Solstice Backup 5.1 管理者ガイド

マイグレートファイルのメディア管理

マイグレートデータは Backup サーバーによって管理され、プール、クローン作成、自動メディア検証などの通常のすべてのストレージ管理機能の対象となります。しかし、マイグレートファイルはユーザーがいつでも呼び戻せなくてはならないので、マイグレートデータは、Backup サーバーが自動的にデータを再利用するためのポリシーの対象からは除外されます。つまり、Backup は、スタブファイルがクライアントマシン上に存在する限り、マイグレートファイルの位置をクライアントインデックスとメディアデータベースによって追跡しています。ただし、マイグレートされたスタブファイルのバックアップには、Backup サーバーのデータ再利用ポリシーが適用されます。詳細は、「HSM による名前変更または削除されたファイルの処理」を参照してください。


注意 - 注意 -

スタブファイルがクライアントファイルシステムに存在する限り、マイグレートされたファイルは迅速に呼び戻せなくてはなりません。このため、スタンドアロンのテープドライブはマイグレート先として適していません。マイグレートメディアとしてはオートチェンジャかサイロを使用してください。


「Migration」プールと「Migration Clone」プールの使用

マイグレートボリュームとは、マイグレートされたデータを保持しているメディアのことです。マイグレートデータの格納には、事前構成されている「Migration」ボリュームプールを使うか、マイグレート記憶領域として使用する独自のマイグレートプールを作成できます。また、マイグレートデータの送信先のボリュームのクローンを自動的に作成することもできます。マイグレートデータは通常のバックアップデータとは異なる形式で書き込まれるので、マイグレートデータは「Migration」タイプのプールに関連付けられたストレージボリュームにしか書き込めません。マイグレートボリュームのクローンは、「Migration Clone」タイプのプールのストレージボリュームにしか書き込めません。Backup には、マイグレートデータのために「Migration」と「Migration Clone」という名前の事前構成済みのプールが用意されています。

マイグレートデータのためのクライアントインデックスとブートストラップセーブセット

マイグレートデータの形式は通常のバックアップデータとは異なるため、別のボリュームプールに書き込まなくてはなりません。このデータ形式の違いのために、事前マイグレート操作またはマイグレート操作の際に作成されたクライアントインデックスとブートストラップセーブセットは、マイグレートセーブセットと同じボリュームには書き込めません。ユーザーの環境でボリュームプールがどのように構成されているかにもよりますが、通常は「Default」プールのボリュームに書き込まれます。クライアントインデックスとブートストラップを「Default」プール以外のボリュームプールに送る必要がある場合は、「例 : クライアントインデックスとブートストラップを別々のプールに送る方法」を参照してください。

セーブセットのステージングとマイグレートファイル

セーブセットのステージング機能を使って、マイグレートファイルをストレージメディア間で移動させることができます。たとえば、ファイルをファイルデバイスタイプにマイグレートしておいて、あとからセーブセットのステージング機能を使って、このマイグレートファイルを光ディスクに移すことができます。Backup は新しいストレージメディア上のマイグレートファイルの位置を追跡し、このファイルをスタブファイルの位置に呼び戻します。マイグレートデータの物理的な位置の変化は、ユーザーからは認識されません。バックアップ、HSM、セーブセットのステージング、およびアーカイブ操作の比較については、表 8-1 を参照してください。

バックアップデータのステージングには「Clone」タイプのプールのボリュームを使わなければならないように、マイグレートデータのステージングには「Migration Clone」タイプのプールのボリュームを使う必要があります。たとえば、マイグレートデータのステージングポリシーを設定するときには、事前構成済みの「Migration Clone」プールを使用できます。

特定のマイグレートセーブセットを「Migration Clone」プールに手動でステージングするには、次のコマンドを入力します。


# nsrstage -s server-name -b Migration Clone -m -S save-set-ID

セーブセットのステージング機能の詳細は、「セーブセットのステージング」を参照してください。nsrstage プログラムの構文とオプションについては、nsrstage のマニュアルページを参照してください。