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Oracle Enterprise Manager概要
10gリリース5(10.2.0.5)
B53905-01
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3 Enterprise Managerの概要

Enterprise Managerでは、ITスタックの任意のレベルで問題への対処作業が発生する前に、サービス・レベルの監視からビジネス上の例外の事前特定まで、アプリケーションを全面的に管理できます。ユーザーは、包括的なアプリケーション品質管理ソリューションおよびコンプライアンス・ソリューションを使用して、アプリケーション・ライフサイクル全体を管理できます。

この章では、Enterprise Managerの次の主要機能について説明します。

システムの監視

Enterprise Managerは、エンタープライズ全体で発生する可能性のある問題を適時に検出して通知する、包括的で柔軟性がある使いやすい監視機能を提供します。Oracleで構築されるアプリケーションの場合、Enterprise Managerによって、Oracleデータベース・インスタンスからOracle Real Application Clusters、Oracle Application Serverファームおよびクラスタまで、Oracle Grid環境に対する最も包括的な監視機能が提供されます。

たとえば、Enterprise Managerの監視機能は、サーバーで生成されたアラートなど、Oracle Database 10gの管理機能と緊密に統合されています。データベース自身が、自ら検出した問題についてアラートを生成します。サーバーで生成されたアラートは、Enterprise Managerコンソールから管理でき、問題の解決上の推奨事項を含みます。SQLのパフォーマンス低下の問題、および自動データベース診断モニター(ADDM)と呼ばれるデータベースの自己診断エンジンによって生成されるパフォーマンス問題に対する推奨事項も、Enterprise Managerコンソールによって取得され、公開されます。これにより、Enterprise Manager管理者はADDM推奨事項を簡単に実装できます。

Enterprise Managerには、パフォーマンスと状態メトリックのセットが付属しており、これにより、依存するバックエンド・コンポーネント(ホスト、オペレーティング・システム、ストレージなど)だけでなく、ご使用の環境内の主要コンポーネント(アプリケーション、アプリケーション・サーバー、データベースなど)の監視が可能になります。

監視対象の各ホスト上の管理エージェントによって、ホスト上のすべての管理対象のコンポーネント(ターゲットとも呼ばれる)のステータス、状態およびパフォーマンスが監視されます。ターゲットが停止するか、パフォーマンス・メトリックが警告またはクリティカルしきい値を超えた場合、アラートが生成され、Enterprise Managerおよび通知を希望するEnterprise Manager管理者に送信されます。

一部のメトリックにはしきい値と呼ばれる事前定義済の制限パラメータがあり、メトリック値がこれらのしきい値を超えるとアラートが生成されます。アラートは問題がある可能性を示します。監視対象メトリックの警告またはクリティカルしきい値のいずれかを超過しています。アラートは、次のような様々な可用性状態に対しても生成される可能性があります。

アラートの生成時、Enterprise Managerコンソールからアラートの詳細にアクセスできます。アラートが生成された場合に管理者に自動的に通知することや、アラート状態を解決するように自動的に修正処理を設定することが可能です。

修正処理では、アラートへの自動レスポンスを指定できます。修正処理によって、所定のレスポンスが自動的に実行されるため、管理者は時間を節約でき、エンド・ユーザーに顕著な影響を与える前に問題を処理できます。

Enterprise Managerコンソールを使用すると、すべての監視情報にアクセスでき、監視対象の環境の状態が迅速に表示されます。

次の図に示すEnterprise Managerコンソールのホームページでは、監視対象環境の全体的ステータスが一覧表示されます。次の図に示すように、ホームページには、すべての監視対象ターゲットの可用性、オープン・アラート、ポリシー違反およびジョブ実行での最近の問題など主要な監視領域が要約されています。このページのリンクから、詳細なパフォーマンス情報にドリルダウンできます。

リソース・センターは、Oracle Technology Network(OTN)の総合的技術リソースであると同時に、Enterprise Managerドキュメントの中央アクセス・ポイントでもあります。

コンソールのホームページ
図gc_console.gifの説明

グループの管理

今日のIT運営スタッフは、データベース、アプリケーション・サーバー、ホスト、その他のコンポーネントなど多数のコンポーネントの管理を日常的に行います。Enterprise Managerのグループ管理システムによって、コンポーネント(Enterprise Managerではターゲットと呼ばれる)をグループと呼ばれる論理的な集合に結合します。ターゲットをグループに編成することで、多くのコンポーネントをまとめて管理および監視できます。グループ管理システムにより、エンタープライズ内において数が多くなる可能性のあるターゲットを編成し、管理して効率的に監視できます。

グループ管理システムでは、次の操作を実行できます。

ジョブ・システム

Enterprise Managerのジョブ・システムを使用すると、日常の管理タスクの自動化および環境内のコンポーネントの同期化が行われ、より効率的にシステムを管理できます。ジョブとは、通常実行されるタスクを自動化するために定義する作業の単位です。ジョブの利点の1つに、ジョブをすぐに開始したり、日時を指定して開始できる点があります。ジョブは、1回のみ実行することも、特定の間隔で実行することもできます。

Enterprise Managerのジョブ・システムには、次の2つの目的があります。

Enterprise Managerでは、データベース・ターゲットおよびデプロイメントに対する事前定義済ジョブ・タスクが提供されます。ジョブ・タスクは、アプリケーションへのパッチ適用、データベースのバックアップなど、事前定義済で変更不可能なロジックを含めるために使用されます。事前定義済ジョブ・タスクの他に、OSおよびSQLスクリプトに含めるコードを記述して、固有のジョブ・タスクを定義できます。個々のターゲットに対してジョブを発行する他に、ターゲットのグループに対してもジョブを発行できます。グループに対して発行されたすべてのジョブは、自動的にそのグループ・メンバーのすべてのターゲットに適用され、グループに変更があった場合には、そのグループのメンバーにも適用されます。

Information Publisher

Enterprise Managerの強力なレポート・フレームワークであるInformation Publisherを使用すると、エンタープライズ全体で対象読者が管理対象の環境に関する情報にアクセスできるようになります。レポートは、ビジネス・インテリジェンスを目的としてエンタープライズの監視情報を表示するために使用されます。また、レポートにはアクティビティ、リソースの使用状況、管理対象のターゲットの構成が表示されるため、管理用としても使用できます。ITマネージャはレポートを使用して、管理対象のシステムの可用性を表示できます。企業幹部は、一定時間にわたるアプリケーション(企業用の電子メールなど)の可用性に関するレポートを表示できます。

レポート・フレームワークを使用すると、カスタマイズしたレポートを作成および公開できます。使いやすいHTMLベースのレポートによって、Webを介して公開、保存、および選択した受信者への電子メール送信を行うことができます。Information Publisherには、事前に定義された包括的なレポートのライブラリが用意されており、追加の設定および構成作業なしに即時利用可能なレポートを生成できます。Information Publisherを使用する主な利点は、次のとおりです。

Information Publisherには、エンタープライズの中心的な情報ソースとなる、機能が豊富なフレームワークが用意されています。

コンプライアンスの管理

エンタープライズを効率的に稼働させるには、セキュリティ、構成および保存に関するベスト・プラクティスを実現する標準に準拠する必要があります。これらの標準を開発したら、組織全体にその標準を適用してテストすることができます。それが、コンプライアンスのテストです。このコンテキストにおけるコンプライアンスとは、標準または要件(あるいはその両方)に準拠することです。

Enterprise Managerを使用して、ターゲットがセキュリティ標準、および構成や保存の要件に準拠しているかどうかをテストできます。システム、サービスおよびターゲットを継続的にテストすることで、システムを最大限に保護し、最高のパフォーマンスを実現できます。

Enterprise Managerのコンプライアンス管理には、ポリシーおよびポリシー・グループの2つのタイプがあります。これらのタイプにより、システムの最適構成が定義されます。

ポリシーおよびポリシー・グループの目的は類似しており、どちらも管理対象エンティティの評価基準となるルールを提供します。ただし、次のような違いがあります。

即時利用可能なポリシーおよびポリシー・グループを使用するか、または特定のシステム要件、使用システムまたはアプリケーションの相違に合致するようポリシーおよびポリシー・グループをカスタマイズするかどうかがレポートされます。相違の例には、不適切な設定や不正なシステム構成などが含まれます。Information Publisher機能を使用すると、任意のポリシー違反のレポートと、ポリシー・グループ・レポートを表示できます。

Enterprise Managerの拡張

Enterprise Managerでは、様々なコンポーネントをデフォルトで監視および管理できます。

エンタープライズ環境は、OSプラットフォーム、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークおよびストレージ・デバイスなどの様々なコンポーネントで構成されます。これらのすべてのコンポーネントが連携して動作することによって、エンタープライズの業務を最適に遂行し、ビジネス上重要な意思決定を行うための情報を提供するために必要な重要情報および機能が提供されます。Oracle Enterprise Managerでは、様々なコンポーネントの監視および管理が即時利用可能ですが、環境に固有のサード・パーティ・コンポーネントまたはカスタム・アプリケーションの監視が必要な場合もあります。

また、オラクル社およびパートナが使用するメカニズムと同じメカニズムを使用してEnterprise Managerを拡張し、モジュール方式の管理プラグインを介してカスタム・コンポーネントを監視できます。管理プラグインを使用すると、Enterprise Managerに監視させる新しいクラスのコンポーネントを指定する簡単な方法が用意されているため、Grid ControlコンソールからOracle以外のコンポーネントをシームレスに監視および管理できます。新しい管理プラグインを作成したら、Enterprise Managerコンソールを使用して、エンタープライズ全体に新しいプラグインをデプロイできます。

追加コンポーネントを監視するためのEnterprise Managerの拡張には、次の利点があります。


ヒント:

詳細は、http://www.oracle.com/technology/products/oem/extensions/index.htmlを参照してください。

ターゲットの管理

Enterprise Managerでは、様々なタイプのターゲットを監視、運用、メンテナンスおよび管理できます。これらのターゲットの詳細は、次の章を参照してください。