サイレントモードインストールによる WebLogic Server のインストール

サイレントモードインストールでは、パッケージインストーラを使用する必要があります。サイレントモードインストールは、ネットインストーラではサポートされません。ネットインストーラ版のインストールプログラムのファイル名は net_ で始まります (net_platformXXX_solaris.bin など)。サイレントモードインストールでは、ファイル名が net_ で始まるインストールプログラムを使用しないでください。

サイレントモードインストールでは、標準のインストールと同じ一時スペースと一時的ストレージディレクトリが必要になります。詳細については、一時的ストレージ領域の要件を参照してください。インストールプログラムでは、一時ディレクトリに十分なスペースがない場合でもメッセージは表示されません。

WebLogic Server をサイレントモードでインストールする場合には、以下の事項に注意する必要があります。

サイレントモードインストールテンプレートファイルの作成

サイレントモードで WebLogic Server をインストールするときは、XML ファイル (silent.xml) がインストールオプションの選択に使用されます。サイレントモードでインストールプログラムを実行する前に、インストールオプションの入った silent.xml ファイルを作成する必要があります。

注意: サイレントモードインストール時に、インストールプログラムは silent.xml ファイル内のエントリを検証しません。silent.xml ファイルにエラーがあると、インストールに失敗します。

サイレントモードインストールプロセスで使用するテンプレートファイルを作成するには、次の手順を実行します。

注意: 値を変更するときは、文字に関する XML ガイドラインに従う必要があります。すなわち、<、>、[、および ] などの XML の予約文字は使用できません。

表4-1 サイレントモードインストールテンプレートの値

データ値名	入力する値
BEAHOME	任意の BEA ホームディレクトリの絶対パス名。BEA ホームディレクトリの詳細については、BEA ホームディレクトリを参照。注意: ソフトウェアのインストール前に BEA ホームディレクトリを作成しておくことはできない (サイレントインストールの場合のみ)。
USER_INSTALL_DIR	WebLogic Platform ソフトウェアのインストール先ディレクトリの絶対パス名。詳細については、製品のインストールディレクトリを参照。
RUN_DOMAIN_WIZARD	インストールの一部としてコンフィグレーションウィザードを実行し、ドメインを作成する場合は true、コンフィグレーションウィザードを省略する場合は false。コンフィグレーションウィザードの実行を選択したときは、この表の以下の行に記載された該当のデータ値を指定する必要がある。コンフィグレーションウィザードの詳細については、『WebLogic Server ドメイン管理』の「コンフィグレーションウィザードを使用した新しいドメインの作成」を参照。
残りの値はコンフィグレーションウィザードのオプションに適用される。
domain.directory	ドメインディレクトリの絶対パス。ドメインディレクトリはドメインと同じ名前をつける必要がある。注意: UNIX システムでは、ドメインディレクトリのパスにスペースを入れないこと。
C_domainName	作成するドメインの名前。この名前は domain.directory に指定したディレクトリ名と一致する必要がある。注意: UNIX システムでは、ドメイン名にスペースを入れないこと。
C_serverName	コンフィグレーションするサーバの名前。スタンドアロンサーバのサーバ名としておよび管理対象サーバとクラスタサーバを含むドメインの管理サーバとして使用される。注意: サーバ名にスペースを入れないこと。
C_username	サーバを起動し、Administration Console にアクセスする管理ユーザ名。スペースや XML の予約文字は使用しない。
C_password	管理ユーザのパスワード。8 文字以上 20 文字以下のパスワードを入力する。スペースや XML の予約文字は使用しない。
C_serverListenAddress	サーバのシステム IP アドレスまたは DNS 名。localhost とサーバ IP アドレスを使用してサーバと Administration Console にアクセスするには、C_serverListenAddress を空白のままにする。
C_serverListenPort=	管理サーバ専用の TCP/IP ポート番号。サーバが接続をリスンするポートをこの番号で指定する。通常は 7001。ポート番号は 1 から 65535 までの任意の整数を使用できる。
C_serverSSLListenPort=	管理サーバ専用のセキュアリスンポート番号。セキュアリスンポート番号は、セキュアソケットレイヤ (SSL) プロトコルに基づくセキュア Web 接続で使用される。通常は 7002。ポート番号は 1 から 65535 までの任意の整数を使用できるが、C_serverListenPort と同じポートにはできない。
ClusterName	作成するクラスタの名前。クラスタを作成する場合にのみ適用。注意: クラスタ名にスペースを入れないこと。
ClusterPort	クラスタサーバと通信するために管理サーバによって使用されるマルチキャストポート。通常は 7777。クラスタを作成する場合にのみ適用。
ClusterMCAddr	クラスタサーバと通信するために管理サーバによって使用されるマルチキャスト IP アドレス。通常は 237.0.0.1。有効なマルチキャストアドレスは 237、238、または 239 で始まる。クラスタを作成する場合にのみ適用。
ADMIN_HOST_NAME_OR_IP	管理サーバの名前または IP アドレス。管理対象サーバをコンフィグレーションするときに使用。
ADMIN_LISTEN_PORT	管理サーバがリスンするポート。管理対象サーバをコンフィグレーションするときに使用。
MANAGED_SERVER_REGISTERED_NAME_IN_ADMIN	管理サーバに登録されるマシン名またはサーバ名。管理対象サーバをコンフィグレーションするときに使用。
SERVER-RUN-AS	コンフィグレーションウィザードによって作成されるサーバコンフィグレーションを決定する。Single Server (Standalone Server)、Admin Server with Managed Server(s)、Admin Server with Clustered Managed Server(s)、または Managed Server (with owning Admin Server configuration)。
selectedJar	ドメインの作成およびサーバのコンフィグレーションのためコンフィグレーションウィザードによって使用される JAR テンプレートファイルの絶対パス。
INSTALL_NT_SERVICE (Windows システムのみ)	Windows サービスとしてコンフィグレーションされたサーバをインストールするには yes、Windows サービスとしてコンフィグレーションされたサーバをインストールしない場合は no。注意: このデータ値のぺアは、選択したテンプレートが、サーバの Windows サービスとしてのインストールをサポートしている場合にのみ使用される。それ以外の場合、この値は無視される。この値は UNIX システムでは無視される。
INSTALL_WINDOWS_STARTUP_MENU	Windows [スタート] メニューにサーバを起動するためのオプションを追加する場合は yes。[スタート] メニューオプションをスキップする場合は no (デフォルト値)。注意: このデータ値のぺアは、選択したテンプレートが [スタート] メニューオプションのインストールをサポートしている場合にのみ使用される。それ以外の場合、この値は無視される。この値は UNIX システムでは無視される。
DB_EMAIL_HOST	デフォルトの電子メールサーバまたは SMTP サーバ。注意: このデータ値のぺアは、選択したテンプレートが WebLogic Integration 機能をサポートしている場合にのみ使用される。それ以外の場合、この値は無視される。
DB_EMAIL_ADDRESS	WebLogic Integration のワークフローインスタンスによる電子メールの送信元アドレス。注意: このデータ値のぺアは、選択したテンプレートが WebLogic Integration 機能をサポートしている場合にのみ使用される。それ以外の場合、この値は無視される。
managedServers データグループ	ドメイン内の管理対象サーバグループのコンフィグレーションを決定する。このデータグループは、SERVER-RUN-AS の値として「Admin Server with Managed Server(s)」を選択する場合にのみ適用される。コンフィグレーション内の管理対象サーバごとに、以下の項目を指定する。 managedServerRegName-管理サーバに登録されたサーバの名前。英数字のみ、スペースは不可。 managedServerHostIP-サーバをインストールするマシンの IP アドレスまたは DNS 名。 managedServerListenPort-サーバのリスンポート。 managedServerSSLListenPort-サーバのセキュアリスンポート。
clusterServers データグループ	ドメイン内のクラスタ化された管理対象サーバグループのコンフィグレーションを決定する。このデータグループは、SERVER-RUN-AS に「Admin Server with Clustered Managed Server(s)」を選択する場合にのみ適用される。クラスタ内のサーバごとに、以下の項目を指定する。 clusterServerRegName-管理サーバに登録されたサーバの名前。英数字のみ、スペースは不可。 clusterServerHostIP-サーバをインストールするマシンの IP アドレスまたは DNS 名。 clusterServerListenPort-サーバのリスンポート。 clusterServerSSLListenPort-サーバのセキュアリスンポート。

サイレントモードインストールのサンプルテンプレートファイル

この節では、サイレントインストール時のさまざまなドメインコンフィグレーションに使用できるテンプレートファイルのサンプルを示します。

この節にあるファイルをコピーし、必要なコンフィグレーションに合わせて変更することができます。また、後半の 3 つのテンプレート間の相違 (太字の強調個所) を調べて、どのパラメータ設定がコンフィグレーションのどの側面を指定しているのかを学習することもできます。

リスト4-1 のサンプルテンプレートファイルでは、サイレントインストールテンプレートファイルの構造と、使用可能なオプションのすべてが示されています。表 4-1 に従って次のテンプレートテキストを変更し、それを silent.xml という名前のファイルとして保存すると、サイレントモードで WebLogic Server をインストールするときにテンプレートファイルとして使用できます。

別個の管理サーバおよび管理対象サーバを含むドメインをコンフィグレーションするためのサンプルテンプレート

次のサンプルテンプレートは、1 つの管理サーバと 1 つまたは複数の管理対象サーバで構成されるドメインをサイレントインストール時にコンフィグレーションする場合に使用できます。太字で強調されている文字列は、コンフィグレーションの定義において重要な意味を持ちます。これらの文字列の設定を、他のサンプルテンプレートファイルの対応する文字列の設定と比較してください。

表 4-1 に従って次のテンプレートを変更し、それを silent.xml という名前のファイルとして保存できます。その後、WebLogic Server をサイレントモードでインストールするときに、この新しいファイルをテンプレートとして使用できます。

コードリスト 4-2 別個の管理サーバと管理対象サーバを含むドメインのコンフィグレーション

管理対象サーバのクラスタをコンフィグレーションするためのサンプルテンプレート

次のサンプルテンプレートは、1 つの管理サーバと管理対象サーバのクラスタで構成されるドメインをサイレントインストール時にコンフィグレーションする場合に使用できます。太字で強調されている文字列は、コンフィグレーションの定義において重要な意味を持ちます。これらの文字列の設定を、他のサンプルテンプレートファイルの対応する文字列の設定と比較してください。

コードリスト 4-3 管理サーバとクラスタ化された管理対象サーバを含むドメインのコンフィグレーション

既存のドメインに管理対象サーバを追加するためのサンプルテンプレート

次のサンプルテンプレートは、既存のドメインに管理対象サーバを追加する場合に使用できます。太字で強調されている文字列は、コンフィグレーションの定義において重要な意味を持ちます。これらの文字列の設定を、他のサンプルテンプレートファイルの対応する文字列の設定と比較してください。

コードリスト 4-4 既存のドメインに管理対象サーバを追加するためのテンプレート

Windows システム上でのサイレントモードインストールプロセスの開始

Windows システム上でサイレントモードインストールを開始するには、次の手順を実行します。

注意: インストール中に冗長なログファイルを作成するには、コマンドラインで -log=/full_path_to_log_file オプションを含めます。次に例を示します。

状況	入力するコマンド
AIX 以外の UNIX プラットフォームにインストールする場合	java -jar filename.jar -mode=silent -silent_xml=/path_to_silent.xml
AIX プラットフォームにインストールする場合	java -classpath filename.jar com.bea.installer.BEAInstallController -mode=silent -silent_xml=/path_to_silent.xml