次のリストに、2 つのノードを持つ Instant Messaging HA 設定のインストールおよび設定に必要な大まかな手順を示します。
開始する前に、求められる要件にもっとも適切なのは次の配備のどちらであるかを決定する必要があります。いずれの環境でも、共有コンポーネントはクラスタ内のすべてのノード上にローカルにインストールされます。また、いずれの環境でも、実行時ファイルが共有ディスクにインストールされます。
設定ファイルおよびバイナリ用にローカルディスクを使用する。この設定方法の利点は、Instant Messaging がオフラインになっているノード上でアップグレードを実行できるため、Instant Messaging をアップグレードする際に最小の停止時間で済むことです。欠点は、クラスタ内のすべてのノードに、Instant Messaging の同一の設定およびバージョンが存在することを確認する必要があることです。
また、このオプションを選択した場合は、Instant Messaging データサービスがオンラインになったときに、HAStoragePlus を使用して各ノード上の共有ディスクからファイルシステムをマウントするかどうか、またはグローバルの実行時ファイルに対してクラスタファイルシステムを使用するかどうかを決定する必要があります。
設定ファイルおよびバイナリ用に共有ディスクを使用する。この設定方法は、管理が容易ですが、アップグレードする前にクラスタ内のすべてのノードで Instant Messaging を停止する必要があります。
クラスタ内の各ノードで、コンポーネントを実行する Instant Messaging ランタイムユーザーおよびグループを作成する必要があります。UID および GID 番号は、クラスタ内のすべてのノードで同じである必要があります。
実行時ユーザー ID。Instant Messaging サーバーを実行するユーザー名です。この名前は、root にはしないでください。デフォルトは inetuser です。
実行時グループ ID。Instant Messaging サーバーを実行するグループです。デフォルトは inetgroup です。
configure ユーティリティーでもこれらの名前を作成できますが、設定プログラムを実行する前に、この章で説明する各ノードの準備の一環としてこれらの名前を作成できます。また、ローカルディスクまたは共有ディスクのどちらを使用しているかによって、特定のノード上で configure を実行しない場合があります。その場合、実行時ユーザー ID および実行時グループ ID を手動で作成する必要があります。
実行時ユーザー ID および実行時グループ ID 名は、次のファイルに存在する必要があります。
inetuser または選択した名前は、クラスタ内のすべてのノードのクラスタ内のすべてのノードの /etc/passwd に存在する必要があります
inetgroup または選択した名前は、クラスタ内のすべてのノードの /etc/group に存在する必要があります
手順については、「UNIX システムユーザーおよびグループの作成」を参照してください。ユーザーおよびグループの詳細については、使用しているオペレーティングシステムのマニュアルを参照してください。
Instant Messaging では、Java Enterprise System インストーラは、Solaris の /opt/SUNWiim をデフォルトのインストールディレクトリ (im-svr-base) として使用します。ただし、設定ファイルおよびバイナリ用の共有ディスクを使用している場合は、グローバル (共有) インストールディレクトリを指定する必要があります。次に例を示します。 /global/im/opt/SUNWiim。
ローカルディスクを使用している場合は、Instant Messaging をデフォルトのディレクトリにインストールできます。ただし、Instant Messaging をノード内の各マシン上の同じディレクトリにインストールする必要があります。
製品およびパッケージのインストールには、Communications Suite インストーラプログラムを使用します。インストーラについては、『Sun Java Communications Suite 5 インストールガイド』を参照してください。
表 4–3 は、複数ノードのクラスタ設定に必要な製品またはパッケージの一覧です。
表 4–3 複数ノードの Instant Messaging HA 設定に必要な製品およびパッケージ
製品またはパッケージ |
ノード 1 |
ノード n |
Sun Cluster ソフトウェア |
必要 |
必要 |
Instant Messaging 7.2 サーバー |
必要 |
必要 (設定ファイルおよびバイナリ用にローカルディスクを使用している場合)。不要 (設定ファイルおよびバイナリ用に共有ディスクを使用している場合)。 |
Sun Cluster Agent for Instant Messaging (SUNWiimsc) |
必要 |
必要 (設定ファイルおよびバイナリ用にローカルディスクを使用している場合)。不要 (設定ファイルおよびバイナリ用に共有ディスクを使用している場合)。 |
共有コンポーネント HAStoragePlus を使用している場合は、SUNWscu もインストールする必要があります |
必要 |
必要 |
実行する必要がある手順は、設定ファイルおよびバイナリ用にローカルディスクを使用しているか、共有ディスクを使用しているかによって異なります。
設定ファイルおよびバイナリ用にローカルディスクを使用している場合は、次の 2 つの手順説明に示された手順を実行します。
設定ファイルおよびバイナリ用に共有ディスクを使用している場合は、次の 2 つの手順説明に示された手順を実行します。
表 1–1 および表 4–2 のチェックリストに記入して、要求されたら回答をすぐに指定できるようにしておいてください。
Java Enterprise System インストーラを使用して製品およびパッケージをインストールします。
インストールディレクトリの選択の具体的な手順については、「インストールディレクトリ (im-svr-base) の選択」を参照してください。
HA に必要な製品およびパッケージのリストについては、表 4–3 を参照してください。具体的な手順については、『Sun Java Communications Suite 5 インストールガイド』を参照してください。
実行時ファイル用に HAStoragePlus を使用している場合は、共有ディスクをローカルディレクトリにマウントします。そうでない場合は、手順 3 に進みます。
次に例を示します。
マウントポイント (/local/ im/im-runtime-base/) が存在しない場合は、マウントポイントを作成します。
手順 4 での設定中に指定するよう求められた場合は、このディレクトリ (/local/ im/im-runtime-base/) を Instant Messaging サーバーの実行時ファイルのディレクトリとして指定します。
mount コマンドを使用して、ディスクを /local/im/im-runtime-base にマウントします。
configure ユーティリティーを実行します。
手順については、第 1 章「インストール後の Instant Messaging の設定」を参照してください。
Instant Messaging サーバーの実行時ファイルのディレクトリを指定するよう求められたら、次のいずれかを入力します。
実行時ファイルで HAStoragePlus を使用している場合は、 /local/im/im-runtime-base/を入力します。
実行時ファイルでクラスタファイルシステムを使用している場合は、/global/im/im-runtime-base/ を入力します。/global/im は、クラスタファイルシステム内のグローバルディレクトリです。
Instant Messaging のホスト名の指定を求められたら、論理ホストを入力します。
configure ユーティリティーが指定されたホストに接続できない場合でも、論理ホストの受け入れを選択します。論理ホストのリソースは、configure ユーティリティーの実行時にオフラインの可能性があります。
設定後やシステムの起動時に Instant Messaging を自動的に起動させるオプションを選択しないようにしてください。
HA 設定では、Instant Messaging が正しく動作するために、Instant Messaging サービスでも論理ホストがオンラインになっている必要があります。
実行時ファイルで HAStoragePlus を使用している場合は、共有ディスクをマウント解除します。
前の手順 (「設定ファイルおよびバイナリ用にローカルディスクを使用して、ノード 1 上に HA を設定する」) の説明に従ってノード 1 上の HA 設定が完了していることを確認します。
表 1–1 および表 4–2 のチェックリストの回答をすぐに指定できるようにしておきます。
Java Enterprise System インストーラを使用して製品およびパッケージをインストールします。
クラスタ内の後続の各ノードで、ノード 1 で Instant Messaging をインストールしたときと同じパスを選択します。具体的な手順については、「インストールディレクトリ (im-svr-base) の選択」を参照してください。
HA に必要な製品およびパッケージのリストについては、表 4–3 を参照してください。具体的な手順については、『Sun Java Communications Suite 5 インストールガイド』を参照してください。
configure ユーティリティーを実行します。
手順については、第 1 章「インストール後の Instant Messaging の設定」を参照してください。
Instant Messaging サーバーの実行時ファイルディレクトリを指定するよう求められたら、ノード 1 で指定したものと同じ値を入力します。
Instant Messaging ホスト名を指定するよう求められたら、ノード 1 で指定したものと同じ論理ホストを入力します。
configure ユーティリティーが指定されたホストに接続できない場合でも、論理ホストの受け入れを選択します。論理ホストのリソースは、configure ユーティリティーの実行時にオフラインの可能性があります。
ユーザーおよびグループの入力を求められたら、ノード 1 で指定したものと同じ値を入力します。
設定後やシステムの起動時に Instant Messaging を自動的に起動させるオプションを選択しないようにしてください。
HA 設定では、Instant Messaging が正しく動作するために、Instant Messaging サービスでも論理ホストがオンラインになっている必要があります。
表 1–1 および表 4–2 のチェックリストに記入して、要求されたら回答をすぐに指定できるようにしておいてください。
設定ファイルおよびバイナリ用に共有ディスクを使用する場合は、HAStoragePlus ではなくクラスタファイルシステムを使用する必要があります。
Java Enterprise System インストーラを使用して、クラスタファイルシステム内のディレクトリに製品およびパッケージをインストールします。
Instant Messaging をインストールする場合は、デフォルトディレクトリ以外のディレクトリを指定する必要があります。具体的な手順については、「インストールディレクトリ (im-svr-base) の選択」を参照してください。
HA に必要な製品およびパッケージのリストについては、表 4–3 を参照してください。具体的な手順については、『Sun Java Communications Suite 5 インストールガイド』を参照してください。
/etc/opt/SUNWiim から /global/im/etc/opt/SUNWiim をリンク先とするソフトリンクを作成します。
Instant Messaging をインストールしたグローバルディレクトリ (/global/ im/im-svr-base/configure) から configure ユーティリティーを実行します。
手順については、第 1 章「インストール後の Instant Messaging の設定」を参照してください。
Instant Messaging サーバーの実行時ファイルディレクトリを指定するよう求められたら、/global/ im/im-runtime-base の値を入力します。
Instant Messaging のホスト名の指定を求められたら、論理ホストを入力します。
configure ユーティリティーが指定されたホストに接続できない場合でも、論理ホストの受け入れを選択します。論理ホストのリソースは、configure ユーティリティーの実行時にオフラインの可能性があります。
設定後やシステムの起動時に Instant Messaging を自動的に起動させるオプションを選択しないようにしてください。
HA 設定では、Instant Messaging が正しく動作するために、Instant Messaging サービスでも論理ホストがオンラインになっている必要があります。
前の手順 (「設定ファイルおよびバイナリ用に共有ディスクを使用して、ノード 1 上に HA を設定する」) の説明に従ってノード 1 上の HA 設定が完了していることを確認します。
表 1–1 および表 4–2 のチェックリストの回答をすぐに指定できるようにしておきます。
/etc/opt/SUNWiim から /global/im/etc/opt/SUNWiim をリンク先とするソフトリンクを作成します。
リソースタイプ登録 (RTR) ファイルのソフトリンクを作成します。
ln -s /global/im/im-svr-base/cluster/SUNW.iim \ /usr/cluster/lib/rgm/rtreg/SUNW.iim |
Instant Messaging を起動する前に、リソースグループの作成、論理ホストの追加、およびリソースグループのオンライン化を実行する必要があります。
Instant Messaging のフェイルオーバーリソースグループを im-resource-group という名前で作成します。
# scrgadm -a -g im-resource-group -h im-node-2,im-node-1 |
リソースグループに論理ホスト名 im-logical-host を追加します。
Instant Messaging は、このホスト名で待機します。
# scrgadm -a -L -g im-resource-group -l im-logical-host |
リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g im-resource-group |
Instant Messaging データサービスをオンラインにする前に、この節で説明されている手順に従って、ストレージリソースを登録して有効にする必要があります。
ストレージリソースを登録します。
グローバルファイルシステム (GFS) を使って HAStoragePlus を使用する場合、マウントポイントを FileSystemMountPoints プロパティーの値として設定します。次に例を示します。
# scrgadm -a -j im-resource-group-store -g im-resource-group -t SUNW.HAStorage \ -x FileSystemMountPoints=/global/im -x AffinityOn=True |
そうでない場合は、マウントポイントを ServicePaths プロパティーの値として設定します。次に例を示します。
# scrgadm -a -j im-resource-group-store -g im-resource-group -t SUNW.HAStorage \ -x ServicePaths=/global/im -x AffinityOn=True |
ストレージリソースを有効にします。
# scswitch -e -j im-resource-group-store |
HA Instant Messaging サーバーまたはマルチプレクサを起動する前に、Sun Cluster でリソースタイプ SUNWiimsc を登録して、リソースを作成する必要があります。
リソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.iim |
リソースを作成します。
次のコマンドを 1 行で入力します。
# scrgadm -a -j im-resource -g im-resource-group -t SUNW.iim -x Confdir_list=/global/im/im-resource-group -y Resource_dependencies=im-resource-group-store |
リソースを有効にします。
# scswitch -e -j im-resource |
Instant Messaging コンポーネントを起動します。
Instant Messaging の起動後に、この節で説明する手順に従って HA 設定を検証する必要があります。
すべての必要なプロセスが実行中であることを確認します。
高可用性を保証するため、サービスをバックアップノードに切り替えます。
たとえば、サービスが im-node-1 上で稼働している場合、次のコマンドを実行して、サービスを im-node-2 に切り替えます。
# scswitch -z -g im-resource-group -h im-node-2 |
すべての必要なプロセスが im-node-2 上で起動していることを確認します。
トラブルシューティングをしやすくするため、エラーログにエラーメッセージが書き込まれます。このログは、syslog 機能によって制御されます。ログ機能の使用については、「HA 関連のマニュアル」および syslog.conf のマニュアルページを参照してください。