対話管理ガイド

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はじめに

このガイドでは、パーソナライズされたコンテンツを設定して、ユーザのポータル アプリケーションとの対話を強化する手順について説明します。

パーソナライズされたコンテンツには、特定のユーザまたは対象者向けのコンテンツまたは画像を含めることができます。たとえば、各ユーザ向けにパーソナライズされた動的なイメージやリンクを作成できます。個人の好みや特性に応じて異なる場所へジャンプするプロセス (従業員手当ての登録やオンライン ショッピングなど) を通じて、ユーザを動的に誘導できます。

ポータル、ポータルのデザイン、またはプロセス フローの効果を測定するために、ユーザがポータル内でたどったパスを記録することもできます。このような行動追跡により、戦略の検証や改善の実施に役立つ情報を得ることができます。

この章の内容は以下のとおりです。

 


パーソナライゼーションの概要

この節では、次のトピックについて説明します。

開発者は、BEA Workshop for WebLogic Platform を使用して、キャンペーン、コンテンツ セレクタ、プレースホルダ、ユーザ セグメント、ルール セットなどのパーソナライゼーション機能を設定します。また、パーソナライゼーションに関するルールや行動追跡のためのイベントを作成することもできます。ポータル管理者は、WebLogic Portal Administration Console を使用して、キャンペーン、コンテンツ セレクタ、プレースホルダ、およびユーザ セグメントをポータルの対象者のニーズに合わせて変更します。

対話管理機能の開発では、多くの場合、関連する部分の設定を行う必要があります。たとえば、キャンペーンで対象とするユーザにパーソナライズされたコンテンツを提供する場合、BEA の仮想コンテンツ リポジトリへのコンテンツの追加、コンテンツを表示するプレースホルダの作成、ユーザがキャンペーン コンテンツの対象になる条件を定義する際に使用するプロパティ (ユーザ プロファイル プロパティやセッション プロパティなど) の設定、およびキャンペーンの作成を行う必要があります。

この章では、対話管理機能の作成に使用できるツール、およびツールを動作させるロジックについて説明します。各ツールでは、ルール エンジンを使用してユーザと適切なコンテンツとを結び付けます。

対話管理ツールの使用

以下のツールを使用して、ポータル ライフサイクルで対話管理機能の作成と管理を行うことができます。

  1. BEA Workshop for WebLogic Platform - 開発者は次の項目を作成できます。
    • ユーザ セグメント、プロパティ セット、コンテンツ セレクタ、プレースホルダ、キャンペーン、および行動追跡 - これらのパーソナライゼーション機能を作成し、Java Server Page (JSP) タグまたはコントロールを使用して、ページ フローまたは JSP で機能を有効にします。
    • JSP タグ - JSP タグを使用して、パーソナライズされたコンテンツをユーザに対して表示します。たとえば、キャンペーンでは、プレースホルダと呼ばれる JSP タグ (<ph:placeholder name="myPlaceholder1"/>) を使用して Web コンテンツを表示します。(name 属性によって識別される) JSP プレースホルダ タグは、ポータルの JSP 内の任意の場所に追加できます。Java クラスの詳細については、JSP Tag Javadoc を参照してください。
    • Java コントロール - ページ フローおよび Web サービスで Java コントロール (定義済みの Java 機能) を使用して、パーソナライズされたコンテンツを表示します。たとえば、Rules Executor コントロールを使用すると、ユーザ プロファイル値やセッション プロパティなどの特定の条件に基づいて、ページ フローからユーザの経路を確認できます。コントロールの詳細については、Javadoc を参照してください。
  2. Java API - 開発者は API を全面的に使用して、対話管理機能をプログラムによって開発することもできます。
  3. WebLogic Portal Administration Console - ポータル管理者は、ユーザ セグメント、プロパティ セット、コンテンツ セレクタ、プレースホルダ、およびキャンペーンの値やプロパティを変更できます。また、パーソナライゼーション機能を表示する対象ユーザを変更したり、キャンペーンの日付を変更したりすることもできます。管理者は Administration Console を使用して、開発された新機能をテストしたり、対象ユーザを調整したりできます。これらの機能の変更や調整を行う場合、Workshop for WebLogic を使用して開発段階に戻り、変更を加えることができます。ステージング環境で変更を確認するには、ポータル アプリケーションを再デプロイする必要があります。

機能について

Workshop for WebLogic には、パーソナライズされたコンテンツを提供する際に役立つ次の機能が用意されています。

詳細および各種タイプの対話の例については、「対話方法の計画」を参照してください。

このガイドでは、次の用語を使用します。

 


ポータル ライフサイクルにおける対話管理

この節では、次のトピックについて説明します。

このガイドで説明するタスクは、ポータル ライフサイクルに従って構成されています。ポータル ライフサイクルには、アーキテクチャ、開発、ステージング、プロダクションの 4 つの段階があります。ポータルにパーソナライゼーションやユーザとの対話を追加することは、ポータル ライフサイクルの重要なプロセスです。ポータル ライフサイクルの詳細については、「WebLogic Portal の概要」を参照してください。

図 1-1 は各段階で発生する対話管理タスクを示しています。

図 1-1 ポータル ライフサイクルの 4 つの段階における対話管理タスク

ポータル ライフサイクルの 4 つの段階における対話管理タスク

アーキテクチャ

アーキテクチャ段階では、ポータル ユーザに提供する対話のタイプを計画します。設計者は、対象ユーザ、ユーザが参照するパーソナライズされたコンテンツのタイプ、コンテンツ変更の頻度、およびコンテンツの更新手順を決定します。ポータル ライフサイクルの詳細については、「WebLogic Portal の概要」を参照してください。

次の章では、アーキテクチャのタスクについて説明します。

開発

開発段階で、開発者は Workshop for WebLogic を使用して、ユーザ プロパティ セットとプロパティ、ユーザ セグメント、プレースホルダ、コンテンツ セレクタ、キャンペーン、および行動追跡を作成し、カスタム コーディングなしにパーソナライゼーションを追加できます。また、開発者は Java API を直接操作してパーソナライゼーションを追加することもできます。

パーソナライゼーション機能を使用すると、パーソナライズされた Web コンテンツの特定ユーザに対する提供、BEA 仮想コンテンツ リポジトリから取得した単一の Web コンテンツの表示、あらかじめ定義された電子メールの自動送信、またはコマース アプリケーションでの割引の提示を行うことができます。割引アクションはコマース API の一部であり、WebLogic Portal 10.0 では非推奨です。この API は、WebLogic Portal とは別の製品として使用可能な AquaLogic Commerce Services に置き換えられています。

また、開発者は特定の特性や基準に基づいてユーザを分類し、そのユーザ セグメントを対象にすることもできます。

ツール : Workshop for WebLogic および Java API

次の章では、開発タスクについて説明します。

ステージング

ステージング段階で、ポータル管理者はブラウザを使用して、開発者が開発段階で作成したコンテンツ セレクタ、プレースホルダ、キャンペーンなどをテストします。変更する機能がある場合には、Administration Console を使用して変更を行うか、または開発段階に戻って Workshop for WebLogic を使用して変更を行うことができます。また、開発者は Java API を使用することもできます。開発時にステージング環境で変更を確認するには、ポータル アプリケーションを再デプロイする必要があります。開発段階とステージング段階は、同時に発生することもあります。

ツール : Administration Console

次の章では、ステージング タスクについて説明します。

プロダクション

開発者によってステージング段階でのポータル アプリケーションのテストが完了すると、ポータル管理者はプロダクション段階を使用して、実際のプロダクション環境の調整を行います。たとえば、管理者はプロダクション段階で、Administration Console を使用してプレースホルダ、コンテンツ セレクタ、またはキャンペーンを変更することができます。管理者はキャンペーンの有効日の変更、Web コンテンツの更新、カタログで提供する割引の変更、または別のユーザを対象とした新しいユーザ セグメントの追加を行うことができます。

警告 : ショッピング カート イベント、割引、およびカタログは、WebLogic Portal 10.0 では推奨されていないコマース API の一部です。この API は、WebLogic Portal とは別の製品として用意された AquaLogic Commerce Services に置き換えられています。

これらの機能を一部でも変更する場合、開発者は Workshop for WebLogic を使用して開発段階に戻り、変更を加えることができます。ステージングおよびプロダクション環境で変更を確認する場合、開発者はポータル アプリケーションを再デプロイする必要があります。

ツール : Administration Console

プロダクション タスクの詳細については、第 4 部の「プロダクション」を参照してください。

 


始める前に

初めてポータル開発を行う場合は、ポータル ライフサイクルの詳細について WebLogic Portal の概要を参照してください。

また、次の情報についても参照できます。


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