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Oracle Database 2日でデータベース管理者
11g リリース1(11.1)

E05759-03
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12 Oracle Databaseソフトウェアの管理

この章では、パッチ・リリースおよびソフトウェア・リリースを適用してOracle Databaseソフトウェアを最新の状態に保つ方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。

ソフトウェアの管理およびパッチ・リリースについて

ソフトウェアの管理では、最新のプロダクト修正でOracle Databaseソフトウェアを最新の状態に保ちます。製品に欠陥やバグが見つかった場合、問題を修正するパッチが作成されます。パッチを使用して、インストール済のソフトウェアの欠陥を個別に修正できます。個々のパッチを個別パッチと呼びます。個別パッチは、ビジネス上の理由から問題を修正する新規パッチ・セットのリリースを待てない場合に利用します。

オラクル社では、パッチ・セットの形式で定期的にソフトウェアのメンテナンス・リリースを発表しています。パッチ・セットは、メンテナンス・リリースまでにリリースされたプロダクト修正をまとめた、テスト済の統合プロダクト修正です。パッチ・セット内のすべてのプロダクト修正はテスト済であり、相互に連携して機能することが保証されています。

各パッチまたはパッチ・セットには識別用のバグ番号が付けられており、パッチ・セットにはバージョン番号も付けられています。たとえば、Oracle 11gリリース11.1.0.1を使用する場合は、使用可能なパッチ・セットは11.1.0.3になります。ソフトウェアに個別パッチを適用した場合でも、ソフトウェアのバージョン番号は変化しません。

各パッチには、ソフトウェアの修正方法を説明するREADMEファイルが付属しています。READMEファイルには、パッチの適用方法も記載されています。

各パッチ・セットには、インストール手順やパッチ・セット内のプロダクト修正に関する情報を提供するPatch Set Notesファイルが付属しています。Oracleソフトウェアにパッチ・セットを適用すると、インストール済のソフトウェアのメンテナンス・リリース番号が変化します。パッチ・セットの適用の影響を受けるのは、Oracleホームにあるソフトウェアのみです。データベース内のデータに影響はありません。

Oracle Enterprise Manager Database Controlを使用して、Oracleパッチおよびパッチ・セットのステージングと適用を自動化できます。Database Controlは、OracleパッチをOracle MetaLinkのWebサイトからダウンロードし、サーバー上のディレクトリにコピーすることにより、Oracleパッチをステージングします。

Oracleソフトウェアのパッチ適用

Oracleソフトウェアにパッチを適用するには、次の手順を実行します。

Oracle Databaseソフトウェア環境の確認

環境に適したパッチ・セット・リリースを選択するには、ご使用のOracle環境について次のことを把握する必要があります。

Oracle Databaseのバージョンの確認

Oracle Databaseのバージョンは、Enterprise Manager Database Control(Database Control)のデータベースのホームページで確認できます。

Oracle Databaseのバージョンを確認するには、次のようにします。

データベースのホームページの「一般」でバージョン番号を確認します。


画像の説明

Oracleホームの場所の確認

OracleホームはOracle Databaseインストールのオペレーティング・システムの場所です。

Oracleホームの場所を確認するには、次のようにします。
  1. データベースのホームページの「一般」セクションで、「すべてのプロパティの表示」をクリックします。

    すべてのプロパティの表示ページが表示されます。

    このページには、Oracleホームのパスが表示されます。


    画像の説明

  2. 「Oracleホーム」の横にあるパスのリンクをクリックします。

    図12-1のようなOracleホーム: Oracle_homeページが表示されます。

    このページには、インストール済のOracleコンポーネントおよびインストール時刻とともに、Oracleホームのファイル・ディレクトリが表示されます。

    図12-1    Oracleホームページ


    画像の説明

  3. 「製品」表の「コンポーネント」列のリンクを1つクリックします。たとえば、「Oracle Database 11g 11.1.0.3.0」をクリックします。

    Oracleコンポーネント : component_nameページが表示されます。

    このページには、選択したコンポーネントに関する次の情報が表示されます。

    • component_nameに影響を与える個別パッチ、および各パッチの説明とインストール時刻

    • component_nameが依存するコンポーネントとそのインストール時刻

    • component_nameを使用するコンポーネントとそのインストール時刻

  4. 「Oracleホーム・ターゲット」表で、「名前」列のリンクを1つクリックして、Enterprise Managerエージェント、データベース・インスタンスおよびリスナーのページを表示します。

ハードウェア構成の確認

ご使用のハードウェアは、データベース・コンピュータとオペレーティング・システムで構成されています。適切なOracle Databaseパッチまたはパッチ・セットを選択するには、この情報が必要です。

ハードウェア構成についての情報を確認するには、次のようにします。
  1. データベース・ホームページの「一般」セクションで、「ホスト」の名前をクリックします。

    ホスト: host_nameページが表示されます。

    このページには、ハードウェア構成に関する次の情報が表示されます。

    • オペレーティング・システム

    • ハードウェア・プラットフォーム

    • IPアドレス

    • CPUの数

    • メモリー・サイズ(MB)

    • ローカル・ファイル・システム(GB)

  2. 「構成」セクションでリンクをクリックして、オペレーティング・システム、ハードウェア・プラットフォームおよびローカル・ファイル・システムの説明のページにドリルダウンします。

OracleMetaLink資格証明の設定

パッチおよびパッチ・セットはOracle MetaLinkから入手できます。このサイトは次のURLにあります。

https://metalink.oracle.com

Oracle Metalinkからパッチおよびパッチ・セットをダウンロードするには、会社がオラクル社とのサポート契約を行った際に取得したカスタマ・サポートIDを使用して登録する必要があります。Oracle Metalinkに登録すると、Webブラウザからこのサイトにログインできるユーザー名およびパスワードが付与されます。

Database Controlのパッチ機能を使用するには、Oracle MetaLink資格証明を構成する必要があります。Oracle MetaLink資格証明を指定すると、RefreshFromMetalinkジョブと呼ばれる自動プロセスにより、インストール済ソフトウェアに適用可能なパッチをOracle MetaLink内で毎日検索されます。クリティカル・パッチ情報の通知を受けることもできます。

OracleMetaLinkログイン資格証明を設定するには、次の手順を実行します。
  1. ほとんどのDatabase Controlページの上部および下部にある「設定」リンクをクリックします。

    設定ページが表示されます。

  2. 「パッチ適用設定」をクリックします。

    パッチ適用設定サブページが表示されます。


    画像の説明

  3. 「MetaLinkユーザー名」および「MetaLinkパスワード」フィールドに、Oracle MetaLinkのログイン・ユーザー名とパスワードを入力します。

  4. (オプション)「パッチ・キャッシュの最大サイズ(MB)」フィールドにパッチ・キャッシュの最大サイズを入力します。

    パッチ・キャッシュとは、パッチが格納される一時領域です。パッチ・キャッシュが指定された最大サイズを超えると、Database Controlでは自動的にパージ操作を実行し、パッチ・キャッシュが指定された最大サイズより小さくなるまで、古いパッチが削除されます。

  5. 「適用」をクリックしてOracle MetaLink資格証明を設定します。

パッチおよびパッチ・セットのステージングおよび適用

パッチまたはパッチ・セットを適用すると、ステージングされたパッチ・ファイルまたはローカルに格納されたパッチ・ファイルがサーバー上のOracleホームにインストールされます。Enterprise Managerを使用してパッチまたはパッチ・セットをステージングし、適用するには、パッチ資格証明を取得する必要があります。

パッチ適用ウィザードを使用してパッチおよびパッチ・セットをステージングし、適用するには、次の手順に従います。
  1. データベース・ホームページで、「ソフトウェアとサポート」をクリックします。

    データベース・インスタンス: instance_nameページが表示されます。


    画像の説明

  2. 「データベース・ソフトウェアのパッチ」セクションで、「パッチの適用」を選択します。

    パッチの選択ページが表示されます。

  3. 新しく適用するパッチがあるかどうかを検索するには、「パッチの追加」をクリックします。

    パッチの検索および選択ページが表示されます。


    画像の説明

  4. 「検索」セクションの「リリース」リストから最新のデータベース・リリースを表す数値11.1.0.5.0を選択します。「プラットフォーム」リストからインストール済オペレーティング・システムの名前(「Linux x86」など)を選択します。選択が完了した後、「実行」をクリックします。

    「製品ファミリ」、「製品」、「パッチ・タイプ」および「言語」の値を変更し、「実行」をクリックすることにより、検索対象を絞り込むことができます。

  5. (オプション)パッチまたはパッチ・セットを選択し、「表示」をクリックして、パッチの詳細を表示します。

  6. パッチまたはパッチ・セットを選択し、ページの右上の「選択」をクリックして、パッチ適用ウィザードを起動します。

    パッチの選択ページが表示されます。


    画像の説明

  7. 手順5で選択したパッチまたはパッチ・セットが「パッチ」表に表示されない場合は、「パッチの追加」をクリックし、パッチを再検索します。選択したパッチまたはパッチ・セットが「パッチ」表に表示された後、「次へ」をクリックします。

    資格証明とスケジュール・ページが表示されます。


    画像の説明

  8. パッチ適用操作を実行するオペレーティング・システム・ユーザーの資格証明を入力します。すでに優先資格証明を構成している場合は、「優先資格証明の使用」オプションを選択します。

    「スケジュール・タイプ」オプションとして、デフォルト値である「1回(即時)」を選択します。オプションとして、「1回(後で)」を選択して、パッチ適用スケジュールを設定することもできます。「次へ」をクリックして続行します。

    確認ページが表示されます。

  9. このページの情報を確認します。情報に誤りがある場合は、「戻る」をクリックして前のページに戻り、修正します。完了した後、「終了」をクリックして、データベースにパッチを適用するジョブを発行します。

    デプロイメント・プロシージャ・マネージャ・ページが表示されます。


    画像の説明

  10. (オプション)最近発行されたパッチ適用操作の進捗状況を表示するには、「Oracleスタンドアロン・データベースへのパッチ適用」をクリックします。

    プロシージャ完了ステータス・ページが表示されます。


    画像の説明

    パッチ適用プロシージャの一環として、データベース・インスタンスとDatabase Controlが停止されて再起動されます。再起動後、再度ログインし、プロシージャ完了ステータス・ページでステータスを確認します。

  11. 各手順のステータスを確認した後、プロシージャがまだ完了していない場合は、「リフレッシュ」をクリックして表示を更新します。

    結果を確認した後、「終了」をクリックします。

  12. 「データベース」タブをクリックします。

クリティカル・パッチ・アドバイザの表示

Enterprise Managerのパッチ・アドバイザには、インストール済Oracle製品用のクリティカルなソフトウェア・パッチについての記述があります。安全で信頼性の高い構成にするには、関連する最新のクリティカルなパッチをすべて適用する必要があります。

パッチ・アドバイザでは、処置に対するサポートも提供されます。アドバイザを選択し、そのアドバイザのコンテキストから計算された処置、および影響を受けるOracleホームを表示できます。

パッチ・アドバイザには、現在のインストールに適用可能なパッチおよびパッチ・セットと、影響を受ける機能の名前のリストも表示されます。データベースで使用する機能のパッチだけを表示するか、適用可能なすべてのパッチを表示するかを選択できます。

クリティカル・パッチ情報とその他の推奨パッチを表示するには、次の手順に従います。
  1. データベース・ホームページの「ポリシー違反」セクションで、Database Controlを使用してクリティカル・セキュリティ・パッチの数を確認します。

    データベースのOracleホームにクリティカル・パッチが適用されていない場合は、このセクションには、データベースのOracleホームに関連するクリティカル・パッチの数が表示されます。また、Oracleホームにクリティカル・パッチがない場合は、データベース・ホームページの「Oracleホーム」リンクに対応する警告アイコンが表示されます。

  2. 適用可能なクリティカル・パッチのリストを表示するには、「クリティカル・セキュリティ・パッチ」ヘッダーの横のゼロでない数値をクリックします。または、データベース・ホームページで、「ソフトウェアとサポート」サブタブを選択し、「データベース・ソフトウェアのパッチ」セクションで「パッチ・アドバイザ」をクリックします。

    パッチ・アドバイザ・ページが表示され、機能別に適用可能なクリティカル・セキュリティ・パッチと推奨パッチが表示されます。


    画像の説明

  3. (オプション)「クリティカル・セキュリティ・パッチ」表で「アドバイザ」列の値をクリックして、そのクリティカル・セキュリティ・パッチの詳細を表示します。

  4. (オプション)適用可能なすべてのパッチを表示するには、「機能ごとのパッチの推奨」表で「表示」リストから「すべて」を選択し、「実行」をクリックします。

データベースのアップグレード

既存のデータベースをOracle Databaseの現行リリースにアップグレードするには、Database Upgrade Assistant(DBUA)を使用します。

この項は次のトピックで構成されています。

Database Upgrade Assistantの概要

Database Upgrade Assistant(DBUA)は、アップグレード処理を順番に説明し、新規のリリースに対してデータベースを構成します。DBUAがアップグレード処理を自動化し、表領域およびREDOログなどの構成オプションに対する適切な推奨を作成します。

DBUAでは、Express Edition(XE)データベースなど、任意のOracle Databaseソフトウェアで作成したデータベースをアップグレードできます。

アップグレード前チェック

アップグレード前の手順がすべて完了するまで、DBUAはアップグレードを開始しません。

自動アップグレード・タスク

アップグレード前の手順が終了した後、DBUAによって自動的に次のタスクが実行されます。

アップグレードの実行中に、DBUAにより各コンポーネントに対するアップグレード処理が表示されます。DBUAにより詳細なトレースおよびログ・ファイルが書き込まれ、後で参照するために完全なHTMLレポートが作成されます。セキュリティ強化のために、DBUAによりアップグレードされたデータベース内の新しいユーザー・アカウントが自動的にロックされます。次にDBUAにより新しいOracleホーム内の新しい構成ファイル(初期化パラメータおよびリスナー・ファイル)の作成が続行されます。

Oracle Real Application Clustersのサポート

DBUAはOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境に完全に対応しています。Oracle RAC環境では、DBUAはクラスタの全ノードのデータベース・ファイルおよび構成ファイルをすべてアップグレードします。

自動ストレージ管理のサポート

DBUAは、自動ストレージ管理(ASM)を使用するデータベースのアップグレードをサポートしています。ASMインスタンスが検出された場合は、データベースとASM両方の更新またはASMインスタンスのみの更新を選択できます。

サイレント・モードのサポート

DBUAにより、ユーザーに対してユーザー・インタフェースが表示されないサイレント・モードの操作をサポートします。サイレント・モードでは、アップグレードのための単一の文を使用できます。

DBUAでサポートされるデータベースのバージョン

DBUAでは、次のバージョンのOracle DatabaseをOracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードできます。

データベースのバージョンがこのリストにない場合は、まず、リストされた最も近いリリースにアップグレードする必要があります。その後、データベースをOracle Database 11g リリース1(11.1)にアップグレードします。

DBUAの起動

Oracle Databaseソフトウェアのみをインストールして既存のデータベースを新しいOracle Databaseリリースにアップグレードするように指定すると、DBUAがソフトウェアのインストールの終了時に自動的に起動されます。「DBUAによるデータベースのアップグレード」の説明に従って続行できます。

ソフトウェアのみのインストールを実行し、同時にデータベースをアップグレードしない場合は、DBUAを起動して後でアップグレードできます。

DBUAの使用を開始する前に、次のことに注意してください。

WindowsでDBUAを起動するには、次のようにします。

「スタート」をクリックして、「プログラム」(または「すべてのプログラム」)→「Oracle - HOME_NAME」→「Configuration and Migration Tools」→「Database Upgrade Assistant」を選択します。

Database Upgrade Assistantのようこそウィンドウが表示されます。

サポートされている任意のプラットフォームでDBUAを起動するには、次のようにします。
  1. コマンド・ウィンドウを開きます。

  2. (LinuxおよびUNIXシステムのみ)oraenv(Bourne、KornまたはBashシェルの場合)またはcoraenv(Cシェルの場合)スクリプトを実行して、必須の環境変数を設定します。

    これらのスクリプトは通常、/usr/local/binにあります。スクリプトでは、ORACLE_SID環境変数の特定の値を要求されます。この場合、Oracle Databaseのインストール時に選択したシステムID(SID)を指定します。通常、インストーラが提示するデフォルトのSIDはorclです。

  3. (LinuxおよびUNIXシステムのみ)Oracle_home/binディレクトリがPATH環境変数に存在するかどうかを確認します。含まれていない場合は、Oracle_home/binディレクトリに変更します。

  4. 次のコマンドを入力します。

    dbua
    
    

    Database Upgrade Assistantのようこそウィンドウが表示されます。


    注意:

    通常、dbua実行可能ファイルは、Oracle_home/binディレクトリにあります。 


    参照:

    Database Upgrade Assistantの詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。 

DBUAによるデータベースのアップグレード

DBUAを使用してデータベースをアップグレードするには、次の手順をすべて実行します。いずれかのウィンドウでヘルプが必要な場合、またはDBUAの詳細を表示するには、「ヘルプ」ボタンをクリックしてオンライン・ヘルプを開きます。

DBUAを使用してデータベースをアップグレードするには、次の手順を実行します。
  1. DBUAを起動します。「DBUAの起動」を参照してください。

  2. DBUAのようこそウィンドウで、アップグレード対象のデータベースが指定した条件を満たしていることを確認します。その後、「次へ」をクリックします。

    システムでASMインスタンスが検出されると、アップグレード操作ウィンドウが表示されます。ASMインスタンスが検出されなければ、データベース・ウィンドウが表示されます。

  3. (ASMインスタンスが検出された場合のみ)アップグレード操作ウィンドウで、ASMインスタンスまたはデータベースのみのアップグレードを選択できます。データベースのアップグレードを選択した場合に、データベースでASMが使用されているときは、データベースとともにASMインスタンスもアップグレードするかどうかを尋ねられます。データベースおよびASMインスタンスは、別々のDBUAセッションで別々のOracleホームにアップグレードすることをお薦めします。

  4. データベース・ウィンドウで、「使用可能なデータベース」表からアップグレード対象のデータベースを選択します。その後、「次へ」をクリックします。

    一度に選択できるデータベースは1つのみです。SYSDBA権限を持たないユーザー・アカウントからDBUAを実行している場合は、ユーザー名とパスワード資格証明を入力し、選択されたデータベースに対してSYSDBA権限を有効にします。

  5. データベース情報を取得中というメッセージが表示されます。DBUAにより、選択したデータベースが分析され、アップグレード前チェックの実行後、必要に応じて警告が表示されます。

    • 4MB未満のオンラインREDOログ・ファイルがチェックされます。4MB未満のオンラインREDOログ・ファイルが検出された場合、DBUAでは、削除するか、新しいオンラインREDOログ・ファイルを作成するオプションが選択できます。

    • 廃止された初期化パラメータまたは不適切な初期化パラメータのパラメータ・ファイルがチェックされます。

    問題が検出されない場合は、診断先ウィンドウが表示されます。

  6. 「診断先」フィールドで、次のいずれかの操作を行います。

    • 設定をデフォルト値(Oracleベース・ディレクトリ)のままにします。

    • 新しい保存先を入力します。

    • 「参照」をクリックして新しい保存先を選択します。

    診断先とは、Oracleトレース・ファイルおよび診断ファイルを保存するデフォルトの場所です。旧リリースのOracle Databaseにおけるバックグラウンド・ダンプ保存先、ユーザー・ダンプ保存先およびコア・ダンプ保存先の初期化パラメータ設定のかわりとなります。

    「次へ」をクリックします。

    データベース・ファイルの移動ウィンドウが表示されます。

  7. 次の操作を1つ実行します。

    • 「アップグレードの一部としてデータベース・ファイルを移動しない」を選択します。

    • 「アップグレード中にデータベース・ファイルを移動」を選択します。

      データベース・ファイルの移動を選択した場合は、「ファイルシステム」または「自動ストレージ管理(ASM)」も選択する必要があります。

    「次へ」をクリックします。

    無効なオブジェクトの再コンパイル・ウィンドウが表示されます。

  8. (オプション)「アップグレード終了時に無効なオブジェクトを再コンパイル」を選択し、並列度の値を変更します。

    データベースを新規Oracle Databaseリリースにアップグレードするとき、多くのデータベースのPL/SQLモジュールは無効になります。デフォルトでは、Oracle Databaseは使用時に、PL/SQLモジュールを再コンパイルしますが、この処理には時間がかかり、パフォーマンスが低下します。これらのパフォーマンスの問題を排除するには、「アップグレード終了時に無効なオブジェクトを再コンパイル」を選択します。すべての無効なPL/SQLモジュールは、アップグレードの実行後、即時再コンパイルされます。データベースでのすべての無効なPL/SQLモジュールを再コンパイルするタスクは、大幅に時間がかかり、データベースのアップグレードのコンパイル時間が増大します。

    複数のCPUがある場合は、DBUAによって無効なオブジェクトの再コンパイル・ウィンドウに「並列度」メニューが自動的に追加されます。パラレル処理によって、データベースのすべての無効なPL/SQLモジュールを再コンパイルするタスクにかかる時間を削減できます。DBUAは、使用可能なCPUの数より1つ小さい値に自動的に設定されます。メニューから異なる値を選択できます。


    注意:

    「アップグレード終了時に無効なオブジェクトを再コンパイル」を選択すると、ストアドPL/SQLおよびJavaコードを再コンパイルするために使用するOracle_home/rdbms/admin/utlrp.sqlスクリプトを実行したときと同じ結果が得られます。 


    「次へ」をクリックします。

    バックアップ・ウィンドウが表示されます。

  9. 次のオプションを1つ選択します。

    • すでにデータベースのバックアップがあります。

    • このツールを使用してバックアップを取ります。

      DBUAを使用してデータベースのバックアップを作成する場合、「バックアップ・ディレクトリ」フィールドで指定したディレクトリにすべてのデータベース・ファイルのコピーが作成されます。この一貫性バックアップは、データベースの停止後、アップグレード・プロセスの開始前に自動的に実行されます。データベース・ファイルは圧縮されません。

      「バックアップ・ディレクトリ」フィールドで、次のいずれかの操作を行います。

      • 設定をデフォルト値のままにします

      • 別の有効なファイル・システム・パスを入力します。バックアップ・ファイル用にRAWデバイスは指定できません。

      • 「参照」をクリックして新しいバックアップ先を選択します。

    アップグレードを開始する前にデータベースのバックアップを作成することを強くお薦めします。アップグレード中にエラーが発生した場合、バックアップを使用してデータベースをリストアする必要があります。

    DBUAではデータベースのバックアップを作成するだけでなく、「バックアップ・ディレクトリ」フィールドに指定されたディレクトリに実行可能スクリプトを作成します。必要に応じて、使用しているシステムに適した実行可能スクリプトを使用して、データベース・ファイルをリストアできます。

    • Microsoft Windowsの場合: db_name_restore.bat

    • LinuxまたはUNIXの場合: db_name_restore.sh

    「次へ」をクリックします。

    リカバリ構成ウィンドウが表示されます。

  10. 「フラッシュ・リカバリ領域」フィールドで、次のいずれかの操作を行います。

    • 設定をデフォルト値のままにします

    • 別のフラッシュ・リカバリ領域を入力します

    • 「参照」をクリックして別のフラッシュ・リカバリ領域を選択します。

    フラッシュ・リカバリ領域を使用すると、障害時にデータを失わずにリカバリできます。Database Controlの管理オプション・ページでローカル管理および日次バックアップを有効にした場合は、Enterprise Managerでもこの場所が使用されます。

    「フラッシュ・リカバリ領域サイズ」フィールドで、目的の単位をリストから選択し、次のいずれかの操作を行います。

    • 設定をデフォルト値のままにします。

    • フラッシュ・リカバリ領域サイズとして別の値を入力します。

    • 上矢印と下矢印を使用して別のフラッシュ・リカバリ領域サイズを設定します。

    リカバリ構成ウィンドウで、「フラッシュ・リカバリ」領域を指定してアーカイブを有効にします。データベースでこれらの機能を構成して、システム障害時にデータをリカバリできるようにしておいてください。

    「次へ」をクリックします。

    サマリー・ウィンドウが表示されます。

  11. アップグレード中にデータベースに対して設定される初期化パラメータのリストを確認し、問題がある場合は「戻る」をクリックして修正します。問題がない場合は、「終了」をクリックします。


    注意:

    「終了」をクリックするとアップグレードが開始され、この間はデータベースを通常の用途に使用できなくなります。 


    進行ウィンドウが表示され、DBUAがアップグレードを開始します。

  12. 「無視」および「中断」という選択肢のあるエラー・メッセージが発生する可能性があります。

    • 無視: エラーは無視され、現在の手順をスキップしてアップグレードが続行されます。無視されたエラーは記録され、後でサマリーに表示されます。アップグレードが完了した後、問題を修正して、DBUAを再起動し、スキップされた手順を完了できます。

    • 中断: アップグレード処理を停止します。データベースのバックアップがDBUAによって実行された場合、DBUAにデータベースをリストアするように要求されます。データベースがリストアされたら、エラーを修正してDBUAを再起動し、アップグレードを再実行します。データベースをリストアしない場合は、手動でアップグレードを続行できるように、DBUAによってデータベースは現行の状態が保持されます。

    アップグレードが完了したら、次のメッセージが表示されます。

    Upgrade is complete. Click "OK" to see the results of the upgrade.
    
    

    「OK」をクリックします。

    アップグレード結果ウィンドウが表示されます。

  13. アップグレードの結果を確認します。アップグレード結果サマリーには、元のデータベースとアップグレード後のデータベース、および初期化パラメータに加えられた変更がまとめられています。

    アップグレード結果には、データベースのアップグレード中に実行された手順をまとめた「アップグレードの詳細」セクションもあります。このセクションは、各手順の名前、手順のログ・ファイル、およびステータスを示しています。ステータスをクリックすると実行手順の詳細を表示できる場合があります。「アップグレードの詳細」セクションには、アップグレード後に各種ログ・ファイルが格納されたディレクトリも含まれています。このログ・ファイルを確認すると、アップグレード・プロセスのさらに詳しい情報を入手できます。


    注意:

    アップグレード結果のHTMLバージョンもログ・ファイル・ディレクトリに保存されています。 


  14. 「データベース・パスワードの構成」をクリックします。

    「パスワード管理」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  15. 「パスワード管理」ダイアログ・ボックスでは、データベースのアップグレード後にユーザーのデフォルト・パスワードを変更できます。


    注意:

    データベースへの不正なアクセスを防ぐために、データベースのアップグレード後すぐにすべてのユーザー・パスワードを変更します。 


    アカウントをロックまたはロック解除するユーザーの「アカウントのロック」列をクリックします。チェック・マークはアカウントがロックされていることを示します。

    「新規パスワード」列にユーザーの新規パスワードを入力します。

    「パスワードの確認」列に新規パスワードを入力して確認します。

    「OK」をクリックしてアップグレード結果ウィンドウに戻ります。

  16. アップグレード結果に問題がある場合は、「リストア」をクリックします。

    データベースのバックアップ作成に使用した方法に応じて、リストア操作により次のいずれかのタスクが実行されます。

    • DBUAを使用してデータベースのバックアップを作成した場合、「リストア」をクリックすると、元のデータベースとその設定がバックアップからコピーされます。

    • 独自のバックアップ方法でデータベースのバックアップを作成した場合、「リストア」をクリックすると、元のデータベースの設定のみがコピーされます。データベース自体をリストアするには、独自のバックアップ・ユーティリティで作成したバックアップからデータファイルをコピーします。

    アップグレード結果に問題がない場合は、「閉じる」をクリックしてDBUAを終了します。

    アップグレード後のデータベースのエントリが古いlistener.oraファイルから削除され、リスナーが再起動します。


    警告:

    古いOracle Databaseソフトウェアを保持している場合、古いソフトウェアを使用してアップグレードしたデータベースを起動しないでください。新しいOracle Databaseインストールの実行可能ファイルでのみデータベースを起動してください。また、古いOracle Database環境を削除する前に、Oracle環境のデータファイルをすべて新しいOracle Database環境に再配置してください。データファイルの再配置の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。 


    参照:

    データベースのアップグレード後に完了する必要がある追加のタスクの詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。 

Oracleソフトウェアの管理: Oracle by Example Series

Oracle by Example(OBE)には、このマニュアルに関するシリーズが含まれています。このOBEでは、この章のタスクを段階的に説明し、注釈付きのスクリーンショットを使用します。

Oracleソフトウェアの管理に関するOBEを参照するには、ご使用のブラウザで次のURLを指定します。

http://www.oracle.com/technology/obe/11gr1_2day_dba/managing/managing.htm

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