この章には、IBM BladeCenter サーバー上で Solaris 10 OS をインストールおよび使用する際に発生する可能性のある、バグと問題に対するトラブルシューティングの情報が含まれています。この章では、特定の Solaris 10 リリースや特定の IBM BladeCenter サーバーに該当する情報には、適宜その旨が記載されています。適用できる場合には、パッチ情報および関連するバグと問題への相互参照も提供します。
この節に含まれる手順説明は、Solaris 10 リリースで発生するバグに適用されます。IBM BladeCenter サーバーに Solaris OS をインストールする基本的な手順については、第 1 章「IBM BladeCenter サーバーへの Solaris オペレーティングシステムのインストール (作業)」を参照してください。
IBM BladeCenter サーバーのより詳しい情報については、http://www.ibm.com/jp/servers/eserver/bladecenter/ を参照してください。
この章に含まれる作業手順を次に示します。
「Solaris 10 8/07 または Solaris 10 11/06 OS の x86 インストールイメージを作成する方法」
「IBM BladeCenter LS21、LS41、および HS21 サーバーへの Solaris 10 8/07 または Solaris 10 11/06 OS のインストールを実行する方法」
IBM BladeCenter サーバー上で Solaris 10 OS をインストールおよび使用する際に発生する可能性のあるバグと問題の詳細については、第 2 章「IBM BladeCenter サーバーへの Solaris オペレーティングシステムのインストール時に発生するバグと問題」を参照してください。
BladeCenter LS21、LS41、および HS21 サーバーにはオンボード NetXtreme II ギガビット Ethernet インタフェースが搭載されていますが、このインタフェースは新しいデバイスドライバを必要とします。このデバイスドライバ (bnx) は Broadcom の Web サイトから入手できます。
オンボード NetXtreme II ギガビット Ethernet インタフェースを利用する IBM BladeCenter LS21、LS41、または HS21 サーバーに Solaris 10 8/07 ソフトウェアをインストールするには、まず次の各作業を実行する必要があります。
Solaris 10 8/07 OS インストールイメージのコピーを作成します。
Broadcom NetXtreme II ギガビット Ethernet インタフェースの新しいデバイスドライバ (bnx) を、x86 ミニルートイメージに追加します。
これらの作業を実行するための詳細手順については、「Solaris 10 8/07 または Solaris 10 11/06 OS の x86 インストールイメージを作成する方法」を参照してください。
これらの作業を完了したあとで、Solaris 10 8/07 ソフトウェアのインストールに進むことができます。詳細手順については、「IBM BladeCenter LS21、LS41、および HS21 サーバーへの Solaris 10 8/07 または Solaris 10 11/06 OS のインストールを実行する方法」を参照してください。
関連するいくつかのバグが、IBM BladeCenter LS21、LS41、HS41 サーバーなど、比較的新しい PCI Express ハードウェアとの Solaris OS の対話方法に影響を及ぼします。これらのサーバーのいずれかに Solaris 10 11/06 リリースをインストールしようとすると、そのインストール処理中に 1 つまたは複数の問題が発生します。
「6474277: 一部の IBM BladeCenter サーバーで、キーボード入力の障害のために Solaris OS のインストールを完了できない」
「6477887: 一部の IBM BladeCenter サーバーで、不当な NMI エラーのために Solaris OS のインストールが失敗する」
「6505757: 一部の新しい PCI Express ハードウェアでは、デフォルトで PCI Express ソフトウェアサポートが有効ではない」
その他の回避方法の情報を含むこれらのバグの完全な説明については、「Solaris 10 11/06 のバグと問題」を参照してください。
Solaris 10 11/06 ソフトウェアを IBM BladeCenter LS21、LS41、および HS21 サーバーにインストールする前に、次の作業を最初に実行する必要があります。
Solaris 10 11/06 インストールイメージのコピーを作成します。
次に示すパッチの最新バージョンを、x86 ミニルートイメージに適用します。
125034 - 前述のバグに対処するためのパッチです。
118855 – カーネルアップデート (KU) パッチです。
123840 – KU パッチの依存パッチです。
Broadcom NetXtreme II ギガビット Ethernet インタフェース用の新しいデバイスドライバを追加します。
これらの作業を実行するための詳細手順については、「Solaris 10 8/07 または Solaris 10 11/06 OS の x86 インストールイメージを作成する方法」を参照してください。
これらの作業を完了したあとで、Solaris 10 11/06 ソフトウェアのインストールに進むことができます。詳細手順については、「IBM BladeCenter LS21、LS41、および HS21 サーバーへの Solaris 10 8/07 または Solaris 10 11/06 OS のインストールを実行する方法」を参照してください。
場合によっては、Sun がドライバパッチを提供してハードウェアをサポートすることがあります。Sun がこれらのドライバパッチを提供するのは、IBM BladeCenter サーバーなどの他社製ハードウェアをサポートするためです。Sun がハードウェアをサポートする場合の別の理由としては、新しいハードウェアに対する特定の Solaris リリースのインストールを、その Solaris リリースの再構築を行うことなく可能にするためです。このような場合は、特定のドライバパッチのインストールが必要になることがよくあります。ほとんどの場合、このプロセスは該当する OS 用の最新 KU パッチのインストールを伴います。
ミニルートは、Solaris インストールメディアに含まれるブート可能な最小限のルート (/) ファイルシステムです。ミニルートは、システムをブートして、システムをインストールまたはアップグレードするために必要なすべての Solaris ソフトウェアで構成されます。ミニルートは、JumpStart インストールプログラムまたはインストールメディアが Solaris OS の完全インストールを実行するために使用されます。ミニルートは、インストールプロセスの実行中にのみ使用されます。
以降で説明する手順が、ミニルートイメージのみにパッチをインストールする方法の説明であることを理解しておくのは重要です。ミニルートイメージにパッチを適用する場合、Solaris OS のインストールを実行するシステムや、patchadd -C コマンドを実行するシステムにはパッチがインストールされません。x86 ミニルートイメージに適用されたパッチは、実際に Solaris OS インストールを実行するプロセスに、ドライバやハードウェアのサポートを追加するためだけに使用されます。新しいハードウェアの例として、より最近の KU でドライバがサポートされている新しいマザーボードが考えられます。インストールされたイメージは、初回ブートの前にさらにパッチのインストールを必要とします。このプロセスは、インストールの完了後に発生します。終了スクリプトが呼び出され、初回ブートの前に、新たにインストールされたシステムへの KU のインストールが開始されます。この KU のインストールは、x86 ミニルートイメージのパッチプロセスとは別個に実行されます。
BladeCenter LS21、LS41、および HS21 サーバーに Solaris 10 8/07 または Solaris 10 11/06 OS をインストールするには、まず x86 Solaris 10 8/07 または x86 Solaris 10 11/06 のインストールイメージを作成する必要があります。このプロセスには、1 つ以上のパッチを x86 ミニルートイメージに適用する処理が含まれます。Solaris 10 11/06 リリースの場合、Broadcom NetXtreme II ギガビット Ethernet デバイスドライバをダウンロードしてインストールする処理も含まれます。
この手順には、x86 インストールサーバーの作成手順がすべて含まれているわけではありません。
x86 インストールサーバーの設定の詳細については、次の項目を参照してください。
GRUB ベースのブートを実装する x86 ネットワークインストールサーバー上で、スーパーユーザーになるか、同等の役割になります。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
Solaris 10 8/07 OS DVD、Solaris 10 11/06 OS DVD、またはネットワークインストールイメージ上の Solaris_10/Tools ディレクトリに移動します。
# cd install-dir-path/Solaris_10/Tools |
イメージのコピー先のディレクトリを指定します (例: /export/solaris-image)。
OS イメージのルート (/) レベルディレクトリは、Solaris OS を DVD または CD メディアからインストールするか、ネットワークインストールサーバーからインストールするかにより異なることに留意してください。この手順中の例では、ネットワークインストールサーバー上に OS イメージを作成する方法を示します。
setup_install_server コマンドを実行して、新しいインストールイメージを作成します。
# ./setup_install_server new-install-dir-path |
新しいインストールイメージの作成先となるパスを指定します。
このコマンドは、x86 システム向けに Solaris 10 8/07 または Solaris 10 11/06 OS の「新しい」インストールイメージを作成します。
ミニルートの書き込み可能なコピーを作成します。
# /boot/solaris/bin/root_archive unpackmedia new-install-dir-path miniroot-dir-path |
展開されていないブートアーカイブを含めるディレクトリのパスを指定します (例: /export/sol10-mod-miniroot)。
SunSolve Web サイトから、インストールイメージの作成対象となるリリースに該当するパッチをダウンロードします。
一部のパッチは制限されていて、アクセスするには Sun Service Plan または Solaris の登録を必要とする場合があります。Sun Service Plan を入手したり、Solaris の登録を行なったり、推奨されるパッチのダウンロードや適用に関する情報を入手したりするには、SunSolve Web サイト (http://sunsolve.sun.com/) を参照してください。
Solaris 10 8/07 および 10 11/06 リリースの場合、Broadcom Web サイトから Solaris OS 用 bnx ドライバの最新版をダウンロードします。
Broadcom bnx ドライバをダウンロードおよびインストールする手順については、Broadcom Web サイトの http://ja.broadcom.com/support/ethernet_nic/downloaddrivers.php を参照してください。
Tmp ディレクトリを新しく作成し、パッチと 1 つ以上のドライバを新しい Tmp ディレクトリにコピーします。
# mkdir new-install-dir-path /Solaris_10/Tmp |
パッチと 1 つ以上のドライバが格納されているディレクトリに移動します。
# cd new-install-dir-path/Solaris_10/Tmp |
PKG_NONABI_SYMLINKS 変数を true に設定します。
# export PKG_NONABI_SYMLINKS=true |
ミニルートにパッチを適用します。
Solaris 10 8/07 および Solaris 10 11/06 リリースの場合、ミニルートに bnx ドライバをインストールします。
# pkgadd -d new-install-dir-path/Solaris_10/Tmp/Server/solaris/BRCMbnx.pkg -R \ miniroot-dir-path |
ミニルートの repository.db を変更します。
SVCCFG_REPOSITORY 変数は、展開したミニルートの repository.db の場所を指している必要があります。repository.db は、展開したミニルートの /etc/svc ディレクトリに存在します。この変数のエクスポートに失敗するとライブリポジトリが変更され、システムがブートできなくなります。
# svccfg svc:> repository miniroot-dir-path/etc/svc/repository.db svc:> select /system/device/local svc:/system/device/local> setprop start/exec=:true svc:/system/device/local> select /milestone/single-user svc:/milestone/single-user> setprop start/exec=:true svc:/milestone/single-user> select /system/filesystem/usr svc:/system/filesystem/usr> setprop start/exec=:true svc:/system/filesystem/usr> exit |
ミニルートを再度圧縮します。
# /boot/solaris/bin/root_archive packmedia new-install-dir-path miniroot-dir-path |
以上の手順が完了したら、「IBM BladeCenter LS21、LS41、および HS21 サーバーへの Solaris 10 8/07 または Solaris 10 11/06 OS のインストールを実行する方法」に進みます。
この手順では、ネットワークインストールサーバーの使用を前提としています。インストールプロセスを開始する前に、クライアントシステムをネットワークインストールサーバーに追加する必要があります。クライアントシステムをネットワークインストールサーバーに追加する方法については、この手順中で説明します。詳細は、「add_install_client を実行してネットワークからインストールするシステムを追加する方法」を参照してください。
次の補足情報も参照してください。
Solaris OS のインストールに DVD を使用する場合は、インストールを開始する前に、Solaris OS インストールイメージを DVD に焼く必要があります。詳細は、「DVD ISO イメージを作成する方法」を参照してください。
DVD または CD メディアを使ってネットワークインストールサーバーを作成する方法については、「DVD メディアを用いたインストールサーバーの作成」および「CD メディアを使用したインストールサーバーの作成」を参照してください。
Solaris OS のインストールの準備作業については、「IBM BladeCenter サーバーへの Solaris オペレーティングシステムのインストールの準備 (作業マップ)」を参照してください。
このマニュアルに記載された手順で x86 ミニルートイメージにパッチを適用した場合は、グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) インストールプログラムを使って Solaris 10 11/06 OS をインストールすることはできません。インストールプログラムのデフォルトは、自動的にテキストコンソールモードになります。
ネットワークインストールサーバーまたはブートサーバーで、スーパーユーザーになるか同等の役割になります。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
Solaris_10/Tools ディレクトリに移動します。
# cd new-install-dir-path/Solaris_10/Tools |
新しく作成した OS イメージの場所を指定します。
add_install_client コマンドを実行して、クライアントシステムのネットワークインストールを設定します。
# ./add_install_client -d -e ethernet-address i86pc |
DHCP を使用してネットワーク上のインストールパラメータを設定している場合、x86 インストールクライアントをインストールサーバーに追加します。
クライアントが構成に DHCP プロトコルを使用することを指定します。
PXE ネットワークブートを使用してネットワークからシステムをブートする場合は、-d オプションを使用します。このオプションを指定すると、DHCP サーバーに作成する必要のある DHCP オプションの一覧が出力されます。
このインストールが、コマンド構文で指定された Ethernet アドレスを持つクライアントのみで行われることを示します。
詳細は、install_scripts(1M) のマニュアルページを参照してください。
インストールを実行するシステムをリブートします。
「ネットワークからのシステムのブートとインストール」に記載された手順を実行します。
インストールが開始されたら、Manual Reboot オプションを選択します。
DVD またはネットワークからインストールを実行する場合は、このオプションを選択します。
インストール中に、次のエラーメッセージが表示されることがあります。
eeprom: syntax error in /boot/solaris/bootenv.rc line 23 |
このメッセージは無視しても問題はありません。
インストールが完了したら、システムをリブートする前に、適切なキーの組み合わせを入力してコマンドシェルを終了します。
DVD またはネットワークインストールイメージがマウントされているか確認します。
# ls /cdrom |
次の出力が表示された場合は、手順 9 に進みます。
Copyright boot JDS-THIRDPARTYLICENSEREADME installer Solaris_10 |
この出力が表示されない場合は、次のコマンドを入力します。
# iostat -En |
次のような出力が表示されます。
c4t0d0 Soft Errors: 7 Hard Errors: 0 Transport Errors: 0 Vendor: HL-DT-ST Product: RW/DVD GCC-4244N Revision: 1.02 Size: 0.00GB <0 bytes> Media Error: 0 Device Not Ready: 0 No Device: 0 Recoverable: 0 Illegal Request: 7 Predictive Failure Analysis: 0 |
前記の例では、マウントする DVD デバイスは c4t0d0 です。マウントする必要のある DVD デバイスは異なる場合があります。
# mount -F hsfs -o ro /dev/dsk/c4t0d0s0 /cdrom |
ネットワークインストールイメージをマウントするには、次のように入力します。
# mount install-server:new-install-dir-path /cdrom |
パッチと Broadcom Ethernet ドライバパッケージを、新しくインストールされたディスクに追加します。
パッチの適用後に、システムをリブートします。
PXE ネットワークブートの実行の詳細は、『Solaris 10 インストールガイド (ネットワークインストール)』の「PXE を使用したネットワーク経由のブートとインストールの概要」を参照してください。
DHCP を使用した特定のクライアントのインストールの詳細は、「Solaris インストールパラメータ用の DHCP オプションとマクロの作成」を参照してください。
ネットワークインストールサーバーまたはブートサーバーで、スーパーユーザーになるか同等の役割になります。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
ディレクトリを移動して mkisofs コマンドを実行し、ブート可能な iso9660 ファイルシステムのインストールイメージを作成します。
# cd /new-install-dir-path # mkisofs -o /tmp-dir/solaris-image.iso -b boot/grub/stage2_eltorito -c .catalog \ -no-emul-boot -boot-load-size 4 -boot-info-table -relaxed-filenames -N \ -allow-leading-dots -l -r -J -d -D -V SOL_10_U3MOD /new-install-dir-path |
DVD イメージを一時的に格納するために使用するディレクトリを指定します。4G バイト以上の空きディスク容量が必要です。
mkisofs(1M) のマニュアルページへのアクセス方法については、cdrw(1) のマニュアルページを参照してください。
DVD を焼くコンピュータに ISO イメージをコピーします。DVD を焼くには、次のように入力します。
# cdrw -iC /tmp-dir/solaris-image.iso |
cdrw コマンドの詳細は、cdrw(1) のマニュアルページを参照してください。
インストールを開始するには、「IBM BladeCenter LS21、LS41、および HS21 サーバーへの Solaris 10 8/07 または Solaris 10 11/06 OS のインストールを実行する方法」の手順 5 に進みます。
DVD から Solaris OS をインストールする方法の詳細については、「IBM BladeCenter サーバーへの Solaris インストールプログラムを使用したインストールの実行 (スタンドアロン)」を参照してください。