用途
mkmf
コマンドは、新規メディア・ファミリを作成する場合に使用します。メディア・ファミリはバックアップ・ボリュームの名前付き分類です。メディア・ファミリを使用することで、作成時期の異なるボリュームに同じ特性を持たせることができます。たとえば、保存期間が6か月のバックアップ用メディア・ファミリを作成できます。このファミリを連続するbackupコマンドに対して指定すると、作成するすべてのボリュームの保存期間が6か月になります。
メディア・ファミリには、コンテンツ管理(デフォルト)される有効期限ポリシーかまたは時間管理される有効期限ポリシーのいずれかのみを指定できます。コンテンツ管理ポリシーでは、ボリュームに記録されたすべてのバックアップ・ピースが削除済としてマークされた時点で、そのボリュームが期限切れとなります。時間管理ポリシーでは、有効期限でボリュームが期限切れになります。有効期限はボリューム作成時刻に--writewindow
時間と--retain
時間を加算したものです。
前提条件
mkmf
コマンドを使用するには、管理ドメインの構成の変更(modify administrative domain's configuration)権を備えている必要があります。
構文
mkmf::=
mkmf [ --writewindow/-w duration ] [ --retain/-r duration ] [ [ --vidunique/-u ] | [ --vidfile/-F vid-pathname ] | [ --viddefault/-d ] | [ --vidfamily/-f media-family-name ] ] [ [ --inputcomment/-i | [ --comment/-c comment ] ] [ --contentmanaged/-C ] [ --append/-a ] [ --noappend/-A ] media-family-name ...
意味
メディア・ファミリの書込み可能期間を指定します。durationプレースホルダの詳細は、「duration」を参照してください。デフォルトはdisabled
です。すなわち、Oracle Secure Backupはボリュームの有効期限の計算時に書込みウィンドウを考慮しません。
書込みウィンドウは、ボリューム・セットが更新(通常はバックアップ・イメージの追加)できる期間です。ファミリのすべてのボリュームは、同一のボリューム・セットの一部とみなされます。書込みウィンドウは、最初のファイルがセットの最初のボリュームに書き込まれたときに開始され、指定した期間が経過すると終了します。書込みウィンドウが終了すると、Oracle Secure Backupは次のいずれかの条件が満たされるまでボリューム・セットへの追加更新を許可しません。
期限切れになる。
再ラベル付けされる。
再利用される。
ラベル付けを解除される。
強制的に上書きされる。
Oracle Secure Backupがこのボリューム・セットをバックアップ操作用に使用し続けるのは、書込みウィンドウが終了するまでです。
forever
またはdisabled
をdurationとして選択すると、数値は入力できません。たとえば、書込みウィンドウを14days
に設定する、またはforever
を指定してボリューム・セットを無期限に更新可能にすることなどができます。メディア・ファミリのメンバーであるすべてのボリューム・セットが、同じ期間の間、更新用に開放されます。
ボリューム・セットのボリュームを保存する時間の長さである保存期間を指定します。このオプションを指定した場合、このメディア・ファミリはコンテンツ管理ではなく時間管理になります。durationプレースホルダの詳細は、「duration」を参照してください。
ボリュームの有効期限はボリュームが期限切れになる日付および時刻です。Oracle Secure Backupによるこの時間の計算方法は、番号1のバックアップ・イメージ・ファイルをボリュームに書き込んだ時刻に、書込みウィンドウ期間(--writewindow
)が指定されている場合は書込みウィンドウ期間を加算し、さらにボリュームの保存期間(--retain
)を加算するというものです。
保存期間として指定した期間が終了するまでは、このメディア・ファミリのメンバーであるボリュームの上書きは不可能になります。1つのボリュームがfullになり、Oracle Secure Backupが次のボリュームに継続してバックアップを実行する場合は、ボリューム・セットの各ボリュームに同じ保存時間が割り当てられます。
時間管理ボリュームにはRMANバックアップを行うことができます。したがって、時間管理有効期限ポリシーのボリュームには、ファイル・システム・バックアップ・ピースとRMANバックアップ・ピースを混在できます。
注意: RMANバックアップを時間管理ボリュームに対して行う場合は、RMANリポジトリでバックアップ・ピースが使用可能になっている場合でも、ボリュームが期限切れになり、再利用される可能性があります。この場合は、RMANでCROSSCHECK コマンドを使用し、矛盾を解消する必要があります。 |
メディア・ファミリを時間管理からコンテンツ管理に変更するには、chmfコマンドで--contentmanaged
を指定します。
メディア・ファミリ内で一意のボリュームIDを作成します。最初のボリュームIDは文字列media-family-name-
000001
であり、以降使用されるボリュームには、最後のボリューム順序番号部分が1ずつ加算された文字列がボリュームIDとして設定されます。たとえば、MYVOLUME-000001
はMYVOLUME
メディア・ファミリの1番目のボリュームに対するボリュームIDになり、MYVOLUME-000002
は2番目のボリュームに対するIDになります。以降も同様にIDが作成されます。
作成するメディア・ファミリのボリューム順序ファイルの名前を指定します。相対ファイル名または絶対ファイル名を指定します。相対ファイル名の場合、ファイルは管理サーバーの管理ディレクトリに作成されます。
このファイルは、Oracle Secure Backupによって自動作成されないため、手動で作成する必要があります。--vidfile
オプションを選択した場合は、テキスト・エディタを使用してvid-
接頭辞をカスタマイズします。メディア・ファミリに割り当てる最初のボリュームIDを、たとえばMYVOLUME-000001
のように1行のテキストとして入力します。
システム・デフォルトを指定します。すなわち、メディア・ファミリが割り当てられていない場合、Oracle Secure Backupは同じボリュームID順序を使用します。デフォルトの最初のボリュームIDはVOL000001
であり、以降使用されるボリュームには、1ずつ加算されたボリュームIDが設定されます。
media-family-nameで指定するメディア・ファミリで使用するのと同じボリュームID順序を使用します。
メディア・ファミリに対するコメントの入力(オプション)を可能にします。
メディア・ファミリに関して保存する必要がある情報を指定します。コメント内に空白を含める場合は、コメントを引用符で囲みます。
このメディア・ファミリのボリュームを時間管理しないでコンテンツ管理するように指定します。この有効期限ポリシーを使用するボリュームは、RMANバックアップでの使用を想定しています。ファイル・システム・バックアップをコンテンツ管理ボリュームに書き込むことはできません。
コンテンツ管理ボリュームは、すべてのバックアップ・イメージ・セクションが削除済にマークされた場合には上書きできます。バックアップ・ピースはRecovery Managerまたはobtool
のrmpieceコマンドで削除できます。コンテンツ管理ボリューム・セットのボリュームは、同じセットの他のボリュームが期限切れになる前に期限切れになる場合があります。
メディア・ファミリをコンテンツ管理から時間管理に変更するには、chmfコマンドで--retain
を指定します。
追加バックアップ・イメージをメディア・ファミリのボリュームに追加できることを指定します(デフォルト)。
ボリュームの期限切れまで時間があり、テープが残っている場合でも、Oracle Secure Backupはメディア・ファミリの最新のボリューム順序番号よりも番号の小さいボリュームには書き込みません。バックアップでは必ずメディア・ファミリの最新のボリュームへの追加が試みられます。このボリュームがfullの場合は、新しいボリュームに書き込まれます。
追加バックアップ・イメージをメディア・ファミリのボリュームに追加できないよう指定します。このオプションを指定すると、1ボリューム・セットには1つのバックアップ・イメージのみが含まれるようになります。これは全体バックアップを行い、そのテープを使用してオリジナルのファイル・システムを再作成する場合に有効です。
作成するメディア・ファミリの名前を指定します。メディア・ファミリ名は大/小文字が区別され、英数字で始める必要があります。使用できるのは文字、数字、ダッシュ、アンダースコアおよびピリオドのみです(空白は不可)。最大31文字までです。
例
例2-89では、time-man-family
という名前の時間管理されるメディア・ファミリを作成します。ボリューム・セットのボリュームは7日間更新可能です。保存期間は28日間であるため、メディア・ファミリのボリュームはOracle Secure Backupによる最初の書込みから35日後に期限切れになります。
例2-90では、content-man-family
という名前のコンテンツ管理メディア・ファミリを作成します。書込みウィンドウにforever
が指定されているため、このファミリのボリュームは無期限に更新可能です。ボリュームが期限切れになるのは、RMANでボリューム上のすべてのバックアップ・ピースのステータスがDELETED
になったときです。