います。 オブジェクトを選択したときに「編集」メニューが有効でない場合、そのオブジェクトは編集できません。このメニューのコマンドは次のとおりです。

2.3.1.3 「プロシージャ」メニュー

「プロシージャ」メニューを使用して、プロシージャを起動するか、実装します。このメニューのコマンドは次のとおりです。

2.3.1.4 「イベント」メニュー

「イベント」メニューを使用して、イベントをパブリッシュまたはサブスクライブします。このメニューのコマンドは次のとおりです。

2.3.1.5 「ヘルプ」メニュー

「ヘルプ」メニューはオンライン・ヘルプにリンクしています。このメニューのコマンドは次のとおりです。

2.3.2 ツールバー

ツールバーは、頻繁に使用されるコマンドを表すアイコンで構成されます。アイコンの説明を表示するには、アイコンの上にカーソルを置きます。次の機能が提供されています。

機能  アイコン  説明 

プロジェクトの作成 


画像の説明

 

iStudioで新規プロジェクトを作成します。 

プロジェクトを開く 


画像の説明

 

iStudioで既存のプロジェクトを開きます。 

統合オブジェクトの作成 


画像の説明

 

新規の統合オブジェクトを作成します。 

統合オブジェクトのコピーの作成 


画像の説明

 

既存のオブジェクトと類似する新規の統合オブジェクトを作成します。このアイコンは、ナビゲータでオブジェクトが選択されているときにかぎり有効です。 

統合オブジェクトの編集 


画像の説明

 

選択した統合オブジェクトを編集します。 

統合オブジェクトの削除 


画像の説明

 

選択した統合オブジェクトを削除します。このアイコンは、ナビゲータで統合オブジェクトが選択されているときにかぎり有効です。 

イベントの
パブリッシュ 


画像の説明

 

選択されたイベントをパブリッシュします。このアイコンは、ナビゲータで統合オブジェクトが選択されているときにかぎり有効です。 

イベントの
サブスクライブ 


画像の説明

 

選択したイベントをサブスクライブします。このアイコンは、ナビゲータで統合オブジェクトが選択されているときにかぎり有効です。 

プロシージャの
インボーク 


画像の説明

 

選択したプロシージャを起動します。このアイコンは、ナビゲータで統合オブジェクトが選択されているときにかぎり有効です。 

プロシージャの
インプリメント 


画像の説明

 

選択したプロシージャを実装します。このアイコンは、ナビゲータで統合オブジェクトが選択されているときにかぎり有効です。 

ヘルプ 


画像の説明

 

ヘルプ・ファイルを表示します。 

2.3.3 「設計」ナビゲーション・リスト

「設計」ナビゲーション・リストにより、開いているオブジェクトの設計段階で使用されたすべてのオブジェクトの階層レイアウトが表示されます。「設計」ナビゲーション・リスト内の各オブジェクト・タイプは、アイコンと名前によって識別されます。 コンテナは、ビジネス・オブジェクトやアプリケーション・データ型など、1つの特定オブジェクト・タイプの論理的分類であり、フォルダ・アイコンで表されます。

オブジェクトは次のように分類されます。

2.3.4 「配置」ナビゲーション・リスト

「配置」ナビゲーション・リストにより、開いているオブジェクトの配置段階で使用されたすべてのオブジェクトの階層構造が表示されます。 「配置」ナビゲーション・リスト内の各オブジェクト・タイプは、アイコンと名前によって識別されます。 コンテナは、プロセス・バンドルなど、1つの特定オブジェクト・タイプの論理的分類であり、フォルダ・アイコンによって表します。

オブジェクトは次のように分類されます。

2.3.5 コンテキスト・メニュー

オブジェクトを右クリックすると、コンテキスト・メニューを表示できます。これは、右クリックしたオブジェクトに関連するショートカット・メニューです。

ナビゲーション・リスト  選択項目  コンテキスト・メニューのオプション 

設計 

共通ビュー、アプリケーション、ビジネス・オブジェクト、共通データ型などのオブジェクト 

「新規」、「編集」、「コピー」、「削除」 

 

既存のイベントやプロシージャなどのコンテナ・オブジェクト 

「新規」、「編集」、「コピー」、「削除」、「ロード・バージョン」、「新規バージョン」 

 

ワークフロー・オブジェクト 

「新規」、「編集」、「コピー」、「削除」、「Workflow Builderの起動」、「Workflowホームページの起動」 

配置 

アプリケーションなどのオブジェクト 

「新規」、「編集」、「コピー」、「削除」、「配置」、「PL/SQLのエクスポート」 

 

ワークフロー・オブジェクト 

「新規」、「編集」、「コピー」、「削除」、「配置」、構成の編集、「Workflowホームページの起動」、「エクスポート」 

 

既存のルーティング・オブジェクトなどのコンテナ・オブジェクト 

「新規」、「編集」、「コピー」、「削除」、パーティションの作成 

2.3.6 詳細ビュー

ナビゲーション・リストの右側に詳細ビューがあります。詳細ビューは、選択されたオブジェクトに関する情報を表示する1つ以上のプロパティ・シートで構成されます。通常、これらのプロパティ・シートは編集可能です。

2.4 iStudioでのワークスペースの使用方法

ワークスペースには、アプリケーション・ログイン資格証明、最後に開かれたプロジェクトに関する情報など、ユーザー設定やプリファレンスが格納されます。ワークスペース内では、複数プロジェクトでの作業が可能です。

2.4.1 新規ワークスペースの作成

新規ワークスペースを作成する手順は、次のとおりです。

  1. 「ファイル」メニューから「新規ワークスペース」を選択します。 「新規ワークスペース」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  2. 「ワークスペース名」フィールドにワークスペースの名前を入力します。

  3. 「OK」をクリックします。

2.4.2 既存のワークスペースを開く

既存のワークスペースを開く手順は、次のとおりです。

  1. 「ファイル」メニューから「ワークスペースを開く」を選択します。 「開く」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  2. 既存のワークスペースの名前とパスを入力するか、ワークスペースを選択して開きます。


    画像の説明

  3. 「開く」をクリックします。選択したワークスペースがiStudioに表示されます。

2.5 iStudioでのプロジェクトの使用方法

iStudioのプロジェクトでは、1つの統合シナリオに関する統合論理をすべて取得します。統合シナリオは、OracleAS Integration InterConnectを使用して互いに統合された複数のアプリケーションのセットとして定義されます。プロジェクトとリポジトリは1対1対応となります。たとえば、ユーザーが開発統合環境と本番統合環境を持っている状況があります。これらは2つの独立したプロジェクトであり、それぞれのリポジトリ内で自己完結する必要があります。

iStudioはマルチユーザー・ツールであるため、メタデータの整合性を損うことなく、複数のユーザーが同一プロジェクトで同時に作業を進めることができます。


注意:

iStudioでプロジェクトを作成するには、リポジトリが実行されている必要があります。 


2.5.1 新規プロジェクトの作成

iStudioでプロジェクトを作成するには、リポジトリが実行されている必要があります。iStudioで新規プロジェクトを作成する手順は、次のとおりです。

  1. 「ファイル」メニューから「新規プロジェクト」を選択します。 「新規プロジェクト」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  2. プロジェクト名を入力して「OK」をクリックします。 「ハブ情報」ダイアログ・ボックスが表示されます。


    画像の説明

  3. 次のフィールドに情報を入力します。

    • ハブ・データベース・ユーザー名: ハブ・データベース・ユーザーの名前。 デフォルトのユーザー名はichubです。

    • ハブ・データベース・パスワード: ハブ・データベース・ユーザーに関連付けられたパスワード。OracleAS Integration InterConnectのインストール時にデフォルトのパスワードが設定されます。

    • ハブ・データベースURL: 次の形式による情報。

      machine name:port number:database sid
      
      
  4. 「OK」をクリックします。

2.5.2 既存のプロジェクトを開く

既存のプロジェクトを開く手順は、次のとおりです。

  1. 「ファイル」メニューから「プロジェクトを開く」を選択します。 「開く」ダイアログ・ボックスが表示されます。


    画像の説明

  2. 既存のプロジェクトの名前とパスを入力するか、プロジェクトを選択して開きます。

  3. 「開く」をクリックします。選択したプロジェクトがiStudioに表示されます。


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