動的集計実行の理解

この項では、様々なタイプの動的集計処理や集計可能な様々なタイプのデータについての説明を含む、動的集計処理の実行方法の概要について説明します。

動的集計実行: 集計グループおよび集計グループ実行

集計処理は、集計グループによって管理されます。集計グループは、特定の集計プロセスで発生する必要がある、集計のシーケンスの概要を示します。各集計グループには一連の計量コンポーネント・セットが含まれ、各計量コンポーネント・セットには1つ以上の関連集計計量コンポーネントが含まれます。

集計グループに対して処理が開始されると、集計グループ実行レコードが作成され、集計処理のステータスおよび進捗が追跡されます。このレコードを使用して、各グループの集計プロセスを管理して、次に実行する必要がある計量コンポーネント・セットおよび集計の完了時期を追跡します。

次の各ステップは、集計プロセスの概要を示しています。
  1. ディメンション・スキャンおよび集計モニター・バッチ管理(D1-DSAEM)によって、すべての集計グループの処理が開始されます。これは、1日に1回以上スケジュールする必要があります。このモニター・プロセスは、集計グループごとにすべてのモニター・アルゴリズムを実行します。基本パッケージの集計グループには、次の2つのモニター・アルゴリズムが含まれています。
    • 集計グループ実行の保守(D1-AGRM)

  2. 「集計グループ実行の保守」アルゴリズムでは、集計グループに定義された処理予定表およびスケジュールされた最後の実行を調べることにより、集計グループが集計する準備が整っているかどうかを確認します。次の集計の時間が到来すると、アルゴリズムによって保留の集計グループ実行が作成され、これは、その後、その集計の計量コンポーネント・セットのステータスの追跡に使用されます。 

  3. 「ディメンション・スキャナと集計モニター」バッチ・プロセスが完了すると、「ディメンション・スキャナ・バッチの発行」(D1-SUBDIMSCN)後処理アルゴリズムは、次の計量コンポーネント・セットが手動でない、進行中の集計グループ実行エントリを検索します。少なくとも1つが見つかった場合は、「集計グループ・ディメンション・スキャナ」バッチ・プロセス(D1-AGDS)が開始されます。

  4. 「集計グループ・ディメンション・スキャナ」バッチ・プロセスは、進行中の各集計グループ実行の次の計量コンポーネント・セットを識別します。その次の計量コンポーネント・セットが手動でない場合は、計量コンポーネント・セットの各集計計量コンポーネントを取得して、その集計計量コンポーネントに対してモニター・アルゴリズムを実行します。これらには集計アルゴリズム(インターバル、請求量など集計するデータのタイプに固有)が含まれ、場合によっては値導出アルゴリズムが含まれることもあります。

  5. 「集計グループ・ディメンション・スキャナ」バッチ・プロセスによってモニターされる集計計量コンポーネントごとに、集計プロセスは次の内容を実行します。

    1. 適切な「構成要素の検索」アルゴリズムを実行して、集計する構成要素のリストを検出します
    2. 集計する必要があるそれらの構成要素のデータを抽出します
    3. そのデータに対して適切な集計アルゴリズムを実行して、結果を格納します
    4. 検証アルゴリズムを実行します(該当する場合)
    5. 値導出アルゴリズムを実行します(該当する場合)
  6. 「集計グループ・ディメンション・スキャナ」バッチ・プロセスの「次の計量コンポーネント・セットの集計」(D1-AGGNXMCS)後処理アルゴリズムは、集計された各計量コンポーネント・セットの集計グループ実行のバッチ情報を更新し、「ディメンション・スキャナと集計モニター」バッチ・プロセスを再実行するように要求します。

  7. これにより、すべての集計グループに対してモニター・アルゴリズムが再実行され、次のいずれかの処理が実行されます。
    • 集計グループ実行が進行中で、次の計量コンポーネント・セットが「自動」の場合は、何も実行されません。

    • 集計グループ実行が進行中で、次の計量コンポーネント・セットが「手動」の場合は、作業予定が作成されます。

    • 集計グループ実行に次の計量コンポーネント・セットがない場合は、集計グループ実行が「完了」に設定されます

    注意: 「ディメンション・スキャナ」アルゴリズムが再実行されますが、保留の集計グループ実行がないため、何も実行されません。
  8. すべての計量コンポーネント・セットが完了すると、「集計グループ実行の保守」アルゴリズムは、集計グループ実行を完了とマークします。

集計スケジューリング

集計期間の基礎的な内容は、「集計期間の理解」を参照してください。

集計グループの集計スケジューリングは、「定義されたラグ」または「処理予定表」に基づくことができます。
  • 「定義されたラグ」スケジュールでは、次のパラメータを使用します。

    • 集計締め時間: 集計グループに関連付けられた計量コンポーネント・セットの集計計量コンポーネントに対して実行された集計計算の終了時間。これは、集計期間に一貫性のある終了時間を確保するために使用します。これは特に、他の集計を集計するときに便利です。

    • 集計タイムラグ: 総計計算が実行される日付と総計期間の終了日の間の日数。これにより、集計計算日から、すべての測定が到着する集計範囲までの期間が定義されます。これは、集計期間の開始日と終了日を決定するために集計範囲とともに使用されます。たとえば、集計範囲が5で、集計タイムラグが2の場合、1月9日に実行される集計計算の集計期間は、1月3日から1月7日になります。その次の日(1月10日)の場合、集計期間は1月4日から1月8日に移ります。

    • 集計範囲: 集計グループに関連付けられた計量コンポーネント・セットの集計計量コンポーネントの集計期間内の日数。これは、集計計量コンポーネントに関連付けられた1つ以上の計量コンポーネントで測定データが変更された可能性がある期間を反映しています。これは、集計期間の開始日と終了日を決定するために集計タイムラグとともに使用されます。

  • 「処理予定表」スケジュールでは、「処理予定表タイプ」を使用して、集計スケジュールを進めていきます。

動的集計では、集計が実行される場合、集計グループのすべてのメンバーで集計期間が一貫しています。計量コンポーネント・セット間や計量コンポーネント・セット内の計量コンポーネント間で、データが集計されてきた期間に差異があっても、このことに変わりはありません。また、集計が実行される場合、各集計計量コンポーネントはすべて同じ集計期間を使用します。