リカバリ・アプライアンスおよびOracle Exadata Storage拡張ラックの設置場所の要件
この章では、リカバリ・アプライアンスおよびOracle Exadata Storage拡張ラックの設置場所の要件について説明します。
ノート:
読みやすくするために、情報がリカバリ・アプライアンスとOracle Exadata Storage拡張ラックの両方を参照するときにZDLRAラックという名前が使用されます。設置場所の準備の確認
設置場所にZDLRAラックを搬入する前に、次のタスクを実行して設置場所の準備が完了していることを確認する必要があります。
- タスク1 設置場所の要件の確認
-
ZDLRAラックの要件を理解するには、この章の設置場所の要件を確認します。
- 作業2 ネットワーク要件およびオプションの理解
-
unresolvable-reference.htmlを確認して、必要なネットワーク要件および構成決定事項を確認します。
- 作業3 Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)の実行
-
OEDAを実行して、必要な構成ファイルを作成します。
「Deployment Assistantの使用」を参照してください。
- 作業4 ネットワークの構成
-
OEDAのファイルを使用してネットワークを構成します。これには、ドメイン・ネーム・システム(DNS)へのネットワークの登録、IPアドレスの割当ておよびデータ・センターのスイッチおよびファイアウォールの構成が含まれます。
- 作業5 要件に基づく設置場所の準備
-
ZDLRAラックの到着前に、ネットワーク・ケーブルの取付けや電源など、要件に基づいて設置場所を準備します。
「設置場所へのリカバリ・アプライアンスの設置」の手順を確認してください
一般的な環境要件
次の各項では、ZDLRAラックに関する一般的な環境要件を説明します。
空間要件
Recovery Appliance X7、X8、X8M、X9M以降のすべてのモデルについて、Oracle Exadata Configuration Assistant (OECA)を使用して各ラックのサイズを決定します。
表-21に示されているように、保守搬入のためには、ラック高さに加えて914mm (36インチ)の空間が必要です。
キャビネット周辺の空間によって、空調装置とキャビネット内のシステム前面の間の冷気の移動、またはキャビネットの後部から発生する熱気の移動が制限されないようにします。
リカバリ・アプライアンス X6までのラックの空間要件
リカバリ・アプライアンス X6-2までのラックはすべて同じハードウェア・ラックを使用し、同じ空間要件があります。
空間要件は次のとおりです。
- 高さ: 1998mm (78.66インチ)
- 幅: 600mm(サイド・パネルを含む)(23.62インチ)
- 奥行き: 1200mm (47.24インチ)
実際の床または高くした床のうち高い方から測定したキャビネットの最小天井高は2912mm(114.65インチ)です。これには、表-21に示されているように、保守搬入のためにラック高さの上に必要な914mm (36インチ)の空間が追加で含まれています。キャビネット周辺の空間によって、空調装置とキャビネット内のシステム前面の間の冷気の移動、またはキャビネットの後部から発生する熱気の移動が制限されないようにします。
受入、開封および搬入経路の要件
ZDLRAラックが到着する前に、受入場所がパッケージを収容するのに十分な広さがあるかを確認します。
ZDLRAラックの次のパッケージの寸法を使用します。
- 発送時の高さ: 2159mm(85インチ)
- 発送時の幅: 1219mm(48インチ)
- 発送時の奥行き: 1575mm(62インチ)
積載ドックが標準の貨物輸送トラックの高さおよび傾斜路の要件を満たしている場合は、パレット・ジャッキを使用してラックを降ろすことができます。積載ドックが要件を満たしていない場合は、標準のフォークリフトまたは他の手段でラックを降ろす必要があります。リフト・ゲート付きトラックでラックを発送するように依頼することも可能です。
ZDLRAラックが到着しても、設置場所に到着するまでラックは発送用の梱包に入れておきます。データ・センターへの搬入前に、条件が整った場所を使用して梱包材を取り外し、ほこりが出ないようにます。設置場所への搬入経路全体の床に、振動を引き起こす可能性のある段差がないようにします。
発送用の段ボールから製品を開封する十分な空間を確保します。ZDLRAラックを開封場所から設置場所に移動するための空間と通路を十分に確保してください。
注意:
ラックを移動する前に、4本の水平調節脚および固定脚がすべて上がって邪魔にならないことを確認します。表-19 搬入経路要件
搬入経路の項目 | 発送用パレットがある場合 | 発送用パレットがない場合 |
---|---|---|
ドアの最小高さ |
2184mm (86インチ) |
2040mm (80.32インチ) |
ドアの最小幅 |
1270 (50インチ) |
640mm (25.19インチ) |
エレベータの最小奥行き |
1625.6mm (64インチ) |
1240mm (48.82インチ) |
最大傾斜 |
6度 |
6度 |
エレベータ、パレット・ジャッキおよび床の最小積載量 |
1134kg (2500lbs) |
1134kg (2500lbs) |
リカバリ・アプライアンスのラック重量
ZDLRAラックの重量を確認し、安全に搬送および配置できるようにします。
Recovery Appliance X6、X7、X8、X8M、X9M以降のすべてのモデルについて、Oracle Exadata Configuration Assistant (OECA)を使用してラックの正味重量を判断します。ラック正味重量に加えて、梱包材に約180 kg (400ポンド)の重量がかかります。
以前のモデルでは、次の表を使用してラック重量を決定します。
表-20 積込み重量
リカバリ・アプライアンス | フル・ラック | 最小構成 |
---|---|---|
X7の重量 |
899.9kg (1983.9lbs) |
385.7kg (850.4lbs) |
X6およびX5の重量 |
875.7kg (1930.5lbs) |
381.2kg (840.5lbs) |
X4の重量 |
866kg (1,909lb) |
469kg (1,034lb) |
保守搬入要件
保守場所には、ZDLRAラックを収容するのに十分な広さと搬入空間が必要になります。
サイド・パネルを取り外すのに必要な空間は、675.64 mm (26.6インチ)です。通常の保守作業では、サイド・パネルの取り扱いは不要です。
前面搬入空間の要件は、通常は、ラックでサポートされている最も長いシャーシの長さに、前面で機器を設置および除去するための移動に必要なレールの長さを足した長さです。
背面搬入空間の要件は、ZDLRAラックの背後で作業する人物のために必要な空間です。
上部搬入空間の要件は、ラック上部にサービス・コンポーネントを設置できるようはしごの上に立つ人物のための要件です。
表-21 ZDLRAラック(すべてのモデル)の保守搬入要件
場所 | 保守搬入要件 |
---|---|
背面の保守 |
914mm (36インチ) |
前面の保守 |
1232 (48.5インチ) |
上部の保守 |
914mm (36インチ) |
ノート:
- 高床のデータ・センターでは、床下に通した配線の取り扱いのために、ラックの背面に隣接するタイルが開けられるようになっている必要があります。
- ZDLRAラックは、ラックを相互接続する際に並べて配置できます。
床要件
ZDLRAラックは、高床または直床の環境に設置できます。
設置場所の床または高床の床面が、ZDLRAラックの総重量に耐えられるようにしておく必要があります。
表-22 ZDLRAラックの床の積載要件
説明 | 要件 |
---|---|
設置されるラック装置の最大許容重量 |
952.5kg (2100lbs) |
設置される配電ユニットの最大許容重量 |
52.16kg (115lbs) |
最大動荷重(PDUを含む設置される装置の最大許容重量) |
1004.66kg (2215lbs) |
電力要件
ZDLRAラックは、広範囲の電圧および周波数で効率的に稼働できます。ただし、各ラックに信頼性の高い電源が必要です。
範囲を超えると、破損する場合があります。次のような電気障害が原因で、ZDLRAラックが破損する場合があります。
- 電圧低下による変動
- 入力電圧レベルまたは入力電力周波数の大幅かつ急速な変動
- 雷雨
- 配電システムの障害(配線の不備など)
このような障害からZDLRAラックを保護するには、専用の配電システムや電力調整装置を導入するだけでなく、雷雨からの保護を目的とした避雷器や電力ケーブルを用意する必要があります。
PDU電力要件
各ラックには、配電ユニット(PDU)が2台事前に設置されています。これらのPDUは異なる電源に接続できます。ZDLRAラックおよびデータ・センターに適したPDUのタイプを指定する必要があります。
Oracle Zero Data Loss Recovery Applianceが現在サポートされている、または過去にサポートされていたPDUは次のとおりです:
北米、南米、日本および台湾向け低電圧15 kVA単相PDU
表-23 北米、南米、日本および台湾向け低電圧15 kVA単相PDUの仕様
仕様 | 必要な値 |
---|---|
電圧 |
200から240VAC |
周波数 |
50/60Hz |
電流 |
入力ごとに最大24A |
電力定格 |
15kVA |
出力電流 |
72A (3 x 24A) |
コンセント |
42 x C13、6 x C19 |
コンセント・グループ |
6 |
グループ保護(UL489 2ポール・サーキット・ブレーカ) |
20A |
必要な資材
Oracle Exadataラックを低電圧3相電源に接続するには、次のものが必要です。
- 2台のPDUに対して6本の電源コード(それぞれ30A、200から240 VAC)
- 2台のPDUに対して6個のソケット(それぞれ15kVA、3つの30A/250V 2極/3線式のNEMA L6-30Pプラグである必要があります)
北米、南米、日本および台湾向け低電圧15 kVA 3相PDU
表-24 北米、南米、日本および台湾向け低電圧15 kVA 3相PDUの仕様
仕様 | 必要な値(PDU単位) |
---|---|
電圧 |
190から220VAC |
周波数 |
50/60Hz |
電流 |
相ごとに最大40A |
電力定格 |
14.4kVA |
出力電流 |
69.3A (3 x 23.1A) |
コンセント |
42 x C13、6 x C19 |
コンセント・グループ |
6 |
グループ保護(UL489 2ポール・サーキット・ブレーカ) |
20A |
データ・センターのソケット |
IEC309-3P4W-IP67 60A 250VAC 3ph (Hubbellの同等品はHBL460R9W) |
必要な資材
Oracle Exadataシステムを低電圧3相電源に接続するには、次のものが必要です。
- 2台のPDUに対して2本の電源コード(60A、190から220 VAC、3相)
- 2個のソケット(2個のデータ・センターのIEC 60309 60A 4pin 250VAC 3相IP67ソケットへのPDUの接続用)
欧州、中東、アフリカ(EMEA)および日本と台湾を除くアジア太平洋(APAC)向け高電圧15 kVA単相PDU
表-25 欧州、中東、アフリカ(EMEA)および日本と台湾を除くアジア太平洋(APAC)向け高電圧15 kVA単相PDUの仕様
仕様 | 必要な値(PDU単位) |
---|---|
電圧 |
220から240VAC |
周波数 |
50/60Hz |
電流 |
入力ごとに最大24A |
電力定格 |
15kVA |
出力電流 |
72A (3 x 24A) |
コンセント |
42 x C13、6 x C19 |
コンセント・グループ |
6 |
グループ保護(UL489 2ポール・サーキット・ブレーカ) |
20A |
データ・センターのソケット |
15kVA、IEC309-2P3W-IP44 32A 250VAC (Hubbellの同等品はHBL332R6W) |
ノート:
高電圧15kVA単相PDUは、使用できなくなりました。同一のソケットおよびブレーカ要件を備えた互換性がある代替品は、高電圧22kVAです。欧州、中東、アフリカ(EMEA)および日本と台湾を除くアジア太平洋(APAC)向け高電圧15 kVA 3相
表-26 欧州、中東、アフリカ(EMEA)および日本と台湾を除くアジア太平洋(APAC)向け高電圧15 kVA 3相の仕様
仕様 | 必要な値(PDU単位) |
---|---|
電圧 |
220/380から240/415VAC 3相 |
周波数 |
50/60Hz |
電流 |
相ごとに最大25A |
電力定格 |
14.4kVA |
出力電流 |
62.7A (3 x 20.9A) |
コンセント |
42 x C13、6 x C19 |
コンセント・グループ |
6 |
グループ保護(UL489 1ポール・サーキット・ブレーカ) |
20A |
データ・センターのソケット |
15kVA、3相、5pin、IEC 60309 32A、5pin 230/400V、3相IP44 |
必要な資材
Oracle Exadataシステムを高電圧3相電源に接続するには、次のものが必要です。
- 2台のPDUに対して2本の電源コード(25A、220/380から240/415 VAC、3相)
- 2個のソケット(2個のデータ・センターのIEC 60309 32A 5pin 230/400VAC 3相IP44ソケットへのPDUの接続用)
北米、南米、日本および台湾向け低電圧22 kVA単相PDU
表-27 北米、南米、日本および台湾向け低電圧22 kVA単相PDUの仕様
仕様 | 必要な値(PDU単位) |
---|---|
電圧 |
200から240VAC |
周波数 |
50/60Hz |
電流 |
入力ごとに最大36.8A/PDUごとに最大110.4A |
電力定格 |
22kVA |
出力電流 |
110.4A (3 x 36.8) |
コンセント |
42 x C13、6 x C19 |
コンセント・グループ |
6 |
グループ保護(UL489 2ポール・サーキット・ブレーカ) |
20A |
データ・センターのソケット |
Hubbell CS8269またはCS8264 |
必要な資材
Oracle Exadataシステムを低電圧単相電源に接続するには、次のものが必要です。
- 2台のPDUに対して3本の電源コード
- 6個のソケット(PDUの接続用)
次の図に、北米、南米、日本および台湾向けの低電圧22 kVA単相PDUの電源コネクタを示します。この電源コネクタは、低電圧15kVA単相PDUの電源コネクタとは異なります。
欧州、中東、アフリカ(EMEA)および日本と台湾を除くアジア太平洋(APAC)向け高電圧22 kVA単相PDU
表-28 欧州、中東、アフリカ(EMEA)および日本と台湾を除くアジア太平洋(APAC)向け高電圧22 kVA単相PDUの仕様
仕様 | 必要な値(PDU単位) |
---|---|
電圧 |
220から240VAC |
周波数 |
50/60Hz |
電流 |
入力ごとに最大32A |
電力定格 |
22kVA |
出力電流 |
96A (3 x 32A) |
コンセント |
42 x C13、6 x C19 |
コンセント・グループ |
6 |
グループ保護(UL489 1ポール・サーキット・ブレーカ) |
20A |
データ・センターのソケット |
IEC309-2P3W-IP44 32A 250VAC (Hubbellの同等品はHBL332R6W) |
必要な資材
ノート:
高電圧15kVA単相PDUは、使用できなくなりました。同一のソケットおよびブレーカ要件を備えた互換性がある代替品は、高電圧22kVAです。Oracle Exadataシステムを高電圧単相電源に接続するには、次のものが必要です。
- 2台のPDUに対して6本の電源コード(それぞれ定格25A、220/380から240/415 VAC、単相電圧)
- 6個のソケット(PDUの接続用)
北米、南米、日本および台湾向け低電圧24 kVA 3相PDU
表-29 北米、南米、日本および台湾向け低電圧24 kVA 3相PDUの仕様
仕様 | 必要な値(PDU単位) |
---|---|
電圧 |
200から208VAC 3相 |
周波数 |
50/60Hz |
電流 |
相ごとに最大34.6A |
電力定格 |
25kVA |
出力電流 |
120A (6 x 20A) |
コンセント |
42 x C13、6 x C19 |
コンセント・グループ |
6 |
グループ保護(UL489 2ポール・サーキット・ブレーカ) |
20A |
データ・センターのソケット |
IEC309-3P4W-IP67 60A 250VAC 3ph (Hubbellの同等品はHBL460R9W) |
必要な資材
Oracle Exadataシステムを低電圧3相電源に接続するには、次のものが必要です。
- 2台のPDUに対して4本の電源コード
- 4個のソケット(PDUの接続用)
欧州、中東、アフリカ(EMEA)および日本と台湾を除くアジア太平洋(APAC)向け高電圧24 kVA 3相PDU
表-30 欧州、中東、アフリカ(EMEA)および日本と台湾を除くアジア太平洋(APAC)向け高電圧24 kVA 3相PDUの仕様
仕様 | 必要な値(PDU単位) |
---|---|
電圧 |
220/380から240/415VAC 3相 |
周波数 |
50/60Hz |
電流 |
相ごとに最大18.1A |
電力定格 |
25kVA |
出力電流 |
108.6A (6 x 18.1A) |
コンセント |
42 x C13、6 x C19 |
コンセント・グループ |
6 |
グループ保護(UL489 1ポール・サーキット・ブレーカ) |
20A |
データ・センターのソケット |
IEC309-4P5W-IP44 32A 400VAC 3ph (Hubbellの同等品はHBL532R6W) |
必要な資材
Oracle Exadataシステムを高電圧3相電源に接続するには、次のものが必要です。
- 2台のPDUに対して4本の電源コード
- 4個のソケット(PDUの接続用)
施設の電力要件
突発故障を防止するには、十分な電力がPDUに供給されるように入力電源を設計します。
PDUに電力を供給するすべての電力回路に対して専用のACブレーカ・パネルを使用します。配電要件の策定時に、使用できるAC供給分岐回路の間で電力負荷を分散します。米国およびカナダでは、システム全体のAC入力電流負荷が分岐回路のAC電流定格の80%を超えないようにします。
ノート:
電気の工事や設備は、該当する地域、自治体または国の電気工事規定に準拠する必要があります。建物に供給されている電力のタイプを確認するには、施設管理者または資格を持つ電気技師に問い合せてください。PDU電源コードの長さは4メートル(13.12フィート)で、コードの1から1.5メートル(3.3から4.9フィート)はラック・キャビネット内に配線されます。設置場所のAC電源ソケットは、ラックから2メートル(6.6フィート)以内に必要です。
ブレーカ要件
繰り返し停電したり、電源が不安定な環境下にコンピュータ機器が置かれている場合は、コンポーネントが故障する確率が上昇しやすくなります。
ブレーカはお客様が用意します。電源コードごとに1つのブレーカが必要です。ブレーカの他に、無停電電源装置(UPS)などの安定した電源を用意して、コンポーネントが故障する可能性を減らします。
サーバーに電力を供給するすべての電力回路に対して専用のACブレーカ・パネルを使用します。サーバーは、電気回路の接地を必要とします。
ノート:
電気の工事や設備は、該当する地域、自治体または国の電気工事規定に準拠する必要があります。温度および湿度要件
内部温度が過度に上昇すると、リカバリ・アプライアンス全体または一部が停止する可能性があります。
ZDLRAラックでは、空気は前方から後方に流れます。冷却と通気の詳細は、「一般的な環境要件」を参照してください。
ノート:
調査の結果、温度が摂氏20度(華氏70度)を超えてから摂氏10度(華氏15度)上昇すると、電子機器の長期的な信頼性が50%減少することがわかっています。次の表に、稼働中のマシンおよび非稼働のマシンの温度、湿度、高度の要件を示します。
表-31 温度、湿度、高度の要件
条件 | 稼働要件 | 非稼働要件 | 最適条件 |
---|---|---|---|
温度 |
摂氏5から32度(華氏41から89.6度) |
摂氏-40から70度(華氏-40から158度)。 |
最適なラックの冷却の場合、データ・センターの温度は摂氏21から23度(華氏70から74度) |
相対湿度 |
10から90%の相対湿度、結露なし |
最高93%の相対湿度。 |
最適なラックの冷却の場合、データ・センターの相対湿度は45から50%、結露なし |
高度 |
最高: 3048m (10000フィート) |
12000m (40000フィート)。 |
海抜高度900m以上では300m上昇するごとに周囲温度が摂氏1度低下 |
コンポーネントの故障により停止する可能性を最小限に抑えるには、温度および湿度の最適な範囲に状態を整えます。ZDLRAラックを動作時範囲の限界値またはそれに近い環境で長時間稼働させたり、非動作時範囲の限界値またはそれに近い環境に設置したりすると、ハードウェア・コンポーネントの故障が著しく増加する可能性があります。
サーバーの信頼性を保ち、オペレータが快適に操作できる最適周囲温度範囲は摂氏21から23度(華氏70から74度)です。ほとんどのコンピュータ機器は広範囲の温度で動作できますが、安全な湿度レベルの維持が簡単である摂氏22度(華氏72度)近辺が適しています。この温度範囲で動作すると、空調システムが一定時間ダウンした場合に安全バッファが提供されます。
安全なデータ処理操作には、45から50%が周囲相対湿度の最適な範囲です。ほとんどのコンピュータ機器は広い範囲(20から80%)で稼働できますが、次の理由から45から50%が推奨される範囲です。
- 最適な範囲では、高湿度レベルに伴う腐食の問題からコンピュータ・システムを保護できます。
- 最適な範囲では、空調制御装置が故障しても、すぐに稼働が停止することはありません。
- 相対湿度が低すぎると静電気放電が発生する可能性があり、それに伴う断続的な干渉によって故障または一時的な誤作動が引き起こされます。最適な範囲では、このような静電気による故障や誤作動を防止できます。
湿度が35パーセント未満の相対湿度が低い場所では静電気放電(ESD)が発生しやすく、消えにくくなります。湿度が30パーセント未満になると、ESDは危険な状態になります。データ・センターには、通常、効率的な防湿材があり換気回数が少ないため、湿度を維持するのは難しいことではありません。
換気および冷却要件
常にラックの前後には十分な空間を確保し、適切に換気できるようにします。
ラックからの空気の流れを妨げるような機器や物でラックの前面または背面を塞がないでください。ラックマウント型のサーバーおよび機器は通常、ラックの前面から冷気を吸い込み、背面から暖気を排出します。前方から後方への冷却機能であるため、左右両側について通気要件はありません。
ラックがコンポーネントで完全に埋まっていない場合は、空の部分をフィラー・パネルで覆います。コンポーネント間の隙間は、ラック内の通気および冷却に悪影響を及ぼす可能性があります。
相対湿度とは、結露せずに空気中に存在する水蒸気の総量の割合のことで、気温に反比例します。気温が上がると湿度は下がり、気温が下がると湿度は上がります。たとえば、気温が摂氏24度(華氏75度)のとき相対湿度が45%の空気は、摂氏18度(華氏64度)になると相対湿度は65%になります。気温が下がるにつれて、相対湿度は65%以上に達し、水滴ができます。
空調設備は通常、コンピュータ・ルーム全体の温度および湿度を正確にモニターしたり制御したりしません。一般に、ルーム内の主要装置および他の装置の複数の排気口に対応する個々のポイントで監視を行います。床下換気を採用するときは、湿度を特別に考慮する必要があります。床下換気を採用した場合は、1つの排気口に近接する各ポイントで監視を行います。ルーム全体の温度および湿度の分布は均一ではありません。
Oracle Exadataラックは、自然対流による通気状態で機能するように設計されています。環境仕様を満たすには、次の要件に従う必要があります。
-
サーバーには十分な通気を確保します。
-
サーバーに前方から後方への冷却機能があることを確認します。空気の吸込み口はサーバーの前面にあり、背面から排気されます。
-
換気のために、サーバーの正面に1219.2mm(48インチ)、背面に914mm(36インチ)以上の空間を確保します。
冷気を入れるためにラックの正面に穴の開いたタイル(約400CFM/タイル)を使用します。タイルから冷気がラックに流れていれば、ラックの正面に任意の順序でタイルを配置できます。不適切な冷気の流れにより、排気の再循環でサーバーの注入温度が高くなる可能性があります。次の表に、床タイルの推奨数を示します。
Oracle Exadata Database MachineまたはOracle Exadata Storage拡張ラックのタイプ | 床タイルの推奨数 |
---|---|
Oracle Exadataフル・ラック・システム |
4 |
Oracle Exadataハーフ・ラック・システム |
3 |
Oracle Exadataクオータおよびエイス・ラック・システム |
1 |
図-7に、フル・ラックの場合、一般的にはどのように床タイルを設置するかを示します。
ZDLRAラックのネットワーク接続とIPアドレスの要件
この項では、Oracle Zero Data Loss Recovery Applianceを既存のネットワーク・インフラストラクチャに接続するための要件について説明します。
ZDLRAラックのネットワーク接続要件
設置前に、ネットワーク・ケーブルを既存のネットワーク・インフラストラクチャから設置場所に通しておく必要があります。リカバリ・アプライアンスを既存のネットワーク・インフラストラクチャに接続する要件は、次のとおりです。
ネットワーク | 接続の要件 |
---|---|
管理ネットワーク |
|
クライアント・ネットワーク |
|
追加ネットワーク |
|
RDMAネットワーク・ファブリック(プライベート・ネットワーク) |
アップリンクは必要ありません。RDMAネットワーク・ファブリックはリカバリ・アプライアンス内で完全に自己完結しています。 |
ZDLRAラックのDNS構成
ZDLRAラックの受入前に、Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)を使用してシステムの構成を駆動するファイルを生成する必要があります。システム構成ファイルには、管理ネットワーク、クライアント・ネットワークおよび追加パブリック・ネットワーク用のネットワーク・ホスト名およびIPアドレスが含まれており、これらは初期構成の前にドメイン・ネーム・システム(DNS)に登録する必要があります。特に、すべてのパブリック・アドレス、Single Client Access Name(SCAN)アドレスおよびVIPアドレスもインストール前にDNSに登録する必要があります。
アシスタントで生成されるファイルでは、クライアント・アクセス・ネットワーク上の3つのIPアドレスを持つ1つの名前としてSCANを定義します。3つのSCANアドレスで、クライアントによるOracle Zero Data Loss Recovery Applianceへのサービス・アクセスが可能になります。この3つのSCANアドレスに対するSCAN名のラウンド・ロビン解決用にDNSを構成します。
DNSに登録されたアドレスはすべて、正引き解決と逆引き解決の両方について構成する必要があります。逆引き解決は、正逆のDNSエントリが相互に一致するように正引きの確認を行う(Forward Confirmed reverse DNS)必要があります。
ZDLRAラックのIPアドレス要件
リカバリ・アプライアンスには、ホスト名とIPアドレスの専用割当てが必要です。必要なIPアドレスの数は、主にシステムのサイズによって異なります。
ホスト名やIPアドレスなどの詳細なネットワーク構成は、Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)の情報から生成されます。
OEDAを実行した後に、既存のネットワークにIPアドレスを構成する必要があります。初期構成時に、構成ファイルのIPアドレスはすべて割り当てられていない必要があります。また、すべてのIPアドレスは、動的に割り当てられる(DHCP)アドレスではなく、静的に割り当てられるIPアドレスである必要があります。
すべてのRDMAネットワーク・ファブリックのIPアドレスに同じサブネット内のアドレスを使用し、最小のサブネット・マスク255.255.240.0(または/20)を使用する必要があります。サブネット・マスクは、将来リカバリ・アプライアンスおよび内部ネットワークが拡張されたときにも対応できる程度のものを選択する必要があります。
次の項の情報を使用して、リカバリ・アプライアンスのIPアドレス要件を計算できます。ただし、OEDAで生成された構成情報を認可ガイドとして使用してください。
ラックレベルのIPアドレス要件
次の表に、リカバリ・アプライアンスのラックレベルのIPアドレス要件の概要を示します。これらのアドレスは、システムに選択されている構成オプションに関係なく必要です。
ネットワーク | IPアドレス要件 |
---|---|
管理ネットワーク |
|
RDMAネットワーク・ファブリック(プライベート・ネットワーク) |
データベース・サーバーまたはストレージ・サーバーごとに2つのIPアドレス。 |