11.3 空間Webサービスのデプロイと構成
このトピックでは、Oracle Spatial Webサービス、特にWFS、WCS、CSWおよびGeoRaster REST APIのデプロイと構成に適用される処理について説明します。
これらのサービスはJava Webアプリケーションとして実装され、WebLogic 12.1.3以上にデプロイして実行できます。必要なJavaのバージョンはJDK 8以上です。
ノート:
Oracle Databaseリリース23aiでは、データベースのOJVMがJDK11をサポートしているため、Oracle Spatial Java APIはJDK 11を使用してコンパイルされます。ただし、APIは下位互換性のために引き続きJDK8でサポートされます。APIを使用する場合は、関連するすべてのJARファイルが、使用されているJDKバージョン(JDK 8またはJDK 11)と一致していることを確認してください。様々なJDKバージョンでサポートされているJDBCドライバの詳細は、Oracle JDBCドライバのRDBMSおよびJDKバージョンの互換性を参照してください。- WFS、WCSおよびCSWは、
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ファイルにパッケージされています。 - GeoRaster REST APIは、
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ファイルにパッケージされています。 - ジオコーダ・サービスは、
geocoder.ear.zip
ファイルにパッケージされています。 - ルーティング・エンジンは、
routeserver.ear.zip
ファイルにパッケージされています。
ジオコーダおよびルーティングのファイルは、Oracleインストールの$ORACLE_HOME/md/jlib
ディレクトリにあります。このトピック内の一般的な手順に加えて、使用する各空間Webサービスに関する個別の章を参照し、その他のデプロイおよび構成のタスクを確認してください。
WFS、WCS、CSWおよびGeoRaster REST API (sdows.ear
)は、次の方法でインストールできます。
- Oracle Cloud MarketplaceからOracle Spatial Webサービス・アプリケーションをインストールできます。これにより、Apache Tomcat Webサーバー・インスタンスに
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がインストールされ、Oracle Cloudアカウントの新しいOracle Cloud Infrastructure ComputeにGDALが構成されます。インストールが完了したら、空間Webサービスの構成を続行できます。詳細は、「各空間Webサービスの構成」を参照してください。 - LinuxまたはWindowsマシン上のWebLogic Serverで、
sdows.ear
パッケージをデプロイできます。このパッケージは、次の2つのいずれかの場所で入手できます。- Oracleホーム・インストール内のディレクトリ:
$ORACLE_HOME/md/jlib.
- My Oracle Supportで、Doc ID 3019446.1を使用します。
デプロイメント・パッケージを取得したら、「WebLogic Serverの準備」に進むことができます。
- Oracleホーム・インストール内のディレクトリ:
- WebLogic Serverの準備
空間Webサービスは、JDK 8またはJDK 11をサポートする任意のOracle WebLogic Serverバージョンにデプロイできます。 - WebLogic Serverへの空間Webサービスのデプロイ
この項では、sdows.ear
ファイルに含まれるサービス(WFS、WCS、CSW、GeoRaster REST APIなど)をデプロイする方法について説明します。 - 各空間Webサービスの構成
使用する各空間Webサービスは個別に構成する必要があります。
親トピック: 空間Webサービスの概要
11.3.1 WebLogic Serverの準備
空間Webサービスは、JDK 8またはJDK 11をサポートする任意のOracle WebLogic Serverバージョンにデプロイできます。
ただし、Oracle WebLogic Serverバージョン14.1.1.0.0を使用することをお薦めします。
WebLogic環境を準備するには、次のステップを実行します。
親トピック: 空間Webサービスのデプロイと構成
11.3.2 WebLogic Serverへの空間Webサービスのデプロイ
この項では、sdows.ear
ファイルに含まれるサービス(WFS、WCS、CSW、GeoRaster REST APIなど)をデプロイする方法について説明します。
その他のWebサービスについては、それぞれの章の手順に従ってください。
また、WCSまたはGeoRaster REST APIを構成する場合は、sdows.ear
ファイルのデプロイ前にGDALを設定する必要があることに注意してください。WFSまたはCSWにのみ関心がある場合は、「GDALの設定」の項をスキップできます。
WebLogic Serverにsdows.ear
ファイルをデプロイするには、次のステップを実行します。
- 構成ファイルおよびログ・ファイルを格納するフォルダを作成します。
- 前のステップで作成したフォルダを指す環境変数
SDOWS_HOME
を作成します。 <WLS_HOME>/wlserver/common/deployable-libraries/jax-rs-2.0.war
をライブラリとしてOracle WebLogic Serverにデプロイします。詳細は、エンタープライズ・アプリケーションのインストールを参照してください。- オプションで、WCSまたはGeoRaster REST APIをデプロイする場合にのみ、GDALを設定します(「GDALの設定」を参照)。
- WebLogicデータ・ソースを追加します(「WebLogicデータ・ソースの追加」を参照)。
- オプションで、GeoRaster REST APIをデプロイする場合は、必要な環境変数とOracle Walletを設定します。
sdows.ear
をアプリケーションとしてデプロイします(エンタープライズ・アプリケーションのインストールを参照)。
空間Webサービスに必要なステップを完了したら、「デプロイ」ページでアプリケーションがActive
状態であることを確認します。Prepared
状態の場合、「起動」をクリックしてアプリケーションを起動します。手順は、デプロイされたエンタープライズ・アプリケーションの起動と停止を参照してください。
- GDALの設定
この項では、GDAL (Geospatial Data Abstraction Library)の設定方法について説明します。 - WebLogicデータ・ソースの追加
JDBCデータ・ソースをWebLogicドメインに追加して、WebLogic Serverでデータベース接続を構成できます。 - GeoRaster REST APIの設定
GeoRaster REST APIの設定について学習します。
親トピック: 空間Webサービスのデプロイと構成
11.3.2.1 GDALの設定
この項では、GDAL (GeoSpatial Data Abstraction Library)の設定方法について説明します。
GDALは、MOSノート2997919.1にリストされているパッチIDを使用して、My Oracle Supportからダウンロードできます。
Linux 64オペレーティング・システム用とWindows 64オペレーティング・システム用の2つのGDAL zipファイルがあります。
GDAL zipファイル内のREADME.txt
ファイルには、GDALを設定する手順が含まれています。
GDALが設定されている端末からサーバーを起動するか、WebLogicドメインのbin
フォルダにあるWebLogic ServerのsetDomainEnv
スクリプトからgdal_setup
スクリプトを起動して、実行中のOracle WebLogic ServerでGDALが使用可能であることを確認します。
11.3.2.2 WebLogicデータ・ソースの追加
JDBCデータ・ソースをWebLogicドメインに追加して、WebLogic Serverでデータベース接続を構成できます。
JDBC汎用データ・ソースの作成の手順に従って、汎用データ・ソースを作成できます。
ただし、データ・ソースの構成時に値を選択する際には、次の点を考慮する必要があります。
- JDBCデータ・ソース名には、文字A-Z、a-z、0-9のみを含める必要があります。この値は、サービスURLの一部になります。
- JNDI名の形式は
JDBC/<name>
である必要があります。<name>はJDBCデータ・ソース名と同じです。
11.3.3 各空間Webサービスの構成
使用する各空間Webサービスは個別に構成する必要があります。
ご使用の環境でサポートするWebサービスに応じて、特定のタスクを実行する必要があります。権限を作成し、データベース・ユーザーに付与する必要がある場合があります。WebLogic Serverで、特別なデータ(ジオコーディング用など)のダウンロードおよびロード、構成ファイルの変更、またはデータ・ソースの作成が必要な場合もあります。
- 空間Webサービスの管理コンソール
Oracle Spatialは、WFS、WCSおよびCSW Webサービス・エンジンを構成するのに役立つWebアプリケーションを提供します。
親トピック: 空間Webサービスのデプロイと構成
11.3.3.1 空間Webサービスの管理コンソール
Oracle Spatialは、WFS、WCSおよびCSW Webサービス・エンジンを構成するのに役立つWebアプリケーションを提供します。
次の図は、Oracle Spatial Webサービス管理コンソールのユーザー・インタフェースを示しています。
管理コンソールのユーザー・インタフェースは次のページで構成されています。
- フィーチャのパブリッシュ: 各サービスについて含まれるデータを追加および削除します。
- テスト: 各サービスのリクエストおよびレスポンスをテストします。
- ログ: 診断用のログ・ファイルのコンテンツを表示およびダウンロードします。
- サービス構成: 各サービスを構成します。
ブラウザで管理コンソールを起動するには、次のURLを使用します。
http://<system-name>:<port>/oraclespatial/
前の図に示すように、アプリケーションにログインするには、認証用に「ユーザー名」および「パスワード」資格証明を指定するか、ゲストとしてサービスをテスト・リンクをクリックしてテスト・ページを開くことができます。テスト・ページでは、使用可能なすべてのサービス操作リクエストを表示して、OGCリクエストを作成できます。テスト・ページを除く他のすべてのページで認証が必要であることに注意してください。
ページの右上にあるユーザー・メニューを使用して、「ログイン」または「ログアウト」を実行できます。すべてのユーザーは、管理コンソールがデプロイされているOracle WebLogic Serverで構成されます。
「サービス」メニューは、ページの左上にあります。
「サービス」メニュー・オプションは次のとおりです。
- Web Feature Service
- Web Coverage Service
- Catalog Service for the Web
いずれかのサービス・オプションをクリックすると、選択したサービスで使用可能なすべてのタブがメイン・ページに表示されます。
選択したサービスのページの右上にある「データソース」ドロップダウンから、構成済データ・ソースを選択します。選択したデータ・ソースはいつでも変更できます。WebLogic Serverで複数のデータ・ソースを構成して、異なるスキーマまたはデータベースのデータにアクセスできます。
「サービス構成」タブでは、GetCapabilities
レスポンスに示されるロギング・レベルなどのサービス・パラメータやサービス・プロバイダ情報を変更できます。
「テスト」タブでは、様々な操作に対して単純なリクエストを作成できます。パラメータを編集、追加または変更し、HTTP POST/XMLリクエストとして送信できます。レスポンスも表示されます。
「ログ」タブには、問題を診断するためのログ・ファイルの内容が表示されます。zipファイルに圧縮されたログをダウンロードし、後で問題の診断に使用できます。
関連項目:
親トピック: 各空間Webサービスの構成