Oracle RMUは、データベース管理者がOracle Rdbデータベースを管理するために使用できる、Oracle Rdbの管理ユーティリティです。Oracle RMUのコマンドは、オペレーティング・システム・プロンプトで実行されます。Oracle RMUコマンドは、DIGITAL Command Language(DCL)の規則および形式に従います。
Oracle RMUコマンドを使用すると、データベース・ファイルの内容の表示、Oracle Rdbモニター・プロセスの制御、データ構造の検証、保守作業(バックアップおよびリストアなど)、現在のデータベース・ユーザーとデータベース・アクティビティに関する情報の一覧表示が行えます。
各Oracle RMUコマンドは単語(通常は動詞)で示され、その後に、目的の処理を定義するためのパラメータや修飾子が続きます。
1.1 コマンド・パラメータ
コマンド・パラメータとその修飾子は、コマンド・キーワードとの間に1つ以上の空白をはさんで指定します。コマンド・パラメータは、そのコマンドによって処理されるファイル、索引、またはエンティティを定義します。パラメータは多くの場合、コマンドラインで省略しても、プロンプトに応答するかたちで入力できます。
次のコマンド例では、RMU/DUMPがコマンド・キーワードで、MF_PERSONNELがコマンド・パラメータです。
$ RMU/DUMP MF_PERSONNEL |
記憶領域による指定を示すパラメータがOracle RMUコマンド内に含まれている場合は、記憶領域ファイルを指定するのではなく、記憶領域名を使用します。次に例を示します。
$ RMU/RESTORE/AREA MF_PERSONNEL.RBF EMPIDS_LOW/THRESHOLDS=(65,75,80) |
RMU Backupコマンドなどのように、複数のコマンド・パラメータが必要なコマンドもあります。すべてのパラメータ(たとえば、ルート・ファイル指定とバックアップ・ファイル名)を指定した場合、プロンプトは表示されません。また、RMU Restoreコマンドなどのように、1つの必須コマンド・パラメータと1つのオプション・パラメータを持つコマンドもあります。その場合、リストア・パラメータのみを指定して、記憶領域パラメータは指定しなかったとしても、プロンプトは表示されません。ただし、いずれのパラメータも指定しなかった場合は、それら両方の入力を求めるプロンプトが表示されます。
1.2 コマンド修飾子
コマンド修飾子によって、Oracle RMUコマンドの動作が変更されます。形式は似ていますが、コマンド修飾子はOracle RMU自体とは異なります。RMUに続く最初の(この後に続く場合もある)の単語がコマンドそのものです。たとえば、次の例では、/DUMPおよび/AFTER_JOURNALがOracle RMUのコマンド部分です。このため、出現順も示したとおりである必要があります。/OPTION=STATISTICSおよび/LOGはコマンド修飾子で、Oracle RMUコマンドの後であれば、出現順は任意です。Oracle RMUコマンドのどの部分がコマンドそのもので、どの部分がコマンド修飾子かは、ドキュメントに記載されたコマンド名に着目することで判断できます。
$ RMU/DUMP/AFTER_JOURNAL aij_one.aij /OPTION=STATISTICS/LOG |
コマンド修飾子は、大文字、小文字、大/小文字混在のいずれでも入力できます。 常にスラッシュ(/)で始まり、修飾語がこれに続きます。
修飾語の後に等号(=)と修飾値が続く場合もあります。修飾値は、単純な場合(数値、文字列またはキーワード)も複合的な場合(カンマで区切った数値、文字列またはキーワードのリストをカッコで囲んだもの)も間接コマンド・ファイル名の場合もあります。間接コマンド・ファイルの使用の詳細は、第1.3節を参照してください。
修飾子のデフォルト値は、修飾子を完全に省略した場合に使用される修飾子を示します。修飾子を省略することは、デフォルトの引数で修飾子を指定することとは異なります。
コマンド修飾子によって、コマンドの処理全体が影響を受けます。コマンド修飾子は、コマンド・キーワードの後、パラメータの前に置く必要があります。
次の例では、コマンド修飾子UsersはDumpキーワードのすぐ後に続き、コマンド・パラメータmf_personnelの前にあります。
$ RMU/DUMP/USERS MF_PERSONNEL |
パラメータ修飾子(ファイル修飾子または領域修飾子とも呼ばれる)は、コマンドのパラメータ処理に影響します。同じタイプのパラメータについて複数のインスタンスがコマンドに含まれる場合、影響を受ける範囲は、パラメータ修飾子の位置によって次のように変わります。
次の例は、EMPIDS_LOW領域のしきい値設定を変更する領域修飾子Thresholdsのローカル使用を示しています。
$ RMU/RESTORE MF_PERSONNEL EMPIDS_LOW/THRESHOLDS=(70,80,90) |
同じ修飾子の肯定形と否定形を両方指定した場合は、最後に置かれた修飾子が有効となります。たとえば、次のコマンドではNolog修飾子が有効になります。
$ RMU/BACKUP/LOG/NOLOG MF_PERSONNEL MF_PERS |
これは、修飾子の肯定形と否定形に対するDCLでの処理方法に準じています。
1.3 間接コマンド・ファイルの使用
Oracle RMUコマンドの処理では、特定の修飾子(Areas=、Lareas=など)の値に名前のリストを使用できる場合がよくあります。そのためコマンド構文では、文字数が、DCLで使用できる最大文字数(1024文字)を大幅に超えることもあります。構文が長すぎる問題を解決するには、名前を間接コマンド・ファイル内に記述し、その間接コマンド・ファイルを修飾子の後に指定するという方法があります。このマニュアル内では、これを間接ファイル参照と呼びます。なお、間接コマンド・ファイルは任意の深さにネストできるという点に注意してください。
各間接コマンド・ファイル(デフォルトのファイル拡張子は.opt)は、名前を1行に1つずつ記述したリストです。先頭に感嘆符を置くことで、コメントを記述することもできます。コメントは、名前の後に置くことも、行と行の間に挿入することもできます。リスト内から特定の間接コマンド・ファイルを参照するには、参照箇所の先頭にアットマーク(@)を置き、引用符("")で囲みます。たとえば、"@EMPIDS"となります。
次の例に、間接コマンド・ファイルempids.optの内容を示します。このファイルには、記憶領域EMPIDS_LOW、EMPIDS_MIDおよびEMPIDS_OVERがリストされています。この例の最後の行は、Oracle RMUコマンド行から、引用符(必須)を使用して間接コマンド・ファイルを参照する方法を示しています。
$ TYPE EMPIDS.OPT EMPIDS_LOW ! Employee Areas EMPIDS_MID EMPIDS_OVER $ RMU/ANALYZE/AREA="@EMPIDS" MF_PERSONNEL ! ANALYZE EMPLOYEE AREAS |
各Oracle Rdbデータベースのルート・ファイルには、デフォルトでアクセス制御リスト(ACL)が作成されます。データベースに対して特定のOracle RMUコマンドを使用するには、データベースのルート・ファイルACLで、そのコマンドに対する適切なOracle RMU権限が付与されている必要があります。コマンドによっては、Oracle RMUの権限に加え、OpenVMSの権限も1つ以上必要な場合があります。
各Oracle Rdbデータベースに対してデフォルトで作成されるルート・ファイルACLは、Oracle RMUによるデータベース・アクセスのみを制御するものです(つまりこのACLでは、ユーザーやユーザー・グループが特定のOracle RMUコマンドにアクセスするための権限が指定されます)。したがって、ルート・ファイルACLではSQL(構造化問合せ言語)文によるデータベース・アクセスは制御されません。Oracle RMUによるデータベース・アクセス権を表示する方法の詳細は、第1.62.7項を参照してください。
SQL文によるデータベース・アクセスは、データベースACL内で付与された権限によって制御されます(このACLを表示するには、SQL SHOW PROTECTION ON DATABASEコマンドを使用します)。
表1-1に、各Oracle RMUコマンドの使用に必要なOracle RMU権限を示します。「必要なOracle RMU権限」列に複数のOracle RMU権限が示されている場合、そのOracle RMUコマンドのOracle RMU権限チェックにパスするには、それらのOracle RMU権限のいずれかが必要です。
Oracle RMU権限以外に1つ以上のOpenVMS権限が必要なOracle RMUコマンドについては、表1-1の「必要なOpenVMS権限」列にそのOpenVMS権限を示しています。「必要なOpenVMS権限」列に複数のOpenVMS権限が示されている場合、Oracle RMUコマンドのOpenVMS権限チェックにパスするには、リストされたすべてのOpenVMS権限が必要です。
表1-1の「OpenVMSオーバーライド権限」列には、Oracle RMUコマンドに必要なOracle RMU権限とOpenVMS権限を持たないユーザーに対してコマンドの使用を強制的に許可する、1つ以上のOpenVMS権限を示しています。「OpenVMSオーバーライド権限」列に複数のOpenVMS権限が示されている場合、リストされた権限のいずれかがあれば、そのOracle RMUコマンドを使用できます。
Oracle RMUコマンド | 必要なOracle RMU権限 | 必要なOpenVMS権限 | OpenVMSオーバーライド権限 |
---|---|---|---|
Alter | RMU$ALTER 1 | SYSPRV、BYPASS | |
Analyze Areas | RMU$ANALYZE | SYSPRV、BYPASS | |
Analyze Cardinality | RMU$ANALYZE | SYSPRV、BYPASS | |
Analyze Indexes | RMU$ANALYZE | SYSPRV、BYPASS | |
Analyze Placement | RMU$ANALYZE | SYSPRV、BYPASS | |
Backup | RMU$BACKUP | SYSPRV、BYPASS | |
Backup After_Journal | RMU$BACKUP | SYSPRV、BYPASS | |
Backup Plan | RMU$BACKUP | SYSPRV、BYPASS | |
Checkpoint | RMU$BACKUP、 RMU$OPEN |
WORLD | |
Close | RMU$OPEN | WORLD | |
Collect Optimizer_Statistics | RMU$ANALYZE | SYSPRV、BYPASS | |
Convert | RMU$CONVERT、 RMU$RESTORE |
SYSPRV、BYPASS | |
Copy_Database | RMU$COPY | SYSPRV、BYPASS | |
Delete Optimizer_Statistics | RMU$ANALYZE | SYSPRV、BYPASS | |
Dump After_Journal | RMU$DUMP | SYSPRV、BYPASS | |
Dump Areas | RMU$DUMP | SYSPRV、BYPASS | |
Dump Backup_File | RMU$DUMP、RMU$BACKUP、RMU$RESTORE | READ 2 | BYPASS |
Dump Export | READ 3 | BYPASS | |
Dump Header | RMU$DUMP、 RMU$BACKUP、 RMU$OPEN |
SYSPRV、BYPASS | |
Dump Lareas | RMU$DUMP | SYSPRV、BYPASS | |
Dump Recovery_Journal | READ 4 | BYPASS | |
Dump Row Cache | RMU$DUMP | SYSPRV、BYPASS | |
Dump Snapshots | RMU$DUMP | SYSPRV、BYPASS | |
Dump Users | RMU$DUMP、RMU$BACKUP、RMU$OPEN | WORLD | |
Extract | RMU$UNLOAD | SYSPRV、BYPASS | |
Insert Optimizer Statistics | RMU$ANALYZE | SYSPRV、 BYPASS |
|
Load | RMU$LOAD | SYSPRV、BYPASS | |
Load Audit | RMU$SECURITY | SECURITY、BYPASS | |
Load Plan | RMU$LOAD | SYSPRV、BYPASS | |
Monitor Reopen_Log | WORLD、 CMKRNL、 DETACH、 PSWAPM、 ALTPRI、 SYSGBL、 SYSNAM、 SYSPRV、 BYPASS |
SETPRV | |
Monitor Start | WORLD、 CMKRNL、 DETACH、 PSWAPM、 ALTPRI、 PRMMBX、 SYSGBL、 SYSNAM、 SYSPRV、 BYPASS |
SETPRV | |
Monitor Stop | WORLD、 CMKRNL、 DETACH、 PSWAPM、 ALTPRI、 PRMMBX、 SYSGBL、 SYSNAM、 SYSPRV、 BYPASS |
SETPRV | |
Move_Area | RMU$MOVE | SYSPRV、BYPASS | |
Open | RMU$OPEN | WORLD | |
Optimize After_Journal | RMU$BACKUP、RMU$RESTORE | SYSPRV、BYPASS | |
Reclaim | RMU$ALTER | SYSPRV、BYPASS | |
Recover | RMU$RESTORE | SYSPRV、BYPASS | |
Recover Resolve | RMU$RESTORE | SYSPRV、BYPASS | |
Repair | RMU$ALTER | SYSPRV、BYPASS | |
Resolve | RMU$RESTORE | SYSPRV、BYPASS | |
Restore | RMU$RESTORE | SYSPRV、BYPASS | |
Restore Only_Root | RMU$RESTORE | SYSPRV、BYPASS | |
Server After_Journal Reopen_Output | RMU$OPEN | WORLD | |
Server After_Journal Start | RMU$OPEN | WORLD | |
Server After_Journal Stop | RMU$OPEN | WORLD | |
Server Backup_Journal Resume | RMU$OPEN | WORLD | |
Server Backup_Journal Suspend | RMU$OPEN | WORLD | |
Server Record_Cache | RMU$OPEN | WORLD | |
Set After_Journal | RMU$ALTER、RMU$BACKUP、RMU$RESTORE | SYSPRV、BYPASS | |
Set Audit | RMU$SECURITY | SECURITY、BYPASS | |
Set Buffer Object | RMU$ALTER | SYSPRV、BYPASS | |
Set Corrupt_Pages | RMU$ALTER、RMU$BACKUP、RMU$RESTORE | SYSPRV、BYPASS | |
Set Galaxy | RMU$ALTER | SYSPRV、BYPASS | |
Set Global Buffers | RMU$ALTER | SYSPRV、BYPASS | |
Set Logminer | RMU$ALTER、RMU$BACKUP、RMU$RESTORE | SYSPRV、BYPASS | |
Set Privilege | RMU$SECURITY | SECURITY、BYPASS | |
Set Row_Cache | RMU$ALTER | SYSPRV、BYPASS | |
Set Shared Memory | RMU$ALTER | SYSPRV、BYPASS | |
Show After_Journal | RMU$BACKUP、RMU$RESTORE、RMU$VERIFY | SYSPRV、BYPASS | |
Show Audit | RMU$SECURITY | SECURITY、BYPASS | |
Show Corrupt_Pages | RMU$BACKUP、RMU$RESTORE、RMU$VERIFY | SYSPRV、BYPASS | |
Show Locks | WORLD | ||
Show Optimizer_Statistics | RMU$ANALYZE、RMU$SHOW | SYSPRV、BYPASS | |
Show Privilege | RMU$SECURITY | SECURITY、BYPASS | |
Show Statistics 8 | RMU$SHOW | SYSPRV、BYPASS、WORLD | |
Show System | WORLD | ||
Show Users 5 | RMU$SHOW、RMU$BACKUP、RMU$OPEN | WORLD | |
Show Version | |||
Unload | RMU$UNLOAD 6 | SYSPRV、BYPASS | |
Unload After_Journal | RMU$DUMP | SYSPRV、BYPASS | |
Verify | RMU$VERIFY 7 | SYSPRV、BYPASS |