Sun Java System Communications Express 6.3 管理ガイド

第 5 章 トラブルシューティング

この章では、Communications Express のインストールおよび設定中に発生する可能性のあるよくある問題に対する解決方法および障害追跡を一覧表示しています。

この章の内容は次のとおりです。

問題の特定と障害追跡

Communications Express は、各種の製品に依存している、統合された Web ベースの通信クライアントを提供します。このため、使用中に、障害追跡が必要な問題が発生する場合があります。

問題の原因を特定するには、問題に取り組む前に、次に示す共通の障害追跡方法を実行してください。

ProcedureCommunications Express の障害追跡

  1. 製品を設定した際に、第 2 章「Communications Express のインストールと構成」で説明されている手順どおりに作業したかどうかを確認してください。

  2. 詳細なエラーログを確認し、障害の原因を判別できるように、Communications Express ログを有効にします。

    ロギングを有効にする手順については、「ログファイル」の節を参照してください。

  3. コンポーネントのログにエラーおよび例外が報告されていないかどうかを確認します。

    ログファイルには、Communications Express のインストール、設定、および実行中に発生したエラーのリストが保持されています。

一般に発生する問題の障害追跡

この節では、インストール、設定、起動、または Communications Express ユーザーインタフェースクライアントコンポーネントにアクセスしているときに、発生する可能性のある問題の概要を説明します。

以下のリストは、Communications Express で一般に判明している問題の一部とその考えられる原因です。

Communications Express の設定

Web コンテナを再起動しても、設定の変更が反映されない

設定の変更が適切な設定パス内のファイルに適用されていることを確認します。

Communications Express の設定が完了すると、次のディレクトリが作成されます。

変更内容がアプリケーションに反映されるようにするには、設定の変更を uwc-deployed-path/WEB-INF /config に行うようにします。

uwc-deployed-path/staging/WEB-INF/config および uwc-basedir /SUNWuwc/WEB-INF/config の 2 つのディレクトリは、設定ウィザードが設定中に内部的に作成して使用している一時的なプレースホルダです。これらのディレクトリ内への変更は、アプリケーションに反映されません。

設定タスクが失敗した

問題を特定するには、uwc-basedir/SUNWuwc/install/uwc-config _TIME-STAMP.log にあるログファイルを使用します。

TIME-STAMP は設定のタイムスタンプであり、YYYYMMDDhhmmss という形式です。

設定プログラムが正しく動作しない

問題を特定するには、以下のデバッグモードを使用してデバッグオプションを有効にし、設定プログラムを呼び出します。

-debug: 一般的なデバッグ情報を生成する。

-debugMessage: エラーおよび警告のログを生成する。

-debugWarning: 警告メッセージおよびエラーメッセージのログを生成する。

-debugError: エラーメッセージのログを生成する。このオプションは、デフォルトで有効です。

Communications Express アプリケーションの起動に失敗し、Web コンテナのログには例外が示される

このエラーは、設定が不完全であるか不正である場合に発生することがあります。

回避方法:

設定中に、「chown」コマンドが失敗する

回避方法:

設定プログラムを実行し、「Web コンテナのユーザーとグループ」パネルで Web コンテナユーザーおよびグループに正しい値を入力します。

認証後に Access Manager が有効な状態で Communications Express にアクセスすると、「この処理の実行中にエラーが発生しました」というメッセージが表示される

回避方法:

uwc-deployed-path/WEB_INF/config/uwcauth.properties 内の uwcauth.identity.binddn および uwcauth.identity.bindcred プロパティーに、Access Manager SDK をインストールしたときに指定した amAdmin DN が設定されていることを確認します。uwcauth.properties ファイルでの Access Manager パラメータの設定」の節を参照してください。

Access Manager SSO のために uwcauth.identity.binddnuwcauth.indentity.bindcred にディレクトリ管理者の資格が指定される可能性がありますが、ディレクトリ管理者には、Communications Express が正常に機能するのに必要な、特定のドメイン固有属性を取得するための ACL がありません。

Access Manager SDK 統合用に Web コンテナ設定を変更するためのサポートがない

設定ウィザードは、Access Manager SDK 統合用の Web コンテナ設定の変更をサポートしていません。

回避方法:

Access Manager に用意されているツールを手動で起動し、Access Manager 用の Web コンテナ設定を変更します。

カレンダへのアクセス

Communications Express からカレンダにアクセスすると、「この処理の実行中にエラーが発生しました」というメッセージが表示される

このエラーは、以下の 1 つ以上の理由で表示されます。

Communications Express からカレンダにアクセスすると、「カレンダを使用できません。表示できませんでした。選択したカレンダは削除されたか存在していません。または、表示する権限がありません。別のカレンダを選択してください」というメッセージが表示される

このエラーは、ホストされていないドメインを構成する際に、Schema 2 で使用される commcli を使用してユーザーが作成された場合に起こります。このエラーメッセージは、commcli がユーザーの LDAP エントリ内の icsCalendar 属性の値に @domain を誤って付加しているために表示されます。

回避策

ホストされていないドメイン環境で commcli を使用してユーザーを作成する場合は、commadmin コマンドで -k legacy オプションを使用します。ホストドメイン環境の場合は、-k hosted オプションを使用します。-k オプションを指定しない場合は、ホストドメインのセットアップと見なされます。

以下にその例を示します。


例 5–1 commcli による作成


./commadmin user create -D admin -w password -X 
siroe .varrius .com -n siroe.varrius.com -p 85 -d 
siroe.varrius.com-F test -L user2 -l user2 
-Wuser2 -S mail,cal -k legacy
ok

または、

作成済みのユーザーに対応するエントリを削除できない場合は、ユーザーの LDAP エントリの icsCalendar、icsSubscribed、および icsOwned 属性から '@domain ' の部分を手動で削除します。

Communications Express から複数のドメインにわたるカレンダを検索、招待、登録、または空き時間の確認をすると、「ドメインにわたるカレンダを検索できません」、「ドメインにわたるカレンダを招待できません」、「ドメインにわたるカレンダを登録できません」、または「ドメインにわたるカレンダの空き時間の確認を実行できません」というメッセージが表示される

回避策

カレンダの可用性を検索、招待、登録、または確認するには、クロスドメイン検索を有効にする必要があります。『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』の「クロスドメイン検索の有効化」の節を参照してください。

デフォルトの予定状況フィルタに関する問題

「カレンダのオプション」ウィンドウにあるデフォルトの予定状況フィルタは、日別、週別、および月別のカレンダ表示で表示する予定を指定します。選択可能なオプションは、以下のとおりです。

予定状況として「受諾済み」オプションが選択されていると、日別、週別、または月別のカレンダ表示には、ユーザーが受諾した出席依頼のみが表示されます。ただし、ユーザー自身が作成した予定はすべて、日別、週別、または月別のカレンダ表示に常に表示されます。

2M バイトを超えるファイルのアップロード中に Communications Express で「サーバーエラー」が表示される

このエラーは、アップロードされるファイルのサイズが 2M バイトより大きい場合に、予定や作業のカレンダへのインポート中または連絡先のアドレス帳へのインポート中に発生します。

デフォルトでは、Communications Express でインポートできるのは、2M バイトまでのデータです。ただし、アップロードファイルのサイズ制限は設定できます。

回避策

アップロードファイルのサイズ制限を大きな値に設定します。

アップロードファイルのサイズ制限を大きな値に設定するには、web.xml 内のフィルタ MultipartFormServletFilter の、次に示す初期化パラメータを設定します。

たとえば、アップロードファイルのサイズを 10M バイトに増やすには、次の設定手順に従います。

Procedureアップロードファイルのサイズを増やす

  1. uwc-deployed-path/ WEB-INF/ から、既存の web.xml のバックアップを取ります。

  2. uwc-deployed-path/WEB-INF/web.xml ファイルを編集します。

  3. web.xml 内の MultipartFormServletFilter の設定を、コード例 5-2 の太字で示すように指定します。


    <web-app\>
    ..
    ..
      <filter\>
        <filter-name\>MultipartFormServletFilter</filter-name\>
        <filter-class\>com.sun.uwc.calclient.MultipartFormServletFilter</filter-class\>
        ..
        ..
        <init-param\>
          <param-name\>fileSizeHardLimit</param-name\>
          <param-value\>10485760</param-value\>
          <description\>Ten mega bytes</description\>
        </init-param\>
        <init-param\>
          <param-name\>requestSizeLimit</param-name\>
          <param-value\>10485760</param-value\>
          <description\>Ten mega bytes</description\>
        </init-param\>
        <init-param\>
          <param-name\>fileSizeLimit</param-name\>
          <param-value\>10485760</param-value\>
          <description\>Ten mega bytes</description\>
        </init-param\>
        <init-param\>
          <param-name\>failureRedirectURL</param-name\>
          <param-value\>put your url here</param-value\>
          <description\>Request is redirected to this url when uploaded file size crosses fileSizeHardLimit
           value</description\>
        </init-param\>
        ..
        ..
      </filter\>
    ..
    ..
    ..
    ..
    </web-app\>
  4. Web コンテナを再起動して、変更内容を有効にします。

アドレス帳へのアクセス

アドレス帳にアクセスすると「サーバーエラー」が発生する。Web Server のログには次の例外が記録されている。「org.apache.xml.utils.WrappedRuntimeException:The output format must have a ’{http://xml.apache.org/xslt}content-handler’ property!

この例外は、JDK Web Server が JDK 1.4.2 未満のバージョンを指しているときに、Web Server がスローします。Communications Express では、XML/XSL の構文解析に、xalan および xerces の最新バージョンを使用します。このエラーは、以下の場合に表示されることがあります。

Communications Express からアドレス帳にアクセスすると、「この処理の実行中にエラーが発生しました」というメッセージが表示される

このエラーは、個人用アドレス帳 (PAB) の LDAP 設定が正しくない場合に発生します。アドレス帳にアクセスすると、Communications Express は個人アドレス帳ストア、つまり PAB 用に設定された LDAP に接続します。個人アドレス帳ストアで接続を確立できない場合は、エラーが表示されます。

回避策

  1. WEB-INF/config/ldappstore/db_config.properties 内の LDAP 設定を確認します。

    このファイル内の正しくない設定を編集します。

  2. Communications Express が配備される Web Server を再起動します。

    詳細については、db_config.properties ファイルでの企業ディレクトリパラメータの設定」の節を参照してください。

検索を実行すると、企業ディレクトリにインラインエラーが表示される

企業ディレクトリの LDAP 設定が正しく設定されていない場合に起こります。

回避方法:

WEB-INF/config/corp-dir/db_config.properties の LDAP 設定に誤りがないかどうか確認します。誤りを修正して、Communications Express が配置される Web コンテナを再起動します。

詳細については、db_config.properties ファイルでの企業ディレクトリパラメータの設定」の節を参照してください。

企業ディレクトリの連絡先を表示すると、「表示」ウィンドウにエラーが表示される

このエラーは、企業ディレクトリ内の連絡先エントリにアクセスするキーが uid でない場合に表示されます。

uid は、Communications Express に設定されたデフォルト値です。

回避策

  1. 企業ディレクトリから連絡先にアクセスするには、uwc-deployed-path/WEB-INF/config 内の db_config.properties および xlate-inetorgperson.xml 設定ファイルで、キー値が希望の値に設定されていなければなりません。

    これらのファイルに以下の変更を加えます。

    uwc-deployed-path/WEB-INF/config/WEB-INF/config/corp-dir/db_config.properties で適切なキー値を設定します。

    uwc-deployed-path/WEB-INF/config/WEB-INF/config/corp-dir/xlate-inetorgperson.xml で、entry entryID="db:uid"uid の代わりに適切なキーを設定します。

  2. Communications Express が配備される Web Server を再起動します。

    詳細については、db_config.properties ファイルでの企業ディレクトリパラメータの設定」の節を参照してください。

psRoot の値を設定できない

ユーザー設定にある LDAP の属性 psRoot は、アドレス帳サーバーの水平方向のスケーラビリティーのために使用されます。詳細については、「アドレス帳サーバーの水平方向のスケーラビリティーのサポート」を参照してください。配備に、アドレス帳サーバーの水平方向のスケーラビリティーが必要なければ、このエラーは無視してかまいません。

ユーザーが Communications Express に最初にログインすると、psRoot の自動的な設定が試みられます。しかし、この値が自動的に設定されない場合もあります。この状況は、一般に、Java Enterprise System Directory Server がインストールされていないために、Java Enterprise System Directory Server インストール後の Java Enterprise System の comm_dssetup.p1 が実行されていない場合に発生します。このため、LDAP Schema が更新されていません。

スキーマが更新されていないため、水平方向にスケーラブルなアドレス帳サーバーの配備に psRoot 属性が必要な場合も、この属性を手動で設定できません。

回避策

psRoot 属性の設定を有効にするには、Directory Server を、psRoot 属性を含むように更新します。それには、次の場所にある ipUser オブジェクトクラスの定義に属性 psRoot を含めます。

Directory ServerInstance/ config/schema/99user.ldif


注 –

psRoot 属性を含むように Directory Server を更新する必要があるのは、現在の配備で Java Enterprise System Directory Server がインストールされておらず、Java Enterprise System Directory Server インストール後に Java Enterprise System の comm_dssetup.p1 を実行していない場合だけです。


メールへのアクセス

「メール」タブをクリックすると、ログインページが表示される

回避策

Communications Express と Messaging Server との間の設定が正しく行われていない場合に、この問題が発生します。Messaging Server と Communications Express がシームレスに動作するには、Messaging Server または Access Manager のシングルサインオンが使用可能でなければなりません。Communications Express を開始する前に、第 1 章「Communications Express の概要」で説明しているシングルサインオン設定の手順に従ってください。

Communications Express からメールにアクセスすると、「この処理の実行中にエラーが発生しました」というメッセージが表示される

このエラーは、Communications Express のメールコンポーネントが配備されていないか、または有効になっていない状態で、Communications Express にログインしているユーザーが「メール」をデフォルトのアプリケーションとして設定した場合に発生します。

回避策

管理者は、ユーザーの LDAP エントリの属性 sunUCDefaultApplication の値を「calendar」または「addressbook」に変更する必要があります。

ユーザーが Communications Express からログアウトしたにもかかわらず、ログインしたままになっている

この問題は、Access Manager (以前の Identity Server) と Communications Express が別のマシンにインストールされており、かつ Access Manager Remote SDK が Communications Express と同じマシンにインストールされている場合に発生します。

回避策

Communications Express がインストールされているマシンで、AMConfig.properties ファイル内の次の設定パラメータを指定します。

com.iplanet.am.notification.url=url-to-access-web-container-of-CommunicationsExpress /servlet/com.iplanet.services.comm.server.PLLRequestServlet


注 –

AMConfig.properties ファイルは、IS-SDK-BASEDIR/SUNWam/lib にあります。


メールからアドレス帳機能にアクセスすると、次のような問題が発生する場合がある

JES4 から Communications Suite Release 5 にアップグレードしたあと、「メール」タブが表示されない。

Messaging Server 設定ユーティリティーのパラメータ local.webmail.sso.uwcenabled が 1 に設定されていることを確認します。Messaging Server で提供されている configutil ツールを使用すると、次のコマンドを実行してこのパラメータの値を確認できます。

 <msg-svr-base>/sbin/configutil | grep local.webmail.sso.uwcenabled

Access Manager を使用した認証

有効なユーザー ID およびパスワードを入力しても認証できない

認証は以下のような理由で失敗します。

ログファイル

各種のシステムコンポーネントから運用時に生成されるログ情報は、問題を切り分けて障害追跡する際に非常に役に立ちます。

表 5–1 Communications Express のさまざまなモジュールで保持されるログ情報

モジュール/ログ制御ファイル 

パラメータ 

デフォルト値 

説明 

構成 

   

ログは、/opt/SUNWuwc/install/uwc-config_TIME-STAMP.log にタイムスタンプ付きのファイルで保持されます。

Communications Express 

uwc-deployed-path/WEB-INF/config/uwclogging.properties

uwc.logging.enable

no

ロギングを有効または無効にします。 

ロギングを有効にするには、uwc.logging.enable のプロパティー値を「yes」に変更します。たとえば、uwc.logging.enable=yes

Communications Express 

uwc-deployed-path /WEB-INF/config/uwclogging.properties

uwc.log.file

uwc-deployed-path /logs/uwc.log

次に例を示します。 

/var/opt/SUNWuwc/logs/uwc.log

ログファイルの場所を指定します。 

必要に応じてログファイルの場所を変更します。 

Web Server がこのファイルに書き込めることを確認します。 

Communications Express 

uwc-deployed-path/WEB-INF/config/uwclogging.properties

uwc.log.level

INFO

アプリケーションのログレベルを指定します。 

アプリケーションのログレベルを希望するレベルに変更します。 

指定できるログレベルの値は以下のとおりです。 

WARNING、INFO、FINE、SEVERE、および FINEST。 

アドレス帳 

uwc-deployed-path /WEB-INF/config/uwcconfig.properties

log.file

/tmp/trace.log

ログファイルの場所を指定します。 

必要に応じてログファイルの場所を変更します。 

Web Server がこのファイルに書き込めることを確認します。 

アドレス帳 

uwc-deployed-path /WEB-INF/config/uwcconfig.properties

uwc.log.level

3

アプリケーションのログレベルを指定します。 

このモジュールのロギングを無効にするには、この値を 0 に設定します。 

メール 

   

『Sun Java System Messaging Server 管理ガイド』の第 20 章「ログ記録とログ解析」を参照してください。 

ログローテーション

Communications Express は、サイズに制限がない単一のログファイルを作成します。新しいログファイルが作成されるまでの最大ファイルサイズを指定できます。

Procedureログローテーションを有効にする

  1. ログファイルの最大サイズを指定するには、uwclogging.properties ファイルの uwc.log.maxsize をメガバイト単位で設定します。

    uwc.log.maxsize に指定する値は、整数です。Communications Express では、現在のファイルがこのサイズを超えると、新しいログファイルが作成されます。デフォルト値は none です。つまり、ログファイルのサイズに制限はありません。

  2. ファイルシステムに保持するファイルの最大数を指定します。

    ロールオーバーが有効な場合、保持するログファイルの最大数を指定するには、uwclogging.properties ファイルの uwc.log.maxfiles プロパティーを設定します。デフォルト値は 5 です。作成されるログファイル名は、uwc.log.0uwc.log.1uwc.log.2 などになります。すべてのログファイルを使い切ると、Communications Express は、以前に作成されたログファイルを uwc.log.0 から順番に上書きします。