1 アップグレード処理の概要

この章では、アップグレード手順の概要を説明します。この章の内容は、次のとおりです。

1.1 Oracle Application Serverアップグレード処理のフロー・チャート

図1-1に、Oracle Application Server環境をOracle Identity Management 10g（10.1.4.0.1）にアップグレードするために必要なすべての手順を、詳細なフロー・チャート形式で示します。

フロー・チャートでは、このマニュアル内の章への参照を示しています（該当箇所がある場合）。参照先では、各手順を実行するための説明が示されています。

図1-1 Oracle Identity Management 10g（10.1.4.0.1）アップグレードにおける全体的な処理フロー

画像の説明

1.2 アップグレード処理のフロー・チャート内の手順の説明

表1-1に、フロー・チャート内の手順の説明を示します。

表1-1 アップグレード処理のフロー・チャート内の手順の説明

手順	説明	詳細情報
アップグレードの概念の確認	開始する前に、一般的なアップグレード・シナリオ、アップグレードの基本ルールなど、Oracle Application Serverアップグレードの基本的な概念を理解しておく必要があります。	第2章「Oracle Application Serverのアップグレードの概念」
互換性についてのルールの確認	アップグレード後の10g（10.1.4.0.1）コンポーネントが、使用している環境にすでに存在している他のOracle Application Serverコンポーネントとともに動作可能であることを確認します。	第3章「リリースの互換性について」
データ移行によるアップグレード	Oracle Identity Managementのアップグレードにおいて、OracleAS Infrastructureデータベースに格納されているOracle Identity Managementデータをアップグレードするのではなく、データを移行するという方法を使用します。 Oracle Universal Installerを使用して10g（10.1.4.0.1）をアップグレードするかわりに、コマンドライン・ユーティリティを使用して既存のOracle Identity Managementデータをエクスポートし、新しくインストールした10g（10.1.4.0.1） OracleAS Infrastructureデータベースにそのデータをリストアします。フロー・チャートのこの手順を使用して付録Cを確認し、アップグレードにおいてデータを移行する方法と、使用している環境でこの方法が最適であるかどうかを検討します。	付録C「データ移行によるOracleAS Identity Managementのアップグレード」
Oracle Application Server環境のバックアップ	使用しているOracle Application Server環境に推奨されるバックアップ計画と、アップグレード中のシステムの可用性についての見込みを確認します。	第4章「バックアップ計画およびアップグレード中のシステムの可用性」
OIDレプリケーション	レプリケートされた環境でOracle Internet Directoryを実行している場合は、このような環境でOracleAS Identity Managementコンポーネントをアップグレードする際に固有の手順を確認します。	付録A「Oracle Identity Managementマルチマスターおよびファンアウト・レプリケーションのアップグレードの実行」
高可用性	10g（9.0.4）または10gリリース2（10.1.2）の高可用性環境をアップグレードする場合は、サポートされているこれらの環境をアップグレードする際に固有の手順を確認します。	付録B「高可用性構成のアップグレード」
10g（9.0.4）中間層	Oracle Application Server環境に10g（9.0.4）中間層をインストールしてある場合は、これらの中間層を10gリリース2（10.1.2）にアップグレードしてから続行する必要がある場合があります。	第5章「10g（9.0.4）中間層の10gリリース2（10.1.2）へのアップグレード」
MTが同じDBを使用	10g（9.0.4）中間層が、OracleAS Identity Managementコンポーネントと同じOracleAS Metadata Repositoryを使用している場合は、これらの中間層を10gリリース2（10.1.2）にアップグレードする必要があります。一方、10g（9.0.4）中間層が、異なるデータベースに格納されているOracleAS Metadata Repositoryを使用している場合は、アップグレード処理の次の手順に進むことができます。	第5章「10g（9.0.4）中間層の10gリリース2（10.1.2）へのアップグレード」
同じ場所に配置されたInfrastructure	アップグレード対象のOracleAS Identity Managementインストールが同じ場所に配置されたInfrastructureの一部でない場合は、まず、OracleAS Metadata Repositoryをホスティングするデータベースをアップグレードする必要があります。一方、OracleAS Identity Managementが同じ場所に配置されたInfrastructureの一部である場合は、この手順を省略できます。	第6章「OracleAS Metadata Repositoryをホスティングするデータベースのアップグレード」
Oracle Universal Installerを使用したIdentity Managementのアップグレード	OracleAS Identity Managementを10g（10.1.4.0.1）にアップグレードするために、Oracle Universal Installerを使用します。インストール中、システムにある既存のインストールがOracle Universal Installerによって検出されます。その後、オプションを選択して、既存のOracleAS Identity Managementインストールを10g（10.1.4.0.1）にアップグレードできます。	第7章「Oracle Universal Installerによる Oracle Identity Managementのアップグレード」
MRUAを使用したメタデータ・リポジトリ・コンポーネント・スキーマのアップグレード	OracleAS Identity Managementをアップグレードした後、OracleAS Metadata Repository内の残りのコンポーネント・スキーマをアップグレードできます。この手順によって、スキーマは、新しい10g（10.1.4.0.1） OracleAS Identity ManagementのOracleホームをインストールした場合と同じリリースに確実にアップグレードされます。	第8章「MRUAによるOracleAS Metadata Repositoryのアップグレード」
アップグレード後のタスクの実行	使用するOracleAS Identity Managementコンポーネントおよび機能によっては、アップグレード後の一連の手順の実行が必要になる場合があります。	第9章「アップグレード後の手順（コンポーネント別）」
Identity Managementのアップグレードの検証	OracleAS Identity Managementのアップグレード後に、アップグレードが正常に行われたこと、およびOracleAS Identity Managementコンポーネントが適切に動作することを検証する必要があります。	10.1項「タスク1: Oracle Identity Managementのアップグレードの検証」
ソースOracleホームの破棄	アップグレードが正常に行われたことを確認した後、以前のインストールを破棄および削除することを検討できます。ただし、ソースOracleホームを削除する前に、破棄についての説明を慎重に確認してください。	10.2項「タスク2: OracleAS Identity ManagementのソースOracleホームの破棄」