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Sun Java System Message Queue 3 2005Q1 管理ガイド 

第 4 章
ブローカの設定

ブローカインスタンスが起動すると、その設定は一連の設定ファイルおよび imqbrokerd コマンドに渡されるオプションにより制御されます。この章では、設定ファイルとコマンド行オプションが対話し、ブローカインスタンスを設定する方法と、各ブローカコンポーネントの機能について説明します。また設定プロパティを一覧表示して、設定方法を説明します。

この章では、次の節について説明します。

設定プロパティの詳細は、第 14 章「ブローカのプロパティのリファレンス」を参照してください。


設定可能なブローカコンポーネントの概要

プロデューシングクライアントから送信先へ、さらに送信先から 1 つ以上のコンシューミングクライアントへ配信される Message Queue メッセージングシステムのメッセージ配信は、ブローカまたは、並行して動作するブローカインスタンスのクラスタによって行われます。

メッセージ配信を実行するには、ブローカはクライアントとの通信チャネルの設定、認証と承認、適切なメッセージルーティング、信頼性の高い配信の保証、およびシステムパフォーマンスを監視するためのデータの提供を行う必要があります。

その機能を実行するために、ブローカはさまざまな内部コンポーネントを使用します。各コンポーネントには、配信プロセスにおける特定のロールが割り当てられています。これらのブローカコンポーネントについて、図 4-1 に図示しています。

図 4-1 ブローカサービスのコンポーネント

図は、ブローカの機能上のコンポーネントを示します。コンポーネントとそれらの機能については次の表で説明されます。

メッセージルーターコンポーネントが主要なメッセージルーティングと配信サービスを実行し、それ以外のコンポーネントは重要なサポートサービスを提供しています。表 4-1 で各コンポーネントを簡単に説明しています。

表 4-1 主要なブローカサービスコンポーネントと機能 

コンポーネント

説明/機能

プロパティの説明

コネクションサービス

ブローカとクライアント間の物理的な接続を管理し、送受信メッセージの転送を行います。

「コネクションサービスのプロパティ」

メッセージルーター

メッセージのルーティングおよび配信を管理します。JMS メッセージと、JMS メッセージの配信をサポートするために Message Queue メッセージングシステムが使用するコントロールメッセージを含みます。

「メッセージルーターのプロパティ」

持続マネージャ

データの持続ストレージへの書き込みと、持続ストレージからのデータの取得を管理します。

「持続マネージャのプロパティ」

セキュリティマネージャ

ブローカへのコネクションを要求するユーザーに認証サービスを提供し、認証されたユーザーに承認サービス (アクセス制御) を提供します。

「セキュリティマネージャのプロパティ」

監視サービス

さまざまな出力チャネルに書き込み可能なメトリックスと診断情報を生成する。管理者はこれらをブローカの監視および管理に使用できます。

「監視とロギングのプロパティ」

負荷状態やアプリケーションの複雑さなどに応じて、これらのコンポーネントを設定してブローカのパフォーマンスを最適化することができます。次の節では、各コンポーネントが実行する機能と、コンポーネントの動作を変化させるために設定できるプロパティを説明します。

コネクションサービス

Message Queue ブローカは、Message Queue アプリケーションクライアントと Message Queue 管理クライアントの両方の通信をサポートしています。各コネクションサービスは、次のように、サービスタイプとプロトコルタイプで指定されます。

表 4-2 に、Message Queue ブローカから利用できるコネクションサービスを一覧にします。

表 4-2 ブローカがサポートするコネクションサービス 

サービス名

サービスタイプ

プロトコルタイプ

jms

NORMAL

tcp

ssljms (Enterprise Edition)

NORMAL

tls (SSL ベースセキュリティ)

httpjms (Enterprise Edition)

NORMAL

http

httpsjms (Enterprise Edition)

NORMAL

https (SSL ベースセキュリティ)

admin

ADMIN

tcp

ssladmin

ADMIN

tls (SSL ベースセキュリティ)

ブローカを設定して、これらのコネクションサービスの一部、またはすべてを実行することができます。各コネクションサービスは、ブローカのホスト名とポート番号で指定した特定のポートで使用できます。jms サービスと admin サービスは、デフォルトで有効に設定されています。

Message Queue はコネクションサービスを動的にポート番号にマップします。あるいはユーザーがポートを明示的に割り当てられます。図 4-2 に示すように、各サービスはスレッドプールマネージャを保持し、共通のポートマッパーサービスにサービス自体を登録します。

図 4-2 コネクションサービスのサポート

図は、コネクションサービスがポートマッパーおよびスレッドプールマネージャと通信することを示します。

次の節では、コネクションサービスとポートマッパー、およびスレッドプールマネージャとの関連性を説明します。

ポートマッパー

Message Queue には、ポートをコネクションサービスにマップするポートマッパーが用意されています。ポートマッパーは、標準のポート番号 7676 に常駐します。クライアントがブローカとの接続を設定すると、まずポートマッパーに接続し、指定されたコネクションサービスのポート番号を要求します。

jmsssljmsadmin、および ssladmin コネクションサービスのポート番号は、動的にも静的にもなります。デフォルトでは、コネクションサービスは起動時に動的にポートを設定します。また、サービスに静的なポートを指定できますが、静的なポート番号は一般には推奨されません。通常、静的なポート番号は、ファイアウォールを通過するコネクションなど、特別な状況に対してのみ使用されます。

httpjms サービスと httpsjms サービスは、それぞれ付録 C 「HTTP/HTTPS のサポート」表 C-1表 C-3 に示すプロパティを使用して設定します。

スレッドプールマネージャ

各コネクションサービスは、複数のコネクションをサポートするマルチスレッドです。これらのコネクションに必要なスレッドは、スレッドプールマネージャのコンポーネントが管理するスレッドプールに保存されます。

スレッドプールマネージャを設定して、スレッドプールに保持されるスレッドの最小数と最大数を指定することができます。コネクションでスレッドが必要になると、スレッドプールにスレッドが追加されます。スレッドの最小数より少なくなると、システムは最小数のしきい値になるまで、スレッドをシャットダウンして、スレッドを解放します。これによってメモリーのリソースが節約されます。新しいスレッドを頻繁に作成する必要がないように、最小数に十分な数を指定します。コネクションの負荷が重い場合、スレッドの数をスレッドプールの最大数まで増やすことができます。それでも足らない場合、スレッドが利用できるようになるまで、コネクションは待機します。

スレッドプール内のスレッドは、1 つのコネクションだけに割り当てる (専用モデル) か、必要に応じて、複数のコネクションに割り当てる (共有モデル) ことができます。

専用モデル     ブローカへのコネクションごとに、コネクションの受信メッセージの処理用と、コネクションの送信メッセージの処理用の 2 つの専用スレッドが必要です。このため、コネクションの数は、スレッドプール内の最大スレッド数の半分に制限されますが、高いパフォーマンスを得られます。

共有モデル (Enterprise Edition)     コネクションは、メッセージが送信されるか受信されると必ず、共有スレッドによって処理されます。このモデルでは、コネクションごとの専用スレッドは必要ないため、コネクションサービス、さらにブローカがサポートできるコネクション数が多くなります。ただし、スレッドの共有にはある程度のパフォーマンスオーバーヘッドが伴います。スレッドプールマネージャは、一連のディストリビュータスレッドを使用してコネクションのアクティビティを監視し、必要に応じてスレッドにコネクションを割り当てます。このアクティビティに伴うパフォーマンスオーバーヘッドは、各ディストリビュータスレッドが監視するコネクション数を制限することで最小限に抑えることができます。

セキュリティ

各コネクションサービスは、特定の認証および承認 (アクセス制御) 機能をサポートします (「セキュリティマネージャ」を参照)。

コネクションサービスのプロパティ

これはコネクションサービスに関連した設定可能なプロパティです。

上記のプロパティの詳細は、表 14-2 を参照してください。

メッセージルーター

サポートされているコネクションサービスを使用して、クライアントとブローカ間でコネクションが確立されると、メッセージのルーティングおよび配信が処理できます。

基本的な配信メカニズム

通常、ブローカで処理されるメッセージは、2 つのカテゴリに分類されます。

受信メッセージが JMS メッセージの場合、送信先のタイプ (キュー、またはトピック) に基づいて、ブローカはメッセージをコンシューマクライアントにルートします。

メッセージルーターは予定のコンシューマすべてにメッセージを配信した後、メモリーからメッセージをクリアします。メッセージが残っている場合、メッセージルーターはブローカの持続データストアからメッセージを削除します。

信頼性の高い配信: 通知とトランザクション

信頼性の高い配信の要件を追加すると、前述した配信メカニズムはさらに複雑になります。信頼性の高い配信には、2 つの側面が関連します。

ブローカとのメッセージの配信を正常に行うために、Message Queue は多数の応答コントロールメッセージを使用します。

たとえば、プロデューサが送信先に JMS メッセージ (ペイロードメッセージ) を送信する場合、ブローカは JMS メッセージを受信したという応答を返します (デフォルトでは、プロデューサが JMS メッセージを持続的として指定している場合に限り、Message Queue はこれを実行する)。プロデューシングクライアントは、送信先への配信を保証するために、ブローカの応答を使用します。

同様に、ブローカが JMS メッセージをコンシューマに配信した場合、コンシューミングクライアントは、メッセージを受信および処理したことを示す通知を送り返します。クライアントは、セッションオブジェクトの作成時に、これらの通知を自動的に、またはどのくらいの頻度で送信するのかを指定しますが、メッセージルーターは、メッセージを配信した各メッセージコンシューマ (トピックの複数のサブスクライバなど) から通知を受信するまで、メモリーから JMS メッセージを削除しません。

トピックのサブスクリプションが永続的な場合、メッセージルーターは、各 JMS メッセージをその送信先で保持し、各永続サブスクライバがアクティブなコンシューマになると、そのメッセージを配信します。

メッセージルーターは、クライアントの通知を受信するたびにそれを記録し、すべての通知を受信すると、初めて JMS メッセージを削除します (ただし、この時点で JMS メッセージの有効期限が切れている場合は除く)。

さらに、メッセージルーターは、ブローカの応答をクライアントに送り返して、クライアントの通知を受信したことを確認します。コンシューミングクライアントは、ブローカの応答を使用して、ブローカが JMS メッセージを何度も配信しないようにします。ブローカがクライアントの通知を受信し損なうと、JMS メッセージが繰り返し配信される可能性があります。

ブローカがクライアントの通知を受信しないで、JMS メッセージを再び配信する場合、メッセージに再配信フラグが付けられます。一般にブローカは、次の状況で JMS メッセージを再配信します。

たとえば、メッセージが通知される前に、キューのメッセージコンシューマがオフラインになって、別のコンシューマがキューに登録された場合、ブローカは通知されていないメッセージを新しいコンシューマに再配信します。

前述のクライアントの通知とブローカの応答は、トランザクションに分類される JMS メッセージの配信にも適用されます。この場合、各プロセスは個々の JMS メッセージの送信または受信レベルだけでなく、トランザクションレベルでも動作します。トランザクションがコミットされると、ブローカの応答が自動的に送信されます。

ブローカはトランザクションを追跡し、トランザクションがコミットされるか、あるいは障害が発生した場合にロールバックされるようにします。このトランザクション管理は、大規模な分散トランザクションの一部であるローカルトランザクションもサポートします。ブローカは、これらのトランザクションがコミットされるまで、トランザクションの状態を追跡します。デフォルトでは、ブローカは起動時に、コミットされていないすべてのトランザクションを調べて、PREPARED 状態以外のトランザクションをすべてロールバックします。imq.transaction.autorollback プロパティを設定する場合、ブローカは PREPARED 状態にあるトランザクションもロールバックします。

信頼性の高い配信: 持続

信頼性の高い配信のもう 1 つの局面は、メッセージが実際に配信されるまで、ブローカがメッセージ、または配信情報を保持することです。通常、メッセージは配信されたり、有効期限が切れたりするまで、メモリー内に保持されます。ただし、ブローカに障害が発生すると、これらのメッセージは損なわれます。

プロデューサクライアントが、メッセージの持続性を指定している場合、メッセージルーターはこのメッセージを持続マネージャに渡します。持続マネージャは、データベースまたはファイルシステムにメッセージを格納し (「持続マネージャ」を参照)、ブローカに障害が発生したときに、メッセージを復元できるようにします。

メモリーリソースとメッセージフローの管理

ブローカのパフォーマンスと安定性は、使用できるシステムリソースとメモリーなどのリソースの使用効率によって異なります。特に、メッセージルーターでは、メッセージの生成量が消費量をかなり上回る場合には、過負荷となりメモリーリソースを使い果たしてしまうことがあります。この問題の発生を避けるために、メッセージルーターは、リソースが不十分なときでもシステムの動作を維持できるように 3 レベルのメモリー保護を使用しています。

個々の送信先のメッセージ制限     メッセージ数およびメッセージで消費される合計メモリーに制限を指定する、物理的送信先プロパティを設定できます (第 15 章「物理的送信先のプロパティのリファレンス」を参照)。また、制限に達したときのメッセージルーターの動作も指定できます。4 種類の制限の動作は次のとおりです。

システム全体のメッセージ制限     システム全体のメッセージ制限は、二次的な保護を提供します。システム全体の制限を指定すると、システム上のすべての送信先に対して一括して適用され、メッセージの総数とすべてのメッセージによって使用される総メモリー量が制限されます (表 14-3 を参照)。どちらかのシステム全体のメッセージ制限に達した場合、メッセージルーターは新しいメッセージを拒否します。

システムメモリーのしきい値     システムメモリーのしきい値は、三次的な保護を提供します。ブローカがさらに深刻な状況に陥ったときに、メモリーの過負荷を避けるためのアクションを実行できるように、使用可能なシステムメモリーのしきい値を指定できます。実行するアクションは、メモリーリソースの状態に応じて、次のように異なります。

ブローカのメモリーの状態が green から yelloworangered へと進むにつれ、ブローカは次のタイプの本格的なアクションを段階的に実行します。

これらのアクションはどちらもパフォーマンスを低下させます。

システムメモリーのしきい値に達する場合は、送信先メッセージの制限とシステム全体のメッセージ制限が低すぎます。場合によっては、潜在するメモリーの過負荷をしきい値がタイミングよく指摘できないことがあります。したがって、この機能に依存してメモリーリソースを制御するのではなく、メモリーリソースが最適化されるように個々の送信先とシステム全体を設定する必要があります。

メッセージルーターのプロパティ

メモリーリソースの管理には、システム全体の制限とシステムメモリーのしきい値があります。

上記のプロパティの詳細は、表 14-3 を参照してください。

持続マネージャ

障害が発生したブローカを復元するには、メッセージの配信処理の状態を作成し直す必要があります。この場合、ブローカは、すべての持続メッセージを重要な転送情報および配信情報とともにデータストアに保存する必要があります。持続マネージャのコンポーネントは、この情報の書き込みおよび検索を管理します。

障害が発生したブローカを復元する場合、配信されていないメッセージを復元するだけでは不十分です。ブローカは、次のタスクも実行する必要があります。

持続マネージャは、このすべての状態情報の格納および検索を管理します。

ブローカが再起動すると、送信先と永続サブスクリプションの再作成、持続メッセージの復元、すべてのトランザクションの状態の復元、および配信されていないメッセージのルーティングテーブルの再作成が行われます。この後に、メッセージの配信を再開します。

Message Queue は、組み込み持続モジュールとプラグイン持続モジュールの両方をサポートしています (図 4-3 を参照)。組み込み持続は、ファイルベースのデータストアです。プラグイン持続は、JDBCTM (Java Database Connectivity) インタフェースを使用し、JDBC データストアを必要とします。通常、組み込み持続の方が、プラグイン持続より処理速度が速くなりますが、JDBC 互換のデータベースシステムを使用する冗長性および管理機能を好むユーザーもいます。

図 4-3 持続マネージャのサポート

図は、持続マネージャが単層型ファイルストアを使用するか、または JDBC 互換のデータストアのどれを使用するかを示します。

組み込み持続

デフォルトの Message Queue 持続ストレージソリューションは、ファイルベースのデータストアです。この方法では、メッセージ、送信先、永続サブスクリプション、トランザクションなどの持続データを保存するために、個別のファイルを使用します。

ファイルベースのデータストアは、そのデータストアが関連付けられているブローカインスタンスの名前 (instanceName) によって識別されるディレクトリに配置されます (付録 A 「オペレーティングシステムごとの Message Queue データの場所」を参照)。

ファイルベースのデータストアは、常駐先の送信先に応じてメッセージがディレクトリに格納されるように構成されています。大半のメッセージは、可変長レコードから構成されるシングルファイルに格納されます。

メッセージが追加および削除されたときの断片化を減らすために、可変長レコードファイルを圧縮できます (「物理的送信先の圧縮」を参照)。さらに、設定可能なしきい値 (imq.persist.file.message.max_record_size) より大きいメッセージは、可変長レコードファイルではなく、メッセージに該当するファイルへ組み込み持続マネージャが格納します。これらの個々のファイルでは、ファイルが再利用できるようにファイルプールが維持されます。メッセージファイルが不要になっても削除されません。その代わり、メッセージファイルは送信先ディレクトリの空きファイルのプールに追加され、新しいメッセージの保存に使用されます。

送信先ファイルプールの最大ファイル数を設定できます (imq.persist.file.destination.message.filepool.limit)。また、単に再利用のタグを設定するのではなく、ゼロまで切り捨てて削除されるファイルプール内の空きファイルの率も指定できます (imq.persist.file.message.filepool.cleanratio)。消去されるファイルの率が増加すると、ディスクスペースは減り、ファイルプールの維持に必要なオーバーヘッドが増加します。

シャットダウン時に、タグの付いたファイルを削除するかどうか (imq.persist.file.message.cleanup) を指定することもできます。ファイルが削除されると、ファイルが使用するディスクスペースが小さくなりますが、ブローカはシャットダウンに時間がかかるようになります。

そのほかの持続データはすべて (送信先、永続サブスクリプション、トランザクション) は、それぞれ個別のファイルに格納されます。つまり、送信先はすべて 1 つのファイルに、永続サブスクリプションはすべて別の 1 つのファイルに、といった具合になります。

信頼性を最大にするため、imq.persist.file.sync.enabled 属性を使用して、持続操作によりメモリー内の状態と物理的なストレージ装置とを同期するように指定できます。この同期化は、システム破壊によるデータの損失をなくす上で役立ちますが、パフォーマンスが犠牲になります。Sun Cluster 環境で Message Queue を実行している場合、クラスタのすべてのノードに対してこの属性を true に設定する必要があります。

データストアには機密事項を扱うメッセージや財産的価値のあるメッセージが含まれることがあるため、instances/instanceName/fs350/ ディレクトリは承認されていないアクセスから保護するようにしてください。保護する方法については、「持続データの保護」を参照してください。

プラグイン持続

JDBC ドライバを介してアクセスが可能な任意のデータストアにアクセスするように、ブローカを設定することができます。この作業には、さまざまな JDBC 関連のブローカ設定プロパティの設定、適切なスキーマでデータストアを作成するデータベースマネージャユーティリティ (imqdbmgr) の使用が含まれます。手順および関連する設定プロパティについては、「持続ストアの設定」で説明します。

持続マネージャのプロパティ

このプロパティは、使用する持続の種類を指定します。

次のプロパティは、組み込み持続に関連したものです。

上記のプロパティの詳細は、表 14-6 を参照してください。

次のプロパティは、JDBC ベースの持続に関連したものです。

上記のプロパティの詳細は、表 14-7 を参照してください。

セキュリティマネージャ

Message Queue では、認証および承認 (アクセス制御) 機能が用意されており、暗号化機能もサポートされています。

認証機能と承認機能はユーザーリポジトリによって異なります (図 4-4 を参照)。ユーザーリポジトリには、ファイル、ディレクトリ、または名前、パスワード、グループメンバーシップなどのメッセージングシステムのユーザーに関する情報を含むデータベースがあります。ユーザー名とパスワードはブローカへのコネクションが要求されたときに、ユーザーを認証するために使用されます。ユーザー名とグループのメンバーシップは、送信先のプロデューシングメッセージ、またはコンシューミングメッセージなどの操作を承認するために、アクセス制御ファイルと一緒に使用されます。

Message Queue の管理者は、Message Queue で提供されるユーザーリポジトリ (「単層型ファイルユーザーリポジトリを使用する」を参照) を生成するか、あるいは既存の LDAP ユーザーリポジトリをセキュリティマネージャのコンポーネントに組み込みます (「ユーザーリポジトリに LDAP サーバーを使用する」を参照)。

認証

Message Queue のセキュリティは、パスワードベースの認証がサポートしています。クライアントがブローカへのコネクションを要求する場合、ユーザー名とパスワードを提示する必要があります。

セキュリティマネージャは、クライアントから提示されたユーザー名とパスワードをユーザーリポジトリ内に格納されているものと比較します。クライアントからブローカにパスワードが送信される場合、パスワードは、Base-64 か、メッセージダイジェスト (MD) のどちらかを使用して暗号化されます。セキュリティ保護された送信については、「暗号化」を参照してください。各コネクションサービスで使用する暗号化のタイプを 1 つずつ設定するか、あるいはブローカ単位で暗号化を設定することができます。

セキュリティマネージャのすべてのプロパティは、「セキュリティマネージャのプロパティ」に一覧表示しています。また「セキュリティマネージャのプロパティ」で詳細を説明しています。

承認

クライアントアプリケーションのユーザーが認証されると、ユーザーはさまざまな Message Queue 関連のアクティビティを実行することを承認されます。セキュリティマネージャは、ユーザーベースとグループベースの両方のアクセス制御をサポートしています。ユーザー名、またはユーザーリポジトリでユーザーに割り当てられているグループに応じて、ユーザーは特定の Message Queue 操作を実行するためのアクセス権を付与されます。これらのアクセス制御は、アクセス制御プロパティファイルで指定します (図 4-4 を参照)。

ユーザーがある操作を実行しようとすると、セキュリティマネージャが、ユーザーリポジトリ内のユーザー名とグループのメンバーシップを、アクセス制御プロパティファイル内のその操作へのアクセスに指定されたユーザー名とグループのメンバーシップと照らし合わせます。アクセス制御プロパティファイルでは、次の操作に対するアクセス権を指定します。

デフォルトのアクセス制御プロパティファイルは、admin という 1 つのグループだけを明示的に参照します (「グループ」を参照)。admin グループのユーザーには、admin サービスコネクションのアクセス権が付与されます。admin サービスは、送信先の作成、ブローカの監視と制御などの管理機能を実行できます。その他のグループに定義されたユーザーは、デフォルトでは admin サービスコネクションにアクセスできません。

Message Queue の管理者は、グループを定義し、ユーザーリポジトリ内のそれらのグループとユーザーを関連付けることができます。ただし、グループは単層型ファイルのユーザーリポジトリで完全にはサポートされません。

アクセス制御プロパティファイルを編集してユーザー別およびグループ別に目的 (メッセージの生成と消費、またはキューの送信先のメッセージの参照) に応じて、送信先へのアクセスを指定できます。特定のユーザー、またはグループだけがアクセスできる個別の送信先、またはすべての送信先を作成できます。ブローカに送信先の自動作成が設定される場合、アクセス制御プロパティファイルを編集して、ブローカが送信先を自動作成するユーザーとグループを制御することができます。

セキュリティマネージャのすべてのプロパティは、「セキュリティマネージャのプロパティ」に一覧表示しています。また「セキュリティマネージャのプロパティ」で詳細を説明しています。

暗号化

クライアントとブローカ間で送信されるメッセージを暗号化するには、SSL (Secure Socket Layer) 標準に基づいたコネクションサービスを使用する必要があります。SSL は、SSL 対応のブローカとクライアント間で暗号化されたコネクションを確立して、コネクションレベルのセキュリティを提供します。

Message Queue の SSL ベースのコネクションサービスを使用するには、キーツールユーティリティ (imqkeytool) を使用して、非公開キーと公開キーのペアを生成します。このユーティリティは、自己署名型証明書に公開キーを組み込んで、それを Message Queue のキーストアに配置します。Message Queue のキーストア自体は、パスワードによって保護されているため、起動時にキーストアのパスワードを入力して、ロックを解除する必要があります。「SSL ベースのサービスの操作」を参照してください。

キーストアのロックが解除されると、ブローカは、コネクションを要求しているクライアントに証明書を渡すことができます。証明書を受け取ると、クライアントはその証明書を使用して暗号化されたブローカへのコネクションを設定します。

セキュリティマネージャのすべてのプロパティは、次の節に一覧表示しています。また「セキュリティマネージャのプロパティ」で詳細を説明しています。

セキュリティマネージャのプロパティ

認証、承認、暗号化、およびその他のセキュリティ保護された通信に関する設定可能なプロパティを以下に示します。

上記のプロパティの詳細は、表 14-8 を参照してください。

監視サービス

ブローカには、ブローカの動作を監視および診断するためのさまざまなコンポーネントが用意されています。たとえば、次のようなコンポーネントが含まれています。

この仕組みの概略を、図 4-5 に示します。

図 4-5 監視サービスのサポート

図は、ロガーへの入力、エラーレベル、および出力チャネルを示します。図は文字で説明されます。

メトリックスジェネレータ

メトリックスジェネレータは、ブローカとの間で入出力されるメッセージフロー、ブローカメモリー内のメッセージ数とそれらが消費するメモリー量、開かれているコネクションの数、使用中のスレッドの数など、ブローカの動作に関する情報を提供します。

メトリックスデータの生成をオン、またはオフにすることも、メトリックスレポートを生成する頻度を指定することもできます。

ロガー

Message Queue のロガーは、ブローカコードとメトリックスジェネレータによって生成された情報を取得し、標準出力 (コンソール)、ログファイル、SolarisTM オペレーティングシステム、syslog デーモンプロセスなどの多数の出力チャネルに書き込みます。

ロガーが収集する情報のタイプと、各出力チャネルに書き込む情報のタイプを指定できます。

たとえば、ロガーレベルを指定するとロガーが収集する情報の種類、エラー (ERROR)、エラーと警告 (WARNING)、またはエラー、警告、および情報 (INFO) を指定できます。

各出力チャネルに対して、そのチャネルに書き込まれるロガーのカテゴリを設定できます。たとえば、ロガーのレベルが INFO の場合、エラーと警告だけをコンソールに出力し、情報 (メトリックスデータ) だけをログファイルに書き込むように指定することができます。

ログファイルを使用する場合、ログファイルを閉じて新しいファイルに出力が新しいファイルにロールオーバーされる時点を指定できます。新しいロールオーバーログファイルが作成されると、もっとも新しい 9 個のログファイルのアーカイブが保持されます。

ロガーの設定方法については、「ブローカロギングの設定と使用」を参照してください。Solaris syslog の設定および使用方法については、syslog(1M)syslog.conf(4)、および syslog(3C) のマニュアルページを参照してください。

メトリックスメッセージプロデューサ (Enterprise Edition)

メッセージプロデューサのコンポーネントは、メトリックスジェネレータのコンポーネントから定期的に情報を受け取ります。このコンポーネントはメッセージに情報を書き込み、その後メトリックストピック送信先に送信します。メトリックスメッセージを送信する送信先は、メッセージに含まれる情報の種類により異なります。

5 つのメトリックストピック送信先があります。それらの名前と、各送信先へ配信されるメトリックスメッセージのタイプを表 4-3 に示します。

表 4-3 メトリックスのトピック送信先

トピック送信先名

メトリックスメッセージのタイプ

mq.metrics.broker

ブローカのメトリックス

mq.metrics.jvm

Java 仮想マシンのメトリックス

mq.metrics.destination_list

送信先とそれらのタイプのリスト

mq.metrics.destination.queue.
monitoredDestinationName

指定した名前のキューの送信先メトリックス

mq.metrics.destination.topic.
monitoredDestinationName

指定した名前のトピックの送信先メトリックス

これらのメトリックストピック送信先にサブスクライブした Message Queue クライアントは、送信先内でメッセージを消費し、メトリックス情報を処理します。たとえば、クライアントは、mq.metrics.broker 送信先にサブスクライブし、ブローカ内のメッセージの合計数といった情報を受け取り処理することができます。

メトリックスメッセージプロデューサは、メトリックスデータに相当する、名前と値のペアを含むメッセージを作成する内部 Message Queue クライアントです。メッセージのタイプは MapMessage です。これらのメッセージは、該当するメトリックストピック送信先へのサブスクライバが複数存在する場合にだけ生成されます。

メトリックスメッセージプロデューサにより生成されるメッセージのタイプは、MapMessage です。メッセージは、メッセージに含まれるメトリックスのタイプに応じて、複数の名前/値のペアから構成されます。各名前と値のペアは、メトリックスの数とその値に相当します。

例として、ブローカメトリックスメッセージは、ブローカとの間で送受信されたメッセージの数、これらのメッセージのサイズ、現在メモリー内にあるメッセージの数とサイズなどに関する値を含んでいます。各タイプのメトリックスメッセージで報告されるメトリックス数の詳細は、『Message Queue Developer's Guide for Java Clients』を参照してください。このマニュアルでは、メトリックスメッセージの消費に関して Message Queue クライアントを書き込む方法を説明しています。

メトリックスメッセージの本体に含まれるメトリックス情報以外に、各メッセージのヘッダーには次の情報を提供するプロパティがあります。

これらのプロパティは、異なる種類または異なるブローカからのメトリックメッセージを処理する Message Queue クライアントアプリケーションに有用です。

監視サービスのプロパティ

次に示すのは、ブローカによる情報の生成、ロギング、およびメトリックスメッセージの生成を設定する設定可能なプロパティです。

これらのプロパティの詳細は、表 14-10 を参照してください。


設定ファイルの概要

ブローカ設定ファイルは、ブローカの設定に使用します。付録 A 「オペレーティングシステムごとの Message Queue データの場所」に、オペレーティングシステム別にファイルが置かれたディレクトリを一覧表示しています。

このディレクトリには、次のファイルが格納されています。

インスタンス設定ファイル

最初にブローカを実行したときに、インスタンス設定ファイルが作成されます。インスタンス設定ファイルは、ブローカのそのインスタンスに設定プロパティを指定する場合に使用します。

インスタンス設定ファイルは、その設定ファイルが関連付けられているブローカインスタンスの名前 (instanceName) によって識別されたディレクトリに格納されます。

.../instances/instanceName/props/config.properties

instances ディレクトリの場所については、付録 A 「オペレーティングシステムごとの Message Queue データの場所」を参照してください。


.../instances/instanceName ディレクトリとインスタンス設定ファイルは、対応するブローカインスタンスを作成したユーザーが所有します。ブローカインスタンスは、常に同じユーザーにより再起動されます。


インスタンス設定ファイルは、ブローカインスタンスによって管理されます。このファイルは、管理ツールを使用して設定に変更が加えられた場合に変更されます。インスタンス設定ファイルを手作業で編集して、設定を変更できます (「インスタンス設定ファイルの編集」を参照)。手作業で変更するには、.../instances/instanceName ディレクトリの所有権が必要です。所有権がなければ、root としてログインしてディレクトリの権限を変更する必要があります。

クラスタでブローカインスタンスを接続する場合、クラスタ設定ファイルを使用して、クラスタ設定情報を指定する必要があります。詳細は、「クラスタ設定プロパティ」を参照してください。

プロパティ値のマージ

起動時に、ブローカは異なる設定ファイルのプロパティ値をマージします。インストール時の値、およびインスタンス設定ファイルに設定された値が使用され、デフォルトの設定ファイルで指定された値はオーバーライドされます。

imqbrokerd コマンドオプションを使用すると、生成された値をオーバーライドできます。この方式を図 4-6 で図解します。

図 4-6 ブローカ設定ファイル

図は、コマンド行オプションが config.properties をオーバーライドし、以下順に install.properties、default options をオーバーライドする状況を示します。

プロパティ命名構文

設定ファイルにある Message Queue プロパティの定義では、次の命名構文を使用します。

propertyName=value[[,value1]...]

たとえば、次のエントリは、ブローカが追加メッセージを拒否するまでに、メモリーと持続ストレージに最大 50,000 メッセージを保持するように指定します。

imq.system.max_count=50000

次のエントリは、毎日、つまり 86400 秒ごとに新しいログファイルを作成するように指定します。

imq.log.file.rolloversecs=86400

第 14 章「ブローカのプロパティのリファレンス」に、ブローカ設定プロパティとそのデフォルト値を一覧表示しています。


インスタンス設定ファイルの編集

初めてブローカインスタンスが実行されると、config.properties ファイルが自動的に作成されます。このインスタンス設定ファイルを編集して、対応するブローカインスタンスの動作やリソースの使用をカスタマイズできます。

ブローカインスタンスが config.properties ファイルを読み込むのは起動時だけです。config.properties ファイルへの変更を確定するには、次の操作のどちらかを行います。

表 14-1 に、ブローカインスタンス設定プロパティとそのデフォルト値をアルファベット順に一覧表示します。各プロパティの意味と使用に関する詳細は、指定された相互参照の節で確認してください。


コマンド行への設定オプションの入力

ブローカの起動時、または起動後に、コマンド行にブローカ設定オプションを入力できます。

起動時に imqbrokerd コマンドを使用してブローカインスタンスを起動します。コマンドの -D オプションを使用すると、ブローカの設定プロパティとその値を指定できます。imqsvcadmin コマンドを使用して、Windows サービスとしてブローカを起動している場合、-args オプションを使用して起動時設定プロパティを指定します。

また、ブローカインスタンスの実行中に、特定のブローカプロパティを設定できます。実行中のブローカの設定を変更する場合は、imqcmd update bkr コマンドを使用します。

起動時の設定の詳細は、第 3 章「ブローカとクライアントの起動」、特に「ブローカのインタラクティブな起動」の例を参照してください。

実行中のブローカの設定変更の詳細は、第 5 章「ブローカの管理」第 14 章「ブローカのプロパティのリファレンス」を参照してください。


持続ストアの設定

Message Queue のブローカには、一貫した情報の書き込みおよび取得を管理する持続マネージャのコンポーネントが含まれています。デフォルトでは、持続マネージャは、組み込みのファイルベースのデータストアにアクセスするように設定されていますが、持続マネージャを再設定して、JDBC 互換ドライバを介したアクセスが可能な任意のデータストアに接続できます。

Message Queue データストアには、トランザクション、メッセージ、永続サブスクリプション、物理的送信先に関する情報が収められています。また、メッセージの通知に関する状態の詳細も収められています。

この章では、持続ストアを使用するブローカの設定方法を説明します。次のトピックが含まれます。

ファイルシステムストアの設定

ファイルシステムデータストアは、ブローカインスタンスの作成時に自動的に作成されます。このストアは、ブローカのインスタンスディレクトリ内に置かれます。オペレーティングシステムにより場所が異なります。持続ストアの正確な場所は、付録 A 「オペレーティングシステムごとの Message Queue データの場所」を参照してください。

デフォルトでは、Message Queue はディスクへの書き込み操作を非同期的に実行します。オペレーティングシステムは、このような操作をバッファリングし、パフォーマンスを高めます。ただし、不測のシステム障害が書き込み操作の間に発生した場合、メッセージは損なわれる可能性があります。信頼性を高めるために、Message Queue がディスクへの書き込みを同時に実行するように設定できますが、このオプションによりパフォーマンスが低下することに注意してください。ディスクへの同時書き込みを指定する場合、ブローカプロパティ imq.persist.file.sync. を設定します。このプロパティの詳細は、表 14-6 を参照してください。

ブローカインスタンスを起動すると、imqbrokerd -reset オプションを使用してファイルシステムストアを消去できます。このオプションおよびサブオプションの詳細は、表 13-2 を参照してください。

JDBC ストアの設定

JDBC ベースの持続を使用するブローカを設定するには、ブローカインスタンス設定ファイルで JDBC 関連のプロパティを設定し、適切なデータベーススキーマを作成します。Message Queue のデータベースマネージャユーティリティ (imqdbmgr) は、JDBC ドライバとブローカ設定プロパティを使用してデータベースを作成し、管理します。

この章に示す手順は、例として Java 2 プラットフォーム Enterprise Edition (J2EE) SDK にバンドルされる PointBase DBMS を使用して説明しています。バージョン 1.4 は、java.sun.com からダウンロードして入手できます。例では、クライアント/サーバーバージョンの代わりに、PointBase の組み込みバージョンを使用します。手順の指示は、PointBase の例のパス名とプロパティ名を使用しています。これらは、「例: 」という言葉で識別されます。

Oracle と PointBase の設定例を参照できます。例を収めたファイルは、付録 A 「オペレーティングシステムごとの Message Queue データの場所」を参照してください。オペレーティングシステム別の情報を示す表で、「アプリケーションと設定の例」の場所を探してください。

また、PointBase の組み込みバージョン、PointBase サーバーバージョン、および Oracle の例は、インスタンス設定ファイル config.properties 内でコメントアウトされた値として提供されています。

JDBC アクセスが可能なデータストアへの接続

JDBC アクセスが可能なデータストアに接続するには、次の手順を実行するだけです。

JDBC アクセスが可能なデータストアに接続する
  1. ブローカの設定ファイルに、JDBC 関連のプロパティを設定します。
  2. 「JDBC ベースの持続」に示すプロパティを参照してください。

  3. 次のパスに、JDBC ドライバの jar ファイルのコピーまたはシンボリックリンクを配置します。
  4. /usr/share/lib/imq/ext/ (Solaris)

    /opt/sun/mq/share/lib/ (Linux)

    IMQ_VARHOME¥lib¥ext (Windows)

    コピーの例 (Solaris):

    % cp j2eeSDK_install_directory/pointbase/lib/pointbase.jar /usr/share/lib/imq/ext

    シンボリックリンクの例 (Solaris):

    % ln -s j2eeSDK_install_directory/lib/pointbase/pointbase.jar /usr/share/lib/imq/ext

  5. Message Queue の持続に必要なデータベーススキーマを作成します。
  6. 組み込みデータベース用の imqdbmgr create all コマンドまたは外部データベース用の imqdbmgr create tbl コマンドを使用します。「データベース管理ユーティリティ (imqdbmgr)」を参照してください。

    :

    1. imqdbmgr がある場所にディレクトリを移動します。
    2. cd /usr/bin (Solaris)

      cd /opt/sun/mq/bin (Linux)

      cd IMQ_HOME/bin (Windows)

    3. imqdbmgr コマンドを入力します。
    4.     imqdbmgr create all


      組み込みデータベースを使用している場合、次のディレクトリ内に作成するのが最適です。

          .../instances/instanceName/dbstore/dabatabseName

      組み込みデータベースは、ユーザー名とパスワードで保護されていない場合、ファイルシステムのアクセス権によって保護される可能性があります。ブローカが確実にデータベースに対して読み取りと書き込みを実行できるように、ブローカを実行するユーザーは、imqdbmgr コマンドを使用して組み込みデータベースを作成したユーザーと同一でなければなりません (「データベース管理ユーティリティ (imqdbmgr)」を参照)。


JDBC 関連のブローカのプロパティ

ブローカのインスタンス設定ファイルは、その設定ファイルが関連付けられているブローカインスタンスの名前によって識別されたディレクトリに書き込まれます (付録 A 「オペレーティングシステムごとの Message Queue データの場所」を参照)。

.../instances/instanceName/props/config.properties

ファイルが存在しない場合、Message Queue がファイルを作成できるように、-name instanceName オプションを使用して、ブローカを起動する必要があります。

「JDBC ベースの持続」に、JDBC アクセスが可能なデータストアに接続する場合に、設定が必要な設定プロパティを示します。この節の最後に、これらのプロパティをまとめています。プラグイン持続を使用する各ブローカインスタンスのインスタンス設定ファイル (config.properties) に、これらのプロパティを設定します。

インスタンス設定プロパティを使用すると、Message Queue データベーススキーマを作成する SQL コードをカスタマイズできます。各データベーステーブルを作成するための SQL コードを指定する設定可能なプロパティがあります。これらのプロパティは、接続されたデータベースが使用するデータタイプを適切に指定するために必要となります。

正確な SQL 構文に関してはデータベースベンダー間で互換性がないため、必ず使用中のデータベースのベンダーが提供している相応するマニュアルを確認し、それに従って表 14-7 のプロパティを調整してください。たとえば、PointBase データベースの場合は、IMQMSG35 テーブルの MSG 列で許容される最大の長さを調整する必要が生じる場合があります (imq.persist.jdbc.table.IMQMSG35 プロパティを参照)。

すべてのブローカ設定プロパティと同様に、値は -D コマンド行オプションを使用して設定できます。データベースで特定のデータベース固有プロパティを設定する必要がある場合、ブローカ (imqbrokerd) の起動時に、-D コマンド行オプションを使用するか、あるいは Database Manager ユーティリティ (imqdbmgr) を使用して設定することができます。

例:

PointBase の組み込みデータベース例の場合、データベースコネクション URL に、データベースの絶対パスを指定する代わりに、-D コマンド行オプションを使用して、PointBase システムディレクトリを定義することができます。

-Ddatabase.home=IMQ_VARHOME/instances/instanceName/dbstore

その場合、次のように URL を指定してデータベースを作成できます。

imq.persist.jdbc.createdburl=jdbc:pointbase:embedded:dbName;new

次のように URL を指定してデータベースを開きます。

imq.persist.jdbc.opendburl=jdbc:pointbase:embedded:dbName

次に示すのは JDBC 関連のプロパティの要約です。

これらのプロパティの詳細は、第 14 章「ブローカのプロパティのリファレンス」を参照してください。

データベース管理ユーティリティ (imqdbmgr)

Message Queue には、持続に必要なスキーマをセットアップするためのデータベース管理ユーティリティ (imqdbmgr) が用意されています。テーブルが破損した場合や別のデータベースをデータストアとして使用する場合に、このユーティリティを使用して、Message Queue のデータベーステーブルを削除することもできます。

imqdbmgr コマンドの構文、サブコマンド、オプションの詳細は、第 13 章「コマンドのリファレンス」を参照してください。


持続データの保護

持続ストアにはほかの情報とともに、一時的に保存されるメッセージファイルを保存できます。これらのメッセージには専有情報が保持されている場合があるため、認可されていないアクセスからデータストアを保護することをお勧めします。この節では、組み込みファイルストアまたは JDBC ストアでデータを保護する方法を説明します。

組み込み (ファイルベース) 持続ストア

組み込み持続を使用するブローカは、オペレーティングシステムにより場所が異なる単層型ファイルのデータストアに持続データを書き込みます (付録 A 「オペレーティングシステムごとの Message Queue データの場所」を参照)。

.../instances/instanceName/fs350/

instanceName には、ブローカインスタンスを識別する名前が入ります。

instanceName/filestore/ ディレクトリは、ブローカインスタンスがはじめて開始されたときに作成されます。このディレクトリを保護するための手順は、ブローカを実行しているオペレーティングシステムによって異なります。

Solaris および Linux     IMQ_VARHOME/instances/instanceName/filestore/ ディレクトリのアクセス権は、そのブローカインスタンスを開始したユーザーの umask によって決まります。したがって、ブローカインスタンスの開始および持続ファイルの読み取りを行うためのアクセス権は、umask を適切に設定することによって制限できることになります。あるいは、スーパーユーザーである管理者は、IMQ_VARHOME/instances ディレクトリのアクセス権を 700 に設定することによって、持続データを保護できます。

Windows     IMQ_VARHOME/instances/instanceName/filestore/ ディレクトリのアクセス権は、使用中の Windows オペレーティングシステムが提供するメカニズムを使って設定できます。通常は、そのディレクトリ用のプロパティダイアログが開かれます。

プラグイン (JDBC) 持続ストア

プラグインの持続性を使用するブローカは、JDBC に準拠したデータベースに持続データを書き込みます。

Oracle データベースなど、データベースサーバーによって管理されるデータベースについては、Message Queue のデータベーステーブルにアクセスするためのユーザー名とパスワードを作成することをお勧めします。このようなデータベーステーブルには、「IMQ」で始まる名前が付いています。データベースで個々のテーブルの保護ができない場合、Message Queue ブローカだけが使用する専用のデータベースを作成します。ユーザー名とパスワードのアクセス権を作成する方法については、データベースベンダーのマニュアルを参照してください。

データベースコネクションを開くためにブローカが求めるユーザー名とパスワードは、ブローカ設定プロパティとして与えることができます。ただし、ブローカの起動時にコマンド行オプションとして入力するほうがより安全です (『Message Queue 管理ガイド』の付録 A 「プラグイン持続の設定」を参照)。

データベースの JDBCTM ドライバを使用してブローカが直接アクセスする組み込みデータベースの場合、「組み込み (ファイルベース) 持続ストア」で説明するように、通常は持続データが格納されるディレクトリへのファイルアクセス権を設定することでセキュリティがもたらされます。ただし、データベースがブローカと imqdbmgr ユーティリティの両方で読み取り可能および書き込み可能になるために、いずれも同じユーザーにより実行される必要があります。



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