WebLogic Integration ソリューションのデプロイメント

     前  次    新しいウィンドウで目次を開く     
ここから内容

はじめに

このドキュメントでは、プロダクション環境に BEA WebLogic® Integration 10.2 ソリューションをデプロイする方法について説明します。以下の節では、組織で WebLogic Integration (WLI) ソリューションをデプロイする場合の主要な概念と操作について説明します。

注意 : このドキュメントでは、WLI アプリケーションのソフトウェア ライフサイクルのデプロイメント フェーズについてのみ説明します。BEA WebLogic Platform アプリケーションのソフトウェア ライフサイクルにおけるデプロイメントに関する詳細については、『WebLogic Server アプリケーションのデプロイメント』を参照してください。

WLI アプリケーションのビルド、コンフィグレーション、デプロイに使用できるサンプル ソースおよびユーティリティについては、WLI の「ソリューション サンプル」および PO Sample を参照してください。

注意 : コード サンプルおよびユーティリティは dev2dev に掲載されていますが、BEA のサポート対象外です。

 


デプロイメントの目標

WLI は、新しいアプリケーションの開発、既存システムへの開発アプリケーションの統合、ビジネス プロセスの合理化、およびトレーディング パートナとの連携に使用できる機能を備えた、統一プラットフォームです。

WLI ソリューションをデプロイする場合、以下の目標を考慮します。

 


主要なデプロイメントの作業

WLI のデプロイメントでは、以下の作業の一部または全部を完了する必要があります。

  1. デプロイメントの目標」を参照して、WLI デプロイメントの目標を定義します。
  2. WLI アプリケーションをクラスタにデプロイします。そのためにはまず、クラスタを設計する必要があります。設計を始める前に、WLI デプロイメントのコンポーネントを理解する必要があります。「WebLogic Integration クラスタについて」ではこれらのコンポーネントについて説明しており、アプリケーションに最適な環境を設計するのに役立ちます。
  3. WLI アプリケーションをクラスタ化した環境にデプロイし、可用性を高めます。これには、「クラスタ デプロイメントのコンフィグレーション」の説明に従って、アプリケーションをコンフィグレーションする必要があります。
  4. WebLogic Integration セキュリティの使用」の説明に従って、WLI デプロイメントのセキュリティを設定します。

WebLogic Platform アプリケーションのデプロイメント タスクの詳細な一覧については、『WebLogic Server アプリケーションのデプロイメント』を参照してください。

 


Integration ソリューションのデプロイメントにおける役割

統合型ソリューションを正しくデプロイするためには、デプロイメント チームに、以下の役割を果たすメンバーを加える必要があります。

一人で複数の役割を兼任することもできます。デプロイメントのすべてのシナリオに全員が等しく関わることはありませんが、正しくデプロイするためには、各担当者の参加が必要です。

デプロイメント スペシャリスト

デプロイメント スペシャリストは、デプロイメント作業を調整します。デプロイメント スペシャリストには、WLI の機能に精通していることが要求されます。デプロイメント スペシャリストは、1 つまたは複数のサーバにさまざまな WLI 機能をコンフィグレーションしてきた経験を基に、専門知識を生かして、統合型ソリューションのデプロイメント トポロジを設計します。デプロイメント スペシャリストには、以下の分野の経験が要求されます。

WebLogic Server 管理者

WebLogic Server 管理者は、組織内の WebLogic Server デプロイメントに関する技術と操作について深い知識を持っていることが要求されます。ハードウェアとプラットフォームの知識を持ち、WebLogic Server のインストール、コンフィグレーション、モニタ、セキュリティ、パフォーマンス チューニング、トラブルシューティングなど、WebLogic Server デプロイメントのすべての管理作業に対する経験が要求されます。

データベース管理者

データベース管理者は、組織内にデプロイされたデータベース システムに関する技術と操作について深い知識を持っている必要があります。データベース管理者には、以下の分野の知識が要求されます。

 


主要なデプロイメントのリソース

この節では、デプロイメントの段階で変更可能なリソースの概要を示します。

注意 : 「リソース」という用語は、このドキュメントでは、主に技術的な資産を指します。「WebLogic Integration セキュリティの使用」では、例外的に、セキュリティ ロールとセキュリティ ポリシーを使用して、無許可のアクセスから保護する基底の WebLogic Server エンティティのことのみを指します。

WebLogic Server リソース

この節では、WLI ソリューションのデプロイメントに深く関係する WebLogic Server リソースの一般情報を示します。これらのリソースは、WebLogic Server Administration Console や EJB デプロイメント記述子を使用してコンフィグレーションできます。

WebLogic Server には、多くのコンフィグレーション オプションと調整可能な設定があり、サポートされている任意の環境で WLI ソリューションをデプロイするために使うことができます。以下の節では、WLI のデプロイメントに最も関係する WebLogic Server のコンフィグレーション可能な機能について説明します。

クラスタ化

作業負荷に対する許容量を増やすには、WebLogic Server をクラスタ環境で実行します。クラスタは、単体のユニットとして管理できるサーバのグループです。クラスタ化により、単一サーバよりもスケーラビリティの高いデプロイメント プラットフォームを構築できます。

クラスタ化の詳細については、「WebLogic Integration クラスタについて」を参照してください。

Java Message Service

WebLogic Java Message Service (JMS) により、Java アプリケーションでメッセージ システムを共有し、メッセージを交換 (作成、送信、受信) することができます。WebLogic JMS は、Sun Microsystems, Inc の Java Message Service Specification version 1.0.2 に準拠しています。

JMS サーバはクラスタ化が可能です。また、接続ファクトリは WebLogic Server の複数のインスタンスにデプロイできます。さらに、「プロセス アプリケーション リソース」に示すように、JMS イベントの送り先をコンフィグレーションすることで、ワークフローの通知とメッセージを処理できます。

WebLogic JMS の詳細については、以下のトピックを参照してください。

EJB プールとキャッシング

WLI のデプロイメントでは、EJB の数がシステムのスループットに影響します。EJB プールまたは EJB キャッシュにより、システムに含まれる EJB の数を EJB のタイプに応じて調整できます。次の表では、EJB のタイプと関連する可変パラメータを示します。

表 1-1 EJB の調整用パラメータ
EJB のタイプ
調整可能なパラメータ名
調整可能なパラメータの説明
メッセージ駆動型 Bean
max-beans-in-free-pool
キューから作業を取り出すリスナの最大数
ステートレス セッション Bean
max-beans-in-free-pool
作業要求に対応できる bean の最大数
ステートフル セッション Bean
max-beans-in-cache
一度にアクティブにできる bean の数。設定が小さすぎると、CacheFullExceptions が発生する。設定が大きすぎると、メモリを過度に消費する。
エンティティ Bean

EJB をコンフィグレーションしてスループットを制御する詳細については、『WebLogic Server パフォーマンス チューニング ガイド』の「WebLogic Server EJB のチューニング」を参照してください。

JDBC 接続プール

JDBC (Java Database Connectivity) は、Java アプリケーションから SQL データベース内のデータにアクセスするために使用します。データベース接続を確立する際のオーバーヘッドを減らすために、WebLogic JDBC には接続プールが用意されており、すぐに使える DBMS への接続のストックとして利用できます。

JDBC 接続プールは、DBMS 接続の最適化に使用します。JDBC 接続プールのサイズをコンフィグレーションすることにより、WLI のパフォーマンスをチューニングできます。設定が小さすぎると、接続可能になるまでの WLI の待機時間が長くなります。設定が大きすぎると、DBMS のパフォーマンスが低下します。

WebLogic JDBC の詳細については、『WebLogic JDBC プログラマーズ ガイド』を参照してください。

実行スレッド プール

実行スレッドプールによって、WebLogic Server で同時に実行可能なスレッド数を制御できます。設定が小さすぎると、処理が同時に行われなくなり、さらにデッドロックの発生する危険性が高くなります。設定が大きすぎると、メモリを過度に消費し、スラッシングが発生する可能性が高くなります。

また、実行スレッドの数によって、受信ソケット メッセージを読み込むスレッド数 (ソケット リーダー スレッド) が決まります。デフォルトでは、この数は実行スレッド数の 1/3 です。この数が小さすぎると、ソケットを読み込むスレッドが競合したり、デッドロックの原因となったりします。

実行スレッド プールは、予想されるスレッドの合計数を実行できる程度に設定してください。ただし、システム内のコンテキストの過度の切り替えによってパフォーマンスが低下してしまうほど高く設定しないでください。実行しているシステムをモニタし、さまざまな値を試して実行スレッド プールに最適な値を決めてください。

注意 : ほとんどのプロダクション アプリケーションでは、実行スレッド カウントをデフォルト値より大きくする必要があります。一般的に使用されるスレッド カウント値は 50 です。実際のスレッド カウント値に合わせて JDBC 接続プールを調整してください。

実行スレッド プールをコンフィグレーションする方法の詳細については、『WebLogic Server パフォーマンス チューニング ガイド』を参照してください。

J2EE コネクタ アーキテクチャ

WebLogic J2EE コネクタ アーキテクチャ (J2EE Connector Architecture : JCA) により、J2EE プラットフォームを異機種のエンタープライズ情報システム (Enterprise Information Systems : EIS) と統合できます。WebLogic JCA は、Sun Microsystems, Inc の J2EE コネクタ仕様バージョン 1.0 に準拠しています。

WebLogic J2EE-CA の詳細については、『WebLogic リソース アダプタ プログラマーズ ガイド』を参照してください。

プロセス アプリケーション リソース

プロセス アプリケーションは、EAR ファイルに保存されます。デプロイメント用の EAR ファイルをコンパイルするには、『BEA Workshop ユーザーズ ガイド』の説明に従って、Workshop アプリケーションをコンパイルする際の標準的な手順を使用します。

EAR ファイルは、複数の Web アプリケーションと共有のクラス ファイルで構成されています。生成されたスキーマ ファイルは、共有のクラス ファイルに組み込まれます。各 Web アプリケーションは IDE ワークスペースのプロジェクトに対応します (図 1-1 を参照)。

図 1-1 プロセス アプリケーション

プロセス アプリケーション

各 Web アプリケーションは、以下の要素で構成されています。

図 1-2 は、プロセス Web アプリケーションのコンポーネントを示しています。

図 1-2 プロセス Web アプリケーション

プロセス Web アプリケーション

非同期ディスパッチャでは、ステートレス プロセスとステートフル プロセスで異なる対話形式を取ります。図 1-3 は、非同期ディスパッチャとステートレス プロセス間の対話の例を示しています。

図 1-3 ディスパッチャとステートレス プロセス間の対話

ディスパッチャとステートレス プロセス間の対話

図 1-4 は、非同期ディスパッチャとステートフル プロセス間の対話の例を示しています。

図 1-4 ディスパッチャとステートフル プロセス間の対話

ディスパッチャとステートフル プロセス間の対話

プロセス コントロール リソース

プロセス コントロールは、RMI、または最適化されたデータ フォーマットを使用した JMS のいずれかによって、メッセージをあるプロセスから別のプロセスに直接送信できます。RMI または JMS を使用するときには、WebLogic Server のロード バランシングの通常のルールが適用されます。一般にメッセージは、WebLogic Server ロード バランシングのサーバ親和性によってクラスタ内の 1 つのサーバに保存されます。

メモリ内のディスパッチャ テーブルによって、実行時にメッセージを送信するプロセス コントロールに必要な詳細情報を確認できます。このディスパッチャ テーブルは、アプリケーションがデプロイまたは再デプロイされると自動的に更新されます。

プロセス呼び出しの動作は、同期ディスパッチャと非同期ディスパッチのどちらで使用するかにより異なります。

図 1-5 は、同期ディスパッチでのプロセス コントロールの動作を示しています。

図 1-5 同期ディスパッチでのプロセス コントロール

同期ディスパッチでのプロセス コントロール

図 1-6 は、非同期ディスパッチでのプロセス コントロールの動作を示しています。

図 1-6 非同期 (バッファ付き) 呼び出しでのプロセス コントロール

非同期 (バッファ付き) 呼び出しでのプロセス コントロール

同期クライアント プロセスは、非同期プロセスと対話することもできます。

注意 : 以下の専用の実行スレッド プールを作成することで、このコンフィグレーションのパフォーマンスを最適化できます。
注意 : アプリケーションおよびトラッキング レベルの要件に適合するスレッド プール サイズを選択します。
注意 : これらのプールを作成しない場合、デフォルト スレッド プールによってスレッドが消費されます。

このコンフィグレーションの詳細については、『ビジネス プロセス構築ガイド』の「同期/非同期のビジネス プロセスの構築」を参照してください。

実装例については、WLI の『ソリューション サンプル』を参照してください。

メッセージ ブローカ リソース

メッセージ ブローカのパブリッシュ コントロールまたはイベント ジェネレータを介してメッセージ ブローカでメッセージがパブリッシュされるたびに、次のアクションが実行されます。

イベント ジェネレータ リソース

WLI には、多くのネイティブ イベント ジェネレータがあります。

JMS ジェネレータ

JMS イベント ジェネレータは、メッセージ駆動型 Bean プールとしてパッケージ化します。クラスタ内の任意の台数の管理対象サーバを対象とすることができます。一般的に、物理的な JMS 送り先を使用する場合は 1 台の管理対象サーバ、分散送り先を使用する場合はクラスタを対象とします。

ファイル、電子メール、およびタイマーのイベント ジェネレータ

これらのイベント ジェネレータは、発行されるイベントをポーリングします。イベントを発行するには、各イベント ジェネレータを、メッセージ駆動型 Bean プールとしてパッケージ化し、特定の JMS キューでコンフィグレーションします。メッセージは、poll-interval の送信時刻に、イベント ジェネレータから関連するキューに送信されます。キューは、同一タイプ (ファイル、電子メールなど) のイベント ジェネレータ間で共有され、セレクタによってキュー内のメッセージが共有されます。

ポーリング イベント ジェネレータの対象を指定する方法は、表 1-2 に示すように、関連するキューを所有する JMS サーバの対象がどのように指定されているかによって異なります。

表 1-2 ポーリング イベント ジェネレータの対象指定
JMS の対象が移行可能か
ポーリング イベント ジェネレータの対象
クラスタ
不可
単一サーバ

ポーリング イベント ジェネレータはポーリング中に競合するため、クラスタの 1 台の管理対象サーバでのみアクティブになるように制限されます。イベント ジェネレータが移行可能なキューに関連付けられているときは、ポーリング イベント ジェネレータの対象がクラスタであっても、そのイベント ジェネレータは、移行可能な JMS サーバを含む単一サーバ上でのみアクティブになります。

注意 : WLI では、単一サーバを対象とするポーリング イベント ジェネレータがサポートされます。ただし、このコンフィグレーションは高可用性を必要とするアプリケーションには適しません。

MQSeries および HTTP イベント ジェネレータ

HTTP イベント ジェネレータは、HTTP リクエストを受け取り、内容のタイプを調べ、メッセージをメッセージ ブローカ チャネルにパブリッシュするサーブレットです。

MQSeries イベント ジェネレータは、WebSphere MQ キューのメッセージをポーリングし、メッセージ (メタデータとしての MQMD ヘッダとメッセージのペイロード) をメッセージ ブローカ チャネルにパブリッシュします。コンテンツのフィルタ処理、およびその他の処理条件は、イベント ジェネレータのチャネル ルールで指定します。

HTTP と MQSeries のイベント ジェネレータはどちらも、単一の管理対象サーバまたはクラスタを対象に指定できます。

RDBMS イベント ジェネレータ

RDBMS イベント ジェネレータは、データベース テーブルをポーリングして、追加、削除、または更新された行を確認し、結果をメッセージ ブローカ チャネルにパブリッシュします。また、このイベント ジェネレータを使用すると、データベース テーブルにカスタム クエリを実行し、メッセージ ブローカ チャネルに結果をパブリッシュすることもできます。

詳細については、『WebLogic Integration Administration Console の使用』の「イベント ジェネレータ」を参照してください。

イベント ジェネレータのサスペンド

イベント ジェネレータのサスペンド状態は、サーバ再起動時には保持されません。サーバ再起動時にイベント ジェネレータがサスペンド状態にある場合、イベント ジェネレータはサスペンドされたままになり、イベントが処理されません。イベント ジェネレータを再起動するには、WebLogic Integration Administration Console でイベント ジェネレータを [実行中] に設定します。

詳細については、『WebLogic Integration Administration Console の使用』の「イベント ジェネレータ」を参照してください。

Trading Partner Integration リソース

Trading Partner Integration (TPI) は、RosettaNet (バージョン 1.1 と 2.0) と ebXML (バージョン 1.0 と 2.0) の実装によりピアツーピア ビジネス プロトコルのフレームワークを提供します。

注意 : Trading Partner Integration は以前は B2B と呼ばれていました。一部のリソース名には、以前のリリースの WLI から引き継がれた略語が使用されています。現在、Trading Partner Integration リソースには名前の一部として B2B が含まれています。

WLI をクラスタ化されたドメインにデプロイする場合、管理サーバのリソースを除き、すべての Trading Partner Integration のリソースをクラスタに平均的にデプロイする必要があります。Trading Partner Integration リソースの対象としてドメイン内のすべてのクラスタ サーバを指定すると、アプリケーションの高可用性、スケーラビリティ、およびパフォーマンスの向上を実現できます。

Trading Partner Integration のリソースとクラスタ化に関する詳細については、「クラスタ デプロイメントの設計」を参照してください。

Trading Partner Integration の負荷に対応するためのコンフィグレーションが可能なリソースの詳細については、『WebLogic Integration Administration Console の使用』の「トレーディング パートナ管理」を参照してください。

トレーディング パートナ管理リポジトリ

トレーディング パートナ管理リポジトリは、Trading Partner Integration の重要な要素です。このリポジトリとすべての Trading Partner Integration でのデータベース処理は、cgPool という名前の JDBCPool を使用した cgDataSource という名前の JDBCTxDataSource で実行されます。

注意 : トレーディング パートナ管理リポジトリ用のデータベースを、同時アクセス機能を使用するようにコンフィグレーションすることができます。特定のデータベースに関する問題の詳細については、WebLogic Integration 10.2 の『リリース ノート』を参照してください。
データ キャッシュ

トレーディング パートナ管理リポジトリからのデータは、サーバの起動時にキャッシュされます。これにより、このリソースへのアクセスが減少することでパフォーマンスが向上します。クラスタ化環境では、トレーディング パートナ管理リポジトリのデータは、管理サーバと各管理対象サーバにキャッシュされます。このキャッシュは、図 1-8 の方法で同期化されます。

図 1-8 トレーディング パートナ管理リポジトリのキャッシュの同期化

トレーディング パートナ管理リポジトリのキャッシュの同期化

データ キャッシュの管理

WebLogic Integration Administration Console では、トレーディング パートナ管理リポジトリの更新、インポート、削除を行えます。WebLogic Integration Administration Console を使用してこれらの操作を行う方法については、『WebLogic Integration Administration Console の使用』の「トレーディング パートナ管理」を参照してください。

Trading Partner Integration の初期化と実行時処理

Trading Partner Integration は、WLI-B2B Startup EJB によるサーバ起動時に初期化されます。

警告 : WLI-B2B Startup EJB では、initial-beans-in-pool の値が 1 に設定されています。この値を変更すると、Trading Partner Integration が起動しなくなることがあります。

実行時には、Trading Partner Integration の送受信のメッセージが、別々のパスで配信されます。次の節では、送信と受信のビジネス メッセージのパスとプロセスのフローについて説明します。

送信メッセージ

図 1-9 は、送信ビジネス メッセージのパスを示しています。

図 1-9 送信メッセージのパス

発信メッセージのパス

図 1-9 は、以下のプロセス フローを表します。

  1. メッセージが Trading Partner Integration コントロール (ebXML または RosettaNet) によって WLI ビジネス プロセスから送信されます。
  2. Trading Partner Integration のレイヤ (RosettaNet または ebXML) は、コントロール (メッセージ、アノテーションなど) からの入力を使用して、送信する適切なメッセージを作成します。
  3. Trading Partner Integration のレイヤは、このメッセージを WLI ドキュメント ストアで保持し、JMS キューに転送します。RosettaNet と ebXML には、それぞれ専用の JMS キューである wli.internal.b2b.rosettanetencoder.queue および wli.internal.b2b.ebxmlencoder.queue があります。
  4. 各キューには、それぞれ、キューをリスンするメッセージ駆動型 Bean があります。メッセージ駆動型 Bean には、RosettaNet 向けの WLI-B2B RosettaNet と ebXML 向けの WLI-B2B ebXML があります。大量のメッセージを交信するクラスタ環境をサポートする場合は、これらのメッセージ駆動型 Bean のプール サイズを大きくします。
  5. メッセージ駆動型 Bean は、HTTP(S) でメッセージを非同期に送信します。
  6. 送信メッセージのメッセージ トラッキング情報は、Trading Partner Integration のメッセージ トラッキング キューである wli.internal.msgtracking.queue に送信されます。WLI メッセージ トラッキングのメッセージ駆動型 Bean がこのキューをリスンします。WebLogic Integration Administration Console のトレーディング パートナ管理モジュールで設定されたトラッキング レベルに基づいて、各種メッセージ トラッキング テーブルが更新されます。
  7. WebLogic Integration Administration Console を使用してトラッキング レベルを設定する方法については、『WebLogic Integration Administration Console の使用』の「トレーディング パートナ管理」を参照してください。

メッセージの受信

図 1-10 は、受信ビジネス メッセージのパスを示しています。

図 1-10 受信メッセージのパス

受信メッセージのパス

上の図は、以下のプロセス フローを表します。

  1. トレーディング パートナに送信されたメッセージは、B2BdefaultWebApp/WEB-INF/web.xml で指定した TPI Transport Servlet Filter によって受信されます。TPI Transport Servlet Filter によって URL がチェックされ、受信要求が TPI URL/要求かどうかが判定されます。送り先が Trading Partner Integration でない場合、メッセージは他のフィルタに送られ、最終的な送り先に送られます。
  2. 送り先が Trading Partner Integration のメッセージの場合、フィルタにより転送サーブレットの WLI-B2B HTTP Transport に送られます。このサーブレットは、b2b.war にパッケージ化されます。
  3. メッセージは、次に Trading Partner Integration に送られます。各ビジネス プロトコルには、異なるデコーダがあります。対応するデコーダでメッセージが復元されます。
  4. デコーダは、WLI ドキュメント ストアにメッセージを格納します。
  5. デコーダが、送り先パーティと送り元パーティ、サービス名、その他、メッセージのディスパッチに役立つ関連情報を取得します。
  6. メッセージが、非同期ディスパッチャ キューにディスパッチされます。このメッセージが新しい交換の一部であるとデコーダが判断すると、新しいプロセス インスタンスが要求されます。このメッセージが、継続中の交換の一部であれば、デコーダは、そのメッセージを既存プロセス インスタンス内の特定の受信ノードにディスパッチするよう要求します。受信ノードのメソッド シグネチャに適するようにメッセージ パートがパッケージ化されます。
  7. Async Dispatcher Module が、適切なビジネス プロセスにメッセージをディスパッチします。
  8. 受信メッセージのメッセージ トラッキング情報は、Trading Partner Integration のメッセージ トラッキング キューである wli.internal.msgtracking.queue に送信されます。WLI メッセージ トラッキングのメッセージ駆動型 Bean がこのキューをリスンします。WebLogic Integration Administration Console のトレーディング パートナ管理モジュールで設定されたトラッキング レベルに基づいて、各種メッセージ トラッキング テーブルが更新されます。
  9. WebLogic Integration Administration Console を使用してトラッキング レベルを設定する方法については、『WebLogic Integration Administration Console の使用』の「トレーディング パートナ管理」を参照してください。

リレーショナル データベース管理システムのリソース

WLI では、データベース リソースを広範囲に活用することで、実行時オペレーションを処理し、アプリケーション データの恒久性を維持します。データベースのパフォーマンスは、全般的な WLI のパフォーマンスの主要因になります。

WLI アプリケーションに関連するデータベースのチューニング要件については、「データベースの準備」および「可用性の維持」に記載されているデータベース固有の注意事項を参照してください。

データベースのチューニングの詳細については、データベース ベンダのドキュメントを参照してください。

ハードウェア、オペレーティング システム、およびネットワーク リソース

ハードウェア、オペレーティング システム、およびネットワーク リソースは、WLI パフォーマンスにとって重要な役割を果たします。デプロイメントは、WebLogic Integration 10.2 の『リリース ノート』に記載されたハードウェアとソフトウェアの要件に準拠する必要があります。

 


デプロイメント プラン

デプロイメント用の WLI アプリケーションをコンフィグレーションするためにデプロイメント プランを使用できます。

デプロイメント プランは省略可能な XML ドキュメントであり、デプロイメント用の WLI アプリケーションを特定の WebLogic Server 環境に向けてコンフィグレーションする際に使用します。デプロイメント プランを使用することによって、デプロイメント記述子に定義されているプロパティ値をオーバーライドしたり、デプロイメント記述子に明示的に定義されていないプロパティ値を定義することができます。

詳細については、「プロダクション デプロイメントのためのアプリケーションのコンフィグレーション」の以下の節を参照してください。

また、PlanGenerator ツールを使用すると、デプロイメント コンフィグレーションの一部をデプロイメント プランにエクスポートすることができます。詳細については、「weblogic.PlanGenerator コマンドライン リファレンス」を参照してください。


  ページの先頭       前  次