使用トランザクションの概要

使用トランザクションは、使用連係の請求決定要因計算のレコードです。計算されるすべての使用量は、使用トランザクションの一部として格納されます。

ほとんどの使用要求では使用トランザクションが作成されますが、外部アプリケーションによりリアルタイムで使用計算を起動することもできます。つまり、使用トランザクションを作成せずに、リアルタイムで使用連係の使用を取得できます。この技法は、バッチ・プロセスの一部としてではなく、オンライン要求にのみ使用することをお薦めします。

使用計算グループの決定

使用を計算する際の最初のステップは、請求決定要因の計算または検証に使用されるルール・セットを保持する使用計算グループを決定することです。この処理で使用する使用計算グループを構成するには、2つの方法があります。これは、使用連係の作成時に、発行日と失効日を使用して使用連係に指定できます。使用トランザクションに有効な使用計算グループが存在しない場合、使用連係タイプで指定されたフォールバック使用計算グループが使用されます。もう1つは、使用計算グループ決定上書きアルゴリズムを使用連係タイプで指定する方法です。このオプションにより、使用計算グループの識別に特別またはカスタムのロジックが必要となる場合に柔軟に対応できます。基本製品には、料金および取付済設備に基づいて使用計算グループを識別するアルゴリズムが提供されています。その他の詳細は、D2-DRVUSGGRPアルゴリズム・タイプの詳細摘要を参照してください。

計算期間

使用トランザクション要求では、使用トランザクションの日付範囲を指定する必要があります。この日付範囲は、使用トランザクションの計算期間と呼ばれます。計算期間を定義する日付は、連係システムによって使用トランザクションの要求時に指定されます。

複数設備構成および計算期間

サービス・ポイントでメーター交換が行われる場合、使用トランザクションの締め期間(「終了日時: 自」値と「終了日時: 至」値の間の期間)中に複数の設備構成を有効にすることができます。

このことに対応するために、「使用連係タイプ」「メーター交換オプション」を使用して、使用計算で締め期間中に有効な複数の設備構成を処理する方法を指定できます。フラグが「遅延計算」に設定された場合、新規設備構成は現在の使用トランザクションから除外されます。フラグが空白または「使用の計算」に設定された場合、新規設備構成は現在の使用トランザクションに含まれます。

日付分割

前述のように、日付分割は、サービス・ポイントで料金変更が発生した日付に基づいて、使用期間をサブ期間に分割するために使用します。たとえば、連係システムで1月の使用が要求された場合を考えてみます。この要求の対象となる顧客はインターバル・メーターを所有しており、顧客の使用は、そのインターバル消費量にTOUマップを適用することで計算されます。連係システムで、顧客の料金が1月の途中(1月16日)に変更されたことが検出され、2つのチャンク(料金変更の前と後)でTOU消費量を計算することが必要になりました。顧客がインターバル・メーターを所有しているため、(各期間の日数で合計使用を除算することにより各期間の数量を計算するのとは対照的に、)料金変更の前後の厳密な消費量を正確に計算できます。

この状況に対処するには、連係システムで(それぞれ必要な日付範囲が設定された) 2つの使用トランザクションを要求する方法があります。別の方法としては、連係システムで、料金変更の前後の日付範囲を定義する日付分割を使用した単一の使用トランザクションを要求することもできます。前述の例を引き続き使用すると、1月16日での日付分割を使用して使用トランザクションを作成できます。

使用トランザクションに日付分割が含まれる場合、使用計算エンジンにより、日付分割に基づいて使用が複数の使用期間に分けられます。使用トランザクション内に日付分割が含まれない場合は、計算期間全体に対して単一の使用期間が作成されます。

v2.0.0リリース以降では、連係システムによって使用の要求時に日付分割が指定された場合にのみ、使用トランザクションに日付分割を含めることができます(請求期間中に価格と価格設定ルールが変更されたかどうかおよびその変更時期は、連係システムでのみ認識されます)。実装に日付分割の原因となる追加基準が含まれる場合、これらの基準を使用トランザクションのビジネス・ルールに簡単に追加できます。

使用量

使用トランザクションに作成されたすべての使用期間には、1つ以上の使用量が含まれます。使用量は、使用トランザクションの作成元である使用連係に指定された使用計算グループのルールによって計算されます。たとえば、使用トランザクションには、サービス・ポイントに取り付けられている設備構成のkWhチャネルにTOUマップを適用する単一のルールによって計算される使用量が含まれる場合があります。

各使用量には、数量および該当する数量に関する単位(または必要に応じてTOUや使用量識別子)などの詳細がリストされます。さらに、各使用量では、数量のソース(計量コンポーネント)も参照されます(監査目的)。

使用量の端数処理

使用量を端数処理する方法は、「使用量端数処理詳細」パラメータを使用して定義できます。これらのパラメータを使用すると、数量を端数処理する方法(切上げ、切捨てまたは四捨五入)および端数処理後に保持される小数点以下桁数を構成できます。

請求書印刷オプションの品質評価

使用トランザクション使用量には、その計算に使用される測定の品質に関する情報、および外部の顧客情報や請求書印刷システムに送信可能なその他の情報も含めることができます。この情報は、使用トランザクションと関連するアウトバウンド・メッセージの両方に含められます。

品質評価

「日次スカラー使用計算ルール」「インターバル・データの取得」「スカラー詳細の取得」および「マップ済使用のTOUの取得」の各使用計算ルールには、使用の計算時に使用される測定の測定条件を評価して、結果の使用トランザクションとアウトバウンド・メッセージに含める必要があるかどうかを示す(「Yes」または「No」)「測定品質評価の実行」オプションが含まれます。有効化(「Yes」に設定)されている場合、使用計算ルールのアルゴリズムにより、計算で使用される測定の条件コードが評価され、条件の通常範囲内に含まれるかどうかが判別されます(この範囲は、通常の条件範囲下限および通常の条件範囲上限のアルゴリズム・パラメータによって定義されます)。この評価の結果は、「使用期間」セクションの「データ品質評価」列に表示され、使用量が通常と非通常のどちらのデータに基づいているかを示します。(「測定品質評価の実行」オプションが無効になっている場合、「データ品質評価」列には「評価実行なし」と表示されます)。また、「ソース測定品質リスト」列には、条件/品質別に集計された測定のリストが含まれるXMLが表示されます。

最大/最小日時

「インターバル・データの取得」「マップ済使用のTOUの取得」および「ベクトルおよび使用量計算」の各使用計算ルールは、使用量の計算時に使用される最大または最小の測定値の日時を識別するように構成できます。これらの関数について、「計算関数」として「最大」または「最小」(あるいは「ベクトルおよび使用量計算」ルールの場合には「一致最大」および「一致最小」関数)が選択されている場合、最大/最小値の日時は、結果の使用トランザクションとアウトバウンド・メッセージに含まれます。「使用量ハイライト日時リスト」列には、条件/品質に基づいて最大/最小日時のリストが含まれるXMLが表示されます。

使用トランザクション・エクスポート構成

使用トランザクションには、関連するメーターとサービス・ポイントに関する追加情報および使用量が推定使用に基づいているかどうかの指定を含めることができます。「使用トランザクション・エクスポート構成」マスター構成を使用して、このデータのエクスポートを制御します。これには、使用トランザクションとアウトバウンド・メッセージに含めるメーターおよびサービス・ポイントの情報を指定するために使用される、設備ビジネス・オブジェクトとサービス・ポイント・ビジネス・オブジェクトが保持されます。

「使用トランザクション・エクスポート構成」マスター構成では、しきい値パーセントも定義されます。このしきい値パーセントを超過すると、使用トランザクション・アウトバウンド・メッセージを介してエクスポートされる使用量は推定としてマークされます。たとえば、推定しきい値パーセントが35%に設定されている場合、35%を超える推定使用を含む測定から計算されたエクスポートされる使用量は、すべて推定済としてマークされます。

スカラー使用の使用量

スカラー使用の使用トランザクションおよび使用量は、インターバル使用から作成される場合といくつかの点で異なります。たとえば、連係システムで、月の途中で交換されたスカラー・メーターを所有する顧客の1月の使用が要求された場合を考えてみます。この場合、顧客の使用は、(すべてのメーター交換を含む)要求された期間内のスカラー検針を検索することで計算され、連係システムでは、すべてのスカラー検針のレコードおよびこれらの消費量の合計が必要となります

システムではインターバル値が格納されず、各期間の数量を正確に計算できないため、スカラー・ルールで日付分割を使用することはできません。この場合、スカラー使用計算ルールにより、使用連係にリンクされているサービス・ポイントのスカラー検針が取得された後、使用トランザクションの計算期間全体を対象とした単一の使用期間が作成されます。個々のスカラー検針は、使用トランザクションでスカラー詳細として取得されます。

前述の例を引き続き使用すると、「スカラー詳細」には、メーターごとに1つずつ2つのエントリと、計算期間全体を対象とした合計消費量を含む単一の使用期間が表示されます。次の表に、この内容を示します。

使用推定

月次のスカラー検針の使用を計算する場合、請求サイクル・ウィンドウが終了するまで今回検針を使用できないことがあります。要求で推定測定を許可することが指定されている場合、「スカラー詳細の取得」使用計算ルールにより推定今回検針が作成され、スカラー使用の計算に使用されます。

機器の使用の計算

使用トランザクションでは、サービス・ポイントに取り付けられている機器の使用を計算することもできます。機器の使用は、「件数および消費量の取得」使用計算ルールを使用して計算されます。このルールにより、各サービス・ポイントに取り付けられている機器の数に基づいて使用が計算され、各機器のタイプに定義された平均日次使用量が計算されます。機器の使用の計算方法の詳細は、機器または複数機器が取り付けられている(サービス・ポイント・タイプで定義された)サービス・ポイント・カテゴリに基づきます。

仮定計算 - 料金比較

Oracle Utilities Meter Data ManagementがOracle Utilities Customer Self Serviceに統合されている場合、顧客は料金比較計算を実行し、ユーザー定義の使用調整のセットに基づいた使用と請求料金への影響を確認できます。料金比較使用トランザクションには、「計算モード」フィールドで「仮定計算」のフラグが設定されます。

「プロファイル累計」使用計算ルールおよび使用調整プロファイル係数

料金比較使用トランザクションは、「プロファイル累計」使用計算ルールを使用して作成できます。このルールにより、サービス・ポイントの測定は、1つ以上のプロファイル係数の特性値として定義されたプロファイル計量コンポーネントの測定データから導出される使用調整測定に結合されます。

使用調整プロファイル係数は、「使用調整タイプ」拡張可能参照で定義された使用調整タイプ、および「CCB料金表」拡張可能参照で定義された料金に関連付けられます(この関連付けはセルフサービス・マスター構成で定義されます)。使用トランザクションの作成時、料金では、「CCB料金表」拡張可能参照に基づいて、実行する使用計算および計算に含める使用調整プロファイル係数が決定されます。

注意: 「プロファイル累計」使用計算ルールは、使用トランザクションの「計算モード」が「仮定計算」(D2HC)に設定されている場合にのみ実行されるように、適用基準を使用して構成する必要があります。

使用トランザクションでの要約使用量およびインターバル・データ・スナップショットの組込み

使用トランザクションは、外部システムに送信される使用量やその他の情報とともに、要約使用量およびインターバル・データ・スナップショットを含むように構成できます。これは、使用量をインターバル・ベースの価格設定計算を実行する課金システムに送信するときに使用されます。

「インターバル・データの取得」または「ベクトルおよび使用量計算」の使用計算ルールによって(全部または一部が)作成された使用トランザクションにのみ、インターバル・データ・スナップショット情報を含めることができます。これらのルールでは、「インターバル・データの抽出」フラグを使用して、使用トランザクションからの使用が外部システムに送信されるときに、この使用計算ルールの結果であるインターバル・データのスナップショットを外部システムに送信する必要があるかどうかを示します(「Yes」または「No」)。

基本パッケージでは、使用トランザクション・アウトバウンド・メッセージ(D2-UsageTranOutboundMesg)ビジネス・オブジェクトを使用して、使用トランザクションを含むアウトバウンド・メッセージを作成します。このビジネス・オブジェクトには、インターバル・データ・スナップショットとその他の要約使用量を計算および作成する、「要約使用量の作成」(D2-BLDSUMSQ)前処理アルゴリズムが含まれます。

要約使用量およびインターバル・データ・スナップショットの計算方法

前述のように、「要約使用量の作成」(D2-BLDSUMSQ)アルゴリズムにより、使用トランザクションの詳細に基づいて要約使用期間リストが作成されます。使用トランザクション内の各使用期間では、次の動作が行われます。

使用期間使用量リスト内の固有の単位/TOU/使用量識別子のすべての組合せについて、要約使用量リストにエントリが挿入されます。

使用期間使用量リスト内の固有のサービス・ポイントID/単位/TOU/使用量識別子のすべての組合せについて、サービス・ポイント使用量リストにエントリが挿入されます。

複数使用量のインターバル・データは、単位/TOU/使用量識別子の組合せごとに、単一のインターバル・データ曲線に結合されます。インターバルは、共通の秒/インターバルに基づいて要約され、スケール変更されます

1つ以上の曲線が異なるインターバル・サイズで結合された場合、「要約使用量の作成」(D2-BLDSUMSQ)アルゴリズムでは、「ターゲット・インターバル・サイズ」パラメータを使用して、結合された曲線のインターバル・サイズを定義します。たとえば、15分インターバル(SPI 900)のインターバル・データと60分インターバル(SPI 3600)のデータを結合する場合、「ターゲット・インターバル・サイズ」を60分(SPI 3600)に設定すると、結合されたデータのインターバル・サイズは3600となります(15分インターバルは、60分インターバル・データと結合される前に最大で60分インターバルまでスケール変更されます)。