Sun Management Center 3.5 ユーザーガイド

Sun Management Center の概念

以下は、Sun Management Center ソフトウェアを理解するための基本的な概念です。


注 –

このマニュアルでは、“ドメイン”は Sun Management Center の管理ドメインを指します。従って、他の Sun 製品やドキュメントで使用される “ドメイン” と混同しないようにしてください。詳細については、第 2 章「Sun Management Center の管理ドメインの使用」を参照してください。


管理ドメイン

管理ドメイン は、ユーザが監視や管理の対象とするリソース (キャンパス全体、個々のビルディング、ホスト、ネットワーク、サブネット、リンクなど) の集合を階層化したものです。各管理ドメインを構成するこれらのリソースは、他のリソースと連結して管理ドメイン内でグループを形成します。これらの各グループは、新たにリソースグループを追加して、複数レベルに階層化された管理ドメインを構成することができます。

ユーザは、ビジネスニーズに基づいて 1 つまたは複数の管理ドメインを作成できます。例えば、全ての実験装置を包含した実験管理ドメインや、経理で使用する全システムを包含した経理管理ドメインなどを作成することが可能です。

Sun Management Center ソフトウェアは、管理ドメインとメンバーをビジュアル表示します。図 1–4 はその例です。

次の例では、ホスト Payroll2 は、Payroll Servers 1 管理ドメイン内の ビル B グループに属しています。

図 1–4 Java コンソールウィンドウに表示された管理ドメインとメンバー

管理ドメインとメンバーを表示した Sun Management Center ウィンドウ。

管理情報ベース (MIB)

管理情報ベース (MIB) は、エージェントからアクセスできる階層型のデータベーススキーマです。Sun Management Center エージェントは 、MIB を使用して遠隔からアクセス可能なデータを格納します。

Sun Management Center モジュール

Sun Management Center のエージェントは、ほとんどのエージェントとは異なり、MIB の実行にモノリシックコード (膨大な関数を持つ単一プログラム) を使用しません。その代わりに、Sun Management Center ソフトウェアは各エージェントごとにモジュールと呼ばれるいくつかのコンポーネントを使用します。各モジュールは、それぞれ独自の MIB を実装します。従って、全てのモジュールとその MIB を総合したものが Sun Management Center のエージェント MIB となります (次の図を参照)。

図 1–5 Sun Management Center のエージェント MIB

1 つずつ MIB を持つ 3 つのモジュールを包含したエージェントから 1 つのエージェント MIB が形成される過程を示した図。

Sun Management Center モジュールは、システム、アプリケーション、ネットワークデバイスなどのリソースを監視、管理します。モジュールには、特定のシステムコンポーネントを個別に監視するために、カーネル監視用、プリンタ監視用、プロセス監視用などがあります。モジュールの基本的な役割は、これらのリソースを監視して、エラー状態が発生したりパフォーマンス調整が必要な場合に、アラームを通じてこれらの情報をユーザに通知することです。アラームについての詳細は、アラームと規則を参照してください。

各モジュールは、1 つまたは複数の監視可能なプロパティを持っています。例えば、インストール時に読み込まれるデフォルトモジュールのうちのカーネルリーダは、カーネルプロパティを監視します。これ以外にも、ユーザ統計、ディスク統計、ファイルシステムの使用状況などのプロパティがあります。


注 –

モジュールは動的に追加したり削除したりできます。これにより、ユーザのニーズに応じて、各エージェント (オブジェクト) に読み込まれたモジュールをカスタマイズすることが可能です。


アラームと規則

アラームは異常イベントの通知です。Sun Management Center ソフトウェアは、さまざまな重大度のアラームを使用してユーザシステムを監視します。これらのアラームを生成するしきい値はモジュールで定義されます。ユーザは、単純アラームの基準となるしきい値を設定できます。

例えばカーネルリーダモジュールのプロパティのうちのユーザセッション数にしきい値を設定する場合、7 以上のユーザセッションで重大アラーム、5 または 6 のユーザセッションで警告アラームを生成するように指定することが可能です。

アラーム条件はデフォルト設定されています。ユーザは、単純な rCompare (比較) 規則に基づくような単純アラームのしきい値を独自に設定したり定義することができます。

複合規則もまたアラームを生成します。例えば、ディスクが 75% 以上ビジー状態で平均キュー長が 10 エントリ以上になり、待ち行列が増加し続けると、複合規則は警告アラームを生成します。この場合、規則は 3 つの条件から成り立っています。

単純規則とは異なり、これらの複合規則は予め定義されており変更できません。従って、ユーザが複合アラームのしきい値を設定することはできません。

アラームが生成されると、メインコンソールウィンドウおよびアラーム処理 (電子メールメッセージの送信、スクリプトの起動など) を通じてユーザに通知されます。また、アラーム状態の発生を別の方法で通知するカスタマイズプログラムを作成することも可能です。

アラームについての詳細は第 12 章「アラームの管理」、規則についての詳細は付録 D 「Sun Management Center ソフトウェアの規則」を参照してください。