savegrp プログラムでは、ファイルシステムのデータをバックアップするための save プロセスにおいて、Backup クライアントのグループを実行します。このクライアントグループは、割り当てられている名前によって選択されます (「「NSR group」」を参照)。通常は、各グループの「NSR group」リソースを使って指定すると、savegrp プログラムが自動的に呼び出されます。
グループ名を指定しないと、「Default」グループに指定されている Backup グループが使用されます。グループ名を指定した場合は、「NSR client」リソースの「Group」属性にグループが設定されているクライアントが組み込まれます。-c client-name オプションを使用して明示的なクライアントリストを指定した場合は、savegrp プログラムは、指定したクライアントだけをバックアップに組み込み、これ以外のグループメンバーは無視します。
グループを指定する「Clone」属性が有効になっている場合は、savegrp プログラムは、save セッション中にバックアップされるセーブセットのクローンを自動的に呼び出します。クライアントのセーブセットとその関連ファイルインデックスのクローンが作成されてから、ブートストラップのセーブセットが生成されます。したがって、ブートストラップは、元のセーブセットとそのクローンの両方を追跡できます。ブートストラップのセーブセットも、同様にクローンが作成されます。クローンセーブセットは、「NSR group」リソースに指定されているクローンプールに割り当てられたボリュームに送信されます。
クライアントのセーブセット属性に「All」を指定した場合は、savegrp プログラムにより、セーブプログラムを実行する対象となるファイルシステムのリストが要求されます (これをプローブという)。プローブによってクライアントマシン上のローカルファイルシステムと自動的にマウントされたファイルシステムが検索され、1 つのリストに表示されます。NFS マウントポイントと手動でマウントされたファイルシステムは、通常、プローブによって検索されるリストには含まれません。
savegrp プログラムを同一グループ上で、同時に複数実行できません。このようにすると、プログラムは終了し、エラーメッセージが表示されます。異なるグループを同時に実行する場合は、各グループが、「NSR client」リソースの「Parallelism」属性に指定されている限界値までの save プログラムセッションを実行します。(「Parallelism」のデフォルト値は 4)。ただし、Backup サーバーでは、save プログラムセッションで一度にバックアップデバイスに書き込めるのは、サーバーの「Parallelism」属性に指定されている限界値までです。各セーブセットは、それがどのクライアントに属しているかにかかわらず、別々の save プログラムセッションを生成します。
保存プロセス (有効となっているクローンプロセスがあればそれも) が終了すると、「savegrp」を「Event」値に、また「notice」を「Priority」値に持つ通知が、nsr_notification のシステムに送信されます。このシステムは、通常、電子メールをスーパーユーザーに送信し、バックアップの成否、savegrp の実行中にバックアップされたクライアント、および保存されたデータを表示するように設定されています。
savegrp プログラムに使用する形式とオプションは、次のとおりです。
savegrp [Options を参照] [-R | -G] [group-name] |
Options
[-EIOmnpv] [-l level | -C schedule] [- e expiration] [- t date] [-r retries] [-P printer] [-W width] [-c client [-c client...]] |
-c client オプションを使用すると、特定のクライアントまたは複数のクライアントで savegrp を実行できます。このオプションを指定すると、指定した group-name で指定したクライアントだけが実行されます。
-C schedule オプションを使用すると、保存レベルの自動選択プロセスに使用する「NSR schedule」リソース名を指定できます。
-e expiration オプションを使用すると、保存データの有効期限が切れる日を指定できます。特別な値「forever」を使用すると、そのデータの入っているボリュームは、期限がなくなります。この値は、通常、マイグレートボリュームまたはアーカイブボリュームに使用します。デフォルトでは、明示的な有効期限は割り当てられていません。
-E オプションを使用すると、保存処理が行われる前に、各セーブセットによって生成されるデータの量を見積もることができます。このオプションを使用すると、ファイルシステムは 2 回処理されます。1 回目は見積もりを生成するためで、2 回目は実際の保存処理を行うためです。見積もり処理は、i ノード情報にアクセスして実行されるため、データそのものは最終パスが行われたディスクからのみ読み込まれます。
-G オプションを使用すると、セマンティクスを再起動せずにグループだけを実行できます。
-I オプションを使用すると、各クライアントのファイルインデックスで実行される保存処理を無効にできます。
-l level オプションを使用すると、保存レベルを指定できます。
-m オプションを使用すると、すべての nsr_notification アクションを含む状態監視レポートを無効にできます。
-n オプションを使用すると、保存の際の -E オプションで説明した見積もりが作成されますが、見積もりの作成後に、実際に保存処理は行われません。-n オプションを指定すると、-m オプションを指定したことになります。
-O オプションを使用すると、各クライアントのファイルインデックスだけを保存できます。サーバーの場合は、このオプションによってブートストラップも同時に保存されます。デフォルトでは、Backup サーバーのブートストラップは、ブートストラップのメンバーであるグループが、スケジュールされた、または手動で呼び出された savegrp を実行する時には必ずバックアップされます。クライアントファイルインデックスとサーバーのブートストラップは、障害復旧処理には不可欠です。
-p オプションを使用すると、各クライアントでプローブを実行できます。これにより、実際の保存処理は行わずに、ファイルシステムにある情報と各クライアントで実行する save のレベルが表示されます。-p オプションを指定すると、-m オプションも指定したことになります。
-P printer オプションを使用すると、バックアップが完了した時点で、savegrp プログラムがブートストラップ情報を送信するプリンタを指定できます。
-r retries オプションを使用すると、savegrp プログラムがクライアントバックアップの失敗を宣言する前に、Backup サーバーが失敗したクライアントを再試行する回数を指定できます。このオプションのデフォルト値は、「NSR group」リソースから取得されます。保存処理が放棄されても最終的には完了する場合があるため、再試行はされません。-p オプションが指定されている場合は、再試行は行われません。
-R オプションを使用すると、Backup サーバー上に格納されている情報を使用して、バックアップ中に Backup サーバーに発生した障害が原因で異常終了したグループを再起動できます。
-v オプションを使用すると、savegrp プログラムを冗長モードで実行できます。
-W width オプションを使用すると、savegrp の出力または通知メッセージを書式化できます。デフォルトの幅は、80 です。