Workshop には、バージョン 8.1 で構築されたアプリケーションのアップグレード プロセスを容易にするためのツールが用意されています。これらのツールは、バージョン 8.1 のコードを読み込み、対応するバージョン 10.x (または 9.2) の新しいワークスペースを生成するように設計されています。新しく生成されたコードは、8.1 のコードが移行され、アップグレードされたものです。このコードでは明確に予測されるすべての変更が行われています (アプリケーション ロジックはアップグレード ツールによって変更されません)。新しいコードでは、新しいアノテーション モデル、異なったプロジェクト モデル、およびその他のコンポーネント向けの変更がサポートされています。
注意 : アップグレードに関する Workshop のドキュメントは、アプリケーションが WebLogic Workshop バージョン 8.1 を使用して開発されたことを前提に記述されています。これに該当しない場合、ここに説明するツールを使用して Workshop for WebLogic バージョン 10.x にアップグレードする前に、まず WebLogic Workshop IDE バージョン 8.1 SP4、SP5、または SP6 でビルドおよび実行できるようにコードを移行する必要があります。
注意 : バージョン 8.1 SP6 のアプリケーションをバージョン 9.2 にアップグレードする場合は、最初に 9.2 MP1 以上にアップグレードする必要があります。
このトピックでは、バージョン 8.1 からバージョン 10.x への変更の概要と、アップグレード処理で推奨される高度な手順について説明します。
バージョン 8.1 とバージョン 10.x の IDE の相違点と各 IDE で構築されたアプリケーションの相違点
バージョン 8.1 のアプリケーションをアップグレードするための準備
WebLogic Workshop バージョン 8.1 で開発を行ってきた開発者がバージョン 10.x (およびバージョン 10.x で構築されたアプリケーション) 経験する最も大きな相違点としては、以下の点が挙げられます。
また、「WebLogic Workshop 8.1 ユーザに対する主な相違点」も参照すべき場合があります。
バージョン 8.1 とは異なり、バージョン 10.x では IDE が Eclipse Platform 上に構築されています。この変更には多くのメリットがあります。たとえば、オープンソース アーキテクチャによる透明性の確保、広く使用されている他の Eclipse ベース IDE と共通の使い慣れた機能、また、Eclipse プラグイン フレームワークに備わった、広く使用されている機能拡張モデルなどを挙げることができます。Workshop では、バージョン 8.1 で構築されたコンポーネントの特定の機能の反復的開発をサポートするために、このオープン フレームワークに数多くの機能が追加されています。
言うまでもなく、バージョン 8.1 の IDE から Eclipse ベースのバージョン 10.x に移行すると、ユーザ インタフェースは大幅に変わります。次の一覧では、バージョン 8.1 の一般的な機能がバージョン 10.x でどのように表示されるか (または表示されないか) について説明します。
バージョン 8.1 からバージョン 10.x へのプロジェクト モデルの変更の多くは、広く使用されている Eclipse と Java の規約にモデルを合わせることを意図したものです。他の Eclipse ベースの IDE の使用経験のあるユーザにとって、Workshop バージョン 10.x はなじみのあるものです。大幅な変更の一覧については、「WebLogic Workshop 8.1 からバージョン 10.x へのアップグレード時における変更点」を参照してください。
Workshop バージョン 10.x では、Java 5 アノテーション モデルがサポートされています。バージョン 8.1 ではソース コードのアノテーションは Javadoc スタイルのコメントに埋め込まれていたのに対し、バージョン 10.x のアノテーションはコメント ブロックの外側に置かれます。しかし、理論上はバージョン 8.1 とバージョン 10.x のアノテーション モデルには相違点よりも多くの類似点があります。つまり、新しい構文を使用するバージョン 10.x のアノテーションは、バージョン 8.1 のほとんどのアノテーションに対応しています。バージョン 8.1 と同様に、バージョン 10.x の IDE でもエディタ ([アノテーション] ビュー) が提供されています。それを使用して、アノテーションの属性値を表示および編集できます。変更の詳細については、「アノテーションのアップグレード」を参照してください。バージョン 10.x では、[アノテーション]^ ビューが [プロパティ] ビューに置き換えられています。
これは、Web サービス、EJB、コントロールなどのコンポーネント タイプに固有の変更のことです。このような変更は主にソース コードに対して行われます。変更の概要リストについては、「WebLogic Workshop 8.1 からバージョン 10.x へのアップグレード時における変更点」を参照してください。または、このトピックの最後の「関連トピック」にある技術的トピックを個別に参照してください。
以下に示す手順は、WebLogic Workshop を使用して開発したアプリケーションを前提としています。この IDE を使用せずに開発したコードを Workshop のアップグレード ツールでアップグレードする場合は、まず、WebLogic Workshop IDE でのビルドと実行ができるようにコードを移行する必要があります。
ドメインのアップグレードと WebLogic Workshop アプリケーションのアップグレードは別のプロセスですが、相互に関連しています。バージョン 8.1 の WebLogic Workshop ドメインのアップグレードについては、「WebLogic Workshop バージョン 8.1 ドメインのアップグレードはバージョン 10.x 内で実行できる」を参照してください。
推奨されているアップグレード前の変更のリストについては、「バージョン 8.1 のアプリケーションをアップグレードするための準備」を参照してください。
「WebLogic Workshop 8.1 からバージョン 10.x へのアップグレード時における変更点」および「一般的な問題に関する注意事項」も参照してください。これらの節では、アップグレード関連の問題が示されており、詳細な情報へのリンクも記載されています。
「[インポート] ウィザードを使用してバージョン 8.1 のアプリケーションをアップグレードするには」では、このツールの使い方について説明されています。
upgradeStarter コマンドまたは upgrade Ant タスクを使用して、ウィザードのアップグレード作業を実行することもできます。
アプリケーションが複雑な場合は、バージョン 8.1 からバージョン 10.x にアップグレードするときに、複数の手順を含むプロセスが必要になる場合があります。アップグレード プロセスの主要な部分は、IDE によって提供されるアップグレード ツールによって実行されますが、バージョン 8.1 のアプリケーションに対して準備作業を行うことでウィザードの最終結果がはるかに処理しやすく、実行しやすいものになります。
ここで提供されているアップグレードに関するドキュメント全体に目を通してください。記述の多くで、アップグレードされたコードが実行しやすいものになるようにバージョン 8.1 のアプリケーションを編集する方法が推奨されています。
Workshop には、アップグレード プロセスのほとんどを自動化する 3 種類のツールが付属しています。各ツールは本質的に同じものであり、アップグレードするアプリケーションおよびパラメータを指定できます。[インポート] ウィザードは IDE のユーザ インタフェースとして使用できます。upgradeStarter コマンドはコマンドラインから使用するためのオプションを提供します。upgrade Ant タスクは Ant から使用するためのオプションを提供します。
注意 : バージョン 10.x の IDE で個々のファイルをアップグレードすることもできます。アップグレードするには、ファイルを右クリックして [ソース ファイルのアップグレード] をクリックします。エラー処理とメッセージの詳細度に関するオプションについては、「バージョン 8.1 のアプリケーションをインポートしアップグレードするには」を参照してください。
注意 : upgradeStarter コマンドでは、アップグレード後にアプリケーションに対していくつかの変更を手動で行わなければならない場合があります。変更を手動ではなく、[インポート] ウィザードを使用して行うこともできます。
アップグレード ツールによって実行される (または実行されない) アクションについて、以下に簡単に説明します。
アップグレードに [インポート] ウィザード、コマンドライン、または Ant タスクのいずれを使用しても、アップグレードにおける変更、エラー、および警告に関するログが生成されます。[インポート] ウィザードを使用する場合には、プロセスを完了する前に確認できるダイアログにもこのログが表示されます。
各ファイルのノードを展開すると、そのファイルに関連付けられたアップグレード メッセージを表示できます。以下に、ファイル名の横に示される記号について説明します。
情報メッセージ
警告メッセージ
エラー メッセージ
アップグレード ツールによって、アップグレード メッセージを格納するログ ファイルが生成されます。このファイルは、ツールの完了後に次の場所で参照できます。
UPGRADE_WORKSPACE_HOME\.metadata\upgrade.log
ファイル内のログ メッセージは、次のような形式になっています。
!SUBENTRY 1 com.bea.workshop.upgrade81 severity_level date time
!MESSAGE Upgrade-related message.
severity_level は、2 つの数字で表示されますが、それらは同じ意味です。date エントリおよび time エントリは、アップグレードが試行された時刻を示します。upgrade-related message は、実行された内容、警告の対象、または発生したエラーについて説明します。以下は、2 つのログ エントリの例を示す抜粋です。
!SUBENTRY 1 com.bea.workshop.upgrade81 2 2 2006-02-27 17:17:53.687 !MESSAGE The 10.x control context only supports a subset of the 8.1 control context APIs. Please see the Workshop upgrade documentation for more information. !SUBENTRY 1 com.bea.workshop.upgrade81 1 1 2006-02-27 17:17:53.687 !MESSAGE The import "com.bea.control.JwsContext" needs to be updated.